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現代社会におけるモノ的価値意識への警鐘 ─人間社会と自然とのつながりに着目して─

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Academic year: 2021

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現代社会におけるモノ的価値意識への警鐘 ─人間

社会と自然とのつながりに着目して─

著者

熊谷 駿

雑誌名

農業経済研究報告

50

ページ

72-72

発行年

2019-02-28

URL

http://hdl.handle.net/10097/00125352

(2)

現代社会におけるモノ的価値意識への警鐘

─人間社会と自然とのつながりに着目して─

熊谷 駿(資源環境経済学講座・環境経済学分野) 【目的】 工業化による流れ作業の一道具的存在としての労働・商品化された労働が問題視されてい る.また,科学還元主義による生命を機械的なものとして扱い,あらゆる部品(生命)は交換 可能であるという考えが人間にも当てはめられているということが指摘されている.これは 労働に限られた問題ではなく,日常生活に関しても当てはまるのではないかと考えた. そこで,効率性追求や科学主義的な意識が人間関係や自然を道具的な存在(自分の役に立 つモノ)として捉えるような姿勢につながっている可能性があることを明らかにすることを 目的とした. 【方法】 人間関係や自然を道具的な存在(自分の役に立つモノ)として捉えるような姿勢を本研究 では,モノ的人間関係・モノ的自然観と定義づけた.このようなモノ的人間関係・モノ的自然 観が効率性追求や科学主義といった姿勢から生じるのではないかという仮説のもと,モノ的 価値意識形成モデルを構築し,その実証のため東北大学の学部生を対象に質問紙調査を行っ た.大きく分けて,形式的思考・人間関係・自然に関する質問を設計した. 【分析結果】 質問紙調査の結果(回答数 153 名)をもとに形式的思考・人間関係・自然に関する質問 それぞれについて,因子分析を行った.その結果,形式的思考については4因子(形式的思考 因子・ルール順守因子・効率化因子・機械同一性因子)が, 人間関係については2因子(他 人無関心因子・家族無関心因子)が,自然因子については2因子(科学主義因子・アイデン ティティ無関心因子)が得られた.さらに,形式的思考に関する質問から得られた4因子を説 明変数,人間関係および自然に関する質問を被説明変数として重回帰分析を行った.その結 果,仮説の通り効率性追求や科学主義の姿勢からモノ的人間関係・モノ的自然観が生まれて いる可能性があることが学生に対する質問紙調査を通して明らかになった.とくに,効率性を 追求しようとする姿勢および機械と生命を同一視する姿勢が強く影響している可能性が示唆 された. 【結論】 日常の人間関係においても,効率性を追求しようとする姿勢(例えば,会議や待ち合わせの 遅延・遅刻に不寛容であるなど)は,他人に無関心となる可能性や友好関係においても自分 にとって役に立つかという尺度でしか測れなくなる可能性があることに留意する必要があ る.さらに,機械と生命を同一視する姿勢は経済や人間の生活のためなら自然破壊をしても構 わないという偏狭な人間中心主義的な姿勢を生む可能性がある.自然資源の枯渇や環境問題 が騒がれている近年,これからの時代を生きていくためには環境に配慮した行動が求められ るが,このような姿勢はそれに逆行している. 確かに,便利であるということは人々の生活を楽にし,豊かにするかもしれない.だが,便利 であることは良いことである,効率を追求することは良いことであると即座に決めるのでは なく,手間がかかることや一見不便で無駄に見えるものにも“豊かさ”があるということに気 づき,時間に寛容になることや手間がかかること・不便であることの意義も認める必要がある. -72-

参照

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