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非雇用型役務提供者に対する個別的労働法の適用範囲 利用統計を見る

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著者

長谷川 聡

著者別名

HASEGAWA Satoshi

雑誌名

東洋法学

61

3

ページ

217-234

発行年

2018-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00009678/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

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《 論  説 》

非雇用型役務提供者に対する個別的労働法の適

用範囲

長谷川 聡

Ⅰ はじめに  労働法は働き方の変化への対応を常に迫られてきた。近年注目されるのは情 報技術の進展に伴う働き方の変化である。テレワークやモバイルワークのよう な指揮命令の直接性や場所的拘束度の低い就労、クラウドワークのような就業 者が複数の相手方と契約関係を持ったり、就労期間が極端に一時的であったり する就労の登場がその例である。これらの働き方の広まりは、家庭責任や地域 的制約と就労との両立を容易にして人々の就労に関する選択肢を増やす意義を 有するとともに、社会経済的にも労働力供給の増加、企業業務の外部化手段の 多様化といったメリットを有するものとして期待されている。反面、これらの 就業者の就業実態が必ずしも良好でないことがいくつかの調査によって明らか になり、適切な就業条件保護法を整備する必要性が提起されている( 1 ) 。  新たな就労形態が現れてその就業者に要保護性が認められる場合、まずは既 存の個別的労働法の適用可能性が探られる。この課題は労基法等の労働者性の 問題として主に現れ、その考え方について多くの研究や判例が蓄積されてき た。しかし情報技術の進展に伴って生じた働き方には、一般に労働者性の核と 解される指揮命令関係を欠くものや、契約関係が労働契約よりも相当程度断片 化・個別化したものなど、労働者概念の解釈や契約内容強制を通じた当事者間 ( 1 ) 本稿が扱う就業者を視野に入れた調査等として、「「雇用関係によらない働き方」に関する研究 会報告書」(経産省、2017年)、「今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会報告書」(厚労省、 2014年)、「個人請負型就業者に関する研究会報告書」(厚労省、2010年)等。

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のリスク再分配ではその就業実態の適正化を望みにくいものが存在する。こう した特徴に対応した就業条件保護法制の整備が課題となっている。  本稿はこの課題への取り組みの一つとして、現行個別的労働法が用いる労働 者性の有無を基準とした適用範囲設定と契約内容強制を通じた新たな働き方の 適正化の限界を探ることを意図している( 2 ) 。現行法制ではとらえがたい働き方 に関する課題を解決するための法制度や解釈を構想するためには、まず現行法 制やその仕組みの限界を明らかにする必要があるためである。新たな働き方の 全体像を把握することは容易ではないが、本稿の課題が個別的労働法の適用か ら漏れるもののその就業実態に個別的労働法、あるいは個別的労働法類似の保 護を要する役務提供者の問題としてとらえられてきた経緯から、さしあたりこ こでは検討対象とする役務提供者を、契約の相手方から指揮命令を受けない が、十分な就業条件を獲得できない程度の交渉力格差の下にある個人(以下 「就業者」という)と定義して検討を行うこととする。 Ⅱ 個別的労働法の適用範囲に関する議論の展開 1  労働者性の相対的理解の一般化  個別的労働法は主に「労働者」(労基 9 条、労契 2 条 1 項)に該当するか否 かという観点から適用対象を整理し、主に使用者の負担となる契約内容の強制 を通じて労働者を保護する。就業者の就業条件保障のあり方を論じるために は、まずこの現行の仕組みの特徴と適用の限界を確認しなければならない。  従来この課題は労働者性の問題として論じられてきた。判例では人的従属性 を中心に経済的従属性を加味して労働者性を判断する方法が定着し( 3 ) 、働き方 の多様化に対応する変化は見られない( 4 ) 。しかし学説では労働者性を広く認め ( 2 ) 本稿は、長谷川聡「委託型就業者の法的保護―最低報酬保障、解約・契約更新規制を中心に―」 (日本労働法学会誌130号(2017年)23頁)の前半部分を基礎として、その視角を新たな資料とと もに発展させたものである。 ( 3 ) 横浜南労基署長(旭紙業)事件(最一小判平 8 ・11・28労判714号14頁)。労働基準法研究会報 告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(1985年)。

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る方向に議論がなされてきた。  労働者性の判定が法的評価の問題であることは今日広く承認されている( 5 ) 。 この理解は個々の法律や条文の趣旨目的に照らして労働者性を相対的に判断す るという考え方を一般化させた。例えば、労基法の定めを労働時間規制等指揮 命令関係に関わる定めと解雇規制や賃金の支払い手続等労働者の経済的地位に 着目した定めに分類し、後者については経済的従属関係にある者(準労働者) にも適用することを認める、いわば条文レベルでの相対化を認める見解があ る( 6 ) 。また、労基法と労契法の労働者概念を区別し、労契法の労働者について は具体的業務遂行の前後(目的設定)に及ぶ「広義の指揮監督」を受け、事業 運営上、恒常的に必要な労働力として事業組織に組み込まれており、経済的に 依存する関係があれば足りるとする法律レベルでの相対化を認める主張( 7 ) もあ る。さらに労契法については類推適用を認める形で法律の趣旨に即した適用範 囲を適用レベルで実現しようとする立場もある( 8 ) 。  他方、人的従属性を中心に理解されてきた労働者性を、経済的従属性中心に 再構成しようとする立場もある。報酬により生活を維持する実態、人権保障を 内包した雇用・労働条件保障の必要性などを指摘して経済的従属関係にある者 を広く労働者と評価し、労働者概念を人的従属性から把握すること自体の見直 しを主張する見解がそれである( 9 ) 。 ( 4 ) 竹内(奥野)寿「労働者の概念」土田道夫・山川隆一編『労働法の争点[第 4 版]』4 頁、5 頁。 ( 5 ) 有泉亨「労働者概念の相対性」中労時468号(1962年) 2 頁、下井隆史『労働契約法の理論』(有 斐閣、1985年)56頁。 ( 6 ) 西谷敏『労働法の基礎構造』(法律文化社、2016年)208頁、211頁。西谷敏「労基法上の労働 者と使用者」沼田稲次郎・本田淳亮・片岡昇編『シンポジューム 労働者保護法』(青林書院、 1986年) 3 頁、 9 頁以下。 ( 7 ) 川田知子「個人請負・委託就業者の契約法上の地位―中途解約・契約更新拒否を中心に―」日 本労働法学会誌118号(2011年) 8 頁、18頁。 ( 8 ) 荒木尚志『労働法[第 3 版]』(有斐閣、2016年)60頁。 ( 9 ) 川口美貴『労働法』(信山社、2015年) 4 頁以下、73頁以下。川口美貴『労働者概念の再構成』 (関西大学出版部、2012年)114頁以下。

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2  労働者に該当することの意味の変化  個々の法律・条文の趣旨目的に即して人的適用範囲を確定する方法が一般化 したのと平行して、労働者に適用される法律・条文の趣旨目的も多様化した。 労基法に追加された事業場外労働(38条の 2 )や裁量労働(38条の 3 、38条の 4 )は勤務地や業務内容に応じて指揮命令がある程度抽象的であることを前提 とする働き方であり、同法がもともと想定していた職場で使用者の具体的な指 揮命令の下に働くという労働者像からは離れる。業務遂行上の指揮監督と時間 的・場所的拘束性は労働者性を根拠づける基本要素だが、これらの定めは指揮 命令や場所的拘束が緩やかな者も労働者に含まれることを認めたものといえ る(10) 。個人の特徴に依存しない事実上代替可能な日雇労働やマニュアル労働の 広まり、成果主義賃金を例とする労務提供量・時間と報酬額の切り離し、兼業 の一般化や非正規労働の増大による専属性の低下など、労働者性に結びつく他 の要素にも類似の傾向を見ることができる。  労働者に該当することで適用される法律が増えたことも、労働者に該当する ことの意味を変化させている。労基法制定後明文化された労契法や均等法がそ の代表例である。これは労働者と認められることにより適用される法的保護の 趣旨目的の多様化を意味する。  そして監督行政による公法的・強行的規制を中心とした労基法において、過 半数代表制や労使委員会を通じて労働者自身がルールの設定に関与しつつ強行 性を解除する制度が増加するなど、規制の法的性質も多様化している。学説で も、労働者性を否定する当事者の意思表示について、その形成が一方当事者の 意思のみを反映して他方当事者の自由意思に基づいていないと客観的に考えら れる場合に限って「契約自由の濫用」としてその効力を否定し、就業実態によ る客観的な判断結果を強制すべきとの見解がある(11) 。 (10) 岩永昌晃「テレワークと労働時間規制・労働者性」村中孝史・水島郁子・高畠淳子・稲森公嘉 編『労働者像の多様化と労働法・社会保障法』(有斐閣、2015年)304頁、324頁は、これを労働 法における法的アプローチの概念主義から帰結主義への転換と表現する。

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3  労働者概念の解釈を通じた就業者保護の限界  以上によれば、まず労働者概念には一定の柔軟性があるといえる。労働者性 を肯定するために必要な人的従属性の程度は全体的、あるいはある法制度や条 文について以前より低下しているといわなければ法制度の展開との整合性が取 りにくい。この点で就業者の就業条件保護に労働者概念の解釈からアプローチ することには意味がある。だが本稿のように立法論を視野に入れると解決すべ き課題がいくつか浮かび上がる。  例えば一つの労働者概念に複数の意味を持たせることの不明確さである。条 文の趣旨目的に即して人的適用範囲を確定する考え方を貫徹すれば、労働者概 念は多義化せざるを得ない。しかし異なる法律ならばまだしも、同一の法律の 中で一つの労働者概念に複数の意味を持たせることに解釈上の不明確さがある ことは否めない。労働者に該当することで適用を受けることができる法律とそ の法律に含まれる条文の趣旨目的の増加は、この問題性を強調する方向に働 く。前述した「準労働者」概念構築の構想に既に見られるように、立法論も視 野に入れるのであれば、労基法等の定めを趣旨目的ごとに整理したり、新たな 制度を構築したりするなど、新たな法的仕組みを構築することが望ましいこと が従来の議論でも前提となっているようにみえる。  法律内部で労働者概念を相対的に理解することを認めなければ、就業者も労 働者に該当すると解して、労基法等の一括適用を認めることになる。しかし労 働者概念が一定の広がりを有するとはいえ、指揮命令関係を除いて労働者概念 を理解することは「使用」という文言を用いる労働者の定義やその沿革(12) から はやや無理がある。仮に就業者すべてに労基法等を一括適用することになれ ば、労基法等が持つ契約内容強制機能が適切な保護というより契約自由を損な う障害として評価される場面が増加することになろう。労働者の意思に基づく 労基法等の適用除外を認めればこの課題に対処することが可能になるが、この (11) 柳屋孝安「雇用関係法における労働者性判断と当事者意思」西村健一郎・小嶌典明・加藤智章・ 柳屋孝安編『新時代の労働契約法理論―下井隆史先生古稀記念』(信山社、2003年) 1 頁。 (12) 鎌田耕一「労働者概念の生成」日本労働研究雑誌624号(2012年) 5 頁、10頁以下。

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適用除外を認める場面を限定すれば、一つの法律の中で労働者概念の相対化を 認めた場合と同じ課題が生じることになる。  現行法の中で就業者の保護を構想することは、条文の趣旨目的から適用対象 を考えることと人的従属関係にある働き方を想定した法律を人的適用範囲に基 づいて一括適用することとの齟齬や、労基法の規制内容・趣旨と手法の多様化 が働き方の多様化に対応するまでには至っていない現状を浮かび上がらせる。 この課題に対応するためには労基法等自体を再構築することも視野に入れつ つ、就業者に対する新たな法整備を進めることが望ましい。 Ⅲ 就業者に対する個別的労働法の射程範囲 1  就業者の類型と特徴 ( 1 )就業者の類型  とはいえ就業者は多様である。そのすべてに同様の保護を与えることは、あ る場面では過剰保護となり、当事者の契約自由を過度に侵害するおそれがある ことは、先の労働者概念をめぐる議論が示すとおりである。就業者の就業実態 をふまえつつ、何らかの視点から保護の範囲を分類・限定し、保護の手段を具 体化する必要がある。ここでは本稿の目的に沿って保護範囲に関する課題に取 り組むことにしよう。  就業者は、例えば鎌田耕一によれば、専門職型、自営型、業務委託型、フラ ンチャイズ型、非雇用型テレワーク型に分類される(13) 。この多様性に応じた就 業条件保護法を構築するためには、本来これら全ての就業者の就業実態を把握 し、その特徴を明らかにしなければならない。しかし鎌田自身、各分類にまた がるグレーゾーンの存在や次々に新たな就労形態が現れてこの分類自体が流動 的であることを指摘するように、この作業は容易ではない。そこで本稿ではこ (13) 鎌田耕一「非雇用型就業者と法的保護」労委労協728号(2017年)23頁、29頁、同「働き方の 未来予想図」中央労働時報1213号(2017年) 4 頁、同「委託労働者・請負労働者の法的地位と保 護―業務委託・業務請負の法的問題」日本労働研究雑誌526号(2004年)56頁、57頁。鎌田は時 代と調査の進展に合わせてこの分類を修正している。

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の作業を詰めることはひとまずおき、さしあたり近年最も変化のあるテレワー ク型(14) 、特にクラウドソーシングの就業関係上の特徴をごく簡単に確認して参 考材料とする。クラウドソーシングは従来と異なる就業形態を含んでおり、そ の保護・規制の仕組みを作る必要性が指摘されているためである(15) 。 ( 2 )クラウドソーシングの就業関係 ⒜クラウドソーシングの仕組み  クラウドソーシングは、例えば「クラウドソーシング事業者が運営する Web サイト上で、発注者と在宅ワーカーをマッチングさせる仕組み」と定義 される(16) 。その運営手法は①プラットフォーム型、②直接型、③エンタープラ イズ型(元請業務型)に分類される(17) 。  ①プラットフォーム型はクラウドソーシング業者(以下「業者」)が、自身 が管理するサイトを用いてクライアントとクラウドワーカーのやりとりを仲介 するタイプのもので、クライアント、業者、クラウドワーカーの三者関係を構 成する。当事者間の契約内容や受発注のルールはその取り決めによるが、プ ラットフォームの魅力を高める観点から、業者が最低限度のプラットフォーム の提供にとどまらず、報酬の支払保証や社会保険制度の適用、優良クラウド ワーカーの認定制度などクラウドワーカーとクライアントのマッチング後も就 業関係への関与を継続することが多い。  ②直接型は、業者が自身で利用するクラウドワーカーを募集するために自身 (14) テレワーク型には在宅ワーカーや非雇用型コンピューター技術者などが該当し、IT 技術を用 いてクラウドソーシング事業を含む仲介事業者、あるいは自ら委託を受けて業務を個人で遂行し、 出来高により報酬を受けるという特徴がある。 (15) 連合「クラウド・ワーカー意識調査」(2016年)。クラウドワーカーのおよそ半数が仕事の継続 に不安を感じ、トラブルに遭った経験があることを示し、最低報酬額、最低発注単価、労働時間 などについて新たな法的保護の枠組み作りの必要性を指摘する。 (16) 「在宅ワーカーのためのハンドブック」(厚労省、2017年)。 (17) 以下の分類等について、「クラウドソーシングの現状」(厚労省、2015年)、比嘉邦彦・井川甲 作『クラウドソーシングの衝撃』(インプレスジャパン、2014年)30頁、吉田浩一郎『クラウドソー シングでビジネスはこう変わる』(ダイヤモンド社、2014年)71頁。

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で募集用のサイトを用意し、クラウドワーカーと契約するタイプである。この タイプはクライアントと業者が同一となってクラウドワーカーと二者関係を構 成する。  そして③エンタープライズ型は、業者がクライアントから業務を受託し、そ の業務を登録しているクラウドワーカーに自社で割り振る仲介的機能を果たす タイプである。 ⒝クラウドソーシングの受発注形態  クラウドワークの受発注形態は、プロジェクト型、タスク型、コンペ型の 3 つに大きく分かれる。  プロジェクト型は、クライアントが業者に発注条件を掲載させ、あるいは自 身で発注条件を明示し、クラウドワーカーからの受注申込を相見積もりして、 発注先とするクラウドワーカーを特定し、契約関係を成立させるタイプであ る。Web サイトの開発やソフトウェアの機能テストなど比較的長期で技術を 要する業務についてこの方法が用いられる傾向にあり、 1 件あたりの金額が比 較的高いものも含まれる。報酬の支払にあたっては、時間給・固定給等の方法 が用いられる。  タスク型は、アンケートに答える、10秒の会議音声を聞いて文章化する等の 数秒から数分程度で行うことができる比較的単純な作業を発注するタイプであ る。不特定多数に分散して発注されることが多く、就業期間・クライアントと 契約関係を持つ期間がごく短期で、出来高で比較的低額の報酬が支払われる傾 向にある。  コンペ型は、クライアントからある会社のロゴや新商品のキャッチフレーズ などの作成依頼が提示され、これに対して複数のクラウドワーカーが応募して 成果物を提出し、その中からクライアントが採用案件を選択してそれに対して 報酬を支払う方式である。

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( 3 )クラウドソーシングからの問題提起  クラウドソーシングの特徴の一つはネットワーク上で契約と役務提供が完結 することにある。これにより募集・発注コストが低下し、タスク型のようなご く短期・低単価の業務発注を可能にし、一般個人が非事業目的の発注を行うこ とを容易にした。また役務提供に関する場所的拘束性が低下し、これにより国 境を越えた受注競争の基礎が生まれ、発注額の低下や就業条件の世界的平準化 が見込まれる。クラウドワーカーが本稿にいう就業者に含まれ、その就業条件 を保護する必要性があることは確かである。  クラウドワーカーの就業条件の法整備をめぐっては、プラットフォーム型に ついて三者間の契約関係をいかに整理するかという大きな課題がある。もっと も本稿の問題関心は新たな就業関係の就業上の特徴にあることから、この課題 の検討は別稿に譲り、ここでは受発注形態の三類型に着目して示唆を得ること にしよう。  プロジェクト型は、従来から行われてきた業務委託の受発注を、情報通信技 術を用いて簡略化したものと表現することができる(18) 。クライアントが業者の 助けを得てクラウドワーカーと接触し、業務委託契約を締結してある仕事の完 成のために役務の提供を求め、この期間中各当事者関係が継続する。プラット フォーム型についてはこの関係に業者が関与するという特殊事情はありつつ も、クラウドワーカーの労働者としてのとらえにくさは直接的な指揮命令の不 存在や場所的拘束性の低さなどにあり、テレワーカー等の労働者性をめぐる議 論の延長で取り組むことも可能な課題である。クライアントからの指示の内容 や程度を考慮して、労働契約関係の成否を争う余地もある。コンペ型はクラウ ドワーカーとクライアントが契約を締結する以前に成果物が完成され、成果物 の作成過程にクライアントは基本的にかかわらない。そのため両者間の契約は 成果物の受け渡しに関わる事柄が中心となり、役務提供は場合によってはこれ (18) クラウドソーシングをめぐる法的関係はまだ十分に整理されていない。クラウドワーカーに対 する業者やクライアントの使用者性を論じた文献として、浜村彰「プラットホームエコノミーと 労働法上の使用者」労旬1895号(2017年)18頁。

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に付随する問題となるにとどまる。これらに対し、タスク型は本稿の課題との 関係で新たな問題を提起しているようにみえる。  タスク型は、プロジェクト型と比較して就業関係が極端に短期で、単純かつ 低単価の業務のため一つのタスク型業務のみでは生活維持には通常足りないう え、共同作業を要しないため同種の業務を受注したクラウドワーカー間での結 びつきもほとんど成立しないという特徴がある。このタイプのクラウドワー カーは、プロジェクト型以上に就業関係が短期化、希薄化、個別化し、継続性 や集団性を特徴とする労働契約関係を意識した労働者向けの保護の方法になじ みにくい。傭車運転手や保険外交員など従来から労働者性が争われてきた就業 者について、解約を規制して就業関係を存続させたり、必要とされる時間あた りの報酬の支払を義務づけたりすることは比較的想像しやすい。しかしクラウ ドワーカーにレシートのデータ入力や短文の文字起こしといった業務を一回的 に委託したクライアントに類似の目的の義務を課すことには、その就業実態の 違いからいえば、こうした労働者保護とは別の理論的説明や方法が必要である ようにみえる。 2  就業者の保護に関わる法と立法提言 ( 1 )就業者の保護に関わる法  就業者の就業条件保護に関わる法を整備する際の視点を得るには、この点に ついて既に存在する法や学説の就業者保護の視点を探ることも有用であろう。  まず法については、一つには労働者概念を意識しながら保護範囲を人的に画 定する法がある。家内労働法は、請負により物品の製造、加工等に係る者のう ち、原材料の提供を受け、かつ、同居の親族以外の者を使用しない者(製造物 請負、 2 条 2 項)を適用対象とする。この適用範囲は最賃法の実効性確保を意 図の一つとして設定されたものであり(19) 、労働者に隣接して人的に適用範囲が 設定されている。類似の視角は労災保険法の特別加入制度にも見ることができ る。この制度は災害発生時の問題状況の労働者との類似性に着目して、一人親 方等を対象に労働者に対して行われるものに類似する保険給付を行っている。

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 他方、労働者というより、その当事者の関係性に着目して保護範囲を画定す る法がある。安全配慮義務は労働契約関係(労契 5 条)に限られない「特別な 社会的接触関係」にある当事者間で機能する。この義務は、一方当事者が他方 当事者に対して健康や安全に関わる指示を行うことや契約内容を実現する場を 支配、管理する立場にあることに着目して課される(20) 。また、下請法は製造委 託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託に従事している受託者(個 人事業者、下請業者)が、その契約を所定の資本金格差の関係にある委託者 (法人事業者、親事業者)との間で締結している場合に適用される。このルー ルは、交渉力格差による一方当事者への隷属と低賃金労働を問題視して、下請 代金の減額禁止や不当な給付内容の変更・やり直しの禁止等の規制などを講じ るものであり、一方当事者の生存保障も視野に入れつつ、公正な競争を実現す る視角から規制を講じている。  これらの法からは、保護すべき就業者の範囲を設定する際に、その保護法益 を考慮するだけでなく、それを実現する責任を要保護者といかなる関係にある 者に負わせるべきか、労働者を対象とする現行労働法制の実効性確保、生存権 の観点以外からの就業者保護の根拠づけといった視角を見つけることができ る。 ( 2 )就業者の法的保護の仕組みに関する学説  他方学説では、非雇用型の役務提供者に関する法整備のあり方がすでに提言 されてきた。  例えば島田陽一は、フランスのシュピオ教授の「社会法の 4 つの同心円」モ デルを参考に対象としているリスクや相手方に対する従属度を考慮した非就業 (19) 髙野剛「家内労働法制定をめぐる政策論議―高度成長期の日本を中心に―」経済学雑誌104巻 3 号(2003年)53頁、58頁、橋本陽子「なぜ内職にだけ家内労働法があるのか」日本労働研究雑 誌585号(2009年)34頁、35頁。 (20) なお労働安全衛生法も、労働者の労災防止を目的とするものではあるが、そのための義務づけ を請負業者や発注者など当該労働者と労働契約関係に無い者にも行っている(29条以下)。

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者を含めた法的保護の制度設計を提言する(21) 。このモデルは、男女平等が全て の領域を対象とすることを前提として、①就業にかかわらず普遍的に保障され る権利として、最低生活保障に関する医療保障、職業訓練資格など、②無償労 働に対して保障される権利として労災補償など、③自営も含む有償労働に対し て保障される権利として安全衛生など、そして④従属労働に対して保障される 固有の権利というように保護の内容に応じて保護の対象を設定する枠組みを提 言するものである。就業者に講じる保護を労働契約以外の契約関係と連続的に 構想し、その中に存在する被用者的要素の程度に応じて、労働契約において形 成された法理をその趣旨目的を勘案しつつ適用していくという考え方がその基 礎にある。  また大内伸哉は、従属性という発想から離れ、役務提供者の働き方の選択を 尊重する観点からの主張を展開する(22)。すなわち個別的労働法を、①労働者の 人的保護を目的とする規定や人的従属性に関連する判例法理である強行的規定 群と、②労働契約における実質的対等性の欠如に着目したルールである半強行 的規定群、③封建的労働慣行を前提にして形成された、契約の自由を制限する デメリットの大きい任意的規定群に分類する。そして半強行的規定群は自営的 就業者(個人で自営的に労務を提供している者)にも適用され、労働者が労働 組合ないし行政機関の関与の下に使用者から情報提供と説明を受けて同意を行 うという手続をふむなど、事前の手続的規制を通じて労働者の真意の認定が任 意的規定群よりも厳格に行われる同意により適用除外を認める仕組みを提唱す る。強行規定を中心に構成された現行法を趣旨目的に着目して整理し直し、労 働者の意思を尊重する形で市民法法理との連続的理解を行っている点は、役務 (21) 島田陽一「雇用類似の労務供給契約と労働法に関する覚書」西村健一郎・小嶌典明・加藤智章・ 柳屋孝安編『新時代の労働契約法理論―下井隆史先生古稀記念』(信山社、2003年)27頁、60頁。 (22) 大内伸哉「従属労働者と自営労働者の均衡を求めて―労働者保護法再構成のための一つの試み ―」土田道夫・荒木尚志・小畑史子編『労働関係法の現代的展開 中嶋士元也先生還暦記念論集』 (信山社、2004年)47頁、同「今後の労働保護法制のあり方についての一考察―自営的在宅ワー クをめぐる法律問題の分析を通して―」『在宅ワーカーの労働者性と事業者性―在宅ワーカーへ の対応・支援をめぐって―』(日本労働研究機構、2003年)117頁。

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提供契約に共通する理論的基礎の提示とさらなる働き方の多様化への対応を意 図したものといえる。 3  個別的労働法の可能性と限界 ( 1 )現行法による対応を困難にする背景  前述のとおり、労働者概念の解釈を通じて新たな働き方に保護を及ぼす方法 は、この概念の基礎に人的従属性が存在し、労働者に該当することで多様な趣 旨目的の規制が一括して適用される仕組みに限界付けられている。労働者概念 を相対的に理解するなどして各規定の趣旨目的に即して適用対象を画定する学 説の試みはこの限界への挑戦であったと評価することができる。これ自体は現 行法を前提とすれば不可欠の作業だが、本稿のように立法論に踏み込んでよい のであればこの限界にこだわる必要はない。  規定の趣旨目的から適用範囲を画定するという労働者概念に関する議論で用 いられた手法を敷衍すれば、就業者の就業上の要保護性を特定し、その要保護 性の保護法益に対応した適用範囲を設定する方法が思い浮かぶ。前述した二つ の学説はこの観点の影響を受けている。  しかしある就業者は国や就業先等様々な者と重層的な関係性を有しており、 要保護性が見られることと、その要保護性をある役務提供契約内容への介入を 通じて実現することは必ずしも一致しない。労働者のように相手方に対して人 的に従属している場合は、これが帯びる役務提供行為の拘束性や契約内容の白 地性などが、これらによって労働者が被るリスクを使用者が一定範囲で負担す る根拠になる。しかし就業者が役務提供契約の相手方に対して経済力・交渉力 格差の下にあることは、それだけでは相手方に就業者の要保護性を実現するた めの負担を課す根拠にはならない。なぜなら自身の交渉力に応じた交渉結果を 受け入れることは、契約自由の原則の下では当然であるためである。にもかか わらずこの契約関係を規制するのであれば、就業者の要保護性の性質ととも に、役務提供者と契約の相手方との関係性に踏み込んだ規制範囲の設定が必要 であろう。

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( 2 )契約自由を規制する視角とそれが機能する場  就業者の要保護性は、現行法の枠組みが示すようにいくつかの目的から多層 的にとらえる必要がある。以上の現行法や学説の着眼点、就業実態に関する調 査をふまえれば、少なくとも次の 3 つの視角を指摘することができる。  まず役務提供契約が交わされる場も市場の 1 つであり、そこでは公正な競争 が保障されなければならない。就業者は提供できる役務量や獲得できる情報量 に限界があり、契約の相手方と対等な契約交渉をすることが類型的に困難な立 場にある。これを放置することは役務提供に関わる市場に個人が参加する魅力 を損なうことにもつながる。この視角は下請法に見られる。  また就業者が自然人であることからは、役務提供契約の内容が公正な競争の 下に実現されたものであることにとどまらず、就業者の生存権や働く権利の実 現に結びつくものである必要性が導かれる。労基法や家内労働法など、労働法 の主たる目的はこの点に据えられてきた。  そして就業者が自然人であることは、労働者などの特定の属性を有するまで もなく個人として尊重され、その基本的権利を保障されることを意味する。性 差別や人種差別等社会的差別の禁止は公序として確立しており、個人の人格権 保障は労働者や就業者のためだけのものではない。労働者向けには均等法や労 基法 4 条という形でその内容が具体化されている。  これらの 3 つの視角に関する権利・利益を実現する責務は、それぞれいかな る論拠で役務提供契約関係に影響を及ぼすであろうか。  公正競争の確保を目的とする規制は、実質的な契約自由を実現するために、 その競争の場におけるプレイヤーとなるための条件を設定するものである。こ の意味でこの種の規制ではその競争の場に存在することが公正競争実現のため の規制を受ける根拠となる。委託者と就業者は役務提供をめぐる競争の場にい ずれも身を置き、加えて類型的に公正競争が侵害されやすい関係にあることで この資格に基づく規制を受ける立場にある。  人格保障を目的とする規制は、個人の尊重を基礎とする。いじめなどの人格 侵害行為や性差別等の社会的差別の違法性が雇用の場以外でも認められている

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ように、個人の尊重は場面ごとにその表れ方は様々だが特定の契約関係の範囲 で機能するものではなく、当該個人があらゆる対象に対して主張することがで きる。個人が個人として尊重されることは、契約自由が成立するための前提で あり、これは役務提供契約関係でも変わらない。  これらに対し生存保障に関わる規制は、もとより実質的な契約自由の実現を 超えた社会権的利益の実現を意図している。生存権も個人に保障される基本的 権利の一つである。しかしある個人の生存権を保障するためのリスクを、国や 自治体などの公的機関や就業者の役務提供を受ける委託者など、その個人に関 わる社会の構成員の誰がどの程度担うべきかという問いに対しては、就業者が この権利を保障されることをいうだけでは十分な回答にならない。労働者に対 する個別的労働法的規制を講じる際には、人的従属関係を通じて労働者が自身 の労働力利用の自由を制限されることなどに当該労働契約を規律する根拠を求 めることができるが(23) 、ここでは異なる根拠が必要となる。  この根拠の内容や就業者の生存権を保障するためのリスクを各ステイクホル ダーが負担する割合は、各国においてその法的・政策的判断に基づいて多様に 設定されてきた。だがさしあたり日本の現行法の枠組みを前提とすれば、役務 提供契約に基づいて就業者をその事業の一部に組み込んでいる関係にあること に生存保障に関わるリスクの負担の根拠を求め、就業者を分類する基準とする ことができるのではないだろうか。就業者を組織の一部に組み入れて就業者の 日々の生活を事業活動に不可欠な役務提供のために恒常的に取り置いてもらう 委託者は、その限りにおいて就業者の生存の実現に影響力を有するためであ る。この関係にある場合、外部委託などによってある個人との役務提供関係を 外部化したという形式を整えたとしても、その役務提供に関わる責務をすべて 免れるべきではない(24) 。自身の役務提供を契約の内容とする限り以上のような 交渉力格差が生じる類型的特徴を有することから、就業者が独立した事業者と (23) 土田道夫「『労働者性』判断基準の今後―労基法・労働契約法上の『労働者』性を中心に」ジュ リスト1426号(2011年)56頁、皆川宏之「労働法上の労働者」日本労働法学会編『講座労働法の 再生第 1 巻 労働法の基礎理論』(日本評論社、2017年)73頁、88頁。

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して認められる特段の事情がない限り、委託者は就業者の生存に関わる責任を 負うと解することができよう。 ( 3 )適用対象の人的画定と関係的画定  以上のような理解に基づけば、委託者の事業に組み込まれている就業者につ いては、その役務提供契約の規制を通じた労働者保護に類似する観点からの就 業条件保護を講じることが可能といえる。次の課題は、この要保護性を実現す る仕組みをどのように構想するかである。この課題には就業者の就業実態に即 していかなる就業条件をいかなる方法で具体化するかという大きな論点が含ま れるが、この点については別稿に譲り、就業者に対する保護法規の適用範囲に 着目してきた本稿の問題意識から、ここでは適用範囲の設定方法についてのみ 言及しておきたい。  労働者概念に関する議論状況をふまえれば、ここでも当該規制の趣旨目的に 即して適用範囲を画定する方法が候補に挙がる。この方法は就業者の就業実態 の多様性に対応することが比較的容易であり、法規制を講じる当事者の関係性 を同時に視野に入れつつ、労働者を対象とする保護立法も含めた労働法制の再 構成も視野に入る。  もっとも本稿で労働者類似の規制が可能とした就業者については、就業関係 に一定の同質性が認められることから「労働者」のように人的に適用範囲を画 定することもなお検討に値する。この方法によれば、就業者を対象とする保護 法に様々な趣旨の立法が含まれることになり、将来的に労働者概念をめぐって 行われたような人的適用範囲をめぐる争いが生じる可能性はある。しかし報酬 額の規制が就業者の生活保障とともに公正競争の保障としての意味も持つよう に、ある就業条件に関する規制を特定の趣旨等に対応させることはときに容易 (24) 確かに指揮命令関係がない就業関係では、契約内容の白地性を通じて役務提供の具体的内容が 一方的に決定される関係は基本的に生じない。しかし契約で決定された提供すべき役務の内容が 委託者により一方的に変更されるケースも多く存在し、指揮命令を受けないことによる就業者の 役務提供における裁量が契約自由の修正を不要とする程度に至るとは限らない。

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ではなく、その特定の趣旨自体が変化することもある。この点、人的に適用範 囲を画定することには、一般的に当事者は自身で構築した就業関係に着目して 自身の法的立場を理解する実態に適合することや、当該就業関係の特徴を反映 した法整備が容易であること、最賃法に対する最低工賃制度のような労働者を 対象とする保護法の実効性確保への貢献、労働者類似の規制方法の具体化によ る仕組みの説明のしやすさ、解雇と労災が争われる場合など争点が複数の労働 条件にわたる場合の処理のしやすさなどの利点がある。 Ⅳ むすびにかえて  就業者に対する就業条件保護法の適用範囲の設定をめぐる問題は、人的に適 用範囲を設定してワンセットで保護法を適用する労基法等の方法の限界と、こ れに代わる保護範囲を設定する論理を問うものであった。本稿は、就業者の要 保護性の性質とその要保護性の実現に伴うリスクを負担させうる関係性をふま え、委託者に組み込まれている事業者性が認められない就業者については、な お人的に適用範囲を設定する就業者保護法を構想することができることを指摘 した。  就業者の就業条件を保護する立法をいかなる観点から構築するにせよ、本文 中に指摘したように、その就業実態に即した保護の仕組みを構築するという課 題に取り組むことが次の課題となる。例えば就業者の就業条件をめぐっては報 酬額の低さが問題になっているが、労働時間の拘束がない点で最低賃金制度の ように時間を基準に最低報酬額を決めることは困難であり、就業実態の多様性 から最低工賃のように仕事を基準に最低報酬額を決定することも困難である。  また、委託者に組み込まれていない就業者の就業条件を保護する仕組みを構 築する必要もある。この種の就業者は、いっそう多様な就業実態の下にあり、 特定の委託者に経済活動や生活を依存する程度がより低く、その就業が特定の 法的関係を離れて社会システムの構成要素の一つであることをより強く意識さ せる。社会保障制度との交錯関係の理解と処理の方法も問われることになるだ ろう。

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 そして集団的労働法と就業者の関係も明らかにする必要がある。本稿で従来 型の規制対象決定方法を採用可能とした就業者については集団的労働法の適用 対象と重なる部分が多いと考えられるが、相違する部分と内容の詳細、前記の 範囲から外れる就業者に対する集団的労働法規制の可能性については今後の課 題としたい。 ―はせがわ さとし・専修大学法学部准教授―

参照

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