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極低温ヘリウムガス中の重イオンの移動度:異常な温度依存性

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Academic year: 2021

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修 士 論 文 の 和 文 要 旨

大学院電気通信学研究科 博士前期課程 量子・物質工学専攻 氏 名 福田利恵子 学籍番号 0533046 論 文 題 目 極低温ヘリウムガス中の重イオンの移動度:異常な温度依存性 要 旨 ヘリウムガス中における軽い原子イオンの移動度は低エネルギー領域で単調に Kpol(polarization limit)に近づくが, 重イオンであるCs+とXe+はKpolを若干上回 るだけでなく, 実効温度100K付近でV字の極小値が現われ, その値は実験でわかっ ている.

本研究では軽イオンと重イオンの移動度の振る舞いの相違を解明するために, 軽イオンと重イオンのHe原子との相互作用ポテンシャルを求め, 分極ポテンシャ ルと比較した結果, 重イオンではvan der Waals力が大きく寄与していることがわ かった. そして, そのポテンシャルを用いて量子散乱と古典軌道計算の2つの方 法で運動量移行断面積を計算し, 移動度を求めた. これら2種類の計算を行ったの で, 実験が困難な極低温領域での量子効果を吟味した. 図1:Cs+の移動度 図2:Xe+の移動度 図1,2は量子散乱から得たCs+とXe+の移動度(実線), 古典軌道計算から得たCs+ の移動度(点線), 実験値(点)の比較である. 実験温度の下限近傍ではCs+, Xe+ の両方が実験とよく一致していてKpolを上回っている. 重いイオンほどvan der Waals力が大きいので, 分極ポテンシャルから得られるKpolをからのズレが大き い. Cs+は移動度に極小値が現われ, その値もほぼ一致している. Xe+2Pなので分 子状態は相対論を入れると3つに分かれる. 2Σ 1/2状態は移動度に極小値がある が, 2Π 1/2, 2Π3/2状態は極小値が現われない. 3つの状態を1:1:1の荷重平均をとっ た場合の移動度も2Σ 1/2の比重が小さいため極小値が現われない. 実験の極小値 の解明は今後の課題である. 4KではHe原子と言えども重すぎて量子効果は現われないとされているが, 1K以 下では重イオンにも なめらかな古典的移動度と明らかに異なる移動度の振動とい う量子効果が現われている.

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