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国際課税におけるみなし外国税額控除 利用統計を見る

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(1)

国際課税におけるみなし外国税額控除

著者名(日)

廖 益新, 後藤 武秀, 佐々木 彩[共訳]

雑誌名

東洋法学

52

1

ページ

205-232

発行年

2008-09-30

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000656/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

︽特別寄稿︾

国際課税におけるみなし外国税額控除ー問題と対策ー

新工

   後藤 武秀

︵共訳︶

   佐々木 彩

 経済のグローバル化が引き起こす国際租税競争が日増しに激化している中で、先進国は、国家の課税べースが国 際租税競争の影響によって侵食されるのを防止し、本国の財政の圧力の負担を緩和するために、各国が主張する ﹁有害な租税競争の抑制﹂という措置に呼応するひとつの取り組みとして、この数年来絶えず﹁課税におけるみな し外国税額控除の再評価﹂という観点と主張を提出してきている。これらの観点と主張は、経済協力開発機構︵以 下、OECDとする︶閣僚理事会が一九九七年一〇月に発表した﹃課税におけるみなし外国税額控除の再検討﹄と        ︵2V 題する報告の中にまとまった形で示されている。以前は、二国間租税条約の交渉の場において、積極的に相手国に 205

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 対し、課税におけるみなし外国税額控除を発展途上国の陣営に実行するように要求していたが、現在では、珍しい ことに国際課税におけるみなし外国税額控除に関する様々な国際的な非難に呼応するように、国内の学界において        ︵3︶ も追随の声が見受けられる。本稿の目的は、OECDの前述の報告について、国際課税におけるみなし外国税額控 除が引き起こすいくつかの観点と見解について検討と分析を行い、当該制度が直面する問題の背景にどのような原 因があるかについて検討し、中国における現在の対外経済交流の実際の状況も考慮した上で、我々が採るべき立場 と戦略を示すものである。 国際課税におけるみなし外国税額控除の直面する問題とその背景となる原因  国際課税におけるみなし外国税額控除は、関連国家間の二国間租税条約において成立するひとつの国際課税協調 制度であり、このような条約の制度によれば、一方の締約国が本国の居住者である納税者に対して相手方締約国の 所得あるいは財産の収益から生じる国際的二重課税を除去するという相殺免除の方法を採用する場合、その居住者 である納税者に対して相手方締約国が税の減免優遇を実行することにより、実際には相手方締約国において当該部 分の税額を納めていなくても、その納めるべき本国の税額を差し引くものに相当すると認め、既に納めたことに等       ︵4︶ しいとみなすものである。課税におけるみなし外国税額控除における相殺免除制度の下では、一方の締約国が控除 を与えることによって、その居住者である納税者はもう一方の締約国︵すなわち、所得の源泉地国︶において租税 優遇の享受を受け実際に税額を納めないというのがこの制度の主要な作用と意義であり、決して国際的二重課税の 回避と除去に意義があるのではない。それは、所得の源泉地国における外国投資の租税優遇政策の実施について協 力するためであり、国を跨ぐ投資家の一方の締約国の居住者である納税者は、源泉地国実施の租税優遇措置から利 206

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益を受けることができ、それにより源泉地国の投資政策目的の達成を促進することにある。  資本輸入国の地位にある多くの発展途上国は、前述したような課税におけるみなし外国税額控除制度の持つ政策 的機能を活かすために、その制定を奨励して外国投資の租税優遇措置を真に外国の投資家へ実行することができる ように、税の減免優遇を先進国の投資家に与えて課税を放棄する。その場合、外国の投資家の居住国に実行された 課税の相殺免除制度が作用することから、税収の転化がその者の居住国の財政収入を増加させることにはならない が、発展途上国は通常、先進資本輸出国との租税条約の締結に際して、相手方に課税におけるみなし外国税額控除 を与えるように頑なに求めている。先進国は資本輸出奨励のために、本国の居住者である投資家がホスト国の国内 でその他の投資家と同等な競争の地位を有することを保証し、また、租税条約の交渉において相手方のその他の譲 歩手段などの要素を考慮し、往々にして、課税におけるみなし外国税額控除の相殺免除を提供することに同意す る。国際課税におけるみなし外国税額控除は、一九五七年よりはじめて米国・パキスタン間の租税条約の後に登  ︵5V 場し、二〇世紀の六〇ー七〇年代には、多くの先進国と発展途上国問の二国間租税条約中の全てにこの種の制度が     ︵6︶ 記載された。  しかしながら、二〇世紀の九〇年代に入ると、かつて南北協力精神である国際課税協調制度を具現したとして賞 賛されたにもかかわらず、先進国側から様々な非難と疑問が日増しに増加した。前述のOECDが一九九八年に発 表した﹃課税におけるみなし外国税額控除の再検討﹄に関する報告の主導的な思想は、前述の国際課税におけるみ なし外国税額控除の作用と意義についての伝統的観念に関して各国の政府の変化を促すことを試みるものであり、 経済のグローバル化という新しい情勢の下でこのような国際課税協調の効果と影響を再評価し、それによって新た に、または既にある租税条約を改正して締結するときに、課税におけるみなし外国税額控除における相殺免除を作 207

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 り出すことが必要かどうかを慎重に考慮し、また、課税におけるみなし外国税額控除における相殺免除を与えるこ とに同意する場合に、どのように最良案を考案し、この条約の制度によるマイナスの影響をできるだけ低く、最低 限度まで縮小することができるかを考慮するものである。前述の報告は、課税におけるみなし外国税額控除再評価 の必要性の理由について論じており、実際に近年の国際上否定的な課税におけるみなし外国税額控除制度に対する 様々な非難を総合的に分類した結果、主として以下の項目を示している。  1.二〇世紀の六〇1七〇年代と比較すると、国際経済の環境には大きな変化が生じており、非OECD加盟国 の経済の実力は強大化し続け、全世界の貿易と投資の中でますます大きな作用を発揮するようになっており、OE CD加盟国と非加盟国の間の貿易と投資の量は、均衡に向っている。伝統的なOECD加盟国が資本の輸出国に属 し、また、非加盟国が資本の輸入国に属すという概念の境界線がすでにぼんやりとして明白ではなくなってきてい る。以前は資本輸入国として発展途上国に属していたアルゼンチン、チリ、シンガポールなどは、現在既に対外投 資の重要な出所になっており、逆にOECDのいくつかの構成国は現在目下既に主要な資本輸入国になっている。 このようなOECD加盟国と非加盟国双方の問の国際経済の地位における発展の変容は、非加盟国の投資を奨励し 促進するために国際課税におけるみなし外国税額控除の方法を引き続き採用する必要があるかどうかの再検討を 迫っており、多くのOECD加盟国は、租税条約の署名あるいは再交渉に当たって、課税におけるみなし外国税額 控除に同意しなかったのである。  2.課税におけるみなし外国税額控除は一種の不適切な対外援助の手段である。多くの先進国は、六〇1七〇年 代において、発展途上国との租税条約に署名するとき、課税におけるみなし外国税額控除を提供することに同意 し、対外援助という要素に配慮して、直ちに資本が発展途上国に移転することを促進した。しかしながら、それら 208

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の経験は、課税におけるみなし外国税額控除が、多くのマイナスの作用を有する不適切な対外援助手段のひとつで あることを表している。まず、政府貸付など直接的な対外援助手段と比べ、課税におけるみなし外国税額控除は、 一種不透明で、有効な統制メカニズムの欠如した国際援助方式であるといわれている。直接的な対外援助方式にお いては、援助提供国家は、援助方式、援助の金額と援助の用途を明確に確定し、さらに条約あるいは関連する契約 を可決して、援助の実施効果を検査・監督することもできる。しかし、課税におけるみなし外国税額控除の下で は、それらに関する援助の統制メカニズムが欠如しているために、居住国は通常、課税におけるみなし外国税額控 除項目に対する認定、審査、設計、実施、監督及び評価について関与することはない。居住国が提供する課税にお けるみなし外国税額控除の額は、通常、制限されておらず、唯一の制限はホスト国の投資家が獲得する所得額であ り、居住国の税務当局は、その提供された課税におけるみなし外国税額控除により放棄された課税収入額を正確に 推定することはできない。さらに、居住国が租税条約の交渉過程において、課税におけるみなし外国税額控除を考 慮するときも、ホスト国に対して提供するその他の政府の直接援助項目の性質と範囲が将来どの程度であるかを予 見し、これを考慮して決めることはできず、課税におけるみなし外国税額控除は、投資家に対する価値の大きさ、 または、ホスト国と居住国の所得税の税率の高低変動に従うのである。次に、課税におけるみなし外国税額控除 は、協力したホスト国が実施する課税の優遇措置の援助手段のひとつとして、それ自身が租税中立原則に背いてお り、経済のねじれを生じ、居住国で投資する納税者の課税に対して差別を引き起こし、国際脱税と租税回避を誘発 し、居住国の課税べースを侵すなど、一連のマイナス効果を生じる。  3.課税におけるみなし外国税額控除は、ホスト国で獲得した多くの利潤を居住国へ戻すように仕向ける可能性 があり、投資家が得た利潤を再投資することを奨励するものではない。居住国における外国課税免除制度の下で、 209

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 投資家はホスト国に子会社を設立し、このような直接投資方式が獲得する投資利潤を通して、通常はただ子会社が 利潤の分配を行ない、居住国の投資家である株主に利潤を戻すとき、居住国は、ホスト国の投資利潤によって投資 家の取得したその部分に対してはじめて課税権を行使し税金を課する。子会社が利潤を分配しなければ、投資家 は、子会社における投資利潤の留保と納税を繰り延べる恩恵を享受できる。しかしながら、居住国とホスト国の間 で、課税におけるみなし外国税額控除に関する条約が存在する場合には、投資家は、直ちに課税におけるみなし外 国税額控除の利益を享受するために、子会社が分配した利潤を投資家の居住国へ戻すことが促され、ホスト国にお ける再投資の拡大に用いられないのである。このように、本来はホスト国に対する投資の促進が目的であるのに、 当該制度がもたらす実際の効果はちぐはぐなものとなっている。  4.経験上、租税優遇が一種の外国投資の奨励としてホスト国の経済発展に有効な措置を促進することは決して なく、ホスト国の租税優遇政策である課税におけるみなし外国税額控除制度に呼応して、その期待する作用と効果 を実現することは当然に不可能であることがわかる。OECDの上述の報告によれば、租税優遇措置には以下の 諸々の弊害が存在する。︵1︶政府が実行した租税優遇措置は、得よりも損の方が大きく、租税優遇によって放棄 した課税所得が往々にして投資の増加額を超えることが予想される。︵2︶政府は、租税優遇の適用範囲を真に有 効に統制することができず、納税者は租税優遇規定の形式要件に一致した取引活動を通じて容易に獲得した優遇資 格を享受しており、政府が本来優遇を享受すべきではない納税者が真に租税優遇適用の範囲外であって排除される かどうかを確定することは、非常に困難である。︵3︶租税優遇の実行がホスト国の租税制度を複雑化させること は必然的である。なぜなら、租税法は租税優遇に合致する納税者と取引活動について厳格な定義を作り出し、必ず これを規定しなければならないからである。︵4︶ホスト国が実施する租税優遇は、国際租税競争を刺激する可能 210

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性があり、競争相手国は、ホスト国の租税優遇措置を相殺することに呼応する措置をとることとなり、このような 競争の結果は共倒れをもたらし、両国家はいずれも比較的低い課税所得を得ることになる。︵5︶租税優遇は、決 して国際投資政策の決定的な要素に影響を与えるわけではなく、投資家の投資政策のより多くは、ホスト国の政局 の安定性、市場の場所と規模、労働力、原材料の供給可能性と原価、外貨統制、交通、通信などのインフラ条件と いった環境要素によって決まる。  5.国際課税におけるみなし外国税額控除は、課税計画と租税回避の広範な機会を提供しているために、多くの 租税条約の濫用現象を容易に引き起こすことになる。国際租税条約は、通常、すべての締約国の国内税法が確立し ている課税権行使の範囲と程度に対して一定の制限を行うことになり、それら第三国の居住者たる納税者は、両国 間の租税条約の優遇待遇の享受をむさぼろうとして、往々にして、一方の締約国の国内に居住者としての標準的な 身分に合致する﹁トンネル会社﹂を設立するという手法を採って、条約による利益を騙し取る。課税におけるみな し外国税額控除は、この種の二国間条約を含んでおり、第三国の居住者たる納税者は、前述の方法により、租税条 約を濫用し、さらに、濫用への誘引力を有するようになる。  このような国際課税におけるみなし外国税額控除に関する非難は、九〇年代中ごろから生まれた国際気運のひと つであり、国際経済の背景にその重大な原因がある。課税におけるみなし外国税額控除は、全世界の貿易と投資規 模に比べると、比較的小さいものであり、各国の経済が厳格な統制を受け、かつ、内外投資の実行に対して広範な 規制取締りを受けた時代に出来上がった国際課税協調制度である。二〇世紀の九〇年代以降になると、資本統制は 次第に緩められ、さらに金融市場は弛むことなく自由化し、特にWTO統括の多角的貿易協定が登場し、商品、資 本及び技術の国を跨いだ移動が、各国の制度に対する障壁を除去または低くし、世界の通信技術の高まりが、多国 211

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔塵 益新〕 籍企業に経営戦略のグローバル化の開拓を促した。このような要素は資本の国際移動性の強化をもたらしたのであ る。国際貿易と投資における関税と非関税の障壁が下がり、それに伴って各国の金融の外貨統制が緩和されるにし たがって、課税要素に対する資本と所得の国際移動の影響は、相対的に著しく突出して上昇した。このような世界 経済の自由化が一層発展する中で、各国は安定した課税べースのために、移動性の強い国際的な遊休資本を吸引 し、次々と資本の収益に対する課税を下げて、双方間の国際課税競争を一層激化させた。  国際課税競争が日々激烈化する中で、先進国が一種の劣勢な地位におかれていることは明らかである。先進国は 国内の巨大な社会福祉費用及び公共製品と公共サービスの支出を維持する必要性があり、資本と所得の課税の減少 は財政収入に影響するので、必然的に商品と消費と労働力に対する課税の増加によりこれを補うこととなる。この ような結果は商品流通、消費及び労働力のコスト負担を増加させ、もともと不景気の国内市場を一層萎縮させ、労        ︵7︶ 働の就業率は一層下がり、それによって政府の政権政党としての地位の安定と継続に影響する。先進国は当然に、 このような徹底した国際課税の引き下げ競争︵轟88ぎ辞○ヨ︶の持続傾向を受忍することができず、そのため、 九〇年代中頃には既に﹁芳しくない影響を生じ、かつ、各国の課税べースに対してよくない結果をもたらす投資と 融資政策決定に対する有害な租税競争の除去措置を提起する﹂として国際社会に訴えた。その目的は、当面、ます ます激しくなる流れにあるこれらの国際課税競争の統制規範を要求することにあり、先進国の課税べースがそれら のいわゆる﹁有害な租税競争の措置﹂の影響と侵食を受けないことを保証するものであった。OECDは、同時に 一九九八年に発表したテーマ﹃有害な租税競争1いわゆるひとつの直面するグローバル化の問題1﹄の報告の中 で、﹁有害な租税競争の措置﹂の抑制を行うべきことを主張しており、その中には、多くの発展途上国が二〇世紀 の七〇年代末から外国資本と技術を吸収することを奨励する趣旨で租税優遇措置を実施してきたという記述が含ま 212

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れている。前述したふたつの重要な政策の報告は同時期に登場したものであり、OECDが国際課税におけるみな し外国税額控除の再評価と有害な租税競争の抑制の間に密接な関係が内在することを十分に説明するものであると いえる。 二 経済のグローバル化の下における課税におけるみなし外国税額控除の価値と意義  経済のグローバル化の急激な進展は、国際課税におけるみなし外国税額控除の存在の前提と基礎に衝撃を与える のかどうか、さらにまた、もともとこのような国際課税協調と南北協力精神の協調の実現という点から見て、今 日、時代にそぐわない制度措置のひとつとなっているのかどうか。このような問題に答えるために、まずは、この 数年来、経済のグローバル化の進展がもたらした国際経済の客観的、かつ現実的な状況分析と認識から出発しなけ ればならない。  二〇世紀末の九〇年代に入り、国際経済の構造は多様な発展の傾向を示すようになった。いくつかの発展途上国 の経済発展水準は、既にOECD加盟国のいくつかのそれに達するか、あるいは、それを上回るようになった。一 部のOECD加盟国の国際経済関係上の地位は、以前の資本輸出国の地位から資本輸入国の地位へと次第に転化し つつあるが、しかし国際経済関係の全体構造は決して根本的な変化を生じてはいない。国連貿易開発会議が発表し .た﹃二〇〇二年世界投資報告﹄に公表された統計によれば、一九九〇年−一九九四年の期問に、国際資本輸出の総 額の八七・八%は先進国からのものであり、発展途上国の対外投資はわずか一二・一%を占めるに留まっていた。 さらに、二〇〇一年では、先進国の対外投資は国際投資総額の九三・五%を占め、発展途上国の対外投資はわずか 五・九%を占めているだけである。一九八六年−一九九〇年の国際直接投資の八二・四%は先進国間で行われ、発 213

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 展途上国の占めた割合は一七・五%だけあり、一九九九−二〇〇〇年の先進国間における相互の直接投資は国際資        ︵8︶ 本移動総額の八O%を占めているが、発展途上国はわずか一七・九%を占めるだけである。前記報告は、﹁過去 一〇年間において、各国が実質的に自由化措置を採用しているにも拘らず、発展途上国が吸収した国際直接投資 は、依然として世界の投資総額の三分の一足らずである﹂ことを指摘しており、さらに、発展途上国の直接投資の 分布には不均一の傾向が認められる。すなわち、二〇〇一年において、外国資本を吸収した発展途上国のうち、上 位五力国で六ニパーセントを占めており、四九の非先進国の占めた割合は二%だけであって、同年の世界直接投資       ︵9︶ 総額の○・五%を占めるに過ぎなかったのである。以上に見たように、いくつかのデータに反映されている状況か らみると、経済のグローバル化の発展の結果、一部のOECD加盟国と少数の発展途上国については国際経済にお ける地位の変化が生じたが、国際経済関係の全体構造の中で、OECD加盟国によって代表される先進国が資本輸 出国の地位に置かれていることと、多くの発展途上国が資本輸入国の地位にあることは何も変わっていないのであ る。国際資金を発展途上国に移転することを促進し、国際社会と共に繁栄するという目的の任務遂行は、未だ実現 には程遠いのである。それに対して、ここ数年来の経済のグローバル化の発展は、南北間の貧富の差の大きさとい う境界を縮小しないどころか、ますます拡大している。世界銀行の報告によれば、二〇世紀の六〇年代において、 全世界の二〇%の最先進国の一人当たりの国内生産総額︵GDP︶は同比率の後発発展途上国の三〇倍であった        ︵10︶ が、その三〇年後、この開きは縮小するどころか、かえって拡大し六〇倍になっている。前出のOECDの報告の 中では、﹁OECD加盟国と非加盟国との間の貿易と投資流量の分布がますます均衡に向かうこと﹂、﹁既に多くの        ︵n︶ 非加盟国の経済水準の向上が迅速に加盟国に追い着いたこと﹂が述べられているが、客観的な実際の状況と決して ひとつも一致しないことは明らかであり、誤った推定を導く可能性がある。 214

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東洋法学第52巻第1号(2008年9月)  周知のように、国際課税におけるみなし外国税額控除政策の根拠は、一言で言えば、発展途上国に対する国際資 本の移転を奨励することであり、それらの国家の経済発展の必要性を促進することである。客観的な経済を前提と してこの国際課税協調政策を実施する以上は、経済のグローバル化の発展のゆえに決して根本的な変化を生じさせ ることはない。圧倒的多数の発展途上国は、国内経済の発展の促進について、依然として重度に国際資本輸入に依 存することによって、その国の輸出競争力と人民の生活水準を高めている。この国際経済関係の客観的な現実は、 今日の経済のグローバル化の時代において決定的であり、国際課税におけるみなし外国税額控除制度の政策価値は 決してすたれるものではなく、依然としてこの時代に切実な意義を有している。それゆえ、国際課税におけるみな し外国税額控除の論争の問題点は、依然として、このような制度が有効にその求める政策目標を実現することがで きるかどうか、経済のグローバル化という条件下で、国際課税におけるみなし外国税額控除のマイナスの影響の可 能性は、そのプラス面の効果を上回るかどうか、にあるのである。  課税におけるみなし外国税額控除は、ホスト国に呼応し、外国投資の実行を呼び寄せる租税優遇措置としての国 際条約上の制度である。前述のOECD報告における最も重要な問題は、ホスト国の実行する租税優遇が決して外 国投資の奨励のひとつではなく、ホスト国の経済発展の有効措置の促進であることを認識することである。もし、 ホスト国が奨励する外国投資の租税優遇措置自体が、利益に対して効果が低く弊害が大きい政策手段であるなら ば、一連の措置である国際課税におけるみなし外国税額控除は、当然のことながらその追求する政策目標の実現を 有効に促進することはありえない。  ホスト国の租税優遇措置が呼び寄せる外国投資の影響に対する評価については、国際租税学界と租税法学界とで はそれぞれ見解を異にしており、久しく論争のある問題である。OECDの前述の報告では、この問題についてあ 215

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔塵 益新〕 る種の否定的な結論を有しているようであり、このような結論は経済学界が租税政策と国際直接投資の影響に関し て早い時期に行われた研究結果に基づき構築されたものである。二〇世紀の九〇年代以前において、経済学界が租 税優遇を含めたホスト国の租税政策が国際直接投資に及ぼす影響についての研究にあたって主に採用したのは、投 資家調査と時系列計量経済分析手法である。これらの初期の研究方法の欠陥は、主としてマクロ比較と概括性に認 められる。すなわち、ホスト国と投資家母国の租税制度との相互の関連性から来る考察と分析という問題が欠如し ており、国際投資家への影響と経営領域における多国籍企業に対する異なる課税手段︵租税優遇措置︶、投資動 機、市場構造と資金調達手法などの多様な側面からホスト国の租税政策の変化の反応に対する精緻な分析を行うこ とを見落としている。初期の計量研究が見出した一般的結論は、ホスト国のその他の要素、例えば、政治の安定 性、労働力のコストと供給可能性及びインフラなどと比較したところ、租税政策が外国直接投資の影響に対する作 用は、極めて限定的であるということであった。  しかし、八O年代中期以降、特に九〇年代来の経済学界は、この問題の研究において、具体的な外国直接投資の データと多国籍企業の細部に及ぶ状況の調査分析を重要視し始めており、さらに、グローバルな視点からの注意を 払い、投資家の母国とホスト国との租税制度間の相互影響という観点から、課税政策がFDI︵外国直接投資︶の 移動にどのような効果を生みだすかについて研究するようになった。この数年来の研究は、少なくとも以下に示す ように、その結論に注意を払うに値するものがいくつか提出されている。  1.ホスト国の租税政策と租税優遇の有効性は、多国籍企業の経営活動内容の性質、および海外投資の動機と方 式によって変化する可能性がある。国を跨ぐ投資家は、投資において組織形式を採ることが可能なために、資金調 達方式、企業の経営業務内容などを選択し、各種の代替案を用いるので、これら選択した様々な方策は課税におい 216

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東洋法学第52巻第1号(2008年9月) て非常に強い意味を有する。ホスト国の租税政策措置は国を跨ぐ投資家に大きく影響するはずであり、これが多国 籍企業の選択に委ねられているところである。例えば、輸出指向型企業の投資政策決定は、一般的に、国内市場追 求型企業、あるいは、特定区において優遇されている企業に比べ、税率の影響を受けるので、その要求も大きい。 通常、小規模の投資家は、大規模な投資会社に比べて、租税優遇について敏感であり、一層要求が高い。租税優遇 の性質と効果は、新しい企業がこれを受けるか、既に営業している企業がこれを受けるかによって、若干異なる可 能性がある。起動段階の企業にあっては、優遇︵設備と材料に対する税の減免など︶により開業コストを下げる可 能性を歓迎し、また業務を拡張している起業の場合は利潤の租税優遇を熱心に求める。さらに、ホスト国の租税政 策と企業に対する優遇措置は、投資を行なうに当たり、利潤留保によるか、それとも、投資方式として外部資金 ︵例えば株式あるいは債権の発行︶を利用するかによって、影響の程度が異なる。  2.ホスト国の租税政策の効果は、かなりの部分、政府が用いる租税手段︵租税優遇形式︶によって決まる。ホ スト国は、租税手段の運用によって外国資本を呼び寄せることを奨励し、広範な課税べースを基礎として、企業税 率の引き下げを推進することを選択して用いることができ、同様に、免税期間を通じて仮払いの税金を払い戻す方 式を採用することによって企業の所得税率を削減することができる。それらはホスト国の税率のもたらす影響とい う点では同じではあるが、国際直接投資の移動と政府の課税所得の影響という点では全く別物である。ホスト国 が、比較的簡単に定期的な税の減免に関するこのような直接的な優待措置を採用するか、それとも、減価償却の加 速や、投資の相殺などの問接的な租税優遇手段を採用するか、﹁使途制限型﹂︵は轟−け琴a︶効果の優遇措置を設け るのか、それとも、全面型の租税奨励方法を推進するかによって、多様な類型の投資家と投資プランに対する誘引 力が異なるだけでなく、程度の差こそあれ政府の財政収入に対しても影響がある。 217

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕  3.経済のグローバル化の下では、ホスト国の租税政策と、租税優遇措置の効用及び投資家の母国の租税制度は 関連性を有しており、母国は投資家に対して、国外の所得に関する租税原則、企業所得税率とホスト国に関する納 税金額を母国でいかに処理するかを規定し、多国籍企業の海外投資の経営方式を制約することができるだけでな く、ホスト国の租税優遇の有効性にも影響を与える。  4.固定地域内における特徴・条件がほぼ同じ競争区域内では、例えば、あるひとつの共同市場または自由貿易 区の中に様々な国家がある場合、ホスト国の租税優遇は、往々にして、国を跨ぐ投資家の投資が所在地の方策を選 ぶ際に決定的な作用を発揮することがある。資本と企業が国を跨ぎ地区を跨ぐという移動性が日増しに高まること に伴い、経済区域内における各国の基本的地域要素の均一化は、必然的に、租税優遇が国際直接投資の誘引力を増       ︵12︶ 加させる結果をもたらす。  また、OECDの租税政策・管理センターが二〇〇一年に発表した﹃外国直接投資における企業の租税優遇﹄と 題する長編の研究報告は、次のような指摘を行っている。すなわち、﹁近ごろのいくつかの改善されたデータ資料 と経験モデルを用いた研究は、説得力ある証拠を提供するようになった。つまり、ホスト国の課税は確かに投資に 影響しており、しかも、このような影響は時が経つにつれて、さらに重大なものとなる。近年の研究のある重要な 意義は、ホスト国の租税優遇措置がホスト国の課税に影響しており、外国直接投資政策の決定に当たっては、この ことが既にますます重要な要素となっているということを示したことにある。外国直接投資における非課税障壁 ︵投資と通貨管制の廃止及び生産のグローバル化を含む︶が普遍的に低下することに鑑みると、この点は決して        ︵13︶ 人々の意表をつくものではない﹂。  以上が、この数年来少なくとも経済学界と関連のある国際組織機構の研究結果が表明してきたところであり、現 218

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在、ホスト国が実行する租税優遇措置が外国直接投資を呼び入れるという政策目的を有効に達成することができな いことを断言しているが、それは、必ずしも経済理論学界の一般的な一致する見解ではない。同時に、このような 観点は、九〇年代からの経済のグローバル化の発展時期における国際資本の移動と各国の租税制度の変化の現実的 状況に一致していない。推量すれば、西洋の七力国は絶えることなく、カリブ地区と南太平洋の諸島という税負担 の低い地区で直接投資を実行し、一九八五年から一九九四年にかけてその額は既に五倍余りの二〇〇〇数億ドルに       ︵14︶ まで達しており、その増加速度は、国外の直接投資の増加速度をはるかに上回っている。九〇年代全般において、 EUの一五の加盟国中、外国直接投資の呼び入れの伸び幅が最高なのはアイルランドであり、国際租税学界は、一 般にこの中の主要原因のひとつが、当該国が一九九二年から低税率の企業所得政策を実行してきたことにあると考    ︵15︶ えている。ハンガリー、チェコなど東ヨーロッパの体制変更を成し遂げた経済国家は、九〇年度初期に市場化改革 を開始したときに、一度は外的な各種租税優遇を減少させたが、そのために、これらの国家は当該期間中、外国投 資総額の急降下を招き、その結果、九〇年代中期以後に当該諸国は方針を根底から変えざるを得ず、再び各種の奨 励されている外国投資の租税優遇措置を回復して登場させた。これらの現象と事例は、特に、経済のグローバル化 の発展時期には、国際資本の移動が、各国の税負担レベルの高低と租税優遇の有無に対して、非常に敏感に反応す るということを説明している。実際にはこの時期に、国家と地区外のいくつか伝統的な租税回避を除いて、発展途 上国が外国投資を呼び入れるための各種の減免による租税優遇措置を引き続き採用するだけでなく、いくつかの先 進国とOECD加盟国でも、特定産業、特定取引形式を減免租税優遇の対象として存在させている。これらの先進 国は、特定区域に設置したオフショア金融センターを通じて、いわゆる企業本部の租税制度と持株会社の租税制度 を制定し、多国籍企業の総括機関と財務融資を行なうというふたつの大きな機能を本国に呼び入れている。 219

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔塵 益新〕 一九九七年に徳勤監査法人が一五のEU加盟国に対して行なった課税調査によれば、それらの国家は例外なく全て 租税優遇を実行しており、優遇する租税の種類、範囲、タイプと程度は発展途上国と比べて決して遜色がなかっ た。もし、ホスト国の租税優遇措置が、外国投資を呼び寄せることに対し、実際的な効果がないとすれば、各国に 次から次へと登場する減税や、各種の租税優遇措置を提供することを主要な内容とする租税競争措置による国際租 税競争の一層の激化というこの数年来の国際社会の現象を説明するのは難しくなる。  無論、ホスト国の租税優遇措置は、国を跨ぐ投資家が投資先の所在地を選ぶ際に、影響を与える唯一の要素とい うわけではなく、ホスト国の政局の安定性、市場規模と将来性、労働力と原材料の供給可能性及び通信、交通運 輸、エネルギーなどのインフラ状況なども、投資家が投資場所を決定するプロセスの中で考慮しなければならない 要素である。 三 国際課税におけるみなし外国税額控除と国際租税回避との関係  前述において指摘したように、この数年来、先進国の国際租税法の理論界では、課税におけるみなし外国税額控 除は、国を跨ぐ納税者に対し、国際租税回避の広範な機会を提供し続け、国際租税条約濫用の現象を促進するもの であるとして、国際課税におけるみなし外国税額控除に対して今ひとつの重要な非難を投げかけている。そのた め、今日の経済のグローバル化の急激な発展という情勢下では、国際課税におけるみなし外国税額控除の価値の作 用を正確に評価して、国際課税におけるみなし外国税額控除と国際租税回避との関係について、ひとつの明瞭な認 識を持たなければならない。筆者は、課税におけるみなし外国税額控除と国際租税回避との関係という問題につい ては、ふたつの側面から弁証法的観点を堅持するべきであり、課税におけるみなし外国税額控除と国を跨ぐ納税者 220

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の国際租税回避との問には、決して明確に必然的論理の因果関係が存在しているわけではなく、容易に課税におけ るみなし外国税額控除と国際租税回避を等しいものと決め付けることはできないと考える。要するに、各国の経済 が相互に関連し、しかも互いの影響が日増しに密接になる今日では、一国の租税制度が﹁外へあふれ出る効果﹂を 絶えず強めており、ホスト国は、不適切な租税優遇措置及び国際租税条約中の課税におけるみなし外国税額控除を 制限する防止条件を未だ設けていない結果、条約の濫用を誘引し、国際租税回避の発生を可能にすることを認識し なければならない。  まず指摘しておかなければならないのは、前述のOECDによる﹃課税におけるみなし外国税額控除の再検討﹄ の報告の中で、課税におけるみなし外国税額控除が国を跨ぐ納税者に国際租税回避を行なう幅広い機会を与えると いう観点を示しているが、結局、主観的な理論面のひとつの見解に留まっているに過ぎず、説得力のある客観的 データの資料と調査の分析が欠如していることである。筆者のみた範囲内では、今までのところ、国際租税学界と 租税法学界は、数量化された調査統計データに基づいて実証し、課税におけるみなし外国税額控除と国際租税回避 の間に内在する必然的な因果関係を分析し証明した研究成果を提出していない。課税におけるみなし外国税額控除 は、双方の関係国の間で租税条約を可決して一種の国際協力を確立するものであることから、国際課税におけるみ なし外国税額控除を有さない場合に比べて、課税におけるみなし外国税額控除の制度が働く場合にどの程度国際脱 税あるいは租税回避行為が増加したかについては、十分に信頼できる客観的証拠と統計データを有していないの で、明らかにすることはできない。我々は、先進国において課税べースの構成を激しく侵食しているのは、租税回 避を行なう香港等の地区であることを知っている。香港におけるこのような租税回避は、往々にしてその他の国家 との間で二国間租税条約を締結していないために、双方の間にこの種の課税におけるみなし外国税額控除の制度が 221

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 存在しないことによる。以上のことから分かるのは、課税におけるみなし外国税額控除と国際租税回避との間に は、決して必然的な因果関係はなく、課税におけるみなし外国税額控除の制度の存在はなくても、同じように大量 の国際租税回避の現象が発生するということである。  その次に、OECDは上述の報告の中で、課税におけるみなし外国税額控除が四つの国際租税回避方式を誘発し ているという分析を示しているが、課税におけるみなし外国税額控除が誕生する前から慣習的に用いられてきた租 税回避方式は多数ある。例えば、関連する企業内部取引の人為的な移転価格の操作は、たとえ双方の間に、関連企 業が所在する両国内間において課税におけるみなし外国税額控除の条約がないとしても、両国の所得税の負担レベ ルにおいて相互にかなり大きい差異が存在するのであれば、国際移転価格の手段を利用して租税回避を行なうとい う問題が発生するはずである。一方の居住国に設置したトンネル会社による租税回避と、一方の源泉地国に設置さ れた関連企業を通じた移転価格取引による租税回避︵89畠ω魯①日Φ︶という二つの種類に至っては、租税条約を 濫用した租税回避の方式であり、関連する租税条約においてみなし外国税額控除の相殺免除条項を含む場合には、 国を跨ぐ納税者に対して、租税条約の誘引力によりさらに大きな濫用を生み出すことがあり得る。ただし、この種 の条約においては、同時に、条約の条項の構成を逆に濫用した場合にはそれに相応しい適切な規定を有すること で、非常に有効な統制防御を加えることができるのである。また、当該報告中で指摘された、ホスト国政府自身が 租税条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除規定を濫用するかも知れない場合、すなわち、外国課税相殺免除 制度の実効により、居住国の投資家が課税におけるみなし外国税額控除の相殺免除額をより一層多く得られるよう にするために、ホスト国政府が本国の法定一般税率を故意に引き上げ、それによって、相手方居住国の多数の投資 家が﹁既に納付した所得税額と同視する﹂ことになるというのは、完全に理論上のひとつの仮定であって、国際課 222

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税の実践においてはこのような﹁悪意の﹂ホスト国政府の行為が現れたためしはない。もし、ホスト国の政府が、 国を跨ぐ納税者の利益作出に迎合し、これを満足させるために、前述のように相手方締約国の課税権益の立法行為 を損なうならば、その影響は双方の租税条約の関係の安定性に必ず危害を及ぼすことになるであろう。  一方、依然として、南北の貧富の格差が大きいという国際経済関係の全体構造に変化はないが、しかし、グロー バル化時代に入り国際経済交流における環境と条件は、課税におけるみなし外国税額控除の制度が誕生し発展した 二〇世紀の六〇年代と比較すると、確かに、大きな相違があるということを考えておかねばならない。これは先に 本稿のコ﹂において指摘したところであるが、各国間における多国籍貿易と投資を阻害していた各種の関税と非 関税障壁の漸進的削除に伴い、資本と技術の国際流動性は大いに強まり、資本とその他生産要素に対する課税が国 を跨いで移動するという影響が突然現れることから、各国の租税制度の外部流出効果が明らかに強くなる。このよ うな各国の経済の相互関係及び各国の租税制度の相互の影響が日増しに緊密性を増している時代であるので、ホス ト国がいかなる租税優遇措置の内容と形式を採用するかによって、投資家の居住国の課税べースに対してある程度 の影響が生じることを認めるべきである。ホスト国が実施するあまりにも広範な租税優遇及びいくつかの特定所得 ︵例えば、利子、特許権使用料のような消極的投資所得︶の減免租税優遇と、ホスト国と相手方国との間で署名し た二国問租税条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除制度とを結びつけることで、国際租税回避を行うに当 たっては、不法に国を跨ぐ納税者にはさらに魅力的でよい条件が構成されることは確かである。特に、関連する二 国間租税条約は、租税条約条項の濫用に対応する規定を定めていないときには、国を跨ぐ納税者は、ホスト国のい くつかの租税優遇措置と条約におけるみなし外国税額控除における相殺免除制度をきわめて容易に利用して、トン ネル会社の設置と移転価格取引といった手法を採用することで、締約国双方の課税権益を損ね、国際租税回避の目 223

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔膠 益新〕 的を実現していくのである。 四 課税におけるみなし外国税額控除の問題についての中国のあるべき立場と対策  経済のグローバル化という条件の下で、上述した国際課税におけるみなし外国税額控除制度の価値と意義につい ての我々の認識及び国際課税におけるみなし外国税額控除と国際租税回避との関係についての見解に基づいて、筆 者は、中国が発展途上国の主要なメンバーとして、国際課税におけるみなし外国税額控除の問題では、広く発展途 上国の共通の立場に確固として立脚すべきであると考える。経済のグローバル化時代においては、国際課税におけ るみなし外国税額控除を堅持し、このような発展途上国への投資促進が、南北協力精神の国際課税協力制度の公正 さと有効性を十分に実現しているという認識を明確に持たねばならず、国際課税におけるみなし外国税額控除の積 極的な作用と意義について、この数年来先進国から提出される様々な否定的な主張には盲従すべきではなく、さら に、従前、先進国が署名した国際租税条約を実践する中で、相手方に一方的あるいは双方的に厳としてみなし外国 税額控除における相殺免除の提供を要求する立場を放棄または変更すべきではないと考える。国際課税におけるみ なし外国税額控除制度の追求は、マクロ的な国際経済関係の局面の公正さと公平さの意義を根源から十分認識し、 発展途上国への資金と技術の移転を奨励し、それにより途上国の経済発展を促進することによって、南北の貧富の 格差を縮小する努力をし、国際社会の共通の繁栄を実現するものであって、異なる納税者間のミクロ的局面の公正 さと公平さに着眼するものではない。国際課税におけるみなし外国税額控除の性質は、国際協力を基盤としたひと つの租税統制の政策手段を構築することであり、それはまさに単純な市場メカニズムの作用の下で、国際資本と技 術を流入させ、公共インフラの脆弱性を解決し、人材と技術の欠乏という発展途上国における問題について、ひと 224

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つの課税におけるレバレッジ効果を生む手段を誕生させるのであって、直ちに租税中立原則の標準尺度に一致する かどうかによって判断・評価するべきでない。  中国の現在の対外経済交流の実際の状況を見れば、依然として課税におけるみなし外国税額控除のような国際租 税政策における統制構造の作用に助けを借りなければならず、そうすることによってようやく期待した経済政策目 標の更なる発展の効果を実現することができる。この三〇年来、改革開放政策を実行してきており、中国の外国資 本の呼び入れは著しく発展したとはいえ、国内の建設資金不足の困難さは依然として存在しており、特に、中国の 広大な中西部地区の経済発展と、東北の伝統的工業基地の技術改造と産業構造調整には、依然として大量の外国資 本の呼び入れが必要である。国際租税学界は、課税におけるみなし外国税額控除の制度の存在は、外国直接投資を       ︵16︶ 刺激し、有効であるということについて、既に実証した研究結果を表明している。そのため、中国は現有している 外国資本の吸収の規模を維持し、その基盤の上に立って外国資金と技術の導入を増加させ、関連する先進国家が行 なう二国間租税条約の改正交渉においては、これらの条約中に初めからある一方的または双方的な課税におけるみ なし外国税額控除制度を堅持し続ける必要があり、外国資本吸収のためには、国内における租税優遇措置の改革 が、租税制度の環境にもたらすかもしれないマイナスの影響をできるだけ減少させるよう調整しなければなら  ︵17︶ ない。同時に、中国はこの数年来、国内企業に対して国際市場の発展戦略を開拓するという﹁走出去︵海外進出︶﹂ の奨励を積極的に推進しており、中国と関連国家間における租税条約中のみなし外国税額控除は、まさに、このよ うな発展戦力を貫徹するものであり、投資への有効な課税レバレッジ効果により、国内に居住する企業と投資家        ︵B︶ に、相手方締約国へ赴くことを奨励するものである。この問題については、筆者は、国内の一部の学者が主張した 観点、すなわち、中国は、先進国家間の二国間租税条約に規定されたみなし外国税額控除の条項をただ堅持すべき 225

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔彦 益新〕 であって、資本輸入国の立場にある発展途上国との二国間租税条約の締結において、一方的あるいは双方的な課税 におけるみなし外国税額控除の提供につき同意すべきではないという考え方を決して認めるべきではないと考  (19 ) える。前出の学者が主張した理由の含意は、中国がこれらの発展途上国に比べて資本輸出国の地位にあり、それら の国家と署名した租税条約に規定されている一方的あるいは双方的な課税におけるみなし外国税額控除条項は、居 住納税者の国外投資から生ずる所得課税については中国にとって有利ではないというところにある。このように明 らかに功利主義の色彩を帯びた観点は、実際は見識の浅い見解のひとつであり、課税におけるみなし外国税額控除 の問題上、前述のこれらの学者が主張するように、先進国と発展途上国とで異なる対策をとるという立場に基づけ ば、中国は、発展途上国の代表としての国際イメージを損なうことになる。我々は、国内企業の発展途上国での投 資の奨励に留意すべきであり、現在の中国国内が直面しているエネルギーの緊迫状況の緩和に役立ち、国内の産業 の構造調整を促進し、中国製品の輸出貿易に対していくつかの先進国が設けた割り当て制限の問題を一定程度解決 すべきであって、それは中国が一貫して提唱している南南協力の強化という方針にも合致する。  関連国家との二国間租税条約において、課税におけるみなし外国税額控除の合意を堅持すると同時に、中国もこ の数年来、国際経済交流の情勢と条件の変化に注意するべきであり、相手方締約国との相互協議の一致という基礎 の上に立って、関連条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除条項の規定に対して必要な調整と改訂を行うこと により、締約国双方における国内の租税制度において生じている改正・変更の状況に適応しなければならない。中 国と日本、イギリス、ドイツなど大多数の先進国間の二国間租税条約は、二〇世紀の八○年代に署名されており、 これらの条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除に関連する条項は、条約の署名が、当時の締約国双方の国内 所得税制度を根拠になされ、とりわけ、中国側が実行する外国投資の奨励に関する租税優遇措置の内容を考案し、 226

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規定されたものである。二〇〇七年三月一六日、中国は新しい統一企業所得税法を制定・公布した。最初、外国投 資企業と外国企業に関しては、所得税法における外国に関する租税優遇措置の規定について比較的広範囲にわたり 再改正を行ない、経済特別区、経済技術開発区及び沿海経済開放区における外国投資企業と外国企業に対する低所 得税率優遇の適用及び広範囲にわたる生産型外国投資企業に対する所得税の﹁丙免三減半︵二年免除、三年半額︶﹂        ︵20︶ などの優遇規定の適用を廃止し、それに伴い、これらの条約におけるみなし外国税額控除相殺免除条項は︵例え ば、中国・日本問租税条約第壬二条第三項、中国・英国間租税条約第二三条第三項、中国・カナダ間租税条約第 二一条第二項及び中国・オースラトリア間租税条約第二三条第五項︶、改訂を行なわなければならなくなった。相 手方締約国と、条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除に関連する条項について改訂交渉をするとき、課税に おけるみなし外国税額控除の相殺免除の適用において、租税優遇措置の内容と範囲に対して、適当な制限を作り出 すことに注意すべきであり、主として産業または技術誘導型の租税優遇、環境保護と資源節約面の租税優遇に対し てみなし外国税額控除の相殺免除待遇を与えることに限るべきである。締約国が実施する区域への租税優遇に対し ては、実質的に投資経営活動を奨励する目的のための租税優遇の適用だけに制限すべきであり、利息や特許権使用 料など消極的な投資所得の租税優遇に対するみなし税額控除の相殺免除の適用はできるだけ避け、納税者が、トン ネル会社の設置、あるいは、移転価格取引方式を通じて、租税条約を濫用する機会の可能性を除去しなければなら ない。この点で、前述の中国企業所得税法の改訂による統一と租税優遇措置の再調整は、既に中国と相手方締約国 が改訂交渉をなした関連する二国問租税条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除条項に、良好な基盤と必要条 件を提供した。  最後に、極めて重要なのは、中国は関連国家と交渉し、条約中に関連する課税におけるみなし外国税額控除条項 227

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 を改訂すると同時に、OECDの二〇〇五年改訂版租税条約コメンタリー中にみられる租税条約条項の濫用に対す る提案内容を参考にすべきであり、これは、納税者が条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除規定を濫用する ことを防止するのに必要な措置である。国を跨ぐ納税者が、租税条約におけるみなし外国税額控除の相殺免除措置 の濫用は、居住国の課税権益を損なう上に、源泉国により実施される外国投資の奨励が経済発展を促進するという 租税優遇政策の真の目的に合致しないことを十分に理解すべきである。国際課税におけるみなし外国税額控除が、 締約国双方の相互協力に基づきひとつの国際課税の協調構造を生み出す以上、双方の密接な協力を必要とし、課税 におけるみなし外国税額控除条項の執行管理を強化しなければならない。中国と多くの先進国との問における二国 間租税条約は、全て二〇世紀の八O年代の期間に締結され、これら二国間条約において、﹁受益的所有者︵び窪呂− o巨○≦⇒R︶﹂に類似するような国際租税回避を防止する概念の条項を有していたが、とはいえ、トンネル会社と 移転価格取引のようにこれらの租税条約の濫用による国際租税回避行為に対する防御が不足していた。これについ て、OECDが二〇〇五年に改訂・公布した租税条約のコメンタリーでは、取引に関して条約における規定の濫用 が起こる状況にあっては、締約国は、納税者に租税優遇措置の立場を与えるべきではないことを明確にし、そして       ︵21︶ 締約国が交渉する租税条約に有効な反濫用条約条項を設けるという非常によい提案が行われている。その中で、受 益的所有者に対する租税優遇制度の実体的条項の提案及び特定の種類の所得の源泉課税に対する反濫用防止規則 は、いずれも条約の濫用防止措置の有効な手本として参考に値するであろう。 228 後記

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 本論文は、中国アモイ大学法学院と本学法学部の学術交流の一環として、前アモイ大学法学院院長彦益新教授よ り提出された論文を日本語訳したものである。摩教授は一九五七年生まれ、アモイ大学卒業後、同大学教授、前法 学院長である。国際経済法、国際税法を専門とし、教育部法学学科教学指導委員会委員、中国法学会理事、中国国 際経済法学会常務理事、中国法学会法学教育研究会常務理事、福建省法学会副会長などの要職を兼務している。中 国語原稿の翻訳は、東洋法学編集委員会からの依頼を受け本学大学院法学研究科に学び現在駒澤大学法学部非常勤 講師の佐々木彩と後藤が共同して行った。 ︵1︶著者は中国アモイ大学法学院の国際法部門の教授であり、博士課程学生の指導教官である。本稿は著者の分担する国家社会科 学基金プロジェクトの課題である﹁経済全球化遊程中税牧国防初凋法律向題研究︵経済のグローバル化の過程における国際課税協 調に関する法律問題の研究︶﹂︵Oo 。ω閃図○鳶︶の研究成果の一部である。 ︵2︶○国OUlS嚢憩ミ賊誌>尋。ミ防ミミ黛焼§﹂pO団OPミミ魁8§9ミ鴨ミ賊§§﹄ミ。§§織§G§焼ミ唇量什a器・富O>旨一 NOOρ<○冨日p閃︵置︶一。 ︵3︶朱庚民﹁対国隊税牧焼辻的重新坪佑︵国際課税におけるみなし外国税額控除に対する再評価︶﹂渉外税劣一九九九年第一二号参  照。 ︵4︶国際課税におけるみなし外国税額控除における各種の類型と具体的な内容については、彦益新主編﹃国際税法学﹄︵北京大学出 版社、二〇〇一年︶三三五−三四一頁参照。 ︵5︶但し、米国の参議院がこの二国問租税条約の最終審議を可決するとき、課税におけるみなし外国税額控除は、租税中立原則に 対して矛盾があると米国は一貫して主張しているので、当該条約中の課税におけるみなし外国税額控除に関する条項を削除したこ  と がある。 229

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国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕 ︵6︶中国は二〇世紀の八○年代に初めて対外交渉を行ない、この種類の二国間租税条約を締結して以来、現在既に八六力国とこの 種類の二国問租税条約について調印し、その中の四一個の条約の中で課税におけるみなし外国税額控除の控除に関する条項を許し  ている。この四一個の二国間租税条約の中で、二二個の条約は相手国が一方的に我が国にみなし外国税額控除を与えるものであ り、残りの一九個の条約は互いにみなし外国税額控除に控除の待遇を提供するものである。 ︵7︶木川弗利・欧文︵甘曄身○名①蕊︶﹁経合友組銀財政事各委員会提収一抑制有害税牧立兄争︵OECD租税委員会提案有害な租税競 争の抑制︶﹂︵池姻媚訳︶税牧洋埜一九九九年第一号。 ︵8︶以上の数字は、¢20↓Pき\ミ簿ミ象ミ鴨ミ肉魯ミ蕊OB¢巳$山乞接○房評σま呂oP80N>目震富巨①︸F即8㎝に依拠する  ものである。 ︵9︶同上九頁。 ︵10︶張玉良編﹃面向二十一世紀的国阪哉略謀刻︵二一世紀に向けての国際戦略計画︶﹄︵国防大学出版社、一九九八年︶二五頁参照。 ︵n︶○国OP8曇憩ミ黛堕>寒8謹&ミ駐§﹂βζa色日輿9薯窪ぎ⇒8ぎ8ヨのきα80畳巨”唇369器98>冨轟8。噂  <○ピBρ力︵置︶−令伊 ︵12︶雅凱・莫瑞塞特内迭・珀尼亜︵冒8垢ωζ○岳ω9弩α2Φ盆窯B邑﹁税牧政策与税牧仇恵如何影駒外国直接投盗︵租税政策及  び租税優遇はいかに外国直接投資に影響を及ぼすか︶﹂︵李品一訳︶税牧澤払二〇〇三年第五号参照。 ︵B︶○国OPO。8・§Φ富図Hp8昌︿①ω噛・二・邑讐U一おgH薯①ω巨①界℃。−田。 。る。○一。 ︵14︶烹弗利・欧文︵冒串亀○≦Φ霧︶﹁経合友組銀財政事劣委員会提以一抑制有害税牧尭争︵OECD租税委員会提案有害な租税競  争の抑制︶﹂︵池姻娚訳︶税牧峰埜一九九九年第一号。 ︵15︶アイルランドはEU加盟国中で企業所得税の実効税率が最低な加盟国の一つである。≦>沃永蒙徳﹁欧洲各国実防税率−比較  与坪析︵ヨーロッパ諸国の実効税率−比較、批評及び分析︶﹂︵周義訳︶税牧犀巫二〇〇〇年第三号参照。 ︵16︶アメリカ経済研究局冒目窃即匹器ρ冒の、日本とアメリカの投資を受け入れた六七力国をサンプル国家とする比較研究によ  れば、日本と署名をした一四力国においては、課税におけるみなし外国税額控除の合意がなされており、日本の直接投資は、対外 230

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東洋法学第52巻第1号(2008年9月) 直接投資の比率の全てを占めており、アメリカのこれら国家への直接投資に相応する比率を全て上回っている。これらの報告か ら、その他の状況が同じ条件の下では、課税におけるみなし外国税額控除の制度は、一四〇1二四〇パーセントの外国直接投資を 増加させるという結論を出すことができる︵宣B霧即匹器ρ冒8嚢憩ミき随§織bミ9§ミ篶ミ鳴ミきb鴨ミN愚き晦Gミミき勲 乞ω国力≦・蒔一罐℃8鐸一80 。参照︶。 ︵17︶中国において、二〇〇七年三月に可決された新統一企業所得税法﹃中華人民共和国企業所得税法﹄は、元来依存していた外資 企業所得税制度と国内資本企業所得税制度を合併し統一した結果であり、新統一企業所得税制度は、外資企業所得税制度中の規定  である租税優遇措置に対し、比較的広い範囲と程度の改革調整を行なった。今回の企業の所得税制改革の内容の特徴については、 屡益新﹁中国銃一企並所得税制改革内容坪析︵中国統一企業所得税制度改革の内容の評価及び分析︶﹂中国法学二〇〇七年第四号 参照。 ︵18︶二〇〇六年九月四日の中国商務部、国家統計局が共同公表した﹁二〇〇五年度中国対外直接投資統計官報﹂によれば、  二〇〇五年の中国対外直接投資純額︵以下、流量という︶は、二一二・六億ドルであるから、同時期と比べ一二三パーセント増加  し、その中には新たな資本投資が三八億ドル増え、当期利潤に対する再投資が三二億ドル、その他の投資が五二・六億ドルであ り、二〇〇五年末までに、中国の対外直接投資の累計純額︵以下、貯蓄量という︶は、五七二億ドルであった。d20↓>Uが公表  した二〇〇五年世界投資報告のグローバル流量と貯蓄量の基準時期における推計では、二〇〇五年中国対外直接投資は、それぞれ  グローバル対外直接投資︵流出︶の流量、貯蓄量の丁六八パーセントとO・五九パーセントに相当する。 ︵19︶夢振隼﹁税牧僥辻的有敷性及其対政府行力的影駒︵課税におけるみなし外国税額控除の有効性及び政府の行為に対する影響︶﹂  云南財貿学院学振二〇〇二年第四号。 ︵20︶中国のもともとの外国商人による投資の企業所得税の租税優遇措置の改正・変更の状況及び現行の企業所得税の租税優遇の内 容については、二〇〇七年三月一六日中華人民共和国第一〇期全国人民代表大会第五回会議可決・公布の﹁中華人民共和国企業所 得税法﹂第四章第二五−三六条、中華人民共和国国務院二〇〇七年一二月一六日公布の﹁中華人民共和国企業所得税法実施条例﹂ 第四章八二−一〇二条、及び、国務院二〇〇七年一二月二六日発表の﹁企業所得税の過渡期に関する優遇政策通知﹂を参照のこと 231

(29)

国際課税におけるみなし外国税額控除〔屡 益新〕  ︵国友︻二〇〇七︼三九号︶。 ︵21︶○両OUlO§幕旨畳Φω8>旨。一Φω・P冨ζ&Φ弓震08<①pけ一8・蕊・・90・日幕耳四員8>昌。一①一も巽禮轟9Φωぎ−零       −口き峯蝕づ・厘門大学法学院教授ー       1ごとう たけひで・法学部教授I       Iささき さい・駒澤大学法学部講師ー 232

参照

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