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高信頼性と高効率を両立するペロブスカイト太陽電池の開発に成功

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Academic year: 2021

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同時発表: 筑波研究学園都市記者会(資料配布) 文部科学記者会(資料配布) 科学記者会(資料配布)

高信頼性と高効率を両立するペロブスカイト太陽電池の開発に成功

-1000 時間の光連続照射テストをクリア 低コストな太陽電池の実用化に大きく前進-

平成 27 年 11 月 2 日(月)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構

概要

1.国立研究開発法人 物質・材料研究機構(以下NIMS)太陽光発電材料ユニットの韓 礼元ユニッ ト長をはじめとする研究グループは、ペロブスカイト太陽電池において、これまで電子抽出層と ホール抽出層*1に用いられていた有機材料を無機材料に変更することで、セル面積 1cm2以上で変 換効率を 16%に向上させると共に、実用化の目安とされる信頼性テスト(光強度 1sun*2の太陽光 で 1000 時間の連続照射)をクリアしました。 2.シリコン系太陽電池よりも低コストで製造が可能だと期待されるペロブスカイト太陽電池です が、これまでに高い変換効率を持つと報告された研究成果は、いずれもセル面積が小さく(約 0.1cm2、信頼性も低いものが多いため、ペロブスカイト太陽電池の実用化には、セル面積の拡大 及び信頼性の向上が急務となっています。 3.本研究チームは、これらの問題を解決するため、まずは、電子抽出層とホール抽出層に用いら れた有機材料を無機材料に変更しました。無機材料で作製された電子とホールの抽出層は電気抵 抗が高いため、層の厚さを数nm(ナノメートル)まで薄くする必要があります。しかし、これら の薄層は面積の拡大につれ、ピンホールと呼ばれる欠陥が多くなり、変換効率の低下を招きます。 そこで、ホール抽出層と電子抽出層にそれぞれLiイオンとNbイオンを高濃度添加して導電性を 10 倍以上に向上させることができました。それにより、大面積でもピンホールの少なくできる 10-20nmまで厚い層を使用することが可能になりました。その結果、面積 1cm2以上のセルで再現性 良く効率 16%を得ることができました。さらに、電子抽出層とホール抽出層ともに無機材料を用 いることにより、実用化の目安とされる光強度 1sunの太陽光で 1000 時間の連続照射をしても、 変換効率の低下が 10%以内に抑えられ、優れた信頼性を示しました。 4.今後は、この成果をベースに、太陽光をより多く利用できる高性能材料を開発すると共に、界 面を制御することによって、より高い変換効率と信頼性を持つペロブスカイト太陽電池の開発を 目指します。 5.今回の研究成果の一部は、国立研究開発法人 科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 (CREST)研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出 」(研究総括: 山口 真史 豊田工業大学 特任教授)、研究課題「色素増感太陽電池におけるデバイス物性に関 する研究 」において得られました。本成果は、「Science」誌オンライン版にて 10 月 30 日に公

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研究の背景 人類が直面する環境・エネルギー問題の解決を目指して、太陽光エネルギーの利用が広く注目さ れており、太陽電池の開発が活発に行われています。すでに実用化されているシリコン系太陽光電 池は、生産量の拡大により製造コストは大きく低下してきましたが、火力などの従来の発電方法と 比べると発電コストがまだ高いため、低コストで製造可能な高効率太陽電池が求められています。 一方、ペロブスカイト太陽電池(図 1)は、廉価な材料で構成されており、塗布という簡易な方 法で大量生産が可能であることから、製造コストを大幅に下げられる可能性があります。 近年、塗布プロセスで製造可能なペロブスカイト太陽電池において、非常に小さなセル(セル面 積 0.0955cm2 NIMS の太陽光発電材料ユニット韓 礼元ユニット長をはじめとする研究グループでは、2 年前か らペロブスカイト太陽電池の研究をスタートし、ペロブスカイト太陽電池のモフォロジー(表面の 凹凸)の制御、高性能キャリア輸送材料の開発による大面積化と高効率化研究を行い、今年の 5 月 に 1cm 角のセルで変換効率 15%を達成しました。 )で変換効率 20.1%が報告されていますが、セル面積が小さいために測定の誤差が大き く、また、信頼性に関する研究報告も非常に少ないのが現状でした。 http://www.nims.go.jp/news/press/2015/05/201505010.html 研究内容と成果 今回、さらなる変換効率の向上および信頼性の向上のため、電子およびホール抽出層に注目して 研究を行いました。これまで、これらの層には有機材料(低分子材料またはポリマー材料)が用い られてきました。しかし、有機材料は光に長時間さらされると壊れやすく信頼性が低いという欠点 があります。そこで本研究グループは、電子抽出層に酸化チタン(TiO2)、ホール抽出層に酸化ニッ ケル(NiO)などの無機材料の使用を試みました。これら無機材料は電気抵抗が高いため、電子抽出 層やホール抽出層として用いて高い変換効率を得るには、層の厚みを数nm(ナノメートル)まで超 薄膜化する必要があります。しかし、セル面積が拡大するにつれ、超薄層の不均一性によってピン ホールと呼ばれる欠陥が多くなり、変換効率の低下を招きます。そこで、電子抽出層にニオブイオ ン(Nb5+、ホール抽出層にリチウムイオン(Li+)とマグネシウムイオン(Mg2+)を高濃度で添加し て、導電性を向上させることにより、10-20nmという比較的厚い層を使用することが可能になりまし た。この厚さでは、大面積でもピンホールの少ない層を形成することができます。それにより、面 積 1cm2以上のセル(図 2)で再現性良く効率 16%程度を得ることができました(図 3)。さらに、電 子抽出層とホール抽出層ともに無機材料を用いることで信頼性も大幅に向上し、実用化の目安とさ れる光強度 1sunの太陽光で 1000 時間の連続照射をしても、変換効率の低下が 10%以内という優れた 信頼性を示しました(図 4)。 今後の展開と波及効果 今回、面積 1 ㎝2という大面積のセルで変換効率 16%という高効率を実現し、さらに実用化の目安 とされる光連続照射に対する信頼性テストをクリアしました。今後、この成果をもとに、さらなる 高性能材料を開発すると共に、ペロブスカイト太陽電池における各層間の界面を制御することによ って、より高性能化を目指します。また、本研究成果の実用化研究を民間企業と共同で推進するこ とで、火力発電並みのコスト(7 円/kWh)を実現すると共に、太陽電池の普及に貢献したいと考え ています。

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参考図 図3 作製されたペロブスカイト太陽電池の変換効率分布 (PCE : 変換効率) 図1 ペロブスカイト太陽電池の構造 ガラス基板 ペロブスカイト層 裏面電極 透明導電膜 電子輸送層 電子抽出層 ホール抽出層 図2 今回作製した約 1cm 角のペロブスカイト太陽電池セル(黒い部分)

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用語解説 (1)電子抽出層、ホール抽出層 電極界面での電子とホールの再結合を防ぐため、電子(もしくはホール)のみが通過できる界面層。 (2)光強度1sun 夏の晴れの日の正午の太陽光に相当する光の強さ(ワット数では100 mW/cm2)。 論文情報

著者:W. Chen, Y. Wu, Y. Yue, J. Liu, W. Zhang, X. Yang, H. Chen, E. Bi, A. Islam, M. Gratzel and L.Han,

タイトル:“Efficient and stable large-area perovskite solar cells with inorganic charge-extraction layers” 雑誌名:Science 掲載日:2015年10月29日14:00(現地時間) 本件に関するお問い合わせ先 (研究内容に関すること) 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 太陽光発電材料ユニット 韓 礼元(ハン リュアン) E-mail: [email protected] TEL: 029-859-2305 FAX: 029-859-2304 図4 ペロブスカイト太陽電池の光連続照射テスト(光強度:100mW/cm2 (黒:光照射をしない場合、赤:光照射をした場合)

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(報道担当) 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 企画部門 広報室 〒305-0047 茨城県つくば市千現 1-2-1 E-mail: [email protected] TEL: 029-859-2026 FAX: 029-859-2017

参照

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