• 検索結果がありません。

組織と人とOR

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "組織と人とOR"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

.トップの視点

組織と人と OR

早稲田大学システム科学研究所 松 田 正 一 OR 導入期から十数年の間,企業や行政体など の組織体へ OR やコンビュータを導入するプロジ ェグトが私の主な仕事であった.初期の頃でもあ り,浅い経験も重畳して,その道程はまさに茨の 道であった.数々の問題がその道程に現われた. その中で最も苦悩した問題は,組織と人に集中し た. 管理業務,作業業務はすべて組織制度によって 役割が規定され,それらはすべて組織目的に対し て統合されなければならない.それぞれの役割行 動は相互的に結合されつの役割行動は他の役 割行動を制約してはならない.緊張した網目によ って各役割が構造化されているのが組織である. このような組織の中に OR を入れ込もうとする と,いろいろな査が発生する.部門間の権限,責 任の不均衡,稼働率の不平等,組織階層の不安定, 命令系統や業務の流れの擾乱など,組織と OR の 不整合から発する歪である.少し極端な比喰にな るが,小型車にレース用のエンジンをつけたり, 心臓を入れる箇所に肝臓を入れてしまったり,新 規の心臓ととりかえたために他の器官と神経がつ ながらなくなってしまうようなトラブルで、ある. OR モデルにおける適正解は役割構造においても 適正であるとはかぎらないのである.このような 苦い経験は OR モデルを作成する前に, OR が有 効に組織の中で機能できる場をあらかじめ十分に 設定しておくことの必要性を痛感させた.事実, OR の適用を不適当と進言した例もあるし,適用

2

4

8

(2) 範囲をスポンサーの期待よりも狭小化したことも ある. 人間の問題はさらに深刻であった .OR やコン ビュータへの拒否反応は時とともに稀薄になった が,初期の頃はずいぶんと悩まされたものであ る.データや情報を聞きにいっても答えてくれな い,むずかしい数字や高価なコンピュータを使わ ないでも,この小さな手帳 l 冊あれば計画はすぐ 立てられるとポケット手帳を見せつけられるな ど,今思い出すとおかしくなるようなことが当時 ではプロジェクトの進行を大いに阻害したもので ある.しかし,より本質的な人間の問題は,意思 決定者の価値観や意識構造,作業者の役割に対す る同化,つまり働く気の問題である. OR が組織の中で役に立っか否かは目的と条件 の選択に依存する.組織に役立たなければ,モデ ルがいかに立派で、あっても,意思決定の道具には ならない.目的や条件は意思決定者の心の底にあ る価値観や意識の現れである.費用最小が目的で あるといっても,意思決定者の価値観が利益指向 であるか共働指向であるかによって意味内容が異 なる.利益指向が強ければ,苛酷な稼働条件を設 定し,作業者を強制するような条件を課すし,共 !動指向が強ければ,費用最小を目的とすることに オベレーションズ・リサーチ © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

よって作業者の緊張を適正に高め,集団規範の向 上を図るような条件を採用する.意思決定者の価 鐘寵や意識襟造と臼的,条件,そしてその上に作 成される OR モデルの間にいかなる対応がある か, OR は目的と条件を所与とし,その枠の中で 最適な活動方式や活動量を決定する手法であるか ら,それは OR ワーカーの仕事ではないという人 もいたが,現場に入って現場の人たちと仕事をす る私にとって,この問題は OR 計算をする以上に 重要な意味をもつように思えた. OR はクールな道具である.日本人は意気に感 ヂれば力以上に動くウエットな人種である.この ドライとクールの対立が現われることがしばしば あった.ある工場の話である. コンビュータで作 った日程計画は一応の指針として職長のふところ に押し込められ,すべての仕事は工員の信望を集 めている職長の,外から見ていると計画を無視し ているような指示で動いていた.工員は職長との 以心伝心的コミュニケーションによって手足のよ うに詑事をする.支揮の生じたときの采配と処震 はみごとというより他はない.工程を進めるもの は計画ではなくその人たちの相友信頼と相互理解 であるように闘に映った.同僚の話である.ある プロジェクトのために,あまり能率の上っていな い 2 つの工場合欝査したときのことである.調査 の直後,おもしろい現象が現われたという .A工 場は急に能率が上がり, B 工場は逆に低下したの だそうである.理由は次の通りであった .A 工場 では,自分たi;,の仕事がよいので大学の入が謀議 にきたのだと推測し,それが生産意識を高めた. B 工場では, ~設に,自分たちの仕事がよくないの で,それを調書まにきたのだとし寸判断が働き意欲 を器下させたのだとのことである.合理的科学的 な計画が立案されても,働く人たちがそれに適応 できなかったり,働く気を失なわせるのでは成功 といえない.この種の問題は労務管理などの専門 1981 年 5 月号 トヴプの接点. 家に委譲し,その協力を求めればよいとも考える のであるが,もし組織で働く人間の主体性合 OR モデルに総込むことができれば, OR の捷途はよ り広くより高くなるのではなし、かと思ったのであ る. 以上のような経験が私をシステム論と人間行動 モデ、ルの研究に追い立てた.組識の中に OR やコ ンピュータを入れ,組織のためにそれらが役に立 つようにするには, OR を適用する場,コンピ晶 ータを入れる場と,その場において OR やコンピ ュータがどのような働きを示ずか,つまり OR や コンピュータの組議全体に対する機能を分析する ことが必要きである.それには組織を 1 つのシステ ムとして偲握することが効果的方法である.人間 行動モデルは,ある価値観をもっている人間,あ る心理状態にある入詩がおかれた環境において, いかなる行動を表に現わすかを計算する論理モデ ルである.このモデルと OR モデルを結合すれば 上述の希離が満たされるので、はないかというのが 入題行動モデルに手をつけた理由である. こうして,システム論と人間行動モテソレへの攻 究が始まったのであるが,進めてゆくうちに,シ ステム論そのもの,行動モデルそのものに興味が 傾き,生来の書斎人的性格がそれを加速し,初期 の呂釣とは反対に,システムの認識論や人践の記 号論的モデルなどに走る結果となってしまってい る .OR やコンビュータから離れてしまったが, 上記の問麟は OR のために無視できない重要書問題 であるという患いは変わらない.システム工学は OR 研究者の新しい道兵となりつつある.組織と OR の問閣はやがてシステム工学によって解明さ れるであろう.人間の問題も本号の特集に見るよ うに OR 関係者によってとりあげられようとして いる.私の期待する以上の成果が,これらの人た ちによってみごとな花を開くことであろうと信じ ている. (3)

2

4

9

© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

参照

関連したドキュメント

の dual としてトーラスに埋め込まれた Heawood グラフは.

「新老人運動」 の趣旨を韓国に紹介し, 日本の 「新老人 の会」 会員と, 韓国の高齢者が協力して活動を進めるこ とは, 日韓両国民の友好親善に寄与するところがきわめ

最愛の隣人・中国と、相互理解を深める友愛のこころ

Q7 建設工事の場合は、都内の各工事現場の実績をまとめて 1

基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として決定するも

自分ではおかしいと思って も、「自分の体は汚れてい るのではないか」「ひどい ことを周りの人にしたので

私たちは、2014 年 9 月の総会で選出された役員として、この 1 年間精一杯務めてまいり

北区らしさという文言は、私も少し気になったところで、特に住民の方にとっての北