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Study on Mass Transport inside PEMFCs by Simultaneous Visualization of Oxygen-Partial-Pressure and Current-Density Distributions during Power Generation 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 鷹 和広 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲 第406号 学 位 授 与 年 月 日 平成29年3月23日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 グリーンエネルギー変換工学特別教育プログラム

学 位 論 文 題 目 Study on Mass Transport inside PEMFCs by Simultaneous Visualization of Oxygen-Partial-Pressure and Current-Density Distributions during Power Generation (発電中の酸素分圧と電流密度分布の同時可視化による PEMFC 内部の物質輸送研究) 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 犬飼 潤治 教 授 内田 誠 教 授 和田 智志 教 授 小宮山 政晴 客員准教授 妹尾 博 大邸慶北科学技術大学(韓国)教 授 Hasuck Kim

学位論文内容の要旨

1. 緒論 プロトン交換膜形燃料電池(PEMFC)の普及拡大のためには、さらなる高性 能化、高耐久化、低コスト化が求められている。PEMFC の性能と耐久性は、発 電中のセル内部、特に膜電極接合体(MEA)内部の反応分布に強く左右される。 空間的にも時間的に変動する反応分布を理解するためには、PEMFC 内部の電 流密度、酸素分圧、水分量、温度等物理/化学的なパラメータの空間・時間的 分布を3次元で理解することが必要である。そのため、様々なoperando 技術の 開発と利用が非常に重要となる。 本博士論文では、2種類の分割可視化PEMFC を新規に開発し、これらを用い て発電中の PEMFC 内の酸素分圧(p(O2))と電流密度、および液体水の分布を 同時にoperando 測定し可視化した結果について論述した。

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2. p(O2)と電流密度の同時可視化のための可視化システム開発 酸素センサーとして、400 nm 近傍の励起光を吸収し、650 nm 近傍の発光を示 す色素化合物を使用した。発光強度は本色素近傍の p(O2)により増減するため、 発光測定によりp(O2)が測定可能である。酸素透過性のポリマーをマトリックス とし、ガス拡散層(GDL)上に厚さ 2 µm となるように色素膜をスプレーコート した。 まず、9 分割の可視化セルを設計・作製した。カソードとアノードの集電極を ともに9 分割した。1 つの集電極と見なすためにすべての集電極の電位を外部負 荷によって一定に制御し、それぞれの集電極の電流値を測定可能とした。また、 励起光の導入と発光の検出のため、カソードエンドプレートには透明なアクリ ル樹脂を用いた。カソードエンドプレートとアノードセパレータは、それぞれ 一本サーペンタイン流路を有するものを用いた。本セルを暗室に設置し、407 nm の励起光をバンドパスフィルター(λmax = 390 nm)を通してカソードのセル上に 均一に照射した。MEA 上の酸素感応色素からの発光分布はハイパスフィルター (>600 nm)を通して CCD カメラ(500 x 500 pixels, 1 pixel = 約 120 x 120 µm) で撮影した。電圧と電流は、外部負荷によって制御された。 さらに、78 分割の可視化セルを作製した。基本コンセプトは 9 分割セルと同 じであるが、変更点として、(i): 高い耐熱性と透過率を有する透明シクロオレフ ィンポリマーがカソードプレートとして使用し、そのサイズを小さくした。(ii): カソード集電極の分割数を9 から 78 に増加させ、それらはリブに配置した。(iii): 差込式スリーブ配線を用いて、集電極はホール効果センサー(感度:1.33±0.04 mA mV-1、時間分解能:100 ms)に接続した。これらの変更により、より高温度で も安定した測定が可能となり、時間分解能は格段に向上し、さらに、配線のと りまとめも効率的になった。 3. 発電中の流路下とリブ下の p(O2)の可視化 まず、9 分割可視化システムを用いて、流路とリブ下の GDL 表面における p(O2) の可視化を行った。p(O2)は一見流路入口から出口に減少しているように見える が、GDL を通るクロスフローによって常に流路に沿って単調に減少しているわ けではない。また、流路下のp(O2)はリブ下より高くなった。流路に垂直のライ ンに沿って得られたp(O2)の局所的な最大値と最小値は、それぞれ流路とリブの 中央に存在した。最大値と最小値付近のp(O2)差は酸素利用率の増加と共に増加

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し、流路の入口から出口に沿って減少した。GDL の端付近では、ガスケットと GDL 間のわずかな隙間を通る伏流の影響も観察された。湿潤条件下において、 リブ下の低いガス拡散率はリブ下の低いp(O2)の原因である低い酸素濃度、高い 水蒸気分圧、そして液水の蓄積をもたらすと考えられる。 これらの結果から、9 分割可視化システムの性能と有効性が立証された。さら に、異なるUo2で流路とリブ下のGDL 表面における酸素分圧分布の可視化と定 量化に初めて成功した。 4. p(O2)、電流密度、液滴の同時可視化 9 分割可視化セルを用いて、40、80°C、53% RH における発電中の p(O2)、電 流密度、液滴の同時可視化を行った。80 °C では、高い飽和水蒸気圧のため、液 体水は観察されなかった。Uo2 = 20, 50%では、電流密度は比較的均一であるが、 一方で、Uo2 = 78%では、流路入口付近が出口付近より 10%高くなった。これは 触媒層において液体水が蓄積し、酸素還元反応速度がわずかに出口付近で低く なったためと考えられる。一方、40 °C において、液体水が流路出口付近ではっ きりと観察された。低いガス拡散のため、出口付近の電流密度は低く、それに 伴って、入口付近の電流密度は高くなった。UO2 = 80%では、セル温度の増加が 観察され、大量の液体水の生成にもかかわらず液体水の影響が緩和された。セ ル温度、電解質膜内の加湿度、触媒層のフラッディングのセル性能への影響が はっきりと可視化、定量化された。発電中のPEFC 内の p(O2)、電流密度、液滴 の同時可視化の組合せは、セル内部の反応分布による物質輸送を理解する上で 有用であることが示された。 5. 78 分割セル性能の評価 異なったUO2におけるp(O2)と電流密度の可視化によって、78 分割可視化シス テムの性能と有効性を確認した。80 °C、90% RH、Uo2 = 20, 75%における p(O2) と電流密度の分布を測定した。p(O2)は 9 分割可視化システムを用いて考察した ように、常に流路に沿って単調に減少しているわけではない。解析によって、 流路に沿った p(O2)と電流密度の関係がはっきりと観察された。低い Uo2では、 p(O2)は単調に流路に沿って減少し、電流密度はセル全体で均一である。その一 方で、高いUo2では、入口付近のp(O2)は急激に減少し、出口付近はわずかに減 少した。それに伴って、出口付近の触媒層における過剰な液体水の生成のため に、発電は大部分が入口付近で起こった。80 °C、90% RH において 78 分割可視 化システムを用いて、流路とリブ下のGDL 表面における酸素分圧と電流密度の

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分布はより正確に可視化、定量化された。これらの結果により、本システムの 有用性が証明された。 6. 総括 新規分割可視化システムが開発され、発電中の流路とリブ下のGDL 表面にお ける酸素分圧と電流密度、液滴の分布の可視化、定量化に成功した。 これらの可視化システムはPEMFC のセルや MEA 設計、新規材料と運転条件 の開発のために、工業的にも用いられることが期待される。また、数値シミュ レーションとの融合による実験結果の解析が期待される。

論文審査結果の要旨

公聴会において、鷹のはし和弘君は、まず第1章に記した研究の背景と目的 の説明を行った。さらに、本博士論文で行われた発電中の燃料電池内部の酸素 分圧・電流密度・液体水の同時可視化という世界で初めて可能となった技術に いたるまでの歴史的な背景と技術的な問題を解説した。 第2章の内容として、集電板を分割した新たな酸素分圧可視化装置の説明を 丁寧に行った。酸素分圧可視化を行うために、カソードエンドプレートは透明 な高分子によって作製された。集電板の電位は、外部回路により同一に設定さ れた。 上記のセル構造は、今まで行われていた流路下に存在するガス拡散表面上の 酸素分圧測定を可能にするだけでなく、リブ下のガス拡散表面上の酸素分圧も 測定可能とする。そこで第3 章では、本可視化セルを用いた流路化及びリブ下 の酸素分圧可視化結果について、発電条件を変えた場合の結果の説明を行った。 特に、流路のカーブ付近や膜電極接合体とガスケットの境界部分といった不連 続な部分において、興味深い結果が得られた。 第4章では、酸素分圧・電流密度・液体水の同時可視化を行うという、挑戦 的な研究に関する説明を行った。温度・相対湿度・セル電流密度を変えた時、 それぞれのパラメータが相互的に関与しながら変化していくダイナミックな様 子が明らかとされた。 第5章では、9分割であった集電板を78に分割した装置の構造とそれを用 いて得られた結果について説明を行った。電流検出にはホール素子を用いて時 間分解能をあげ、電流密度測定と酸素分圧測定が干渉しないようにするなどの

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技術的な工夫が説明された。さらに、電流密度を上昇していったときに、酸素 分圧と電流密度の分布がどのように変化していくかが丁寧に説明された。 第6章では、2章から4章までの結果をもとに、物質およびエネルギー輸送 についてのモデルが示された。 学位論文審査での質疑応答において、鷹のはし君は審査員からの質問内容を 的確に判断し、それぞれの審査員が納得する回答を与えた。一人の審査員から、 「本研究から考えられる有効な燃料電池の構造」についての質問があり、鷹の はし君は最終試験においてこれを提出することとした。 学位論文審査での結果に基づいて、最終試験が行われた。 本可視化装置は反応分布を示すが、それはセル形状のみならず材料の量の不 均一性や材料性能の不均一性も反映する。これをどう切り分けるか、という疑 問が呈された。鷹のはし君は、本装置の結果だけでは切り分けは不可能である ことをまず説明した。より均一な膜電極接合体を利用したり、逆に構造に勾配 を付けた膜電極接合体を用いたりすることが、データの解釈には必要であると 説明し、了解された。さらに、鷹のはし君は、本装置が詳細なセル情報をすべ て含んだ結果を可視化するものであり、欠点ではなく大きな利点と考えられる ことを主張した。 考えられる最終的なセル構造を提出するのではなく、本研究から明らかとな った様々な問題を個別に取り扱い、それぞれに対する回答を提示するほうが良 いのではないかという意見が複数の審査員から寄せられた。鷹のはし君はそれ を了承し、博士論文では、最終的な性能向上は考えられる構造の上手な組み合 わせにより達成できることを解説した。 ガス拡散を流体力学的な機構ごとに分け、それぞれの機構によるガス拡散性 の位置依存性などについて述べるべきであるとの意見が出た。それについても、 上記セル構造と同様、場合分けをし、博士論文に説明を加えた。 本可視化装置の今後の応用について、特に、重要である液体水生成のコント ロールについてあまり述べられていないのではないかとの指摘が出た。さらに 温度分布が計測できれば、今後の高電流密度を目指した燃料電池にも大きな寄 与があるのではないかと考えられるとのアドバイスを受けた。鷹のはし君は、 応用についても、博士論文に記述を加えた。 これらの一連のやり取りの後、審査員全員から鷹のはし君が博士として十分 な実績と能力を有することが確認され、合格と認められた。

参照

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