平 成22年4月1日
肺癌術後再発後長期生存例の検討
市立甲府病院 呼吸器外科 宮澤正久
外科 花村 徹
呼吸器内科 佐藤亮太
赤池英憲 三井文彦 千須和寿直 巾 芳昭
山家理司 大木善之助 西川圭一 小澤克良
要 旨:肺 癌術後再発例の予後 は不 良で あるが再 発後長期生存す る症例 もみ られ る。肺癌術後 再 発後長期 生存例の臨床病 理学的 特徴 につ き検 討 した。原発 性肺癌切除 例308例 中74例 (24.0%)に 術後再発 を認 め、再発 後の5年 生存 率は11.8%で あった。74例 中再発後2年 以 上生存 した19例 を長期 生存 群 とし他 の55例(短 期 生存群)と 比較検 討 した。 長期生存群 に は女性 、腺 癌の比率が高 い傾 向 を認 めた。手 術時 病理病期、再発臓 器数 、胸 腔外臓 器転 移の 有 無 に関 し両群 に差 を認 めなか った。 無再 発期間に関 しては長期生存群 で長い傾向 を認 め、 長期 生存群 は短 期生存群 に比 し再発後治 療施行 症例 が有意 に多か った。 肺癌術後再 発症例 で も積 極的 な治療 によ り生存 の延長 が期待 できる可能 性が示唆 された。 キー ワー ド:肺 癌術後再 発、長 期生存 は じめに 原 発性 肺癌術後再発例 の予後は不 良 と 考 え られ るが、近倒 ま種々 の治療 法 によ り 再発 後 に長 期生存す る症例 も少 なか らず 経験 され る。 今回、肺癌術後再 発後長期 生 存 例につ き、その臨床病理学的 特徴 につい て検 討 した。 対象 と方法 1999年4月 ∼2007年12月 にお ける原 発 性 肺癌 切 除例308例 中、再発 をきた した74 例(24.0%)を 対象 とした。 再発後2年 以 上生存 した19例 を長期生存蝋 再発後2 年 以 内に死亡 あるいは2年 未 経過 の55例 を短 期 生存 群 と し2群 を臨床的 ・病理学 的 に比較 検討 した。 結 果 全 症 例308例 の 病 期 別 再 発 率 はIA:9。3%、 IB:27.5%、IIA:33.3%、IIB:48.0%、 IIIA:76.7%、IIIB・IV:50.0%で あ り、 組 織 型別 再 発 率 ば 腺癌:22.5%、 扁 平 上 皮 癌:24.1%で あ った 。 再 発 例74例 の 再 発 後 平 均 生存 期 間 は24.4ヵ 月(1-68ヵ 月)で 、 3年 生 存 率27.0%、5年 生存 率11.8%で あ っ た(図1)。 長 期 生 存 群 と短 期 生 存 群 の 比 較(表1)で は 、 年 齢 に 差 は な く、長 期 生 存 群 に 女性 、 腺 癌 の 害拾 が 高 い傾 向 がみ られ た。 病 理 病 期1期 の 占 め る割 合 は2群 と も同 等 で あ り、 無 再 発 期 間 は長 期 生存 群 で 有 意 差 は み られ な か っ た も の の 長 い 傾 向 を認 めた。 再 発 臓 器 数 や 胸 腔外 臓 器 転 移 の 有 無 につ い て は 両 群 同等 で あ っ た が 、 再 発 後 治 療 に 関 して は 長 期 生 存 群 で 有 意 に 多 く行 わ れ て い た。 長 期 生 存 群19例 の 再 発 後 平 均 生 存 期 間 は45.9ヵ 月(24-68ヵ 月)、 3年 生存 率67.4%、5年 生 存 率29,5%で あ っ た。 一25一山梨 肺 癌 研 究 会 会 誌23巻2010 100 80 S60 存 率lo 20 0 80 玲
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0 図 考 察 原発性肺 癌切除例 にお いて病理 病期1 期 で あって もその再発率 は20%近 くある とされ1)、術後 再発転 移例は少 な くな くそ の予後 は不 良 と考 え られ る。 しか し最 近で は再発後 も長 期 にわ た り生存す る症例 も 日常臨 床 において しば しば経験 され るよ うにな った。今 回、再発後2年 以上生存 し た症例 を長期 生存群 として、それ以外 の症 例(短 期生存 群)と 比較検討 した。長期 生 存群 には女性 ・腺 癌が多い傾 向 にあっ た。 組 織型 に関 し扁 平上皮癌は腺癌 よ りも術 後早期 に再発転 移 し予後不良 とす る報 告1) もみ られ、{甥IJに関 しては扁平上皮癌 が男 性 に多い こ ととも関連 し女性 に長期生存 例 が多い結果 であった と推察 された。手 術 時病理 病期 は両群 同等で再発後の予後 因 子 には なってお らず1期 症例で も再 発後の 予後は決 して良好 とは限 らない と考 え ら れた。無病期間が長 いほ ど再発後 も良好 な 予後が期待 され る と考 え られ るが、 今回の 検 討 で も有意 差はみ られ なかった もの の 、 長 期生存群 では無病期 間が長い傾 向を認 めた。両群間 の最 も大 きな相 違点 と して長 期 生存群で は有意差 を もって再 発後 治療 施 行症例が多か った。再 発後の治療 内容 に 関 しては、個 々の症例 に よ り様 々な治療が 施行 されてい るのが現状 であ るが 、2000年 以 降に現れた複数の新規抗 癌剤や 分子標 的 治療 薬 ⑳、脳転移 に対す る γナ イフ治療 駒 等の効 果が寄与 してい るところが大 き い と考え られ、治療の有無 が予後決 定因子 となってい るこ とが示唆 され た。 短 期生存 群 においては、無病期 間が短 く再発時 全身 状態 が不良であ りbestsupportivecare に とどめ ざるを得ない症例 も多 く含 まれ て いたが、肺 癌術後再発例 で も可能 な限 り 積極的 な治療を施行す る ことで長期 生存 が期待 でき ると考え られ た。 結語 肺癌 術後再発後長期生存例 につ き検 討 した。長期 生存群 には女性、腺 癌が多 い傾 向が あ り、再発後治療の有無 が予後 に関与 して いる と考え られた。 一26一平 成22年4月1日 表1長 期生存群 と短 期生存群