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わが国法人税制における法人間配当 -- 法人税負担の公平性と配当政策への効果分析 --

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Academic year: 2021

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(1)Vol. 38 No. 3. 近畿大学「商経学叢」. March. わが国法人税制における法人間配当 一法人税負担の公平性と配当政策への効果分析濠_. 治. 今. 西. 芳. 序. の法人の株式を保有することは, 単に1つの投 資対象ないし, ボ ー トフォリオ選択の一環とし. 昭和25年のシャウプ税制は法人間での配当等. ての保有と解されるようになったのである。. このような新制度は平成元年の経過措置を経. (以後法人間配当とよぶ)を 受取側に おける益. て. 平成2年から完全に実施されるに至った。. に帰属するものとの考え方から, 法人間での重. と平成2年以後完全実施された新制度における. 金不算入とした。法人所得は最終的に個人株主. 本稿では, 昭和63年度税制改革当時の旧制度. 複課税が生じないように意図されたのである。. 法人間配当に 対する取り扱かい方を, 「カ. 人所得の中で支払配当分には3 8彩から28%へ軽. ら, 法人間の法人税負担の公平性や法人の配当. その後, 幾度かの変更を経て, 昭和36年より法. 課する. 一. 方, 法人の受取配当のうちで社内留保. ー. タ. 一報告」に提案されて いる方法と 対比しなが. 政策に及ぽす 効果という 観点から検討してみ '. に向けられる部分には本来の税負担率が確保さ. る。 その結果 , 我が国の新制度はこの 2つの基. うになった。. 面を持つこと. およびこの問題点を対処すべき. れるべ<. その1/4 を益金として算入されるよ このような社内留保分と配当分への異なった. 税率の適用は, 当初の期待に反して, 法人の借. 入れ依存体質の是正と自己資本の充実という効 果を発揮することができなかった。 そこで. 昭. 和63年の税制改革において, 配当分と社内留保 分に再び同 一 税率で, しかも税率は37.5 %へと. 改められた。. 配当分. 社内留保分に同 一 税率が適用される. ようになった点で. 昭和36年税制改革前の制度. と共通点を持つ一 方, 新制度では子会社の法人 税負担を親会社自からの負担と同 一 視するが.. その他の法人から受取る配当は一 部益金算入さ. れる点で異なっている。新制度では子会社以外. 豪本稿作成の一段階で, 藤田晴教授(近畿大学), 橋 本徹教授(大阪学院大学), 船場安富教授 (広島大 学), 戸谷裕之助教授(大阪産業大学) から, 有益 な御意見,質問を賜わった。これを参考に表現の改 善を図ることができた。もちろん, 本稿について一 切の責任は筆者にある。. -15. 準において旧制度の問題点を一 層悪化させる側. 新制度の改革の方向を明らかにする。. 1.. 我が国の法人間配当の取り扱 かい方と法人税負担の逆進性. 支払配当分に対する法人税負担. 昭和63年の税制改革時点の税制(以降これを. もって旧制度とよぶ)では法人所得のうち支払. 配当分以外には42%の法人税率が適用され, 支. 払配当分のうち受取配当益金不算入額を超過す. る部分には普通法人の場合32% (中小法人では. 800万円までは24%)が適用された。 これは(1). 法人所得のうち支払配当分には再び個人株主段. 階で所得税が課される中で, 法人段階において 二重課税の調整を図る。(2)支払利子が税法上損. 金勘定となることから, 法人の借入れ依存体質. の改善をするという目的のためであった。 しか. し, このような支払配当分に対る軽減税率適用. (161)-.

(2) 指置は以下のような問題点をもった。. いま, 個々の法人の課税所得を i, 法人所得. のうち支払配当分を d, 保有株式に係る負債利 子額をc, 社内留保分をハとすれば 支払配当. 合計額が「税務統計から見た法人企業の実態」. 平成元年版に示されているので, これを利用し て, 金融保険業と全産業合計の資本金階 層ごと の課税所得に対する軽減税率適用所得の比率を. 額が受取配当益金不算入額を超える法人の, 課. 第1表Aに示してみた。 この比率で注意 を 要す. 次の如くなる。但し, i=d-(r-c)+r, である。. 査所得金額が, 支払配当額が受取配当益金不算. 税所得に対する上記軽減税率適用所得の比率は Z=d-(r-c). ,. ることは, それを 算出する基礎となっている調. 入額を 超える法人のみでなく, 受取配当益金不 算入額が支払配当額以上である法人ないし事業. 旧制度では. 受取配当益金不算入額(r- c). からまず支払配当がなされるものとして課税所 得の計算がなされるゆぇ.この益金不算入額は. 上式の分母はもとより母子にも含まれないので ある。 それゆえ, この式で示される比率は受取. 配当以外を源泉とする法人所得とこの法人所得 を 源泉とする 支払配当額との 比率に 他ならな. い。この比率が高いほど課税所得に対する法人 税負担率が低くなるのである。. 年度の それも含まれているため, 本来の値より 過小な値を示すという点である。しかし, この 数値をもって法人税負担率の産業間あるいは資. 本金階層間の相対的な関係を観ることができる. と思われる。同じく, 第2 表 A, B には全産業 合計と金融保険業における各資本金階層ごとの. 課税所得合計に対する支払配当額合計の比率と. 受取配当益金不算入額と支払配当額の比率を示. した(註2)。これらの受取配当益金不算入額や支. この式から, 支払配当分に占める受取配当益. 払配当額も支払配当額が受取配当益金不算入額. 受取配当益金不算入額の下で支払配当分が大き. ので, このような法人ないし事業年度 そのもの. 金不算入額の 比率が小さいほど,. また所与の. を 超える法人ないし事業年度のみの金額でない. の特徴を正確に反映しているわけでない。 しか. いほど法人税負担率は低くなることが分かる。 (註1). し, 産業間, 資本金階層間の相対的な特徴を観. いは産業間での税人税負担の不公平が生じたの. (注2). 旧制度はこのような要因によって法人間ある. である。. 個々の法人について, 課税所得に対する軽減. 税率適用所得の比率は明らかでない。旧制度下. にあった昭和63年度分の各産業における資本金. 階 層ごとの法人調査所得, 軽減税率適用所得の (注1). 軽減税率をt1, 社内留保分に対する税率を hとすれば, 法人税負担率tは 次の如くなる。 d-(r-c ) r、 +th� t=ft. ,. ,. そこで,y=( r -c), dで微分すると次の如く なる 。 �= r .(fhー わ)>O 砂 j2 これは(r-c)が大きくなるほど課税所得に対 する軽減税率適用所得の比率zのみが小さく なるためである。 社=一 r 、(th-f1)<O. ad. 資 本 金l金融保険業1金産業合計. 100億円以上 50億円以上 10偉円以上 5億円以上 1億円以上. i2. -16. 各資本金階恩の現実の支払配当額Dは 法人 税引前の支払配当額D からそれに対する法人 税額を控除した金額となる。この法人税額は 支払配当分 D から受取配当益金不算入額(R -C) を 控除した 金額に32% を乗じた金額 と なる。それゆえ, ここでの 支払配当額は 32 表わすことが D= D+-[D-(R-C)Jと 100 できる。そこで下の表に支払配当額を, 各資 本金階層の支払配当額にその 軽減税率適用所 32 得x 100 を加算した金額で求めてある。この 表と第 2 表を比ぺれば,支払配当額/課税所 得の比率の資本 金階層間でのオ ー ダ ー は変わ らない。. (162)-. 0.090 0.102 0.054 0.035 0.038. 0.158 0.153 0.119 0.079 0.068.

(3) 第1表 資 本. 100億円以上 50億円以上 10億円以上 5億円以上 1 億円以上 (注 1). 全 産 業 合計. 金 融 保 険 業. 金. A. B. C. A. B. C. 0.0562 0.0620 0.0351 0.0255 0.0275. 0.0029 0.0113 0.0409 0.0489 0.0625. 2.1460 2.6590 1.1142 1.1294 1.2627. 0.1032 0.1002 0.0815 0.0519 0.0481. 0.0029 0.0044 0.0153 0.0283 0.0364. 1.036 1.0519 0.6941 0.6479 0.7514. A: 軽減税率適用所得/課税所得. B: 受取配当益金算入額に対する法人税額/負債利子控除後受取配当額 C: 受取配当に帰属する法人税額/負債利子控除後受取配当額 (注 2) 課税所得は調査所得を用いている (注3) 金融保険業には相互会社は含まれていない 資料 『税務統計から見た法人企業の実態J平成元年版より算出 第2表 資 本 金. 100億円以上 50億円以上 10億円以上 5億円以上 1億円以上 (注 1). 全 産 業 合計. 金 融 保 険 業. A. B. C. D. A. B. C. D. 〇.092 0.105 0.055 0.036 0.039. 0.199 0.249 0.240 0.124 0.162. 〇.120 0.135 0.292 0.381 0.529. 〇.781 0.825 0.579 0.583 0.629. 0.163 0.158 0.122 0.081 0.071. 0.168 0.140 0.135 0.156 0.143. 0.085 0.088 0.142 0.219 0.255. 0.546 0.553 0.325 0.275 0.375. A: 支払配当額/課税所得額. B: 受取配当益金不算入額/支払配当額. C: 受取配当のうち益金算入額を計上する事業年度数/受取配当金不算入額を計上する事業年度数. D: 保有株式に係る負債利子額/受取配当額 (注 2) 課税所得には調査所得を用いて計算している。 (資料) (国税庁企画課編)『税務統計から見た法人企業の実態」平成元年度版, p. 50, 55, 88, 93, 107, 112, より算出した。 る重要な指標とはなり得 る と思われる。 同 時. 階 層間で法人税負担の逆進性が存在する。. 間の特徴を示すもう1 つ の指標として, 受取配. と それよりも小さい階層との間で軽減税率適用 所得の比率に大きな差がある。この点から二 つ. に. 後の分析のために,各産業問,資本金階層. 当益金不算入額を 計上する法人ないし事業年度. (3). 金融保険業では資本金50 億円以上の階層. のうちで,受取配当益金算入額の生じる法人な. のグ)レ ー プに分ければ法人税負担に逆進性が生. これらの指標を手掛りに以下で示される諸. ば.資本金が大きい階層ほどこの比率が高いと. いし事業年度の割合を第2表Cに示した。. 結果が生じる背景を考察してみることにする。. 第1 表の A から. 次の 3 点が明らかとなる。. じている。 しかし. それぞれのグ)レ ー プをみ れ. いう関係になっていない。. まず(1)の全産業合計が金融保険業よりも軽減. (1). 全産業合計と金融保険業を比較すれば,. 税率適用所得の割合が小さい。. (2). 全産業合計では資本金の大きい階層ほど. 根拠は次の如く示し得る。. 前者において軽減税率適用所得比率が高い。 軽減税率適用所得の比率が高い。. つ まり資本金. つ まり前者が課. 税所得に対する法人税負担率において低くなる. 同 一 資本金階 層間で支払配当額/課税所得比. - 17(163)-.

(4) 率を比べれば, 金融保険業はそのすべてにおい. ら, 支払配当額に対する受取配当益金不算入額. の比率は, 資本金5億円以上の階層を除いて,. は. 金融保険業の方が全産業よりも低いのは,. て全産業よりも大幅に低いことが第2表Aで示. されている。 一方, 益金不算入額/支払配当額. の貢献度は金融保険業の方が小さくなる。. それにもかかわらず, 軽減税率適用所得割合. 金融保険業の方が高い。 この比率が高い事実の. 金融保険業における支払配当額/課税所得額の. に対して貢献する程度が大きいことを意味しな. /課税所得の比率が小さいことが決定的要因と. みでは支払配当額が受取配当益金不算入額を超. える法人ないし事業年度において, 後者が前者. い。 第2表Cで示される如く, 益金不算入額を. 計上する事業年度数の中で益金算入される事業 年度数は金融保険業でその割合が大きい。. つま. り, 金融保険業の各資本金階層の受取配当金不 算入額のうちの受取配当益金不算入額が支払配. 当額を超える事業年度に帰属する部分の割合が. 比率は上の貢献度以上に小さいゆえである。 っ. まり, 資本金5億円以上の階層では支払配当額. なって, 金融保険業の軽減税率適用所得割合を. 小さくし, 課税所得に対して高い法人税負担率. を生ぜしめるのである。. かくして, 全産業合計の軽減税率適用所得割. 合が金融保険業のそれよりも高いのは. 支払配. 当/課税所得比率とその背後にある支払配当額. 全産業合計のそれよりも高いことを裏付ける。. /法人所得の比率に反映する配当性向が前者で. が金融保険業で高いことと裏腹の関係になって. 明し得る。. 後に示す, 各産業における資本金階隠ごとの受 取配当益金不算入額に対する益金算入額の比率. いる。. 後の点を考慮しても, 支払配当額に対する受. 取配当益金不算入額の貢献度は金融保険業の方. が全産業合計よりも高ければ, 支払配当/課税 所得比率が低いことと相まって前者の軽減税率. 高いことに共通の原因がある。. (2)の全産業合計における逆進性は次の如く説. 全産業合計では. 資本金が大きくなるに従っ. て支払配当額/課税所得額の比率が高くなり,. 同時に 軽減税率 適用所得割合も 高く なってい. る。. いま, 第2表Bによって資本金10 0 億円 以上. 適用所得の割合を小さくしていることになる。. の階層と50億円以上の階層の受取配当益金不算. よりも低いのであれば, この軽減税率適用所得. でこの益金不算入額が支払配当額を超える事業. 反対に支払配当額に対する受取配当益金不算. 入額の貢献度が金融保険業において全産業合計. の割合を大きくするように作用する。 にもかか. 入額/支払配当額を比較すれば, 前者で高い。. しかも益金不算入額を計上する事業年度数の中. 年度数の割合は前者が小さい。 受取配当益金不. らず, 軽減税率適用所得割合が全産業合計にお. 算入額のうち支払配当額が受取配当益金不算入. が金融保険業のそれよりも高いことに帰せられ. くなる。 これらの要因は, 軽減税率適用所得割. いて大きい。 それゆえ, このような結果が生じ. るのは全産業合計の支払配当額/課税所得比率. る。. 資本金5億円以上の階層においては, 金融保. 険業の受取配当益金不算入額/支払配当額比率. が全産業のそれよりも低い。 しかも, 益金不算 入額を計上する事業年度のうちで受取配当益金. 額を超える事業年度に帰属する割合も後に示さ. れる如く資本金10 0億円 以上の階層の方が小さ. 合を資本金50億円以上の 階層よりも資本金 10 0. 億円以上の階層で小さくするはずであるのに,. 現実には後者で大きい。 それゆぇ. 支払配当額. /課税所得額の比率とその背後にある支払配当. /法人所得額の比率が後者において高いことに. 不算入額が支払配当を超える事業年度数の割合. よって上のような結果を生ぜしめているといえ. 業の方が大きい。 それゆえ, この二 つ の要因か. 層. 資本金5億円以上の階層と資本金1億円以. および第1表 Bの 数値に 反映される この 益金. 算入額の益金不算入額に対する割合も金融保険 -18. る。. 資本金50億円 以上の 階層と10億円以上の階. (164)-.

(5) 上の階園の軽減税率適用比率の相対関係につい. 課税所得の比率は前者で低く, 軽減税率適用所. ても同様の説明が可能である。. 得割合も前者で低い。 この事実の背景を考察し. 資本金10億円以上の階層と資本金 5億円以上. てみよう。. の階屈を比較すると. 支払配当額/課税所得額. 第2表で示される如く受取配当益金不算入額. の比率は前者において高いが. 受取配当益金不. /支払配当額の比率は資本金 100億円以上の 階. 算入額/支払配当額の比率は後者で高い。. 層が小さい。 一方, 益金不算入額を計上する事. 益金不算入額を計上する事業年度数の中で受. 業年度数の中で受取配当額が支払配当額を超え. 取配当益金不算入額が支払配当額を超える事業. る事業年度数の割合は資本金 100億円以上の 階. 年度の割合は資本金10億円以上の階層よりも資. 層で小さい。 しかも第1表Bから推測される如. 本金 5億円以上の階層で高い。 また益金不算入. く, それぞれの資本金階層の受取配当益金不算. 額全体のうちで. このような事業年度に帰属す. 入額全体の中で支払配当額が受取配当益金不算. る部分の割合も後者において高い。 ということ. 入額を超える事業年度に帰属する部分の割合は. は. 上の受取配当益金不算入額/支払配当額の. 資本金 100億円以上の階層で極端に大きい。 そ. 比率が資本金5億円以上の階層で高い値を示し. れゆぇ. 支払配当額が受取配当益金不算入額を. ていることと併せて考慮すると支払配当額が受. 超える事業年度のみを考える時. たとえ, 資本. 取配当益金不算入額を超える事業年度全体の中. 金階層全体として受取配当益金不算入額/支払. で, 支払配当額に対する益金不算入額の貢献度. 配当額の比率は資本金 100億円以上 の階層で小. が, 資本金10億円以上の階層と資本金5億円以. さくとも, 益金不算入額の大部分がこのような. 上の階層のどちらが大きいかは明らかでない。. 事業年度に帰属しているため. 支払配当額に対. もし資本金階層 5億円以上でこの貢献度が大. する益金不算入額の貢献度は資本金50億円以上. きければ. 支払配当額/課税所得額の比率が低. の階層よりも大幅に大きい。 それゆぇ. 資本金. いことと併せて, 軽減税率適用所得割合は資本. 100億円以上 の階層の 支払配当額/課税所得額. 金10億円以上の階層よりも低くなるのは当然で. 比率が低い上に, 上の貢献度も大きいため. 結. ある。 逆にこの貢献度が資本金5億円以上の階. 果として軽減税率適用所得割合は資本金50億円. 層で小さければ. 軽減税率適用所得割合を大き. 以上の階層よりも低くなったのである(注3)。. くする効果がある。 にもかかわらず, 現実に資. 資本金 5億円以上の階層と資本金 1 億円以上. 本金5億円以上の階層で軽減税率適用所得割合. の階層の関係についても.. が低く算出されているのは. この階層の支払配. 以上と資本金50億円以上の階層の関係と同様で. 当額/課税所得額の比率が上の効果を凌駕する. ある。 この資本金階層間の軽減税率適用所得/. 上の資本金 100億円. に十分低いことによる。. 課税所得の比率についても同様の説明が可能で. このように, 全産業合計において逆進性が生 じているのは, 支払配当額/課税所得額の比率. ある。. が資本金が小さくなるに従って低下しているこ. 層, 資本金10億円以上の階層と資本金 5億円以. とに共通の原因を見い出し得るのである。. 上の階層については. 高い資本金階層ほど支払. 資本金50億円以上の 階層と 10億円 以上の階. (3)で示される如く,金融保険業では, 資本金. 配当額/課税所得額の比率の高いことが軽減税. が大きくなるに従って支払配当額/課税所得の. 率適用所得割合を大きくする結果 を も た ら し. 比率は必ずしも高くなっていない。. 一. 方軽減税. 率適用所得の割合もそれに対応して変化してい る。 例えば,. 資本金100億円以上の 階層と資本金. 50億円以上の階層を比較すると,支払配当額/ -19. (注3) 資本金50億円以上の階層では, 益金不算入額 を含まない事業年度の支払配当額がこの階層の 全支払配当額の中で大きな割合を占めているこ とも軽減税率適用所得割合を大きくするもう1 つの原因と考えられる。 (165)-.

(6) ている。 つまり, これらの資本金階層問では.. ける純所得に対する法人税負担率は次の式によ. 資本金が大きいほど受取配当益金不算入額の支. って示される。. 金不算入額を計上する事業年度のうちで, 益金. ここで, rは当該法人の受取配当額, Cは保 有様式に係る負債利子額, dは支払配当額であ. 払配当額に対する比率を大きくしている。. しかも, 資本金が大きくなるほど受取配当益. 算入額を計上する事業年度の割合は小さくかつ. 第1表Bから推測されるように, 受取配当益金. d) X O. 105 (1 - r-c. る。 つまり, 受取配当による純所得への法人税. 不算入額のうち益金算入される金額の比率も小. 負担率は受取配当益金不算入額のうちで支払配. 取配当益金不算入額を超える事業年度に帰属す. の負担率は低くなる形で法人間における負担の. さい。 このことからこれらの資本金階層では,. 受取配当益金不算入額のうち, 支払配当額が受. 当に向けられる金額の割合に依存する。 他の条. 件を所与とすれば,配当性向が高い法人ほどこ. る部分の割合は資本金が大きくなるほど大きい. 不公平が存在したのが旧制度である。. には資本金が大きくなるほど軽減税率適用所得. く, 旧制度下では法人にとって受取配当は収益. 以上に支払配当額/課税所得額の比率が高いた. で, 受取配当を減泉とする純所得にはどの程度. ことを示す。 この事実は軽減税率適用所得割合. を小さくする効果をもつにもかかわらず, 現実. 比率が高くなっているのは,受取配当益金不算. 入額の支払配当分に対する貢献度が大きくなる めである。. かくして. 各法人の支払配当額に対する受取. 配当益金不算入額の貢献度と配当政策を反映す. る支払配当額/課税所得額の比率に依存しなが. ら, 資本金階層間での法人税負担率の相対的関. 係が決定されるのである。. これは個々の法人についての負担率の問題で. あるが, 前節から これまでの議論で 分かる如. の 一部を構成するにもかかわらず, その純所得 は多く 課税ベースから除外されて いた。 そこ. の法人税負担率が生じ ていたのか, 産業間, 資 本金 階層間での 相対的 な関係を 考察してみよ. う。. 前節と同様に『税務統計から見た法人企業の. 実態J平成元年版に, 昭和63年の各産業別, 各. 資本金階層別に利益法人全体の受取配当額, 負. 方, 新制度では.法人の課税所得は, 支払. 債利子控除額, 受取配当益金不算入額の合計金. るため.法人の配当政策や受取配当を源泉とす. 取配当益金不算入額合計に対する法人税負担率. 一. 配当分.社内留保分ともに37.5%の税率(中小. 法人は年 800万円までの分に28%)が適用され る所得と他源泉所得の比率によってその負担率. が異なる形の資本金階層間.産業問の不公平は. 生じ ない。. 受取配当に対する法人税負担. 旧制度では, 受取配当益金不算入額が支払配. 当額よりも 大きい 法人の場合, その 超過分の. 額が示されている。 これらの数値より, 全産業. 合計と金融保険業について, 各資本金階層の受 を第1表Bに記した。 この負担率とは, 各資本. 金階層の受取配当益金不算入額のうちで益金算 入される部分の法人税負担額を基礎に算出した ものである。 この数値より次の諸点が明らかと なる。. (1) 金融保険業, 全産業合計とも資本金の大. きい階層ほど負担率が低い。 いわば法人の資本. 1/4を益金算入された。 受取配当益金不算入額. 金階層間での逆進性が見られる。. である。. 示すが, 他の資本金階層では金融保険業が大幅. のうち社内留保に向けられる部分は社内留保所. 得に対する本来の法人税負担率を確保するため. このような受取配当益金不算入分は受取配当 に源泉をもつ純所得と考えれば, 旧制度下にお -20. (2) 金融保険業と全産業合計を比較すると資. 本金100億円以上の 階層はほぼ同一税負担率を. に高い負担率を示している。. 以下ではこのような結果が生じる原因につい. (166)-.

(7) て 第2表A , C の数値を利用して , 説明し て み. 益金不 算入額 全体に対する 益金算入額 の比率が. よう。. 資本金10億円以上 の階層で 大幅に大きく なる 。. (1). の資本金階層間 で の逆進的負担 が生 じる. 以上 の階層を比較 する と. 受取配当 益金不 算入. 背景は以下 の如く 説明し得 る 。 第2表Bを見れ ば, 受取配当 益金不金算入額 /支払配当額 の比率は,. 次 に資本金10億円以上 の階層と資本金5億円 額 /支払 配当 額 の 比率は 前者 の方が 大幅に高. 資本金100億円以上 の. い 。 ところ が, 資本金10億円以上 の階層の配当. 階層より資本金 50億円以上 の階層に おい て 高. 性 向 が資本金5億円以上 の階層よりも 高 い こと. い 。 受取配当 益金不 算入額 /支払配当 額 の比率. から, 受取配当 益金不 算入額 に対する 法人税負. が相対的 に低い とい う 事実は, その資本金階層. 担 率の相対的 関係は, 資本金50億円以上 の階層. に属する 法人 の特徴 として , 支払配当 額 が受取. と資本金10億円以上 の階層の間 と同 様 の方法で. 配当 益金不 算入額 よりも 大きい 事業年度で, そ. 説明で きる 。. の差 が大きく , 受取配当 益金不 算入額 が支払配. 資本金5億円以上 の階層と資本金 1 億円以上. 当 額 よりも 大きい 事業年度 におい て はその差 が. の階層を比較 すれ ば, 受取配当 益金不 算入額 /. 小さい ことの反映 と考えられ る 。 そこで , この よう な資本金階層におい て は, 受取配当 益金不. 払配当 額 /課税所得額 に反映 する 配当 性 向 の相. 算入額 が支払配当 額を超 える 事業年度 の益金算. 対的 比率も 前者 の方が低い 。 か く して, 両 階層. 入額 /受取配当 益不 算入金額 の比率が小さい 。. 間 の受取配当 益金不 算入額 に対する 法人税負担. それ ゆ え,. 資本金100億円以上 の階層の支払. 支払配当 額 の比率は前者 の方が低い 。 しかも 支. 率の相対的 関係は,. 資本金100億円以上 の階層. 配当 額 /受取配当 益金不 算入額 の比率が資本金. と資本金50億円以上 の階層間 の場 合と同 様 の説. 50億円以上 のそれ よりも 大幅に低い ことを反映. 明で も って 可能となる 。. して 受取配当 益金不 算入額 全体に対する 益金算. か く して, それ ぞれ の資本金階愚 に属する 法. 入額 の比率は前者 の方が大幅に低く なる も のと. 人 の配当 政策 と支払当 額 に対する 受取配当 益金. 考えられ る 。. 不 算入額 の大きさに依存 しながら, それ ら法人. 資本金50億円以上 の階層と資本10億円以上 の. 全体の受取配当 益金不 算額合 計の法人税負 担 率. 階層を比べ れ ば, 受取配当 益金不 算入額 /支払. は.. 配当 額 の 比率は 前者 が高 い 。. る。. この 資本金階層. の, 受取配当 益金不 算入額 が支払配当 額を超 過 する 事業年度 の, その超過分を小さく する はず. 資本金に対して 逆進的 となって い る ので あ. 次 に全産業合計における 逆進性 につい て は次 の如く 説明し得 る 。. で ある 。 ところ が, 現実は受取配当 益金不 算入. 受取 配当 益金 不 算入額 /支払 配当 額 の 比率. 額 の法人税負担 率は資本金10億円以上 の階陪で 大幅に高 い 。 このよう な事実の背景は次 の如く. 億円以上 の階層よりも 高 い 。 しかし, 支払配当. 説明し得 る 。. 額 /課税 所得 に 反映 され る 配当性 向 は 資本金. 資本金10億円以上 の階層で は, 受取配当 益金 不 算入額 全体の中で, 受取配当 益金不 算入額 が. は. 資本金100億円以上 の階層の方が 資本金50. 100億円以上 の 階層の方が高 い ことからして . 受取配当 益金不 算入額 全体の中 で , 受取配当 額. 支払配当 額を超 える 事業年度 に帰属する 部分 の. が支払配当 額を超 える 事業年度 に帰隅 する 部分. 割合が資本金50億円以上 のそれ よりも 大幅に大. の割合はこの階層の方が小さい 。 それ ゆ え. 益. きい 。 これ は支払配当 額 /課税所得額 の比率が. 金算入額 の受取配当 益金不 算入額 に対する 比率. 大幅に低い ことに反映 され る 如く , 資本金10億. も 小さく なる と考えられ る 。. 円以上 の階層 に属する 法人 の配当 性 向 が資本金. 資本金50億円以上 の階層と資本金10倍円以上. 10億円以上 の階層のそれ よりも 大幅に低い 傾 向. の階層および 資本金5億円以上 の階層と資本金. がある た めと考えられ る 。 か く して , 受取配当. 1 億円以上 の階層の関係は. 受取配当 益金不 算. -21. ( 167 ) -.

(8) 入額/課程所得額の 比率および 支払配当額/課. 1 部 が益金算入 された の で あっ た 。. 程所得額 の 比率の 双方とも 相対的 な大き さは . 資本金 100億円以上の 階層と資本金50億円以上. 資本 に対する収 益で あると考えるなら ば , この. ところ が. 受取配当を株主で ある法人 の 投 下. の 階層の 関係と同様で ある。 それゆ え, これら. ような配当の 支払側 における法人税は . いわば. の 資本金階層間 の 相対的負 担 率は , 資本金 100. 株式保有 から 生 じる粗所得 を基準 に算出された. 億円以上の 階層と資本金50億円以上の 階層の 間 と同様の 説明で なされ得 る。. 「源泉徴収」 で あることに 注 目 すべ き で ある。 法人 が自 己資本 を源泉 にして他法人 の 株 式 を保. 資本金10億以上の 階層と資本金 5 億円以上の. 有 する時 , 受取配当がすなわち純 受取配当ない. 階層を比較すれば, 受取配当益金不 算入額/ 支. し純所得 とみ てよい。 一方他人 資本 を財 源 とし. 払配当額 の 比率は 後者の 方が高 い。. 一. 方, 支払. て株式保有 を行 う時 . 受取配当は それに要 した. 配当額/課税所得額 とそれに反映 される支払配. 利 子費用を含ん だ粗所得 にすぎ ない(注4 ) 。 株式. 当額/法人所得 は 後者の方が低い。 それゆ え受. 保有 から く る純所得は少 なくとも 受取配当額 か. 取配当益金不 算入額 全体の 中 で , 受取配当額 が. ら その株式 に係る負債利子額控除 後 の金額 と考. 支払配当額 を超える事業年度 に帰属 する部分の. えなければなら ない。 受取側 にとっ て公 平 な法. 割合は 資本金5億円以上の 階層の方が大き くそ. 人税負担 とは , この 純所得 に対する法人税負担. れに伴 っ て益金算入 される金額の 割合 も 高 くな. 率で 考えなければなら ないの で ある。. っ ているも の と考えら れる。. 「 カ ー タ ー報告」 の提案の 如く(注 5 ) ,. 支払側. それに対して. 新制度 で は 子会社の 法人税負. における法人税負担分を受取配当額 にグ ロ ス ア. 担 の み をその親会社の持分に応じた 負担 と考え. ッ プ して法人株主 の 収 益 と考えない我 が国 の 法. ら れる。 法人 が子会社以外 の株式 を保有 するこ. 人税制 の下 で は . 法人 の 受取配当それ自 体で も. とは 投資的 なも の と考えた 。 その 結果, 法人 が. っ て益金とされる。 そこで , 受取配当から保有. 子会社 から 受取 る配当は 全額 益金不 算入 とされ. 株式 に係る負債利子控除 後の純所得 に対する.. るの に対し. 子会社 とみ なされない怯人 から の. 配当支払側 で の 「源泉徴収分」 の実質負担 率を. 受取配当は その 負債利子控除 後 の金額 の 20 彩 が. 求 めると次 の 如く なる。. 株主法人 の 益金として算入 されるよう改 めら れ た 。 つ まり, 後の場 合は 受取配当よりその 株式. は t/1 - tR で あるから . 法人 の 純所得 R - C. 法人 の 受取配当 R に帰属 する 「源泉徴収分」. に係る負債利子控除 後金額 に0.075 を乗 じた 金. に対する実質負担 率は {(t/1 - t) R} /(R - C) と. 額 が法人税負担 となる。 この 法人税負担 率は 旧. なる。 ここで C は 保有株式 に係る負債利子額で. 制度 と異 なっ て受取側 の配当性 向 とは 独 立 に決. ある。. 定 されるの で ある。. 「税務統 計から 見た 法人企業の実態」. に各産. 業ご との 資本金階層別 利 益法人 の 受取 配当合. 2.. 支払配当分 に 対 す る法人税の. 計, 負債利子 合計が示されているの で , 支払配 当分には すべ て32 彩 の 法人税が課せら れている. 受取側 に お け る 実 質負担率. も の と仮定 して, この 「源泉徴収分」 の純所得 旧 制度下で法人 が他法人 より受取 る配当を基 本的 に益金不 算入 とした の は , 配当支払側 にお ける32 形 で の 負担 を最終的 に個人株主 の 負担 と 考え, 法人株主 は 個人株主 まで の単 なる通過点 にすぎ ないと考えら れた た めで ある。 そこで 法 人株主 の 内 部留保 に含 めら れる部分についての み , 4 2 % の 負担 率を確保 するた め, 受取配当の. -22. に対する負担 率を算出し, 第1表C に示してあ る。 受取配当に対する負債利子額 の 比率が47彩 (注 4 ). 外国源泉利子所得に源泉地課税がな さ れるた め , 内 国法人 に と っ て利子所得への高率課税が 生 じる原因になるのと同 じ理由であ る 。 (注 5 ) Report of the Royal Commission on Taxa­ tion, 1966 Vol. 4 を参照のこと 。. C 168 )-.

(9) を超えると10 0 彩超の 実質負担率となる。 この ような過度な負担に加わえて, 前節で示した如 き, 受取配当の 一部益金算入による負担の生じ るのが旧制度の実態であった。. 受取配当に法人税を グ ロ ス ア ッ プする場合の. 実質負担率 「カ ー タ. ー 報告J. の考え方に 従うな ら ば, 配. 当支払側での法人税負担は本来株主に帰属する. も のであるか ら , 法人の受取配当にこの法人税. 額を グ ロ ス ア ッ プした金額を株主としての法人. の収益とみるべきである。 つま り . 配当受取側 の収益は R/ 1 - t と考えるべ きである。. 第3表. 資 本 金. 金融保険業. 旧 制度 新制度 (A). (B ). 全産業合計. 旧 制度 新(制)度 (A ). B. 0.475 0.612 0.841 100億円以上 0.652 〇.904 〇.479 0.617 50億円以上 〇.701 0.636 0.378 0.487 10億円以上 0.493 0.466 5億円以上 0.496 0.640 0.361 1億円以上 0.524 0.676 0.396 0.511 (注 1 ) 新制度 の負担率は, 昭和63年の 旧制度 下 の デ ー タ ー で シ ュ ミ レ ー ト し た値 (注 2 ) 各資本金階層の受取配当, 負債利子額 は 第 2 表 と 同一資料に よ る 。. 金融保険業と全産業合計, またそれぞれの産. いま, 現実の受取配当に対する, 保有株式に. 業での資本金階層間の比較をしてみると. 本来. れゆえ , この純所得に対する法人税額は t/ 1 - t. の割合が大きい ほど実質負担率が高くなってい る。. 係る負債利子の比率を /3 ( = CIR)とすれば , 株. R である。 そ ( 1 - /3) 主側の純所得は (1/ 1 - t) R でなければな ら ない 。 (1 -p). ところ が配当. R の 「源泉徴収」 がなさ 支払側では t/ (1 - t). れているのであるか ら , (t/ 1 - t)pR だけ配当. 受取側にとって追加負担となる。 /3 = 0 つま り. 32%の負担率を実現しなければな ら ないのに,. 第2表D と対応させれば分かる如く, 負債利子 この 実質負担 率 と 32彩の 差は 本来受取側で. 払い 戻され なければ な ら ない 追加負担を 意味 する。 第1 図において, 下の部分は縦軸に p,. 自 己資本で他法人の株 式 を 保 有 す る 時 の み ,. 上の部分には この 追加的 負担が 示されている。. って株式保有を行う時, 法人株主におい て受取. で の 資本金階層間の 「源泉徴収」 に 起因 する. t/ 1 - t R は配当の受取側にとっての正当な法人 税負担となる。 1 部または全部を他人資本で も. 負債利子の比率. P. が 大きい ほど 追加負担が大. きくなって いる。 産業間 あるい は 同 一産業内. には, この追加負担分を払 い戻されなければな. 法人税負担 の 不公平の 存在がここ に 示されて いるのである。. 負担率は t/ (1 - /3)となる。. えると. 前節で示された受取配当の1 部が益金. 配当に対する公正な法人税負担を実現するため ら ないのである。 しかし, 現実にはこれがなさ. れないのであるか ら 「源泉徴収」 による実質的. 以上のように, 配当支払側で源泉徴収された. 法人税は, 本来株主に帰属する所得の 一 部と考. って, 株式保有の財源 を他人資本に大きく依存. 算入される旧制度の下では, 受取配当に法人税 1 を グ ロ ス ア ッ プした金額を求め. (―l --t R - C. が分かる。 特に, 金融保険業は本来的 に B が. R とこの益金算入分 そこで , 上記 —l - t (l - p). この式か ら , 支払配当分に対する法人税によ. するほど, 法人税の実質負担率が高くなる形で. 法人間さ ら には産業間での不公平が生 じ ること 大きいため, この実質的 負担率は絶対的 にも,. 他産業と比ぺて相対的 に も 高くなる。 上と同一 資料に基づいて, このように定義した実質負担 率を求めてみると第3表Aの 如くなる。 但し,. ここで は , 配 当支払側で, 支払配当分に32彩の. 法人税率が適用されて い る も のとしておく。. -23. 4. - D) l. を益金算入するのが本来の姿である。. t. に対する法人税額を合計して42形の負担率が確. 保されるように調整することによって. 初めて. 法人税の 真の 負担公平性を 実現し 得たのであ る。. 一. 方, 新制度では, 特定株式か ら 生じ る受取. 配当のみ全額益金不算入とされる。 しかし. 子. ( 169 ) -.

(10) 会 社 におい ての法人税負 担 は 親会社 自 からの負. 昭和63年度における 金融保険業, 全産業合計の. 担 と 見 る にしても,親会社 にと っ て株式 にかか. 各 資本金階層に属する 法人 の受取配当,負債利. わる 負債利子控除 前 の粗 所得 を基礎 に算出され. 子 の下で,新制度が採用され たならば,支払配. る 「源泉徴収」 と い う性格 を持 つこと は . 旧 制 度における 支払配当分に対する 法人税と 同 じで. 当分に対する 法人税が それ の受取側 にと っ てど のような実質的負担 率を示すのをシ ュ ミ レ ー ト. ある 。. してみよう。 但 し,配当の支払側 で一律37 . 5彩 の法人税率で課税され てい る と 仮定 しておく。. また特定株式以 外 からの 受取 配当に つい て も,配当 支払側 での法人税は 受取側 にと っ て保. 金融保険業,全産業合計の各 資本金階層 に属. 有株式 に係る 負債利子控除 前 の粗 所得 に対して. する 法人 の受取配当額 R から算出され る 法人 税引 前配当額は l/l - t R である から,これ に. 課せられ てい る こと には 変 りは ない 。 新制度では配当支払 を行 う法人 の所得 は 支払. 37 . 5% を乗 じた金額が配当支払側 におい て 「源. 配当分,社 内 留保分双方に37 . 5% (中小法人 に. 泉徴収」 され る べ き金額である 。 このように算. は 軽減税率) の法人税負担 と なる 。 そこで上記. 出され た法人税額から負債利 子 を控除 した純 所. 追加負担. 金融保険業の 実質迫加負担 ... . . . . . . . . . . . 全産業合計の 実質追加負担 0,529 (新制度) ( 旧 制度) 0,237 0.244 ,. _ _ _ - -- · _ (新制度) , ・ , 0.15 9 0.15 5 0.1 36 . - • - · · · - .. ( 旧 制度) ·0.1 12 ・ , � 0.09 1 •' •• 0.076 • · - もss, ゜� — 0.04 1 • • • :-e .. -- -. Rr. ··-- -- · - o. 一 ' . ,_____,,,,__,. I.. 1 億 円以上. 資本金. 5 億 円以上 10億円以上 50億円以上 1 0 0 億 円 以上 0.825. 0.5 5 3. 0.5 46. ● - - - . ... 0,375 ei.. ` ....... ..... . . - ··. ` ` 0,2 75. 0.325 , ' •●. ‘. ,. 金融保険業 の ロー ,,,_ 受取配 当 中 債利子比率. -- · · · · - · ··. 全産業合計の 受取配 当 中 債利子比率. 負 0. 1 億 円 以上 5 億円以上 10億円以上 50億円以上 1 0 0 億 円 以上. ー24. C 170)-. 資本金. 負.

(11) 得に対する比率が第3表Bに記されてい る。. 旧制度下の実質負担率Aと比ぺれば, 新制度. 自 己資金の豊富化. 規模の拡大促進を計ってい. るのと異なる(注 6 ) 。 我が国の軽減税率適用によ. において配当支払側 での法人税負担がもた ら す. って. 大法人は 自 か ら の事業部門 で事業を行う. されるべき37.5形との差が. 配当受取側にとっ. 手段と し て利用できる。. 配当受取側にとっての実質的 負担率は大幅に上 昇することが示される。 この負担率と本来負担. ての 「追加負担」 である。. 金融保険業, 全産業合計における各資本金階. 層の 「追加負担」 を旧制度と同じ く 第1 図上部. よりも, それを 1 つの独立 し た法人に分割 して 子会社形態で事業を行う形で法人税負担の軽減 わが国の中小法人は特定の設備に対する減価. 償却制度等の面で特有の優遇 措置の恩恵を受け. ている上に, その課税所得 自 体が軽減税率を適. に示 し てある。 それぞれの産業において ( 新制. 用される。 それ ゆぇ. 大法人が完全にまたは十. が ら , 新制度は旧制度に比べてより大きな 「追. 負担の軽減化を実現できる。. 度) と記された実線, 点線がそれである。 受取. 配当中に 占める 負債利子の比率 f3 に依存 しな 加負担」 を生ぜ しめる。 新制度においては, 配. 当の支払側 での法人税は, 産業問, 法人間 での. 負担の不公平をより大きなものとする性質をも. 分大き い割合の 自 己資金を設立資金に充てる限. り, 軽減税率適用の中小法人を利用 して法人税 いま, 中小法人に特有の減価償却や特別税額. 控 除による法人税負担軽減効果を考慮外におい. て. 法人税率 差のみに 関心を 持つことに し よ. つことが分かる。. う。. わえて, 新制度は投資的 保有の株式による受取. 率が適用される。 この中小法人は国 内における. 特定株式, 投資的 株式の双方について, 受取. 配当にはこのような 「追加負担」 が生じ るに加. 配当か ら それに係る負債利子 控 除後の金額の20. 形が受取側 で益金算入されることか ら 「追加負. 担」 の上乗せが生じ る。. 配当支払側 でその配当分に軽減税率が適用さ. れていた旧制度とは異なって, 新制度では配当 分, 社内留保分の双方に37.5%の税率が適用さ. れる上に上のような受取側での益金算入がなさ れるのであるか ら , 特定株式以外か ら の受取配. 当に対 しては 「追加負担」 が特定株式か ら の受. 取配当よりもそれだけ大きく増幅されるの であ る。. 中 小法人か ら の 受取配当. 以上では子会社において, 親会社と同 税率 一. た。 我が国 では中小法人は大法人に比べて外部. 資金調達が困難であるがゆえに, その 自 己資金. の豊富化の ために 軽減税率が 適用されて 来た し , 今 日 においてもそれが適用されている。 ー 報告」. 「見え ざる タ ッ ク スヘ イ プ ン 」 の法人と し ての. 役割を果 し て い る。 しかも, 受取配当は親会社. において益金不算入 であるか ら . 親会社が 自 己. の 1 部門 で事業を行うより.. (かつ 親会社が全. て 自 己資金 で株式保有を行う限り) その所得に 対 し 9.5 % だけ低い税率が適用されることにな る。 もち ろ ん . 子会社の社内留保分も軽い税率 で負担 してそこに蓄積される。 この点か ら 見れ. ば. 中小法人はそこに課税所得が生じ た場合に 大法人の税負担節約のための シ ェ ル タ ー であり 「導管」 と しての 役割を 果 しているのである。. 方, 親会社においてこの中小法人か らの受取. 一. で法人税が 課税されて いるという 前提が あっ. 「カ ー タ. 大法人が 自 己の事業部門の 1 つと して事業を. 行えば. その所得に対 し て現行では37.5%の税. では 小規模事業に資本設備. 全般に対する高速度償却を認めることによって. 配当が多い ほど, 法人間での 新たな負担の不均. (注 6 ) op. cit., p. 690 を見 ら れた い。 こ の よ う に高 速度償却を認め る こ と 自体, 課税ベ ー ス の包括 化を 目 的 と し た 『 カ ー タ ー 報告」 の基本精神に 反する と い う 批判 も あ る 。 J.M. Mints, "Alternative Views of the Corporate Tax : A Reasse ment of the Cater Report", The Quest for Tax Reform, The Royal Commission on Toxation on Twenty Years Later, (ed.) by W. N. Brooks, 1988 , p. 219 を参照の こ と 。. -25 ( 171 ) -.

(12) 衡が生じるのである。. し かもこの法人税制は法人 の事業形態 の選択. を歪めるこ と になる し , このような税率差 の 利. 益を受ける ために子会社の事業規模 拡大の誘因. をも減じ ら れてくる。 法人税制は少なく と もこ のような子会社か ら の受取配当分については親. する取 り 扱かい方に起因する税負担 の逆進性に. 関連 して, 旧制度は 2 つ の 側 面か ら 配当促進効 果を持ってい た 。. その 1 つは, 支払配当額が受取配当の負債利. 子 控除後金額を超える法人に と って, その超過. 分は軽減税率適用所得 と なる た め, 所与の受取. 会社の 段階で 負担の 公平性を 確保すべきであ. 配当の下では, 支払配当が大きいほど法人株主. 資金 の 豊富 化 の みを 目 的 と するのであれば 「 カ. もう 1 つは, 負債利子 控除後の受取配当がそ. る。. もちろ ん設備投資を多く行う中小法人 の 自 己. ー. タ. ー. 報告」 が提示 し た 高速度償却による援助. 手段が税収 ロ スに対する効果の比較において優. れているに し ても, 産業間での 差別的 扱いを生. ぜ しめないように, 中小法人全体にその 自 己資. 金 の 豊富化を行う のであれば, 現行の 如き軽減. 税率の 適用をせ ざるを得ない。 その中で, 大法. の 課税所得に対する法人税の 実質負担率が低下. する点にある。. の支払配当よ り 大きい法人 の場合. 支払配当が. 大きいほど所与 の受取配当のうち益金算入され. る金額が小さくなって, 法人の 課税所得 の縮小 に役立つ た めである。 し かも. この場合. 法人. が受取る配当の追加分に起因する法人税負担増 R(l - d D/d R) x 0 .1 0 5 (但 T は法 加は dT= d. 人に対 し て現行よ り もよ り 公平な税負担を実現. 人税額, R は受取配当額 , D は支払配当額) で. にの み税負担の軽減化を保証 し , 配当分に対 し. D/d R が 多くの配当増加を行うこ と によって d. するためには, このような中小法人 の所得のう. ち, 自 己資金 の 豊富化に向け ら れる社内留保分. ては法人株主に おいて適用される税率で, その. 他源泉所得 と 同. 一. 税負担が生じ るような仕組み. を必要 と する のである。 3.. あるか ら , 法人株主は所与の保有株式か ら の受. 取配当 の 増 加があれば, それを財源 と し てよ り. 大きく, 受取配当増 加に伴う法人税負担 の増加. は小さくなる。 これはま た , 配当の受取増加が. あれ ばそこか ら よ り 大きな部分を支払配当に向. けるこ と によって, 配当を受けないこ と に対す る機会費用を大きくするこ と を意味する(注 7 ) 。. 法人税制 と法人の配当政策. 法人税制 の配当促進効 果. 旧法人税制は 3 つ の )レ ー ト で法人の配当促進. 効果を持っているこ と が以上の議論か ら 分かる。 そ の 1 つは, 法人が保有する株式の 実現キ ャ. かく し て, 旧法人税制は , 配当を支払う側 と. して, さ ら にはその受取側 と し て , 配当増加を させる種々な メ カ ニ ズ ム を内蔵 し てい た のであ. る。. 以上は本来の法人利潤ない し所得のうち, 課. ゲ ィ ン は 全額 益金算入 される こ と に. 税所得そのもの の 縮小あるいは課税所得に対す. 不算入であるか ら , 実質的 な二重課税は生 じ な. 法人間配当に対する法人税の 「追加負担」 の存 在は親子会社間で財貨 サ ー ビ ス等の 取 引 がなさ. ビタル. ・. よる。 法人留保所得は法人間で二重課税を受け. るこ と になるが, 法人間配当は基本的 には益金. かった 。 それゆえ, 法人株主に と って社内留保. されるよ り も配当を受取る方が税負担面で有利 になるはずである。 この場合 , 法人 の社内留保. を反映する株式の キ ャ ヒ タ ル °. ・. ゲ イ ン には実現. 段階課税ゆえに納税延期効果が生じ るこ と を考. 慮 し てもである。. さ ら に, 第1 節で示され た法人間配当分に対 -26. る実質負担率の 引 き下 げに関する誘因が生じる と いう指摘であった 。 と こ ろ が第2 節で示 し た. れる限 り 法人問で別の形 の法人税節約行動を誘. (注 7 ) 法人の配 当 政策 は , 株主が配 当 を受 け な い こ と に よ る 機会費用 に 依存す る と い う 考え方は フ ェ ル ド ス タ イ ン に よ る 。 M. S .Feldstein, "Co­. ( 172 ) -. rporate Taxation and Divident Behavior", Review of 応anomic Studies, January 1970, p. 57 を参照の こ. と。.

(13) 発する可能性がある。. 親会社と子会社の間, しかも親会社の持株比. 率が 10 0 %に近づくほど, 上の 「追加負担」 を 全く生ぜしめ ない形で株主に資本報酬としての. 所得移転を行うような 誘因を旧制度は持 っ てい る。. このような 法人間で経常的 な商取引をする中. で, 配当を多く支払うよりも有利な 取 引 条件に よ っ て, つまり 「移転価格」 を通した株主法人 の所得増加をすれば, 株主側での みその金額が. 課税所得に算入されて法人税負担が生じ る。 こ. のようにすれば, 本来の配当支払を行う べき法 人側とその株主である法人とが全体と し て, 租. 税節約を可能となる形で 「追加負担」 が解 消す. るのである。. 軽減税率を適用される中小法人の親会社がそ. の株式を保有するに際して, 必要資金を借り入. れに大きく依存する場合にも, 前節の実質負担. 率に 「追加負担」 が生じる。 子会社で軽減税率 が適用されていても, 親会社は配当を受取る必. 要が あるな ら ばそれよりも上記の如く,. 「移転. 価格」 を通した 自 か ら の利潤 増加を計るよう行 動を取ると考え ら れる。. 新制度では旧制度に内包する上記 3 つの配当. 促進メ カ ニ ズ ム のうちで, 後の 2 つは消滅した. ため, 所与の法人所得の下での配当促進効果は 弱ま っ た。 一方, 新制度は, 配当支払側での法. 人税によ っ て, 旧制度より一 層大きい 「追加負. 担」 を株主側に生ぜしめる。 このよう な 新制度 の性質は株式の キ ャ ヒ タ ル °. ・. ゲ イ ン に対する受. 取配当の相対的 有利性 を 減じ, か つ 親子会社. 間, し かも両者で大き な 取 引 関係にある場合に は 「移転価格」 を通した所得分配によ っ て, 租. 税節約行動を取る誘因を旧制度よりも 一 層大き. くするものと考え ら れる。 現実 の配当政策. 以上か ら 「移転価格」 による株主法人への報. 酬分配を別にすれば. 旧制度は所与の法人所得. の下で法人の配当促進効果を持つことが分か っ. た。 しか し 現実にはその利益処分において配当 -27. 優先政策をと っ て来たであろ うか。. 第4表は, 法人の長期資金調達手段として競. 合関係にある社債 (事業債) と株式の利回りの 比較をすべ < . 社債の利回り平均と有配法人の. 株式利回り平均の比率を示したものである。. 株式の長期的 保有の報酬は受取配当と法人の. 社内留保を反映する株式の長期 キ ャ ヒ タ ル. ゲ °. ィ ン によ っ て得 ら れる。 株主に対する報酬が配. 当よりも株式の キ ャ ヒ タ ル °. ・. ゲ イ ン に大きくバ. イ ア ス を持つほど. 社債利回り平均/株式利回. り平均の比率が高くな るはずである。 つまり,. 配当率がそれだけ低く抑え ら れ, 法人は税引後. 所得の うちの 大きな部分を 社内留保に 向けれ ば, それを反映して株価上昇 ないし長期 キ ャ ヒ. °. タル. ある。. ・. ゲ イ ン が大きくなると考え られるためで. 第 4表 社債利回 り /株式利回 り の変化 お よ び国際比較. 昭和57年 5眸 59年 60年 61年 62年 63年 平成元年 2年. 日. 本 アメ リ カ イ ギ リ ス. 4.738 5.338 6.560 7.030 7.667 8.570 9.182 11 .871 14. 192. 2.578 2.905 2.907 2 .840 2.784 3 .218 2.797 2.800 2.700. 2 .447 2.524 2 .561 2.573 2.721 3.034 2 .500 2.667 2. 545. ドイ ツ 2.971 3.692 3.377 4.494 3 .500 2.332 3.036 3.956 3.711. (注) 日 本の株式利回 り は東京証券取引所. 第一部 上場有配法人. 各月 末平均利回 り の 年単純平 均値 ( 資料) : 『財政金融統計月 報J 証券特集 1990年12月 (464号) 「財政金融統計月 報J 金融特集 19碑12月 (392号), 1983年3月 (443号) 1986年12月 (416号), 1991年3月 (467号) よ り 算出 し た。. 表によれば. ア メ リ カ と イ ギ リ ス の社債利回. り平均/株式利回り平均は大体同一水準であり, かつ時系列的 にも全期間でほぼ コ ン ス タ ン ト な. 値を示している。 西 ド イ ツ は イ ギ リ ス や ア メ リ. 力 に比 べてその比率は高 < . かつ年 々 若干の変. 動を示している。 日 本の比率はこれ ら 3 国より. ( 173 ) -.

(14) 平. ; 均値(:). 1. 1. 5年. 昭. り. 平. 第 5 表 社内留保率の 3 年移動 均値の推移 1. '�. ::�. 1. :. 1. :. 1. 『:. :. I. :::. I. ::. 平. I ::� I I :,� 年. :. 社内留保 X lOO 税引後利益 社内留保=税引後利益 ー 役員賞与 ー配当金 (資料) : 大蔵省 「財政金融統計月 報 : 法人企業統計年報J 1982年367号, p. 7, 1987年425号, p. 7, 1990年462 号, p. 7, 1991年474号. p. 6 よ り 算出。. (注) 社内留保率=. も大幅に高く, かつ年を追ってその 差は大きく. なってい る 。 これは, 我が国 の株主は配当より. も知 れないためであ る 。. そこで , 法人 の配当政策をもう 1 つの 側 面か. も社内留保を大きくし, 後者を反映す る 株式 の. ら見 る べ < . 社内留保率そのもの のすう勢を観. 年を追って強くなってい る ことを示している。. 移動平均値を示してあ る 。 短期的 な景気変動過. キャ ビタル. ・. ゲ ィ ン に大きく依存する 形で株式. 保有の報酬を得ていたこと. およびその 傾向が た だし, 平成 2 年の 比率が急上昇しているの. は, 平成 2 年より 新制度が 完全実施 された結. て みよう。. 第5表には, 我が国法人 の社内留保率の 3 年. 程で法人 の配当率は利潤 増加に対して ラ グを持. って上昇し, 利潤 減少に際して下方硬直性を持. 果. 法人 の配当政策の 変更があり, 配当率が低. つため, 景気回復ある いは好況局面で配当性向. この ような現象が生じ た のは次 のような事情. 過程で大きな振幅を示す性質を持つ。 そこでこ. 下して利回り平均が低下したためではない。 配 当率は低下よりむしろ 上昇してい る 。. によ る も の と考えられる。 平成 2 年 9 月 以降.. バ プ ル経済の崩壊によっ. て株価の 暴落があったもの の . 8 月 以前におけ. る 異常に高い株価に起因す る 低い利回り平均値. に引 っぱられて. 同年の各月 末株式利回りの年. 間平均値が低く算出された 。. 方, 前年から金. 一. 利上昇があったため. このように低く算出され. た 年間各月 平均利回りとの格差がそれ だけ大き. くなった の であ る 。. このような平成 2 年 の高い社債利回り平均/. 株式利回り平均 の比率を含め, 昭和61年から以. 降にこの 比率が高く, かつすう勢的 に上昇して. いくからといって,. バ ブル経済の影響を考えれ. ば. この時期に法人は配当よりも社内留保重視. の政策を 取り続けて いた という 証明に な ら な ぃ 。 こ の 時期には, 上 の 比率が必ずしも法人 の. 配当政策を反映していない危険があ る 。 なぜな らばこの時期には. 例え法人が社内留保を ゼ ロ ま たは マ イ ナ スにせていた と しても. 金融緩和. そのもの によって株価が大幅に上昇していたか -28. は低 < . 景気後退あ る いは不況期 では配当性 向. が高くな る 。 それゆえ, 社内留保率は景気変動 のような 短期的 景気変動 の 影響を 取り除くべ. 3 年 移動平均値をもって社内留保率の推移 を観た 。. <.. 表では. 昭和61年以降. 上記社債利回平均/. 株式利回平均の推移と方向を 一致する形で. 社 内留保率の 移動平均値も 一貫して上昇傾向を示 してい る 。 すなわち. 平成元年以降でもなお,. 法人は 配当よりも 社内留保 重視政策を 取り続 け. しかもこの社内留保重視政策は年を追う ご. とに強くなる傾向を示してい る 。 上 述 の 如 < . 旧法人税制は配当促進効果を持. つはずであった の に . なぜこのような社内留保 を大きくする形で. 株主は株式の キ ャ ピ タ )レ. ・. ゲ ィ ン によって報酬を得 る 政策を法人によって 取られた の であ ろ うか (注 8 ) 。 法人にとって. 自 からの法人税負担の軽減化. (注 8 ) 我が国の キ ャ ヒ タ ル ・ ゲ ィ ン に対する所得税 を見て も 分 る 如 く , 個人株主に と っ て も , 配当 よ り 社内留保を有利 と す る 理 由 があ る 。 しか し こ こ では, 法人の 立場に 立 っ た 議論の みを行 う。 °. ( 174) -.

(15) を 犠牲にする以上に重視すべき政策目標が経営. 者に存在するのであろ うか。. 事実, 配当を 支払う側 と して, 社内留保を で. きるだ け 大きくする方が, 経営者の立場におい て好都合 と なる理由がある。. まず, 自己資本が大きいほど経営者に と って. 生じる貸手側から借手側への種々な干渉は既存. 経営者の権限を それだ け 制限.縮小する結果に なる。. また株式価格がより高い水準に維持 される こ. と が.法人さらには経営者への評価の基準であ. る と すれば, 経営者は 留保所得を 極力大きく. 直接 自 からの支配下にある資金が大きくなり,. し, 長期的に株価ができる限り大きく上昇する. 加的資金も外部から調達し易 < ' それだ け 追 加. いこ と 自体. 株式の時価発行によって低 コ ス ト. しかも法人の資本構成が健全化されるゆえに追 的な投資が容易になる。. この追加的投資の資金が社内留保による自己. 資金であれば, 利子支払はも と より配当支払の. 政策を採るのが好都合である。しかも株価が高. の株式資本を調達する こ と を 可能にするのであ るから.経営者に と ってはなお好都合である。 第 6表に示される如 < . 昭和5 1年から平成元. 必要性も生じないため, 市場の占有率拡大競争. 年の間に増資した法人の70形-80%が時価発行. っていない 日 本の法人に と って, た と え それが. において年々の払込み増資額の少なく と も60%. の中で, 必ずしも短期的な利潤極大化行動を 取. による公募を行ったし, 金額においてもその間. 収益率の低い投資であっても法人の財務内容を. 以上.大部分の年には70%-80%以上がこの時. 可能にする。. ら. 法人に と って自己の株式価格を高水準に維. 害するこ と なく, 敢えてそれを実行する こ と を. さらに自己資本が大きいほど投資資金の貸手. から借手の経営者に対する干渉の危険が小さ く. なる。 借り入れに大きく依存するこ と によって 第6表. 会社 増資. 昭和50 51 52 53 54 55 56 57 58 59. 60. 61 62 63 平成元. によ る 公 時価募 発行割 合. 会 社数. 増 払 込資 額. 会社数. 219 284 332 250 253 256 285 172 126 153 131 110 149 236 325. 9,024 8,234 7,094 10,329 6,605 11,601 17,932 10,154 8,495 8,148 6,51 3 6,315 20,839 45,638 75,600. 48.9 75 .4 61.4 82.4 78.3 85.2 83.9 82.0 72.2 83.0 68.7 69.1 74.5 78.4 80.3. 社. 億円. %. 増 払 込資 額. %. 27.0 68.2 65.7 64.1 70.3 78.1 71.4 76.4 65.6 86.5 67.2 75.1 71.7 76.0 82.8. (注1)会社数は全国上場会社の延べ数 (出所) 大蔵省「財政金融統計 月 報J464 (1990. 12) 3 pp . 22-2. 価発行増資に よる ものであった。 この こ と か. 持 するこ と が重要な資金源 と なり, 重要な政策 目標になっていた こ と は疑う余地はない。 一方.. ら.. 株式の 保有者 と しての 法人の 立場か. 配当 と して 株式保有の 報酬を 受取るより. も, 法人税負担面を 見れば不利でありながらな ぉ, 社内留保を反映する株式のキ ャ ビ タ )レ, ゲ ィ ン を もって報酬を得る方が好都合である理 由. がある。. 我が国の法人税制の下では, 株式保有に係る. 負債利子は経常的に損金 と して控除されるが. その報酬の主要な形態 と なるキ ャ ビ タ ル. ゲィ. ・. ン は実現時課税であるから, 本来の姿 と して発. 生時課税を行う場合に比べて納税延期の利益.. つまり実質負担率の低下が生じる。しかも, 我 が国の法人税では法人の株式投資以外の事業で 欠損が生じれば, その株式の実現キ ャ ビ タ ル ゲ ィ ン で相殺できるため, その全部または. 一. ・. 部. が税負担から逃れられる。 こ こ にも株式のキ ャ ビタル. ・. ゲ ィ ン に対する実質的な税負担軽減要. 因がある (注 9 ) 。 (注 9 ). -29 ( 175 ) -. ア メ リ カ では 1986年の税制 改革前ま では , 法 ° 人 の実現キ ャ ヒ タ ル ・ ゲ ィ ン を分離課税 として い た。 この税制改革で総合課税に改め られた。.

(16) さら に, この よう な事業から の欠損 が生 じ た. 税制 が法人 の配当促進 効果を持 って い たにもか. り, あるい はそこから の 所得 が減少 し た時 に,. かわら ず, 法人 によって配当抑 制 , 社 内 留保重. 株式の キ ャ ビ タ ル. 視政策 が採 ら れて きた。. ・. ゲ ィ ン を実現 ( つまり 「 益. 出し」 を) すること によって 法人 の 年 々 の 所得. 新 制度では, 法人税の配当促 進 効果が減 じ て. を平準化 し , 事業の 不業績 に対する経営者へ の. きた。 それ ゆ え. 法人 にと って , 旧 制度よりも,. 批判 を緩和 させること ができる。 この こと はま. 法人税負担の犠牲 を小さく し て 配当抑 制 , 社 内. た経営者にと って危険 な事業をも敢 えて実行 す. 留保増加 を実行 できる。. ること を容易 にし て くれ る。. かくし て , 長 期 的 には. 新制度へ の 移行 によ. これ ら の諸点 を考えれ ば, 法人経営者にと っ て , 株 式 の キ ャ ビ タ )レ. ・. ゲ ィ ン は, 受取配当よ. って , 他 の諸 条件 を不 変 と すれ ば. 株 式市場 か ら の 個人離れ が一 層助 長 され る結果になろ う 。. りも法人税負担面 で不利 であること以上に価 値 ある便宜 を与 えて くれ るもの と 考えら れ る。. 結. 語. かくし て , 法人 は配当の 支払側 と し て , また その 受取側 と し て配当水準 を極力 抑 えて おく方 が好都 合であること が分かる。 し かも今 日 法人 の発行済株式の70彩以上 (昭 和63 年 で7 2 . 9彩 , 平成元 年 で7 2 . 8%) が法人 によって保有 されて い ること から , 法人経営者が相互の利害 を重視. 旧 法人税制 では, 法人 が他法人 の 株 式 を持 つ °. 場 合, その 報酬 を長期 キ ャ ヒ タ ル. ・. ゲ ィ ン で受. けるか配当で受 けるか, また受取配当でもその 源泉 が軽減税率の 適用がなされ る中小法人 か否 か, これ ら 源泉 を異 にする受取配当の 大きさと. する形 で配当政策 が決定 され る の が 当然であ. 構成 , さら に保有株式 に係る負債利子の 大きさ. る。 これ が, 現実に配当率を極力 抑 え, 社 内 留. や 支払配当の 大 きさによって 法人 間に実質 的 な. 保 率を高 い 水準 に維持 し , し かもこの 傾 向 が年. 法人税負担の格差 を生ぜ し めた。 一方, 新制度. 々 強 く現 われ る原因である。. におい て は, 所与 の 受取配当の 中でその源泉 が. この よう な社 内 留保重視 による株式 の キ ャ ビ タル. ・. ゲ ィ ン 中心 の 株主 へ の 報酬 は ( 大所得 ,. 子会社 か否 か, また軽源税率を適用され る中小 法人 か否 か, それ ぞれ源泉 を異 にする受取配当. 大株主層以外の) 個人株主 にと って 必要 な安定. の構成 および保有 する特定様式 と それ以外の株. 的性格 をもつ配当収 入を小さくなること を意味. 式 に係る負債利子の 大きさと その構成 によって. する。 社 内 留保の菩積 は, 長 期 的 に株価 上昇 と い う 形 で反映 するにし て も, 今 日 の 法人 間での. 法人 間の実質負担 率に格差 が生 じ て くる。 ただ し 新制度では法人 の配当政策 と は 独立 にその法. 株式の持 合い と 安定株主 を求 める傾 向 は, 市場. 人税負担 率が決定 され るよ う になった。. に流通する株式 を減少 させ, 小さな需要要因の. と ころ が, 高速度償却 による小規模 法人 の援. 変動 によって 短 期 的 に大きな株価 の 振 幅を生ぜ. 助 や 法人 間配当につい て の 「 カ ー タ ー報告」 の. し める。 それ ゆ え, 株式保有 の報酬 をキ ャ ピ タ ル. ・. ゲ ィ ン に求 めなけれ ばなら ない と すれ ば,. 提案 では, 小規模 法人 に対する納税延期 と い う 不公平 を除 い て , それ ぞれ の 法人 の 所得源泉や. 個人 をし て , 株式 は危険 な資産保有形態 と の認. 保有株式 に係る資金調達の方法 , 配当政策 によ. 識 を持 たし める。 小さい 元本 ゆ えに危険分散の. って 法人税負担 の 差 は生 じ ない 。. できない彼 ら にと って は益 々 株式市場 から離れ て い く重要 な原因と なる。 反面 ,. (危険分散 も. 同報告 の 提案 はこの よう な利点 を持 つ一方, 高速度償却 による自 己 資本 の 豊富化には非償却. できる) 法人 , 中でも銀行 , 生命保険会社 が上. 資産 を多 く必要 と する小規模 法人 には不利 と な. 記 の よう な便宜 もあること から株式の保有 割合. り, かつこれ が新 たな資源配分の 歪 みを生ぜ し. を一層上昇 させるの である。. める。 小規模 法人 に等 し くその恩恵 を与 えよう. この よう にして , 旧 制度 では少 なくと も法人. -30. と すれ ば, それ に軽減税率を適用し なけれ ばな. C 176 ) -.

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