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左側頚部膿瘍で急死せる3ヵ月乳児例

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画面藩第繍,。車幅

〔症例検討会〕

左側頚部膿瘍で急死せる3ヵ月乳児例

日 時 昭和48年12月19日

場所 東京女子医科大学病理学教室

(発言者)司 会 小児科 受持医 小児科 病 理 小児科

文責 小児科

横田 和子講師 早川 武敏助手 今井 三喜教授 福山 幸夫教授 土屋 節子医療練士 吉浜 伸大学院生 (受付 昭和49年8月12日) 司会 横田=今日は頚部の腫瘤ということで臨 床診断が難しかった症例です.では,受持の早川 先生,症例の紹介をお願いいたします, 早川=症例は以下の如くです. 三〇洋0 2ヵ月21日男児,第1子(退48−394) 主訴:呼吸困難 家族歴:特記すべきことなし. 母親の妊娠歴および患児妊娠分娩時の状態1自 然流産,および人工流産なし.患児妊娠中1日の み発熱,鼻汁あり.その他著変なし.分娩所要時 間15時間,破水5時間後,回旋異常あるも頭位分 娩。羊水混濁なし. 生下時および新生児期の状態:生焼時体重 3,5509,身長50㎝.Apgar score 10.生理的:黄 疸は生後3日目頃より約2週間持続程度は中等 度.母AB型,父0型,患児B型.生後10日間は 時々母乳を与えていたが,以後人工栄養。 現病歴:昭和48年6月中旬(生後1ヵ月)頃, 患児を抱きあげた時急に泣くことがあった.その 時,後頚部を熱く感じたが発熱なし.数日で上記 症状は消失. 同7月9日,祖母に左頚部が少し大きいのでは ないかといわれるも,放置していた. 7月13日朝,突然38.5℃の発熱出現.近医受 診.内服にて2∼3日後解熱する. 7月18日再び発熱(38。C)あり,咳,鼻汁も伴 なっていた.2日後解熱 7月26日夜発熱(38.1℃)あり.7月27日37.5 ℃に解熱.7月28日,某国立病院受診,風、邪とし て薬を投与される.この頃より哺乳量がおちてき た.また呼吸時,吸期に努力を要する状態も認め られている.しかしチアノーゼは存在しなかっ た. 7月30日朝再び発熱(38.1℃)あり.7月31日 同上病院を受診.やはり風邪として薬投与のみは うけていた。8月1日同病院の看護婦に左頚部が 少し膨隆しているのではないかと指摘された(こ の点に関しては今まで祖母が7月9日頃指摘して Clhlico■Pathological Conference(96)3 cervical abscess.

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いるのみで,医師には指摘されたことがなかっ た).その後発熱は認めないが,呼吸困難が続くた め,同日夜,当科を緊急受診し,8月2日午前0 時40分入院. 横田:どうも有難うございました.今までのと ころで何か質問がありましたら,お願いします. 質問:熱が2∼3日おきぐらいの間隔でポツポ ツと出て,その間は殆ど何の症状もないというこ とですか. 早川:はい.特別な症状は認めていません. 横田:それで祖母に左頚部が大きいのではない か,と言われてから20日も経って,やっと左頚部 の腫瘤が目立つようになったのですね. 早川:腫瘤は少しは大きくなってぎたと思いま すが,その間に某国立病院を3度受診しているに もかかわらず,医師からは一度も指摘されていま せん。綿密に病歴を聴取しますと,呼吸状態も28 日頃より悪かったということですけれども,それ に対して何らの処置もうけていません. 質問:泣ぎ声は? 早川:嗅声には特別気付いていません. 横田:他に何か質問がありませんでしたら次に 現症について. 早川=現症,体重5,4009 (年令標準値6, 1009),身長61.3cm(60.1cの,体温37.6℃,口 唇,舌,皮膚の状態より,軽度ないし中等度の脱 水とみました.呼吸状態は特に吸気時の呼吸困難 あり.意識状態はほぼ清明に近い状態.顔色口 唇にはチアノーゼを認めず.咽頭部軽度発赤を認 む.頚部の腫瘤は図1に示したように,左下顎角 の下,胸鎖乳突解剖にあり,大きさ25×50㎜,弾 性硬,表在皮膚に発赤なく,局所熱も認めません, 波動なし.圧痛ははっきりせず,圧迫しても急に 泣くこともありません.移動性なし.その他の身 体部位にはリンパ節腫脹なし.心音やや充進ずる も,雑音なし.肺の聴診所見では,両側とも呼吸 音が弱く,充分に空気が肺に入っていかないとい う感じをうけました,ラ音は聴取できませんでし た.腹壁は弛緩性で肝脾は触知せず.項部強直. ヶルニッヒ徴候なく,腱反射も正常です.

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頭罰亜瘤 へ \謙鎮、二一 図1入院時の頚部腫瘤の略図.大ぎさは25×50㎜ 横田:現症のところで何か質問ありませんか. 頚部腫瘤の移動性がないというのは,深部組織に 対してないだけでなく,皮膚に対しても癒着その 他がないのでしょうか. 早川:はい.では次に検査所見に進みます,一 般尿検査では,蛋白が30㎎/dlである以外に著変あ りませんでした.血液所見はヘモグロビン10.29 /dl,赤血球289万とやや少ない.白血球は12,$00 とそれほど増加していませんが,分類では一核 8,二核26,三核13,四核が2,計49コ好中球が あり,左方移動も多少認めるようです.血液化学 では総蛋白7.39/dl,分画ではガンマグロブリン が17%あり,ガンマグロブリンの低下はありませ んでした.尿素窒素は17㎎、’dl,並正清カリウムは 6.3mEq/上ですが,これは溶血[の結果だと思い ます.CRPは→十,血沈が1時間80㎜ということ です.血液ガスではpH 7.279とアシドーシスを示 しています(表1).胸部レントゲン所見ですけれ ども,入一時には著変を認めませんでした.ツ反 は施行しましたが,救急で入院し,約30時間で死 亡したために判定はできませんでした. 横田:今までのところで何か質問ありませんか 質問:哺乳量は? 早川:哺乳量は低下しています.7月28日頃よ り食欲がおちています, 横田=食欲がないのか,それとものみたくても

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衷1 入院時検査成績

L検尿

比重 1030 蛋白 30㎎佃 糖 (一) 沈渣 正常 2、末梢血液所見 赤血球数 289万 並色素量 10.2g姐 ヘマトクリヅト 29% 白血球数 12800 同百分率 好中球 桿状核 8 分葉核 41 単球 1 リンパ球 50 3.血清生化学検査 血清総蛋白 分画 アルブミン α1・グロブリン 7.39紅1 50% 5% α2・グロブリン 16% β・グロブリン 11% γ一グロブリン 17% 血清電解質 Na

K

Cl Ca P

LDH

アルカリフォス ファター・ゼ

CRP

ASLO

血液ガス pH Po2 4. その他 142mEq/L 6.3 (溶血あり) 99 11.3㎎畑 6.6 474mu/m 15.7K・AU 2十 1:32> 7.279 71㎜Hg 血沈1時間値 80㎜ ツベルクリン反応層 (判定できず) のむことができないという嚥下困難のどちらで しょうか 早川:母の話では,のませても,あまりのもう とはしないということでした.そしてそれはむし ろ呼吸困難が関係したと考えております.哺乳:量 、は具体的には聞いておりません. 質問=生後の体重増加の経過は 早川=6月15日某国立病院を受診した時の体重 は4,7009でした.ですから,その当時までは少 なくとも体重は一応正常に増加していたのではな いかと思います. 質問:嚥下するスペース,例えば咽喉頭あるい は食道が狭いために,ミルクの通りが悪く,一生 懸命飲もうとするけれども,吐いてしまうという ようなことはありませんか? 早川:今まで頻回に嘔吐することはありません でした. 質問:局所的な圧迫というものではないという ことですね. 横田:他に何か質問ありませんか. 質問:腫瘤については何を考えましたか?』 早川:これに関・しては先天性嚢腫,リンパ節, 膿瘍の三つを考えまし売が,可能性としては,炎 症所見があまり強くないということより,リンパ 節よりむしろ先天性嚢腫の方を考えたわけです. 入院後酸素テントと輸液を開始しております. これは経口摂取ができないためと,呼吸困難もあ るということで輸液を開始しております,腫瘤自 体が炎症性のものか未だはっきり分かりませんで したが,一応抗生物質を併用しました.患児の状 態については,患児の体位についてはやや特有な ことがありました.というのは,普通の仰臥位に させますと呼吸困難がひどくなり,患児はいつの まにか左を下の側臥位をとりやすく,かつ頭部を 後屈するのです.一応このような体位をとること によって気道の確保がより容易になるのであろう と推察しました, 横田:ではレントゲンを説明して下さい. 早川:これは入院当日の胸部写真です(写真 1)異常所見はみられないと思いますが……. それから,これは呼吸困難がひどくなった死亡 約24時間前の写真です(写真2). このときには気道に対する圧迫状態をみるため には頚部側面から撮っています.この写真では気 管が後から前へ圧排された像を示しています.方 針としては,肺にはたいした所見がなく,腫瘤の 気道圧迫による呼吸困難と考えて,手術的処置を 考えたわけです.腫瘤の可能性としては,先天性 嚢腫を一番強く考え,気道を圧迫している嚢腫を 写真1 入院当日の胸部写真

一45一

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1顎、

写真3 死亡1時間前の胸部写真,右上肺野 にびまん性の陰影を認める 写真2死亡24時間前の頚部側面写真.気管 が後方より前面へ圧迫されている とり除かなければ呼吸状態が改善しないと思われ ました.しかし全身状態が非常に悪く,手術に耐 えうるかどうか疑問でしたので,もう少し全身状 態が改善した上で手術を考えるということにしま した. それで輸液,抗生物質等の処置を施行しまし た. 死亡前日午後12時頃までの状態では,呼吸困難 の状態が少し改善していましたが,翌朝はシーソ ー呼吸をしており,痛み刺激に全く反応なく,意 識状態は昏睡でした.肺の聴診所見からすぐレン トゲン写真をとりましたのがこれです(写真3). 質問=胸部の理学的所見はどうですか. 早川=右上胸部に濁音がありました. 質問:水泡音は? 早川=水泡音は胸部には聴取されませんでした が,呼吸音が弱く感じました. 質問=S1, S2の無気肺ですね? 早川:右上葉全体の無気肺を考えたのですが… 質問:最初のレントゲン写真でも,心陰影と別 に,右上肺門部に少し陰影が増強してますね. 早川=あまり増強していないと思いますが… 質問:斜位になっているのでしょう.ですから おそらく陰影の中に入っている.どうですかこの レントゲンは正常ですか,肺野は……. 早川:これは体が動いていますね.浸潤のよう に見えますが,浸潤ではないと解釈しました. 積田:これは少し斜位になっていますが,やは り少し浸潤があるのではないかと思います. 早川=入院後の経過ですか,入院1日後の夜中 から点滴が漏れて輸液が入っていませんでした. 質問=漏れたことがわかったのは何時ですか. 早川:午前0時頃からです. 質問=それまでの輸液量:は? それが判ると,それによって本来どのくらい輸 液するべきと考えていたのに,どのくらいしか入 らなかったというdeficitの程度がわかります から. 早川=呼吸困難もあるということで,120cc1㎏1 日の点滴速度で入れました.ですから入院後の点 滴量は約500ccで,点滴が抜けて入らなかった量 は約250CCです. 横田:入院時に脱水がありましたね. 早川=脱水は中等度みられましたが,呼吸困難 がひどいので点滴量を増加するとかえって呼吸困

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難が増悪すると思いまして……. 横田:輸液予定量:を120cc/㎏/日にしたが,そ れもよく入らなかったということですね. 早川:点滴が漏れたのは翌日でして,入院第1 日目は,24時間入っています. 横田:24時間輸液したところで,呼吸困難はや や改善したわけですね. 早川:はい. 横田:抗生物質はどのくらい? 早川1炎症症状が著明でなかったので,あまり 強力には投与しませんでした.ケフロジン50∼60 ㎎/㎏/日しか投与しておりません. 横田:そうすると診断はどういうことになりま すか. 早川:一応,臨床診断についでは,先程申しま したように頚部腫瘤として,先天性嚢腫,リンパ 節,膿瘍の三つの可能性を考えましたが,局所の 炎症所見があまりみられないことより,先天性嚢 腫の印象をうけました. 横田:では病理解剖の結果を今井教授にお聞き したいと思います. 今井(病理):剖検診断(剖検番号5771)は 1) 2) 3) 4) 5) 血. 6) 左頚部膿瘍と淋巴節腫脹 急性丁丁 肝,脾の腫大 腎の混濁腫脹 肺の不規則な拡張不全と下葉を主とする出 裂隙状の卵円孔開存と左心房の内膜の軽度 の肥厚 7)諸臓器のうつ血 以下主要な病変を説明します. 1) まず腫瘍が疑われた頚部ですが,剖検で, この腫脹は膿瘍であることが分りました.その部 位を図2で示します.膿瘍は中にどろどろした膿 汁をため,壁は比較的平滑ですが,膿苔が付着し ています.腔の大きさは(あまり正確にははかれ ないが)前後1.5c皿,左右2cm,縦3cmです.右 側は食道に接し,これを左排しており,後は頚三 体に接し,上部では,扁桃との間にわずかの組 左

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舌 右 腹面 気管

一罎∵

背面 A,背腹当向 B.省(孕臨ql 図2剖検時の頚部腫瘍と周辺器官との位置関係 学を残すだけです.この膿瘍の周囲には,腫脹し た淋巴節があります,膿瘍壁を組織学的にみる と,鷺苔の下には好中球,淋巴球,形質細胞,組 織球の浸潤のある浮腫状の肉芽組織があり,多少 線維の増殖もあって,膿瘍が全く新しいものでは ないことが判ります.膿苔や肉芽組織の表面には グラム陽性の球菌が証明されます.菌は培養でブ ドー球菌であるということです.問題はこの膿瘍 がどうしてできたかということですが,考えられ ることは扁桃あたりから入った菌により化膿性淋 巴腺炎がおこり,それが破れて膿瘍をつくったと 考えるのが一番適当ではないかと思いました. 2) 肺は全般的に空気の入り方が非常に不規則 で,すなわち不規則な拡張不全があります.未熟 児や新生児の死亡例で1割にこういう変化がよく あります.気管支には閉塞性の変化はありませ ん.下葉では出血がみられます. 3)肝,脾,腎,には感染症に伴う諸変化があ ります.肝は2309で腫大があり,組織学的には 肝細胞の軽度の脂肪化と萎縮,星細胞の著明な増 殖腫脹があり,また全体的に高度のうつ血がみら れます.脾は229でかなり大きく,脾髄細胞の増 殖とうつ血があり,いわゆる感染脾の状態です. 腎は肉眼的に混濁腫脹の状態です.転移性膿瘍は みられませんでした. 4)心臓は心筋がやや浮腫性です.卵円孔の開 存は裂隙状ですから,大した異常ともいえないと 思います.左心房の内膜は多少あついようです.

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肺の分葉が左右3葉で一種の奇型といえますが, 大した問題ではありません, 横田:どうもありがとうございました.なにか 質問ございませんか. 質問=教えて頂きたいのですけれども,頚部の 腫瘤ということで,肝実質の変化も悪いというこ とですが,肝臓,脾臓などのああいう変化は,ブ ドー状球菌が実際そこへ行っておこしている変化 でございましょうか. 今井:そうではなくて,直接行けばそれは膿瘍 という形になるわけです.そうでなくして,どこ かに感染巣があると,菌血症をおこしてもおこさ なくても,それに対して全身的な網内系の細胞の 反応が起こるわけです.肝ならぽ星細胞,脾なら ぽ脾髄の細胞,或は,リンパ節その他の網内細胞 の活動が活発になるわけです. 質問1そうですが.そういった門内系の反応を 起こすmediatorは,何かtoxicな要素とか,循 環のうつ血とかで考えられているのですか.肺の 変化もそういうことで……. 今井:肺の場合には感染をきっかけとしておこ る血管反応,循環の障害というふうな形で病変が おこるのだと思います. 質問:先程新生児,あるいは未熟肺のような形 態(拡張不全)であるというお話しでありました が,あれはどういう風に解釈したらよろしいでし ょうか. 今井:あれは敗血症とは直接関係ないと思いま す.反射的な気管支のspasmsなんかでもああい う結果が起こります.吸引があれぽもちろんです けれども,あれだけのatelectas三sが起こる程の 気管支の機械的閉塞の証拠もないので,むしろ機 能的なものじゃないかと思います. 質問=つまり末端のaIveoliのある部分には, air trappingと言いますか,沢山空気がたまり, 他の部分ではatelectasisになっているというふ うに考えられるのですね. 今井=そうです. 質問:その方の場合,呼気性の呼吸困難もあ る.吸気性でもあり,どちらでも解釈できるので すね。 横田:肺胞と肺胞の間くらいにbronchospasms が……. 今井:そんなに末梢は筋肉があまりないですか ら,もうちよつと大きな気管支だと思います. 横田:他に何か質問ありませんでしょうか. 質問:結局死因を考えますと,頚部の腫瘍自体 は食道,気管全部を完全閉塞しているわけではあ りませんですね。それから空気は通るであろう. とするとやつばり肺の変化……? 今井:むしろ感染症が死因というふうに考えた 方が良いんじゃないかと思います. 早川:感染症の経過は,症状的には急に現われ ていますが,身体の中には徐々に存在していたも のか,急にあらわれて死に至ったと考えられます. 今井:そうですね. 質問:私は敗血症というのはよくわからないで すけれども,菌そのものは他の臓器へ行っていな いわけですね. 今井:少なくとも定着はしてないです.行った としても,網内系で処理される菌が多い.動脈1血 培養で菌が陽性の場合でも,転移性膿瘍のあるこ とはめったにありません.充分に抵抗力があれば 三内系で処理される. 横田:この例ではabscessがあって,熱も出て ますけ才1.ども,やはり菌血症をおこして全身的 に……. 今井:菌血症をおこしているかどうか分りませ んけれども,病理で私達がよく敗血症というの は,菌血症の証明のあるなしにかかわらず,そう いう感染に対する全身的な反応のあるのを広い意 味で敗血1症ということがあります.よく細菌性心 内膜炎などで,1年も2年も病気が続いて,時々 培養すると菌が陽性に出るのがありますが,ああ いうのは決してabscessはないのです. 質問:ある病巣があり,それがかなり離れた所 の臓器に変化を起こす場合,その菌が直接いく, あるいはtoxinが体循環に入り流れてゆく.そう いうものでなくとも,自律神経とか,神経を介し て,いわゆるreHektorischに影響を及ぼして変

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化をおこしているということもありうるわけです ね. 今井:それはありうる.その時にreHektori3ch にどういうことがおこるかというと,循環への影 響ということが大きい出来事だと思います. 福山:小児の化膿性リンパ節炎は,小児科医に とっては日常茶飯時の如く経験するごくありふれ た疾患であるが,しかし決して問題がないわけで ない.たとえぽ,新生児や幼若乳児の場合,急性 炎症徴候が必らずしも目立ないことがまれでない ので,頚部リンパ節炎は,頚部に生ずるその他様 々な腫瘤との鑑別を要することがある.表2は小 児,とくに乳児期にみられる頚部腫瘤をまとめた ものである.表2中の2,3,4は前頚部中央に 生じ,5,6は側頚部に生ずる.頻度として最も 多いのは,もちろんリンパ節炎である. 表2 小児期の頚部腫瘤(福山) 1.化膿性リンパ節炎 2。甲状腺曲管残遺性嚢腫thyroglossal cyst 3.皮様糞蝿dermoid cyst 4.異所性甲状腺 5.鯉性嚢腫branchial cyst

6.嚢腫様水腫cystic hygroma(hygroma cysticum colli)または嚢腫性リンパ血管腫cystic lym− phangioma %,溶連菌とブ菌の合併3%,ペプトレンサ球菌 5%その他であり,何ら起炎菌を証明できなかっ たのは24%であったという.これを昔の研究と比 較すると,ベーター溶連菌の頻度が激減し,ブ菌 の比率が高まってきたという時代的変遷がみられ るとのことである.また起炎菌の証明のために は,咽頭のみならず,皮膚化膿巣,およびリンパ 節穿刺液について培養を行なうこと,とくにリン パ節穿刺液については,好気性だけでなく嫌気性 培養も行なうべきことを強調しています. 表3 小児のリンパ節炎の諸原因(Bartoll& Feigin1),1974) 1.ウイルス性:風疹,水痘,麻疹,猫ひっかき 病,種痘後,サイトメガロウイルス,伝染性 単核症. 2.細菌性1サルモネラ,ブドウ球菌,レンサ球 菌,非定型mycobacteria,結核菌,大腸菌, プソイドモナス菌,プロテウス菌,Francisella tularensis. 3.カビ類:アスペルギルス,クリプトコッカス, コクシディオイデス,ヒストプラスマ. 4.寄生虫性1 トキソプラズマ. 5.スピロヘーター:梅毒トレポネーマ. 6。浸潤性疾患: リンパ腫,細網内皮腫症. 7.ジフェこルヒダントイン(抗てんかん剤) 8.リウマチ様関節炎. 9.慢性肉芽腫症. 10.無ガンマグロブリン血症. 化膿性リンパ節炎は,あまりにありふれた疾患 であるためか,系統的研究が意外にも少ない.最:

近.Barton and Feigin1)(1974)は,1972年1月か らの1年間にセントルイス小児病院で経験した頚 部リンパ節炎74例の臨床と起炎菌検索の結果を報 告している.それによると,頚部リンパ節の3 cm以上の腫大を対象としたが,その原発リンパ節 は下顎50%,前回30%,後頚9%,願下8%, 後頭3%であり,25%の例で波動を触れた.起炎 菌は,A群ベータ溶連菌2696,黄色ブドウ球菌36

なお表3は,Barton and Feigin1)が,自己の経

験および文献上から集めた小児リンパ節炎の諸原 因を…回したもので,ご参考までに引用しまし

た.

横田:どうもありがとうございました. 文 献

1)Barω馬L.L and R。1). Feigin= Childhood

cervlcal lymphadenitis l A reapPraisaL J Pediat 84846∼852(1974)

参照

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