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陶材に関する論文の統計的観察

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(1)

陶材に関する論文の統計的観察

橋口緯徳 神津瑛 長野朱実

松本歯科大学陶材センター (主任 橋口緯徳教授)

A Statistical Survey of Papers on Porcelain

HIROYOSHI HASHIGUCHI AKIRA KOHZU and AKEMI NAGANO Pヒ)rcelain  Center,  Matsu〃zoto Dental College

Summary

    The authors conducted a survey of papers on porceIain and synthetic resins which appeared from 1915 to 1978 in 45 journals related to the subject. The journals surveyed were in the Matsumoto Dental College library. The results of the survey drew the fol・ 10wing conclusions:     1)In the 45 j ounals surveyed, the number of porcelain−related papers were found to have increased after the close of the war indicating a boom period. The year with the most number of papers related to porcelain was 1977, with 71 papers.     2)Seven joumals were randomly selected from the above 45 joumals and, of the 15,545papers appearing in the seven jounlals,3260r 2.1%were related to porselain and 3130r 2.0%were related to synthetic resins. Looking at fixed perjods・ of time, papers on both porcelain and synthetic resins were noted to increase gradually after the war from about 1950. The most number of papers published in both areas was in the year 1978. In that year・47 papers related to pol℃e】ain and 30 papers related to synthetic resins apPeared in the seven journals surveyed.     3)When the papers were class ified accoding to materials, papers on porcelain fused to meta1 jacket crowns and bridges were most numerous, followed by papers on porcelain jacket crowns, porcelain inlays and aluminous porcelain.     4)When the papers were separated into content of research, papers on methodology were most numerous, followed by papers on the physical aspectb、 Jlor tone,1evel of adaptability, design and fractures.

(2)

1.はじめに

 歯科大学附属病院に於ける各種補綴物の統計的 観察は,従来より種々1} ’−22)報告されている.こ れらの報告を見ると,各種補綴物の製作頻度が各 時代の経済,科学,学問の発展,歯科医学の進歩 発展,及び社会情勢の影響を反映して変動してい る事は明らかである.戦前,戦後,近年にかけて 歯科医学教育の驚異的普及により診療の内容が変 化して来ている.その一つとして陶材による製作 物が上げられる.私共は,松本歯科大学図書館に 保管されている歯科関係雑誌中の陶材に関する参 考論文を抽出,調査中,統計的に興味ある傾向を 見出したので,その概要を報告する. 2.資料及び調査方法  松本歯科大学図書館保管雑誌45種類(表1)の 大正4年から昭和53年に至る63年間の中から陶 材関係文献を抽出し,統計的に観察して見た.内 訳は①45種類の雑誌中で陶材論文が掲載されて いる雑誌数と,陶材論文数の年度別推移.②その 中から特に陶材学に関係が深い,パックナンパー の揃っている雑誌7種類(歯科学報,歯界展望, 日本補綴歯科学会雑誌,補綴臨床,日本歯科評論, 日本歯科材料器械学会雑誌歯科理工学雑誌)を 選び,陶材,合成樹脂の年度別論文総編数に対す る掲載雑誌数とその百分率を求め,論文の年度別 推移を求あた.③次に,陶材論文を材料別に分類 し総数との百分率を求めた.④又陶材論文を研究 内容別にも分類し論文数と百分率を求めた、 3.成 績  ①大正4年から昭和53年までの63年間に於け る調査雑誌45種類の調査雑誌数は延べ516種類 にのぼり,その内掲載されていた雑誌数は延べ 243冊で,陶材論文数は総数756編であった.調査 雑誌数の最も多い年は51年度の39種類で掲載雑 誌数の多い年は52年度の19種類である.陶材の 論文数の最も多い年は昭和52年度の71編,次い で53年度66編51年度64編であった.昭和の初

期では昭和5年度12編,昭和6年度9編昭和9

年度9編,昭和11年度15編と調査雑誌数の多い 割合に比し陶材論文の掲載が多かった.又いずれ も低い値を示したのは大正年代(大正4年∼大正 15年)で全く論文が掲載されなかった終戦直後 (昭和19年∼23年)に次ぐ低い値を示した(表 2).  ②昭和2年から昭和53年までの51年間にわた り,調査雑誌45種類の中に掲載された陶材関係論 文について,編数の年度的推移(図1)を棒グラ フで見ると,昭和2年から次第に編数は延び昭和 10年,11年で高い値を示し,次第に値は下がり昭 和18年∼24年で最低となり戦後昭和24年∼25 年から漸次上昇を示し,昭和28年∼29年15編, 昭和36年∼37年43編,昭和44年∼45年73編と ピークに達している.その後も論文数は周期的に カーブを描いて上昇し,昭和52年には最高論文数 で71編,次いで53年でも66編に達している.  ③大正4年から昭和53年までの63年間の歯科 雑誌7種類に掲載された論文の総数とその年に掲 載されている陶材関係,合成樹脂関係の論文数を 見た.その結果は(表3)大正4年の論文総数は 25編同年の陶材関係論文は1編.しかるに年が たつに従い掲載総編数は増し,陶材,合成樹脂関 係論文数も共に増加.昭和51年の一般論文総編数 は861編の多きに及び大正4年と比較し34.4倍 の掲載率を示した.陶材関係は27編,合成樹脂関 係は25編に達した.昭和53年では論文総編数 560に対し陶材関係47編,合成樹脂関係30編と 掲載最高数を示した.又,陶材関係論文数と合成 樹脂関係論文数の掲載百分率を見ると,7雑誌63 年間の総論文数は15,545編に対し陶材関係論文 総編数は326(2.1%),合成樹脂関係論文総編数 313(2.0%)である.両者とも戦後25年頃から漸 次上昇し,53年には最高百分率,陶材8.4%,合 成樹脂5.4%を示し次いで52年度陶材5.8%,合 成樹脂3.3%であった.  ④抽出歯科雑誌7種類から陶材,合成樹脂関係 論文を摘出した.大正4年から昭和53年の間を2 年毎に合計し編数の推移(図2)を棒グラ7で見 た.すると陶材関係論文は昭和4年から昭和7年

(昭和5年7編昭和6年6編)の間小さいピー

クが有るがその後低い値を示し24年から漸次上 昇を示し昭和36年∼37年(30編)昭和46年∼47 年(48編)と徐々に上昇し昭和52年∼53年に(84 編)ピークを向かえている事がわかる.合成樹脂 は昭和14年頃からぽつぽつ出はじめ戦後年を追 う毎にグラフの延び(昭和50年∼51年62編,昭

(3)

表1:調査雑誌名(45種類) 雑  誌  名

調査年度

雑  誌  名 調査年度 1

※歯 科 学 報

大正 4∼

24

日本歯科保存学雑誌

昭和45∼ 2

大日本歯科医学雑誌

昭智∼19

25

DE

45∼

3

臨 床 歯 科

5∼

26

新潟歯学会雑誌

46∼ 4 新 臨 床 医 報

9∼12

27

歯 科 医 学

46∼ 5

※日本歯科評論

24∼

28

城西歯科大学紀要

47∼ 6 歯    学

24∼

29

神 奈 川 歯 学 47∼ 7

※歯 界 展 望

25∼

30

DENTAL IMP LANr 48∼ 8

※日本歯科材料

@   器械学会雑誌

27∼

31

デンタルマガジン

48∼ 9

歯 界 月 報

28∼37

32

歯 科 技 工

48∼ 10

歯 科 時 報

28∼53

33

岐阜歯科学会雑誌

49∼ 11

日本歯科医師会雑誌

31∼

34

感 光 色 素

49∼ 12

北海道歯科医師会誌

31∼

35

東北大学歯学研究

49∼  113

1大阪大学醇雑誌

31∼

36

東北歯科大学学会誌

49∼

14

歯 界 広 報

33∼

37

松 本 歯 学

50∼ 15 ※日本補綴歯科学会雑誌

35∼

38

近代ロ腔科学研究会雑誌 50∼ 16

※歯科理工学雑誌

35∼

39

日本歯科医学会会報

50∼ 17

デンタル.ミラー

37∼

40

鶴 見 歯 学

50∼ 18

小児歯科学雑誌

38∼

41 一◆ Aンテイ スト 50∼ 19

広島歯科医学雑誌

38∼

42

デンタル.ダイヤモンド 51∼

120

愛知学院大学歯学雑誌

39∼

43

デンタルェコ_

51∼ 21

日 大 歯 学

39∼

44

日本小児科学会雑誌

51∼

122

※補 綴 臨 床

43∼

45

岩手医科大学歯学雑誌 52∼

23

広島大学歯学雑誌

44∼

※抽出歯科雑誌7種

(4)

 表2:陶材関係論文の年度別数(45種) 年度 陶 材_文数 掲 載G誌数 G誌数調 査 年度 陶 材_文数 掲 載G誌数 調 査G誌数 年度 陶 材_文数 掲 載G誌数 G誌数調 査 大正

@4

1 1 1 昭和

@12

6 2 4 昭和

@34

2 1 10 5 1 1 1 13 1 1 3 35  \ 7 12 6 0 0 1 14 1 1 3 36 19 6 13 7 1 1 1 15 1 1 2 37 8 12 8 0 0 1 16 1 1 3 38 9 6 13 9 0 0 1 17 3 2 3 39 9 16 10 2 1 1 18 1 1 2 40 20 8 13 11 1 1 1 19 41 7 11 12 1 1 1 20 42 19 6 15 13 1 1 1 21 43 13 6 14 14 2 1 1 22 44 35 11 19 15 0 0 1 23 45 38

u

20 昭和2 1 1 1 24 2 1 2 46 9

2

3 3 2 2 25  5 1 2 5 47 7 17 4 1 1 2 26 0 0 3 48 12 24 5 12 3 3 27 0 0 4 49 44 12 6 9 2 2 28 10 3 7 50 42 15 32 7 7 2 3 29 5 2 6 51 16 39 8 1 1 3 30 3 1 7 52 71 19 38 9 9 2 4 31 3 2 9 53 66 15 29 10 6 2) 3 32 5 3 8 11 15 2 4 33 4 3 9

総 数  756編

(5)

↑ 編 数 60 50 40 30 20 10

日召246810酩ZI416182D24

        as 30 sa M 36 ss co 42鮪46 4850 sa 53

年度→

  図1:陶材関係論文の年度別編数(45種)

(6)

  表3:抽出歯学雑誌7種の陶材・合成樹脂関係論文年度別表 年度 総編数 P

R

年度 総編数 P

R

年度 総編数 P

R

大正 @ 4 25 1(4) 0 脚   12 49 0 0 昭㌔4 173 0 0 5 93 1(1ユ) 0 13 48 0 0 35

474

3(06) 3(06) 6 88 0 0 14 49 0 0 36

412

8(19) 8(1.9) 7 76 1(L3) 0 15 54 o 2(3.?) 37 633 22@(35)

22

@ (35) 8 80 0 0 16 75 0 1(L3) 38

589

7(L2) 6(1ρ) 9 55 0 0 17 63 1(1.6) 0 39 642 20@(3ユ) 7(1.1) 10 65 2(3) 0 18 46 1(2.2) 0 40 647 12@(L9) 9(14) 11 72 1(14) 0 19 20 0 0 41

637

15

@(2.4) 8(13) 12 49 1(2.0) 0 20 42 608 ll@(IS) 11@(L{0 13 60 1(1.7) 0 21 43 774 10@(L3) 14@(18) 14 25 2(8) 0 22 44 720 18i25) 8(LD 15 75 0 0 23 45 726

23

@(3.2) 13 @(L8) 昭和   2 149 1(07) 0 24 65 1(15) 1(肪) 46 773 26@(3.4) 15 @(L9) 3 76 1(13) 0 25 191 6(3.1) (3.1) 47 505

22

@(4.4) 15 @ (3ρ) 4 53 0 0 26 136 0 4(29) 48 734

23

@(3.1)

28

@ (38) 5 80 7(88) 0 27 154 0 8(5.2) 49 812 11@(IA)

33

@ (4ユ) 6 87 6(6.9) 0 28 235 6(2.6) (1.7) 50 715 11 @(L5) 37 @ (52) 7 95 1(1ユ) 0 29 156 2(1.3) 1(06) 51

861

27@(3.1) 25 @(2.9) 8 58 0 0 30 254 3(L2) 12i4.7) 52 637 37 @(5.8) 21 @ (33) 9 74 0 0 31 287 3(1.の 0 53 560 47@(8.4) 30 @(5.4) 10 66 1(15) 0 32 290 5(L7) 3(1.0) 合 計 326 @ (2.1) 313 @ (2.0) 11 50 0 0 33 387 2(0.5) 9(23) 15,545 (註)

P=Porcelain略

R=Resin略

()=%

(7)

100 80 60 40 20 ↑ 論 文 数

〆 陶材関係

一  合成樹脂関係

大468101214昭2468101214eS 18

㍑;晶kl昌;、1㍑晶

24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48  50 52∼ 1∼ ∼ 1∼ ∼ ’ ∼∼ ∼ ∼∼ ∼∼ 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49  51 53

→年度

図2:抽出歯科雑誌7種類の陶材,合成樹脂に関する論文の年度別推移 和52年∼53年51編)は顕著になる.  ⑤雑誌に掲載されている論文の数に対する陶材 論文の百分率を折れ線グラフにして年度別推移を 見ると(図3)大正4年から戦前まで比率が高ま る.戦後も同じく漸次高率を示す(昭和53年陶材 論文8.4%,合成樹脂論文5.4%.昭和52年陶材 論文5.8%,合成樹脂論文3.3%).戦前では陶材 論文は昭和5年(8.8%),昭和6年(6.9%)が高 い.合成樹脂論文は殆ど低く戦後では陶材論文は 昭和28年(2.6%),昭和37年(3.5%)昭和45年 (3.2%)昭和46年(3A%)昭和47年(4.4%) と漸次上昇しており昭和53年で(8.4%)と最高 率を示している.合成樹脂では戦後間も無く昭和 25年(3.1%)昭和27年(5.2%)昭和30年(4. 7%)と高率を示すが以後低率が続き昭和48年頃 から漸次上昇を示し49年(4.1%)50年(5.2%) 53年(5.4%)で最高率を示した.  ⑥陶材関係論文を材料別で多い順に分類すると (図4)金属焼付陶材49.6%(131編)陶材ジャ ケットクラウン24.3%(64編)陶材インレー15. 5%(41編)アルミナス陶材10.6%(28編)の順 であった.  ⑦次に陶材論文を研究内蓉別で多い順に分類す ると(図5参照)製作(材料,方法論)30.8%(112 編),物理学的(力学的変形)24.5%(89編),色 調(審美性)15.1%(55編),適合性11.5%(42 編),形態並びに設計8.24%(30編),破折5.2% (19編),表面アナライザー2.7%(10編),化学 的1.6%(6編),摩耗(咬合)0.3%(1編)とな る.

(8)

橋ロ他:陶材に関する論文の統計的観察 一陶材 一一一一合成樹脂 ↑ 百 分 率 9 6 5    1ハ ’ ll   8 4    |lil

ハ1

】ll l I ‘ ’   ’  ‘ o @ ’  ‘ l     l ’     ‘ 8 @’ ‘ノ ●      ’ 1 1 ‘ ?P{8  ‘ ‘ ‘ ‘‘  1‘  I 撃堰I ‘      ’ 宴mノV 、 ’ 1  ‘ ‘’ ’   1 ‘1 ’  ‘ “ 1 ● 大4 6 8 10 12 @ド松関 昭松

C与榎

鱒ャ化   製    法    成    功 14昭2 4  6 @金 @輪 @出 @解 @禁 8 め 12 14 泌 鳩 k_」而 第2次 世界大戦 幻  22 @至 @化 @学 @工 @秦 @陶 @歯 @製 @造 @開 @始 24 26 2 30 識 況 36 38 40 42 44 46 48 50 52    図3:論文の総編数に対する陶材・合成樹脂論文数の百分率(雑誌 7種)  まず実線で示される陶材論文の百分率をみると,大正末期にピークがあるが,昭和初期 に激減し,昭和6年に再び最高となっている.しかし,次第に減じて終戦を迎え,戦後の 昭和28年より漸次上昇し,昭和53年で最高を示している.一方,波線で示される合成樹脂 論文の百分率では,昭和16年から論文が現われ始め,戦後,その数を増したが,昭和30年 以後やs減少し,昭和48年頃から再び上昇を始め,昭和53年が最高となっている.

(9)

アルミナス陶材  1e.6r.       ()=論文数 図4:陶材論文の材料別分類の比率(雑誌45種) 化学的1.6%(6) 摩耗(咬合) 03%(1) 適合性   lL5 Ye(42) 調(審美性)      物理学的(力学的変形) 1&1%       245%(89)  (55)       )=論文数 図5:陶材論文研究内容別分類の比率(雑誌45種) 4.総括並びに考察  大正4年から昭和53年までの63年間を通し, 松本歯科大学図書館に保管されている45種類の 雑誌を年度別に陶材論文数,掲載雑誌数,調査雑 誌数を各々調査し,その年度的推移及び,合成樹 脂論文との関係を比較し陶材論文に関してはその 材料別と研究内容別に分類し比率を求めたもので ある.陶材論文の年度的推移は戦前に於いて陶材 論文の掲載雑誌数は全体的に少ない.その中では 昭和5年から昭和12年の間の論文数が少し多く 昭和5年と昭和11年が多い.戦中は掲載雑誌数も 論文数も共に少ない.戦後は調査雑誌も陶材関係 の研究論文も他の論文に比して数を増している. 傾向を見るとある周期を示しながら上昇している 様に思われる.第1のピークは昭和28年で第2の ピークは昭和35年,36年,37年である陶材論文 数が急激に増えるのは,昭和35年の歯科時報に23) 海外レ・±:一トとして焼付陶材が初めて日本に紹介 されてからである.第3のピークは昭和41年であ る.この年に,初めて歯界展望に「アルミナの強 度を利用した陶材補綴法」24)が紹介され一時的に ブームを起こしている.年を追うに従って陶材の 論文が増えているのは陶材が強度,適合度,審美 性等非常に研究が進み優秀な物になった事,今ま で複雑かつ時間を要した作業の手順が徐々に簡便 化され,短縮されて来た事によると思われる.ア ルミナスの出現で強度が増し在来のポーセレンの 持つ欠点であるもろさがやや改善され,それに加 えて審美的に優れている特質が重視されて来た為 と考えられる.患者の口腔内に於いて周囲の他の 歯牙との調和という点で陶材が最も歯列の状態に 一番適合し,自然に見え審美的に優れその上,耐 久性に於いて最も自然歯に近いという利点を持っ ている.又生活歯に用い,歯髄の生活力と,歯牙 の健康とを保護する事が出来る利点が認められ, 合成樹脂に比し,最近又見なおされて来ている様 である.今世紀特に戦後,歯科医学の発展はすさ まじい物がある.特に臨床補綴の内容の変化は目 を見張る物がある.これは社会の環境の変化に相 応するとは言え学問的な研究の発展による物であ る.材料の進歩,器械,製作技術の研究が著しく 進歩した為である.咀噌,明晰な発音確保並びに 外観的な美しさ容貌をくずさずに保つ目的に適し た物であるとして陶材が見直された.天然歯に近 い状態にと努力が積み重ねられて来たのが結局戦 後の合成樹脂ブームから陶材へと変化した理由の 様である.そこで各歯科大学附属病院補綴診療内 容の統計を見ると東京医科歯科大学附属病院での 統計1)2)5) 6) 8} 11)では戦前昭和7年∼16年と戦後20 年∼23年,32年∼33年の3回の調査では補綴物 の中で継続歯(外被陶冠,デピス歯冠,レジン歯)

(10)

橋口他:陶材に関する論文の統計的観察 が多く昭和48年の統計では全体の補綴物に比し 前装冠24.66%(レジン前装冠11.52%,陶材焼付 鋳造冠10.73%,既性陶歯前装冠2.41%),ジャ ケット冠8.74%(レジンジャケヅト冠6.57%,陶 材ジャゲット冠2.17%)一部被覆歯冠6.91%の順 であり陶材使用が多くなっている.愛知歯科大学 補綴物統計を検討すると昭和39年∼昭和40年平 沼謙二他10)と昭和44年∼昭和45年岸弥栄子他12) では前装鋳造冠3.3%,陶材ジャケット冠5.8%, 陶材熔着鋳造冠5.0%であり最近の統計昭和47 年∼昭和48年加藤寿彦他13)n)では前装鋳造冠は 3.2%,陶材ジャヶヅト冠3.0%,陶材熔着鋳造冠 17.0%,レジンジャケット0.6%であった.加藤寿 彦他22)は昭和48年∼昭和51年の4年間の統計で 熔着鋳造冠は昭和44年の調査では98個5.0%, 昭和47年では382個と約4倍に増加17.0%を占 めさらに昭和48年では479個21.7%に増加,陶 材ジャケット冠の比率は昭和44年では5.8%,昭 和47年では3.0%である.この減少は支台装置に 陶材熔着鋳造冠の応用頻度が極めて多くなって来 て審美性の回復に加え鋳造冠の利点を備えた修復 物として近年種々の方向から研究が進み現時点で は比較的信頼度の高い補綴法として認められて来 たとしている.鶴見大学歯科学部補綴物統計昭和 47年∼49年の2年間小島秀夫他14)15)によると私 費では継続歯の減少傾向はさらに進み,陶材ジャ ケット冠が減少しそれを補う様に陶材焼付冠の製 作頻度がさらに増加し私費の支台装置中68%を 占め,金属冠中,陶材焼付冠は43%を示している. 東北大学歯学部附属病院補綴物統計16朋によると

昭和42年11月より同48年12月に至る6年2ケ

月間について外来患者の推移を見ている.陶材焼 付冠は昭和43年7.8%から昭和48年32.9%へと 順次増加の傾向を示している.それに反し陶材 ジャケット冠は昭和43年21.7%から昭和48年 3.0%へと減少しており,継続歯も同様な傾向が見 られる.この事は陶材論文数と比例しており年を 増す毎に金属焼付のケースが増えていることは, 興味深い、陶材論文の材料別に分類すると一番多 く掲載されているのは金属焼付陶材で次いで陶材 ジャケットクラウン,アルミナス陶材であった. この事は各歯科大学附属病院の製作物統計と一致 し興味深い. 5.結 論  大正4年より昭和53年までに松本歯科大学図 書館に保管されている雑誌45種類の陶材に関す る論文と合成樹脂に関する論文を抽出して調査し た結果次の様な結論を得た.  1)45種類雑誌の陶材に関する論文数は戦後年 を経るに従って増加しブーム的周期を示してい る.最高掲載編数では52年度の71編であった.  2)7種類抽出雑誌15,545編の内,掲載陶材関 係論文は326編で2.1%を示し合成樹脂関係論文 では313編で2.0%であり,両者ともある一定の 周期をもち戦後25年頃から漸次上昇し53年に最 高を示し年間陶材関係論文47編合成樹脂関係論 文30編であった.  3)陶材関係論文を材料別に分類すると最も多 い論文は金属焼付であり次いで陶材ジャケットク ラウン,陶材インレー,アルミナス陶材の順であっ た.  4)研究内容別に分けて見ると最も多い論文は 方法論で次いで物理学的,色調,適合性,設計, 破折関係の論文の順であった.

参考文献

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参照

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