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第2章 ドイモイ下ベトナムの障害者の生活における「国家と社会」 -- 紅河デルタ:タイビン省、ハーナム省の事例を通して

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全文

(1)

ナム省の事例を通して

著者

寺本 実

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

ドイモイ下ベトナムの「国家と社会」

ページ

59-99

発行年

2007-10

章番号

第2章

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00048978

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第 2 章 ド イ モ イ 下 ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 生 活 に お け る 「 国 家 と 社 会 」 ― 紅 河 デ ル タ : タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 の 事 例 を 通 し て ― 寺 本 実 要 約 : 本 稿 で は 、 家 族 と 同 居 す る ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 生 活 状 況 を 紅 河 デ ル タ 地 域 に 位 置 す る タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 の 農 村 部 で 実 施 し た 家 庭 訪 問 調 査(計 92 戸)を 通 し て 考 察 し て い る 。 そ の 結 果 、 在 宅 の 障 害 者 に つ い て は 、 障 害 者 が 障 害 を 負 っ た 原 因 に よ っ て 「 国 家 」と 個 々 の 障 害 者(「 社 会 」の 側 )と の 関 係 の 様 態 に 違 い が あ る こ と を 見 出 し 、 以 下 の 6 つ の 類 型 を 抽 出 し た 。(1 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 へ の 直 接 参 加 に よ る も の で あ り 、そ れ が「 国 家 」に よ っ て 認 定 さ れ て お り 、扶 助1 受 け て い る ケ ー ス 、(2 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 へ の 直 接 参 加 に よ る も の で あ る が 、 そ れ が 「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て お ら ず 、 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス2、(3 )障 害 を 負 っ た 原 因 が 間 接 的 な 戦 争 へ の 関 わ り( 両 親 < 特 に 父 親 の ケ ー ス 多 > の 戦 争 へ の 参 加 、 枯 葉 剤 へ の 被 災 ) で あ り 、 そ れ が 「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 、(4 ) 障 害 を 負 っ た 原 因 が 間 接 的 な 戦 争 へ の 関 わ り ( 両 親 < 特 に 父 親 の ケ ー ス 多 > の 戦 争 へ の 参 加 、 枯 葉 剤 へ の 被 災 ) で あ る 疑 い が あ る が 、 そ れ が 「 国 家 」 に 認 定 さ れ て お ら ず 、 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス 、(5 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 に 関 係 な く 、「 国 家 」か ら 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 、(6 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 に 関 係 な く 、「 国 家 」か ら 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス 、 の 6 類 型 で あ る 。

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総 合 的 結 論 と し て は 、「 国 家 」は 問 題 の 所 在 に 気 づ い て お り 、対 応 策 を と り つ つ あ る も の の 、「 社 会 」 の 側 の 方 が 、「 国 家 」 に 比 し て 実 質 的 か つ 相 対 的 に 大 き な 役 割 を 担 い つ つ 、 同 分 野 に お け る 国 内 の 対 応 が な さ れ て い る こ と を 指 摘 し て い る 。「 国 家 と 社 会 」 の 関 係 の 様 態 と い う 観 点 か ら 述 べ れ ば 、「 国 家 」 も 役 割 ・ 責 任 を 遂 行 し よ う と い う 方 向 性 に あ る も の の 、 未 だ 十 分 な レ ベ ル に 達 し て お ら ず 、 実 態 的 に は 「 社 会 」 の 役 割 に 「 依 存 」 し て い る 部 分 が 大 き い こ と を 見 出 し て い る3 キ ー ワ ー ド : 障 害 者 、 生 活 、 国 家 、 社 会 、 関 係 の 様 態 、 紅 河 デ ル タ は じ め に 本 稿 で は ベ ト ナ ム に お け る 障 害 者 福 祉 の 実 態 を 考 察 す る と と も に 、 序 章 で 示 し た 「 国 家 」 と 「 社 会 」 の 用 語 の 定 義 、 分 析 視 角 に 基 づ い て 分 析 を 行 う 。 こ れ ら は 古 田[1996、2000]の 該 当 部 分 か ら 読 み 取 っ た「 古 田 モ デ ル 」の 基 本 的 骨 子 を 批 判 的 に 継 承 し た も の で あ る 。 す な わ ち 、「 国 家 」と い う 用 語 の 定 義 に つ い て は 、べ ト ナ ム 政 府( 各 級 地 方 政 府 を 含 む ) の み を 指 す 狭 義 の 「 国 家 」 で は な く 、 政 府 部 門 だ け で な く 権 力 中 枢 を 握 る ベ ト ナ ム 共 産 党 を 含 め た 広 義 の 定 義 を 採 用 す る4。次 に「 社 会 」と い う 用 語 に つ い て は 、「 国 家 」 に 対 す る 対 概 念 と し て の 位 置 付 け で あ り 、「 国 家 」権 力 が 必 ず し も 貫 徹 し て い な い 、「 国 家 」に よ る 管 理 、政 策 の 立 案・遂 行 の 対 象 と な る 、『 国 家 』が 設 定 し た『 律 』を 状 況 に 応 じ て 受 容 し つ つ も 、そ れ 独 自 の 『 律 』 に 基 づ い て 機 能 す る 、 一 定 の 関 係 性 を 共 有 す る 人 々 の 束 ・ 集 ま り 、 と し て 理 解 す る こ と に し た い 。 「 国 家 」 と 「 社 会 」 関 係 の 様 態 に 対 す る 分 析 の 視 角 に つ い て は 、 古 田 に お け る よ う に 「 国 家 」 と 「 社 会 」 間 の 相 対 的 な 力 関 係 だ け に 注 目 す る の で は な く 、様 々 な 関 係 の 様 態 に 対 す る 視 点 を 分 析 の 射 程 に 取 り 入 れ る こ と に し た い 。

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ド イ モ イ 下 ベ ト ナ ム の 障 害 者 福 祉 へ の 取 り 組 み は 、 政 権 党 で あ る ベ ト ナ ム 共 産 党 の 第 6 回 党 大 会 で 「『 国 家 と 人 民 が 共 に 担 う(Nha nuoc va nhan dan cung lam)』 と い う 方 針 に し た が っ て 、 全 人 民 に 対 す る 社 会 扶 助 政 策 を 一 歩 一 歩 建 設 す る 」(De an tro giup… [2006])と 示 さ れ た よ う に 、「 国 家 」 と 「 人 民 」( 本 稿 に お け る 「 社 会 」 の 側 )5が 共 に 担 っ て い く こ と が 基 本 方 針 と さ れ て い る 。 そ う し た ベ ト ナ ム に お け る 障 害 者 福 祉 の 実 態 面 を 、 ベ ト ナ ム 北 部 の 紅 河 デ ル タ に 位 置 す る タ イ ビ ン 省 ・ ハ ー ナ ム 省 の 農 村 部 に お け る フ ィ ー ル ド 調 査 を 通 し て 考 察 す る 試 み と な る 。 本 稿 の 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る 。 第 1 節 で は ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 状 況 を ベ ト ナ ム の 公 式 文 献 に 基 づ い て 概 観 す る 。 続 く 第 2 節 で は 家 族 と 同 居 す る 障 害 者 を 対 象 に 2005 年 と 2006 年 に タ イ ビ ン 省 、ハ ー ナ ム 省 で 実 施 し た 調 査 に 基 づ い て 、 ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 状 況 を 考 え る 。 そ し て 、 最 後 に 「 国 家 と 社 会 」 と い う 分 析 視 角 に 基 づ き 、 ベ ト ナ ム の 障 害 者 福 祉 の 状 況 を 考 察 す る6 図 表 類 ( 表 1 ~ 4 、 図 1 ~16、付 表 )は 数 が 多 い た め 、ま と め て 章 末 に 付 す こ と に し た い 。 第 1 節 ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 全 般 的 状 況 本 節 で は ベ ト ナ ム 障 害 者 の 全 体 的 状 況 を 公 式 文 献 に 依 拠 し つ つ 検 討 す る こ と に し た い 。 政 府 が 2006 年 5 月 26 日 に 第 11 期 第 9 回 国 会 に 提 出 し た 障 害 者 法 令 の 実 行 状 況 に 関 す る 報 告 に よ れ ば 、2005 年 時 点 で の ベ ト ナ ム の 障 害 者 総 数 は 約 530 万 人 (ベ ト ナ ム 全 人 口 の 約 6.34%)と な っ て い る7。 う ち 、 農 村 部 に 暮 ら す 障 害 者 は 全 体 の 87.27%を 占 め る 。 ま た 家 庭 単 位 で 見 る と 、 ベ ト ナ ム 全 戸 数 の 7.93%の 家 庭 が 障 害 者 と 共 に 暮 ら し て い る ( Chinh phu[2006: 30])。 2004 年 の 数 字 と な る が 、障 害 者 の 絶 対 数 に 基 づ く 地 域 別 分 布 で は メ コ ン デ ル タ 地 域 が 最 も 多 く 、 紅 河 デ ル タ 地 域 、 南 部 東 方 地 域 が 後 に 続 い て い る 。 そ れ ぞ れ 障 害 者 総 数 の 15%以 上 を 占 め て い る 。地 域 別 の 総 人 口 数 に 占 め る 障 害

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者 比 率 で は 、 中 部 沿 海 地 域 ・ 北 部 東 方 地 域 ・ 南 部 東 方 地 域 が 上 位 3 地 域 を 占 め 、 中 部 沿 海 地 域 に い た っ て は 二 桁 を 超 え て い る(表 1 参 照 )。 障 害 の 種 類 に つ い て は 、運 動 障 害 29.41%、神 経 系 統 の 障 害 16.83%、視 覚 障 害 13.84%、 聴 覚 障 害 9.32%、 言 語 障 害 7.08%、 知 的 障 害 6.52%、 そ の 他 の 障 害 17% と な っ て い る 。 こ の う ち 20% 近 く が 重 複 障 害 で あ る ( Chinh phu[2006: 31])。 障 害 を 負 っ た 原 因 に つ い て は 、先 天 性 35.8%、病 気 32.34%、戦 争 25.56%、 労 働 事 故 3.49%、そ の 他 の 原 因 2.81%と な っ て い る( Chinh phu[2006:31])。 こ こ で は 交 通 事 故 が 要 因 と し て 挙 げ ら れ て い な い 。 し か し 、 障 害 者 問 題 の 主 管 官 庁 で あ る 労 働 ・ 傷 病 兵 ・ 社 会 問 題 省 が 1999 年 に 出 し た 報 告 書 で は 交 通 事 故 が 障 害 原 因 の 5.52%を 占 め て い る (向 井 [2002:89-90])。ま た 、同 政 府 報 告 で も 2001~ 2005 年 に 交 通 事 故 で 約 12 万 5000 人 が 障 害 を 負 っ た と 報 告 さ れ て い る(Chinh phu[2006:31])。昨 今 の ベ ト ナ ム で は 交 通 事 故 の 増 加 が 社 会 問 題 化 し て お り 、 同 要 因 に よ る 障 害 者 総 数 は か な り の 数 に 上 る も の と 推 測 さ れ る(寺 本 [2006b: 28])。 年 齢 の 分 布 に つ い て は 、16 歳 未 満 が 約 16%、16~ 55 歳 が 約 60%、55 歳 よ り 上 が 約 24%と な っ て い る ( Chinh phu[2006: 31])。 Nhan Dan 紙 に よ れ ば 男 性 で 16~ 60 歳 、 女 性 で 16~ 55 歳 の 年 齢 幅 に 障 害 者 の 約 69%が 該 当 し て お り(Nhan Dan,2006 年 2 月 5 日 付 )、働 き 盛 り の 年 齢 層 が 多 数 を 占 め て い る こ と が 分 か る8 教 育 に つ い て は 、中 卒 レ ベ ル 20.74%、高 卒 レ ベ ル 24.13%、非 識 字 者 35.83%、 読 み 書 き が で き る 人 12.58%と な っ て い る 。 ま た 、 職 業 教 育 を 受 け て い な い 人 が 97.64% と 非 常 に 高 い 割 合 と な っ て い る( Chinh phu[2006:31])。働 き 盛 り の 年 齢 層 の 多 さ と 職 業 教 育 の 普 及 度 の 低 さ は 対 照 的 だ と い え る 。

仕 事 に つ い て は 、 約 58%が 仕 事 に 参 加 (tham gia lam viec)し て い る 。 こ の 中 に は 、 家 で 所 有 す る 水 牛 の 世 話 な ど 、 必 ず し も 所 得 に つ な が ら な い 仕 事 も 含 ま れ て い る と 推 測 さ れ る 。約 30%は 未 だ 仕 事 が な く 安 定 し た 雇 用 を 望 ん で い る 。同 比 率 は 紅 河 デ ル タ に お い て 最 も 高 く 約 41.86%と な っ て い る( Chinh

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phu[2006:31])。し か し 、後 述 す る 2005 年 、2006 年 に 実 施 し た 現 地 調 査 に 基 づ く 感 触 で は 、仕 事 が な い 障 害 者 の 比 率 は 上 記 数 字 を 上 回 る 可 能 性 も あ る 。 た だ し 、国 会 社 会 問 題 委 員 会 が 第 11 期 国 会 で 5 月 31 日 に 提 出 し た 報 告 書 に よ れ ば 、障 害 者 の 生 産・経 営 基 礎(co so san xuat, kinh doanh cua nguoi tan tat)と 労 働 者 数 は 1995 年 に は 177 カ 所 、 7821 人 で あ っ た の に 対 し て 、 同 報 告 書 執 筆 時 点 で は 400 カ 所 超 、 15000 人 超 に そ れ ぞ れ 増 加 し て い る (Uy Ban ve Cac Cac Van de Xa hoi [2006: 42])。

生 活 状 況 に つ い て は 、 家 族 ・ 親 戚 ・ 社 会 扶 助 に 依 拠 し て 暮 ら す 障 害 者 が 都 市 部 で 70~ 80%、農 村 部 で 65~ 70%と な っ て い る 。仕 事 を 持 ち 、自 身 や 家 族 の た め に 収 入 が あ る 障 害 者 は 約 25~ 35%と さ れ て い る ( Chinh phu[2006: 31])。障 害 者 と 共 に 暮 ら す 家 庭 の 多 く は 貧 し く 、32.5%の 家 庭 が 貧 困 世 帯9 属 し て い る 。 障 害 者 の い な い 貧 困 世 帯 の 比 率 は 22%で あ り 、10%以 上 そ れ を 上 回 っ て い る (Chinh phu[2006: 31])。 第 2 節 紅 河 デ ル タ : タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 に お け る 事 例 本 節 で は 2005、 2006 年 に ベ ト ナ ム 北 部 紅 河 デ ル タ 地 域 に 位 置 す る タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 で 実 施 し た 調 査 に 基 づ い て ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 状 況 の 実 態 面 に つ い て 考 え る 。 初 め に 調 査 地 域 に つ い て 記 し た 後 、 行 な っ た フ ィ ー ル ド 調 査 に 基 づ い て 考 察 を 行 な う こ と に し た い 。 1 . 紅 河 デ ル タ : タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 調 査 地 の タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 は ベ ト ナ ム 北 部 紅 河 デ ル タ に 位 置 し 、 互 い に 隣 接 し あ っ て い る 。 ハ ー ナ ム 省 が 内 陸 の 省 で あ る の に 対 し 、 タ イ ビ ン 省 は ト ン キ ン 湾 に 面 す る 。 紅 河 デ ル タ は 南 部 の メ コ ン デ ル タ と 並 ぶ ベ ト ナ ム の 最 重 要 農 業 地 域 で あ る 。

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ベ ト ナ ム 建 国 の 王 と さ れ る 「 雄 王 」 ゆ か り の 廟 も こ の 地 域 に あ る 。 紅 河 水 系 と タ イ ビ ン 水 系 の 形 成 す る 約 150 万 ha の デ ル タ で 、 開 発 の 歴 史 が 古 く 、 人 口 密 度 が 極 め て 高 い 地 域 で あ る(桜 井 [1999: 132-133],長 [2005: 66-71])。 同 地 域 に は ベ ト ナ ム の 首 都 ハ ノ イ 市 を 含 む 9 省 ・ 2 中 央 直 轄 市 が 位 置 す る 。 第 1 節 で 指 摘 し た よ う に 、 障 害 者 総 数 で は 各 地 域 の 中 で は メ コ ン デ ル タ に つ い で 2 番 目 に 多 い 980,118 人 の 障 害 者 が 紅 河 デ ル タ 地 域 で く ら し て い る 。 ま た 、 同 地 域 内 総 人 口 1783 万 6000 人 に 占 め る 障 害 者 比 率 は 5.5%と 各 地 域 の 中 で 2 番 目 に 低 い 比 率 と な っ て い る ( 表 1 参 照 )。 ま た 、2004 年 の 貧 困 率 は 12.1%で ホ ー チ ミ ン 市 が あ る 南 部 東 方 地 域 に つ い で 2 番 目 に 低 い 数 字 で あ る(表 2 参 照 )。 2005 年 推 計 で タ イ ビ ン 省 の 人 口 は 186 万 6000 人 と 紅 河 地 域 内 で 4 番 目 、 ハ ー ナ ム 省 は 82 万 2700 人 で 最 下 位 で あ る 。紅 河 デ ル タ 地 域 内 で 農 村 部 人 口 が 9 割 を 超 え る の は こ の 2 省 だ け で あ る 。 面 積 に つ い て は タ イ ビ ン 省 が 1545.4 ㎢ で 同 地 域 内 4 番 目 、ハ ー ナ ム 省 は 852.2 ㎢ で 下 か ら 2 番 目 の 規 模 と な っ て い る(表 3 参 照 )。人 口 密 度 は タ イ ビ ン 省 が 1 ㎢ あ た り 1204 人 、ハ ー ナ ム 省 は 965 人 と 同 地 域 内 で の 順 位 は 面 積 の そ れ と 同 様 で あ る 。 2 . フ ィ ー ル ド 調 査 に 基 づ く 考 察 次 ぎ に 、 今 回 実 施 し た 調 査 に 基 づ い て 考 察 す る 。 タ イ ビ ン 省 、ハ ー ナ ム 省 で の 調 査 は 、前 者 は 2005 年 10 月 19 日 ~ 11 月 1 日 、 後 者 は 2006 年 10 月 27 日 ~ 11 月 4 日 に 実 施 し た10。 タ イ ビ ン 省 で の 調 査 地 は 省 都 タ イ ビ ン 市 か ら バ イ ク で 20 分 く ら い の と こ ろ に 位 置 す る ブ ー ト ゥ ー 県 B 社 で あ っ た 。ハ ー ナ ム 省 で の 調 査 は ズ イ テ ィ エ ン 県 内 を 通 る 国 道 1 号 線 沿 い で 実 施 し 、若 干 の 調 査 対 象 者 を 除 い て 主 に 同 県 D 社 で 調 査 を 行 な っ た11。 調 査 対 象 者 は 家 族 と 同 居 す る 障 害 者 で あ り 、 原 因 に よ る 区 別 な く 対 象 と し た 。 調 査 方 法 は 各 家 庭 を 直 接 訪 問 し て の 調 査 票 に 基 づ く イ ン タ ビ ュ ー で あ る 。

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筆 者 と 調 査 を 補 助 し て い た だ い た ベ ト ナ ム 社 会 学 研 究 所 研 究 員 の 2 人 で 調 査 を 実 施 し 、 基 本 的 に 後 者 が 問 い を 投 げ か け 、 筆 者 が 調 査 票 に 応 答 を 書 き 込 む と い う 役 割 分 担 に 基 づ い て 調 査 を 進 め た12 し か し 、調 査 事 項 以 外 に つ い て も 確 認 す る 必 要 が あ る と 思 わ れ た 場 合 に は 、 随 時 質 問 を 行 な う よ う に し た 。 た だ 、 道 案 内 役 、 紹 介 役 を す る た め 、 現 地 の 責 任 者 が 調 査 に 同 行 、 同 席 し た ケ ー ス も か な り あ っ た13 調 査 家 庭 の 無 作 為 抽 出 は 体 制 上 の 問 題 も あ り 実 現 で き ず 、 基 本 的 に 現 地 人 民 委 員 会 、 現 地 機 関 ・ 組 織 の 調 整 、 紹 介 に 基 づ い て 選 ば れ た 、 タ イ ビ ン 省 で 47 戸 、 ハ ー ナ ム 省 で は 45 戸 を 調 査 対 象 と し た14。 調 査 デ ザ イ ン と し て は 、 冷 水 豊 ・ 上 智 大 学 社 会 福 祉 学 部 教 授 が 言 わ れ る と こ ろ の 探 索 的 デ ザ イ ン 、 も し く は 事 実 発 見 ・ 個 性 記 述 デ ザ イ ン に 分 類 さ れ る と 考 え ら れ る15。 農 村 部 に お け る 類 似 の 調 査 に つ い て は 、 管 見 の 限 り で は 先 行 研 究 が 未 だ 見 当 た ら な い た め 、 仮 説 構 成 に 未 だ 至 っ て い な い と い う 観 点 か ら す れ ば 、 探 索 的 デ ザ イ ン に よ り 近 い 位 置 づ け と な る 。 基 本 的 に ご 本 人 が 応 答 可 能 な 場 合 に は ご 本 人 に 、 不 可 能 で あ る か ご 不 在 の 場 合 に は 近 親 者 の 方 に 応 答 い た だ い た 。 調 査 対 象 者 、 近 親 者 が ご 一 緒 に お 答 え い た だ い た ケ ー ス も 中 に は 含 ま れ る が 、そ れ ぞ れ 有 効 回 答 と し て 記 録 し た 。 以 下 、 調 査 票 の 集 計 結 果 に 基 づ い て 考 察 し て い く こ と に し た い 。 (1 )集 計 結 果 か ら の 考 察 タ イ ビ ン 省 、ハ ー ナ ム 省 で 記 し た 調 査 票 の 集 計 結 果 が 図 1 ~ 図15 で あ る 。 タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 共 に 共 通 す る 方 向 性 を 指 し 示 し て い る と 判 断 で き る ポ イ ン ト に 注 目 し つ つ 項 目 ご と に 検 討 作 業 を 行 う こ と に し た い 。 こ こ で 取 り 上 げ る 調 査 項 目16は 、① 応 答 者 、② 調 査 対 象 者 の 生 年 分 布 、③ 障 害 の 種 類17 ④ 障 害 を 負 っ た 原 因 、 ⑤ 「 国 家 」 か ら の 扶 助 金 受 給 者 と 障 害 要 因 、 ⑥ 仕 事 に よ る 収 入 、⑦「 国 家 」に 対 す る 要 求 、「 社 会 」に 対 す る 要 求 、の 7 項 目 で あ る 。 以 下 、 順 を お っ て 項 目 ご と に 考 察 を 進 め て い き た い 。

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① 応 答 者 ( 図 1 、 2 参 照 ) 調 査 票 に 対 す る 応 答 者 に つ い て は 、 両 省 共 に 障 害 者 本 人 に よ る 応 答 が 最 多 で あ り 、 続 い て 父 親 、 3 番 目 が 母 親 で あ っ た18 他 方 、 障 害 の 状 況 に よ り 、 障 害 者 本 人 が イ ン タ ビ ュ ー に 応 じ ら れ な い ケ ー ス も 多 く あ っ た 。 ま た 、 首 都 ハ ノ イ 市 に 治 療 を 受 け に 行 っ た な ど の 理 由 で 不 在 の 場 合 も あ っ た 。 総 合 的 に 見 る と 、 タ イ ビ ン 省 ・ ハ ー ナ ム 省 の 調 査 対 象 者 共 に 障 害 者 本 人 が 応 答 す る ケ ー ス よ り も 、 近 親 者 が 応 答 し た ケ ー ス が 多 か っ た 。 以 上 の 点 か ら も 、 障 害 者 の 生 活 に と っ て 、 近 親 者 、 特 に 両 親 の 役 割 、 存 在 が 非 常 に 大 き な 位 置 を 占 め て い る こ と が 看 取 さ れ る 。 ② 調 査 対 象 者 に お け る 生 年 分 布(図 3 、 4 参 照 ) 今 回 の 調 査 対 象 者 の 生 年 分 布 で 両 省 と も に 共 通 し て い る こ と は 、 タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 の 調 査 対 象 者 共 に 1970~ 1999 年 生 ま れ の 範 囲 に あ る 程 度 の 「 集 中 」が 見 ら れ る こ と で あ る 。タ イ ビ ン 省 で 26 人 、ハ ー ナ ム 省 で 27 人 が こ の 範 囲 に 属 し て い る 。 ま た 、 ハ ー ナ ム 省 の 1 人 を 除 く 、 枯 葉 剤 の 間 接 的 被 災 者(第 2 世 代 )の す べ て が 両 省 共 に こ の 範 囲 に 入 っ て い る 。 枯 葉 剤 に は 激 し い 発 ガ ン 性 と 催 奇 形 性 を 持 つ 猛 毒 の ダ イ オ キ シ ン が 含 ま れ る 。 ベ ト ナ ム 戦 争 に お い て 、1961~ 1971 年 に ベ ト ナ ム 中 部 、 南 部 で 米 軍 が 行 な っ た 枯 葉 作 戦 に よ り 同 剤 は 散 布 さ れ た 。( 中 村[2005:4-12])19。直 接 戦 争 に 参 加 し た こ と に よ り 障 害 を 負 っ た 障 害 者 は 、 タ イ ビ ン 省 に つ い て は 1930~ 1949 年 生 ま れ が 多 く 、 ハ ー ナ ム 省 に つ い て は 1950~ 1959 年 生 ま れ に す べ て 含 ま れ て い る 。 両 親 の ど ち ら か が( 調 査 対 象 者 に お い て は ほ と ん ど が 父 親 )が ベ ト ナ ム 中 部 、 あ る い は 南 部 で ベ ト ナ ム 戦 争 に 参 加 し て 枯 葉 剤 に 被 災 し 、 帰 郷 後 に 子 ど も を も う け た と こ ろ 、 そ の 第 2 世 代 に 枯 葉 剤 に よ る 影 響 が 出 る と い う 、 世 代 間 の 連 関 を 読 み 取 る こ と が で き る 。 第 3 世 代 へ の 影 響 が 懸 念 さ れ て い る が 、1990~ 1999 年 生 ま れ の 範 囲 に 含 ま れ て い る 、母 方 の 祖 父 が 枯 葉 剤 に 被 災 し た 少 年 が 、ハ ノ イ 市 の 医 師 に よ り 、 枯 葉 剤 被 災 の 疑 い が あ る と 診 断 さ れ て い る 。 直 接 話 を う か が え な か っ た が 、

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母 親 の 末 の 妹 の 子 ど も も 症 状 的 に は 類 似 の 状 況 に あ る と の こ と で あ っ た 。 最 後 に 、イ ン タ ビ ュ ー 時 点 で 10 歳 台 で あ っ た 調 査 対 象 者 が タ イ ビ ン 省 で 15 人 、 ハ ー ナ ム 省 で 9 人 含 ま れ て い る こ と を 記 し て お き た い20 ③ 障 害 の 種 類21(図 5 、 6 参 照 ) 障 害 の 種 類 に つ い て は 、タ イ ビ ン 省・ハ ー ナ ム 省 共 に か な り 多 様 で あ っ た 。 重 複 障 害 の ケ ー ス も 多 く 見 ら れ る 。 ま た 、 肢 体 障 害 、 精 神 ・ 神 経 に 障 害 が あ る 人 が 1 、 2 番 目 を 共 に 占 め て い る 。 傷 病 兵 に つ い て は 、 片 腕 を 失 う 、 片 脚 を 失 う な ど 、 肢 体 の 損 傷 度 が 明 確 か つ 重 度 の ケ ー ス が 多 か っ た 。 戦 争 に よ り 障 害 を 負 っ た 調 査 対 象 者 の 中 で 、 肢 体 に 障 害 を 負 っ て い な か っ た の は 、1979 年 2 月 半 ば ~ 3 月 の 越 中 戦 争 に 参 加 し 、 精 神 ・ 神 経 を 患 っ た 人 1 人 だ け で あ る 。 同 じ 枯 葉 剤 被 災 者 と い っ て も 障 害 の 表 れ 方 は 一 様 で な い 。 歩 行 が 困 難 で 小 刻 み に 体 を 震 わ せ な が ら ハ ン モ ッ ク に 横 た わ り 、 時 に う な り 声 を 上 げ る と い う よ う な 状 況 の 人 か ら 、 一 見 し た だ け で は 被 災 者 と は 分 か ら な い 状 況 の 人 ま で 、 症 状 は 多 様 で あ っ た 。 個 々 の 分 類 ご と に も さ ら に 様 々 な 症 状 が あ り 、 か つ 障 害 の 重 複 状 況 も 多 様 で あ る と い う 状 況 は 、そ れ ぞ れ の 障 害 者 に 対 す る「 国 家 」、「社 会 」に よ る 対 応 の 柔 軟 性 、 多 様 性 の 必 要 を 必 然 的 に 要 請 し て い る と 考 え ら れ る 。 ④ 障 害 を 負 っ た 原 因(図 7 、 8 参 照 ) 障 害 を 負 っ た 原 因 と し て は 、 タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 共 に 「 生 来 」 が 最 多 と な っ て い る 。 枯 葉 剤 間 接 被 災 者 を 除 い て も 「 生 来 」 が 最 多 で あ り 、 妊 娠 か ら 出 産 に い た る 母 体 、 母 子 管 理 の 問 題 が 影 響 を あ た え て い る 可 能 性 が あ る 。 2 番 目 に 多 い 原 因 は 共 に 戦 争( 戦 闘 参 加 に よ る 傷 病 、直 接 的 な 枯 葉 剤 被 災 、 間 接 的 な 枯 葉 剤 被 災 、 枯 葉 剤 被 災 の 疑 い を 含 む ) で あ る 。 こ の 点 は 、 ベ ト ナ ム 戦 争 、 カ ン ボ ジ ア 侵 攻 、 越 中 戦 争 と い っ た 戦 争 を 経 験 し て き た ベ ト ナ ム の 特 徴 だ と 考 え ら れ る 。

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枯 葉 剤 問 題 に つ い て も 、 ベ ト ナ ム の 国 土 に お け る 米 軍 の 行 為 を 原 因 と し て 発 生 し た 「 ベ ト ナ ム 発 」 の 問 題 で あ り 、 同 様 に ベ ト ナ ム の 特 徴 と い う こ と が で き る と 考 え ら れ る22 3 番 目 に 多 い 原 因 が 病 気 で あ る こ と も 両 省 に 共 通 し て い る 。 日 本 脳 炎 、 原 因 不 明 の 高 熱 に よ り 、 肢 体 の 発 育 不 全 ・ 奇 形 、 精 神 ・ 神 経 の 疾 患 と い っ た 障 害 が 残 っ た 人 も 多 く 見 ら れ た 。 先 に 記 し た 母 体 、 母 子 管 理 制 度 の 整 備 は む ろ ん の こ と 、「 国 家 」に よ る 予 防 接 種 な ど の 防 疫 プ ロ グ ラ ム・防 疫 知 識 の 普 及 と 実 施 、 そ れ ら を 取 り 巻 く 医 療 ・ 保 健 制 度 の 充 実 が 不 可 欠 な 状 況 に あ る と 考 え ら れ る 。 ⑤ 「 国 家 」 か ら の 扶 助 金 受 給 者 と 障 害 要 因23(図 9 、 10 参 照 ) 「 国 家 」 か ら の 扶 助 金 の 受 給 と 障 害 の 要 因 に つ い て は 、 タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 共 に 戦 争 関 連 で 障 害 を 負 っ た と 認 定 さ れ た 人 の 扶 助 金 受 給 率 は 、 両 省 共 に 100%と な っ て い る 。 そ れ に 対 し 、 戦 争 以 外 の 要 因 で 障 害 を 負 わ れ た 人 の 受 給 率 は 、 タ イ ビ ン 省 で 18.18%、 ハ ー ナ ム 省 で 9.09%に 過 ぎ な い 。 例 え ば 傷 病 兵 に 対 す る 支 援 に つ い て は 「 革 命 活 動 者 、 烈 士 、 烈 士 家 庭 、 傷 兵 、 病 兵 、 抵 抗 戦 争 活 動 者 、 革 命 支 援 功 労 者 優 遇 法 令 」(2002 年 )、「 革 命 功 労 者 優 遇 法 令 」(2005 年 )と い っ た 法 令 、枯 葉 剤 被 災 者 に つ い て は「 ベ ト ナ ム 戦 争 に お い て ア メ リ カ に よ っ て 使 用 さ れ た 化 学 毒 物 に 汚 染 さ れ た 反 侵 略 戦 争 参 加 者 と そ の 子 ど も に 対 す る 制 度 に つ い て の 首 相 決 定 」(2004 年 )、「 革 命 功 労 者 優 遇 法 令 」(2005 年 )、非 戦 争 要 因 に よ り 障 害 を 負 っ た 人 の 主 な 支 援 に つ い て は 「 障 害 者 法 令 」(1998 年 ) と 、 扶 助 金 支 給 に 際 す る 根 拠 と な る 法 律 は そ れ ぞ れ 異 な る 。 し た が っ て 、 関 連 法 ・ 制 度 の 実 行 率 に 差 異 が 生 ま れ て い る 状 況 に あ る と 考 え ら れ る24 障 害 を 負 っ た 原 因 に 関 わ ら ず 、 調 査 対 象 者 の ほ と ん ど が 、 そ れ ぞ れ 何 ら か の 形 で 「 国 家 」 か ら の 支 援 を 必 要 と し 、 欲 し て い る が 、 両 省 共 に 調 査 対 象 者 の 半 分 に 満 た な い 人 た ち が 「 国 家 」 か ら 扶 助 金 の 支 給 を 受 け る こ と で き て い る に 過 ぎ な い 。 そ の 差 異 の 大 元 に は 、 障 害 を 負 っ た 原 因 の 差 異 が あ る と 考 え ら れ る 。

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い ず れ に せ よ 、 国 が 制 度 を 作 っ た と し て も 、 実 行 が 伴 わ な け れ ば 当 該 制 度 の 善 し 悪 し を 評 価 す る こ と も ま ま な ら な い 。ベ ト ナ ム は 発 展 途 上 の 国 で あ り 、 財 政 面 で 限 界 が あ る の は や む を え な い 。 し か し 、 文 言 上 の 制 度 整 備 だ け で な く 、 そ の 実 行 率 を 高 め る こ と が 大 き な 課 題 の 1 つ で あ る と い う 点 は 、 否 定 で き な い と 考 え ら れ る 。 ⑥ 仕 事 に よ る 収 入 ( 図 11 参 照 ) 仕 事( 農 業 以 外25)を 通 じ て の 現 金 収 入 が あ る 人 に つ い て は 、タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 の 調 査 結 果 に 差 異 が 出 た26。 タ イ ビ ン 省 で は 裁 縫 業 に 従 事 す る 片 足 の 不 自 由 な 女 性 1 人 だ っ た の に 対 し(1 人 だ け の た め 図 は 作 成 し な い )、ハ ー ナ ム 省 で は 15 人 と 数 が 多 か っ た 。 し か し 、 タ イ ビ ン 省 の ケ ー ス に つ い て は イ ン タ ビ ュ ー 時 に 応 答 者 が 言 及 し な か っ た も の の 、 揚 げ 豆 腐 作 り ・ 盆 栽 作 り な ど 、 収 入 が あ る こ と を う か が わ せ る 作 業 に 従 事 し て い る 人 た ち が い た こ と に も 留 意 す る 必 要 が あ る 。 ハ ー ナ ム 省 に お い て は 、 中 で も 手 工 芸 が 最 も 多 く 、 6 人 が 籐 細 工 、 1 人 が 刺 繍 に 取 り 組 ん で い た 。 そ の 他 に も 豆 腐 作 り ・ 酒 作 り に 取 り 組 む 人 た ち が お り 、 合 計 す る と 手 に 職 を つ け た 人 が 9 人 い た 。 障 害 の 種 類 と し て は 病 気 、 枯 葉 剤 、生 来 と い っ た 様 々 な 原 因 で 障 害 を 負 っ た 人 が 含 ま れ て い る 。発 育 不 全 、 肢 体 不 自 由 、 難 聴 、 言 語 障 害 な ど 、 障 害 の 状 況 も 様 々 で あ る が 、 こ れ ら の 人 た ち に 共 通 し て い た の は 手 先 の 自 由 が き く と い う こ と で あ っ た 。 技 術 の 習 得 の ル ー ト は 、 省 の 労 働 ・ 傷 病 兵 ・ 社 会 問 題 局 が 運 営 す る 職 業 技 術 セ ン タ ー に 通 う 、 養 母 の 兄 に 学 ぶ な ど 、 そ れ ぞ れ の 条 件 に 基 づ い て 選 択 を 行 っ て い る 。 両 省 の 共 通 点 を こ こ で 求 め る と 、 裁 縫 、 籐 細 工 、 刺 繍 、 豆 腐 作 り な ど 、 手 に 職 を つ け る と か 、あ る い は 飲 料 水 販 売 店 、飲 食 店 を 経 営 す る と い う よ う に 、 勤 務 時 間 、 仕 事 の ペ ー ス な ど を 主 体 的 に 管 理 し や す い 仕 事 、 職 種 、 環 境 を こ れ ら の 障 害 者 の 人 た ち が 選 択 し て い る と い う こ と で あ る 。 「 国 家 」 か ら の 支 援 だ け に 依 存 し な い で 、 あ る い は 「 国 家 」 か ら の 支 援 に 依 存 し な い で 生 活 す る た め に は 、 仕 事 は 重 要 な 選 択 肢 の 一 つ で あ る 。 そ れ ぞ

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れ の 障 害 の 具 体 的 状 況 、 周 囲 の 環 境 ・ 条 件 に 応 じ て 、 そ れ ぞ れ の 障 害 者 が 生 き 方 を 模 索 し て い る と 考 え ら れ る 。 ⑦ 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 、「 社 会27」 に 対 す る 要 求(図 12、 13、 14、 15 参 照) 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 に つ い て は 、 タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 共 に ほ と ん ど の 人 が 要 求 事 項 を 挙 げ た 。 中 で も 扶 助 金 の 支 給 、 増 加 に 対 す る も の が 両 省 共 に 最 多 で あ っ た 。 医 療 関 係 に つ い て の 要 求 が 両 省 共 に 2 番 目 と な っ て い る 。 生 活 関 連 の 項 目 で タ イ ビ ン 省 4 人 、 ハ ー ナ ム 省 で 10 人 と 差 が 出 た の は 、 後 者 で は 実 際 に お 金 の 絡 む 仕 事 に 従 事 し て い る 人 が 多 か っ た こ と が 一 つ の 背 景 と 考 え ら れ る ほ か 、 家 の 修 理 ・ 建 築 へ の 支 援 と い っ た 個 別 、 特 殊 事 情 に 応 じ た 要 求 が ハ ー ナ ム 省 で 多 く 出 た こ と に よ る 。 仕 事 関 係 の 項 目 で も 数 に 差 が 出 た が 、 タ イ ビ ン 省 で は 資 金 を 借 り て ま で 商 売 を 行 お う と い う 人 が い な か っ た の に 対 し て 、 ハ ー ナ ム 省 で は 3 人 い た こ と も 要 因 と な っ て い る 。 こ の 点 に つ い て も 後 者 で は 実 際 に お 金 の 絡 む 仕 事 に 従 事 し て い る 人 が 多 か っ た こ と が 、 一 つ の 背 景 と し て あ る と 考 え ら れ る 。 タ イ ビ ン 省 で 教 育 関 係 の 要 求 が 6 人 あ っ た の に 対 し 、 ハ ー ナ ム 省 で は 0 人 で あ っ た 。調 査 対 象 者 中 に 含 ま れ る 10 代 の 人 の 割 合 が 前 者 で 15 人 、後 者 で 9 人 と 、 若 い 調 査 対 象 者 が 前 者 で 多 か っ た こ と も 要 因 の 一 つ と し て 考 え ら れ る 。 次 に 「 社 会 」 に 対 す る 要 求 に つ い て 考 え た い 。 タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 共 に 要 求 事 項 を 挙 げ な い 人 が 20 人 を 超 え た 。 「 社 会 」に 対 す る 要 求 で 最 も 多 い 項 目 は 、「 関 心・理 解 」で あ り 、両 省 と も に 6 人 で あ っ た 。「 関 心 を 持 っ て も ら う だ け で 十 分 」、「 時 々 話 に き て も ら え れ ば 」 と い っ た さ さ や か な 願 い も 中 に 含 ま れ る 。 生 活 関 係 の 項 目 が ハ ー ナ ム 省 で か な り 多 い が 、 単 な る 「 支 援 」 を 求 め る も の の ほ か 、 障 害 者 間 の 交 流 の 条 件 作 り を 求 め る も の や 、 コ ン ピ ュ ー タ へ の ア ク セ ス な ど 、 よ り 具 体 的 な 事 項 が 挙 げ ら れ て い る こ と が タ イ ビ ン 省 と は 異 な っ て い る 。 ハ ー ナ ム 省 で は 「 ハ

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ー ナ ム 省 障 害 者 の 会 」 と い っ た 障 害 者 組 織 が 、 未 だ で き て 間 も な い も の の 存 在 し て い る28。 そ う し た 点 も こ の よ う な 要 求 が 出 て く る 要 因 の 一 つ に な っ て い る と 考 え ら れ る 。 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 と 「 社 会 」 に 対 す る 要 求 の 関 係 と い う 観 点 か ら 最 も 注 目 さ れ る の は 、タ イ ビ ン 省 、ハ ー ナ ム 省 共 に 、「 国 家 」に 対 す る 要 求 を ほ と ん ど の 人 が 挙 げ て い る の に 対 し 、「 社 会 」に つ い て は 要 求 事 項 を 挙 げ て い な い 人 が 相 当 数 に 上 る こ と で あ る 。 同 じ 生 活 環 境 で く ら し 、 経 済 的 物 質 的 な 側 面 で は 豊 か と は い い 難 い 生 活 を し て い る こ と を 互 い に 理 解 し て い る 近 隣 の 人 た ち に 対 し て 、 何 か を あ え て 求 め る こ と は で き な い と い う 主 旨 の 説 明 は 両 省 で 共 に よ く 聞 か れ た 。こ の こ と は 、「 社 会 」が 既 に 多 く を 担 っ て き て い る こ と を 示 唆 し て い る と 考 え ら れ る 。ま た 、「 社 会 」が 多 く の こ と を 既 に 担 い 、か つ 何 か を 要 求 す る 対 象 と し て 位 置 付 け ら れ て い な い ケ ー ス が 多 い と い う こ と は 、 障 害 者 個 々 の 生 活 に と っ て 、「 社 会 」の 中 で も 特 に「 家 族 」の 存 在 が 大 き い こ と を 示 唆 し て い る と 考 え ら れ る 。 他 方 、 タ イ ビ ン 省 ・ ハ ー ナ ム 省 の 調 査 対 象 者 の 多 く が 、 要 求 可 能 な 対 象 、 物 事 を 要 求 す る 対 象 と し て 「 国 家 」 を 認 識 し て い る と 考 え ら れ る 。 第 3 節 ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 生 活 に お け る 「 国 家 と 社 会 」 こ れ ま で の 検 討 結 果 に 基 づ い て 、 本 節 で は ベ ト ナ ム の 障 害 者 問 題 に お け る 「 国 家 と 社 会 」 の 関 係 の 様 態 に つ い て 考 え た い 。 前 節 で の 考 察 、 特 に ② ~ ⑤ に 関 連 す る 検 討 か ら 、 障 害 を 負 っ た 原 因 に よ っ て 「 国 家 」 と 障 害 者(「 社 会 」 の 側)と の 関 係 の 様 態 に 違 い が あ る こ と が 分 か っ て き た 。こ れ に つ い て 、以 下 の 6 つ の 類 型 を 抽 出 で き る と 考 え ら れ る29 (1 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 へ の 直 接 参 加 に よ る も の で あ り 、 そ れ が 「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て お り 、 扶 助30を 受 け て い る ケ ー ス 。 (2 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 へ の 直 接 参 加 に よ る も の で あ る が 、そ れ が「 国

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家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て お ら ず 、 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス31 (3 )障 害 を 負 っ た 原 因 が 間 接 的 な 戦 争 へ の 関 わ り ( 両 親 < 特 に 父 親 の ケ ー ス 多 > の 戦 争 へ の 参 加 、 枯 葉 剤 へ の 被 災 ) で あ り 、 そ れ が 「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 。 (4 ) 障 害 を 負 っ た 原 因 が 間 接 的 な 戦 争 へ の 関 わ り( 両 親 < 特 に 父 親 の ケ ー ス 多 > の 戦 争 へ の 参 加 、 枯 葉 剤 へ の 被 災 ) で あ る 疑 い が あ る が 、 そ れ が 「 国 家 」 に 認 定 さ れ て お ら ず 、 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス 。 (5 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 に 関 係 な く 、「 国 家 」か ら 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 。 (6 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 に 関 係 な く 、「 国 家 」か ら 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス 。 以 下 で は 、 ま ず 6 つ の 類 型 そ れ ぞ れ に つ い て 検 討 し た 後 、 ベ ト ナ ム の 「 国 家 」 と 障 害 者(「 社 会 」 の 側 )と の 関 係 の 様 態 に つ い て 総 合 的 な 分 析 を 行 う こ と に し た い 。 検 討 の 際 、 6 つ の 類 型 そ れ ぞ れ の 具 体 的 事 例 を タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 か ら 基 本 的 に 一 例 ず つ 挙 げ る が 、 調 査 対 象 者 の 応 答 に 即 し て 、 調 査 時 点 で の 情 報 に 基 づ い て 記 述 を 行 う 。 そ の 際 、 調 査 対 象 者 の プ ラ イ バ シ ー を 守 る こ と を 心 が け る 。お 金 に 関 す る 記 述 も 含 む の で 、参 考 の た め に 物 価 表( 表 4 ) を 掲 げ る 。 そ れ で は 、 そ れ ぞ れ の 類 型 に つ い て 考 え て い く こ と に し た い 。 (1 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 へ の 直 接 参 加 に よ る も の で あ り 、 そ れ が 「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て お り 、 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 。 こ れ は 傷 病 兵 や 枯 葉 剤 に 直 接 被 災 し た 人 の ケ ー ス で あ る 。 戦 闘 へ の 直 接 的 な 参 加 、戦 地 に お け る 任 務 で 障 害 を 負 っ た が 、「 国 家 」へ の 貢 献 を 認 め ら れ て 扶 助 金 の 支 給 な ど を 受 け て い る 。 こ の 場 合 、 若 い 頃 の 軍 服 姿 の 写 真 を 額 に 入 れ て 部 屋 に 飾 る な ど「 国 家 」の た め に 働 い た こ と を 誇 り に し て い る 人 が 多 い 。 片 方 の 脚 を 付 け 根 か ら 失 う 、 膝 か ら 下 の 部 位 を 失 う 、 片 腕 を 失 う 、 爆 弾 の 破 片 が 頭 に 残 り 、視 覚 や 手 の 動 き に 障 害 が 残 る な ど 、様 々 な 障 害 を 抱 え て い る 。

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調 査 対 象 者 中 、 こ の ケ ー ス に 該 当 す る 人 は タ イ ビ ン 省 9 人 、 ハ ー ナ ム 省 4 人 の 計 13 人 で あ っ た 。 具 体 例 と し て 、 以 下 の 事 例 を 挙 げ て お き た い 。 タ イ ビ ン 省 ブ ー ト ゥ ー 県 B 社 の I さ ん は 1950 年 代 半 ば に 生 ま れ た 。 ベ ト ナ ム 南 部 の ロ ン ア ン 省 な ど で 戦 闘32に 参 加 し た 。 右 脚 付 け 根 か ら 下 を 失 い 、 右 手 に も 障 害 を 負 っ た 。 調 査 時 点 で 「 国 家 」 か ら 補 助 者 に 対 す る 手 当 て も 含 め て 月 額 122 万 2000 ド ン の 扶 助 金 を 支 給 さ れ て い る 。 義 足 も 「 国 家 」 か ら 補 助 を 受 け て 作 成 し た 。 農 業 に 従 事 す る 妻 と 孫 の 3 人 で 生 活 し て い る 。 3 人 の 子 ど も の う ち 、 2 人 の 息 子 は 地 方 政 府 機 関 、 輸 出 加 工 区 で 働 い て い る 。 1 人 娘 は 隣 省 で 結 婚 し た が 、 夫 と 共 に 職 が な く 、 娘 を I さ ん 宅 に 預 け て い る 。 こ の 孫 の 幼 稚 園 へ の 送 迎 、 家 事 が I さ ん の 日 課 で あ る33 I さ ん の 心 配 事 は 「 子 ど も が 不 在 で 世 話 を し て く れ る 人 が い な い こ と 」 で あ る 。「 国 家 」 に 対 す る 要 求 は 、 扶 助 金 の 増 額 、「 社 会 」 に 対 し て は 要 求 を 挙 げ ら れ な か っ た 。 ハ ー ナ ム 省 ズ イ テ ィ エ ン 県 D 社 で 暮 ら す H さ ん は 1950 年 代 初 め 生 ま れ の 男 性 で あ る 。 ベ ト ナ ム 南 部 タ イ ニ ン 省 な ど で 戦 闘 に 参 加 し 、 右 脚 を 負 傷 す る と と も に 枯 葉 剤 に 被 災 し た 。「 国 家 」か ら 月 額 69 万 ド ン の 扶 助 金 を 支 給 さ れ て い る 。 傷 は ま だ 痛 む と い う 。 ほ ぼ 同 年 齢 の 奥 さ ん と 結 ば れ 、2 人 の 息 子 と 2 人 の 娘 を も う け た 。ま だ 10 歳 に 満 た な い 養 子( 男 )も い る 。実 子 4 人 す べ て 枯 葉 剤 被 災 者 と 認 定 さ れ た 。 2 人 の 娘 の 症 状 は 比 較 的 軽 く 、結 婚 し て 家 を 出 た 。「 国 家 」か ら の 扶 助 金 お よ び 経 営 す る 飲 食 店(ビ ー ル や つ ま み を 販 売 )の 売 り 上 げ が 生 活 収 入 源 で あ る 。 飲 食 店 経 営 か ら の 収 入 は 月 額 約 20 万 ド ン ほ ど と い う こ と で あ っ た 。 H さ ん は 店 の 設 備 の 老 朽 化 を 心 配 し て い る 。 店 は 見 た 目 か な り 古 く 、 イ ン タ ビ ュ ー 中 に 2 度 部 屋 の 灯 り が 消 え た ( こ の 地 域 で は 筆 者 滞 在 中 に 幾 度 も 停 電 が 発 生 し た 。し た が っ て 原 因 が 店 の 設 備 に あ る の か ど う か は 必 ず し も 特 定 で き な い )。 そ れ で も H さ ん は 意 欲 的 で あ り 経 営 拡 大 を 願 っ て い る 。 「 国 家 」に 対 す る 要 求 と し て は 、「 傷 病 兵・障 害 者 の 生 活 に 関 心 を 持 っ て ほ

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し い と い う こ と 」 と 「 飢 餓 撲 滅 ・ 貧 困 緩 和 」 へ の 取 り 組 み を 挙 げ た 。 他 方 、 「 社 会 」 に 対 す る 要 求 と し て は 、「 分 か ち 合 い 」 と 「 支 援 」 を 挙 げ て い る 。

(2 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 へ の 直 接 参 加 に よ る も の で あ る が 、そ れ が「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て お ら ず 、 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス34

こ れ は 例 え ば 、 青 年 先 鋒 隊 (Thanh nien xung phong) の 一 員 と し て 戦 闘 に 参 加 し た こ と を 原 因 と し て 障 害 を 負 っ た に も 関 わ ら ず 、「 国 家 」か ら 扶 助 金 の 支 給 な ど を 受 け る こ と が で き て い な い ケ ー ス で あ る 。こ の 場 合 、上 述( 1 ) の 類 型 に 該 当 す る 人 と 同 様 に 「 国 家 」 の た め に 命 を 賭 け て 働 い た に も か か わ ら ず 、 扶 助 を 受 け る こ と が で き て い な い 。 調 査 対 象 者 の 中 に は タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 と も に 該 当 す る ケ ー ス は な か っ た 。 こ こ で は 具 体 例 と し て 、 タ イ ビ ン 省 に お け る 調 査 対 象 者 の 父 親 の ケ ー ス を 記 し て お き た い 。 タ イ ビ ン 省 ブ ー ト ゥ ー 県 B 社 の S さ ん は 40 代 後 半 の 男 性 で あ る 。 タ イ ニ ン 省 で 戦 闘 に 参 加 し た 。 正 規 軍 に よ る 攻 撃 の 前 に 準 備 を 行 う こ と が S さ ん の 任 務 だ っ た 。見 る と 、S さ ん の 両 脚 は 極 端 に や せ 細 っ て い た 。2005 年 末 に ナ ム デ ィ ン 省 で 会 っ た 枯 葉 剤 被 災 者 の 男 性 は 片 方 の 脚 が S さ ん の 両 脚 と 類 似 の 症 状 で あ っ た 。S さ ん は 枯 葉 剤 に 被 災 し た こ と が 原 因 だ と 考 え て い る 。 現 在 は 精 米 業 を 細 々 と 営 む 。 調 査 当 時 5 歳 の 娘 さ ん は 、 肢 体 、 視 覚 、 神 経 、 聴 覚 、 精 神 、 言 語 の す べ て に 障 害 が あ る 。 枯 葉 剤 の 影 響 だ と S さ ん は 考 え て い る 。 妻 は 娘 を 生 ん で す ぐ 家 を 出 た 。 心 配 な こ と は 、娘 を 世 話 す る 人 が 誰 も い な い こ と 、自 身 の 健 康 問 題 で あ る 。 「 国 家 」に 対 す る 要 求 は 娘 に 対 す る 支 援 で あ り 、学 費 免 除 、扶 養 で あ っ た 。 「 社 会 」に 対 す る 要 求 に つ い て う か が う と 、震 え る 声 で 静 か に「 国 家 の 責 任 」 と 応 答 さ れ た 。 (3 )障 害 を 負 っ た 原 因 が 間 接 的 な 戦 争 へ の 関 わ り ( 両 親 < 特 に 父 親 の ケ ー

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ス 多 > の 戦 争 へ の 参 加 、 枯 葉 剤 へ の 被 災 ) で あ り 、 そ れ が 「 国 家 」 に よ っ て 認 定 さ れ て 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 。 こ れ は 枯 葉 剤 被 災 者 の 第 2 世 代 に 相 当 す る 。 自 身 は 直 接 戦 争 に 参 加 し て い な い が 親 ( 特 に 父 親 の ケ ー ス 多 ) が 戦 闘 に 参 加 し て 枯 葉 剤 に 直 接 被 災 し 、 帰 郷 後 に で き た 子 ど も が 枯 葉 剤 被 災 者 と し て 認 定 さ れ た ケ ー ス で あ る 。 こ の 場 合 、「 国 家 」 か ら 扶 助 金 を 受 給 し て い る 。 枯 葉 剤 被 災 者 の 場 合 、 外 部 の 者 が そ の 思 い を 汲 み 取 り う る よ う な 健 康 状 態 に な い 人 も 多 い 。 だ が 、 症 状 の 比 較 的 軽 い 人 は 「 国 家 」 か ら 扶 助 金 を 受 け る こ と が で き て い る と い う 点 に つ い て は 肯 定 的 に 受 け 止 め て い る 。 肢 体 の 奇 形 、 起 立 困 難 、 間 断 な く 咳 き 込 む 、 徘 徊 、 難 聴 な ど 様 々 な 障 害 の 現 状 を 抱 え て い る 。 調 査 対 象 者 中 、 こ の ケ ー ス に 該 当 す る の は タ イ ビ ン 省 5 人 、 ハ ー ナ ム 省 8 人 の 計 13 人 で あ っ た 。 具 体 的 例 と し て 、 以 下 の 事 例 を 挙 げ て お き た い 。 タ イ ビ ン 省 ブ ー ト ゥ ー 県 B 社 の T さ ん は 1990 年 代 生 ま れ の 少 年 で あ る 。 肢 体 、 視 覚 、 精 神 ・ 神 経 、 聴 覚 、 言 語 に 生 来 障 害 が あ り 、 知 的 理 解 に も 問 題 の あ る 疑 い が あ る 。 起 き 上 が る こ と は で き ず 、 部 屋 に 吊 る し た ハ ン モ ッ ク の 中 で 小 刻 み に 体 を 震 わ せ な が ら 声 に な ら な い 声 を 時 折 上 げ る と い う 状 況 だ っ た 。応 答 い た だ い た 父 親 は 農 業 に 従 事 し て お り 、1970 年 代 初 め か ら 80 年 代 初 め に か け て 従 軍 、 う ち 5 年 間 を 中 部 高 原 地 域 で 戦 闘 に 参 加 し 、 枯 葉 剤 に 被 災 し た 。T さ ん だ け で な く 姉 3 人 も 枯 葉 剤 被 災 者 と し て 認 定 さ れ て い る 。 T さ ん の 症 状 は 中 で も 一 番 重 い 。 父 親 、 姉 妹 兄 弟 全 員 に そ れ ぞ れ 「 国 家 」 か ら 扶 助 金 が 支 給 さ れ て い る 。T さ ん に 対 す る 月 額 支 給 額 は 約 17 万 ド ン と い う 。 ま た 、 赤 十 字 か ら 生 活 水 の 精 製 施 設 の 設 置 費 用 の 支 援 を 受 け て お り 、 近 所 に 住 む 一 人 の お 歯 黒 を し た お ば あ さ ん の 話 で は 、T さ ん 家 族 が 住 ん で い る 家 も 共 同 体(cong dong)の 支 援 で 建 設 し た と の こ と で あ っ た 。 父 親 に よ れ ば 、T さ ん の 母 親 、長 姉 、次 姉 と 4 人 で 農 業 に 従 事 し て い る が 、 主 食 の 米 も 必 要 量 を 下 回 っ て い る 。 心 配 し て い る の は 子 ど も の 世 話 を 継 続 す

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る た め の 経 済 問 題 で あ る 。 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 は 生 活 を 保 つ た め に 扶 助 金 を 増 額 し て ほ し い と い う こ と 、 他 方 「 社 会 」 に 対 す る 要 求 は 何 も 挙 げ な か っ た 。 父 親 は T さ ん の 足 首 を 握 り な が ら「 十 分 強 い 」と 語 り 、10 年 後 の 希 望 と し て 「 病 気 の 治 癒 」 を 挙 げ た 。 ハ ー ナ ム 省 ズ イ テ ィ エ ン 県 D 社 で 暮 ら す H さ ん は 1970 年 代 後 半 生 ま れ の 独 身 女 性 で 妹 、弟 が い る 。姉 、弟 も 枯 葉 剤 被 災 者 で あ る 。父 親 が ク ア ン チ 省 、 ト ゥ ア テ ィ エ ン = フ エ 省 で 戦 闘 に 参 加 、 枯 葉 剤 に 被 災 し た 。 父 は 既 に 亡 く な り 、 応 答 い た だ い た 母 、 そ し て 妹 、 弟 の 4 人 で 暮 ら し て い る 。 枯 葉 剤 被 災 者 と し て 月 額 18 万 ド ン を 支 給 さ れ て い る 。 聴 覚 、 言 語 に 障 害 が あ る が 、 手 話 は 学 ん で い な い 。 補 聴 器 が あ れ ば 聞 く こ と が 可 能 と い う こ と だ っ た 。 籐 細 工 作 り と 家 事 に 従 事 し て い る 。 母 親 の 心 配 ご と は 「 自 分 の 死 後 の こ ど も た ち の 世 話 の 問 題 」 で あ っ た 。 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 に つ い て は 「 補 聴 器 の 支 援 」、「 社 会 」 に 対 す る 要 求 に つ い て は 「 誰 も が 貧 し い の で 要 求 す る こ と は で き な い 」 と そ の 理 由 を 述 べ て い る 。 (4 ) 障 害 を 負 っ た 原 因 が 間 接 的 な 戦 争 へ の 関 わ り( 両 親 < 特 に 父 親 の ケ ー ス 多 > の 戦 争 へ の 参 加 、 枯 葉 剤 へ の 被 災 ) で あ る 疑 い が あ る が 、 そ れ が 「 国 家 」 に 認 定 さ れ て お ら ず 、 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス 。 こ れ は 、 親 が 戦 闘 に 参 加 し て 枯 葉 剤 に 直 接 被 災 し 、 帰 郷 後 に 障 害 を 負 っ た 子 ど も が 生 ま れ た も の の 、 親 の 枯 葉 剤 の 被 災 も 未 だ 未 公 認 で あ る た め 、 枯 葉 剤 被 災 の 疑 い が あ っ て も 認 定 さ れ て い な い ケ ー ス で あ る 。 祖 父 な ど の 直 接 被 災 が 第 2 世 代 だ け で な く 第 3 世 代 に ま で 影 響 し た 場 合 も こ こ に 含 ま れ る35 こ の 場 合 、( 3 )の 類 型 に 該 当 す る 人 と 類 似 の 症 状 で あ っ て も「 国 家 」か ら の 扶 助 金 を 受 給 で き て い な い 。 片 目 眼 球 の 欠 損 、 肢 体 の 奇 形 、 視 覚 の 喪 失 な ど 様 々 な 障 害 を 抱 え て い る 。 調 査 対 象 者 中 、 こ の ケ ー ス に 該 当 す る の は タ イ ビ ン 省 3 人 、 ハ ー ナ ム 省 3

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人 の 計 6 人 で あ っ た 。 具 体 例 と し て 、 以 下 の 事 例 を 挙 げ て お き た い 。 タ イ ビ ン 省 ブ ー ト ゥ ー 県 B 社 の N さ ん は 1980 年 代 初 め 生 ま れ の 独 身 女 性 で あ る 。 父 親 は 青 年 先 鋒 隊 と し て 米 軍 に よ る 枯 葉 剤 散 布 地 域 で あ る 中 部 高 原 ダ ク ラ ク 省 で 戦 闘 に 参 加 し た 。 学 費 は 軽 減 免 除 さ れ 、 中 学 校 を 卒 業 し た 。 片 方 の 眼 に 障 害 が あ る 。 原 因 は 「 生 来 」 と の 応 答 で あ っ た が 、 父 親 も 視 覚 が 弱 っ て い る と の 状 況 、 弟 も 重 度 の 障 害 を 負 っ て い る こ と か ら 、 原 因 は 枯 葉 剤 に よ る 影 響 の 可 能 性 が あ る 。 調 査 当 時 、 母 親 は 病 気 で 入 院 中 で あ っ た 。「 国 家 」 か ら の 支 援 は な い 。 米 な ど の 基 本 食 糧 も 不 足 傾 向 に あ る 。 最 も 心 配 な こ と は 健 康 問 題 で あ り 、病 気 の 治 癒 を 願 っ て い る 。「 国 家 」に 対 す る 要 求 に つ い て は 病 気 の 治 療 支 援 、自 身 と 弟 に 対 す る 資 金 援 助 、「 社 会 」に 対 す る 要 求 は 何 も 挙 げ ら れ な か っ た 。 理 由 は 「 す べ て の 人 が い い 人 だ か ら 」 と の こ と で あ っ た 。 現 在 は 出 来 る 範 囲 で 家 事 を し て い る 。 ハ ー ナ ム 省 ズ イ テ ィ エ ン 県 D 社 の V さ ん は 1970 年 半 ば に 生 ま れ の 独 身 男 性 で あ る 。 肢 体 、 視 覚 、 聴 覚 、 言 語 、 精 神 ・ 神 経 に 生 来 障 害 が あ り 、 ま た 知 的 理 解 に 障 害 の あ る 疑 い が あ る 。V さ ん は 7 人 姉 妹 、 兄 弟 の 末 っ 子 で あ る 。 6 人 の 姉 、 兄 は 父 親 が 戦 争 に 行 く 前 に 生 ま れ た 。 父 親 は ベ ト ナ ム 戦 争 時 に 枯 葉 剤 散 布 地 域 で あ る ク ア ン チ 省 で 戦 闘 に 参 加 し て お り 、 V さ ん は 枯 葉 剤 被 災 の 疑 い が あ る 。 村 長 も 扶 助 金 を 受 け る 手 続 を 進 め よ う と し て い る が 、 こ こ 数 年 進 捗 が な い 。 父 親 が 従 軍 中 、 軍 務 を 放 棄 し て 帰 郷 し た こ と が 背 景 に あ る よ う で あ る 。 V さ ん は 食 事 、排 泄 、 入 浴 と も に 一 人 で で き る が 、 所 得 を 得 る た め に 仕 事 を す る こ と は 容 易 で な い 。 (5 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 に 関 係 な く 、「 国 家 」か ら 扶 助 を 受 け て い る ケ ー ス 。 こ れ は 病 気 、先 天 性 な ど 、戦 争 以 外 の 原 因 で 障 害 を 負 い 、「 国 家 」か ら 扶 助 金 を 得 て い る ケ ー ス で あ る 。こ の 場 合 、「 国 家 」か ら 扶 助 金 を 受 け る こ と が で き て い る と い う 点 に つ い て は 、 肯 定 的 に 受 け 止 め て い る 。 日 本 脳 炎 に よ る 発

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育 不 全 、 肢 体 の 奇 形 、 視 覚 障 害 、 知 的 障 害 な ど 、 様 々 な 障 害 を 抱 え て い る 。 調 査 対 象 者 中 、 こ の ケ ー ス に 該 当 す る の は 、 タ イ ビ ン 省 6 人 、 ハ ー ナ ム 省 3 人 の 9 人 で あ っ た 。 具 体 例 と し て 、 以 下 の 事 例 を 挙 げ て お き た い 。 タ イ ビ ン 省 ブ ー ト ゥ ー 県 A 社 の S さ ん は 1950 年 代 後 半 に 生 ま れ た 独 身 女 性 で あ る 。80 歳 に な る 母 親 と 2 人 で 暮 ら し て い る 。生 来 、左 脚 が 湾 曲 し て い る 。「 国 家 」 か ら 扶 助 金 と し て 月 額 65000 ド ン を 支 給 さ れ て い る 。 応 答 と し て は 家 事 を し て い る と い う こ と で あ っ た36。 家 の 中 は き れ い に 片 付 け ら れ て い た 。 訪 問 時 若 い 女 性 が 2 人 家 に い た 。 色 々 手 伝 っ て も ら っ て い る よ う で あ っ た 。 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 は 生 活 の 支 援 で 具 体 的 に は 扶 助 金 の 増 額 を 望 ん で い る 。「 社 会 」に 対 す る 要 求 は 挙 げ ら れ な か っ た 。米 な ど の 基 本 食 糧 は 足 り て い る 。 ハ ー ナ ム 省 ズ イ テ ィ エ ン 県 D 社 の B さ ん は 1950 年 代 後 半 生 ま れ の 独 身 女 性 で あ る 。 4 人 姉 妹 、 兄 弟 ( 女 2 人 、 男 2 人 ) の 長 女 で 70 歳 台 半 ば の 脚 の 不 自 由 な 母 親(杖 使 用 )と 暮 ら し て い る 。 同 じ 敷 地 内 の 別 宅 に 弟 が 住 む 。 L さ ん は 烈 士 家 庭 に 生 ま れ 育 ち 、 2 歳 の 時 に 日 本 脳 炎 に か か り 、 肢 体 が 発 育 不 全 と な っ た 。「 国 家 」 か ら 月 額 65000 ド ン の 支 給 を 受 け て い る 。 仕 事 は 、 家 内 で 籐 細 工 作 り に 従 事 し て い る 。 仕 事 時 間 は 休 憩 1 時 間 ~ 1 時 間 30 分 を 挟 ん で 、大 体 朝 7 時 30 分 ~ 夕 方 18 時 ま で 。同 細 工 作 り の 技 術 は 職 業 教 育 セ ン タ ー(Trung tam day nghe )で 学 ん だ 。「 国 家 」 か ら の 扶 助 金 と 籐 細 工 の 売 上 げ が L さ ん の 収 入 源 で あ る 。 心 配 な 事 柄 は 作 っ た 籐 細 工 の 売 り 上 げ が 安 定 せ ず 、 収 入 が 不 安 定 な こ と で あ る 。 具 体 的 に は 1 日 平 均 で 5000~ 7000 ド ン の 実 入 り と の こ と で あ っ た 。 ま た 、 コ ン ピ ュ ー タ へ の ア ク セ ス が 未 だ で き て い な い こ と も 心 配 な 事 柄 と し て 挙 げ た 。 「 国 家 」に 対 す る 要 求 と し て は 、「 す べ て の 障 害 者 に 対 し て 関 心 を 持 っ て ほ し い 」 と い う こ と 、「 障 害 者 に 対 す る 補 助 器 具 の 充 実 」 を 挙 げ た 。

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「 社 会 」 に 対 す る 要 求 と し て は 、 コ ン ピ ュ ー タ へ の ア ク セ ス へ の 支 援 を 挙 げ た 。 L さ ん は 障 害 者 組 織 の 会 員37で あ り 、 同 組 織 に そ う し た 条 件 、 環 境 作 り を 期 待 し て い る 。 (6 )障 害 を 負 っ た 原 因 は 戦 争 に 関 係 な く 、「 国 家 」か ら 扶 助 を 受 け て い な い ケ ー ス 。 こ れ は 病 気 、 先 天 性 な ど 、 戦 争 以 外 の 要 因 で 障 害 を 負 っ て い る が 、「 国 家 」 か ら 扶 助 を 受 け る こ と が で き て い な い ケ ー ス で あ る 。こ の 場 合 、類 似 の 原 因 、 症 状 の 人 が 「 国 家 」 か ら 扶 助 金 を 受 け て い る ケ ー ス が あ る に も か か わ ら ず 、 扶 助 金 を 受 給 す る こ と が で き て い な い 。 生 来 寝 た き り 、 日 本 脳 炎 に よ る 発 育 不 全 、 全 身 の 麻 痺 、 寝 た き り 、 徘 徊 、 交 通 事 故 に よ る 片 足 膝 下 の 喪 失 、 医 療 事 故 に よ る 両 腕 の 麻 痺 な ど 、 様 々 な 障 害 を 抱 え て い る 。 調 査 対 象 者 中 、 こ の ケ ー ス に 該 当 す る 人 は 6 つ の 類 型 の 中 で 最 も 多 く 、 タ イ ビ ン 省 24 人 、 ハ ー ナ ム 省 26 人 で 計 50 人 で あ っ た 。 具 体 例 と し て 、 以 下 の 事 例 を 挙 げ て お き た い 。 タ イ ビ ン 省 ブ ー ト ゥ ー 県 A 社 の Q さ ん は 1990 年 代 初 め 生 ま れ の 少 年 で あ る 。生 来 、全 身 が 麻 痺 し た 状 況 に あ り 、車 椅 子 を 使 用 し て い る 。30 歳 台 前 半 の 両 親 は 中 部 高 原 地 域 ダ ク ラ ク 省 で 小 売 業 を し て お り 、 仕 入 れ の た め に 年 2 回 ほ ど 戻 っ て く る だ け で あ る 。 し た が っ て 通 常 は Q さ ん の 世 話 を し て い る 祖 父 と 弟 の 3 人 で 生 活 し て い る 。「 国 家 」か ら 扶 助 金 な ど は 受 け て い な い 。傷 が 目 に つ く 使 用 中 の 車 椅 子 は 外 国 の 組 織 か ら の 寄 贈 品 で あ り 、 祖 父 と ハ ノ イ 市 で 開 か れ た 授 与 式 に 参 加 し た 。 祖 父 の 心 配 な 事 柄 は 、畑 仕 事 を し な が ら Q さ ん の 世 話 を し な け れ ば な ら な い こ と 、Q さ ん の 心 配 な こ と は 、 学 校 に 行 け な い こ と で あ っ た 。 現 在 、 施 設 で ベ ト ナ ム 語 、数 を 学 ん だ り 、家 で 自 習 し て い る 。「 勉 強 し た い 」と い う 気 持 ち が 強 い 。弟 が 兄 の 思 い を 察 し て Q さ ん の 勉 強 ノ ー ト を 持 っ て き て く れ た が 、 意 志 の こ も っ た 文 字 が 並 ん で い た 。 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 は 、 勉 強 し た い 、 学 校 に 通 う こ と が で き る よ う 支 援

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し て ほ し い と い う こ と で あ っ た 。他 方 、「 社 会 」に 対 し て も 同 様 の 希 望 を 持 っ て い る 。 ハ ー ナ ム 省 ズ イ テ ィ エ ン 県 B 社 の Q さ ん は 1970 年 代 半 ば 生 ま れ の 独 身 男 性 で 生 来 全 身 麻 痺 の 状 況 に あ る 。精 神・神 経 、言 語 に も 障 害 が あ る 。し か し 、 主 と し て 応 答 下 さ っ た 父 親 に よ れ ば 、 食 事 、 排 泄 、 入 浴 は 一 人 で で き 、 健 康 状 況 は 安 定 し て い る 。 7 人 兄 弟 姉 妹 の 4 番 目 で 現 在 は 両 親 、 弟 、 妹 と 5 人 で 暮 ら し て い る 。 両 親 と 弟 は 農 業 に 従 事 し て お り 、Q さ ん は 牛 の 世 話 を 担 当 し て い る 。父 親 は 戦 争 に 参 加 し て い な い 。「 国 家 」か ら 扶 助 金 な ど の 支 援 は 何 も 受 け て い な い 。 心 配 な 事 柄 は 両 親 が 年 老 い た 後 の Q さ ん の 世 話 で あ る 。Q さ ん 自 身 は 収 入 が 得 ら れ る 仕 事 を 持 ち た い と 願 っ て い る 。 「 国 家 」に 対 す る 要 求 は 扶 助 金(毎 月 )の 支 給 で あ り 、「 社 会 」に 対 し て は「 何 も な い 。 誰 も が 貧 し い か ら 」 と い う こ と で あ っ た 。 こ れ ま で( 1 )~( 6 )の「 国 家 」と 障 害 者(「 社 会 」の 側 )の 関 係 に 関 す る 類 型 に つ い て 述 べ て き た 。こ の 6 つ の 類 型 は 、「 国 家 」か ら 扶 助 金 を 受 給 し て い る ( 1 )、( 3 )、( 5 ) と 、 扶 助 金 を 受 取 っ て い な い ( 2 )、( 4 )、( 6 ) の 2 つ の グ ル ー プ に 分 け る こ と が で き る 。 各 類 型 に つ い て 述 べ た 際 、 今 回 の 調 査 対 象 者 に お け る 該 当 者 数 を そ れ ぞ れ 記 し た が 、 こ こ で そ れ を ま と め て み よ う 。 す る と 、( 1 ) は タ イ ビ ン 省 9 人 、 ハ ー ナ ム 省 4 人 で 計 13 人 、( 2 ) は タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 と も に 0 人 ( 事 例 と し て 挙 げ た の は タ イ ビ ン 省 に お け る 調 査 対 象 者 の 父 親 の ケ ー ス )、( 3 ) は タ イ ビ ン 省 5 人 、 ハ ー ナ ム 省 8 人 の 計 13 人 、( 4 ) は タ イ ビ ン 省 3 人 、 ハ ー ナ ム 省 3 人 の 計 6 人 、( 5 ) は タ イ ビ ン 省 6 人 、 ハ ー ナ ム 省 3 人 の 計 9 人 、( 6 ) は タ イ ビ ン 省 24 人 、ハ ー ナ ム 省 26 人 の 計 50 人 と な っ た38 「 国 家 」 か ら 扶 助 金 を 受 給 し て い る ( 1 )、( 3 )、( 5 ) の 類 型 に 属 す る 人 は 受 給 要 因 未 特 定 の 1 人 を 合 わ せ て 合 計 36 人 ( 39.1%)、 扶 助 金 を 受 取 っ て

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い な い ( 2 )、( 4 )、( 6 ) に 属 す る 人 は 56 人 (60.9%)と な る 。 し た が っ て 、 調 査 対 象 者 中 約 60%の 人 た ち は「 国 家 」か ら の 経 済 的 支 援 を 受 け て い な い と い う こ と に な る 。 ま た 、 そ の 56 人 の う ち 、 50 人 ( 約 89.3%) ま で が 戦 争 に 関 わ ら な い 要 因 で 障 害 を 負 っ た 、( 6 )の 類 型 に 該 当 す る 人 た ち で 占 め ら れ て い る 。 第 2 節 ⑤ の 分 析 で も 指 摘 し た よ う に 、 障 害 を 負 っ た 原 因 が 戦 争 に 関 わ る か 否 か に よ っ て 、 差 異 が 生 ま れ て い る と 考 え ら れ る 。 第 2 節 ⑦ で「 国 家 」・「 社 会 」へ の 要 求 に つ い て 考 察 し た が( 図 12、13、14、 15 参 照 )、「 社 会 」 に 対 し て 要 求 を 挙 げ る 人 の 人 数 に 比 べ 、「 国 家 」 に 対 し て 要 求 を 挙 げ る 人 の 人 数 が 圧 倒 的 に 多 い こ と は 、「 社 会 」が 既 に 多 く を 担 っ て き て い る こ と を 示 唆 し て い る と 考 え ら れ る 。ま た 、「 社 会 」が 多 く の こ と を 既 に 担 い 、 か つ 何 か を 要 求 す る 対 象 と し て 位 置 付 け ら れ て い な い ケ ー ス が 多 い と い う こ と は 、障 害 者 個 々 の 生 活 に と っ て 、「 社 会 」の 中 で も 特 に「 家 族 」の 存 在 が 大 き い こ と を 示 し て い る と 考 え ら れ る 。 以 上 の 考 察 か ら 、 タ イ ビ ン 省 ・ ハ ー ナ ム 省 に お け る 調 査 を 通 し て 見 え て き た 、ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 生 活 を め ぐ る「 国 家 」と「 社 会 」の 関 係 の 様 態 は 、 総 合 的 に 見 れ ば「 社 会 」の 側( 特 に「 家 族 」)が「 国 家 」に 比 し て よ り 多 く を 担 っ て い る と い う 状 況 に あ る と 考 え ら れ る 。 こ の こ と は 、 特 に 戦 争 と 関 わ ら な い 要 因 で 障 害 を 負 っ た 人 た ち 、 戦 争 と の 関 わ り を 認 定 さ れ て い な い 人 た ち に つ い て 、よ り 顕 著 な 現 象 で あ る( 前 者 が 約 9 割 を 占 め る )。換 言 す れ ば 、「 国 家 」は 障 害 者 の 生 活 を め ぐ る 問 題 へ の 取 り 組 み に お い て「 社 会( 特 に 「 家 族 」)」 の 役 割 、 力 に 大 き く 依 存 し て い る と 判 断 す る こ と が で き る 。 お わ り に ベ ト ナ ム の 障 害 者 の 基 本 的 な 状 況 を ベ ト ナ ム 北 部 の 紅 河 デ ル タ に 位 置 す る タ イ ビ ン 省 、 ハ ー ナ ム 省 に お け る 事 例 調 査 を 通 し て 考 察 し て き た 。 今 回 の 取 り 組 み か ら 明 ら か と な っ た 紅 河 デ ル タ に 位 置 す る タ イ ビ ン 省 、 ハ

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ー ナ ム 省 の 障 害 者 の 基 本 的 な 状 況 に つ い て は 、第 2 節 で 記 し た 通 り で あ る39 本 研 究 を 通 し て 、「 国 家 」 と 同 地 域 の 障 害 者 (「 社 会 」 の 側 ) の 関 係 の 基 本 的 様 態 は 、 障 害 を 負 っ た 原 因 に よ っ て 、 先 に 挙 げ た 6 つ の 基 本 的 類 型 に 分 け る こ と が で き る こ と が 分 か っ た 。 ( 1 )~( 6 )の 類 型 は 、『 国 家 」か ら 扶 助 金 を 受 給 し て い る( 1 )、( 3 )、 ( 5 ) と 扶 助 金 を 受 取 っ て い な い ( 2 )、( 4 )、( 6 ) の 2 つ に 分 け る こ と が で き た 。調 査 対 象 者 を 各 類 型 に 振 り 分 け て み た と こ ろ 、『 国 家 」か ら 扶 助 金 を 受 給 し て い る ( 1 )、( 3 )、( 5 ) に 属 す る 人 は 、 受 給 要 因 未 特 定 の 1 人 を 合 わ せ て 合 計 36 人 ( 39.1%)、 扶 助 金 を 受 取 っ て い な い ( 2 )、( 4 )、( 6 ) に 属 す る 人 は 56 人 (60.9%)と な っ た 。 調 査 対 象 者 中 約 6 割 の 人 た ち は 「 国 家 」 か ら 経 済 的 支 援 を 受 け な い で 生 活 し て い る こ と に な る 。 ま た 、 そ の 56 人 の う ち 、50 人( 約 89.3%)ま で が 戦 争 に 関 わ ら な い 要 因 で 障 害 を 負 っ た 、( 6 ) の 類 型 に 該 当 す る 人 た ち で 占 め ら れ て い る 。 こ の こ と は 、 障 害 を 負 っ た 原 因 が 戦 争 に 関 わ る か 否 か に よ っ て 、 差 異 が 生 ま れ て い る こ と を 示 し て い る 。 ま た 、 両 省 に お け る 調 査 対 象 者 の ほ と ん ど す べ て が 「 国 家 」 に 対 す る 要 求 を 挙 げ る 一 方 で 、 半 数 近 く か ら 3 分 の 2 近 く の 人 が 「 社 会 」 に 対 し て 要 求 を 挙 げ て い な い 。こ の こ と は 、「 社 会 」が 多 く の こ と を 既 に 担 い 、か つ 何 か を 要 求 す る 対 象 と し て 位 置 付 け ら れ て い な い と い う こ と を 示 し て お り 、 障 害 者 個 々 の 生 活 に と っ て 、「 社 会 」の 中 で も 特 に「 家 族 」の 存 在 が 大 き い こ と を 示 唆 し て い る と 考 え ら れ る 。 以 上 の こ と か ら 、 タ イ ビ ン 省 ・ ハ ー ナ ム 省 の 農 村 部 に お け る ベ ト ナ ム の 在 宅 の 障 害 者 の 生 活 に お け る 「 国 家 」 と 「 社 会 」 の 関 係 の 様 態 は 、 総 合 的 に 判 断 す れ ば 、「 社 会 」( ひ い て は「 家 族 」)の 役 割 が「 国 家 」の 役 割 よ り も 大 き い 状 態 に あ る と 考 え ら れ る40。 ド イ モ イ 下 ベ ト ナ ム の 障 害 者 福 祉 へ の 取 り 組 み は 、 冒 頭 で 記 し た よ う に 「 国 家 」 と 「 人 民 」 が 共 に 担 っ て い く こ と が 基 本 方 針 と さ れ て い る 。 ま た 「 国 家 」 は 取 り 組 み を 何 も し て い な い わ け で は な い 。 こ の 点 は 重 要 で あ る 。 し か し な が ら 「 共 に 担 う 」 こ と に お け る バ ラ ン ス と い う 点 か ら み れ ば 、 現 状 で は 「 社 会 」 の 側 に バ ラ ン ス は 傾 い て い る と い う こ と

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