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水素置換したシクロペンテン誘導体の合成並びに物性評価に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)水素置換したシクロペンチン誘導体の合成並びに物性評価に関する研究 修士課程 教育内容・方法開発   認識形成系コース(理科).          M11158F           保坂学. 1.諸言. ン部位を水素に置換した化合物(図2:1a・6a).  有機化合物は、一酸化炭素や二酸化炭素や炭. の合成を行った。分子構造の特徴として、ジア. 酸塩、シアン化物の塩、二硫化炭素などの少数. リールエテンのアリール部位に、対称型のベン. の簡単な化合物を除く炭素化合物の総称である。. ゾチオフェン環(1a・3a)、もしくは、ベンゾフラ. 一般に無機化合物と比べて多様な構造と性質を. ン環(4a・6a)を分子内に有している。化合物の構. 持つ。光の照射により物質の構造が可逆に変化. 造は、1HNMR法、質量分析法、単結晶X線構. する有機化合物がある。ジアリールエテン誘導. 造解析法に基づいて解析を行った。また、化合. 体は、有機フォトクロミック化合物として知ら. 物のフォトクロミック反応性は、紫外・可視吸. れている。紫外光と可視光を照射すると、開環. 収スペクトルを用いて調べた。同時に、蛍光ス. 体と閉環体の間で可逆に化学構造が変化し、構. ペクトルの測定も試みた。. 造の変化とともに色が変化することが知られて いる(図1)。    一           ∪V.     F2              F2 F2  F2   F2  F2 ∪V.     Cl−1.   7, 7, H・C SH.CS CH・.   開環体. → ← Vis.. H3C.  グC{ 7    N S H.C S. \7 R 、/.   S R S.   S R S.   la1R=Cl一・3.  lb:R=CH3  2b=R=C2H5  3b=R!C3H7.  2a=R=C2H5   3a=R!C3H7. CH3. 一  グ、  、. \〔R〔ノ  附. 閉環体 一          ㌔      uV      ’   グ \   、. \〔R〔/    \7R 、/          Vis.  O R O              O R 0   4a=R=CH3                      4b=R=CH3   5a:R!C2H5                      5b:R!C2H5. 図Iジアリールエテンのフォトクロミズム.   6a:R=C・H・        6b1R・C.H。.  図2本研究で用いたジアリールエテンの構造式.  ジアリールエテン誘導体の研究の多くが、図. 1に示すような分子構造中央のシクロペンチン. 2.結果と考察. 部位に6つのフッ素原子が導入された誘導体に. 2.1合成及び構造解析. 関する研究である。シクロペンチン部位にフッ. 韓÷叢;趾・ψ川念、わ. 素原子を導入すると、溶媒の極性に光反応性が. 合物が得られる。. 嘉旧わ∴_㌻紅.  本研究では、分子構造の中央のシクロペンチ.   図3合成経路傍:SorO;R=Me orEtorh). 依存せず、光耐久性や繰り返し耐久性の高い化.           固は一胴8.目0H、τ刮㎜四h. i.

(2) 表1誘導体1−6のヘキサン溶液中におけるフォトクロミック反応性 Compound Abso iOn s cサa 0pen form(a) 8/104M−1cm■1 (λ冊,/nm). Closed−ring fo㎜(b〕. 8/104M−1cm−1 (λ耐、ノnm). Quantum ield. F1uorescence uan杣m ield     Conversio−1. Cyclization Cycloreversion. 0pen fom(a)Closed一一ng form(b). φO→C φC−O.              (254nm) φF    φF. (254nm) (436nm). (254nm)   (436nm). 1,46(266nm)  1114(442nm) 1.31(267nm)  0.90(462nm) 1.45(266nm)  O.80(461nm). O.38. O.40. 0.00628     0.OO086          45.8%. 0,45. 0,48. 0.00746     0.OO073         50.7%. 0,45. 0,52. O.01580      0.OO047          58.1%. 2.02(256nm)  1.5フ(424nm). 0,29. 0,31. 1.93(256nm)  1.42(439nm) 1.78(257nm)  1.39(439nm). 0,30. 0,27. 0.37. 0.29. O.00789x  64.1% O.02080x  64.7% O.02040x  68.0%.  図3に示すような合成経路によって6つの誘. た。. 導粋■a−6aを合成し、合成した化合物の構造を.  光閉環反応と光開環反応の量子収率の測定結. 確認した。なかでも、誘導体1a,2a,3a,6aの. 果は、従来から合成されているジアリールエテ. 4つについてはX線結晶構造解析法により単結. ン同様、高い光反応性を示した。. 晶中の詳細な分子構造が明らかになった。 2.3蛍光スペクトルの測定結果 2.2吸収スペクトルの測定結果.  ヘキサン溶液中において、合成した化合物の.  ヘキサン溶媒中、開環体1a・6aは、254nm. 蛍光スペクトルを測定した。開環体は1a−6aの. の紫外光照射によって閉環体1b・6bが生成した。. 全ての誘導体について蛍光発光性を示した。閉. また、400nm以上の可視光を照射すると元の. 環体はベンゾチオフェン系誘導体の1b−3bが、. 1a・6aの状態へと戻った。つまり、Ia−6aはフ. 蛍光発光性を示した。1b−3bの蛍光スペクトル. ォトクロミック反応を有していることが明らか. は、1a・3aの蛍光スペクトルと異なる形の蛍光. になった。. スペクトルを得ることが出来た。測定で得られ. ヘキサン溶液中の1a−6aと1b・6bの極大吸収波. た蛍光量子収率を表1に示す。. 長、モル吸光係数、量子収率、及び254nm光 照射時の最大の変換率(254nmの光定常状態. 3.結論. 時)を表1に示す。ヘキサン溶液中の閉環体の.  シクロペンチン部位を水素置換したジアリー. 吸収極大波長は、ベンゾチオフェン系誘導体の. ルエテン誘導体の合成を試み、各種構造解析を. 方が、ベンゾフラン系誘導体に比べて若干長波. 行うことによって、各誘導体の化学構造を明ら. 長側に吸収極大を示した。. かにした。ヘキサン溶液中における吸収スペク.  ベンゾチオフェン系誘導体1b・3bで比較した. トルと蛍光スペクトルを調べ、光反応性や光発. 場合、メチル誘導体1bのみが442nmに吸収. 光の効率について検討を行った。特に、ベンゾ. 極大があり、エチル誘導体2bとプロピル3bは、. チオフェン系誘導体においては、開環体と閉環. それぞれ462nm,461nmと約20nm吸収極大. 体の両構造に起因する蛍光発光が認められた。. 波長が長波長化した。ベンゾフラン誘導体 4b−6bの比較においても、同様に、メチル誘導. 主任指導教員尾 關  徹. 体4bのみが、5bと6bと比べて短波長側に吸 収極大(424nm)を有することが明らかになっ 五. 指導教員山口忠承.

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