特集
ビジネス分野におけるAlシステムの構築と実用化
∪.D.C. 〔る81.32.Od:159.95〕:占58.5る2.占・011・5る :〔る21.385.832.2:る21.397.る22〕CPT製造不良診断エキスパートシステム
DefectDiagnosisExpertSystemforColourPicture
TubeManufacturingシンガポールのHitachiElectronicDevices(Singapore)Pte.Ltd.では,
ワークステーション2050/32とES/KERNEL/W(Expert
System/KERNEL/
Workstation)を用いて,CPT(ColourPictureTube)製造上の不良原因を診断
するES(ExpertSystem)HIDAT
System(HitachiDiagnosisAndTrouble
ShootingSystem)を開発した。
今回はCPTの部品であるシャドウマスクに関する不良を診断するシステムを
プロトタイプとして開発したが,黄終的には,4種類のESとデータ入力,トラ
ブル事例データベース,報告書作成機能などを含むシステムへと発展させる。
n
緒
言
国内では近年ES(ExpertSystem)の利川技術が飛躍的に進 展した。ESは,試用システムの段階から「実際に利用できる技術+,「(経費削減などの)効果が期待できる技術+として認
識され,実用システムの段階へと移行し始めている1)。 海外でも,例えばシンガポールではESを凶の最重要技術の 一つとして位置づけ,すでに大規模なシステムも作られてい る2)・3)。また,ES技術の利用を広げるために,政府機関のNCB(NationalComputerBoard)では,民間企業がESの開発を行
う場合に人的・経済的な支援を行っており,これら企業の開 発意欲を促進している。 本稿ではNCBの支援を受け,HEDS〔HitachiElectronicDevices(Singapore)Pte.Ltd.〕と日立製作所が共同開発し
たHIDATSystem(HitachiDiagnosisAndTroubleShoot-ingSystem)(図l,2)について述べる。
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システム開発の背景
製造業が多く,またその従業員の雇用環境が厳しくなりつ つあるシンガポールでは,作業要員としての未熟練者の確保 とともに広範囲な業務全体に精通する技術者(専門家)の定着 が課題となっている。HEDSは一工場の生産数規模では世界最大級のCPT(Col-ourPictureTube)製造工場である。ここでも生産ラインで発
生した不良の原因を即座に判断でき,対策を指示できる専門家は不足してきている。また,専門家がよr)高度な仕事をす
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Os(J7刀ヱf ルね/ぶZ′`ヱ〟ん∼ 張 杜幣 純 忠良 ルオJ∠ゴ叫′7必+Ⅵ堵'〟/〟タJi 一打∼f7〃/た(Jr)/‡り/・7 るためには,すでにその対策が確立されている不良項Hにつ いては現場監督者(シフトリーダを含む。)レベルで対応ができ ることが必要となってきた。 そのために,(1)ESを利用することにより,イこ良の早期診断・対策を可能
にする。(2)現場監督者レベルで対応可能な不良は専門家の手から離
、川■\ ⊥二二∃担[司江ヨ聖曳図I HIDATSystem初期画面 このシステムは,CPT(Co】ourPicture Tube)の不良診断を行うシステムである。
*口立製作所茂原二I∵場〔HitachiElectrollicDevices(Si11gap()re)Pte.Ltd.〕 **HitachiElectronicDevices(Singapore)Ⅰ)te.Ltd
***HitachiAsia Pte.IJtd. **** R立製作所情報システム⊥場
1194 日立評論 VOL.72 No.11=990-11)
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中させる。 (3)完成したESを,新入技術者の教育用に利用する。 以上を目的に,1989年10月からHIDATSystemの開発に着手し,1990年3月に,プロトタイプとして完成した(図3)。
HIDATSystemの開発は,HEDS社内ではプログラミング をするためにEDP部門から1人,知識の提供とシステムデザインへのアドバイスのためにエンドユーザー部門の専門家2人
1989年10月111月l12月
1990年1月l2月13月l4月l5月l6月】
プロトタイプ開発 システム化計画 知識収集 知識ベース作成 フィジブルモデル開発 プロトタイプ開発 実用システム開発W
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1991年4月まで 図3 システム開発スケジュール l粥0年4月現在,一つのサブシ ステムがプロトタイプとして完成している。 104 によって行われた。また,NCBからエンジニアの派遣による 支援を受けた。田
システムの機能概要
HEDS社では3シフトで生産作業が行われている。シフトご との不良発生調査のためにHIDATSystemが利用されるが, その機能は以下のとおりである。 (1)シャドウマスク上にある不良が発見されると,画面からCPTのサイズ,不良の種類ごとに発生個所を登録する(図4)。
(2)もし同じパターンのものが一定数以上発見されると,シ ステムはその原因を解析する推論を実行するように指示を出 す。(3)推論に入ると,不良が作り込まれたラインプロセスおよ
びマシンを特定するための質問がなされる(図5)。不慣れな
技術者にもわかるように,これらの質問には,HELP機能とし
図4 データ入力画面 び発生個所を登録する。 二の画面からCPTのサイズ,不良の種類およ 5き l†1血丁Ⅶ.IIG (㍍l泊叩d鮒t) Flき羽訊 (cir仇l】ar叫ヤ ⅠⅦTI【椚 (叫Ⅳd軸) 図5 質問画面 不良が作り込まれたラインプロセスなどを特定する ための質問である。この場合,マスクの角の部分をみている。て具体的な説明も備えておr),くふうを凝らしている。 (4)推論終了後,現象・原因およびその対策が結果として画 面+L二に表示される。 (5)ユーザーからの印刷の指示により,印刷された結果は,
報告書兼対策のアクションシートとして利用される。
(6)また,同じ現象が過去に大量発生した事例があるかどう かをライブラリと照合し,その際実施された対策事項のフォ ローアップも可能となっている。 さらに,推論を行う部分のほかに,不良品発生状況の常時モニタ機能と検査工程の総検査数の表示機能が含まれており,
問題が拡大する前に対策が立てられるようにくJ、うを凝らし てある。ロ
システムの特徴
4.1システムの規模 結論に至るまでの質問数は平均5と比較的少ないが,あら ゆるケースに対応するために広範囲の知識を必要とし,290ルール・577フレームから構成されている(図6)。
HIDATSystemはプロトタイプではあるが,一つのサブシ ステムとして完成しているために,比較的大規模になってい る。 4.2 川ビルダの利用ES/KERNEL/W(ES/KERNEL/Workstation)には画面
上で目で見ながら図や枠を簡単に作成することができるUI(UserInterface)ビルダ4)の機能がサポートされている。
HIDATSystem開発にあたっても,UIビルダを利用するこ とによって,ユーザーにとってわかりやすい画面を短期間で 開発することができ,作業⊥数が短縮された。また,当初か らユーザーインタフェースを意識して作成することにより,専門家にもなじみやすいシステムとなった。これによって,
ARCHITECTURE Or THE与Y$TEH トデー王 Dは9nO与l$Chart(240Ru】¢S) _;i】ニ 才 Knowねdg◎ Acqu事s州On F8(:‖ty ー与 % Knowtedge Database (rul¢S) Domain Databa$¢ lfactsI FacIs, querlo5 グ′ U$8r Us馴・ Intl)rt8C¢ F8CtS, Rul①8 H¢rdw即○:Hllタ仁ht Work事18tlon 20‡○伯2 $0什Wa帽:ES†KERNELEx畔n
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AdvIctI, C()nS山18tlon ln帖柑nC¢ En9ln8 ク≠ 図6 知識トリーシステムのアーキテクチャ ニの図は,システム 中に取り込まれている知識,システムの構成を示している。 CPT製造不良診断エキスパートシステム1195 不良原因を追求するためにチェックするポイントを明確にして進めることが可能となり,開発上の大きなメリットとなっ
た。 4.3 ESGUIDEの利用 HIDATSystem構築にあたって,日立製作所が開発したES構築標準手順ESGUIDE(ExpertSystemBuildingGuidance
forSystemDesigning)5)を使用した。
ESGUIDEはHIDATSystemの開発のために日本語版をベ ースにして,英語版として不自然なところがないようにくふ うをしたうえで改めて英文化された。ESGUIDEでは,開発手 順に沿って作業内容,開発留意事項,ワークシートなどが提 供されている。 HEDS社では初めてのES開発であったが,ESGUIDEの使用によってシステム開発の手順が明確になり,知識収集時の
開発方式決定をスムーズに行うことができた。 また,収集した知識をESGUIDEのワークシートにまとめて 保存することにより,知識の保守のためのドキュメント作成 がされている。 4.4 NCBからの評価HIDATSystem開発にあたって,NCBのKnowledgeSys-temsLaboratoryから,KE(KnowledgeEngineer)1人が専
任でプロトタイプ完成までの支援を行った。また,上級のKE が必要のつどシステム評価を兼ねて支援した。NCBではシンガポール国内のES開発のために,数種類のES
構築ツールを使用している。しかし,日本製のツールを使用するのはHIDATSystem開発でのES/KERNEL/Wが初めて
であった。 NCBではUIビルダ,C言語との連携,推論速度の速さなどからES/KERNEL/Wを使いやすいツールであると評価してい
る。 また,ESGUIDEについては,ES構築の指針として有効性 を認めている。 HIDATSystemそのものについては,診断システムとして 規模は大きいが内部の構造がまとまっていること,ユーザー の入力がすべてマウスからであること,UIビルダによる図が 効果的であることから,使用しやすいシステムであるという 評価をしている。8
今後の計画
プロトタイプの開発は1990年4月に終了し,同年5月から 次のサブシステムの開発に着手している。現在はプロトタイプを実際に使用し,エンドユーザーからの意見を吸収してシ
ステムの改良を行っている。 HIDATSystemは1991年4月完成を目指している。最終的には,現場監督者で対応可能な不良項目のための4種類のES
と,不良品データベース,生産データの蓄積,不良発生報告 1051196 日立評論 〉OL.72 No.1=1990-1り SけUAT10N ANALYSIS TabLe d∂ta & Text
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G「aph & Text 「epo「l HIDAT SYSTEM SlTUATION ANALYSIS HOST TERMINA+且
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図7 将来システム巨∃
lNPUT QTY DEFECTl :MAINTENANCE F DEFECT OTY TRIGGER MASS DEFECT DEFECT2 :MAINTENANCE‡ DIAGNOSIS 0&A DEFECT3 MAINTENANCE CONCL〕S10N D】R ES/KERNEL/W DEFECT4 MAINTENANCE PROCESS S/LI
PQC A/E巨司
巨司
DEFECT OTY DIR DESCRIPT10N
TARGET QTY DIRINSTR〕CT10NS
MASS Defect DATA MAINTENANCE MASS De†ecIRPT SITUATlON CA〕SE COUNTERMEAS〕RES RES〕+丁 TEXT MASS De†ect L】BRARY Table & Text 4種の不良についてのエキスパートシステム,ライブラリ,現象分析,レポート作成機能などを含むシステムとなる。 善作成機能,パーソナルコンピュータと接続しての週報作成