JAIST Repository
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Title
環境と経済の両立への一考察 : DEAによる生産性評価
を用いたポーター仮説の検証
Author(s)
坂内, 芽以子; 大内, 紀知
Citation
年次学術大会講演要旨集, 26: 226-229
Issue Date
2011-10-15
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/10107
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
2B10
環境と経済の両立への一考察
'($ による生産性評価を用いたポーター仮説の検証
○坂内 芽以子,大内 紀知(青山学院大学)
序 論 環境と経済成長を両立させる規制の重要性 近年、中国をはじめとする新興国による環境汚染が問題 となっている。しかし、今後の世界経済の発展において新 興国の成長は非常に重要となっており、経済成長を妨げる ことなく環境汚染を減らす必要がある。そのため、環境と 経済を両立するような規制が求められている。 ポーター仮説 一般的に、環境規制を厳しくすると規制対応のコストな ど に よ り 生 産 性 は 下 が る と 言 わ れ て い る 。 し か し 3RUWHUは「適切に設計された環境規制は、費用節減 や品質向上につながる技術革新を促進させ、企業の生産性 を向上させる」と述べている。これは“ポーター仮説”と 呼ばれ、その賛否を巡った議論が起こっている。 3RUWHUDQGYDQGHU/LQGHQでは、企業がコスト 削減やイノベーションの機械を見逃しているといった非 効率性の存在をポーター仮説の前提としている。環境規制 をかけることによって、そういった非効率性が改善され生 産性が向上するとしている。 3DOPHUHWDOでは、イノベーションを実行する ことで生産性を向上することができるならば、企業は規制 がなくてもその活動を選択したはずであるとし、ポーター 仮説に批判的な意見を示している。 実証研究においても、仮説の妥当性についての見解は 様々である。浜本では、日本の製造業において環境 規制が研究開発投資を増加させることを明らかにしてい る。一方、:DJQHUでは、ドイツ・イタリア・オラン ダ・イギリスの製紙会社を対象に分析を行い、526 と 52( は環境指標に負の相関があることを示した。 このように、ポーター仮説には支持・不支持の両方の研 究が存在する。 本研究の目的 ポーター仮説が成立するかどうかによって、国のとるべ き政策も変わってくる。ポーター仮説が成立せず、環境と 経済がトレードオフの関係である場合、環境保護のための 規制をかけることによって経済成長が阻害される。そのた め、環境規制に加えて強い経済政策が必要となってくる。 一方、ポーター仮説が成立する場合、強い経済政策は必要 ない。このように、ポーター仮説が成立するか否かによっ て、政策の在り方が異なってくる。そのため、どのような 場合に、ポーター仮説が成り立つのか、その条件を明らか にすることが求められる。 本研究ではポーター仮説が成立する条件を定量的に明 らかにすることを目的とする。ポーター仮説の展開については、植田他や島田で 述べられている。 分析のフレームワーク 仮説的見解と分析の概要 節で述べるように、)DUHHWDOによると、 生産性の変化は、効率性変化と技術変化に分解することが できる。ポーター仮説に関する議論では、環境規制が生産 性に与える影響については多くの分析がされているが、環 境規制が効率性変化と技術性変化のどちらに効果がある のかは十分に明らかにされていない。 )DUHHWDOでは、生産性の計測に当たり、もっと も優れたパフォーマンスを示す事業体を結んだフロンテ ィアからの距離で効率値を計測している。フロンティアか らの距離によって、従来の先端技術への改善余地が異なる ことを考えると、このフロンティアからの距離によって、 環境規制が効率性変化、技術変化に与える影響が異なるこ とが考えられる。 そこで本研究では、図 に示すようにフロンティアから の距離によって、環境規制が生産性変化、効率性変化、技 術変化に与える影響が異なるという仮説的見解のもと分 析を行う。 図 .分析の全体像. 分析手法 環境規制の強さの指標 環 境 規 制 の 強 さ を 表 す 指 標 と し て 、 (VW\ DQG 3RUWHU の (QYLURQPHQWDO 5HJXODWRU\ 5HJLPH ,QGH[(55, を 用 い る 。 こ れ は 、 7KH :RUOG (FRQRPLF Form’s Environmental Sustainability Index および 7KH*OREDO&RPSHWLWLYHQHVV5HSRUW の 年のデータ をもとに、各国の環境規制の強さを、基準の厳しさ・規制 の構造・政府の助成・情報の公開・規制の執行・環境機関 の6つのサブインデックスから測定したものである。(55, は各国の環境規制の強さを比較できる形で定量的に算出 しており、今回の分析に適していると考えられる。 効率性変化と技術変化の計測 フロンティアからの距離の測定、および生産性変化の分 解には、包絡分析法 '($ と 0DOPTXLVW 生産性指標を用いる。 刀根によると、包絡分析法 '($ とは生産における 環境規制 効率性変化 技術変化 フロンティアからの距離 × 生産性変化 =
2B10
環境と経済の両立への一考察
'($ による生産性評価を用いたポーター仮説の検証
○坂内 芽以子,大内 紀知(青山学院大学)
序 論 環境と経済成長を両立させる規制の重要性 近年、中国をはじめとする新興国による環境汚染が問題 となっている。しかし、今後の世界経済の発展において新 興国の成長は非常に重要となっており、経済成長を妨げる ことなく環境汚染を減らす必要がある。そのため、環境と 経済を両立するような規制が求められている。 ポーター仮説 一般的に、環境規制を厳しくすると規制対応のコストな ど に よ り 生 産 性 は 下 が る と 言 わ れ て い る 。 し か し 3RUWHUは「適切に設計された環境規制は、費用節減 や品質向上につながる技術革新を促進させ、企業の生産性 を向上させる」と述べている。これは“ポーター仮説”と 呼ばれ、その賛否を巡った議論が起こっている。 3RUWHUDQGYDQGHU/LQGHQでは、企業がコスト 削減やイノベーションの機械を見逃しているといった非 効率性の存在をポーター仮説の前提としている。環境規制 をかけることによって、そういった非効率性が改善され生 産性が向上するとしている。 3DOPHUHWDOでは、イノベーションを実行する ことで生産性を向上することができるならば、企業は規制 がなくてもその活動を選択したはずであるとし、ポーター 仮説に批判的な意見を示している。 実証研究においても、仮説の妥当性についての見解は 様々である。浜本では、日本の製造業において環境 規制が研究開発投資を増加させることを明らかにしてい る。一方、:DJQHUでは、ドイツ・イタリア・オラン ダ・イギリスの製紙会社を対象に分析を行い、526 と 52( は環境指標に負の相関があることを示した。 このように、ポーター仮説には支持・不支持の両方の研 究が存在する。 本研究の目的 ポーター仮説が成立するかどうかによって、国のとるべ き政策も変わってくる。ポーター仮説が成立せず、環境と 経済がトレードオフの関係である場合、環境保護のための 規制をかけることによって経済成長が阻害される。そのた め、環境規制に加えて強い経済政策が必要となってくる。 一方、ポーター仮説が成立する場合、強い経済政策は必要 ない。このように、ポーター仮説が成立するか否かによっ て、政策の在り方が異なってくる。そのため、どのような 場合に、ポーター仮説が成り立つのか、その条件を明らか にすることが求められる。 本研究ではポーター仮説が成立する条件を定量的に明 らかにすることを目的とする。ポーター仮説の展開については、植田他や島田で 述べられている。 分析のフレームワーク 仮説的見解と分析の概要 節で述べるように、)DUHHWDOによると、 生産性の変化は、効率性変化と技術変化に分解することが できる。ポーター仮説に関する議論では、環境規制が生産 性に与える影響については多くの分析がされているが、環 境規制が効率性変化と技術性変化のどちらに効果がある のかは十分に明らかにされていない。 )DUHHWDOでは、生産性の計測に当たり、もっと も優れたパフォーマンスを示す事業体を結んだフロンテ ィアからの距離で効率値を計測している。フロンティアか らの距離によって、従来の先端技術への改善余地が異なる ことを考えると、このフロンティアからの距離によって、 環境規制が効率性変化、技術変化に与える影響が異なるこ とが考えられる。 そこで本研究では、図 に示すようにフロンティアから の距離によって、環境規制が生産性変化、効率性変化、技 術変化に与える影響が異なるという仮説的見解のもと分 析を行う。 図 .分析の全体像. 分析手法 環境規制の強さの指標 環 境 規 制 の 強 さ を 表 す 指 標 と し て 、 (VW\ DQG 3RUWHU の (QYLURQPHQWDO 5HJXODWRU\ 5HJLPH ,QGH[(55, を 用 い る 。 こ れ は 、 7KH :RUOG (FRQRPLF Form’s Environmental Sustainability Index および 7KH*OREDO&RPSHWLWLYHQHVV5HSRUW の 年のデータ をもとに、各国の環境規制の強さを、基準の厳しさ・規制 の構造・政府の助成・情報の公開・規制の執行・環境機関 の6つのサブインデックスから測定したものである。(55, は各国の環境規制の強さを比較できる形で定量的に算出 しており、今回の分析に適していると考えられる。 効率性変化と技術変化の計測 フロンティアからの距離の測定、および生産性変化の分 解には、包絡分析法 '($ と 0DOPTXLVW 生産性指標を用いる。 刀根によると、包絡分析法 '($ とは生産における 環境規制 効率性変化 技術変化 フロンティアからの距離 × 生産性変化 = 効 率 性 の 分 析 手 法 で あ り 、 分 析 対 象 と な る 事 業 体 ('HFLVLRQ0DNLQJ8QLW'08)の効率値を出力/入力で 定義した比率尺度で表すものである。もっとも優れたパフ ォーマンスを示す '08 を直線で結んだ“フロンティア”を 基準とし、フロンティアからの距離で効率値を測定する。 '($ 値が1の時にその '08 はフロンティアを形成しており 最も効率性が高く、'($ 値が低いほど効率性も低くなる。 回帰分析法が平均像に基づく分析法であるのに対し、'($ は優れたものをベースにした効率性の評価法である。 '($ では複数の入出力を '08 ごとの可変ウエイトで1つ の仮想出力・仮想入力に換算して評価を行う。ウエイトは 各 '08 にとって最も好都合となるように決めてよいが、同 じウエイトを用いて他の '08 の計算を行い、相対的に評価 する。 n個の '08 がそれぞれm個の入力要素を持つ入力ベク トル𝑋𝑋𝑖𝑖(𝑖𝑖 𝑖 𝑖𝑖𝑖𝑖 … 𝑖m)と V 個の出力要素を持つ出力ベクト ル𝑌𝑌𝑟𝑟(𝑟𝑟 𝑖 𝑖𝑖𝑖𝑖 … 𝑖 𝑛𝑛)で特徴づけられているとする。このとき、 k番目の '08 の効率性θを測定する '($ モデルは、以下の ように定義される。 目的関数 Max θ 𝑖 ∑𝑠𝑠 𝑢𝑢𝑟𝑟𝑦𝑦𝑟𝑟𝑟𝑟 𝑟𝑟𝑟𝑟 ⁄∑𝑚𝑚𝑖𝑖𝑟𝑟𝑣𝑣𝑖𝑖𝑥𝑥𝑖𝑖𝑟𝑟 制約式 ∑𝑠𝑠 𝑢𝑢𝑟𝑟𝑦𝑦𝑟𝑟𝑟𝑟 𝑟𝑟𝑟𝑟 ⁄∑𝑚𝑚𝑖𝑖𝑟𝑟𝑣𝑣𝑖𝑖𝑥𝑥𝑖𝑖𝑟𝑟≥ 𝑖 𝑢𝑢𝑟𝑟≥ 0 ; 𝑣𝑣𝑖𝑖≥ 0 基本モデルとして、規模の経済に関して収穫一定&56 を仮定する &&5&KDUQHV&RRHU5KRGHVモデルと、規模の 経 済 に 対 し て 収 穫 可 変 956 と す る %&&%DQNHU &KDUQHV&RRHUモデルがある。 )DUHHWDOによると、0DOPTXLVW 生産性指標は2 期間における '08 の効率性の変化を表すものである。生産 性の変化7)3FKを効率性変化((IILFLHQF\FKDQJHHIIFK) と技術変化(WHFKQLFDOFKDQJHWHFKFK)の積で表す。 効率性変化はフロンティアからの距離の変化を示して おり、𝐷𝐷𝑂𝑂𝑎𝑎(𝑥𝑥𝑏𝑏𝑖 𝑦𝑦𝑏𝑏)を D 期のフロンティアを基準にした E 期 の '($ 値とすると式のように表される。 effch 𝑖DOt+1(xt+1𝑖yt+1) DOt(xt𝑖yt) ሺ͵ሻ HIIFK! ならば、相対的に効率的になっているといえる。 一方、技術変化はフロンティアのシフトを示しており、 式のように表される。 techch 𝑖 [(DOt(xt+1𝑖yt+1) DOt+1(xt+1𝑖yt+1)) ( DOt(xt𝑖yt) DOt+1(xt𝑖yt))] 𝑟/2 ሺͶሻ WHFKFK! ならば、フロンティアが上方にシフトしてい るといえる。 また、7)3 の変化は効率性変化と技術変化の積で表され る。 7)3FK HIIFK×WHFKFK よって式と式から以下の式のように表 される 𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇 𝑖 [𝑇𝐷𝐷𝑂𝑂𝑡𝑡(𝑥𝑥𝑡𝑡+1𝑖𝑦𝑦𝑡𝑡+1) 𝐷𝐷𝑂𝑂𝑡𝑡(𝑥𝑥𝑡𝑡𝑖𝑦𝑦𝑡𝑡) ) ( 𝐷𝐷𝑂𝑂𝑡𝑡+1(𝑥𝑥𝑡𝑡+1𝑖𝑦𝑦𝑡𝑡+1) 𝐷𝐷𝑂𝑂𝑡𝑡+1(𝑥𝑥𝑡𝑡𝑖𝑦𝑦𝑡𝑡) )] 𝑟/2 7)3FK! であれば、生産性が上昇しているといえる。 本研究で用いるデータは $QGHUVに倣い、インプ ットデータとして資本ストックおよび労働者数、アウトプ ットデータとして購買力平価3XUFKDVLQJ3RZHU3DULW\ 333ベースの *'3 を用いる。 環境規制と経済成長の相関分析 環境規制の強さを表す指標である (55, と経済成長に関 する指標である 7)3 変化、効率性変化、技術変化について 相関分析を行う。相関分析には、7)3 変化、効率性変化、 技術変化についてそれぞれ 年から 年までの幾何 平均を用いる。 フロンティアからの距離による違いを調べるため、 年の '($956の高い国からグループを3つに分け、グル ープ毎に相関分析を行う。 分析対象 分析期間は 年から 年とし、データの入手可能 な ヶ国を対象として分析を行った。分析対象としたの は以下の ヶ国である。
$UJHQWLQD $XVWUDOLD $XVWULD %HOJLXP %ROLYLD %UD]LO %XOJDULD &DQDGD &KLOH &KLQD &RORPELD &RVWD 5LFD 'HQPDUN 'RPLQLFDQ 5HSXEOLF (FXDGRU (J\SW(O6DOYDGRU)LQODQG)UDQFH*HUPDQ\*UHHFH +RQGXUDV +XQJDU\ ,FHODQG ,QGRQHVLD ,UHODQG ,VUDHO ,WDO\ -DPDLFD -DSDQ .RUHD 0DOD\VLD 0DXULWLXV0H[LFR1HWKHUODQGV1HZ=HDODQG1RUZD\ 3DQDPD 3DUDJXD\ 3KLOLSSLQHV 3RODQG 3RUWXJDO 5RPDQLD6LQJDSRUH6RXWK$IULFD6SDLQ6UL/DQND 6ZHGHQ6ZLW]HUODQG7KDLODQG8QLWHG.LQJGRP8QLWHG 6WDWHV8UXJXD\9HQH]XHOD9LHWQDP データ 資本ストック 3HQQ:RUOG7DEOH3:7より投資額のデータを用い た。/VDNVVRQに倣い、投資額のデータのストック 化を次式により行った。 𝐾𝐾𝑡𝑡𝑡𝑟𝑖 (𝑖 − 𝛿𝛿)𝐾𝐾𝑡𝑡+ I𝑡𝑡 I𝑡𝑡は W 期における投資額、𝐾𝐾𝑡𝑡は W 期の終わりにおける資本 ストック、δは減価率である。δ として計算を行っ た。 また、W 期における資本ストックは式で表される。 𝐾𝐾𝑡𝑡𝑖 (𝑖 − 𝛿𝛿)𝑡𝑡𝐾𝐾0+ ∑ (𝑖 − 𝛿𝛿)𝑡𝑡𝑖𝑖𝑟𝑟 𝑡𝑡𝑡𝑖𝑖I𝑖𝑖 𝐾𝐾0は資本ストックの初期値を表しており、初期の 年間 の投資額の合計で推定する。 労働者数 労働者数は ,QWHUQDWLRQDO/DERXU2IILFH のデータベー スである /$%2567 より、出典が /DERXUIRUFHVXUYH\ であ るデータを中心に利用した。/DERXUIRUFHVXUYH\ のデー タが無い国については、2IILFLDOHVWLPDWHV 出典のもの を利用した。 また、単年のデータが不足している場合、伸び率または 前後の年の幾何平均より推定を行った。 *'3333 3:7 のデータより 333 変換された *'3 を利用した。 分析結果と考察 '($ と 0DOPTXLVW 生産性指標により 7)3 変化、効率性変 化、技術変化を求め、それぞれの値と (55, との相関分析
3HQQ:RUOG7DEOH3:7 は、8QLYHUVLW\RI3HQQV\OYDQLD が 提供する購買力平価と国民経済計算のデータベースであり、以下 の 85/ から入手可能である。 KWWSSZWHFRQXSHQQHGXSKSBVLWHSZWBLQGH[SKS '($ および 0DOPTXLVW 生産性指標の計算には、'($39HUVLRQ を用いた。'($3 は 7KH&HQWHUIRU(IILFLHQF\DQG$QDO\VLV&(3$ が提供するソフトウェアで、'($ の基本モデルの計算や、 0DOPTXLVW 生産性指標を使った時系列分析などが可能である。
を全ての対象国のデータを用いて行った結果を表 に示 す。 表 (55, と 0DOPTXLVW 生産性指標の相関関係 7)3 変化 効率性変化 技術変化 (55, (上段が相関係数、下段が 3 値) (55, と効率性変化は負の係数で 有意となっている。 このことより、環境規制によるコストの増加などにより、 生産効率が低下することが示唆される。有意ではないもの の、(55, と 7)3 変化の相関も負の係数となっており、環 境規制は生産性を低下させる傾向があることがわかる。対 象国すべてを対象とした場合、ポーター仮説が成立すると は言い難く、むしろ環境と経済にはトレードオフの関係が あると考えられる。 次に、 年の 956 で求めた '($ 値の大きさによって 上位 、中位 、下位 の3つのグループに分割し た(表 )。それぞれのグループごとに (55, と 0DOPTXLVW 生産性指標の相関関係について分析した結果を表 に示 す。 表 '($ 値で分類したグループ グループ ('($ 値) 国名 ('($ 値降順) 上位 (~) 8QLWHG 6WDWHV 8QLWHG .LQJGRP 6LQJDSRUH 1RUZD\ ,UHODQG ,FHODQG (J\SW (O 6DOYDGRU %ROLYLD 1HWKHUODQGV )UDQFH &DQDGD%HOJLXP,WDO\8UXJXD\ 6ZHGHQ3DQDPD&RVWD5LFD
中位 (~)
$XVWUDOLD1HZ=HDODQG'RPLQLFDQ 5HSXEOLF $XVWULD *HUPDQ\ 'HQPDUN3RODQG)LQODQG6SDLQ ,VUDHO 0H[LFR 6ZLW]HUODQG *UHHFH&KLOH%XOJDULD+XQJDU\ 9HQH]XHOD-DSDQ%UD]LO 下位 (~) &RORPELD6RXWK$IULFD-DPDLFD 0DXULWLXV9LHWQDP3KLOLSSLQHV &KLQD $UJHQWLQD 6UL /DQND 3RUWXJDO +RQGXUDV 3DUDJXD\ .RUHD ,QGRQHVLD (FXDGRU 0DOD\VLD5RPDQLD7KDLODQG 表 '($ 値で分類したグループごとの (55, と 0DOPTXLVW 生産性指標の相関関係 7)3 変化 効率性変化 技術変化 上位 中位 下位 (上段が相関係数、下段が 3 値) '($ 値が上位のグループでは、(55, と技術変化の間に正 の相関がみられた(グラフを図 に示す)。これは、規制 対応のためにそれまで行われていなかったイノベーショ ンが起こり、技術変化が促進されているためだと考えられ る。効率性の高い国の生産性を向上させるためには、技術 変化を起こすことが重要であるため、上位グループで特に 正に有意な結果となったと考えられる。(55, と 7)3 変化 についても、他のグループから比べると正に強い相関がみ られ、効率性の高い国ほど環境規制が生産性の向上につな がっている可能性があるといえるだろう。 図.上位グループにおける (55, と技術変化の散布図 '($ 値が中程度のグループにおいては、(55, と効率性変 化には負の相関(図 )、(55, と技術変化には正の相関が みられた(図 )。これは、環境規制が強い国ほど、技術 変化の大きい国を優位集団とすることができているため だと考えられる。優位集団の技術が向上しているため、一 時的に効率性は減少しているものの、将来的にみれば新技 術を使いこなせるようになり生産性が向上することが期 待できるだろう。 図中位グループにおける (55, と効率性変化の散布図 Costa Rica Panama Sweden Uruguay Italy Belgium Canada France Netherlands Bolivia Egypt El Salvador Iceland Ireland Norway Singapore United Kingdom United States 0.99 1 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 -2 -1 0 1 2 te ch ch ERRI Brazil Japan Venezuela Hungary Bulgaria Chile Greece Switzerland Mexico Israel Finland Spain Poland Denmark Germany Austria Dominican Republic New Zealand Australia 0.985 0.99 0.995 1 1.005 1.01 1.015 1.02 1.025 1.03 -2 -1 0 1 2 3 effc h ERRI
を全ての対象国のデータを用いて行った結果を表 に示 す。 表 (55, と 0DOPTXLVW 生産性指標の相関関係 7)3 変化 効率性変化 技術変化 (55, (上段が相関係数、下段が 3 値) (55, と効率性変化は負の係数で 有意となっている。 このことより、環境規制によるコストの増加などにより、 生産効率が低下することが示唆される。有意ではないもの の、(55, と 7)3 変化の相関も負の係数となっており、環 境規制は生産性を低下させる傾向があることがわかる。対 象国すべてを対象とした場合、ポーター仮説が成立すると は言い難く、むしろ環境と経済にはトレードオフの関係が あると考えられる。 次に、 年の 956 で求めた '($ 値の大きさによって 上位 、中位 、下位 の3つのグループに分割し た(表 )。それぞれのグループごとに (55, と 0DOPTXLVW 生産性指標の相関関係について分析した結果を表 に示 す。 表 '($ 値で分類したグループ グループ ('($ 値) 国名 ('($ 値降順) 上位 (~) 8QLWHG 6WDWHV 8QLWHG .LQJGRP 6LQJDSRUH 1RUZD\ ,UHODQG ,FHODQG (J\SW (O 6DOYDGRU %ROLYLD 1HWKHUODQGV )UDQFH &DQDGD%HOJLXP,WDO\8UXJXD\ 6ZHGHQ3DQDPD&RVWD5LFD
中位 (~)
$XVWUDOLD1HZ=HDODQG'RPLQLFDQ 5HSXEOLF $XVWULD *HUPDQ\ 'HQPDUN3RODQG)LQODQG6SDLQ ,VUDHO 0H[LFR 6ZLW]HUODQG *UHHFH&KLOH%XOJDULD+XQJDU\ 9HQH]XHOD-DSDQ%UD]LO 下位 (~) &RORPELD6RXWK$IULFD-DPDLFD 0DXULWLXV9LHWQDP3KLOLSSLQHV &KLQD $UJHQWLQD 6UL /DQND 3RUWXJDO +RQGXUDV 3DUDJXD\ .RUHD ,QGRQHVLD (FXDGRU 0DOD\VLD5RPDQLD7KDLODQG 表 '($ 値で分類したグループごとの (55, と 0DOPTXLVW 生産性指標の相関関係 7)3 変化 効率性変化 技術変化 上位 中位 下位 (上段が相関係数、下段が 3 値) '($ 値が上位のグループでは、(55, と技術変化の間に正 の相関がみられた(グラフを図 に示す)。これは、規制 対応のためにそれまで行われていなかったイノベーショ ンが起こり、技術変化が促進されているためだと考えられ る。効率性の高い国の生産性を向上させるためには、技術 変化を起こすことが重要であるため、上位グループで特に 正に有意な結果となったと考えられる。(55, と 7)3 変化 についても、他のグループから比べると正に強い相関がみ られ、効率性の高い国ほど環境規制が生産性の向上につな がっている可能性があるといえるだろう。 図.上位グループにおける (55, と技術変化の散布図 '($ 値が中程度のグループにおいては、(55, と効率性変 化には負の相関(図 )、(55, と技術変化には正の相関が みられた(図 )。これは、環境規制が強い国ほど、技術 変化の大きい国を優位集団とすることができているため だと考えられる。優位集団の技術が向上しているため、一 時的に効率性は減少しているものの、将来的にみれば新技 術を使いこなせるようになり生産性が向上することが期 待できるだろう。 図中位グループにおける (55, と効率性変化の散布図 Costa Rica Panama Sweden Uruguay Italy Belgium Canada France Netherlands Bolivia Egypt El Salvador Iceland Ireland Norway Singapore United Kingdom United States 0.99 1 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 -2 -1 0 1 2 te ch ch ERRI Brazil Japan Venezuela Hungary Bulgaria Chile Greece Switzerland Mexico Israel Finland Spain Poland Denmark Germany Austria Dominican Republic New Zealand Australia 0.985 0.99 0.995 1 1.005 1.01 1.015 1.02 1.025 1.03 -2 -1 0 1 2 3 effc h ERRI 図.中位グループにおける (55, と技術変化の散布図 '($ 値が下位のグループでは、図 のように (55, と 7)3 変化の間には、負の相関があることがわかる。有意ではな いものの、効率性変化および技術変化の両方において相関 係数が負となっている。このことから効率性の低い国にお いては、環境規制は経済成長を阻害している可能性が示唆 される。効率性が低い場合は、規制の圧力がなくても自然 と効率性変化が起こるため、規制による効率性変化の促進 は少なく、むしろ規制へ対応するためのコストが大きく影 響するためだと考えられる。 図下位グループにおける (55, と 7)3 変化の散布図 以上より、環境規制と経済政策について考察する。先進 国のような効率性の高い国においては環境規制が経済成 長を助けるため、規制に加えて経済政策を行う必要性は低 いといえる。一方、新興国のような効率性の低い国におい ては、環境規制により経済成長が阻害されるため、強い経 済政策や先進国からの支援が必要とされると考えられる。 結論と今後の課題 本研究では、生産性の変化を効率性変化と技術変化に分 解し、環境規制の強さを示す (55, との相関分析を行った。 対象国すべてによる相関分析では、(55, と効率性変化に は負の相関があり、ポーター仮説の不成立が示された。し かし、ポーター仮説が成り立つ条件を明らかにするため、 フロンティアからの距離によりグループを分けて分析を 行うと、効率性の高いグループではポーター仮説が支持さ れ、低いグループでは支持されない結果となった。このこ とからフロンティアからの距離がポーター仮説を成立に 影響を与えるという示唆を得た。 今回の分析は、環境規制と生産性についての相関関係を 調べた。しかし、生産性の変化には環境規制以外の要因も 影響していると考えられるため、他の要因を考慮した分析 手法の開発が望まれる。また、環境規制の強さを表す指標 についても更なる改善を行うことで、ポーター仮説が成り 立つ条件をさらに明確化することが望まれる。 参考文献
>@ (VW\ '& 3RUWHU 0( 1DWLRQDO HQYLURQPHQWDOSHUIRUPDQFHDQHPSLULFDODQDO\VLV RISROLF\UHVXOWVDQGGHWHUPLQDQWV(QYLURQPHQW DQG'HYHORSPHQW(FRQRPLFV >@ )DUH5*URVVNRSI61RUULV0=KDQJ= 3URGXFWLYLW\JURZWKWHFKQLFDOSURJUHVV DQGHIILFLHQF\FKDQJHLQLQGXVWULDOL]HGFRXQWULHV 7KH$PHULFDQ(FRQRPLF5HYLHZ >@ /VDNVVRQ$:RUOG3URGXFWLYLW\'DWDEDVH $7HFKQLFDOGHVFULSWLRQ5HVHDUFKDQG6WDWLVWLFV %UDQFK6WDII:RUNLQJ3DSHU >@ 3DOPHU.2DWHV:(3RUWQH\35 7LJKWHQLQJ HQYLURQPHQWDO VWDQGDUGV WKH EHQHILWFRVWRUQRFRVWSDUDGLJP"7KH-RXUQDORI (FRQRPLF3HUVSHFWLYH >@ 3RUWHU0($PHULFD’VJUHHQVWUDWHJ\ 6FLHQWLILF$PHULFDQ >@ 3RUWHU0(YDQGHU/LQGH&7RZDUGD1HZ &RQFHSWLRQ RI WKH (QYLURQPHQW&RPSHWLWLYHQHVV 5HODWLRQVKLS7KH-RXUQDORI(FRQRPLF3HUVSHFWLYH
>@ :DJQHU07KHUHODWLRQVKLSEHWZHHQWKH HQYLURQPHQWDODQGHFRQRPLFSHUIRUPDQFHRIILUPV DQ HPSLULFDO DQDO\VLV RI WKH HXURSHDQ SDSHU LQGXVWU\ &RUSRUDWH 6RFLDO 5HVSRQVLELOLW\ DQG (QYLURQPHQWDO0DQDJHPHQW >@ 天谷永,.「環境規制と競争戦略」『創価経営論 集』第 巻第 ・ 号,. >@ 植田和弘他,.『環境経営イノベーションの理論 と実践』中央経済社. >@ 島田幸司,.「環境規制は企業の競争力を削ぐ か?~近年の実証研究のレビュー」『表面技術』第 巻第 号,. >@ 刀根薫,.『経営効率性の測定と改善―包絡法 '($ による―』日科技連出版社. >@ 浜本光紹,.「ポーター仮説をめぐる論争に関す る考察と実証分析」『經濟論叢(京都大学)』第 巻第 ・ 号,. Brazil Japan Venezuela Hungary Bulgaria Chile Greece Switzerland Mexico Israel Finland Spain Poland Denmark Germany Austria Dominican Republic New Zealand Australia 0.98 0.99 1 1.01 1.02 1.03 1.04 -2 -1 0 1 2 3 te ch ch ERRI Thailand Romania Malaysia Ecuador Indonesia Korea Paraguay Honduras Portugal Sri Lanka China Argentina Philippines Vietnam Mauritius Jamaica South Africa Colombia 0.97 0.98 0.99 1 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 -2 -1.5 -1 -0.5 0 tf pch ERRI