研究の背景と目的
現代の高等教育においては,常に変化し続け予測不可能な時代に生きる人材の育成が急務であり,個々人の可 能性を最大限に伸長する教育への転換が期待されている。「 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」 では,学修者本位の教育への転換や,各大学が大学教育の質に関する情報を把握・公表すること,国が全国的な 調査を通じて,大学教育や学生の実態を整理,比較することなどが提言されている(中央教育審議会, )。
海外では,イギリス政府機関による National Student Survey (NSS)や,アメリカ大学研究機関による National Survey of Student Engagement (NSSE), Cooperative Institutional Research Program (CIRP)など,大学生の学修 状況に関する大規模調査が実施され,そのエビデンスデータは教育機関の認証や教育内容の改善などに活用され ている。一方,日本では,国立教育政策研究所( )や民間の教育研究機関(ベネッセ, , )などに よる全国調査のほか,各大学独自の学生調査(例えば,鳴門教育大学, )が実施されてきた。しかし,調査 目的や実施方法は多種多様であり,調査結果を整理,比較して社会や大学間で共有したり,教育改善に役立てた りすることは十分にできていない。 上記の背景を踏まえ,大学教育の改善,大学に対する社会の理解促進,教育政策立案への活用を見据えて,全 国の大学学部 年生を対象とした「全国学生調査(試行実施)」が 年に試行された(文部科学省, )。全 国大学生の学修状況として,小テストやレポート課題がある授業が多い一方,それら提出物に適切なコメントが 付されて返却される機会が少ないこと,研究室やゼミ,図書館等を活用した学修を有用と感じる学生が多い一 方, 日以上のインターンシップや か月以上の海外留学の経験者が少ないこと,週 時間以上授業に出席する 学生が多い一方,授業以外の学修が週 時間以下の学生が半数を超えていること,専門分野や将来の仕事に関連 しうる知識,多様な人々と協働する力,幅広い知識等の習得に大学教育が役立つと感じる学生が多い一方,外国 語を使う力や統計数理の知識・技能に対しては有用感を感じる学生が少ないことなどが報告されている。また, 寺島( )は,教員志望大学生の学修実態をより具体的に把握する目的から,過去の調査資料を活用して,国 立教員養成系大学の学部学生の大学教育観や授業に対する姿勢・取組について調査した。その結果,対象とした 大学生は全国の大学生と概ね類似する大学教育観や学修態度を示すが,全国大学生と比べて,将来やりたいこと を決めて授業を受けることに肯定的,学生生活の自主独立性を重視する志向がより強い,グループワークやディ スカッションなどの対話的な学びが比較的得意,授業の予習・復習の習慣や自主的な学習意欲が不十分などの特 性があることが明らかとなった。 以上のように,学部学生の状況はある程度調査されてきたが,大学院生を対象とした調査は希少であり,彼ら の学修実態については,学部学生に比べて依然不明な点が多い。特に教員養成においては,教員の修士レベル化, 教職大学院の重点化が推進されており,教員志望の大学院生の学びの実態を把握し,その結果を教員養成の質の 向上に生かすことは重要課題の一つと言える。 本研究では,過去に実施された調査資料を活用して,国立教員養成系大学の大学院生の学修実態について調査 した。この調査の主目的は,教員志望の大学院生の学修実態を把握し,今後の教員の修士レベル化や教職大学院 の在り方を考えるための基礎資料を得ることである。本稿では,この調査結果を学部学生の結果と比較しながら 報告し,この大学院生の大学教育観,授業に対する姿勢・取組および学修方略や授業への意識などの特徴につい て分析,考察する。
教員志望の大学院生の大学教育観と学修態度
―― 学部学生との比較から ――寺 島 幸 生
(キーワード:大学教育,学修態度,教員養成系大学,大学院) ― 70 ―調査の概要
今回の調査は, 年に徳島県内の国立教員養成系 N 大学の学部学生に対して実施された調査 (寺島, ) と同時に同じ方法で実施されたものである。本稿では調査の詳細について割愛するが,ベネッセ教育総合研究所 ( )による「大学生の学習・生活実態調査」の質問項目を一部抜粋した質問紙を作成して使用した。大学教 育観に関する 項目(二択式),授業への姿勢・取組に関する 項目(四択式)の他,今回新たに,学修方略や 授業への意識に関する 項目(表 )を分析対象に加えた。表 に示す項目 は,普段の大学での学習に関す る各項目に対して,「 とてもあてはまる」,「 まああてはまる」,「 あまりあてはまらない」,「 全 くあてはまらない」から つを選ぶ四択式の質問である。 N 大学学校教育学部の教職共通科目「初等理科教育論」(標準履修年次 年, 単位)の受講生に対して,上 記の質問紙(無記名)を配布し,記入後にその場で回収する方法で調査を実施した。当該科目は各教科の指導法 に区分される教職に関する科目で,小学校教員免許状取得に係る必修科目である。例年,同大学同学部 年次生 と,標準 年間で学部および大学院の授業科目を履修して教員免許状を取得する学校教員養成プログラムで入学 した大学院生(長期履修院生)が受講している。調査年度には,既報の学部学生に加えて,大学院生 名が履修 し,このうち 名から回答を得た(回収率 / = .%)。以下では,この長期履修院生(以下,院生)に対 する調査結果について,学部学生(以下,学部生)の結果と比較しながら報告,考察する。結果と考察
. 大学教育観 大学教育観に関する二択式の質問に対する N 大学の院生・学部生の回答結果を図 に示す。図 左側の選択 は,大学や教員への依存度や関わりが比較的強いあるいは学生の自由度が比較的小さい教育に,右側の選択は, 大学や教員への依存度や関わりが比較的弱いあるいは学生の自由度が比較的大きい教育にそれぞれ分類される。 また,表 は,院生の回答割合が過半数を占める項目を分類して整理したものである。 全 項目中 項目において,院生,学部生で過半数を占める項目が一致しており,全体的な傾向として,両者 の大学教育観は類似している。具体的には,大学や教員への依存度や関わりが比較的強い教育として,「出席や 平常点を重視して成績評価をする授業がよい」,「応用・発展的内容は少ないが,基礎・基本が中心の授業がよ い」,「大学での学習の方法は,大学の授業で指導をうけるのがよい」,「授業以外でも,大学の教員は積極的に学 生と交流するほうがよい」,「就職については,大学の指導・支援にもとづいて活動する方がよい」などを選好す る一方,「あまり系統立って学べなくても,自由に選択履修できるほうがよい」,「学生生活については,学生の 自主性に任せるほうがよい」,「高校までに習得すべき基礎学力の不足は,学生が自主的に補うべきだ」,「大学で は答えのない問題について自分なりの解を探求する学びが重要だ」,「学生が知識や技能を身につけられるかどう かは,学生自身の責任だ」のように,学びの自由度が比較的大きい教育を選好している。この結果から,N 大学 の院生は,授業態度に対する成績評価を期待,幅広く自由に選択できる学びを選好,主体的な学びの重要性を認 表 学修方略や授業への意識を問う質問項目(出典:ベネッセ, ) ― 71 ―48.0 54.6 68.0 78.7 88.0 77.6 44.0 73.1 56.0 56.1 36.0 44.9 68.0 52.3 56.0 58.9 88.0 73.3 36.0 25.9 68.0 58.9 32.0 36.1 24.0 31.5 32.0 29.9 52.0 45.4 32.0 21.3 12.0 22.4 56.0 26.9 44.0 43.9 64.0 55.1 32.0 47.7 44.0 41.1 12.0 26.7 64.0 74.1 32.0 41.1 68.0 63.9 76.0 68.5 68.0 70.1 ༢䜢䛸䜛䛾䛜㞴䛧䛟䛶䜒䠈 ⮬ศ䛾⯆䛾䛒䜛ᤵᴗ䛜䜘䛔 ᐃᮇヨ㦂䜔ㄽᩥ䡡䝺䝫䞊䝖䛺䛹䜢 㔜ど䛧䛶ᡂ⦼ホ౯䜢䛩䜛ᤵᴗ䛜䜘䛔 ᇶ♏䡡ᇶᮏ䛿ᑡ䛺䛔䛜䠈ᛂ⏝䡡Ⓨᒎ ⓗෆᐜ䛜୰ᚰ䛾ᤵᴗ䛜䜘䛔 Ꮫ⏕䛜⮬ศ䛷ㄪ䜉䛶Ⓨ⾲䛩䜛 ₇⩦ᙧᘧ䛾ᤵᴗ䛜ከ䛔䜋䛖䛜䜘䛔 Ꮫ䛷䛿≉ᐃ䛾ᑓ㛛ศ㔝䛾▱㆑ 䜔ᢏ⬟䜢㌟䛻䛴䛡䛯䜋䛖䛜䜘䛔 䛒䜎䜚⣔⤫❧䛳䛶Ꮫ䜉䛺䛟䛶䜒䠈 ⮬⏤䛻㑅ᢥᒚಟ䛷䛝䜛䜋䛖䛜䜘䛔 Ꮫ䛷䛾Ꮫ⩦䛾᪉ἲ䛿䠈Ꮫ⏕䛜 ⮬ศ䛷ᕤኵ䛩䜛䛾䛜䜘䛔 Ꮫ⏕䛿ᤵᴗ䜢㏻䛨䛶䠈ᑗ᮶䜔䜚 䛯䛔䛣䛸䜢䜏䛴䛡䜛䜋䛖䛜䜘䛔 ᤵᴗ௨እ䛷䛿䠈Ꮫ䛾ᩍဨ䛿ᚲせ ௨ୖ䛻Ꮫ⏕䛸ὶ䛧䛺䛟䛶䜒䜘䛔 Ꮫ⏕⏕ά䛻䛴䛔䛶䛿䠈Ꮫ⏕䛾 ⮬ᛶ䛻௵䛫䜛䜋䛖䛜䜘䛔 ᑵ⫋䛻䛴䛔䛶䛿䠈Ꮫ⏕䛾⮬ᛶ 䛻䜒䛸䛵䛔䛶άື䛩䜛᪉䛜䜘䛔 㧗ᰯ䜎䛷䛻⩦ᚓ䛩䜉䛝ᇶ♏Ꮫຊ䛾 ㊊䛿䠈Ꮫ⏕䛜⮬ⓗ䛻⿵䛖䜉䛝䛰 Ꮫ䛷䛿䠈⟅䛘䛾䛺䛔ၥ㢟䛻䛴䛔䛶䠈 ⮬ศ䛺䜚䛾ゎ䜢᥈ồ䛩䜛Ꮫ䜃䛜㔜せ䛰 Ꮫ⏕䛜▱㆑䜔ᢏ⬟䜢㌟䛻䛴䛡䜙䜜䜛 䛛䛹䛖䛛䛿䠈Ꮫ⏕⮬㌟䛾㈐௵䛰 䛒䜎䜚⯆䛜䛺䛟䛶䜒䠈 ༢䜢ᴦ䛻䛸䜜䜛ᤵᴗ䛜䜘䛔 ฟᖍ䜔ᖹᖖⅬ䜢㔜ど䛧䛶 ᡂ⦼ホ౯䜢䛩䜛ᤵᴗ䛜䜘䛔 ᛂ⏝䡡Ⓨᒎⓗෆᐜ䛿ᑡ䛺䛔䛜䠈 ᇶ♏䡡ᇶᮏ䛜୰ᚰ䛾ᤵᴗ䛜䜘䛔 ᩍဨ䛜▱㆑䡡ᢏ⾡䜢ᩍ䛘䜛ㅮ⩏ ᙧᘧ䛾ᤵᴗ䛜ከ䛔䜋䛖䛜䜘䛔 Ꮫ䛷䛿ᖜᗈ䛔ศ㔝䛾▱㆑䜔 ᢏ⬟䜢㌟䛻䛴䛡䛯䜋䛖䛜䜘䛔 䛒䜎䜚⮬⏤䛻㑅ᢥᒚಟ䛷䛝䛺䛟䛶䜒䠈 ⣔⤫❧䛳䛶Ꮫ䜉䜛䜋䛖䛜䜘䛔 Ꮫ䛷䛾Ꮫ⩦䛾᪉ἲ䛿䠈Ꮫ䛾 ᤵᴗ䛷ᣦᑟ䜢䛖䛡䜛䛾䛜䜘䛔 Ꮫ⏕䛿ᑗ᮶䜔䜚䛯䛔䛣䛸䜢Ỵ䜑䛶䠈 ᤵᴗ䜢䛖䛡䜛䜋䛖䛜䜘䛔 ᤵᴗ௨እ䛷䜒䠈Ꮫ䛾ᩍဨ䛿 ✚ᴟⓗ䛻Ꮫ⏕䛸ὶ䛩䜛䜋䛖䛜䜘䛔 Ꮫ⏕⏕ά䛻䛴䛔䛶䛿䠈Ꮫ䛾ᩍဨ 䛜ᣦᑟ䡡ᨭ䛩䜛䜋䛖䛜䜘䛔 ᑵ⫋䛻䛴䛔䛶䛿䠈Ꮫ䛾ᣦᑟ䡡ᨭ 䛻䜒䛸䛵䛔䛶άື䛩䜛᪉䛜䜘䛔 㧗ᰯ䜎䛷䛻⩦ᚓ䛩䜉䛝ᇶ♏Ꮫຊ䛾 ㊊䛿䠈Ꮫ䛜ᤵᴗ䛷ᣦᑟ䛩䜉䛝䛰 Ꮫ䛷䛿䠈᪤䛻䛒䜛Ꮫၥ䛾▱㆑䛻䛴䛔䛶䠈 య⣔ⓗ䛻ಟᚓ䛩䜛Ꮫ䜃䛜㔜せ䛰 Ꮫ⏕䛜▱㆑䜔ᢏ⬟䜢㌟䛻䛴䛡䜙䜜䜛䛛 䛹䛖䛛䛿䠈Ꮫ䛾ᩍ⫱䛾㈐௵䛰 Ꮫᩍ⫱ほ䛻㛵䛩䜛ᅇ⟅ྜ䠄%䠅 識,生活面での自主独立性を重視,学習や就職に関して大学に依存するなど,学部生とほぼ同様の大学教育観を 有していると言える。一方,「単位をとるのが難しくても,自分の興味のある授業がよい」,「学生が自分で調べ て発表する演習形式の授業が多いほうがよい」の回答割合は,学部生では少数だが,大学院生では過半数を占め ており,学部生と院生で多数派が反転している。このことから,多くの院生は,安易な単位修得より自分の興味 ある内容を主体的かつ能動的に学ぶことを望んでおり,学部生の大学教育観とは部分的に違いがある。 どちらかと言うと,大学や教員への依存度や関わりが強い, あるいは学生の自由度が小さい大学教育観 どちらかと言うと,大学や教員への依存度や関わりが弱い, あるいは学生の自由度が大きい大学教育観 出席や平常点を重視して成績評価をする授業がよい 応用・発展的内容は少ないが,基礎・基本が中心の授業がよい 大学では幅広い分野の知識や技能を身につけたほうがよい 大学での学習の方法は,大学の授業で指導をうけるのがよい 学生は将来やりたいことを決めて,授業をうけるほうがよい 授業以外でも,大学の教員は積極的に学生と交流するほうがよい 就職については,大学の指導・支援にもとづいて活動する方がよい * 単位をとるのが難しくても,自分の興味のある授業がよい * 学生が自分で調べて発表する演習形式の授業が多いほうがよい あまり系統立って学べなくても,自由に選択履修できるほうがよい 学生生活については,学生の自主性に任せるほうがよい 高校までに習得すべき基礎学力の不足は,学生が自主的に補うべきだ 大学では答えのない問題について自分なりの解を探求する学びが重要だ 学生が知識や技能を身につけられるかどうかは,学生自身の責任だ 図 N 大学の院生,学部生が選好する大学教育(各項目の上段:院生,同下段:学部生) 表 N 大学院生の大学教育観 * 多数派が学部生と反転する項目 ― 72 ―
96.0 96.0 92.0 92.0 88.0 88.0 88.0 88.0 80.0 80.0 80.0 76.0 76.0 76.0 76.0 72.0 68.0 68.0 52.0 48.0 44.0 44.0 41.7 20.0 20.0 20.0 89.5 63.8 92.2 72.4 92.3 84.8 81.0 80.0 74.0 64.8 58.8 81.0 74.3 68.6 57.7 59.6 63.8 61.9 47.1 48.6 34.3 28.6 60.0 30.5 20.2 16.2 0 25 50 75 100 ᒚಟⓏ㘓䛧䛯⛉┠䛿㏵୰䛷ᢞ䛢ฟ䛥䛺䛔 ᤵᴗ୰䛿㯮ᯈ䛻᭩䛛䜜䛶䛔䛺䛔 ෆᐜ䜒䝜䞊䝖䛻䛸䜛 ᤵᴗ䛷ฟ䛥䜜䛯ᐟ㢟䜔ㄢ㢟䛿䛝䛱䜣䛸䜔䜛 ᤵᴗ䛷㓄ᕸ䛥䜜䛯㈨ᩱ䛺䛹䜢ᩚ⌮䛩䜛 ᤵᴗ䛻ᚲせ䛺ᩍ⛉᭩䠈 ㈨ᩱ䠈䝜䞊䝖䛺䛹䜢ẖᅇᣢཧ䛩䜛 ᤵᴗ䛻㐜้䛧䛺䛔䜘䛖䛻䛩䜛 䝺䝫䞊䝖䜔䝔䝇䝖䜢ᥦฟ䛩䜛๓䛻ぢ┤䛩 ㈨᱁䜔චチ䛾ྲྀᚓ䜢䜑䛦䛧䛶ຮᙉ䛩䜛 䛷䛝䜛䛛䛞䜚Ⰻ䛔ᡂ⦼䜢䛸䜝䛖䛸䛩䜛 ᤵᴗ୰䛻⚾ㄒ䜢䛧䛺䛔 ༞ᴗㄽᩥ䜔༞ᴗ◊✲䛻✚ᴟⓗ䛻ྲྀ䜚⤌䜐 䜾䝹䞊䝥䝽䞊䜽䜔䝕䜱䝇䜹䝑䝅䝵䞁 䛷䛿䠈␗䛺䜛ពぢ䜔 ❧ሙ䛻㓄៖䛩䜛 䜾䝹䞊䝥䝽䞊䜽䜔䝕䜱䝇䜹䝑䝅䝵䞁 䛷⮬ศ䛾ពぢ䜢ゝ䛖 ᤵᴗ䛷⯆䜢䜒䛳䛯䛣䛸 䛻䛴䛔䛶⮬ⓗ䛻ຮᙉ䛩䜛 ᤵᴗ䛸䛿㛵ಀ䛺䛟䠈⯆䜢䜒䛳䛯䛣䛸 䛻䛴䛔䛶⮬ⓗ䛻 ຮᙉ䛩䜛 ⮬ศ䛾ពᛮ䛷⥅⥆ⓗ䛻ຮᙉ䛩䜛 䜾䝹䞊䝥䝽䞊䜽䜔䝕䜱䝇䜹䝑䝅䝵䞁䛷䛿䠈 ✚ᴟⓗ䛻㈉⊩䛩䜛 ᤵᴗ䛷䜟䛛䜙䛺䛛䛳䛯䛣䛸䛿⮬ศ䛷ㄪ䜉䜛 ィ⏬䜢❧䛶䛶ຮᙉ䛩䜛 䜾䝹䞊䝥䝽䞊䜽䜔䝕䜱䝇䜹䝑䝅䝵䞁䛷䛿䠈 㐍䜣䛷䜎䛸䜑ᙺ䜢䛩䜛 䜽䝷䝇ဨ䛾๓䛷䠈✚ᴟⓗ䛻㉁ၥ䜔Ⓨゝ䜢䛩䜛 ᤵᴗ䛷䜟䛛䜙䛺䛛䛳䛯䛣䛸䛿ඛ⏕䛻㉁ၥ䛩䜛 䜾䝹䞊䝥䝽䞊䜽௨እ䛷䠈䛰䛱䛸୍⥴䛻ຮᙉ䛩䜛 ᤵᴗ䛾⩦䜢䛩䜛 Ꮫ௨እ䛾Ꮫᰯ䛺䛹䛻㏻䛳䛶ຮᙉ䛩䜛 ᤵᴗ䛾ண⩦䜢䛩䜛 ⫯ᐃⓗᅇ⟅䠄䛂䛸䛶䜒䛒䛶䛿䜎䜛䛃䠇䛂䜎䛒䛒䛶䛿䜎䜛䛃䠅䛾ྜ䠄%䠅 㝔⏕ Ꮫ㒊⏕ . 授業に対する姿勢・取組 授業に対する姿勢・取組に関して,「 とてもあてはまる」,「 まああてはまる」,「 あまりあてはま らない」,「 全くあてはまらない」の選択肢から つを選ぶ質問に対する N 大学の院生・学部生の回答結果 を比較して図 に示す。図 では,院生の肯定的回答(「とてもあてはまる」または「まああてはまる」の選択) の割合が高い順に示している。 全体的には,両者の授業に対する姿勢・取組は類似していると言える。具体的には「履修登録した科目は途中 で投げ出さない」,「授業で出された宿題や課題はきちんとやる」,「授業に必要な教科書,資料,ノートなどを毎 図 授業や学習への姿勢・取組に関する N 大学の院生と学部生の比較 ― 73 ―
88.0 84.0 76.0 72.0 68.0 64.0 56.0 48.0 40.0 79.0 81.9 76.2 59.0 61.9 45.7 52.4 41.0 44.8 0 25 50 75 100 㛫㐪䛘䛯䛸䛣䜝䛿䠈䛺䛬㛫㐪䛘䛯䛾䛛䜢⪃䛘䜛 ఱ䛜ศ䛛䛳䛶䛔䛶䠈 ఱ䛜ศ䛛䛳䛶䛔䛺䛔䛛䜢䛿䛳䛝䜚䛥䛫䜘䛖䛸䛩䜛 ᪂䛧䛔䛣䛸䜢ຮᙉ䛩䜛䛸䛝䠈⮬ศ䛜▱䛳䛶䛔䜛䛣䛸䛸 䛹䜣䛺㛵ಀ䛜䛒䜛䛛䜢▱䜝䛖䛸䛩䜛 ඛ⏕䛛䜙ㄞ䜐䜘䛖䛻ゝ䜟䜜䛯㈨ᩱ䛿䠈 䜘䛟ㄞ䜣䛷䛭䛾ព䜢⌮ゎ䛩䜛䜘䛖䛻䛧䛶䛔䜛 䠍䛴䛾⛉┠䛷Ꮫ䜣䛰䛣䛸䜢䠈䛷䛝䜛䛰䛡 䛾⛉┠䛻㛵㐃䛡䜘䛖䛸ᚰ䛜䛡䛶䛔䜛 ຮᙉ䛧䛶䛔䛶䜟䛛䜙䛺䛔䛣䛸䛜 ฟ䛶䛝䛯䜙䠈䛭䛾䜎䜎ᬯグ䛩䜛 䜘䛔ᡂ⦼䜢䛸䜛䛣䛸䛜䛷䛝䜛䛸ᛮ䛖 ᤵᴗ䛻䛴䛔䛶䛔䛡䛺䛔䛸ឤ䛨䜛 ᤵᴗ䛻⯆䞉㛵ᚰ䜢䜒䛶䛺䛔 ⫯ᐃⓗᅇ⟅䠄䛂䛸䛶䜒䛒䛶䛿䜎䜛䛃䠇䛂䜎䛒䛒䛶䛿䜎䜛䛃䠅䛾ྜ䠄%䠅 㝔⏕ Ꮫ㒊⏕ 回持参する」,「授業に遅刻しないようにする」,「レポートやテストを提出する前に見直す」,「資格や免許の取得 を目指して勉強する」の各肯定的回答の割合は,院生,学部生共に %を超えて高く,両者共に真伨かつ前向き な態度で授業に参加し,教員免許取得を目指していると評価できる。対話的な学びへの姿勢・取組に関して,「グ ループワークやディスカッションでは,異なる意見や立場に配慮する」,「グループワークやディスカッションで 自分の意見をいう」,「グループワークやディスカッションでは,積極的に貢献する」における肯定的回答割合は, 院生と学部生で同程度であり,対話的な学びに対する両者の姿勢・取組もほぼ同等だと言える。「授業の復習を する」,「大学以外の学校などに通って勉強する」,「授業の予習をする」については,院生,学部生共に肯定的回 答割合が低く,両者において予習・復習などの授業時間外の学修習慣は十分確立されていないと言える。 全 項目中 項目において,院生の肯定的回答割合が学部生のそれを上回り,全体的に院生は学部生より授業 を大切にしていると言える。大学院生と学部生の違いをより具体的に考察するため,一つの基準として,両者の 肯定的回答割合の差が ポイント以上の項目に着目すると,「授業中は黒板に書かれていない内容もノートにと る」,「授業で配布された資料などを整理する」,「授業中に私語をしない」,「卒業論文や卒業研究に積極的に取り 組む」,「授業とは関係なく,興味を持ったことについて自主的に勉強する」,「自分の意思で継続的に勉強する」, 「授業で分からなかったことは先生に質問する」において,院生の肯定的回答割合が高い。このことから,院生 は学部生より積極的に授業や研究に取り組んでいるほか,個々に自主的かつ継続的に学ぶ姿勢がある程度確立で きていると言える。逆に学部生では,「授業の復習をする」,「グループワーク以外で友だちと一緒に勉強する」 において院生の肯定的回答割合を上回っている。一般に,学部では大学院よりも小テストや学期末試験を実施す る授業が多いため,学部生は,個別に勉強するより友人と教え合いながら試験勉強する場合が多いと考えられる。 . 学修方略・授業への意識 学修方略・授業への意識に関する四択式の質問に対する N 大学の院生・学部生の回答結果を比較して図 に 示す。図 は院生の肯定的回答割合が高い順に並べている。全体的には,各項目への回答割合は院生と学部生で 似通っており,両者の学修方略や授業への意識は概ね類似している。 新しい知識・概念の獲得や理解に関する「間違えたところは,なぜ間違えたのかを考える」,「何が分かってい 図 学修方略・授業に対する意識に関する N 大学の院生と学部生の比較 ― 74 ―
て,何が分かっていないのかをはっきりさせようとする」,「新しいことを勉強するとき,自分が知っていること とどんな関係があるかを知ろうとする」は,院生,学部生共に肯定的回答割合が %を超える上位 項目となっ ている。この結果から,院生,学部生の多くは,知的好奇心を持って新しい知識・概念をさらに理解しようとし ていると言える。また,「よい成績をとることができると思う」では,院生,学部生共に肯定的回答割合が半数 を超え,反転的質問項目である「授業に興味・関心を持てない」,「授業についていけない」に対する両者の肯定 的回答割合は半数未満である。このことから,N 大学の授業の内容と難易度は,院生,学部生それぞれの興味・ 関心や能力に概ね合致していると言える。 一方,「先生から読むように言われた資料は,よく読んでその意味を理解するようにしている」,「勉強してい てわからないことが出てきたら,そのまま暗記する」の 項目については,院生の肯定的回答割合が学部生のそ れより ポイント以上高く,他項目に比べ両者の違いがやや大きい。この結果から,院生は学部生よりも,熟読, 暗記という学修方略によって,できるだけ多くの知識を吸収しようとする意識が強いことが示唆される。
まとめと今後の課題・展望
本研究では,今後の教員の修士レベル化や教職大学院の在り方を考えるための基礎資料を得ることを主目的と して,学部生に比べて依然不明な点が多い教員志望の大学院生の学修実態について調査し,彼らの大学教育観, 授業に対する姿勢・取組および学修方略や授業への意識等の特徴を,学部生の結果と比較しながら分析,考察し た。その結果,調査した N 大学の院生の全体的傾向として,授業態度に対する成績評価の期待,幅広く自由に 選択できる学びを選好,主体的な学びの重要性の認識,生活面での自主独立性の重視,学習や就職に関する大学 への依存など,学部生とほぼ同様の大学教育観を有することが判明した。一方,院生は安易な単位修得より自分 の興味ある内容を主体的かつ能動的に学ぶことを優先する点において,学部生とは部分的に異なる教育観を持つ ことが明らかとなった。また,授業に対する姿勢・取組として,真伨な授業態度,対話的な学びへの積極性,予 習・復習習慣の未確立などの点で,院生,学部生で類似する傾向が確認された。さらに院生は,学部生より積極 的に授業や研究に取り組み,個々に自主的かつ継続的に学ぶ姿勢がある程度確立できていることが分かった。学 修方略や授業への意識も,院生,学部生で概ね類似しており,両者共に知的好奇心を持って学ぼうとしているこ と,授業の内容と難易度は院生,学部生それぞれの興味・関心や能力に概ね合致していることなどが確認された。 今回のような調査を,質問紙だけでなくオンラインで定期的に実施できれば,学生の学修実態とその経年変化 などをより簡便に把握できると期待される。今後は,学部生と大学院生の学修に関する共通点と相違点をより具 体的に解明し,その結果を活用して,より効果的な教員養成や教職大学院の在り方を検討していくとともに,個々 の学生の可能性を最大限に伸長する教育へつなげていくことが課題である。謝辞
質問紙調査の実施に御協力いただいた鳴門教育大学の佐藤勝幸教授,香西武名誉教授に記して感謝致します。引用文献
ベネッセ教育研究開発センター:「第 回大学生の学習・生活実態調査報告書」,(株)ベネッセコーポレーショ ン, . ベネッセ教育総合研究所:「第 回大学生の学習・生活実態調査報告書」,(株)ベネッセコーポレーション, . 中央教育審議会:「 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」(平成 年 月 日), . 国立教育政策研究所:「大学生の学習実態に関する調査研究について(概要)」, . 文部科学省:「令和元年度「全国学生調査(試行実施)」結果【資料編】」, . 鳴門教育大学:「鳴門教育大学学生の生活と意識 ― 平成 年度学生生活実態調査報告書 ―」, . 寺島幸生:「教員養成系大学生の大学教育観と学習態度の特徴」,鳴門教育大学研究紀要,第 巻, ,pp. ‐ . ― 75 ―Learning Attitudes of Graduate Pre-service Teachers:
A Comparison with Undergraduates
TERASHIMA Yukio
In order to understand about actual learning situations of pre-service teachers at graduate school level, their preference in university education and learning attitudes were investigated and compared with the previous result for undergraduate students. As a result, although the graduate students are similar in educational preference and learning attitudes to undergraduate ones, they have the following characteristics that are partially different from undergraduate ones: 1) They prefer studying hard their interesting topics to obtaining credits easily, 2) they are eager to research actively and to learn independently and continuously by themselves, and 3) they are keen to acquire as much knowledge as possible by careful reading and memorization. In the future, it is important to consider more effective and individually optimized teacher training and university education at graduate school level based on the survey results.