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アラミド繊維補強材を用いた「ハイスペックネイリング工法®」

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Academic year: 2021

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大林組技術研究所報 No.75 2011

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◇技術紹介 Technical Report

アラミド繊維補強材を用いた

「ハイスペックネイリング工法

®

New High-Standard Soil Nailing Method

with Aramid Fiber Cable

稲川 雄宣

Yusen Inagawa

山本 彰

Akira Yamamoto

1.

はじめに

「ハイスペックネイリング工法」は芯材(鉄筋など)に 袋体を装着し,その袋体にグラウト材を加圧注入するこ とにより引抜き抵抗力の増加を図る工法である1) 。都 市部の建設工事では土地の有効活用を図るため,施工ス ペースや背面用地の狭い場所での施工するケースが多い。 特に線路や仮設道路下を土留め掘削する場合は,低空頭 での作業となり,比較的小規模な機械で施工可能な「ハ イスペックネイリング工法」による支保工が有効と考え られる。 一方,都市部の土留め掘削では,ネイリングの残置が 将来の開発事業等で支障となる可能性がある。そこで, 芯材として引張強度が大きく,オーガー掘削等で容易に 切削でき,芯材巻き込みや機械掘削に支障を生じること のないアラミド繊維補強材(HSN-AR)(以下,補強材とい う)を用いたハイスペックネイリングを開発したので,そ の材料特性や定着具について紹介する。

2.

アラミド繊維補強材の特性

ハイスペックネイリング工法に使用するアラミド繊維 は,パラ配合したベンゼン環をアミド結合でつなぐ方法 で成形加工した有機繊維の全芳香族ポリアミド繊維であ る。結合材は,熱硬化性のエポキシ樹脂であり,分子中 にエポキシ基をもつ化合物で他の化合物を作用させるこ とで硬化する材料である。Table 1 に構成材料の特性を示 す。 HSN-AR は,組ひも状の表面形状を備え,可撓性の あるARC タイプと可撓性のない棒状の ARB タイプ(い ずれ表面硅砂付きが標準)の2 種類がある(Photo 1)。ARC の標準仕様をTable 2 に示す。 芯材としての耐久性についてはTable 3 に示す試験を 行っており,芯材としての耐力を確認している。Fig. 1 に,HSN-AR の付着応力度を示す。付着応力はコンクリ ートブロックに埋め込んだ HSN-AR の引抜き試験を行 い確認した。その結果,すべり量(引抜き変位)の小さ い範囲においては,硅砂を付着させていないタイプ (ARB9)の付着力は異形棒鋼より小さいが,硅砂を付着 したタイプ(ARB9S)のそれは異形棒鋼を上回る。また, ピーク値では異形棒鋼の約75%程度であるが,すべり量 が大きくなると再び異形棒鋼の付着応力を上回ることが 確認できた。 Table 1 HSN-ARの構成材料の特性 Characteristic of Composition Material

Table 2 HSN-ARの標準仕様 Standard Issue of HSN Aramid Fiber Cable

Fig. 1 HSN-ARの付着応力度 Adhesion Power Examination Table 3 HSN-ARの性能試験一覧

Adhesion Power Examination

特 性 引張強さ 弾性係数 破断時の 材 料 N/mm2 kN/mm2 伸び% アラミド繊維 2842 108.8 2.4 ケブラー49 エポキシ樹脂 78.4 142 5.5 備 考 ARC9 9.3 67.9 85 ARC11 11 95 112 ARC13 13.7 147 172 ARC15 15.7 193 225 ARC18 17.8 249 270 ARC20 19.5 298 324 呼 び 68.6 2 公称径 d(mm) 断面積 As(mm2) 保証荷重 (kN) 弾性係数 E(kN/mm2) 破断伸び (%) fu HSN-AR 性能試験 付着応力確認試験(引抜き試験) クリープ破壊試験 引張疲労試験 耐熱性試験 耐寒性試験 耐アルカリ性試験 耐薬品性試験 Photo 1 HSN-AR(HSN 用アラミド繊維補強材 HSN Aramid Fiber Cable

(2)

大林組技術研究所報 No.75 アラミド繊維補強材を用いた「ハイスペックネイリング工法® 2 以上より,HSN-AR 材の付着応力度は,異形棒鋼や 異形PC鋼棒の許容付着応力度の 75%を適用すること で十分な安全率が得られることを確認している。

3.

定着部の構造

3.1 標準定着構造 コンクリート擁壁躯体や支圧板(現場打ちコンクリー トブロックあるいはプレキャスト部材)に補強材端部を 定着するための構造をFig. 2 に示す。定着具は外周にネ ジ部を転造加工した管材を用い,設計荷重,擁壁や支圧 反力板の厚さに応じて,長さや耐荷体(ナット)の有無を 選定できる。 3.2 定着強度確認試験 前項の標準定着方法にしたがって ARC15(Table 2)に 加工した定着具(長さL=200,250,300mm)を耐荷ナット有 り・無しの各条件でコンクリート躯体に定着し,引抜き 試験を実施した。試験状況をPhoto 2 に示す。 Fig. 3 は引抜き試験結果を示しており,耐荷ナット(Fig. 2)がない場合は,全ての試験体で定着具とコンクリート の界面で引抜ける結果となった。最大荷重は,L=200mm ではほぼ補強材許容設計荷重相当,L=300mm で許容設 計荷重の150%以上であった。耐荷ナット付きの場合は, L=250,300mm では全て補強材が破断したが,L=200mm では補強材破断と定着具からの補強材抜出し及びコンク リート破壊が混在する結果となった。以上より,ARC15 を使用する場合,定着具長 250mm で耐荷ナット付きと することで,補強材の保証荷重(許容設計荷重に対する安 全率2.0)を満足する定着力が確保できる。

4. 現場への適用例

本工法の東京外かく環状道路矢切凾渠工事での施工状 況をPhoto 3 に示す。 当現場では近隣住民の交通道路を確保するため土留め 内に覆工板による仮設道路設置されており,その桁受け 下での1段目支保工設置が低空頭であるため,ハイスペッ クネイリング工法を適用した。また,補強材が地表面か ら3m以内に入るため,アラミド繊維補強材を採用するこ ととなった。

5. まとめ

地中に残置しても支障が少ないハイスペックネイリン グ(HSN-AR)に用いるアラミド繊維補強材の耐力,お よび永久使用可能な補強財定着具の考案と定着性能の確 認試験結果について紹介した。 今後,アラミド繊維補強材を用いることにより,再開 発が見込まれる都市部での土留め反力へのハイスペック ネイリングの活用が期待できる。 参考文献 1) 山本 彰,稲川 雄宣,鳥井原 誠:「ハイスペッ クネイリング工法を用いた土留め工の開発」,大林 組技術研究所報,No.71,(2007) 0 50 100 150 200 250 300 0 50 100 150 200 250 300 350 定着具長さmm 最大引 抜き 荷 重 k N ○:耐荷ナットあり ●:耐荷ナットなし ライン2:168.75kN(許容設計荷重×1.5) ライン3:225kN(補強材保証荷重) ライン1:112.5kN(許容設計荷重×1.0) Fig. 3 定着部引抜き試験

Anchorage Zone Pull out Test Photo 3 適用現場の施工状況 Construction Case L≧250 HSN-ARC15 グリッパ充填 定着具φ42.7 ねじ付き 耐荷体 (ナットφ55×50L) Fig. 2 HSN-ARの標準定着構造 Standard Established Structure

Photo 2 定着強度確認試験状況 Anchorage Strength Confirmation Examination

Table 2 HSN-ARの標準仕様  Standard Issue of HSN Aramid Fiber Cable

参照

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