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紹介 浅田正彦編『兵器の拡散防止と輸出管理 -- 制度と実践』

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Academic year: 2021

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紹介 浅田正彦編『兵器の拡散防止と輸出管理 --

制度と実践』

著者

郡司 穣

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジア経済

46

9

ページ

93-93

発行年

2005-09

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00007544

(2)

 『アジア経済』XLVI‐9(2005.9)

   

 輸出管理(export control)とは,兵器に使用可能 な技術,関連部品の輸出を懸念国や懸念グループに 対して管理することにより,兵器の研究,開発,生 産,取得の障害を高くし,その拡散を防止する手段 である。本書は,9.11同時多発テロ以後,大量破壊 兵器などの拡散を防止する手段として,ますます重 要性が高まっている兵器の輸出管理制度についての 概説書である。  本書の構成は,序章で輸出管理を国際安全保障上 の不拡散政策の一手段として理論的に位置づけ,そ の条件,効果,課題について論じることから始まる。 第Ⅰ部は,第1章で核兵器の輸出管理レジームであ る核不拡散条約(NPT)関連のザンガー委員会と,そ れを補完する原子力供給国グループ(NSG),第2章 で生物・化学兵器関連のオーストラリア・グループ と化学兵器禁止条約,第3章でミサイル技術管理レ ジーム(MTCR)と「拡散に対する安全保障構想」 (PSI),そして,第4章で通常兵器に関する冷戦期 のココムと冷戦後に結成されたワッセナー・アレン ジメントという具合に,兵器の分野別に輸出管理制 度の内容と限界を検討している。続く第Ⅱ部は,上 記の制度の概要をふまえて,先進工業国であり「武 器輸出3原則」を掲げる日本(第1章),複雑な輸 出管理システムを有するアメリカ(第2章),域内の 政策統合を進める欧州連合(第3章),軍事超大国ソ 連であったロシア(第4章),国内法整備はするが輸 出管理レジームに不参加の中国(第5章),そして大 量破壊兵器の供給国であると同時に需要国でもある 北朝鮮(第6章),という以上6つの主要国における 輸出管理政策の現状と課題を明らかにする構成と なっている。  本書において度々強調されることであるが,輸出 管理は,自由貿易主義の下の経済的利益と,規制の 下,経済的機会を犠牲にして得る大量破壊兵器の不 拡散という安全保障の利益とのトレードオフの上に 成立している。その具体例が多くの論者が指摘する ところの軍事転用可能な汎用品・技術規制の問題で ある。規制対象となる汎用技術の品目は,グローバ ル化と技術革新のもと多様化する一方で,最終使用 者の確認や迂回,偽装取引の感知など十分な規制を 加えることが困難となってきている。また,これら の汎用技術の規制が途上国には経済発展を妨げる差 別的措置とも受け止められているのが現状である。 確かに先進工業国にとっても輸出機会の喪失,国際 競争力の低下につながる側面もあるが,先進国に とっての課題は,中近東,印パ,中国,朝鮮半島な どと不安定なアジア地域において,いかに途上国の 輸出管理制度強化を支援し,同時に利害を調整する ことで有効な制度を構築するか,ということである。 例として汎用技術の問題を挙げたが,各章において, 制度の歴史的変遷,同分野における規範の緊張・補 完,主要国の利害関心と外交,そして国際環境の変 化との関係が丁寧に研究されていて,現代国際安全 保障の課題,あるいは国際政治におけるガバナンス について示唆に富んだ内容である。  編者が「日本で最初の本格的な」と述べているよ うに,個別の安全保障政策や輸出管理政策,あるい は兵器の分野ごとの国際条約や輸出管理レジームに 着目した先行研究はあっても,本書のように国際輸 出管理制度の全体像を俯瞰した国内研究は今までに なかった。そもそも輸出管理という言葉も研究も国 際政治の研究での位置づけが曖昧であり,未開拓の 分野であるといえる。そうした状況をふまえると, 実務担当者や研究者による輸出管理制度の概要をま とめた本書の特徴は,初学者にもわかりやすいよう 「キャッチ・オール規制」等の仕組みが整理されて おり,また,兵器の分類,地域政治,供給国と需要 国という具合にバランスのとれた構成で読者に多角 的視座を提示していることである。国際安全保障, 特に兵器の拡散防止に関心がある人には是非読んで 欲しい書物である。 (東京大学大学院総合文化研究科修士課程)

浅田正彦編

『兵 器 の 拡 散 防 止 と 輸 出 管 理

――制度と実践──

有信堂 2004年 xi+301ページ 郡 司 ぐん   じ 穣 みのり

参照

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