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【書評】はやわわかり —システムの世界(星野力 著)

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Academic year: 2021

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【書評】

星野カ著

「はやわかりーシステムの世界J

共立出版 129頁 1993年定価 1957 円 この類いのシステム関係の本はもっと出版されても よい.ともすれば単なる手法の集積に見えてしまうシ ステム工学を学ぶ前に,あるいは学んだ後ても, I シス テム j に対するいわば鳥敵国をこの本は与えてくれる だろう.この本は大学新入生向けに書かれているが, システムにかかわる専門家にも楽しめる内容となって いる. この本がシステム,あるいはシステム科学に関する 本としてよい点はいくつかあるカミそのうちのいくつ かを拳げてみよう. まず,システムというのは,ある特定の物を指すわ けではなく,物の見方,考え方であり,システムモデ ルがその中心にあると明確に述べている点である.す なわちモデルは,対象を「忠実に j 写したものではな し対象に対する「見方J の 1 つにすぎない.したがっ て 1 つの対象に対し,観察者の視点の位置によって, 工学的モデルのみでなく,社会的観点からのモデル, 生物的観点からのモデルなどさまざまなモデルが作れ る. その点,この本は工学的システムにとどまらず,広 〈社会システム,生物システムまで記述が及んでおり, システム的見方とはどういうものなのかの概観を得る ことができる. この本では,まず, í システムとは何か」から始まる システムの基本用語を説明し,次に,ブラックボック ス,線形,非線形システムモデル,制御理論で利用き れる伝達関数表現,状態表現などが説明され,オート マトンモデル,確率系,最適化,信頼性,ゲーム理論 と続く. 以上が第 1 部で,第 2 部は「システムの世界」と銘 打たれ,ウィナーとノイマンの話に始まり,情報理論 の話題が続く.そして分散システムの例として経済学 のモデルについて説明きれる.次にこの本ではコン ビュータの説明がきている.このような配列はかなり られない.最後の章では「人工知能の冬,人工生命の 春」と題して,人工生命をサイパネティクスの「弔い 合戦」として位置づけている.著者のいう「非明示的」 なアプローチが構造を創生するプロセスの研究にとっ て重要であることはわかるが,サイパネティクスが人 工生命へと止揚されるかどうかはシステム論者におい ても議論の分れるところであろう. これだけの話題を盛り込むと,定義などを単に網羅 的に紹介するだけになりがちであるが,この本ではそ のような退屈な本にはならずにすんでいる.主な理由 としては,ひとつには最初に述べたように,システム 的見方を理解してもらう観点から書かれていることで ある.そして何より,よい意味で著者の考え方を強〈 反映した記述をしている点である.定義を(数理的に) 細かく正確に書くことにより,どこに着目し,全体の 中で占める位置はどこかに常に注意が向けられている. いわば,この本自体が個々の詳細にはこだわらず,全 体の関係を重視した, r システム的な」書かれ方をして いるといってよいかもしれない. (もっとも本はすべて そうであるべきかもしれない) 著者の考え方を強〈反映した記述ということは,よ くいえば歯切れがよいが,かなりの部分で著者の独断 が含まれていることを意味している.したがって,不 正確な説明も含まれている. (たとえば不完全性定理の 説明.ゲーデルの証明したのは“あらゆる"論理体系 に対するものではない. )しかしこれらはこの本の欠点 ではない.この記述のもつ一種の副作用であり避けら れないことである. ただ,システムに関する本で,この本のように,シ ステム的観点を基軸に制御理論から社会システムまで 幅広い題材を扱った本がいままでなかったというわけ ではない.その意味ではこの本の参考文献はやや狭い といえる. ともあれ, r システム J といったときには, この本にある見方が“常識"になることを願うもので ユニークで,章間のつながりそのものも弱い. L-かし, ある. 最初に述べた,システム的見方とシステムモデルを軸 (東京工業大学高橋真吾) に記述を展開しているため,それほどの違和感は感じ 1994 年 1 月号 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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