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小学校社会科における見学・調査活動を支援するデジタルコンテンツの設計と開発 : 「古い道具と昔のくらし」における観察の観点の明確化

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Title

小学校社会科における見学・調査活動を支援するデジタル

コンテンツの設計と開発 : 「古い道具と昔のくらし」にお

ける観察の観点の明確化( 本文(Fulltext) )

Author(s)

高田, 敏実; 益子, 典文; 村瀬, 康一郎; 加藤, 直樹; 興戸, 律子

Citation

[岐阜大学カリキュラム開発研究] vol.[23] no.[2] p.[53]-[60]

Issue Date

2006-03

Rights

Version

岐阜県羽島郡笠松町立笠松中学校 / 岐阜大学総合情報メデ

ィアセンター

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/23380

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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岐阜大学カリキュラム開発研究 2006.3,Vol.23,No.2,53−60 小学校社会科における見学・調査活動を支援するデジタルコンテンツの設計と開発

−「古い道具と昔のくらし」における観察の観点の明確化一

高田敏美*1・益子典文*2・村瀬康一郎*2・加藤直樹*2・興戸律子事2

社会科において見学・調査活動は,学習への動機付けばかりでなく,現地での直接観察や実物を対象とし た体験的活動により,学習の深化を図る上で極めて重要である.その活動を,さらに充実したものにするために は,活動前に見学・調査を行うための観点を明確にしておく必要がある.そのために,情報限定モデルに基づ いた,子ども達の興味・関心,学習意欲,納得・共感を引き出すようなデジタルコンテンツを設計・開発し,見 学・調査活動をより充実するためのデジタルコンテンツの設計・開発を行った. <キーワード> 社会科,見学・調査活動,デジタルコンテンツ,古い道具,観察の観点の明確化 l.はじめに ある.その問題を解決するために,教師は,自らその場 所へ足を運び,取材を行って情報を集め,集めた情報を 子ども達の興味関心を掻き立てるような形に加工して事 前学習のための教材を開発してきたのである. 一方,教師の自作教材の手法として,近年,デジタル カメラなどのIT機器をより身近に利用できるようになっ てきた.これらは一般にデジタルコンテンツと呼ばれる. デジタルコンテンツとは,コンピュータなどのデジタル 機器で再生,活用できるように表現された静止画像,動 画,文章,音楽などの情報のことである. デジタルコンテンツのメディア特性を,益子(2003) は,次のように述べている. ①即理解性…‥映像や動画,音声は極めて具体性が高 い. ②データ即時性‥社会事象の今を提示することができる. ③即加工性…‥データを自由に加工することができる. ④蓄積性……・ 多くのデータをアーカイブし,蓄積する ことができる. これらのデジタルコンテンツのメディア特性を,うま く活用することで,子ども達が,学習対象に興味・関心 や疑問を持ち,学習意欲を持って追求し,納得・共感で きるような授業づくりのためのコンテンツができるので はないだろうか.社会科においては,社会的な事象と出 会い,それに興味・関心を持ち,自ら調べ考え ,社会的 事象の意味を深く考えることを通して,社会的なものの 社会科の学習を進めるに当たって,単元の中に見学・ 調査査活動を組み入れることは,児童の意欲や学習効果 を高める上で,極めて重要である.社会科の学習に活用 できる場としては,農業や商業に関わる施設,工場や行 政に関わる施設,博物館や資料館など,多様なものがあ る.見学・調査活動をすることにより,直接体験や実物 に触れる体験を通してよりリアルな社会科学習を展開す ることができる.これにより,児童の知的好奇心を高め, 学習への動機付けや学習の深化を図ることができるので ある. しかし,見学・調査活動も,ただ活動をすればそのよ うな効果が期待できるわけではない.実物や本物に触れ る機会も,学習者一人一人が,何を見て,何を調べるの かという活動の目的が明確になっていなければ,充実し た活動にはなり得ないのである.実際の見学・調査活動 へ行く前の段階で,活動をより効果的に展開するための 観察の観点が,学習者個々に意識される必要がある.以 上の点から考えると,見学・調査活動の直前の学習は, 社会科の学習にとって,大変重要な意味を持つ場となる. 確かに,これまでも,教科書や資料集などを活用して, 見学・調査活動の視点作りは行われてきた.しかしなが ら,社会科で見学・調査活動を行う対象は,地域教材で ある場合が多く,そのままの資料では,使いにくい面が *1岐阜県羽島郡笠松町立笠松中学校 *2岐阜大学総合情報メディアセンター

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見方や考え方を高めていくことが重要となる.調べ学習 によく使われているようなデータベース型のひと目で答 えが明らかになってしまうコンテンツや,子ども達に考 えさせたいのに詳細な説明がついているコンテンツでは, 上記の目標は達成できないであろう.すなわち,目的に 応じてデジタルカメラなどのIT機器を授業の中で活かす 教材開発につなげる,何らかの枠組みが必要である. そこで本研究では,デジタルコンテンツを授業で活用 する枠組みを提案するとともに,小学校4年生社会科を事 例として,見学・調査活動を支援するコンテンツ,特に 見学・調査活動を展開する前に,観察のための視点づく りを目的としたデジタルコンテンツを設計・開発するこ とを目的とする. べることを通して,過去の生活における人々の知恵や工夫に 気付いたり,地域の人々の生活の変化や人々の願いを考え たりすることができる.」ということである.このねらいを達成す るために,いきなり体験活動をするのではなく,その前に,道 具にこめられた昔の人々の知恵や工夫を学ぶことにより,昔 の道具についての概念が形成され,その概念を持って体験 活動することで,よりねらいに近づく見学ができるのではない かと考えた. しかし,ただデジタルコンテンツを見せるだけでは,興味・ 関心や学習意欲,納得・共感は生まれない.そこで,次のよ うなコンテンツにおける情報限定モデル(図1)を考えた. コンテンツにおける情報限定モデル 稚■(大)筆菅(小) → → → → 椎瀾(小)攣亨(大) 完全−コンテンツの情書取定圧 1 不完全 Ⅱ.社会科デジタルコンテンツの設計・開発 1.設計・開発の目的 授業は,教師の教授過程(教師が学習内容を伝える過 程)と学習者の学習過程(子どもが学習内容を学ぶ過程)と の相互作用によって成立している(益子,2003).教室の中 で行う学びの姿としては,教材を介して教師と子どもがやりと りを繰り返し,思考を活性化しながら課題を解決していく授業 を目指している.この点から考えていくと,子どもの学習過程 を考慮しながら,教師が教授過程を考えていく必要がある. そして,その教授過程を考えていく中で,デジタルコンテンツ 活用の意図が明確になってくると思われる. 例えば,社会科において社会的事象に対して興味・関心 を高めるためには,どのようなコンテンツの設計が必要なの か,社会的事象に対して事実追求,意味追求していこうとす る学習意欲を高めるためにはどのようなコンテンツの設計が 必要なのか,納得・共感を生み出すにはどのようなコンテン ツの設計が必要なのかという様に,それぞれのねらいによっ てコンテンツの活用の意図は違ってくる. 導入 → 展開 一→ 終末 授業の来れ 図1コンテンツにおける情報限定モデル 授業の導入では,コンテンツの情報を限定して指示するこ とで,子ども達に興味・関心を持たせる.ここでは,子どもは コンテンツから得る情報よりも,これまでの既有知識や生活 経験の方が多いため,多様な発言や推測を引き出すことが できる. 授業の展開では,子ども達が学習意欲を持ち,事実追求, 意味追求できるよう,少しずつ情報を増やしていく.ここでは, コンテンツの情報とこれまでの既有知識や生活経験を繋ぎ 合わせて追求していくことになる. 授業の終末では,納得・共感を引き出すことができるよう, 子ども達が既有知識や生活経験からでは学習できにくい内 容においで情報限定をあまり行わず提示する.そうすること により,これまでの見方,考え方を広げ,納得・共感を引き出 すことができると考える.また,古い道具を,子ども達に捉え させたい内容で大きく二つに分け,「道具を使うプロセス」「道 具を作るプロセス」でコンテンツを構成することとした. 2.設計の枠組み 社会科の学習過程において,興味・関心,学習意欲,納 得・共感を引き出すためには,どのようなデジタルコンテンツ の設計が良いのだろうか. 小学校4年生社会科の「古い道具と昔のくらし」のねらい は,「古くから残る暮らしにかかわる道具や暮らしの様子を調

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3.デジタルコンテンツの概要 ①メニュー画面 の視点が持てる情報を選び出し,情報を限定しながら提示 できる構成にした. 図2 メニュー画面 メニュー画面(図2)には,いくつかの昔の道具の写真が並 んでおり,ここをクリックすることで学びたい道具のコンテンツ へ移動することができる.コンテンツは大きく2つに分けられ ており,左側が「使うプロセス」を捉えさせるもの,右側が「作 るプロセス」を捉えさせるものである. ②「使うプロセス」のコンテンツ (a)コンテンツA(興味・関心) コンテンツAは,興味・関心を引き出すためのコンテンツ である.子ども達から,興味関心を引き出すには,多面的に 推測できるような,かなり情報を限定した提示が必要になる. そのために,それぞれの道具で,その使い方の特徴に深く 関わる部分を拡大したコンテンツ(図3)とした. 図4 コンテンツBの例(蓄音機) また,前の画面や次の画面との関わりが持てるよう,一つ を大きく拡大した画面を提示した後は,消えてしまうのではな く,小さな画面として残っていくような構成にした.(図4) (c)コンテンツC(価値把握) 図5 コンテンツCの例(蓄音機) コンテンツCは,道具の持つ価値が把握できるようにする ためのコンテンツである.子ども達が,古い道具が持つ価値 を把握するためには,納得・共感が沸き起こるような情報提 示をしなくてはならない. 古い道具が持つ価値とは,「時間や手間がかかる」けれど も「優れた働き・特徴がある」ということであると設定した.それ を,短時間でとらえさせるには,「動画」が有効であると考え, 道具の使い方や作り方に関わる動画クリップ(図5)を配し た. ③「作るプロセス」のコンテンツ (a)コンテンツA(興味・関心) 作るプロセスにおいても,コンテンツAは,興味・関心を引 き出すためのコンテンツである.しかし,興味関心の引き出し 図3 コンテンツAの例(蓄音機) (b)コンテンツB(学習意欲) コンテンツBは,事実追求・意味追求を促すコンテンツで ある.追求を促すには,子どもの生活体験や既有知識とコン テンツの内容を比較したり,関連させたり,統合させたりしな がら,学習意欲を高めていけるような情報を限定した提示が 必要になる.そこで,道具の働きに関わる情報の中で,追求

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方は異なってくる. ど,コンテンツの提示方法に違いが生じる. (c)コンテンツC(価値把握) コンテンツCは,道具の持つ価値が把握できようにするた めのコンテンツである.子ども達が,古い道具が持つ価値を 把握するためには,納得・共感が沸き起こるような情報提示 をしなくてはならない.この点では,「使うプロセス」のコンテン ツと同様である. コンテンツBでも述べたように,道具の「作るロセス」に納 得・共感を持たせるためには,道具ができていく過程を,順 序立てて捉えさせていく必要がある.「使うプロセス」のコンテ ンツと同じように,最後にすべての過程の動画をまとめて見 せると,大変時間がかかるとともに,それぞれの過程の意味 が十分捉えられないのではないかと考えた. ■二ゝ 3 ナ,言−1\ \ 図6 コンテンツAの例(わらじ) 作るプロセスに興味・関心を持たせるには「どうやって作っ たのだろう.」という思いを持たせることが大切であると考えた. そのために,それぞれの道具で,道具の完成品を提示し,材 料を推測した後で提示し,両者を比較することができるコン テンツ(図6)とした. (b)コンテンツB(学習意欲) l■ 図8 コンテンツCの例(わらじ) そこで,コンテンツCで使う動画は,道具が作られていく過 程に沿っていくつかに分割し,手順ごとに,納得・共感が生 み出されるような設計とした.(図8) 園7 コンテンツBの例(わらじ) コンテンツBは,事実追求・意味追求を促すコンテンツで ある.追求を促すには,子どもの生活体験や既有知識とコン テンツの内容を比較したり,関連させたり,統合させたりしな がら,学習意欲を高めていけるような情報を限定した提示が 必要になる. また,前の画面や次の画面との関わりが持てるよう,一つ を大きく拡大した画面を提示した後は,消えてしまうのではな く,小さな画面として残っていくような構成にする必要がある. (図7) 上記の点は,「使うプロセス」のコンテンツと共通の部分で ある.しかし,「作るプロセス」の場合,作業の過程を捉えるこ とが重要になってくるため,作業の順番に従って画像を提示 することや,作業段階ごとにコンテンツCが挿入されることな Ⅲ.デジタルコンテンツ利用の効果 1.調査の目的 作成したデジタルコンテンツ「昔の道具」を社会科の授 業において使用し,学習者にデジタルコンテンツを提示す ることによる学習効果を調査する. 2.調査の方法 ①調査対象 柳津町立柳津小学校4年1組 29名(男子17名女子12名) ②調査時期 平成17年11月10日(木)

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③手続き 社会科の単元「古い道具と昔のくらし」において,実際に 資料館へ見学に行く前の見学の視点を作る授業として行 う. (a)「使うプロセス」コンテンツの評価 「使うプロセス」に関わるコンテンツを2つ(洗濯板,火の し)選び,順番に提示しながら授業を進める.一つのコンテン ツで学習し終えた後に,質問紙で3項目の質問を行い,回 答を得る.3項目は,以下の通りである, ①資料を見てわかったことを書きましょう. ②資料を集中して見ることができたか. ③昔の道具を実際に見たり触ったりしたくなったか. ①については,認知面を調査する目的の質問である.コン テンツを利用した学習で,どのような理解が得られるのかを, 記述式で回答できるようにした. ②③については,情意面を調査する目的の質問である. コンテンツを利用した学習で,関心・意欲がどれくらい高まる のかを,6件法で回答できるようにした. (b)「作るプロセス」コンテンツの評価 「作るプロセス」においても,「使うプロセス」コンテンツと同 様に,コンテンツを2つ(笠,わらじ)選び,順番に提示しなが ら授業を進める.回答を得る方法や質問項目,質問紙の内 容は,「使うプロセス」の調査と同様である. (c)「観察の観点の明確化」の評価 ここでは,「使うプロセス」「作るプロセス」のデジタルコンテ ンツを活用した学習が,子ども達が,実際に資料館等へ見 学・調査活動をする際に,観察の観点が明確になっているか どうかを評価する.「使うプロセス」と「作るプロセス」のデジタ ルコンテンツを活用したのであるから,その2つ の内容に 関わる観察の観点がどれだけ持てているのか記述式で回答 を得る. 今回は,コンテンツとして提示していない道具(蓄音機)の 画像を提示し,その道具について「この道具のどんなことを 調べたいですか.」と尋ね,回答を得る質問を設定した.もし, デジタルコンテンツで学習したことで,観察の観点が明確に なっているのであれば,学習していない道具でもそのような 観察の観点から記述ができるはずである. また,実際に資料館へ見学に行くことを想定して,「もし, 実際に資料館へ行くとすると,昔の道具のどんなことを調べ たいですか.」という質問も設定した.これは,実際に資料館 へ見学に行ったと仮定して,どのくらい観察の観点が明確に 持てているのかを評価する項目である. 3.考察 ①観察の観点の明確化 今回の調査は,デジタルコンテンツを活用した授業で,子 ども達が観察の観点を明確にできるかという点が最も重要で ある.特に,「使うプロセス」と「作るプロセス」の二つに設計を 分けてコンテンツを作成してきたことから,「使い方」「作り方」 に関わる観点が持てていることが望ましい. この点から言うと,調査用紙の質問項目では,質問⑥の見 学の観点を問う項目「もし,実際に資料館へ行くとすると,昔 の道具のどんなことを調べたいですか.」が一番妥当である と考えた. この質問の回答となる記述を分類していくと,次のように分 類することができた. A,使い方・作り方の両方に関わる記述 B,作り方に関わる記述 C,使い方に関わる記述 D,それ以外の記述 この分類に沿って,子ども達の記述内容を分類していくと, Aの使い方・作り方の両方に関わる記述は2名,Bの作り方 に関わる記述は2名,Cの使い方に関わる記述は16窄.,D のそれ以外の記述は9名という結果になった.今回のデジタ ルコンテンツの設計が,「使い方」「作り方」に関わるものであ ることから,デジタルコンテンツの活用で,観察の観点が持て たと考えられるものは,A,B,C3つの分類に含まれる記述 内容であり,合計人数は20名ということになる.(図9) Dについては,観察の観点が持てていないという訳ではな く,「もっと他の道具を調べたい.」など,観察の観点が広が った記述が多く見られた.しかし,今回のコンテンツの評価は,

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「観察の観点の明確化」であるので,この項目は,除外するこ ととする. ②デジタルコンテンツによる認知面の変容 上述のように,デジタルコンテンツを活用した授業により, 29名中20名の子ども達が「使うプロセス」「作るプロセス」に 関わる観察の観点を明確にできたと考えられる. それでは,観察の観点を明確にすることができた子ども達 は,認知面においてどのような変容を示しているのであろう か. 認知面におけるコンテンツの有効性を検証するために, 「使うプロセス」「作るプロセス」の両面ともに,「資料を見て分 かったことを書きましょう.」という問いに対する子ども達の記 述内容を拾い出し,分析を試みた. この質問の回答となる記述を分類していくと,次のように分 類することができた. ③道具の使い方(作り方)を捉え,知恵や工夫に納得し, 共感できているもの. ②道具の使い方(作り方)を捉え,知恵や工夫に納得でき ているもの. ①道具の使い方(作り方)のみを捉えることができているも の. これらの分類に沿って,「使うプロセス」「作るプロセス」のコ ンテンツの評価をしていく.評価の方法は,それぞれ一つめ と二つめのコンテンツの記述内容を,前述の項目に沿って分 類し,その結果を比較することで,コンテンツの有効性を確 かめることとする. (a)「使うプロセス」コンテンツの評価 「使うプロセス」コンテンツ提示後の記述文を,前に述べた 分類に従って分けていった.その結果,コンテンツ①では, 共感の段階が2名,納得の段階が14孝.,理解の段階が4名 で,コンテンツ②では,共感の段階が8名,納得の段階が12 名,理解の段階が0名であった.(図10) , コンテンツ①と②を比較すると,顕著な動きを示しているの は,共感の段階の人数の変化である.コンテンツ①では,2 名であったものが,コンテンツ②では,8名に増加している. この数字から考えると,コンテンツを提示していくことで,道具 の使い方に共感できていくという効果が認められたと言えよ う. また,理解の段階が,コンテンツ①では,4名いたのに対し て,コンテンツ②では,0名になっている.このことから,コン テンツを提示することで,ただ理解するだけでなく,納得や共 感を生み出すということが言えるのではないだろうか. さらに,結果を詳細に見ていくために,クロス集計を試み た.すると,子ども達の変容を,3つの側面(向上・維持・低 下)で捉えることができた.(表1) 理解の段階から納得の段階への変容など,認知面での向 上が見られる子どもは,全体で45%であった.項目別に見て いくと,納得の段階から共感の段階へ変容した子どもは2 5%,理解の段階から納得・共感の段階へ変容した子どもは 20%である.特に,共感の段階へ変容する子どもが多く見ら れた. 変容が見られなかった子どもは,50%であった.項目別に見 ていくと,納得の段階のままの子どもは45%,共感の段階の ままの子どもは5%である.変容は見られなかったが,納得や 共感など上位の段階で維持している状態であると考えている. 理解のまま変容しなかった子どもはいない. 表1クロス集計表(使うプロセス) <使うプロセス> 質問(D 質問(∋ 人数 割合 → 0 0% → 2 2 10% → 3 2 10% 2 → 0 0% 2 一→ 2 9 45% 2 → 3 5 25% 3 → 0 0% 3 → 2 5% 3 → 3 5% 合計 20 使い方コンテンツ AV 4 2 0 8 丘U 4 クー 0 一■トー③道具の使い方を捉 え、知恵やエ夫に納 得し、共感できている もの 一●・・−②道具の使い方を捉 え、知恵やエ夫に納 得できているもの 一−①道具の使い方のみ を捉えることができて いるもの コンテンツ① コンテンツ② 図10使い方コンテンツの評価

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低下した子どもは,5%であった.項目別に見ていくと,共 感の段階から納得の段階へ変容した子どもで5%であった. この場合,低下したことは事実であるが,共感の段階から納 得の段階という認知面において高い段階での低下であった と考えられる. (b)「作るプロセス」コンテンツの評価 「作るプロセス」コンテンツ提示後の記述文を,「使うプロセ ス」の評価と同様に分けていった.その結果,コンテンツ③で は,共感の段階が6名,納得の段階が12名,理解の段階が 2名で,コンテンツ④では,共感の段階が8名,納得の段階 が11名,理解の段階が1名であった.(図11) けの割合で変容が見られなかったということは,コンテ ンツの設計・開発に問題があったと考えざるを得ない. 低下した子どもは,10%であった.項目別に見ていく と,共感の段階から納得の段階へ変容した子どもで1 0%であった.この場合,低下したことは事実であるが, 共感の段階から納得の段階という認知面において高い段 階での低下であったと考えられる.しかしながら,どう して低下してしまったのか,コンテンツの設計・開発の どこに問題があったのかを明らかにする必要がある. 表2クロス集計表(作るプロセス) <作るプロセス> 質問① 質問② 人数 割合 → 1 5% → 2 0 0% → 3 1 5% 2 → 0 0% 2 → 2 9 45% 2 → 3 3 15% 3 → 0 0% 3 → 2 2 2% 3 → 3 4 20% 合計 20 作り方コンテンツ 一一−・−③道具の作り方を捉 え、知恵やエ夫に納 得し、共感できている もの −■■−−②蓮見の作り方を捉 え、知恵やエ夫に納 得できているもの −−①道具の作り方のみ を捉えることができて いるもの コンテンツ③ コンテンツ④ 図11作り方コンテンツの評価 コンテンツ③と④を比較すると,一番変化が見られたもの は,共感の段階の人数である.コンテンツ③では6名だった ものが,コンテンツ④では,8名に増加している.この点から 考えると,コンテンツによって,道具の作り方について「道具 一つを作るのに,こんなに大変なんだ.」等,共感を引き出 すことができたのではないかと考える. さらに,結果を詳細に見ていくために,クロス集計を試み た.子ども達の変容を,3つの側面(向上・維持・低下)で捉 えると以下のようになる.(表2) 理解の段階から納得の段階への変容など,認知面での 向上が見られる子どもは,全体で20%であった.項目 別に見ていくと,理解の段階から納得・共感の段階へ変 容した子どもは5%,納得の段階から共感の段階へ変容 した子どもは15%である.特に,共感の段階へ変容す る子どもが多く見られた.変容が見られなかった子ども は,70%であった.項目別に見ていくと,理解の段階 のままの子どもは5%,納得の段階のままの子どもは4 5%,共感の段階のままの子どもは20%である.変容 は見られなかったが,納得や共感など上位の段階で維持 している状態の子どもが65%である.しかし,これだ Ⅳ.研究のまとめ 1.研究の成果 本研究の成果として,見学・調査活動の前に,デジタルコ ンテンツを活用した授業を組み込むことは,観察の観点を明 確にする上で効果があったことがあげられる.「昔の道具」に 関わるデジタルコンテンツを設計・開発し,実際の見学・調査 活動を行う前に,そのコンテンツを活用した授業を行ったとこ ろ,ほとんどの子ども達が,何らかの観察の観点を持つことが でき,さらに,約7割の子ども達が,「使い方」「作り方」という 本コンテンツがねらっている観察の観点を持つことができて いた.これは,設計・開発したデジタルコンテンツが,観察の 観点を明確化にすることに対して効果的であったことを示す とともに,このコンテンツが,見学・調査活動を支援し,学習 活動を活性化させるものであったことを示している. また,「使うプロセス」コンテンツの提示では,認知面にお いて,ただ理解するだけではなく,納得や共感を生み出すこ とができたこともあげられる.社会科の学習過程「社会的事

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象との出会う」「自ら調べ考える」「社会的事象の意味を深く 考える」「社会的なものの見方・考え方を高める」を踏まえた 上で,デジタルコンテンツに「興味・関心」「学習意欲」「納得・ 共感」という3つの役割を持たせ,さらに,その3つの役割が 最大限生かされるよう「情報限定モデル」を想定し,それに従 ってコンテンツの設計・開発を進めた.このように設計された コンテンツを活用した授業を行うことで,より上位の目標であ る「納得」「共感」の段階に達する子ども達が多く見られること ができたと考える. 要があると感じている. また,本研究では,小学校4年生社会科「古い道具と昔の くらし」を取り上げ,デジタルコンテンツの設計・開発を行った が,社会科では,見学・調査活動が各学年に渡って多く存在 する.他の単元や学年において,本研究と同じような設計・ 開発の手法が使えるのか,どのような改善点が見つかるのか と言うことを含め,さらに効果的なデジタルコンテンツの開発 へと改善していけるように努力をしていきたい. 引用・参考文献 1)文部科学省(2002)「情報化への対応」 2)益子典文(2003)「デジタルコンテンツを活用したわかる授 業・考える授業の設計」,熊本e一授業推進協議会 3)堀田龍也,高橋純,石黒正美(2003)「デジタルコンテンツ を活用した授業を設計する際の留意点」,日本教育工学 会第19回年会論文集,pp.339−340 4)堀田龍也,高橋純,表克昌(2003)「デジタルコンテンツを 活用した一斉才受業における発問・指示の留意点」,日本教 育工学会第20回年会論文集,pp.375−376 5)北俊夫(1999)「新しい教育課程と学習活動の実際 社会 科」,東洋館出版社 6)北俊夫(2001)「博物館と結ぶ新しい社会科授業づくり」, 明治図書 2.今後の課題 本研究では,多くの子ども達が観察の観点を明確に持つ ことができた.しかし,中には,変容が見られない子ども,逆 に低下してしまった子どもがいたことも事実である.特に,「作 るプロセス」コンテンツでは,変容が見られなかった,若しくは 低下した子どもを合わせると8割になる. この原因を考察してみると,子ども達は,昔の道具の「使う プロセス」には大変興味を持つことができたが,それと比べる と「作るプロセス」にはさほど興味が沸いていなかったこと,加 えて,「作るプロセス」では,作る過程における手順が大変多 く,複雑であり,小学校4年生にとっては,捉えにくいもので あったこと等が考えられる.小学校4年生の発達段階におい ては,作り方に興味が持てるような提示をしたり,手順をもっ と簡略化し,一つのコンテンツの情報量を減らしたりする必

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