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イネの銅・亜鉛・カドミウム耐性と吸収能力の品種間差

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. イネの銅・亜鉛・カドミウム耐性と吸収能力の品種間差 背 景 カドミウムなどの有害金属による土壌汚染に対処するため、植物を用いた浄化法(ファイトレメディエー ション)に用いる植物や可食部に有害金属を蓄積しない作物の育種が望まれている。イネは我が国で栽培され る代表的な作物であり、主な有害金属の吸収に関わる必須金属の吸収機構やゲノム情報の解明・整理が進んで いる。イネの金属耐性・吸収能力* 1 を様々な植物と、あるいはイネの品種間で比較して総合的に解析するこ とにより、育種に有用な遺伝子を同定できれば、ファイトレメディエーションなどに応用できる可能性がある。. 目 的 銅、亜鉛、カドミウム耐性と吸収能力について、広範な草本性被子植物種の中におけるイネの相対的な位置 を把握すると共に、イネに鉄、銅、亜鉛、およびカドミウムを過剰量摂取させて、対象とする金属の耐性や吸 収に及ぼす相互の影響を明らかにする。. 主な成果 我が国でみられる草本性被子植物 36科 81属 114 種(品種・栽培種を含む)、およびジャポニカ型イネ 12品種、 インディカ型イネ 7 品種を供試して、以下の点を明らかにした。 1.銅、亜鉛、カドミウム耐性と吸収能力に関するイネと一般的な植物種との差異 銅、亜鉛、カドミウム耐性と吸収能力を相対化し、イネと他の植物種との差異を調べた。その結果、一般 的な植物全体と比較するとイネの銅、亜鉛、カドミウムの耐性は比較的高い耐性をもつこと、吸収能力を示 す植物体内濃度についてはごく狭い範囲で中間的な濃度域に分散していることが明らかとなった(図 1)。 2.イネにおける銅、亜鉛、およびカドミウム耐性の品種間差の把握と、耐性機構の類推 イネの銅、亜鉛、カドミウムの各耐性、およびこれらのうち二つの耐性の相関には、インディカ型とジャ ポニカ型に明確な差異があることを見いだした(図 2)。このことから、各品種に特異的な耐性機構が存在 する可能性が示唆された。 3.イネにおける主な二価金属吸収能力の品種間差の把握と吸収・輸送機構の類推 鉄や銅、カドミウムの地上部濃度は通常、ジャポニカ型がインディカ型より高いが、鉄過剰など特定の条 件下では逆転することが明らかとなった(図 3)。このことからカドミウムが鉄や銅と同じ機構によって地 上部に輸送されており、品種によってこの機構そのもの、あるいはこの機構を制御する能力が異っている可 能性が示唆された。 なお、本研究の一部は平成 16年度∼平成 19年度科研費補助金(基盤研究 B: 16380232)を用いて実施した。. 今後の展開 得られた知見を利用して金属の輸送に関する遺伝子の単離を進め、耐性・吸収能力の品種間差が金属吸収機 構の差異に基づくことを証明するとともに、ファイトレメディエーション用植物の育種に資する。 主担当者 関連報告書. 環境科学研究所 バイオテクノロジー領域 上席研究員 吉原 利一 「イネにおける銅・亜鉛・カドミウム耐性と吸収能力の相関、およびその品種間差」電力中 央研究所報告: V07010(2008 年 7 月) 「我が国にみられる草本性被子植物種の銅・亜鉛に対する耐性と吸収特性」電力中央研究所 報告: V07012(2008年 7 月). * 1 :鉄、銅、亜鉛、カドミウム過剰条件下における種子からの発根・伸長量を、それぞれ対照区で生育したものを 1 として相対値化し、「耐性」を表す指標とした。また、幼植物体における各金属濃度を「吸収能力」を示す指標 とした。. 50.

(2) 2.環境/地域環境問題への対応 (B)Zn 1.6. 0.8. 1.2. 1.2 カドミウム耐性. 1.0. (C)Cd. 亜鉛耐性. 銅耐性. (A)Cu. 0.6. 0.8. 0.4 0.2. 0.4. 0.0. 0.0. 0.8 0.4 0.0. 1E-3 0.01 0.1 1 地上部銅濃度(mg/g-DW ). 0.01 0.1 1 地上部亜鉛濃度 (mg/g-DW ). 1E-3 0.01 0.1 1 地上部カドミウム濃度 (mg/g-DW ). 図1 広範な植物種における銅、亜鉛、カドミウム耐性・吸収能力の相対化 銅(A)、亜鉛(B)、カドミウム(C)の耐性と地上部濃度との相関を示した。各点は個々の植物種ごとの値 を示す。供試した各イネ品種の値については赤点で示した。. (A) カドミウム耐性と亜鉛耐性の相関. (B)銅耐性と亜鉛耐性の相関. 1.4. 1.0 0.8. 1.0. 銅耐性. カドミウム耐性. 1.2. 0.8 0.6. 0.6 0.4. 0.4 0.2. ジャポニカ型 インディカ型. 0.2 0.0 0.0. 0.6. 0.9. 1.2. 1.5. ジャポニカ型 インディカ型. 0.0 0.0. 亜鉛耐性. 0.6. 0.9. 1.2. 1.5. 亜鉛耐性. 図2 ジャポニカ型とインディカ型イネの金属耐性の違い 亜鉛耐性とカドミウム耐性はインディカ型(A図点線)がジャポニカ型(A図実線)より高く、その相関は いずれも正(両耐性が同調的)であったが、亜鉛耐性と銅耐性はジャポニカ型(B図実線)では正、イン ディカ型(B図点線)では負(両耐性が相反的)であった。. (A)基本培地で生育したイネ. (B)鉄過剰培地で生育したイネ. インディカ型とジャポニカ型の鉄濃度が逆転 ジャポニカ>インディカ. (p=0.03). 700 600. 1000. Jp. In. 500 400 300 200 100. 地上部鉄濃度(μg/g-DW). 地上部鉄濃度(μg/g-DW). 800. 0. 800. インディカ>ジャポニカ. (p=0.05) In. Jp. 600 400 200 0. 各イネ品 種. 各イネ品 種. 基本培地、および鉄過剰培地において生育させたイネにおける、品種毎の地上部鉄濃度について 平均±標準偏差を示した(n=5∼15)。図中の赤  、青  、白  の棒グラフはそれぞれ、イン ディカ種(In)、ジャポニカ種(Jp)、および各々の平均を示す。. 図3 基本培地と鉄過剰培地で生育したイネ地上部における鉄濃度 基本培地(A)で生育したイネではジャポニカ型品種に高い鉄濃度を示すものが多いのに対し、鉄過剰培地 (B)で生育したイネではインディカ型品種に高い鉄濃度を示すものが多かった。. 51. 2.

(3)

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