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カレントコスト論の系譜 (経営学特集)

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カ レ ン

ト コ ス1・ 論 の 系 譜

清   水   哲   雄

1  序   企 業 会 計 の発 展 を段 階 別 に特 徴 付 け れ ば,第1段 階 は複 式 簿 記 とい う計 算 技       エラ 術 の発 生 に よって 会 計 の計 算 機 構 が 確 立 した 。第2段 階 は19世 紀 後 半 に 襲 った 信 用 パ ニ ッ クを 契 機 と して 企 業 の もつ 社会 的 意 義 と会 計 の基 準 ない し原 則 の 認 識 が な され,さ らに 監 査 の もつ 社会 的意 義 が 認 め られ て 静 態 的 会 計 理 論 が 確 立 され た 。 第3段 階 は第1次 大 戦 を契 機 とす る イ ン フ レに よ る統 一 的 尺度 た る貨 幣 価 値 の 急激 な下 落 が生 起 し,会 計 制 度 の 破 壊 に つ な が る一 大 転 機 とな っ た。 そ の こ とか ら会 計 学 の課 題 は 貨 幣 価 値 の 変 動 か ら会 計 を通 じて如 何 に企 業 を維 持 す るか に集 中 した 。 第4段 階 は1930年 代 の 動態 論 の確 立 と資 本 主 義 の高 度 化 に と もな う管 理 会 計 の ク ローズ ア ップで あ る。第5段 階 は 第2次 大 戦 後 の1950 年 代 後 半 の情 報 理 論 の 発 展 に と もな うEDPを 媒 介 とす る情 報 会 計 の生 成 で あ          う る とい え.よう。   この よ うな段 階 を経 て企 業 会 計 は 発 展 し今 日が あ るの で あ るが,カ レ ン トコ ス トベ ー シスに 関 して い えば,そ れ は 当初 債権 者 保護 の立 場 か ら,か の有 名 な 1673年 の フ ラ ン ス商 法 典 に 規 定 す る財 産評 価 に適 用 され,ま た1920年 代 に は ア 1)古 代 の 会 計 は 問 題 外 と し て 近 代 会 計 の 発 足 点 をLuca  Pacioloに お く とす れ ば,そ   れ は1494年 に 出 版 さ れ た 彼 のSumma  de  Arithmetica,  Geometria,  Proportioni  et   Proportionalita(算 術 ・幾 何 ・比 お よ び 比 例 総 覧)の 一 節 に あ る 簿 記 に 関 す る 記 述   に 計 算 機 構 の 確 立 を 見 る こ とが で き る 。A.  C. Littleton:Accounting  Evolution  To   1900,American  Institute  Publishing,1933,  p.3.片 野 一 郎 訳:『 リ トル トソ 会 計 発

達 史 』 同 文 舘   昭 和42年   3ペ ー ジ 。

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92 メ リカ に おい て 債 務 の 弁 済 能 力 を 測定 す る 目的 か ら適 用 され て きた 。 最近 で は 企 業 を取 り巻 く利 害 関 係 者 の 意 思 決定 に役 立つ 情 報 提 供 とい う観 点 か ら原 価 情 報 と ともに カ レン トコ ス ト情 報 が:重要 視 さ れ て い る。   費用 性 資 産 の 取 得 原 価 は これ 々 取 得 した時 点 に お い て は客 観 的 価 値 を 示 す け れ ど も,日 が 経 過 した 時 点 に おい て は そ の 時 点 の価 値 を示 す 市 場 価 格 す な わ ち カ レ ン トコス トの方 が正 しい 数 値 とな り,客 観 的真 実 を語 る数 値 を明 瞭 に 表 示 す る方 が多 くの人 の意 思 決 定 に 有用 で あ る。 た とえ ば取 得 原 価 主 義 に おい ては 分 配可 能利 益 の算 定 とい う 目的 か ら カ レ ン トコス トに よ る評 価 益 を計 上 し な い こ とに な ってい るが,会 計 情 報 とい う観 点 か らは む しろ この よ うな評 価 益 は保 有 利 得 と して 明示 した 方 が 有 用 で あ る。 また 原 価主 義 に よ る名 目資本 の 回収 計 箕 よ りも カ レン トコス トベ ー シ スに よ る実 質 資 本 の 回収 計算 の方 が企 業 の健 全       きう 性 の うえ か ら も有 意 義 で あ る。       の   カ レ ン トコス トが適 用 され る例 と し ては,さ らに イ ン フ レの よ うな急 激 な貨 幣 価 値 の 下 落時 に投 下資 本 を を修 正 す る手 段 と して 固 定 資 産 を カ レ ン トコス ト に よ って 評 価 替 えす る。理 論 的 に は一 般 物 価 水 準 に 見 合 う修 正 原 価 の 適用 が 考 え られ るけ れ ど も,棚 卸 資産 の場 合 に は イ ン フ レ的 様 相 を 呈 す る需給 の ア ンバ ラ ンス に 由 来 す る価 格 上 昇 もあ り得 る。 た と えぽ 商 品価 値5,000円 の もの が 期 末 に8,000円 とな り,次 期 に10,000円 で 売 れ た と き,次 期 に5,000円 の 売 買 益 を 計 上 す る よ りも当 期 に8,000円 に 商 品 価 値 を 引 上 げ る と と もに3,000円 の 評 価 益 を 計 上 し,次 期 に お い て2,000円 の売 買益 を計 上 す る方 が 収 益 の適 正 な 期 間 配       の 分 と な る。 これ は 伝 統 会 計 に お け る実 現主 義 に反 す る こ とに な る が発 生 主 義 的 発 想 に よ る収 益 の 把 握 方 法 で あ る。 した が っ て カ レ ン トコス トを直 接 勘 定 に, あ る い は財 務 諸 表 の本 文 に あ らわ さな くて も,少 な くと も,括 弧 を付 し,あ る い は脚 注 そ の他 何 等 か の補 助 手 段 に よ って カ レ ン トコス トを表 示 す る こ とが望 ま し い と考 え られ る。 3)新 井清 光:『 財 務 会計 論 』 中 央経 済 社 昭和50年  PP.67∼68. 4)  染 谷 恭 次 郎:『 現 代 財 務 会計 』 中 央 経 済社   昭 和44年  125ペ ー ジ。 5)中 村 謙:『 財 務 会 計論 要 説 』 税 務経 理 協 会   昭 和48年  PP.67-68,

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      カ レン トコス ト論 の系譜  93  つ ぎに 品質 低 下 や 陳 腐 化 に よ って 機 能 の低 下 した 資 産や 除却 資産 な どに 適 用 され る こ とが あ る。 これ らの資 産 の 場 合 は 売 却 時 価 あ るい は売 却 時 価 マ イ ナ ス 売 却 に必 要 な直 接 費 で測 定 され る。 これ は 資 産 の 清 算 を想 定 して い るか らで あ って 現 金 回 収 可 能 額 の 測定 にそ の 目的 が あ る。   さ らに カ レ ン トコス トとは直 接 関 係 は な い が,カ レ ン トコス トに準 ず る も の と して 実 価 が あ る。 これ は市 場 性 の ない 株 式 に つ い て 発 行 会社 の財 政 状 態 が 悪 く,ま た 回 復 の見 込 が な い場 合 や 子 会 社 へ の 投 資 価 値 を 測定 す るた めに1株 当 りの 実 価 す な わ ち カ レ ン トコス トを測 定 す る。   カ レン トコス トベ ー シス は市 場 価 格主 義 と も呼 ば れ,資 産価 値 の基 礎 を 当該 賓 産 の評 価 時 点 に お け る市 場 価 格 あ るいは 経 済 価 値 に 求 め る。 原価 主 義 が過 去 指 向 的 で あ るの に 対 して カ レ ン トコス トベ ー シ スは 現 在 あ るい は未 来指 向的 で あ る とい わ れ る。 原 価 主 義 が 当該 資産 を企 業 内に もた らす た め に要 した 価 額 を 基 礎 と し てい るた め に イ ン プ ッ トプ ライ ス系 統 とい わ れ るけ れ ど も,カ レ ン ト コス トの範 疇 に は い る取 替 原価 や再 調達 時 価 は 当該 資 産 を 企 業 内 に再 び もた ら す た め に要 す る価 額 を 基 礎 と して資 産 を測 定 す るか ら原 価 主 義 と同 じ よ うに イ ン プ ッ トプ ライ ス系 統 の測 定 基 準 で あ る。 この イ ン プ ッ トプ ライ ス 系統 の測 定 基 準 に よる資 産 に は そ の価 額 の 期 間 配 分す な わ ち費 用 配 分 の原 則 が 適用 され, 資産 につ い て の フ ロー計 算 が な され る。 これ に対 して売 却 時 価 主 義 や 割 引 現 価 主 義 は流 入資 産 で流 出資 産 を 測 定 す る ア ウ トプ ッ トプ ライ ス系 統 の 測定 基 準 で あ るか ら資産 に関 す る フ ロー計 算 は な されず ス トッ ク計 算 が な され る こ とに な の る 。 皿   カ レ ン ト:コス ト基 準  静態論では資産 は期末に売却価値 で測定 され る。 この母考は企業 活動 の継続 で は な く企 業 の 解 散 あ るい は企 業 が 保有 す る財 産 の清 算 を 前 提 とす る もの で あ る。 た とえば 棚 卸 資 産 に つ い て い え ば,売 却 時 価 に よる と きは 販 売 以 前 に 利 益 を 計上 す る こ とに な り伝 統 会 計 に お け る実 現 基 準 に反 す る こ とに な る。 6)新 井 清 光:前 掲 書   PP.66-67・

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  94   F.シ ュ ミッ トに よる主 張 は 貸 借 対 照 表 が 決 算 日に お け る財 産 め状 態 をあ ら       の わ す た め には 再 調 達 原 価 に よ るべ き と した。 これ は実 質 資 本 の維 持 の 観 点 で あ り,さ らに 損 益 計 算 と財 産 計 算 との首 尾 一 貫 性 を 保 つ た め に 再 調 達 原価 を と る こ とを 必 要 とす る。 しか して再 調達 原価 が 取 得 価 額 あ るい は 帳 簿 価 額 を超 過 す る と きは そ の 超 過 額 を 評 価益 とし て損 益 計 算 に は 算 入 せ ず 価 値 修 正勘 定 と して 処 理 す る。   ア メ リカ に お い て は1960年 代 に 入 って カ レ ン トコス トが 台 頭 し,ス プ ラ ウ ズ ・ム ー ニ ッツ の,資 産 の価 値 あ るい は 資産 と して の実 際 の存 在 価 値 が あ るか ど うか は 当該 資 産 が 企 業 に 提 供 す る こ との で き る将 来 の経 済 的 用 役 力 の 如 何 に よ るか ら,圏資 産 に 付 与 され る貨 幣価 額 は将 来 に向 か っ て の この よ うな 効 益 の 見       お 積 額 と結 び 付 け られ な け れ ば な らな い。 と し てい る と こ ろは,資 産 の価 値 測 定 に は カ レ ン トコス トを用 い るべ き こ との提 案 で あ る。 従 来 か ら用 い られ て い る 歴 史 的 原価 に よっ て資 産 を測 定 す る場 合 に は そ れ が 現 在 の 効用 あ るいは 将 来 の 効 益 の いず れ に も反 映 す る こ とは 稀 で あ るか ら棚 卸 資産 に つ い て の満 足 な評 価 基 準 に は ほ ど遠 い け れ ども尚 且 つ この方 法 が 一般 に と られ て い る の は歴 史 的 原 価 の 明瞭 性 お よび 検 証 性 で あ る。 しれ が って こ こで は有 用 性 よ りも 明瞭 性 や 検 証 性 を選 んで い る。   この よ うな 取 得 原価 に よ って棚 卸 資産 が 測 定 され て い る と き,そ れ が 売 却 さ れ る まで は 発生 して い る何 等 か の利 得 あ るい は 損 失 を 繰 り延 べ る こ とに な る。 この こ とは 過 去 的 価値 た る取 得 原 価 は現 在 あ るい は 将 来 と結 び 付 か な い とい う 欠 点 が あ る。 そ こで これ を打 開 す る もの と して 正 味 実 現 可 能 価 値 で棚 卸 資産 を 測定 す る方 法 は,そ の 測 定 が 客 観 的 に 決 定 し 得 る と きは 好 ま し い 方 法 で あ る が,販 売 価 格 を決 定 す るに して も販 売 費 や処 分 費用 は不 確定 な要 素 を含 み 充 分 7)  山 下 勝 治 訳:『 シ ュ ミ ッ ト有 機 観 対 照 表 学 説 』  同 文 舘   昭 和9年   PP.132∼136.   PP.265'一322。

8)  Robert  T. Sprouse  and  Maurice  Moonitz:ATentative  Set of Broad  Accounting   Principles  for  Business  Enterprises,  AICPA,1962,  p.23.佐 藤 孝 一 。新 井 清 光 共 訳:   『会 計 公 準 と会 計 原 則 』 中 央 経 済 社   昭 和37年   138ペ ー ジ 。

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      カ レン トコス ト論 の系譜   95 な検 証 が で きな い 。 そ こで 論 理 上 残 され た方 法 は現 在 の交 換 価 格 あ るい は 取 替       の 原 価 で あ る。 企 業 が 棚 卸 資 産 項 目の製 造 活 動 を行 っ て い る と き,取 替 原 価 は企 業 に とっ て棚 卸 資 産 に つ い て の 最 低経 済価 値 を示 す もの であ る。 取 替 原価 を利 用 す る メ リッ トは 物 価 の騰 落 時 に お い て 棚 卸 資産 を保 有 して いた が た め に生 じ た利 益 と売 上 総 利 益(=販 売 価 額 一 取 替 原価)と を 区別 す る こ とが 可 能 で あ る こ とで あ る。 この よ うな保 有 損 益 を 記 録 す るた め に は販 売 時 に製 品 の各 項 目を カ レ ン トコス トに修 正 し,ま た 会 計 期 末 に す べ て の 種 類 の未 売 却 棚 卸 資 産(製 品,仕 掛 品,原 材 料,消 耗 品)を 取 替 原 価 に 修 正 す る。 この よ うな方 法 を と る と製 品 勘 定 か ら売 上原 価 勘 定 へ の振 替 額 は 常 に 最 も新 しい価 額 とな り,保 有 す る棚 卸 資 産 も最新 の カ レ ン トコス トで示 され る こ とに な る。 そ して この手 続 は 製 品 勘 定 を 販 売 時 点 で は な く毎 月末 あ る いは3ヵ 月 毎 に定 期 的 に カ レン トコス トに 修 正 し直 して お くこ とに よ って殆 ん どの場 合 単 純 化 す る こ とが で き る。 こ の場 合 こ の修 正 値 を そ の 後 の1ヵ 月 あ るいは3ヵ 月間 用 い て 売 上 原 価 へ振 替 え る こ とにす る。 しか し こ うす る こ とに よ って棚 卸 資 産 の保 有 損 益 と販 売 損 益 と の 区別 が不 正 確 に な るが,こ れ は コス トが急 速 か つ大 幅に 変 動 しな い 限 り問 題 とは な らな い。 この保 有 損 益 は つ ぎの 理 由 に よ って掲 益 計 算 に 含 め られ,さ ら に 売 却 商 品 の損 益 とあ わせ て分 類 され な け れ ば な らな い。(1)価 格 変 動 が 生 じ,こ れ が 客観 的 に把 握 され,か つ 会 計 実 体 が は っ き りとそ の影 響 を受 け て い る こ とが 明 らか とな る。 さ らに カ レン トコス トは 正常 利潤 額 だ けそ の時 の売 価 を 下 回 るか ら究 極 的 な実 現 利 益 が合 理 的 に 保 証 され る。(2)  保 有 損 益 と販 売 活 動 に よ る損 益 とを 区 別 して 明 瞭表 示 す る こ とに な り,経 営成 績 を 分析 しま た 解 釈 す る場 合 に 有 意 義 で あ る。(3)未 実 現 要 素 の金 額 は 所 得 税 との 関 係 で有       ユの 意 義 で あ り,ま た 配 当 政 策 の 法 的 な 観 点か らも有 意 義 であ る。   資 産 の 評 価論 とし て の カ レ ン トコス ト論 には1957年 のAAAの 会 計 基 準 が 9)不 破 貞 春 ・清 水 晶 編:『 会 計 学 総 論 』 同 文 舘   昭 和48年   飯 野 利 夫 稿:「 第3章   棚 卸 資 産 」PP.83-86.

10)Robert  T. Sprouse  and  Maurice  Moonitz;op.  cit., pp.27一 一一30.佐 藤 孝 一 ・新 井   清 光 共 訳:前 掲 書PP.1144∼147.

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96 あ る 。 こ こ で は 資 産 を 用 役 潜 在 分service  potentialと 考 え,そ の 評 価 な い し 測       ユ  定 基 準 を 将 来 収 入 の 現 在 割 引 価 値 と し て い る 。 こ の 将 来 収 入 の 現 在 割 引 価 値 に よ る 測 定 の 資 産 は 貨 幣 資 産 に つ い て は 容 易 に 測 定 さ れ 得 るが,棚 卸 資 産 や 設 備 資 産 は 困 難 で あ る 。 し た が っ て そ れ ら に つ い て は 当 該 資 産 の 現 在 時 点 に お け る 取 替 原 価current  cost, current replacement  costを も っ て サ ー ビ ス ポ テ ン シ ャ          ル の 概 算 値 とみ る。 この よ うな取 替 原 価 で 測 定 され た 資 産 を 表 示 す る貸借 対 照 表 は つ ぎの よ うな項 目を情 報 として 提 供 す る こ とに な る。1)資 産構 成 と資 本 構 成 を 適切 に表 示 し,こ の よ うな 情 報 は財 政政 策 に 関す る企 業 の安 定 性 と健 全 性 の評 価 に有 益 であ る。2)経 営 者 が管 理 し,損 益 計算 に用 い る資 産 の 有 高 を 示 す の で資 本 利 益 率 計 算 に お い て通 常 利 益 の測 定 値 た る分 子 と と もに用 い られ         て い る資 産 の 測 定 値 た る分母 と して の有 効 な値 を提 供 す る。   取 替 原 価 に よ って 測定 され るサ ー ビス ポ テ ン シ ャル は これ を 損 益 計算 書 に 適 用 す る と きは操 業利 益 と保 有 利 益 の両 計 算 を し ょ うとす る6す な わ ち,損 益 計 算 上 費用 の測 定 基 準 とし て取 替 原 価 を 用 い るが,こ れ は単 に貨 幣 資本 概 念 に も とつ く利 益 を操 業 利 益 と保 有 利 益 に 区 分 して い るだ け で あ り,損 益 計 算 の性 格 は 伝 統 的 な もの と本 質 的 に は 異 な らな い 。 しか るにAAAの カ レ ン トコス ト 11)  こ れ は 当 該 資 産 か ら 得 られ る べ き 各 期 間 の 将 来 現 金 収 入 額 を 一 定 の 利 子 率 で 割 引 い   た 現 在 価 値 の 総 和 を 資 産 の 価 値 と す る 。 こ の よ うな 割 引 現 価 主 義 の 論 拠 は 資 産 の 概 念   を 経 済 的 効 益 の 点 か ら と ら え る と こ ろ に そ の 特 徴 が あ る 。 こ の 考 え 方 は 資 産 を 企 業 に   収 益 を も た らす 効 用 の 倉 庫 と み て,こ の 将 来 の 収 益 を 現 在 価 値 に 割 引 い た 額 を 当 該 資   産 の 評 価 額 と す る の が 合 理 的 で あ る とす る 。 し か し こ の 割 引 現 価 主 義 の デ メ リ ッ トは   (1)将 来 の 予 想 収 益 の 発 生 高   ②   そ の 利 子 率 あ る い は 割 引 率 の 決 定 に 主 観 的 要 素 が   強 く実 務 上 は 採 用 さ れ 難 い 。 ま た 理 論 的 に も企 業 の 大 部 分 の 資 産 は 有 機 的 に 一 体 と し   て 利 用 さ れ て 効 益 を あ げ る の で あ っ て 個 別 的 に 資 産 の 効 益 を は か り知 る こ と は で き な   い 。 新 井 清 光;前 掲 書PP.68∼69.

12)  AAA:``Accounting  for Land,  Buildings  and  Equipment"  Supplementary  State-  ment,  No.1.  The  Acccounting  Review,  July  1964,  PP.694∼695.  AAA:``A   Discussion  of  Various  Approaches  to  Inventory  Measurement",  Supplementary   Statement,  No.2.  The  Accounting  Review,  July,1964,  p.705.

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      カ レン トコス ト論 の系譜   97         論 の 主 張 はoperating  capacityの 維 持 と い う こ とが 強 調 され て い る。 この operating capacityの 維 持 に おけ る 利 益 概 念 は 実 体 資 本 概 念 を 前 提 と した も の で な けれ ば な らな い 。 実 体 資 本 概 念 とは 資本 を特 定 の具 体 資 本(資 産)に 固 定 す る こと であ る。 しか し今 日の よ うな経 済変 動 の激 しい時 には 企 業 は 時 代 に 見 合 った 最 も有 利 な 分 野 を 求 め て 資 本 を運 用 す るの で あ るか ら,回 収 した 資 本 を 収 益 をあ げ るた め に 費 消 した 資 本 に 再投 入す る とは限 らず 固定 的 な実 体 資 本 概 念 が 今 日妥 当 す るか ど うか は疑 問 で あ る。 他 方 貨 幣 資本 概 念 とは そ れ が 名 目資 本 概 念,購 買 力 資 本 概 念 を 問 わず,一 旦企 業 に 回収 され た 資 本 は 再 び 何 に で も 再 投 入 で き る と考 え る資 本 概 念 で あ り,こ れ が今 日の企 業 が と って い る資 本 概 念 で あ る。 そ こで 先 きのoperating  capacityの 維 持 に おけ る固 定 され て い た 資 本 は 一 旦 自由 選 択 性 の 資 金 とな って新 しい別 の製 品生 産 の た め に 投 下 され た と 理 解 しな け れ ば な らな い 。 この よ うに考 え る こ とに よって 実 体 賀 本 概 念 の 適 用        ラ が 部 分 的 に 一 旦 中 断 され て 貨 幣 資 本 概 念 が採 用 され る。   カ レン トコ ス トベ ー シス に対 して は従 来か ら多 くの批 判 お よ び反 批 判 が な さ        の れ て い る。 第1は カ レ ン トコス トを 把握 す る こ との 困難 性 で あ る。 … … 理 論 は す べ て実 行 可 能 性 を 無 視 して は な らな い が,会 計 に お いて は 実 務 との 関 係 か ら 特 に 重 要 で あ る。 カ レ ン トコス トに よ る測 定 は情 報 として の会 計 の 観 点 か ら重 要 で あ るか ら客 観 的 に 把 握 で き る もの は カ レ ン トコス トに よ り測 定 し,推 定 な い し見 積 りの で き る もの は それ らの方 法 に よっ て カ レン トコス トに 接 近 した 方 法 に よ る。 さ らに 最 近 は統 計 的 手 法 が発 達 し,わ が 国 の官 庁 や 民 間 企 業 の 研 究 所 が 物 価 に 関 す る統 計 資料 を定 期 的 に刊 行 し,カ レン トコ ス トは 比 較 的 把 握 し 易 い 態 勢 が 整 い つ つ あ る。 第2は ガ レ ン トコス トに よれ ば 未 実 現 利 益 が 計 上 さ れ 収 益 認 識 に お け る実 現基 準 に反 す る こ とに な る。 … … 未 実 現 利 益 の 問 題 は こ れ を 単 一 化す る こ とな く,保 有 利 得 と操 業 利 益 を 峻 別 す る こ とに よ って避 け ら れ,ま た そ の よ うに す る こ とに よ って 実 質 資 本 の 維 持 に 資 す る と ころが 大 き

14)  AAA:Supplementary  Statement,  No・1・P・697・

15)森 田 哲 弥:「 時 価 論 の 動 向 と 問 題 点 」 『会 計 』 第101巻 第2号 。pp.13一 一25. 16)不 破 貞 春 ・清 水 晶 編:前 掲 害   飯 野 利 夫 稿:「 第3章 棚 卸 資 産 」nn. s5一一一s6.

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  98 い。 実 現 基 準 の問 題 は収 益 を 販 売 の時 点 で 把 握 す る こ と と して い る。 しか し利 益 は販 売 の時 点 で と らえ る こ とな く,こ れ を発 生基 準 に よっ て と らえ る方 が合       17) 理 的 で あ る。 す なわ ち 利 益 は企 業 活 動 の 全 過 程 に 起 因す る。 さ らに1957年 の AAAの 会 計 基 準 に よっ て も実 現 基 準 に つ い て の 内 容 が発 生 基 準 に お き替 え ら れ た こ とに よ って カ レン トコ ス トベ ー シス に よ る合 理 性 が 高 め られ て い る。 第 3は 棚 卸 資 産 を 含 め て 費用 資 産 を支 出 に し て未 だ費 用 と な らない もの との 考 え 方 に 立 つ 限 り取 得 原価 基 準 を と らざ る を得 ない 。 しか し資 産 を サ ー ビス ポ テ ン シャ ル を もつ もの と考 え る とき,そ の時 点 に お け る カ レ ン トコス トに よ り測 定 す る とい う考 え方 も肯 定 され て くる。 これ らカ レン トコス ト基 準 に 対す る批 判 は,収 益 は実 現 基 準 に よ って 把 握 し棚 卸 資 産 を 含 め る資 産 一般 を,支 出 に して 未 だ 費用 と な ら ざ る もの と す る 費用 資 産 とみ る 立 場 か ら発 生 す る も の で あ っ て,こ こで見 方 を変 えて 実 現 基 準 に 代 えて発 生 基 準 を と り,さ らに 費用 資 産 に 代 え て サ ー ビス ポ テ ン シ ャル と考 え る こ とに よ って カ レ ン トコス トベ ー シ ス は 生 きて くる。 皿   力 レ ン トヴ ァ リ ュ ー 会 計   ヵ レン トヴ ァ リュ ー会 計 は イ ン フ レや デ フ レの時 に企 業 の価 値 や 利 益 を 測 定 す る重 要 な 問 題 に 直 接 取組 も う とす る もので あ る。 カ レン トヴ ァ リュ ー会 計 で は 貸 借 対 照 表 は歴 史 的 原価 で は な くカ レン トヴ ァ リ ューup-t(〉一date valuesで 資 産 と負 債 を 示 す 。 そ の 単 一 の標 準 は現 在 の価 値 であ り,利 益 は 棚 卸 資 産 や 固 定 資 産 の 費 消 され たout-of-dateな 歴 史 的 原 価 で は な く取 替 原 価 を 収 益 に課 す る こ とに よ って算 定 され る。 急 激 な イ ン フ レは多 くの 問 題 を 提 供 して い る。 た とえ ば イ ン フ レ利 益 た る架 空 利 益,蛸 配 当,資 本 不 足,真 の企 業 価 値 や収 益 性 の 問 題 で あ る。 この よ うな事 態 に はそ の説 明 や 解 決 策 の た め に 企 業 の言 葉 と し て の 会 計 に 目を 向 け な けれ ば な らな い。 資 産 は 実 際 の 支払 高 マ イ ナ ス減 価 償 却 高 を 基 盤 とす る とい う歴 史 的 原 価 会 計 は イ ン フ レに よ る価 格 上 昇 の影 響 を伝 統

17)Robert  T.  Sprouse  and  Maurice  Moonitz:op.  cit., p.14,佐 藤 孝 一 ・新 井 清 光 共   訳:前 掲 書127ペ ー ジ 。

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      カレン トコス ト論 の系譜  99 的 に 回避 し て きた 。 しか し イ ン フ レの 進 行 に つ れ て 会 計 の ゆ が み が益 々顕 著 に な り これ を無 視 す る こ とは で きな い 。 カ レ ソ トヴ ァ リュー会 計 は近 代 会 計 の コ ン ヴ ェ ンシ ョン の枠 組 の中 で の これ らの新 しい 問 題 解 決 の発 展 的過 程 に おけ る 1つ の論 理 的 段 階 と し て考 察 され な け れ ば な らな い 。   ど の よ うな 国 の どの よ うな企 業 で も経 営 者,投 資 家,従 業 員 に必 要 な 情 報 が 提 供 され る こ とは 重 要 で あ る。 投 資 決定 と同様 に 良 き経 営 には 正 確 な 首 尾 一 貫 した 適 切 な 情 報 を 必 要 とす る。 多 くの会 計 担 当者 や 分 析 者 は イ ン フ レや デ フ レ が 緩 漫 な 時 で も この よ うな 情 報 を提 供す るに は カ レ ン トヴ ァ リ ュー会 計 が 最 良        ど  で あ る と考 え て い る。 た とえば カナ ダ デ ュポ ンで は数 年 間 に わ た って 固 定 資 産 に つ い て の取 替原 価 を計 算 し,1950年 代 の後 半 と1960年 代 の 前 半 に 株主 に提 供 す る会社 の年 次報 告 に カ レ ン トコス トの デ ー タを 含 め た こ とが あ る。 そ して今 日で は取 替原 価 に よる数 値 は 内部 的 な投 資 計 算 に 関 す る回 転 率 や 保 険 目的そ の        の 他 の各 種 の分 析 に利 用 され てい る。 また1975年 の 夏 に は ア メ リカのSECは 資 産 の取 替 原 価 の測 定 と報 告 を 企 業 に 求 め る可 否 を 問 うて い る。 さ らに1976年 の 3月 に は ア メ リカ の製 造 業 の約1,000社 に対 して 璽 替原 価 に よ る測 定 と報 告 を 強 制 して い る。 イ ギ リスで は1975年9月 に イ ン フ レの 期 間 中 に は会 計 の新 し い 手 続 を研 究 し,取 替 原 価 に よ る会 計 を 実 施 す る こ とを勧 告 し,1975年11月 に は       ヨの 1977年 の初 頭 か ら これ の実 施 が イ ギ リス国 会 に よ って原 則 的 に認 め られ た 。   世 の中 は流 動 的 で あ り,個 々の 物 価 ば技 術 の進 歩 や原 材 料 の使 い方,消 費 者 の 需 要 の 変 化 に よ って 上 昇 した り下 降 した りす る。 した が っ て この物 価 が 速 く 変 化 す れ ば す る程,歴 史 的 原価 会計 に よ る意 思 決 定 のた め の情 報 提 供 能 力 は 小 さ くな る。 最 近特 に世 界 各 国 は重 大 な イ ンフ レを 経 験 し,こ れ に よ って 引 き起 され て い る物 価 変 動 は歴 史 的原 価 を基 礎 とす る財 務 諸 表 に 重 大 な 影 響 を 及 ぼ し

18)Warren  Chippindale  and  Philip  L.  Defliese:Current  Value  Accoz`nting,  A   Practical  Guide.for  Busine∬,  AMACOM,1977,  PP.1∼3.

19)  L.S.  Rosen:(フurrent  Value  Accounting  and  Price-Level  Restatement∫,  The   Canadian  Institute  of  Chartered  Accountants,1974,  p.95.

20)  William  J. Bruns,  Jr. and  Richard  F.  Vancil:APrimer  on  Replacement  Co∫ ∫   Accounting,  Thomas  Horton  and  Daughters,1976,  p一.

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 100 て い る。 た とえ ば 昔 購 入 した 設 備 財 は 財 務諸 表 で は低 く評 価under  valuedさ れ,ま た 棚 卸 資産 も長 期 に わた っ て保 持 され る と きは,そ の カ レ ソ トヴ ァ リュ ー よ りも低 く示 され る。 した が っ て これ らの資 産 の歴 史 的 原価 が 利 益 測定 の た め の 収 益 と対 応 させ る と き利 益 は物 価 変 動 と一 般 的 イ ン フ レの 両 方 の影 響 を 同 時 に 含 み,経 営 が遂 行 され た 真 の値 を示 さな くな る。 そ して さ らに 資産 を取 替 え る とな る と カ レン トコス トで購 入 す る こ とに な って 利 益 の 一 部 が そ の た め に 必 要 とな る。投 資 家 に と って も また 利 益 は 本 当 の 利 益 を 示 さな い か ら投 資 に 関            す る意 思 決定 に有 用 とは な らな い。  利 益 測 定 とサ イ クル の観 点 か ら原 価 会 計 と カ レン トコス ト会 計 とを対 比 して み よ う。歴 史 的原 価 会 計 で は商 品 の購 入 価 額 と売 却 価 額 の 差 を 利 益 とみ る。 サ イ クル は 現 金 で商 品 を購 入 す る時 点 で 始 ま り,商 品 が 売 却 され た と き受 取 債 権 が発 生 し,こ れ が換 金 され て こ のサ イ クル は 終 る。 した が って 利 益 は サ イ クル の 終 りの 現 金 の増 加 に よ っ て示 され る。 受取債 権 回収 歴史 的 原 価 会 言十     現  金   (ス タ ー ト) 仕 入

ヵ レ ン ト ヴ ァ リ ュ会 計

グ 金

\こ

.

仕   入 (ス タ ー ト)

  ヵ レ ン トヴ ァ リ ュ ー 会 計 で は 利 益 は 売 却 価 額 と 売 却 商 品 の 再 調 達 原 価the cost to restoreと の 差 と し て 測 定 され る。 こ の 場 合 は 仕 入 の 時 点 で サ イ ク ル が 始 ま る 。 そ し て 商 品 が 売 却 さ れ た と き 受 取 債 権 が 発 生 し,さ ら に 受 取 債 権 が 換 金 さ れ 再 び 商 品 が 購 入 さ れ る 。 し た が っ て,こ の 場 合 は 利 益 は 商 品 を 再 取 得 す る 原 価cost  to replaceが 回 復 さ れ て 始 め て 認 識 さ れ る 。 か く し て カ レ ソ ト ヴ

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      カ レン トコ ス ト論 の系 譜     101          ア リュ ー会 計 は 売却 商 品 の取 替 が継 続 して 必 要 と され る と こ ろに 認 識 され る。 これ を 財 務 諸 表 で示 そ う。   原 初 商 品 原 価        $100   売 却 商 品 価 額       ・150   商 品 の取 替 原 価       125 とす る と,歴 史 的 原 価 会 計 と カ レン トヴ ァ リュ ー会 計 の損 益 計 算 書 は つ ぎ の よ うに な る。       歴 史 的 原 価      カ レン トヴァリュー   売 上    $150  $150   原 初 売上 原 価        $100      $100   付加的取替原価        一       100       25      125     利 益      $50    $25   利 益 は つ ぎの よ うに説 明 され る。 す な わ ち,カ レン トヴ ァ リュ ー会 計 の下 で は 売 上 原価 は2つ の要 素 か らな る。1つ は 売 却 商 品 の歴 史 的 原価 の$100と 売 却 商 品 を取 替 え るに要 す る付 価 的 原 価 た る$25で あ る。歴 史 的 原価 会 計 で は この よ うな取 替 え に要 す る準 備 は い らな い 。 会 計 期 間 の 終 りに お け る貸 借 対 照 表 は つ ぎの とお りで あ る。 産 資 金 品 現 高     株 計 分   持 通 合 主     普   株 歴 史 的 原 価 $  25   125 $150 利 益 剰 余 金 再 評 価 引 当 金 合     計 $100   50 $150 カ レ ン ト ヴ ァ リ ュ ー $  25   125 __$159 $100   25   25 $150   この よ うに 継 続 企 業 に お い て は 歴 史 的 原価 会 計 で は利 益 は$50と 示 され て い る けれ ども配 当 金 と して は 現 金 の$25だ け で あ る。 もし所 得 税 を 含 め るな らば

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  102       おう さ らに 大 さ な影 響 が あ らわ れ る。   資 産 お よび 負 債 の 測 定 に 関 して カ レ ン トヴ ァ リュー会 計 に よ っ て提 案 され て い る方 法 は 大 別 して2つ あ る。1つ は 一般 物 価 水 準,取 替 原 価 の入 帳 価 値 シ ス テ ム と他 は 正 味 実 現 可 能 価値,売 却 価 格,期 待 価 値 に よ っ て示 され る よ うな カ レ ン トな 市 場 価 値 の 出 帳 価値 シス テ ム で あ る。   一 般 物 価 水 準 の方 法 の下 で は歴 史 的 原 価 は 物 価 水 準 の変 動 に 対 して 調 整 され る。 イ ン フ レ期 に は資 産 に対 して原 初 支 払 わ れ た 貨 幣 価 値 は 下 落 し,し た が っ て現 存 を示 す ドル量 は最 初 の ドル量 よ りも大 とな る(=物 価 の騰 貴 とな る)。 換 言 す れ ば カ レン トな ドルで 測 定 され る と き資 産 の価 値 は歴 史 的 原価 よ りも大 と な る。       カ レン トな市場価値       歴 史的   一般物    取  替   正味実現   売 却   期 待       原 価     価 水準    原 価     可能価値    価 格    価 値 [コ 入帳価値システム 出帳価値システム   取 替原 価 は イ ン フ レ期 には 歴 史 的 原 価 よ りも大 とな り,重 大 な技 術的 変 化 が な い と仮 定 すれ ば,価 格 水準 の 変 化 に 対 して 修 正 され た 歴 史 的原 価 よ りも高 い。 正 味 実 現 可 能 価 値 は 売 価 一推定 販 売 費用 を表 わす 。 経 営 者 は経 営 が 順 調 で あ れ ば す べ て の 費 用 を 償 い 利 益 を 付与 した売 価 を設 定 す る。 か くし て正 味 実 現 可 能 価 値 は 通 常歴 史 的 原 価,一 般 物 価水 準あ る い は取 替 原 価 よ りも高 い 。 売 価

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      カ レン トコス ト論の系譜    103 は販 売 費 を控 除 し な いか ら最 も高 い 値 とな る。 この 方法 は適 用 に限 度 が あ る。 期 待 価値 は他 の測 定 値 よ りも高 い か あ るい は 高 くな い場 合 もあ る。そ れ は 将 来         の キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー の 現 在 価 値 を 反 映 す る も の で あ る 。 IV  カ レ ン トヴ ァ リ ュー の尺 度 と して の取 替 原 価   取 替 原 価 は 企 業 の 非 貨 幣 資 産 に つ い て の み 適用 され る。 負債 は貨 幣量 の単 位 で表 わ され るか ら通 常 は 再 評 価 され な い 。 唯 一 の 例 外 は一 般 的市 場 利 子 率 とは 異 な った 利 子 率 を 用 い て い る長 期 的 負 債 で あ る。 これ は カ レン トな市 場 利 子 率 を基 礎 と した 割 引正 味 現 在 価 値adiscounted  net present valueで 表 示 され な け なば な らな い 。 取 替 原 価 を 用 い る と きそ の 測 定 価 値 は技 術 的水 準 を現 状 に し て 同等 の操 業 力,同 等 の 生 産 力 を もつ 新 しい資 産 を獲 得 す る カ レン トコ ス トで あ る。 た とえ ぽ 棚 卸 資 産 は そ れ を 取 替 え る カ レ ン トコス トで示 され る。 固 定 資 産 は 用 役 力 の 費 消 を 反 映 す る修 正 価 値(=取 替 原価)で 表 わ され る。 減 価 償 却 費 は 期 末 に お け る資 産 の カ レ ン トな 取 替原 価 が基 礎 とされ る。 取 替 原 価 を 用 い る と きは 利 益 は 企 業 に お い て 費 消 され た資 産 の取 替 原 価 が 償 わ れ て始 め て 稼 得 され る こ とは 前 節 で み た とお りで あ る。   取 替 原 価 会 計 に お い て 注 目す べ き 領 域 はrbacklo9」 減 価 償 却 す な わ ち減 価 償 却 差 異 で あ る。 も し も資 産 の 耐用 年 数 にわ た っ てそ の価 格 が 上 昇 し続 け るな ら ば,耐 用 年 数 が尽 き る年 に お け る取 替 原 価 に よ る累 積 減 価 償 却 額 は実 際 に 取 替 え るに 必 要 な価 額 よ りも少 な い で あ ろ う。 け だ し減 価 償 却 は 資 産 を 獲 得 す る将 来 の 資 産 の 価 格 を基 礎 とす る こ とな く,当 該 年 度 の カ レン トな 取 替 原 価 に よ る か らで あ る。 した が って 取替 原 価 会 計 では 固定 資 産 の耐用 年 数 が 尽 きた と きに 資 産 を 取 替 え る こ とは で き な:い。 た とえ ば 耐 用 年 数5年,取 得 価 格$100,000 取 替 原 価 が年 に$20,000増 加 す る とす れ ば,5年 後 に は 資 産 の 取 替 原 価 は$ 200,000と な る。 減 価 償 却 に つ い て の値 はつ ぎの表 の よ うにな る。

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104       5カ 年 にわ た るbacklog減 価償 却    単 位   $100       1    2     3      4     5 期 末 にお け る資 産 の取 替 原 価       .120    140    160    180    200 期首 におけ る累積取替償却 取 替 減 価 償 却r 期末 におけ る累積取替減価償却 期末 におけ る耐用年数 と取替原価 の両方を基礎 とした累積減価償却 償 却 差 異 24 24      52 28     .32 84    120 36      40 4 4 9 臼 2 ∩ ∠ ρ 0 ﹁ 0   D 84      120      160 96    144    200 (4)    (12)     (24)     (40) 表 が 示 す よ うに5年 後 の期 末 に は減 価 償 却 費 の累 計 額 は$160,000と な り同 期 に お け る資産 の 取 替 原 価 よ り$40,000少 な い 。 これ をbacklog減 減 償 却 とい う。backlogは 通 常 の減 価 償 却 費 に 取 替 原 価 を 基 礎 と した 減 価 償 却 費 を 加 え る こ とに よ って 求 め られ るが,当 該 期 間 の減 価 償 却 費 は もは や そ の期 間 にi費消 さ れ た もの を示 さな い 。 む しろ耐 用 年 数 が 尽 きた と きに 資 産 を 取 替 え るに 必 要 な 金 額 を 示 す こ とに な る。 した が って操 業 利 益 は 過 少 に 表 示 され る。  backlog減 価 償 却 の問 題 を 緩 和 す るた め に 進 め られ て きた 提 案 は つ ぎの よ う な もの で あ る。(1)企 業 が現 存 す る資 産 を 取 替 え よ うと しな い な らば,こ の よ うな 取 替 原 価 を 考 慮 す る必 要 は な い。 この よ うな環 境 の下 で は 取 替 原 価 に よ る評 価 も適用 され ず 正 味実 現 可 能 価 値 は割 引現 在 価 値 を 将 来 の ア ウ トプ ッ トに 適用 す る こ とに よ って 決定 され る。(2)充 分 な 資 金 が 固 定 資 産 を 取 得 す るの に 役 立 つ か ど うか を決 定 す るた め に,た だ 減 価 償 却 累 計 額 に 依 存 す る こ と よ り も取 替 資 産 の 購 入 価 格に 関 して現 金 の 予 測 が な され な けれ ば な らな い 。(3) 大 概 の 企 業 は 一 時 に 資 産 を取 替 え る よ りも毎 年 平 均 して 取 替 え るか ら,毎 年 の 減 価 償 却 は 期 末 に お け る新 固定 資産 の購 入 に 必 要 な近 似 値 を 示 す 。 さ らに 減 価 償 却 額 を 表 わ す現 金 が 価値 的 に増 加 す る資 産 に 対 して 内 部 的 に 投 資 され るな ら ば,こ の 償 却 高 は 増 加 す る取 替 原価 を基 礎 とす る 固定 資 産 の減 価 償 却 高 との 差 を 相 殺 す る こ とに な る。   取 替 原 価 に よ る会 計 処理 の方 法 は カ レソ トヴ ァ リュニ会 計 に おい て多 くの 人 々に よ っ て支 持 され て は い るが,な お批 判 も あ る。(1)主 観 性 … … カ レソ ト ヴ ァ リ ュー会 計 の 他 の 方 法 と同 じ く取 替 原 価 会 計 は評 価,相 場 内 外 の イ ン デ

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      カレン トコス ト論 の系譜   105 ックス 等主 観 的 な もの に依 存 しな け れ ば な らな い 。 した が って 評価 額 は実 際 の 取 引 に よ らな い もの を用 い る ことに な る。 しか しな が ら歴 史 的 原価 とて もた と え ば 固 定 資産 の耐 用 年 数 は評 価 で あ る。(2)  価 格 下落 … … もし も固定 資 産 や 棚 卸 資産 が 下 落 す る と きは 取 替 原 価 会 計 は歴 史 的 原価 会 計 に よる よ りも低 く減 価 償却 や売 上 原 価 が 表 示 され 収 益 に チ ャー ジ され る。 そ の結 果 報 告 され る操 業 利 益 は 過 大 に 表 示 され る。 この こ とは歴 史 的 原価 会計 が 正 しい 結 果 を 生 む もの と仮 定 した 場 合 で あ る。(3)一 般 物 価 の変 化 … …取 替 原 価 会 計 は 一 般 物 価 水 準 の変 化 に よ って 生 起 す る資産 価値 の変 化 を示 す も ので は な く,し た が って イ ン フ レ会 計 の 方 法 で は な い 。 け だ しイ ンフ レと い うのは 個 別 物 価 の変 化 とは 異 な る もの で あ るか らで あ る。(4)  内部 比 較 性 … …取 替 原 価 会 計 を用 い る こ と に よ って異 な った産 業 に お け る異 な った 企 業 間 の比 較 性 を 困 難 に す る。 け だ し 取 替 原価 を求 め る た め に種 々の 手 続 を 必 要 と し,さ らに企 業 は 価 格 の変 化 に よ っ て影 響 を受 け るか らであ る。 事 実 取 替 原 価 会 計 は企 業 に お い て 消費 され る資       25) 産 の価 格 変 化 が 企 業 に 及 ぼ す影 響 を デ ィス ク ロー ズ し ょ う と して い る。   利 益 や 資 本 計 算 に 取 替価 値 理 論 を用 い る の は一 般 的 で は な い が オ ラ ン ダで は す で に40年 以 上 に わ た って 行 われ て い る。 オ ラン ダで は 「健 全 な 経 営 実 践 」 が 経 済 学 や 会計 理 論 の基 本 と され てい る。 この こ とか らオ ラ ン ダの フ ィ リ ップス   ラ 社 が 考 え て い る取 替 価 値 会 計 を 行 う背 景 は つ ぎの とお りで あ る。(1)会 計 シ ス テ ム の 目的 は企 業 の各 部 門 の 経 営 者 に経 営 に 必 要 な情 報 を提 供 す る こ とで あ る。(2)企 業 の会 計 シ ス テ ムは ノル マ と標 準 の存 在 を意 味す る予 算 統 制 シ ス テ ム と一 致 す る よ うに 構 成 され る こ と。(3)会 計 シス テ ム は分 散 され,企 業 の各 部 門 は独 自の 財 務 諸表 を 作成 し得 る会 計 部 門 を持 つ こ と。(4)  「管 理 会 計 」 と と もに あ らゆ る レベ ル の責 任 あ る 経 営 者 が利 益 と 資 本 の 有 高 を 知 る こ と。 この 目的 の た め に 取替 価 値 が 用 い られ,あ らゆ る段 階 で 企 業 の各 部 門 の 会

25)Warren  Chippindale  and  Philip  L.  Defliese:ψ.  cit., PP.49一 一52. 26)  フ ィ リ ッ プ ス 社 の フ ル ネ ー ム は つ ぎ の と お り で あ る 。N.  V. 

Philips'Gloeilampen-  fabrieken,  a large  international  industrial  company  with  headquaters  in Eindhoven,   the  Netherlands.

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 106 計 シ ス テ ムを統 合 す る。   フ ィ リ ップス 社 で は 期 首 の 資本 が維 持 され な い限 り期 間 利 益 を 認 め な い 。換 言 す れ ば 期 末 に お け る資 本 の購 買 力 に等 し い ことが 確 立 され て い な け れ ば な ら な い 。 そ の上 に 立 って 取 替 価値 理 論 の適 用 を考 慮 す る。   固 定 資 産 に つ い て は 取 替 価 値 は 個 別 物価 水準 の動 きに も とづ き決 定 され る も ので あ り,一 般 物 価 水 準 に よ って で は な い。 そ れ ぞ れ の資 産 はバ ラバ ラに 価 格 が 変 動 す るか ら個 別 物 価 指 数 に よ って 規則 的 に再 評 価 す る。 た と えば 工 場 の建 物 は 同 じ タイ プの 建 物 の 指 数 を基 礎 とし て再 評 価 し,ま た 機 械 に つ い て も市 場 価 格 に よ る。 自家製 の 場 合 は 市場 の カ レン トコス トに よ る。 しか しあ ま り意 味 の な い 物 価 変 動 は 無 視 す るが重 大 な価 格変 動 は項 目毎 に 必 ず し も毎 年 で は な い が 定 期 的 に 再 評 価 す る。   会 計 シ ステ ムに お け る取替 原 価 の適 用 に 関 連 して 必 要 な 勘 定 は つ ぎの とお り で あ る。(1)取 替 原 価 に よ る固 定 資 産勘 定,(2)取 替 原 価 に よ る固定 資 産 の 減 価 償 却 費勘 定,(3)固 定 資 産 の再 評 価 益 の勘 定,(4)取 得 原 価 に よ る 固 定 資 産 の 減価 償却 費勘 定。 も し物 価 が上 昇 す れ ば 取 替 原 価 に よ る固 定 資 産 の 価 値 は 現 在 の 物 価 水 準 に 応 じて 増 加 し,し た が って そ の減 価 償 却 費 も増 加 す る。 物 価 が 上 昇 すれ ば前 年 に設 定 した 減 価 償 却 額 は 少 額 とな り,耐 用 年 数 の終 りに お け る物 価 水 準 で 固定 資 産 の完 全 な減 価 償 却 を 達 成 す るた め に は 減 価 償 却 費 の 金 額 を 増 加 しな けれ ば な らず,ま た取 替 え のた め の 充 分 な 資 金 を 確 保 す る た め に もそ の 金額 を 増 加 して おか な けれ ば な らない 。 した が って 過 去 の 減 価 償         却 費 の 再 評 価 は 損 益 勘定 に賦 課 され な けれ ば な らな い。   棚 卸 資 産 の価 格 は 指 数 に よっ て取 替 価 値 に修 正 され る。 そ の 指 数 計 算 を す る た め の シス テ ムは つ ぎの よ うで あ る。(1)  指 数 計 算 は 評 価 部 門 の仕 事 の 一 部 で あ る。(2)購 買部 門 は市 場 価 格 に よ る主 原 材 料 の購 入 価 額 を 記 録 し,定 期 的 に 価 格 変 動 を 評 価 部 門 へ報 告 す る。(3)そ の よ うな 状 況 の 下 に 評 価 部 門 は 最 新 の 価 格 記録 を持 つ 。(4)価 格 に おけ る現 在 情 報 を 必 要 とす る部 門 の た め

27)Richard  F.  Vancil  and  Roman  L.  Weil:ReplacemenオCostみCC伽ting,  Reading

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       カ レン トコス ト論 の系譜  107 に評 価 部 門 は購 入 す る主 材料 の 価 格表 を持 つ 。(5)  評 価 部 門 は 各 商 品 が グル ー プ分 け され て い る詳 細 な価 格表 を有 し,し か もそ れ ぞ れ の イ ン デ ックス ナ ン バ ーを も有 す る。(6)  イ ンデ ッ クス ナ ンバ ーは 賃 金 や 費用 の 価 格 水 準 を基 礎 と して 計 算 され て い る。 費用 に関 しては そ の 変 動 は 詳 細 に は 計 算 され な いが キ ャパ シテ ィコス トは重 要 な も の とされ てい る。(7)  自家製 品 の イ ンデ ッ クス ナ ンバ ーを 計算 す る た め に評 価 部 門は つ ぎの デ ー タを有 して い る。a)購 入 物 品 の標 準価 格 お よび イ ン デ ッ クス ナ ンバ ー。b)製 品 の標 準 価格 お よび イ ン デ ッ クス ナ ンバ ー。c)製 品単 位 当 りの 人 間 の労 働 と機 械 の時 間 の標 準 比 率 お よ び イ ン デ ッ クス ナ ンバ ー。(8)  自家 製 の場 合 は ま た イ ン デ ッ クス ナ ンバ ーは 個 々の もの に よ って 計 算 され るの で は な く,適 当に グル ー プに 分 け て い くつ か          お の標 準 を作 る。 V  取替原価 の評価   取 替 原価 は数 種 類 の 方 法 で 評 価 で き る。 同 一 資 産 が 当期 に 購 入 で き る な ら ば,取 替 資産 を購 入 す る コス トは 市 場 価 額 に よ って 評 価 され る。 も し 自家 製 の 棚 卸資 産 を取 替 え る ことで あ れ ば 当 期 の 原 材 料,労 務 費,そ の他 の製 造 費 を 考 慮 す る こと に よ って 評 価 され る。 しか しな が ら多 くの資 産 は取 替 原 価 を 評 価 す る指 数 に よ って 最 も容 易 に 取 替 原 価 を 評価 し得 る。 指 数 と は2時 点 に お け る 同 一 品 目の2つ の 価 額 の 率 で あ り,通 常一定年度 をベースとして数年間の価額 を 関 連 付 け る こ とで あ る。 そ して 多 くの 資 産 に つ い て 政 府 あ るい は 企業 に よ っ て 指 数 が 作 られ て い る。 た と えば1972年 を ベ ー ス と した コス トの イ ンデ ッ クス は, 年 1972 1973 1974 1975 1976 カ レ ン トコ ス ト   $250     295     345     400     475   コ ス トの 指 数 (250÷250)×100==100 (295÷250)×100=118 (345÷250)×1∞==138 (400÷250)×100=160 (475÷250)×100==190

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108 1975年 に800ド ル で 購 入 さ れ た 資 産 が1976年 に 売 却 され る と 仮 定 す れ ば,つ ぎ        う の計 算 式 の よ うに 取 替 原 価(=売 上 原 価)は950ド ル と な る。     歴史的原価 ×(1976年の指数÷1975年の指数)=取 替原価       $800×(190÷160)=$950 SECの 考 え で は 取 替 原価 の デ ー タ を 決 定 す る場 合 に は 適 切 な取 替 資 産 を 決 定 す る のに 資 産 の1つ1つ に つ い て 評価 を実 施 す る ので あ って,1974年12月31 日に お け る最 も新 しい 資 産 を想 定 して い る。 トー タル イ ン チ プ レーテ ッ ドな シ ス テ ム と して の 現 存 す る設 備 の再 編 成 を意 図す る も ので は ない 。 この ア プ ロー チ に よ って企 業 の 生 産 力 に 関す る経 済的 価 値 を現 実 の もの と して 測 定 す る取 替 原 価 デ ー タが 得 られ る。 つ ぎの 表 は 取 替 原価 情 報 の脚 注表 示 の例 で あ る。 この 取 替 原 価 情 報 は 経 営 者 に よ って 評価 され た もの で あ り,資 産 が 売 却 され る金 額 を 示 す もの で は な い 1976年12月31日     額 高 座 産 計 " 年 価 費     累 去 力     P 資 資 ㈱ 償 廊 原 惚 卸 定     瀟 未 碑 上 価 棚 固       19 売 減 歴史 的 原 価        取 替 原 価     単 位1∞ 万 ドル   $  92      $  97   187      272     63      86   $124        $186 $297   21 $316   26 棚 卸 資 産,建 物 お よび設 備 の取 替 原 価 は,企 業 が 棚 卸 資 産 を 購 入す るた め の カ タ ロ グや他 の価 格表 が評 価 をす る際 の約90%に 使 わ れ た 。残 りの10%に つ い て は この 種 の歴 史 的原 価 の指 数 を使 っ て評 価 され た 。 実 行 可 能 な 場 合 に は 固 定 資 産 の 取 替原 価 は 同等 の 能 力 を もつ 固定 資 産 の 市 場 価 格 に よ って 評 価 され,そ の 他 の 場 合 に は 同等 の生 産 力を 有 す る もの の 指 数 を 適 用 して 評 価 され た 。 こ こ 10年 以 内 に取 得 され た建 物 の取 得 原 価 は 指 数 を 適 用 し,比 較 的 古 い建 物 につ い て は 同 等 の床 面積 を得 るの に必 要 な 費用 が 用 い られ た 。

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      カ レン トコス ト論 の系譜   109  販 売 原価 や減 価 償 却 費 の取 替 原 価 はつ ぎの よ うに 評 価 され た 。前 者 は商 品 の 仕 入 原価 とそ の後 の売 上収 益 の発 生 と の間 の 約4ヵ 月 の タイ ム ラ グに対 して歴 史 的 原価 を 修 正 して評 価 され た 。1976年 で は 平 均 仕 入 原 価 は1ヵ 月 に1%の 割 で 増 加 した 。 後者 は1976年 を除 い て期 首 と期 末 の 固 定 資 産 の 平 均 取 替原 価 が減          価 償 却 費 計 算 の基 礎 価 額 とされ た 。 VI結 び   1975年8月 にSECは ドラ ス テ ィ ッ クな 提 案 を イ ン フ レ会 計 に 投 じた 。す な わ ち 貸 借 対 照 表 と損 益 計 算書 に影 響 を及 ぼ す デ ィス クロ ー ジ ャの 提 案 で あ る。 貸 借 対 照 表 に つ い て は 棚 卸 資産 と設 備 資産 は 貸 借 対 照 表 日の カ レ ン トな 取 替 原 価 を 掲 上 す る こ と。 また 損 益計 算書 につ い て は販 売 時 点 に おけ る売 上 原 価 の 取 替 原 価 お よび 減 価 償 却 に お い て は設 備 資産 の取 替 原 価 の年 平 均 値 を 基礎 に して       ヨ  計 算 す る。 このSECが 提 案 して い る財 務 諸 表 へ の掲 上 は そ の 脚 注 に 取 替 原 価 の デ ー タを 示 す もの で あ るが,英 国 の サ ン デ ィラン ズ委 員 会 で は 財 務 諸 表 そ の も の の 中に 組 み 込 ん で し ま う。 した が ってSECの 場 合 は 財 務 諸 表 の読 者 や 分 析 者 に 歴 史 的 原 価 で 書 か れ た 財 務 諸 表 を 調整 す る役 割 を果 た せ ば 足 りる と し,

1976年3月23日 発 行 のSECのAccounting  Series Release No.190でcurrent

replacement cost情 報 提供 の 目的 を つ ぎの よ うに い って い る。 「企 業 を オペ レ ー トす る カ レ ン トコス トを 理 解 す るの に 役 に 立 つ 情 報 を 投 資 家 に 提 供 す るた め,お よび 当期 の経 済 的 投 資 の測 定 と して 棚 卸 資 産 や 固定 資産 の カ レン トコス トを投 資 家 に決 定 せ しめ る情 報 を 提 供 す るた め で あ る。」 企 業 が棚 卸 資 産 や 設 備 を歴 史 的 原価 で1億 ドル以 上 所 有 し,そ れ らの 資 産 が 資 産全 体 の10%を 超 え る と きは 取 替原 価 の情 報 の 表 示 が 必 要 と され る。 取 替原 価 とは 同 等 の操 業 能 力,生 産 力 を もつ新 資産 を企 業 が 獲 得 す るた め に 支 払 わ れ な け れ ば な らな い最 低 の 金 額 で あ る。   要 求 され る取 替 原 価 の表 示 が財 務 諸 表 の脚 注 で あ れ,組 み 込 まれ た もの で あ

30)William  J. Bruns,  Jr. and  Richard  F.  Vancil:op.  cit., PP.12-13. 31)Richard  F.  Vancil  and  Roman  L.  Weil:OP.  cit., p.65.

(20)

  110 れ つ ぎ の4項 目の デ ー タを 含 む 。   1976年12月25日 以 降 の貸 借 対 照 表 の 資産 に は,   (1)  棚 卸 資 産 のcurrent  replacement cost。   (2)  固定 資 産 の カ レン トコス トお よび そ れ を 定 額 法 で 減 価 償 却 を実 施 した 場 合 の 減価 償 却 高。   1976年12月25日 お よびそ れ 以 降 の損 益 計 算 書 の コ ス トと費用 に は,   (3)  販 売 が 行 わ れ た 時 の 商 品 原 価 と役 務 の 原 価 に つ い て取 替原 価 を用 い て 計 算 した1976年 中 の販 売 原 価 。

  (4)  1976年 中の 固 定 資 産 の 平 均 したcurrent  replacement costを 基 礎iとし た 定 額 法 に よ る減 価 償 却 費 。   さ らに 脚 注 に は つ ぎの事 項 が記 載 され なけ れ ば な らな い 。   (1)current  replacement costを 決 定 す る のに 用 い られ た 方 法 の説 明 。   (2)生 産 力 を維 持 す る もの と想 定 した 場 合 の 労 務 費,修 繕 費 お よび維 持 費 に関 す る説 明。   (3)  経 営 者 が 気 付 き誤 解 を 避 け させ るに 必要 な情 報 。   取 替 原 価 会 計 の 情 報 を用 い作 業 を進 め る場 合 に 理 解 され なけ れ ば な らな い 事 項 は つ ぎ の3つ で あ る。  '(1)取 替 原価 は価 値 の1つ の タ イ プ であ り,タ イ ム リー な 評価 で あ る こと。   (2)取 替 原 価 の適 時 性 は歴 史 的 原 価 が 提 供 す る もの よ りもは るか に カ レ ン トな 情報 を提 供 す る こ と。   (3)取 替 原 価 は異 な った 人 が 同 一 資 産 あ るい は 費用 に対 して異 な っ た評 価 に達 す るか も知 れ ない 評 価 手 段 で あ る こ と。 した が ってそ の値 い は企 業 が 保 持 しな け れ ば な らな い 近 似 値 を示 す もの で あ っ て,そ の よ うな も のを 示 す 財 務 諸 表 か らは 企 業 の 「価 値 」 とか 「真 の利 益 」 を示 す もので は な121。

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