経営理念を体現したクラブマネジメントの実態
―栃木サッカークラブを事例として―
The embodiment of management principle in Tochigi
football club
斉 藤 麗(作新学院大学経営学部) 石 川 智(作新学院大学経営学部)Ⅰ.研究背景と目的
2017年に策定された第 2 期スポーツ基本計画では、スポーツが社会の課題解決に役立つ ツールとして捉えられ「スポーツによる地域活性化」(注 1)を重点目標の 1 つに掲げている。 しかし、こうした政策的文脈のなかで、プロスポーツチームに求められている役割は不明 瞭である。全国各地に「スポーツコミッション」というスポーツ振興の推進組織を新たな に設置することに比重が置かれる一方で、従来から地域活性化に向けて活動を展開してき た「プロスポーツチーム」という存在には、ほとんど視野が向けられていないのが実情で ある。わが国において、先駆けとなったプロスポーツとして1993年に関幕した J リーグが あげられる。かかるリーグは、国民にサッカーを定着させるとともに「百年構想」という 長期ビジョンや「スポーツでもっと幸せな国へ」というスローガンを掲げながら、「地域 密着」という新たなプロスポーツの経営モデルを提唱し、企業追随型のスポーツ体制から の脱却と地域密着型モデルの成功をおさめたことで、地域貢献を主眼とするコミュニ ティ・ビジネスの先駆者として高く評価されてきた(原田,2014,p.218)。近年では、J リー グの経営モデルを模倣し、 バスケットボールの B リーグが創設されるなど(鳥居, 2017)、プロスポーツはスポーツの高度化と大衆化の役割を担うだけでなく、地域スポー ツや地域自体の振興、地域住民の地域アイデンティティの構築などの効果が期待されてい ると論じられてきた(原田,2002,2014;大野,2012;武藤,2013)。このように、わが 国においてプロスポーツはスポーツ文化の担い手となる一方で、プロスポーツクラブが乱 立し、同一地域に活動拠点を置くケースも散見されるようになってきた。 本研究が対象とする、栃木県も同一地域に複数のプロスポーツクラブ(注 2)を有する、 きわめてまれな地方都市である。こうした特性と時代の潮流から2014年 4 月、栃木県宇都宮市に所在する作新学院大学は、新たにスポーツマネジメント学科が立ち上がることを契 機に、2013年 9 月「作新学院大学と 4 プロスポーツクラブとの連携協定」が締結された(下 野新聞,2013年 9 月24日)。この協定では、大学と 4 つのプロスポーツクラブ(栃木サッ カークラブ、宇都宮ブレックス、宇都宮ブリッツェン、H.C. 栃木日光アイスバックス) が密接に連携協力することにより、双方の人的・物的・知的資源の活発な交流と活用を図 り、もって地域活性化への貢献とスポーツの振興に寄与することがうたわれ、そのために 6 つの包括的な連携協力事項(注 3)が掲げられた(プロスポーツ振興「栃木モデル」構築 に関する研究会報告書,2015)。その後、産学官連携によるプロスポーツ振興「栃木モデル」 構築に向けた研究会(注 4)が実施され、さまざまな議論を重ねてきた。この研究会を通じ て得られた成果として、菅谷ほか(2019)は「地域貢献活動」や「ファン獲得」など協力 できることは協力していこうという共同体制の合意が形成され、作新学院大学と 4 つのプ ロスポーツクラブによる共同イベント、すなわち地域貢献活動が開催されたと述べてい る。こうした経緯から、作新学院大学ではプロスポーツクラブのスタッフを招聘した講義 の実施や学生ボランティアの体験、さらにはプロスポーツクラブの観戦者調査など様々な 取り組みを実施している。中でも、栃木サッカークラブ(以下「栃木 SC」と略す)の社 長を務めている橋本大輔氏(以下「橋本氏」と略す)は、「クラブの理念をスタッフ・選 手などが体現することで、地域に愛されるクラブづくりをしたい」と述べている(作新学 院大学講義フィールドワーク A,2018)。こうした発言の裏には、プロスポーツビジネス 特有の要因が影響しているのではないだろうか。プロスポーツビジネスは、試合という誰 にもコントロールできないものが商品であるため、勝敗により経営が左右される非常に難 しいビジネスであるとされている(池田,2017;原田,2017,pp.234-237)。そのため、 試合以外のコントロール可能な付加価値、すなわちエンターテイメントをどのように創出 するかが重要な施策となるとされており、最近では地域貢献活動もファンサービスの充実 とともに注目を集めていると述べている(原田,2017,p.237)。橋本氏は、栃木 SC が J3 に降格した2015年の翌年の2016年に、39歳という若さでクラブの社長に就任し、J3降格に よりスポンサー離れが相次ぎ、事業規模も縮小するなか、クラブの状況を打破するために も、越境体験するべく諸外国のクラブを視察した。そこで学んだこととして、橋本氏は「ス タッフや選手のやるべきことを明確にするためにも経営方針が必要である。そのためにも
ても試合や地域貢献活動などという場において、経営理念に反した場合には試合に出場さ せない」と述べるなど(作新学院大学講義フィールドワーク A,2018)、徹底した経営理 念に関する教育がなされている。 表 1 .栃木サッカークラブの経営方針(栃木サッカークラブ,online;小川,2019) 運 営 会 社 名 株式会社栃木サッカークラブ チ ー ム 名 栃木 SC 理 念 Tochigi に感動を!!こどもたちに夢を!! ミ ッ シ ョ ン 地域と共に栃木サッカークラブのある生活の喜びを創り、社会を豊かに する
ビ ジ ョ ン KEEP MOVING FORWARD!(常に前に進み続ける)
バ リ ュ ー 1. Enjoy(楽しむ) :何事にも楽しみを持ち、人生を楽しむ 2. Growth(成長) :現状に満足することなく常に成長する 3. Unity(団結) :組織・団結力を向上させる 4. Sincere(誠実) :感謝の気持ちを持ち、常に誠実な言動、行動に努める 5. Challenge(挑戦):リスクを恐れず勇気を持って挑戦する 事業運営方針 ・顧客満足の追求 ・地域社会への積極貢献 ・挑戦する企業風土の醸成 ・健全経営の実践 ところで、経営理念とは企業理念、企業理念、社是、社訓、綱領、経営方針、経営指針、 企業目的、企業氏名、根本精神、信条、理想、ビジョン、誓い、規、モットーめざすべき 企業像、事業成功の秘訣、行動指針、行動基準、スローガンなどと様々な捉え方がある(奥 村,1994)。一般企業においては、様々な経営理念が掲げられていることがわかるが、こ うした背景には社内に向けたコーポレート・ガバナンスとしての役割のみならず、社会的 責任活動の根底になるべく、多くの企業で経営理念を掲げるなど、現在では 9 割近い企業 が経営理念を保有するといわれ(法政大学大学院中小企業経営革新研究所,2010)、一般 企業において必要不可欠なものとされている。そのため、一般企業を対象とした研究では、 経営理念が経営戦略や方針の拠り所(水谷内,1992)、企業イメージの創造や発信(浅野, 1991)、モチベーションのベース(伊丹・加護野,2003)、社員の行動指針(伊丹・加護野, 2003)、企業内部の統合機能や外部への適応機能(北居・松田,2004)という研究がみら れている。また、経営理念の浸透が従業員の満足度に影響を与えたり(松葉,2008)、職 務関与や革新指向性の送信を通じてパフォーマンスを向上させる(高,2010)という効果 も明らかにされている。このように、一般企業において経営理念は、多用な機能や効果が 認められている。 一方、プロスポーツクラブに着目すると一般企業が掲げてきた経営理念を取り入れてい る事例がみられているものの(注 5)、スポーツ経営学領域では地域スポーツクラブにおける
経営理念の形成と浸透に着目した研究(柴田,2016)や企業スポーツチームの運営理念に 関する研究(田原ほか,2014)、さらには地域スポーツクラブの経営理念の内容と会員と の関係に着目した研究(堂園,2104)にとどまっている。こうした研究課題から小川(2019) は、プロスポーツチームにおける経営理念の構成要素を把握した結果、対外的な経営理念 (地域志向と顧客志向)と対内的な経営理念(組織志向とチーム志向)に大別した(表 2)。 また、プロスポーツクラブの経営理念の機能について検討した結果、先行研究で明らかと された、「組織成員の動機づけ」、「組織成員の判断・行動の指針」、「社会規範意識の向上」、 「組織内一体感の醸成」、「存在意義の明確化」、「ステイクホルダーへの意識向上」、「人事 評価制度の拠り所」、「経営管理の拠り所」、「経営管理の拠り所」、「戦略・方針の拠り所」 に加え、プロスポーツクラブ特有の「組織成員の安心」、「ステイクホルダーとの共感」、「選 手・社員の採用/リールート基準」、「自立意識の醸成」という13の機能を抽出しており、 経営理念が何かしらの影響をおよぼしていると指摘している(小川,2019)。 表 2 .プロスポーツチームにおける経営理念の構成要素(小川,2019を修正) 上位概念 中位概念 下位概念 対外的な経営理念 (地域志向、顧客志向) 地域愛着志向 地域密着地域の誇り 地域発展志向 コミュニティの醸成 地域交流・国際交流 まちづくり 地域経済の発展 メディアとしての役割 共生社会の実現 地域の人づくり志向 人材育成 青少年の健全育成 スポーツの発展志向 社会に開かれたスポーツ環境の整備 生涯スポーツの充実 顧客志向 娯楽としてのスポーツ施設 夢や感動の提供 ファンとの交流・愛着 顧客ニーズの重視 組織志向 経営の安定化 職場環境の充実
残念ながら、小川(2019)の研究においては、経営理念の機能を明らかにしたに過ぎず、 スタッフや選手に浸透しているかについては今後の課題としている。繰り返しとなるが、 橋本氏は「クラブの理念をスタッフ・選手などが体現することで、地域に愛されるクラブ づくりをしたい」と述べていることから、おそらくスタッフや選手に経営理念が浸透して いることがうかがえる。そのため、本研究では経営理念を体現していると思われる栃木 SC に着目しそのクラブマネジメントの実態について明らかにすることを目的とした。
Ⅱ.研究方法
1 .用語の定義 経営理念は、 組織体として公表している、 成文化された価値観や信念(高尾・ 王, 2011)と定義され、会社の使命や存在意義についての経営理念(狭義)、これを具体化し 実行するための経営方針、さらに組織成員の行動を支持する行動指針の 3 つの階層からな る複合的な概念である(奥村,1994)。また、松田(2002)によれば、経営理念を有する 主体が組織体であること、公表されたものであることが定義上の要点として示されている (注 6)。こうした定義や留意点に基づき、柴田(2016)は、広義として経営理念をとらえて いる(図 1)。 柴田(2016)を参考にプロスポーツクラブを対象とした小川(2019)は、「明文化され た信念や価値観、行動規範」と定義し、その呼び方に関わらず内容が定義を満たしていれ ば経営理念として扱うこととしているため、本研究においてもプロスポーツクラブを対象 とするため、小川(2019)の定義を用いることとした。よって、栃木 SC における経営理 念は表 1 に示した通り、理念、ミッション、ビジョン、バリュー、事業運営方針まで包含 されるものとした。 図 1 .経営理念(広義)の構造(柴田,2016)2 .研究枠組み 本研究の目的に対し研究枠組みを提示する。作新学院大学において実施している J リー グ調査(観戦者調査)を活用し、栃木 SC に対する期待について 2 年間の縦断的調査を実 施した。図 2 に示した通り、Step1では2018年に定性的調査を実施し、栃木 SC に対する期 待について自由記述方式にて回答してもらった。Step2では、前年度の調査で得られた項 目について、2019年に質問紙による定量的調査を実施した。 図 2 .研究枠組み 3 .調査概要 質問紙の作成については、既存の J リーグ調査において紙面が余っている関係上、筆者 および共同研究者が栃木 SC のスタッフと今後のクラブマネジメントについて有益な情報 を得るために議論を重ね、調査項目を作成した(注 7)。2018年の調査では、「観戦する際の 座席の位置」、「地域愛着」、「スポーツ観戦への関与」、「再訪意図」、「栃木 SC に対する期 待(自由記述)」という質問項目を加えた。なお、本研究では「栃木 SC に対する期待(自 由記述)」という項目のみ分析に使用することとした。 2019年の調査では、「観戦する際の座席の位置」という昨年度の質問項目以外に、「栃木 SC のホームタウン活動(注 8)の有無」、「栃木 SC のホームタウン活動への参加の有無」と いう新たな質問項目を加えた。また、2018年に分析した項目(栃木 SC に対する期待)に ついても訪ねた。調査時期、対戦相手、調査場所、入場者数などについては、表 3 に示し た通りである。なお2018年および2019年の調査対象者は、栃木 SC の観戦者を対象として
表 3 .調査の概要 2018年 2019年 調査日時 7 月15日(日) 6 月 9 日(日) 調査場所 栃木グリーンスタジアム 栃木グリーンスタジアム 対戦相手 モンテディオ山形 ジェフユナイテッド市原・千葉 入場者数 6,051人 5,663人 調査票配布数 540枚 500枚 有効回答数 529枚(98.0%) 499枚(99.8%) 4 .分析方法 2018年に得られたデータは、筆者および共同研究者の 2 名により KJ 法(川喜多 ,1967) を用いて、栃木 SC に対する期待について抽出した。分析の手順としては、意味のまとまっ た分ごとに区切り、内容の近いものを集めグループ化した。その後2019年のデータを利用 し2018年に抽出した項目について単純集計をおこない、各項目の平均値を算出した。また、 栃木 SC に具体的なクラブマネジメントを提供するため、性別、年代、ホームタウン活動 の認知や参加について平均値による比較を行った。 なお、 分析には、Microsoft Office Excel 2016および、IBM SPSS Statistics 25を使用した。
Ⅲ.結果および考察
1 .栃木 SC に対する期待の抽出(Step1) KJ 法による分析の結果、栃木 SC に対する期待として、表 4 に示した通り「結果・成績」、 「試合内容」、「チーム運営」、「選手強化」、「スタジアム環境」、「地域との関係・知名度」、「そ の他」という 7 つのカテゴリーを抽出した。抽出された内容について概観すると、経営資 源(ヒト・モノ・カネ・情報)に関する項目であることがうかがえる。 まず、「結果・成績」というカテゴリーについては、約60%を占める結果となった。内 容をみてみると J1への昇格、勝利、J2への残留という回答内容が多く、勝利をおさめ、J1 への昇格を期待している観戦者が多いことが明らかとなった。やはり、プロスポーツにお いて勝利をおさめることは、観戦者にとって最も期待する内容であることがうかがえる。 また、「試合内容」というカテゴリーについては、諦めずに全力で戦う姿勢、熱いプレー・ ゲーム、試合内容などという回答がみられた。橋本氏は「選手に対して、勝敗の有無に限 らず、最後まで諦めずに戦う姿勢を求めている」と発言していたこと(作新学院大学フィー ルドワーク A,2018)、栃木 SC の経営理念にも類似する内容が記載されていることから、 観戦者も栃木 SC の経営理念に記載されていることを求めているといえよう。しかしなが ら、「選手強化」に着目すれば、有名選手の補強、海外選手の獲得、栃木 SC から日本代表の選出などという回答がみられたことから、勝利をおさめるための選手強化がクラブに 求められているといえる。こうした、観戦者の期待は一見すると矛盾しているようにも捉 えることができるが、地元選手の獲得という回答も存在することから、強化と育成のバラ ンスを整えることが必要であろう。サッカーという競技は、ユース世代も存在することか ら幼少期から地元選手を育成、さらには強化していくことが今後の課題であろう。 また、「チーム運営」については、観客数の増加、チームの健全経営などという回答が みられた。健全経営については、小川(2019)が抽出した経営理念の構成要素にも包含さ れる内容である。あくまでも可能性であるが、観戦者もチームの健全経営を臨んでいるこ とから、プロスポーツクラブの経営理念に記載されていると考えられる。そして、「スタ ジアム環境」については、1980年の栃木国民体育大会の開催に伴い建設されたスタジアム であるため、スタジアムの改修、駐車場の改善などという回答がみられたのであろう。現 在、2022年の栃木国民体育大会に向け宇都宮市西川田町に新しいスタジアムを建設予定で あるものの、栃木グリーンスタジアム(現在のスタジアム)の継続などという回答も存在 したことから、2 つのスタジアムを併用した運営も求められているのではないだろうか。 「地域との関係・知名度」については、橋本氏が述べていた「地域に愛されるクラブづ くり」という項目も抽出されたことから、クラブマネジメントを通じて観戦者に影響をお よぼしている可能性が示唆された。また、地域への定着や地域貢献などという回答も見ら れたことから、積極的に地域貢献活動を実施し、地域に根差したさらなるクラブマネジメ ントが必要であろう。 以上より、栃木 SC に対する期待として 7 つのカテゴリ―を抽出したが、2019年の調査 に向け、栃木 SC のスタッフと筆者および共同研究者において議論を重ねたところ(注 9)、 最終的に「J1への昇格」、「勝利・順位」、「諦めずに最後まで戦う姿勢」、「勝敗に関係なく 面白い試合」、「観客やファンの増加」、「観客が楽しめる演出の工夫」、「有名選手の獲得」、 「地元選手の育成」、「スタジアムまでのアクセスの改善」、「スタジアムの改修」、「ホーム タウン活動の充実」、「地域から愛されるクラブづくり」という12のカテゴリーを栃木 SC に対する期待とすることとした。
表 4 .KJ 法から抽出された栃木 SC へ対する期待 N=175 カテゴリー 回答内容 N % 結果・成績 J1昇格 43 24.6 勝利 27 15.4 J2残留 20 11.4 リーグ優勝・優勝争い 7 4.0 得点 5 2.9 順位・成績 4 2.3 強くなること 4 2.3 チームの存続 1 0.6 試合内容 諦めずに全力で戦う姿勢 7 4.0 熱いプレー・ゲーム 6 3.4 試合内容 5 2.9 勝敗に関係なく面白い試合 2 1.1 チーム運営 観客数の増加 2 1.1 チームの健全経営 1 0.6 飲食無料券配布 1 0.6 グッズ販売にサポーターの意見を反映させる仕組み 1 0.6 ゴール裏のファンを増やせる工夫 1 0.6 選手強化 チーム補強(有名選手の獲得・大型補強など) 2 1.1 地元選手の育成 1 0.6 海外選手の獲得 1 0.6 栃木 SC から日本代表選出 1 0.6 スタジアム環境 スタジアム改修(特に、屋根の設置) 6 3.4 新スタジアムへのアクセス強化 3 1.7 駐車場の改善 2 1.1 グリーンスタジアムの継続 2 1.1 スタジアムまでのアクセス改善 1 0.6 シャトルバス増便 1 0.6 多くの人が楽しめる環境づくり 1 0.6 オーロラビジョン増設 1 0.6 地域との関係・知名度 地域に愛されるクラブづくり 4 2.3 地域への定着 4 2.3 栃木 SC の知名度向上 3 1.7 地域貢献 1 0.6 地域の人々との交流 1 0.6 その他 他のスポーツとの交流 1 0.6 他のスポーツよりも人気を上げる 1 0.6 暑さ対策のイベント 1 0.6
2 .栃木 SC に対する期待(Step2) (1)調査対象者の基本属性 調査対象者の基本属性を表 5 に示す。男性が約67%、女性が34%と男性が 6 割以上を占 める結果となった。そのため、女性の観戦者を増加させる施策が必要であろう。しかしな がら、女性を限定としたイベントも開催されていることから(栃木 SC,online)、そうし たイベントのみならず、女性の観戦者を増加させる対策を講じる必要があるのではなかろ うか。年代については、40代や50代が多く、次に30代が多い結果となった。20代、60代、 19歳以下も約全体の約10%を占めるなど様々な年代が観戦者として栃木 SC の試合を観戦 していることがうかがえる。栃木 SC の応援年数は、3 年から 5 年が110名、10年から14年 が95名となった。10年以上栃木 SC を応援している観戦者が多いことから、地域に愛され るクラブづくりが少なからず体現できているといえよう。しかしながら、栃木県は同一地 域に 7 つのプロスポーツチームが存在するため、栃木 SC のメインスタジアムが存在する 「清原地区」を中心としたクラブマネジメントを行うことで、地域に愛されるクラブづく りを体現することができると考える。 栃木 SC が注力している地域貢献活動の 1 つとされるホームタウン活動の認知について は、知っていると回答した観戦者が約37%であり、知らないと回答した観戦者が約52%で あることから、課題の残る結果であった。これは、半数以上の観戦者が、ホームタウン活 動を認知していないことを裏付ける結果である。あくまでも、地域貢献活動の一環として ホームタウン活動を実施しているため、ホームタウン活動という用語を認識していない可 能性も考えられるが、今後は継続してホームタウン活動を実施していくことで観戦者に認 知されるのではないだろうか。その際にメディア(テレビや新聞など)を活用し、ホーム タウン活動という用語を認知させることも 1 つの施策ではなかろうか。また、ホームタウ ン活動への参加については、参加した観戦者が約 6 %と非常に少ない結果であった。繰り 返しとなるが、ホームタウン活動を認知している観戦者も少ないことから、まずは認知さ せることで参加者を増加させることにつながるであろう。
表 5 調査対象者の基本属性 N=499 N % 性別 男性 334 66.9 女性 164 32.9 年齢 19歳以下 50 10.1 20代 63 12.7 30代 81 16.4 40代 125 27.3 50代 94 19.0 60代 54 10.9 70代 18 2.8 栃木 SC の応援年数 1 ∼ 2 年目 42 12.0 3 ∼ 5 年目 110 31.5 6 ∼ 9 年目 63 18.1 10年∼14年 95 27.2 15年以上 37 10.6 ホームタウン活動の認知 はい 184 36.9 いいえ 259 51.9 ホームタウン活動への参加の有無 はい 29 5.8 いいえ 417 83.6 (2)栃木 SC に対する期待 Step1において、栃木 SC に対する期待として抽出した12項目について、定量的調査を実 施したところ、表 6 のような結果となった。12項目のなかでも「最後まで諦めずに戦う姿 勢」、「地元選手の育成」、「地域から愛されるクラブづくり」という項目については平均値 が高い。これは、栃木 SC の理念をスタッフや選手が体現している結果であろう。ここで 示された項目は、橋本氏が、スタッフや選手に対して指導している項目であり、おそらく 地域貢献活動、とりわけホームタウン活動などを通じてサポーターに反映されたのであろ う。しかしながら、ホームタウン活動の認知も低く参加者も少ないことから、そうした活 動以外によっても、観戦者に影響したと思われる。 一方、栃木 SC に期待する項目のなかでも「J1への昇格」、「有名選手の獲得」、「ホーム タウン活動の充実」という項目においては平均値が低い結果となった。まず、抑えておく べき事実として、調査実施日である2019年 6 月の栃木 SC の順位は低迷していた。そうし たこともあり、このような結果となったことは否めない。しかしながら、有名選手の獲得 や地元選手の育成を期待しているため、ユースといったアンダーのカテゴリーから育てる ことをサポーターはのぞんでいると考えられる。よって、栃木という地方都市におけるプ
ロスポーツクラブは、地域に密着した人材育成が必要とされているのであろう。もちろん、 勝利をおさめより高いカテゴリーで戦うことがプロスポーツクラブには求められているも のの、地方におけるプロスポーツチームにおいては、勝利のみならず地元選手の育成もク ラブマネジメントを展開するうえで、必要不可欠な要因であろう。こうした選手が育まれ ることで、橋本氏の考えるクラブづくりを体現することが可能になるだろう。 表 6 .栃木 SC に対する期待 N=499 質問項目 M SD 栃木 SC への期待 J1への昇格 3.876 1.247 勝利・順位 4.188 1.119 諦めずに最後まで戦う姿勢 4.330 1.016 勝敗に関係なく面白い試合 4.152 1.071 観客やファンの増加 4.100 1.032 観客やファンが楽しめる演出の工夫 4.092 0.974 有名選手の獲得 3.832 1.101 地元選手の育成 4.298 0.957 スタジアムまでのアクセス改善 3.893 1.066 スタジアムの改修 4.123 1.074 ホームタウン活動の充実 3.987 1.021 地域から愛されるクラブづくり 4.367 0.951 (3)栃木 SC に対する期待の平均値比較 ①性別における比較 栃木 SC に対する期待について性別による比較を検討したところ、男性より女性の方が 「勝利・順位」について期待していることが明らかとなった。これは、男性よりも女性の 方が、勝利をおさめることを期待しているということである。現在、栃木 SC は女性限定 のイベントを開催していることから、栃木 SC が勝利をおさめる確率が高い試合時に女性 限定イベントを開催することで、女性の観戦者を集客することができるのではないだろう か。そのため、女性向けのイベントを開催する際は、対戦相手なども勘案すべきであろう。
表 7 .性別における栃木 SC に対する期待の比較 質問項目 男性(N=314)女性(N=164) M SD M SD t 値 栃木 SC への期待 J1への昇格 3.857 1.249 3.917 1.244 -0.483 勝利・順位 4.111 1.137 4.354 1.065 -2.184* 諦めずに最後まで戦う姿勢 4.310 1.027 4.374 0.995 -0.632 勝敗に関係なく面白い試合 4.129 1.088 4.201 1.035 -0.665 観客やファンの増加 4.086 1.061 4.128 0.971 -0.411 観客やファンが楽しめる演出の工夫 4.096 0.969 4.082 0.986 0.14 有名選手の獲得 3.812 1.119 3.875 1.064 -0.567 地元選手の育成 4.268 0.975 4.363 0.916 -0.996 スタジアムまでのアクセス改善 3.850 1.105 3.986 0.975 -1.266 スタジアムの改修 4.121 1.099 4.129 1.022 -0.080 ホームタウン活動の充実 3.984 1.022 3.993 1.024 -0.089 地域から愛されるクラブづくり 4.343 0.956 4.419 0.940 -0.800 *p<.05 ②年代における比較 栃木 SC に対する期待について年代別にみると、「J1への昇格」や「観客やファンの増加」 について、20代よりも19歳以下の方が期待していることが明らかとなった。また、「有名 選手の獲得」についても、20代、50代、60代よりも19歳以下が期待していることが明らか となり、19歳以下という高校生や中学生は、栃木 SC に対してより高いレベルで戦うため に、有名選手を獲得し、観戦者やファンを増加してほしいことを期待している。J1に所属 するクラブの選手は、世界を相手に戦っている選手や日本代表選手など有名選手が多数存 在する。最近では、元スペイン代表のイニエスタ選手やビジャ選手のように世界的にも有 名な選手が J リーグのヴィッセル神戸に入団したことは記憶に新しい。そうした影響もあ り、イニエスタ選手やビジャ選手のプレイを一目見ようと、観戦者が増加しているため (東洋経済 ONLINE,2018年 9 月14日)、特に若い世代は J1に昇格してほしいと期待して いるのだろう。よって、19歳以下という若い世代の観戦者を集客するためには、有名選手 を獲得し J1へ昇格することがクラブにとって求められているだろう。
19 歳以下 ( N =50) 20 代 ( N =63) 30 代 ( N =81) 40 代 ( N =125) 50 代 ( N =94) 60 代 ( N =54) 70 代 ( N =18) 多重比較 M SD M SD M SD M SD M SD M SD M SD F 値 4. 282 0. 887 3. 431 1. 391 3. 920 1. 323 3. 859 1. 247 3. 964 1. 227 3. 843 1. 120 3. 357 1. 336 2. 427 * 20 代 <19 歳以下 4. 564 0. 718 3. 864 1. 319 4. 289 1. 141 4. 169 1. 162 4. 235 1. 087 4. 060 0. 998 3. 786 1. 122 2. 094 戦 う 姿勢 4. 579 0. 722 4. 017 1. 221 4. 320 1. 092 4. 412 1. 022 4. 318 0. 991 4. 408 0. 888 3. 857 0. 770 1. 998 面白 い 試合 4. 595 0. 762 4. 000 1. 199 4. 027 1. 219 4. 203 1. 038 4. 120 1. 052 4. 146 0. 989 3. 786 1. 051 1. 747 増加 4. 500 0. 751 3. 814 1. 008 4. 067 1. 044 4. 115 1. 068 4. 036 1. 103 4. 255 0. 935 3. 923 0. 862 2. 138 * 20 代 <19 歳以下 しめる 演出 の 工夫 4. 447 0. 795 3. 983 0. 946 4. 040 0. 951 4. 154 0. 992 4. 000 1. 006 4. 040 1. 009 4. 000 0. 877 1. 279 4. 447 0. 921 3. 746 1. 123 3. 867 1. 082 3. 860 1. 095 3. 548 1. 113 3. 673 1. 088 3. 786 1. 122 3. 239 ** 20 代 、50 代 、60 代 <19 歳以下 4. 500 0. 726 3. 931 1. 041 4. 347 0. 893 4. 377 0. 926 4. 247 1. 022 4. 320 1. 058 4. 286 0. 914 1. 931 改善 4. 231 0. 902 3. 881 1. 115 3. 973 1. 080 3. 785 1. 071 3. 810 1. 156 3. 837 0. 943 4. 071 0. 730 1. 129 4. 487 0. 823 3. 983 1. 058 4. 080 1. 075 4. 062 1. 098 4. 000 1. 244 4. 380 0. 878 4. 214 0. 699 1. 709 の 充実 4. 385 0. 847 3. 864 0. 973 4. 014 0. 986 3. 969 1. 011 3. 859 1. 177 4. 020 0. 958 4. 000 0. 784 1. 400 4. 553 0. 724 4. 085 1. 022 4. 392 0. 991 4. 400 0. 937 4. 376 1. 012 4. 460 0. 813 4. 429 0. 756 1. 261 **p<. 01 *p<. 05 表 8 .年代における栃木 SC に対する期待の比較(年代)
③ホームタウン活動の認知における比較 ホームタウン活動を認知している観戦者は、「J1への昇格」、「勝利・順位」、「諦めずに最 後まで戦う姿勢」、「勝敗に関係なく面白い試合」、「観客やファンの増加」、「観客やファン が楽しめる演出の工夫」、「地元選手の育成」、「スタジアムの改修」、「ホームタウン活動の 充実」、「地域から愛されるクラブづくり」を期待していることが明らかとなった。ホーム タウン活動を認知している観戦者は少ないものの、認知している観戦者は J1への昇格や勝 利や順位についても期待している一方で、地元選手の育成や地域に愛されるクラブづくり についても期待していることがうかがえる。これは、ホームタウン活動という地域貢献活 動を通じて、栃木 SC の経営理念をスタッフや選手が体現することで観戦者に影響をおよ ぼした可能性が考えられる。また、ホームタウン活動を認知している観戦者は、栃木 SC に対する思い入れも強いことから、栃木 SC に関する様々な情報を入手していることも考 えられる。そのため、にわかファンと呼ばれる、ファン歴が浅い観戦者に対して積極的に ホームタウン活動を認知させることで、栃木 SC の経営理念を少なからず観戦者に理解さ せることにつながるであろう。さらに、ホームタウン活動の充実についても期待している ことから、今後はホームタウン活動の内容についても、吟味していく必要があるだろう。 表 9 .ホームタウン活動の認知における栃木 SC に対する期待の比較 質問項目 はい(N=184) いいえ(N=259) M SD M SD t 値 栃木 SC への期待 J1への昇格 4.02 1.148 3.76 1.329 2.190* 勝利・順位 4.49 0.742 3.95 1.304 5.4207*** 諦めずに最後まで戦う姿勢 4.64 0.693 4.08 1.167 6.203*** 勝敗に関係なく面白い試合 4.38 0.884 3.97 1.173 4.091*** 観客やファンの増加 4.31 0.929 3.94 1.079 3.825*** 観客やファンが楽しめる演出の工夫 4.27 0.813 3.94 1.068 3.725*** 有名選手の獲得 3.75 0.989 3.84 1.188 -0.867 地元選手の育成 4.52 0.719 4.10 1.081 4.949*** スタジアムまでのアクセス改善 3.83 1.028 3.92 1.115 -0.836 スタジアムの改修 4.26 0.980 4.00 1.150 2.576** ホームタウン活動の充実 4.11 0.900 3.87 1.102 2.535* 地域から愛されるクラブづくり 4.58 0.762 4.19 1.055 4.441*** ***p<.001 **p<.01 *p<.05 ④ホームタウン活動への参加における比較 ホームタウン活動に参加している観戦者はわずか29名と非常に少ないものの、「J1への 昇格」、「勝利・順位」、「諦めずに戦う姿勢」、「勝敗に関係なく面白い試合」、「観客やファ
ンの増加」、「観客やファンが楽しめる演出の工夫」について、期待していることが明らか となった。参加している観戦者は、J1への昇格や勝利のみならず、最後まで諦めずに戦う 姿勢や内容の面白い試合を期待していることが明らかとされた。おそらく、ホームタウン 活動において、選手と触れ合い、選手との距離が縮まったことが影響していると思われる。 試合では見ることのできない選手の一面を知ることで、このような期待を抱いたと思われ るため、ホームタウン活動へ参加する観戦者を増やすことが求められているだろう。しか しながら、本研究ではどのような観戦者がこうした活動に参加しているかについて検討し ていない。おそらくは、クラブに対する愛着が強いと思われるため、今後は栃木 SC に対 する愛着なども検討することが課題であろう。 表10.ホームタウン活動への参加における栃木 SC に対する期待の比較 質問項目 ある(N=29) ない(N=417) M SD M SD t 値 栃木 SC への期待 J1への昇格 4.36 0.826 3.82 1.279 3.209** 勝利・順位 4.54 0.693 4.14 1.154 2.786** 諦めずに最後まで戦う姿勢 4.78 0.577 4.30 1.036 3.945*** 勝敗に関係なく面白い試合 4.54 0.838 4.12 1.089 1.974* 観客やファンの増加 4.54 0.637 4.06 1.045 3.646*** 観客やファンが楽しめる演出の工夫 4.43 0.69 4.05 0.991 1.993* 有名選手の獲得 4.07 0.766 3.78 1.123 1.867 地元選手の育成 4.50 0.694 4.26 0.980 1.268 スタジアムまでのアクセス改善 4.11 0.832 3.88 1.082 1.112 スタジアムの改修 4.18 0.863 4.10 1.101 0.349 ホームタウン活動の充実 4.29 0.763 3.94 1.039 1.720 地域から愛されるクラブづくり 4.61 0.737 4.34 0.970 1.408 ***p<.001 **p<.01 *p<.05
Ⅳ.結論
1 .まとめ原田(2008)によれば、チームに対する心理的な愛着の度合いが高まることは、スポーツ 観戦行動へ間接的に影響をおよぼすとされている。そのため、勝利をおさめることも重要 な課題であるものの、プロスポーツビジネスにおいて勝敗は不確実な要因であるため、 ホームタウン活動という地域貢献活動を積極的に実施することが効果的である。よって、 栃木 SC が目指す地域に愛されるクラブづくりを体現するためには、ホームタウン活動を 認知させることが喫緊の課題であろう。また、栃木県は 7 つのプロスポーツクラブが存在 するきわめて稀な地方都市であり、他のプロスポーツクラブと観戦者を差別化する意味で も、スタジアム周辺の地域を中心としたクラブマネジメントが求められているといえる。 また、本研究は経営理念がスタッフや選手に浸透していると思われる栃木 SC のクラブマ ネジメントの実態について検討したが、そうしたクラブマネジメントは勝敗に左右されな い新たなクラブづくりにつながるため、現在、経営理念を掲げていないプロスポーツクラ ブにおいても有益な知見となりうるであろう。 2 .研究の課題と限界 本研究の課題は、あくまでも栃木 SC という 1 つのプロサッカークラブを事例にしたに 過ぎず、他のクラブや他のスポーツに言及することができない点である。そのため、経営 理念を体現していると思われる複数のプロスポーツクラブを対象とした研究が必要であろ う。調査対象の選定にあたっては、経営理念を保有し、積極的に地域貢献活動を実施して いるクラブを対象とした小川(2019)の研究が参考になるだろう。また、経営理念がスタッ フや選手に浸透し、それを体現することで観戦者にも影響していると仮定したことも課題 である。調査方法の限界とも関連するが、本研究ではあくまでも観戦者が期待しているこ とを明らかにしたにすぎない。そのため、観戦者が期待していることをクラブ側が経営理 念として公表している可能性も考えられるため、クラブ関係者や観戦者を対象とした半構 造化インタビュー調査を実施し、因果関係について吟味する必要があろう。 【付記】 本研究は、栃木 SC の社長である橋本大輔氏の承諾を得て実施したものであり、 共同研究者および栃木 SC のスタッフと協力して実施した研究である。 注 1)数値目標としてはスポーツ目的の訪日外国人数を250万人とし、スポーツツーリズム関連消費額 を3800億円と設定している。こうした数値目標を達成するための具体的な施策として「スポー ツツーリズムの推進」、「地域スポーツコミッションの拡大」、「スポーツ×文化×観光の取組奨励」、 「スポーツによる地域の一体感の醸成」、「スポーツ関連組織の収益モデルの調査と普及」が掲げ られている(第 2 期スポーツ基本計画,2017)。 2)栃木県には、栃木サッカークラブ(サッカー)、宇都宮ブレックス(バスケットボール)、H.C. 栃
木日光アイスバックス(アイスホッケー)、宇都宮ブリッツェン(自転車)というプロスポーツ チームに加え、栃木ゴールデンブレーブス(野球)、那須ブラーゼン(自転車)、ル・ボーセモー タースポーツ(モータースポーツ)という 7 つのプロスポーツチームが存在する(2019年11月 現在)。 3)①新たなスポーツ文化の確立およびスポーツを活かした地域活性化に関すること、②スポーツを 支える人財の育成に関すること、③持続可能な事業・産業として発展させるスポーツマネジメ ントに関すること、④施設および人的資源の相互の交流および利用に関すること、⑤作新学院 大学が行う調査研究活動への 4 プロスポーツチームの協力および双方共同による調査研究の推 進に関すること、⑥その他本協定の趣旨に基づく事業の実施に関するという 6 つの包括的な連 携協力事項が掲げられている(プロスポーツ振興「栃木モデル」構築に関する研究会報告書, 2015) 4)研究会のメンバーは、栃木県経済同友会、4 つのプロスポーツクラブ(栃木サッカークラブ、宇 都宮ブレックス、H.C. 栃木日光アイスバックス、宇都宮ブリッツェン)、栃木市、宇都宮市、日 光市、佐野市、作新学院大学などという産学官の連携により構成されている(プロスポーツ振 興「栃木モデル」構築に関する研究会報告書,2015) 5)小川(2019)によると、プロスポーツクラブ(プロ野球、J リーグ、B リーグ)において経営理 念を公表しているクラブは、プロ野球(7 チーム)、J1(17チーム)、J2(19チーム)、B1(14チーム)、 B2(7 チーム)である。 6)経営理念の構成要素については、抽象的な理念を示した上位概念から(理念)から、具体的で実 践的な下位概念(方針)までの階層をなしているという見解が一般的である(松田,2002)。ま た、経営者が個人的に抱く信念は、経営信条や経営哲学として区別されている(北居,1999)。 7)質問紙を作成する際の質問項目については、毎年栃木 SC のスタッフと議論を重ね慎重に決定し ている。 8)地域と共にできることとしてホームタウン活動を実施している。具体的には、「夢プロジェクト (選手やコーチが学校訪問)」、「スマイルキャラバン(コーチが県内各地でサッカー教室を実 施)」、「トッキ―ダンス(栃木 SC のキャラクターとチアリーダーが県内の幼稚園や保育園でダ ンスレッスン)」、「アクティブシニアレッスン(選手やスタッフによる高齢者向けの簡単な運 動)」、「足尾緑化事業(子どもと緑化活動を行い、その後はサッカー教室を実施)」、「地域イベ ントへの参加(各自治体と連携した市町民デーの開催)」などがあげられる(栃木 SC,online)。 これらは、すべて地域貢献活動の一環として実施されているものである。 9)栃木 SC の経営理念に包含される活動や地域貢献活動に関する項目を議論の上、抽出することと した。また、栃木 SC のスタッフが観戦者とのコミュニケーションを重ねる中で、観戦者が期待 していると思われる項目も加えることとした。
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