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運動負荷心臓核医学検査によるA-Cバイパス術の評価

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(1)

原 著

〔書繍縛32箏鶴62劉謂〕

運動負荷心臓核医学検査によるA−Cバイパス術の評価

東京女子医科大学 循環器内科学教室(主任 広沢弘七郎教授) ニシ オカ タカ ブミ 西 岡 隆 文 (受付 昭和62年7月7日)

Exercise Radio皿uclide Assessment of Aortocoronary Bypass Graft Surgery Takabumi NISHIOKA

Department of Cardiology(Director:Prof. Koshichiro HIROSAWA)

Tokyo Women’s Medical College

To evaluate the ef丑cacy of aortocoronary bypass graft surgery(ACBG), exercise(Ex.)Tl−201 myocardial scintigraphy was performed o1191 patients(pts)and radionuclide ventriculography was performed on 800f the 91 pts before and 6 weeks after operation. They were assigned to 3

groups(Gp、);Gp. I consisted of 34 pts with angina pectoris(AP);Gp. II of 37 pts with AP and old

myocardial infarction(OMI);Gp, III of 20 pts with OMI.

Improvement in exercise−induced perfusion defect was observed postoperat量vely in 700f the 71pts froln Gps.1&II. However perfuslon defect in Gp, III showed unchanged. New or enlarged

perfusion defects were found in 8 pts(9%)of a11, who had a occluded graft and/or perioperative

myocardial infarction.

At rest, ejection fraction(EF)remained unchanged in all Gps. after operation. Although mean EF during Ex. was decreased or unchanged in Gps.1&II and increased in Gp. III before

operation, it was increased in all Gps, after operation,

39pts with the graft to infarcted site were categorized as Gp. Rd(十):20 pts with regional

perfusion defect and redistribution in the infarcted site;and Gp, Rd(一):19 pts with regional

perfusion defect without redistribution before operation.18 pts(90%)of Gp. Rd(十).and only one (5%)of Gp. Rd(一)showed signi5cant improvement in perfusion defects of the infarcted site after

operatlon.

16(9%)of 170 grafts were occluded, including 3 grafts occluded 6 months after operation.8

(50%)of the 16 were correctly and locally detected by myocardial scintigraphy.

・In conclusion, the non−invasive technique of exercise radionuclide study is useful to evaluate

myocardial perfusion and left ventricular function during Ex. in pts with AP before and after ACBG. Myocardial scintigraphy is a useful method to determin the indication of ACBG for infarcted myocardium and to detect occluded grafts.

緒 言

虚血性心疾患に対する大動脈一冠状動脈バイパ ス術(aortocoronary bypass graft surgery: ACBG)は冠状動脈の器質的狭窄による心筋虚血 に対し,冠血流の改善をはかり,臨床的には狭心 発作の消失,運動能力の向上さらに生命予後の改 善をもたらしている.従来よりACBGの適応や治 療効果の判定をするために,冠状動脈造影(CAG) やグラフト造影による形態学的評価や左室造影 (LVG)による安静時の左室機能の評価がなされ ている.しかし,これらの方法では心筋灌流や左 室予備能の評価は困難であり,観血的検査なので 一1318一

(2)

術後の長期経過観察には適していない.Tl−201心 筋シンチグラフィーは運動負荷のもとに施行する ことによって心筋灌流とくに心筋のviabilityの

評価やグラフト閉塞の判定に有用である.

Radionuclide ventriculographyでは安静時と負 荷時の左室機能の評価ができる.また核医学検査 は非観血的方法なので術後の長期経過観察にも有 効な手段である.著者は運動負荷心臓核医学検査 によりACBGの評価をおこなった.特に,心筋梗 塞領域に対する手術適応決定とグラフト閉塞の判 定について検討したので報告する. 対 象

1982年7,月より1985年2月までにACBGを施

行した虚血性心疾患91例(男85例,女6例)で心 室瘤切除術例は除外した.年齢は25∼68(53±8) 歳である.CAGで75%以上を有意狭窄として,1 枝病変8例,2枝病変45例,3枝病変38例で,そ のうち左主幹部病変は3例であった.対象を3群 に区分した.1群は狭心症(AP)群で34例, II群 は狭心症で既往に陳旧性心筋梗塞症(OMI)のあ る群で37例,III群は陳旧性心筋梗塞症のみの群で 20例である(表1). なお,APとは病歴上労作時または安静時の狭 心発作があり,負荷心電図で胸痛を伴なう有意の

ST変化(horizontalで1mln以上のST低下な

ど)を示すものとし,OMIとは心電図上異常Q波 があり,LVGで錯運動異常を認めるものとした.

心筋梗塞領域に対するACBG例の検討の対象

は,II群, III群の症例中,梗塞領域の責任冠状動 表1 対象症例 1VD 2VD 3VD Tota1 Gp, I @ AP 4 20(2) 10 34(2) Gp, II @ AP己OMI 2 16 19(1) 37(1) Gp, III @ OMI 2 9 9 20 Total 8 45(2) 38(1) 91(3) AP :狭心症 OMI:陳旧性心筋梗塞症 1VD:1枝病変 2VD:2枝病変 3VD:3枝病変 LMT:左主幹部病変 ()LMT 脈にバイパス術を施行した39例で,グラフトの閉 塞した領域は除外した.内訳は左冠状動脈前下行 枝(LAD)領域の前壁梗塞23例,右冠状動脈(RCA) 領域の下壁梗塞16例であった.術前のT1心筋シ ンチグラフィーで梗塞領域に再分布したものを Rd(十)群(20例),再分布しなかったものをRd (一)群(19例)とした. A−Cバイパス本数は総計170本で1例あたり平 均1.9本であった.そのうち術後1ヵ月のグラフト 造影で12例13本(7.6%),6ヵ月以降の再造影ま たは胸部CTで2例3本のグラフトの閉塞が確認 された. 方 法 心臓核医学検査は,術前は4週以内,術後は4 週前ら6週後に施行した.運動負荷Tl心筋シン チグラフィー(心筋シンチ)を全例に,radionu− clide ventriculography(RNVG)を80例に施行し た.そして術後6ヵ月に再検査を32例に施行した. 検査にあたっては抗狭心症薬(亜硝酸剤,Ca拮抗 剤,β一受容体遮断剤など)の投薬を検査12時間以 前に中止した. 運動負荷(Ex.)には臥位電気制動型自転車エル ゴメーターを使用した.心筋シンチのさいには15 watts(W)の負荷量より始めて毎分15Wずつ増量 する多段階漸増負荷法(図1−a)を用い,胸痛, 息切れおよび下肢の疲労などをend−pointとする symptom−limited exerciseとした.その際の運動 持続時間(duration),総運動量(total work load:

TWL),最大負荷時のdouble products(DP)そ して%最:大予測心拍数(%predlcted maximum heart rate:%PMHR)を運動耐容量の指標とし た.end−pointでTl−201を3mCi静注しさらに 30∼60秒運動を持続させてから運動を中止し,10 分後(負荷後像)と4時間後(再分布像)に撮像 した. 撮像には高分解能平行多孔型コリメータを用 い,前面(ANT),左前斜位(LAO)45.,左側面 (L.LAT)の3方向から各35万カウントを収集し た.半定量的分析のために3方向のシンチグラム をそれぞれ3領域に区分して計9領域として,領 域ごとに視覚的に判読して点数化した.まず負荷

(3)

a)Symptom一闘mited exercise Ex. myocardial scintigraphy

b)Radionuclide ventriculograPhy Max(Watts) 75 60 45 15 30 Work Load Ex 1 Ex2 50%of MWL 75%of MWL 1 2 3 4 5 n(min) 「imaglng 2min一} 3 3 (minl

MWL:Maxlmum Work Load 図1 自転車型エルゴメーターによる運動負荷法 直後の灌流欠損(perfusion defect)を,なし(no

defect)0点,軽度欠損(minor defect)1点,中

等度欠損(well visible defect)2点,完全欠損(no

activity)3点の4段階に分類(perfusion defect index:PDI)して9領域での総和をtotal per− fusion defect index(TPDI)とした.つぎに4時

間後の再分布(redistribution)の程度を,なし

(none)0点,軽度(little)1点,中等度(some) 2点,完全(complete)3点の4段階に分類して その総和をtotal redistribution index(TRI)と

した(図2).

バイパス術のなされた心筋梗塞領域やグラフト の閉塞した領域の検討のために,対象領域のPDI の総和を領域数で除した値をmean perfusion defect index(MPDI)とした. redistributionの 程度についてはnoneまたはlittleを(一), some またはcompleteを(十)として表示した.

RNVGは99mTc 25mCiを静注して赤血球に標

識し,平衡状態に達してから安静時(R)データを 5分間収集し,その後運動負荷を開始した.多段 階漸増負荷法の最大負荷量の50%(Ex.1)および 75%(Ex.2)でそれぞれ3分間負荷し,後2分間 収集した(図1−b).データの収集には高感度コリ メータを用い,心電図同期下にR−R間隔を16フ レームに分割し,variable ROI法により以下の方 法で左室駆出率(EF)を算出した. EDC−ESC ×100(%) EF=

EDC−BG

EDC:拡張末期カウント数 ANT LAO450

一i薄一

Apical L.LAT Anterior ApicaI Posterior

Score Perfusion defect Redistribution 0 1 2 3

None

Minor Well visible No activity

None

Little

Some

Complete TPDI:Total perfusion defect index

TRI =Total redistribution index

図2 Tl心筋シソチグラフィーの半定量分析 ESC:収縮末期カウント数

BG:バックグラウンドカウント数 安静時のEFをR. EF, Ex.2のEFをEx. EF

としてEFの負荷による上昇度を∠EFとして下

記の式で求めた. ∠EF=Ex. EF R. EF なお,検査測定値は平均値±標準偏差として表 示し,検定法にはpaired t−testを用いた. 結 果

1.ACBG前後の検査成績

以下の術前,術後(4∼6週)の統計からは, グラフトのすべてが閉塞した2例(II群1例, III 群1例)を除外した. 1)運動耐容量(図3) 1群,II群においては, duration, TWL, DPそ 一1320一

(4)

して%PMHRな:ど全ての指標で術後有意に上昇 し運動能力が増大した.1群34例中9例(26%) とII群36例中7例(21%)に術後durationの低下

を認めたが,%PMHRも低下したのはそのうち

の2例であった. III群では, duration, TWLは術前後で有意差が なかったが,DP,%PMHRは術後有意に上昇し た. 2)心筋墨流欠損と再分布(図4) 1群では,TPDI(8.0±2.8v.s,1.6±1.5, p〈 0.001),TRI(10.6±3.7v.s.0.4±0.7, p〈0.001) いずれも術後有意に減少し,心筋虚血の著明な改 善を認めた. II群においてもTPDI(11.6±3,4 v.s.5.6± 3.2,p〈0.001), TRI(7.8±3.4v.s.0.3±0.8, p<0.001)は有意に減少した.しかし術後のTPDI Gp. 1 n=34 Gp. 1 n=36 Gp. 皿 n=19 AP AP6OMl OMl

Pre Post Pre POS象 Pre Post

8 Pく0.001 P〈0.001 N.S. Duration 6(min) 4 P<0.001 Pく0.001 N.S. 400 TWL (W) 300 300 P<0.001 P<0.001 Pく0.001 DP×10−2 200 番00 100 P<0.001 Pく0.001 P<0.001 %PMHR 80 (%} 60 図3

TWL:Total work load DP l Double products

%PMHR=%Predicted maximum heart rate

ACBG前後の運動耐容量

Gp.1 n=34 Gp』 n=36 Gp.皿 n=19

AP APδO剛 OMI

Pre Post Pre Post Pre Post

Pく0.001 P<0.001 N.S. 12 TPDI 8 4 P<0.001 Pく0.001 N.S. 12 TRi 8 4

TPDI l Total perfusion defect index .

TRI:Total redistribution index

図4 ACBG前後の心筋灌流欠損と再分布 は1群の1.6に対してII群は5.6と高値であり OMIの存在を反映していた. III群ではTPDI(7.7±3.4v。s。7.1±3.5, N.3.) とTRI(1.0±1。3v.s.0.7±0.7, N.S.)ぱ有意差

がなくACBGによる心筋灌流の改善を認めな

かった. 全症例91一中,4例(4%)に術後,術前にな い灌流欠損(new perfusion defect)を認め,3

例は有意狭窄のある冠状動脈にバイパス術を施行

せずperioperative myocardial infarction(PMI) の発症した例で,他1例はグラフトの閉塞した PMI例であった.また,4例(4%)に術後,心 筋梗塞領域の三流欠損の拡大(enlarged per− fusion defect)を認め,グラフト閉塞(3例)ま たは・ミイパス術未施行(1例)のPMI例であっ た. 3)左室駆出率(図5) 安静時EFは各群(Gp.1;62±7v.s.60±9%, Gp, II;50±10 v。s.52±10%, Gp. III;53±7v.s. 54±8%)とも術前後で有意差がなかった. EFの運動負荷に対する反応は,術前において

(5)

Pre−ACBG Post−ACBG R.EF Ex.EF R.EF Ex,EF % @ 60 fp.1

AP 40n=28 Pく0,005 P<0.001 20 % 60 fp』 `P 4060MI

n=33 P<0.05 P<O.001 20 % @ 60 fp,皿

OMI 40 n=1ア P<0.OO1 P<0.001 20 R.=Rest Ex,;Exercise EF:ElecUon「raction 図5 ACBG前後の負荷によるEFの変化 をよ1君羊 (62±7v.s.57±9%, p〈0.005), II群 (50±10v。s.46±9%, p<0.05)いずれも負荷に より有意に低下したが,III群(53±7v.s.58± 8%,p<0.001)は有意に上昇した. 術後では各群(Gp.1;60±7v.s.69±7%, p〈 0.001,Gp. II;52±10 v.s.58±10, p<0.001, Gp. III;54±8 v.s,58±10, p<0.001)とも術後有意 に上昇した. 全症例80例中,13例(16%)で術後の∠EF<5% であった.内訳は広範囲心筋梗塞6例,グラフト 閉塞4例(うち重複2例を含む)PMI 3例,他2 例であった. 2.ACBG 6カ月後の検査成績 6ヵ月後に再検査を施行した32例中,III群の3 例と6ヵ月以降のグラフト閉塞2例(いずれも1 群)を除外した27例(1群9例,II群18例)につ いて検討した.なお,術後とは4∼6週後のこと 一1322 6m.after

Pre−ACBG Post−ACBG ACBG 8 P<0.001 P<0.001 DuratiGn (min} 6 4 600 P〈0,001 Pく0.001 TWL 400(W〕 200 300 P<0.001 N.S, DPx10’2 200 100 100 P〈0.001 N.S, %PMHR 〔%} 80 60 TWL=Tota[work load (n=27) DP;Double products

%PMHR=%Predicted max}mum heart rate 図6 ACBG前後および6ヵ月後の運動耐容量 で,6ヵ月後と区別した. 1)運動耐容量(図6) 術前と術後では前述したように全ての指標で術 後有意に上昇した. 術後と6ヵ月後で比較するとduration, TWL

は6ヵ月後に有意に上昇したが,DP,%PMHR

では有意差がなかった. 2)心筋灌流像 全例に術後と6ヵ月後で心筋灌流像に明らかな 変化はなかった. 3)左室駆出率(図7) 安静時EFは術前,術後および6ヵ月後で有意 差がなかった. 負荷時EFは術前後の比較(48±11 v.s.62± 9%,p<0.001)では有意に上昇したが,術後と 6ヵ月後(62±9v.s.63±11%, N.S.)では有意 差がなく,6ヵ月後に負荷量は増大したが負荷時 EFは上昇しなかった.

(6)

80

60

40

20

Pre−ACBG Post−ACBG 6m.after ACBG R.EF Ex. EF R.EF Ex. EF R.EF Ex. EF

rPく0・001■一一N・S・一一「 Lp<o.05」

Lpく。.oo1」 Lp〈o.oo1」

LN.s._」LN.s.■

図7 ACBG前後および6ヵ月後のEF (n=27) LAD Gp.Rd(+》 n寓13 Gp. Rd(一) n;10

reglon Redistribution㊥ Redistributionθ

n二23 Pre Post Pre Post

0 2 Q①石 、、 @、 @、 @ 、 @ 、 ⊆.2ω 、 、、 @、 @ 、 @ 、 \● 、 、 、 、 、 、 、、 、 、 、 、 0 図8 前壁梗塞(LAD)領域のACBG前後のInean

perfusion defect index

3.心筋梗塞領域に対するACBG例の検討 心筋シンチで梗塞領域のMPDIが術後1.0以上 減少した場合を心筋灌流の改善と判定した. 1)前壁梗塞(LAD)領域(図8) Rd(+)群(術前の心筋シンチで再分布のある 群)は13例で,術後の心筋灌流の改善12例(92%), 不変1例(8%)であった.Rd(一)群(再分布 のない群)は10例で改善1例(10%),不変9例 (90%)であった. 2)下壁梗塞(RCA)領域(図9) Rd(+)群は7例で,改善6例(86%),不変1

RCA

Gp.Rd{+) n=7 Gp.Rd(一} n躍9

日目gion Redist曲ution㊥ Redistributlonθ n=16 Pre Post Pre Post

x Φ η .≡ ぢ 2 、、 ① 、 ← 、、 Φ℃ 、「● 仁 .9の コ ←L ① Ω 1 ⊆ ⑩ ① Σ 0 図9 下壁梗塞(RCA)領域のACBG前後のmean

perfusion defect index

例(14%)であった.Rd(一)群は9例で全例不 変であった. 3)症例呈示 写真1はRd(+)群の前壁梗塞例である. LAD と左冠状動脈回旋枝(LCX)の2枝病変のII群で, 術前の心筋シソチでは前壁中隔と心尖部に中等度 の灌流欠損と再分布を認めたが,術後,LCXへの グラフトは閉塞していたが,LADへのグラフトは 開存し,心筋灌流は著明に改善して正常となった. 写真2はRd(一)群の前壁梗塞例である.3枝 病変のIII群で,術前,前壁中隔と心尖部に中等度 の灌流欠損を認めたが,再分布はなかった.3枝 にバイパスした術後,灌流欠損の改善は殆どな かった. 4)総計 以上の成績より,梗塞領域への・ミイパス術は Rd(+)群の20例中18例(90%)で心筋主流の改 善に有効であったが,Rd(一)群の19例中18例 (95%)では有効でなかった. 4.グラフト閉塞症例の検討(表2) 術後の12例13本と6ヵ月以降の2例3本の総計 14例16本の閉塞グラフトについて術前後の心筋シ ソチの所見から,閉塞の診断可能群,疑い群,そ して診断不能群に分類された。

(7)

Ex pre ACBG

R

Ex

post ACBG

R

ANT

LAO45

LLAT

写真1 Rd(+)群の前壁梗塞例 N.K. Ex pre ACBG

R

Ex post ACBG

R

ANT

LAO45

LLAT

写真2 Rd(一)群の前壁梗塞例

T.1.

表2 グラフト閉塞症例のCAG所見とMPDIの変化

CAG(≧75%stenos三s) ACBG MPDI(Redistribution) Diagnosis

of

OMI

Group No, geSex

RCA LAD LCX Patency Occlusion Pre Post 6m. after ㏄clusion

1 35 F #290 #690 (一) #2 #7 1.5(+) 0.3(一) Impossible 2−a 41

M

#175 #690 #1275 (一) #7● 2.0(+) 0 1,5(+) Possible Gp,1 一b #13100 #12. 0 0 2.0(+) Possible AP 3 57

M

#390 #6100 #1475 (一) #3 #7鱒 1,8(+) 0 1.3(+) Possible 4 50

M

#199 #699 (一) #7 #3 0 0 1mpossible 曹 , 一 一 曹 一 9 曹 , 匿 曹 骨 一 一 ● 9 , 雫 一 一 一 一 ■ ・ ● 曹 曹 r 一 一 一 一 一 曹 匿 ■ 響

5 53

M

#790 Lat. #7 #14 LO(一) 3.0(一) Susp㏄ted

6 66

M

#799 #1390 Ant. #3,#7 #14 0 0 Impossibie

Gp. II 7 62

M

#390 #7100

狽X75

Inf. #4A・V,#7 #9 0 0 Impossible

AP 8 49

M

#1100 #690 #13100 Inf, #7 #3 3,0(一) 3.0(一) Impossible

こOMI 9 48

M

#1100 #799 Inf. #7 2,3(+) 2.3(+) Possible

10 37

M

#1100 #675 Ant. #7 #2 2.4(一) 2.2(一) Impossible

11 49

M

#690 #1390 Lat. #7 #14 LO(一) 2.0(一) Suspected

一 ■ ● 9 曹 一 一 一 一 一 曹 曹 9 曹 一 一 一 一 一 一 曹 ・ 匿 一 一 一 幽 曽 9 曹 , , 雫 一 一 冒 冒 , 曹

虚 一 9 曹 一 骨 雪 , 一 一 一 一 幽 ・ ・

12 54

M

#675 #1490 Ant. #7 #14 0 2.0(一) Suspected

Gp. III 13 51

M

#2100 #775 #1390 Inf. #7 #3 1.7(一) 2.7(一) Suspected

OMI 14・a 46

M

#275 Inf. #3 2.0(一) 2,0(一) Impossible

.b #1399 Lat. #14 3,0(一) 3.0(一) Impossible

MPDI l(グラフトが閉塞した冠状動脈の支配領域の)mean perfusion defect index Ant l Anterior Inf:Inferior Lat二Posterolatera1

“術後4週のグラフト造影では開存していたが,1年後の再造影で閉塞を認めた ’・p後5週のグラフト造影では開存していたが,7ヵ月後のX線CTで高度狭窄を認めた 1)閉塞の診断可能群(4本) 写真3は表2のNo.9で,術前の心筋シンチで 下壁梗塞とLAD領域(前壁中隔,心尖部)の灌流 欠損と再分布を認めた.LADへのバイパス術後, MPDIが減少せず負荷によりEFも低下し,グラ フト閉塞の診断が可能であった.No.2−a, b, No. 一1324一

(8)

ANT

1−AO45

LLAT

補国囹鍵

国魏

post ACBG R 写真3 グラフト閉塞の1例 Y.W. 3は術前の凡流欠損が術後消失したのに,6ヵ月 に再び出現し,運動耐容量は減少し,負荷により EFも低下したので閉塞の診断は容易であった. 2)閉塞の疑い群(4本) No.5,11,13はいずれも再分布のない梗塞領域 への・ミイパス術例で,術後MPDIが増加すなわち 梗塞が拡大したので閉塞が強く疑われた.No.12 は術前,灌流欠損のない(MPDIニ0)LCX領域 に術後,灌流欠損が出現し閉塞が強く疑われた. 3)閉塞の診断不能群(8本) No.8,10,14−a, bの4本はいずれも再分布の ない梗塞領域へのバイパス術例で,3.に記したよ

うにACBGによりMPDIの減少が殆ど期待でき

ない領域なので術後MPDIの変化がなくても閉 塞とは診断できなかった.No,4,6,7は負荷に より心筋虚血が出現しなかった(MPDIニ0)領域 にバイパスした症例で,術後も変化がなく閉塞の 診断は困難であった.No.1はLAD病変の虚血領 域への・ミイパス例で,MPDIは術後減少(改善) したので閉塞の診断はできなかった.一例はCAG でLADが細い2本に分離している異型で,その うちの1本にバイパスし,同時にバイパスされた

RCAよりLADへの側副血行が良好な症例で

あった. 以上の成績より,閉塞グラフトの診断は16本中 8本(50%)で可能か強く疑われた. 考 察 1.心筋シンチグラフィーによる心筋二流の評 価 虚血性心疾患は冠血流の需要と供給の不均衡に 基づく心筋血流分布異常を本態とするものであ る.したがってACBGの適応決定や効果判定に当 たっては,CAGなどよりみた解剖学的評価ととも に心筋シンチによる心筋二流異常よりみた機能的 評価が重要である.心筋シンチによって虚血部位 を同定したり,梗塞領域の心筋のviabilityを評価 すれぽ,ACBGの適応決定手段となるとともに術 後の心筋灌流の改善度を評価できるP噂17). 本研究では,臨床的には狭心症を有する群すな わち心筋シソチでは再分布のある心筋二流欠損 (虚血)の1,II群では術後,心筋灌流が著明に改 善した.それに対して狭心症がなく,心筋梗塞領 域に再分布のないIII群では術後に有意な変化がな かった.これは心筋のviabilityの有無によると考 えられた.久保ら15)は梗塞領域へのバイパス術で 心筋灌流量が増大するのは再分布のある群である と報告している.本研究でも梗塞領域の心筋二流 は再分布(+)群の90%で改善したが,再分布(一) 群の95%では改善しなかった.したがって梗塞領 域へのバイパス術の適応の検討には再分布の有無 を知ることが必須であると考えられた. 心筋シソチの所見とグラフト開存率について Hirze1ら7)は術後の(術前にない)新二流欠損また は灌流欠損拡大群で,Rasmussenら14)は新二流欠 損または虚血不変群でそれぞれ二二率が著しく低 いと報告している.本研究でも新欠損,欠損拡大 そして虚血不変のバイパス領域は合計(6ヵ月後 の検査も含めて)8例あったが,全て心筋シンチ によってグラフト閉塞の診断が可能か強く疑われ た.一方,Sbarbaroら4}は術後の心筋灌流不変領 域ではグラフト開存の推定が困難であるとし, Rasmssenら14)は術後,正常山流不変例または再 分布のない灌流欠損不変例の場合は開存例も閉塞 例もあると報告している.本研究の閉塞診断不能 8本中7本はこれら不変例であった.したがって,

(9)

この7本を除外すれぽ,閉塞グラフト9本中8本 (89%)を検出できたと考えられた.このように心 筋シンチはグラフト閉塞の検出に,一定の限界は あるが,有用であると考えられた. 2.運動耐容量の変化 1群,II群では術後,負荷により狭心発作が誘 発されず運動耐容量は増大した.6ヵ月後には総 運動量はさらに増大した.したがって術後4∼6 週の時点ではリハビリテーションが不充分で,下 肢など全身の運動能力がまだ充分には回復してい ないと考えられた.III群は術後,総運動量は増大 しなかったが,%PMHRは上昇した.これは,術 後の頻拍傾向によると推測された. 3.Radionuclide ventriculographyによる左室 機能の評価 虚血性心疾患の左室機能を評価するために

LVGによりEFの計測や壁運動の評価がなされ

ているが,観血的方法なので運動負荷法を用いる ことがむずかしい.RNVGでは安静時および負荷 時のデータを収集することによってEFの負荷に よる反応を評価でぎる16>18)∼24). 本研究では術前,1群,II群では負荷によりEF は低下したが,III群では上昇した.これは負荷に よる心筋虚血の出現の有無によると考えられた. 術後は各群とも負荷によりEFは上昇した.また 安静時EFは術前後で変化しなかった.狭心症を 対象とする諸家の報告18)19)22)∼24)でも,1群,II群 の成績と一致した.そして,術後のEFが負荷によ り低下した例の多くはグラフト閉塞やPMI発症 例であったと報告している.本研究では,∠EF< 5%の13例中6例が広範囲心筋梗塞症で,その他 PMIやグラフト閉塞例などであり,広範囲梗塞症 には負荷により虚血がおさなくてもEFが5%以 上上昇しない例があることが示唆された, 結 語 A・Cバイパス術施行91例を術前後の運動負荷 心臓核医学検査により検討した. 1.1群およびII慣すなわち狭心症を有する群 ではACBG後,運動耐容量,心筋灌流および負荷 時左室機能が改善した. 2.III群すなわち陳旧性心筋梗塞症のみの群で は術後,有意の変化がなかった. 3.心筋梗塞領域へのバイパス術は,心筋シソチ で再分布のある領域で心筋灌流の改善に有効で あったが,再分布のない領域では有効でなかった. したがって,梗塞領域へのバイパス術の適応は再 分布の有無によると考えられた.

4.グラフト閉塞の検出に心筋シンチグラ

フィーは有用であった. 5.術後6ヵ月の再検査によって,術後の造影で 開存していたグラフトの新たな閉塞を検出するこ とができた.したがって,本検査はACBG症例の 長期経過観察に有用かつ重要であると考えられ た. 稿を終わるにあたり,御指導,御校閲をいただいた 広沢弘七郎教授に深謝申し上げるとともに,御教示い ただいた放射線科廣江道昭講師に心から謝意を表し ます. 本論文の内容の一部は,第47回日本循環器学会およ び第25回日本脈管学会において発表した. 文 献

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参照

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