「新しい貧困」の政治学―ポスト「日本型福祉国家レジーム」―
16
0
0
全文
(2) 8 8. M e m o i r so fT h eS c h o o lo fB .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN o .2 3( 2 0 0 9 ). 2 .貧困なる「貧困政治」 小泉純一郎首相の構造改革を受けつつ政権を引き継し、だ安倍内閣と福田康夫内閣も、ともに l年で政権 を投げ出す結果に終わり、政府自民党の政権担当能力、すなわち統治能力 ( g o v e m a b i l i t y)が疑われた。 5 年 5ヶ月に及ぶ長期間、政権の座に君臨した小泉首相は「聖域なき構造改革」を行い、わが国における本. 0 0 7 a )。しかしながら、構造改革という名の新自由 格的な新自由主義レジームを確立するに至った(新田 2 主義改革が、「勝ち組」と「負け組j への三極分解を促進させ、その改革の弊害として格差と貧困をもたら した。小泉が残した「負の政治遺産」というべき格差と貧困への然るべき対応が、ポスト小泉にとって重 要な政治的課題として浮上したのである。それへの対応を間違えると、安倍や福田と同様に、麻生太郎内 閣も短命のうちに終わる可能性がある点は、決して否定できない。 安倍は、「再チャレンジ」を掲げつつ、歴代の自民党政権が突破できなかった教育基本法を改正し、かつ また「戦後レジーム」からの脱却として憲法改正を政治日程に上げ、ナショナリズムによって政治的統合. c h e a pn e o c o n s e r v a t i s m )J の道を敢然として選んだ。こうした安倍の政治的 を試みる「安価な新保守主義 ( 0 0 7年の参議院において「歴史的大敗」となって国民的審判が下された。ところが、なおも政権に 選択は 2 固執する安倍に対し、国民は IKYJ つまり時代の空気が読めない政治家と論難・榔捕し、安倍内閣の支持 率は急落した。もともと小泉の後継として安倍が自民党内から首班指名されたポイントは、安倍の国民的 人気であり、選挙に勝てる党首として期待されていたからである。しかし、その期待を裏切るかのように、 安倍の政治的源泉というべき国民的人気は凋落の一途をたどり、事実上、安倍の政治生命を断つことに連 動した。 安倍政権の崩壊に伴い、福田内閣は格差と貧困問題に対して正面から取り組まなければならない政治的 ポジションに位置していた。ところが、福田が「安心実現内閣 J を表明したものの、社会保険庁の年金記 録問題や後期高齢者医療問題で手痛い失点を重ねた。歳出削減による「小さな政府」を目指した小泉政権. 0 0 2年度から 2 0 0 6年度までの 5年間において、社会保障関係費を 1~~ 1, 0 0 0億円減額した。福田内閣 は 、 2 0 0 7年度以降 5年間にわたり l兆 1, 0 0 0億円を減額(毎年 2, 2 0 0 においても、これをそのまま受け継ぎ、 2 億円減額)するスキームを実施していた。こうした福祉の縮減の一つが、後期高齢者医療制度であり、こ. 5歳以上の れが大変大きな政治問題となったのである。複雑な後期高齢者医療制度を単純に理解すると、 7 1兆 4, 0 0 0億円のうち、現役世代の負担を減らすため、 7 5歳以上の後期高齢者に対し、その 患者の医療費 1. 0 0 0億円を、後期高齢者医療制度としづ別枠の健康保険によって負担させる 医療費の l割にあたる l兆 1, ことを意味する。年金記録問題が解決されないまま、年金から保険費を天引きし、しかも多くの高齢者の 保険負担費が値上がったため、後期高齢者医療制度に対する不満は極めて高く、「現代の焼捨山制度 j と批 判された。福田は、「道路特定財源から脱却し、『生活者財源』への改革をしていく」と表明し、後期高齢 者医療制度の改善に、道路特定財源の一部を充当するとした。ところが、福田は改善への「道筋は示した J として、 2 0 0 8年 9月、突然首相を辞任した。もし、仮に、道路特定財源の暫定税率分の 2兆 6 , 0 0 4億円の うち約 42%にあたる1.1兆円を後期高齢者医療費として使うとすれば、この問題は完全に解消されるとと. 0 0 8 b ) 福田の発言により後期高齢者医療 もに、後期高齢者の医療費は無料となる計算も成り立つ(新田 2 0. 制度が道路特定財源問題と連動したため、「高齢者の命や健康よりも道路が必要かJと問われていた中、福 田は上記のような抜本的な改革を示すことなく、政治の表舞台から去った。 翻って、歴代の自民党政権は、貧困政治に対し真撃に取り組んで、こなか勺たといえる。それは、「包括政. c a t c h a l l p a r t y )J として発展しきた自民党にとって包摂してこなかった 7ジェンダであった。また、こ 党 ( うした自民党の貧困政治に対する貧しい姿勢は、結局のところ、政権交代を伴わない「一党優位」の下に おいて、重要な政治的争点として取り扱われてこなかった次第である。.
(3) 8 9. 1 9 9 0年代以降、グ、ローバリゼーションの進展により、地球的な規模による厳しい市場競争を勝ち抜くた. めに、国内政治において、新自由主義への政策転換もしくはレジーム転換、また併せて福祉国家の再編(ポ スト福祉国家)が政治課題となった OECD諸国は、おしなべて格差と貧困の問題に冷淡で、あったわけでは s o c i a lex c 1 u s i o n )J なく、況や「最底辺への競争」を放任してきたわけでもない。欧米諸国では、「社会的排除 ( u n d e rc 1a s s )J (米国)という括りにおいて、意識的に、古典的貧困の (EU) もしくは「アンダークラス (. 「再発見」のみならず、新しい貧困を「新発見 J しながら、不断に貧困問題の解決に努力してきた。その 0 0 7 )。したがって、グローバリゼーシ 点は、日本の貧困政治の在りと好対照をなすと指摘される(岩田 2. ヨンへの国内的対応として新自由主義レジームを選択した場合、かつまた「市場競争原理」をあらゆる領 域に広めた場合、とりわけ労働市場において原生的な「市場競争原理 j を採用した場合、「勝者」と「敗者」 への分化および所得格差の拡大、並びに非正規雇用による雇用の不安定化と低所得すなわちワーキングプ アなどの新しい貧困問題は必然的に発生するが、国家の政策的な対応如何によっては、その現れ方が異な 0 0 8 )。日本では、貧困政治に対する等閑視と不作為としづ伝統的な「経路依存性 ( p a t h るわけである(渡辺 2 d e p e n d e n c y ) J が災いし、新しい貧困問題は深刻化した。. それにしても、何故に、わが国の政治の世界は、貧困と正面から向き合わず、その結果、<貧困なる「貧 困政治 J >というべき大変チープな貧困政治を招来させてしまったのであろうか。第 1に、それは自民党 t e r e s tp o l i t i c s ) に起因している。利益政治の根幹は、公共事業の誘致と投票とのパーターと の利益政治(in. いえるが、ホームレスや生活保護受給者、母子世帯のシングル・マザーなどの生活困窮者は選挙の際に票 にならないと看倣されてきた。ホームレスは字義通り自分の住所や連絡先がない故に住民登録は暖昧であ り、そのため投票ができない。生活保護受給者やシング、ル・マザーは、全国に散在し組織化されていない ため、その集票効果は期待できない。こうして、ホームレスや生活保護受給者、シングル・マザーなどの 生活困窮者は、政治の世界から排除されてきた。また、一般的な傾向としても、自助努力を怠る生活困窮 者に対し公的扶助を行う残余主義的な福祉政策に対して有権者は拒絶感をもっといわれる(スピッカー 2 0 0 8 )。. 第 2に、「開発主義 j もしくは「経済主義 J (以下「経済開発主義 J ) に基づくトリクルダウンとしづ政策 アイディアが起因している。要するに、それは経済開発や地域開発により経済や地域が成長することによ って、. r i c k l e d o w n ) すなわち水が上から下へ滴り落ちるように、やがてはホームレスや トリクルダウン(t. 生活保護受給者、シング、ル・マザーなどの困窮状態にある人びとも、かかる経済や開発の,恩恵、を受け、貧 困状態を抜け出せるとするアイディアである。そうすると、政治の世界では、直接、貧困政治に向き合わ ずとも、「経済開発主義」に遁進すれば、それに連動する波及効呆として生活困窮者も救済されると思いこ まれてきた。しかしながら、実際は、 1980年代中期以降、生活保護制度の「適正実施」の名の下に、生活 保護受給資格のある対象者までも、生活保護の対象から外すというキャンベーンが行なわれ、この結果、 生活保護受給対象者は 1980年代半ばの 1 4 0万人代から 1 9 9 0年代前半には 80万人代へ激減した。結局のと ころ、. トリクルダウンの政策アイディアは、経済的なパイが極大化したパブソレ期においですら、行政の選. 別主義によって破綻していたのである。貧困政治がチープな場合、生活保護行政などの「貧困行政J をコ ントロールしえないのである. O. 第 3に、その生活保護行政の「適正化」が起因している。行政は、「生活保護適正化」としづ政策アイデ イアの立場から、おおよそ稼働年齢者 (65歳未満)を生活保護受給者=被保護者として「捕捉」せず、生 活保護の抑制を貫いてきた。また、所謂「水際作戦」の名の下に、生活保護の申請書を交付・受理しない 姿勢を示し続けてきた。杉村宏は、「法律や通達の軽視や無視といった、およそ行政にとっては信じがたい 8 ) と指摘しているが、生活保護行政の現場レベル 状況が生活保護行政で一般化している J (杉村 2008:5.
(4) 9 0. .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN O . 2 3( 2 0 0 9 ) M e m o i r so fT h eS c h o o lo fB. では、憲法 2 5条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活 j の規定はあくまでも「フ。ログラム規定」 に過ぎず、厳しい処遇が冷厳と行われてきた。尚、被保護者として「捕捉率」が低い(推定 15~20%未満). ということは、生活保護受給資格のある対象者もしくは生活保護基準にある低所得の生活困窮者が相当数. 0 0 5 )。これが何を意味するのかというと、生活困窮者が被保護者に「捕 存在することに相違ない(岩田 2 捉」されるためには、よほどの「特別な事情」が必要とされる極度の困窮者に限られるということである。 したがって、生活保護政策や「貧困行政」そして「貧困政治 J のターゲットは、低所得の生活困窮者では なく、極めて例外的な「極貧者」に限定され、選別的・残余的・慈恵的な公的扶助給付が行われてきたの である。このような「生活保護適正化」の政策アイディアのスタンスの下においては、新しい貧困の「発 見」など論外で、あった。 第 4に、国民の聞に「一億総中流意識J という幻想、が蔓延し、その幻想、が現前にある貧困を、見えてい. ) としてきたことが起因している。経済成長によってもたらされた「豊 て見えないもの(r可視的不可視 J. かな社会」では、格差は少なく、食べるものにも困るような低所得による生活苦という古典的な貧困はな くなり、国民の多くが「中流」の「豊かな生活」を享受していると信じてきた。しかしながら、「一億総中 流意識」は実態というよりも一つの願望であり、その願望が災いし、現前にある貧困をも視野から外しつ つ、日本人のほとんど全員が「中流」の「豊かな生活」に向け上昇してし、く過程にあるものとして錯覚し てきた。. 9 8 1 厚生労働省が発表した日本のジニ係数をみると、ジニ係数が最も望ましいパフォーマンスを示した 1 年は、世帯単位の当初所得が 0 . 3 5、再配分所得 0 . 3 1で、あった。その係数を「ジニ係数の目安」で見ると、 rO.3~0 .4 :少し格差があるが、競争の中での向上には好ましい面もある」に位置している。但し、「一億 総中流意識」が本当に額面通りであるならば、 rO.l~0.3 :かなり平等で、あり、差異はほとんどみられない j. に該当してもよさそうである。そうすると、「豊かな社会」である日本社会は、「一億総中流意識」と思わ れているよりは、当初より、多少なりとも「格差社会」だったのであり、「平等社会」であるとは言い切れ. 0 0 5年の、ジニ係数は、世帯単位の当初所得 0 . 5 2 6 3、再配分所得 0 . 3 8 7 3で、あった。 なかったのである。尚、 2 1981 年から、当初所得・再配分所得ともにパフォーマンスが悪化し、再配分所得ですら、. r0 .4 ~.05 :格差. がきっし、」に接近している。こうした実態と願望とのネジレが「一億総中流意識」という幻想を生じ、そ の「一億総中流意識」が反転して現前にある貧困を認識しないか、極めて例外的な光景であると扱ってき たのである。 第 5に、新自由主義改革の弊害として生じた「若者の貧困化」としづ問題は、その当事者である若年貧. 困者が家族(福祉)にパラサイト(寄生)していても、家族が一種のシェルターの役割をしているために、 問題の所在を、大変見えにくいものにしていることが起因している。要するに、家族福祉が若年貧困者を 包摂し、「若者の貧困化」という問題をアジェンダとして姐上させない緩衝機能を果たしたのである。これ に関連して、山田昌弘は、国家が行うべき社会福祉政策を行わず、国家が家族にパラサイトしていると指. 0 0 6 )。 摘している(山田 2 こうして、貧困政治に対する等閑視と不作為としづ経路依存性は確固としていた。. 3 . 新自由主義改革と「日本型福祉国家レジームJの動揺. 次に、小泉構造改革の時代、本格化した新自由主義改革は貧困政治と、どのように関係したのであろう か。結論を先取りして簡潔に言えば、「ホームレス自立支援法 J ( 2 0 0 2年)に見られるように、貧困政治に 若干の動きがあったのは確かである。しかし、新自由主義の弊害である新しい貧困問題、とりわけ非正規 J、 雇用の増加に伴うワーキングプアの問題を等閑視しながら噴出させたといえるであろう。換言すれば、 I.
(5) 9 1. 泉構造改革は、「日本型福祉国家レジーム」の「ひ弱さ」を露呈させるに至り、その結果、ワーキングプア などの新しい貧困問題を深刻化させたといえる。 「恐れず・怯まず・囚われず」や「聖域なき構造改革」などの政治的メッセージを巧みに用いる小泉政 治は、一般に「ワンフレーズ・ポリティクス」と捉えられたが、小泉政権の時代は特に言葉による政治す なわち「言説政治」が注目された。小泉が首相在任中、「格差は悪くなしリと言い切った。「格差は悪くな し、」とし、う政治的メッセージは、格差を容認する発言とも捉えられたが、その時代は、努力する者がそれ なりの報酬や地位を得て報われ、努力の足りない者や努力をしない者が報酬や地位を与えられないのは当 然であり、そうした当たり前のことを否定するのは、むしろ「悪平等 J を押し広めるものと批判された。 また、こうした「格差は悪くなしリ(結果としての不平等)という受け取り方は、「勝ち組」・「負け組J と いう認識枠組みの中にも吸収され、特段問題にされなかった。これが小泉による「言説政治」の席巻が生 んだ、時代の流れで、あった。 その小泉政治は、「アイディアの政治」でもあった。それは、新自由主義/構造改革という政治的アイデ ィア、その政治的アイディアを具体化する郵政民営化や道路公団の民営化、公共事業費削減、規制緩和、 構造特区などの政策アイディア、そしてかかる政治的アイディアと政策アイディアについて国民から支持 を調達するための政治的メッセージもしくは政治的フレーズ、政治的言説がお互いに連環し合い一体とな 0 0 8 a ) そのうち、政治的メッセージや政治的フレーズ、政治的言説 って進められた政治であった(新田 2 0. あるいはまたワンフレーズ・ポリティクスのみに着目すると、これらを総括して「言説政治J として押さ えることができる。中でも、小泉政治は、言説政治が極めて際だった。それ故に、言説政治を駆使し国民 から高い支持を得る政治手法は、校滑なポピュリズム政治ともいえる性格を半面もっていた。但し、小泉 が平然と「痛みに耐える j ・「格差は悪くなし、」としづ政治的メッセージを発するにしても、それは構造改 革の正当性を調達する意図を有していた。 問題は、小泉の発する政治的メッセージに幻惑されながら、貧困政治を後退させ、小泉構造改革の弊害 として深刻化しつつある新しい貧困から目を閉ざしてしまった点である。とりわけ、 2005年の「郵政民営 化選挙」においては、本来、小泉構造改革の「負け組」であるフリーターの多くが、小泉自民党を支持し たといわれている(三浦 2 0 0 7 )。改めて、当時におけるフリ. ターの投票行動を省察すると、既存の状況. や既得権益を「ぶっ壊す」勢いの「コイズミ気分 J (香山 2006) に便乗しつつ、その小泉を支持すること によって、小泉がフリーターの境遇をも変えてくれる救世主になるに違いないという、それこそ何の確証 もない、熱狂的な期待から発した行動と理解できる。 小泉の政治的メッセージに翻弄される中、規制緩和・民営化・歳出削減という各国に共通する新自由主 義改革の 3本柱は、同様に小泉構造改革においても推し進められた。小泉構造改革の「司令塔」に位置付 けられた「経済財政諮問会議Jの下部組織に「総合規制改革会議 J(のちに「規制改革・民間開放推進会議」、 さらに「規制改革会議」に変更)を設け、この両会議が小泉改革の「エンジン」の役割を担った(五十嵐 2 0 0 8 b ) ここで問題にするのは、規制緩和、とりわけ労働規制に対する規制緩和である。それは、労働時 0. 間、労働者派遣事業および職業紹介事業に関する規制緩和として行われたが、このうち最も重要と思われ 0 0 8 )。これにより、労働コストの削減が実現す るのは、労働者派遣事業に関する規制緩和である(柳沢 2. るとともに、非正規雇用という雇用形態の増加を招いた。 若干時間を遡るが、 1 9 9 5 年、日経連が発表した『新時代の「日本的経営 Jj]は極めて重要なドキュメン トであり、経済界の主張が集約されているとともに、実際、今日における非正規雇用の増加を導いたとい える。『新時代の「日本的経営 J j]において、今後の雇用形態は、期間の定めのない雇用契約として i) I 長 期能力蓄積型 J (管理職・総合職・技術部門の基幹職)、有期雇用契約として垣) I 高度専門能力活用型 J ( 企.
(6) 9 2. M e m o i r so fT h eS c h o o lo fB .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN o .2 3( 2 0 0 9 ). 画、営業、研究開発等)および温) 1 雇用柔軟型 J (一般職・技能部門・販売部門)という 3つのタイプが 提唱された。「有期契約」とは、要するに一定の雇用期間のあいだ働く契約社員や派遣社員などのことであ り、こうした雇用形態の増加が、終身雇用に伴う労働コストを大幅に削減するものと期待された。 厳しい国際競争に対応するためには、企業としても経常利益を上げるために労働コスト(人件費)の削 減は至上命題で、あった。山口二郎が指摘するように、新自由主義の時代には、経済界の意見が実現されや. 0 0 7 )、こうした経済界の意思を具体化するために、就業形態の「多様化 I とい すい傾向にあるが(山口 2 う要請も受けつつ、これまでの間接雇用に対する規制が一転し、段階的に労働者派遣法の規制が緩和され、. 1 9 9 9年には「原則自由化」へと進み、さらに小泉政権の時代、製造業の製造現場への派遣が解禁された。 企業にとって、派遣労働者の存在意義はあくまでも労働コストの削減に寄与するところにあるのであって、 それ以上・それ以外の存在意義などない。したがって、将来の企業を担う人材として育成していく意向な ど微塵もない。高度な専門性を求められていない一般の派遣労働者がする業務は、誰にでも出来る補助的 な仕事であり、その意味では、一般の派遣労働者は「周辺労働者」に相当する。一般の派遣労働者=周辺 労働者は、企業の人事政策からすれば、必要な時に必要な人数を確保できればよく、必要のない時は、も ちろん雇用する必要はないのである。. 0 0 8年度の『労働経 労働コストの削減という流れは、非正規雇用者とワーキングプアの増大を招いた。 2 0 0 8年度第一下半期に、「役職を除く雇用者 J 5 , 1 0 8万人のうち、正規雇用者(1正規 済白書』によると、 2 )は3 , 3 7 1万人、非正規雇用者(1パート・派遣・契約社員等 J )は1 , 7 3 7万人となり、こ の職員・従業員 J. 0 0 8 )。非正規雇用 の結果、雇用者全体の 34%が非正規雇用者で占めるという状態になった(厚生労働省 2 0 0円以 者の増加は、雇用と所得の不安定化に連動し、一般に、生活保護基準以下の所得に相当する年収 2 , 0 0 0万人を超えた。国税庁長官官房企画課の『民間給与実態統計調査』によると、 下のワーキングプアが 1. 2 0 0 6年分の 1 1年を通じて勤務した給与所得者 J4, 4 8 5万人のうち、 2 0 0万円以下の給与所得者は 1 , 0 2 2万 2 . 8 %を占める。そのうち、女性をみると、女性の給与所得者 1 , 6 6 1万人中、 人であり、給与所得者全体の 2 2 0 0万円以下の給与所得者は 7 5 9万人であり、女性全体の実に 4 3 . 6 %を占めている。(国税庁長官官房企画 課2 0 0 7 )。 新自由主義は、基本的に、企業活動に対する規制緩和を進め、自由な企業活動が国富をもたらすという 前提に立つが、結局のところ、「勝者総取り ( W i n n e rt a k e sa l l )J を行き着き、反対に多数の「敗者」を生 み出し、「勝者」と「敗者」との聞の経済的格差は拡大した。その「敗者 Jの多くが、ワーキングプアとし て現れたのである。新自由主義の基本的な考え方に立脚すれば、ワーキングプアがワーキングプアである 所以は、その者の能力や意欲に基づくもので、あって、競争に敗れた結果は受け容れなければならず、たと え不安定な雇用と低所得による生活の困窮が強いられたとしても、それは甘受すべき自己責任の範時とさ れる。しかしながら、そのように新自由主義がワーキングプアを捉えるとしても、現実の問題状況として、 ワーキングプアの問題は、不安定な雇用と低所得による生活の困窮という問題にとどまらず、長時間労働、 サービス残業、過労死・過労自殺、若者の貧困化、少子化、非婚化、年長フリーター、人口減少、 DV、児 童虐待、学力低下、教育格差、モラルハザード、自己棄民化、衝動的殺人、および非正規雇用や日雇い派 遣、偽装派遣、名ばかり管理職、ネットカフェ難民、並びに生活保護や母子世帯、ホームレスなどの問題 と構造的に関連し合いながら、いまや新自由主義の弊害としての新しい貧困問題の中心問題となっている のである。少なくとも、それを自己責任に帰しても何一つ解決しない。. 0 0万円以下のワーキングプアが 1 , 0 0 0万人を超え、給与所得者の1/5を占めるに至っ ところで、年収 2 0 0万円以下なのであろうか。 ていることは、今日では広く知られている。それにしても、何故に、年収 2 この点に関連して国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩が興味深い指摘をしている。まず、先にみたよ.
(7) 9 3 うに、女性の給与所得者の中で、年収 2 0 0万円以下という一応ワーキングプアにカテゴライズされる人数. 5 9万人 ( 4 3 . 6 % ) であったが、その中には、基本的には専業主婦ではないものの、おそらく年収 1 0 0 は 7 万円前後のパートで家計を補完している女性が少なからず含まれている。しかも、夫が年収 7 0 0万円程度. 0 0万円前後のパートで家計を補完すれば、世帯としての年収は 8 0 0万円となるので、 を稼ぎ、妻が年収 1 その妻だけを取り出してワーキングプアと看倣すわけにはし、かない。そこで、阿部は、改めて相対的貧困 と併せ世帯という視点から貧困を捉え直す。そうすると、世帯別の相対的貧困基準、すなわち「貧困ライ ン」としての「手取り所得」の年間所得が算出された(尚、「手取り所得」とは、給与等の収入から、税金 や社会保険料を支払い、また年金や児童手当などの支給金額を足したものである)。阿部によると、その算. 6 8歳)の相対的貧困基準は 1 2 7万円 出された数値は、「驚くほど」生活保護基準に近いとしづ。 1人世帯 ( に対し、生活保護基準は地域により物価水準に差がある関係から 84~111 万円である。同様に、 2 人世帯. (母子世帯、母 3 2歳、子 5歳)は、 1 8 0万円;140~181 万円、 4 人世帯(父 35 歳、母 32 歳、子 10 歳、 8 歳)は 2 5 4万円;204~265 万円である(阿部 2008b) 。そうすると、一般に、ワーキングプアのラインを、 生活保護基準以下の所得に相当する年収 2 0 0円以下と捉えていることは決して間違いではないばかりか、 その感覚は現実的である。但し、ワーキングプアは世帯として捉えるべきであるといえる。 尚、労働者派遣法の規制緩和は、労働者の「使い捨て j に拍車を掛け、その極みが短期派遣もしくは「日 雇い派遣J という派遣労働の在り方として現れた。 OECD諸国の福祉国家が経済のグローパリゼーション にさらされ、これまで積み上げてきた福祉制度を解体しつつ、あらゆる生産コストの削減のために、「最底. ar a c et ot h eb o t t o m )J を招来するのではないか、とし、う仮説は確かに否定されている(新川 辺への競争 (. 2 0 0 5 ) しかしながら、福祉国家聞における「最底辺への競争j はともかくとして、日本の中において、労 0. 働コストの削減のために、周辺労働者は「最底辺への競争」へ追いやられているといえる。その究極の形 態が「日雇い派遣 Jである。「最底辺への競争」は、中国やベトナムから入国し、日本の零細企業において、. NHK2007)。 実質上、最低賃金の半額以下で働かされている「研修生J・「技能実習生」を巻き込んでいる ( 労働者の「最底辺への競争J は正規雇用者にも及んで、いる。ファミレスやファーストフード、コンビニに おいて特に顕著な名ばかり管理職の問題がそれである。居長という「名ばかり管理職 j のため、一切の残. 4時間勤務が 2日 ・ 3日連続する、それこそ資本 業手当が支給されないばかりか、耳を疑うかのような、 2 0 0 8 )。また、家族福祉に包 主義の本源的蓄積期においてみられた原生的労使関係が出現している (NHK2 摂されない若年貧困者の中には、建設・土木の日雇いや「日雇い派遣」で得る現金収入で糊口をしのぎな がら、場合によっては完全ホームレスの境遇をも往復しながら「最底辺」で暮らす所謂「ネットカフェ難. ) が約 5 , 40 0人いるという(厚生労働省職業安定局 2 0 0 7 )。 民 Jcr住居喪失不安定就労者 J 一般に、小泉構造改革によって格差と貧困の問題が深刻化したと指摘されるが、正確には、小泉構造改 革によって、もともとの「日本型福祉国家レジーム J の「ひ弱さ」が露呈し、この結果、ワーキングプア などの新しい貧困問題が深刻化したといえる。要するに、日本には、本格的なセーフティ・ネット. ( s a f e t y n e t:安全網)が張られておらず、例えば、ワーキングプアに対する補完的な所得保障としての「給 付付き所得税額控除制度 J のような所得再配分制度が整備されているわけではない。そのため、非正規雇 用者がし、とも簡単に生活保護基準の所得に相当するワーキングプアへ転落してしまうのである。 そもそも、「日本型福祉国家」というレジームは、雇用と所得の安定こそがこのレジームの要諦なのであ る。雇用と所得の安定を基軸としつつ、家族福祉と企業福祉とが連結し、これらが生活保障の重要な機能. d e f e n s el i n e:防御線)Jの役割をしてきた を担い、私的なレベルにおけるいわば「ディフェンス・ライン ( のである。また、農村地域では、公共事業が農家における一種の所得補完機能を担い、日雇いを含めた就 労による所得のみならず、土地収用による補償金を提供してきた。尚、農家への各種補助金とは別に、農.
(8) 9 4. Me m o i r so fThe S c h o o lo fB .O. S . T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN o .23 ( 2009). 家における現金所得の補完について附言すると、やはり自給自足や物々交換も 一定の貢献を果たしてきた といえる 。そうすると 、「日本型福祉国家レジーム」は、私的なデ、イフェンス ・ラインが生活保障を担いつ つ、公的なセーフティ ・ネットによる社会保障が補完するという基本的な構図が浮かび上がる。 「日本型福祉国家レジーム」を図式化すると、図 lのようになる 。見られるように、上段のデ、イフェン ス ・ラインは、基本的に、正規雇用による雇用と所得の安定がその基軸に据えられている。すなわち、正 規雇用の「男性稼ぎ主 ( mal eb r e adwinne r )Jが、終身雇用と安定的な所得を保障された上で家計を維持す る。 これに連結して「専業主婦」が、家事の他に、家族福祉の担い手として育児と介護を担い、家族の生 活を維持する 。 また、企業福祉として、社宅の提供や持ち家の支援が行われ、さらに低い水準の社会保険 を補完するかたちで選別主義的な企業年金が老後の生活を保障する。こうして、上段のディフェンス ・ラ インの上に家族の「豊かな生活」が保障されてきたのである。尚、近年、「日本型福祉国家レジーム Jの標 専業主婦 J が「男女共稼ぎ J へ移行しつつあるが、妻のパート 準的なモデ.ノレとされた「男性稼ぎ主 J + r を含め「男女共稼ぎ Jによる稼得は、最上段のディフェンス ・ラインを確保しようとするものであり、そ の意味では、「男女共稼ぎ Jは一種のリスク ・へッジと いえる。. 図1. 日本型福祉国家レジーム. 男性稼ぎ主+専業主婦/パート <正規雇用労働/企業福祉/家族福祉> <農村地域 : 公共事業/農業補助金/土地収用/自給自足/物々交換> ※セーフティネット : 医療保険/年金/介護保険/児童手当等. │ワーキングプア. II長期失業者. 11. 生活保護. 1 1. 母子家庭. <非正規雇用労働/家族福祉> ※残余主義的セーフティネット : 生活保護/児童扶養手当等 │不完全ホームレス │. │ ネツ問ヱ難民 │. <日雇い労働/簡易宿泊施設 (rドヤ J)、ネットカフェ、マンガ喫茶> 完全ホームレス. 9 9 0年代前半には国民一人 当たり GDPが世界ー を記録し続 ところで、日本は、比較的失業率が低く、 1. けたにもかかわらず、何故に、経済的な富が社会福祉の充実へ向かうことがなく、先進国グ、ノレープの中で、 は相対的に低い社会福祉水準で推移しつつも、「一億層中流」とし、う幻想的な平等意識の中に、人びとはこ の国の生活の在り方に充足してきたの で あ ろ う か。 それは、雇用と所得の安定が生活の持続可能性 ( su s t a i n a b i l i t y)を確保してきたからである。たとえ、社会福祉の水準が低くとも、男性稼ぎ主による高い. 所得が、専業主婦による育児と介護を可能とするばかりか、生活防衛として、疾病や老後への備えとして、.
(9) 9 5. 貯蓄や生命保険に固され、かつまたその貯蓄が子どもの教育費にも充当された。そして、 GDPに対する高 い公共事業費や旧態依然たるジエンター・バイアスも、実は「日本型福祉国家レジーム j と関係しあいな がら一体となっていたのである。 しかし、「日本型福祉国家レジーム」、標準的なモデ、ルから逸脱すると、働き方の多様化が推奨される割 0 0 6 ) それに加え小泉構造改革によりその正規雇用と所得の には、その下支えは不十分である(白波瀬 2 0. 安定を崩したわけであるから、それこそ「日本型福祉国家レジーム J の「本丸 j を「ぶっ壊す」に等しい 作業で、あった。上段のディフェンス・ラインから落ちると、中段のディフェンス・ラインがフォローする ものの、そこでは非正規雇用による不安定な雇用と低所得が基盤に置かれ、ワーキングプアに限りなく近 いか、もしくはワーキングプアそのものとなる。前述したように、ワーキングプア所得は、年収ベースで 見る限り、生活保護基準以下である。つまり、上段のディフェンス・ラインから落ちると、一挙に、生活 保護基準以下まで凋落するかたちとなる。また、中段には、生活保護というセーフティ・ネットが張られ ているが、それは残余主義 ( r e s i d u a l i s m ) に立脚するため、生活保護制度により一応の「健康で文化的な 6 5歳未満) 最低限度の生活」が保障される人びとは、基本的に、働く能力があると看倣される稼働年齢者 (. は適用除外であり、したがって生活保護受給者は例外的存在である。阿部彩が指摘するとおり、「生活保護 のみならず日本の所得移転(税と社会保障)全体を考慮すると、政府による移転の貧困削減効果はきわめ 0 0 8 a )。 て限定された人々に集中している J のである(阿部 2. 「日本型福祉国家レジーム j において、人が生きていくことは、あくまでも、自分で働いて自分で稼ぎ 自分の生活を守ることであり、要するに自己責任なのである。たとえ生活保護基準以下の所得しか稼げな いにしても、契約や派遣、パート・アルバイトなどの非正規雇用によって、最低限の所得を稼ぎつつ、そ れこそワーキングプアとしての家計と生活を維持しなければならないのである。これが「日本型福祉国家 / 3 が貧困ライン以下にあるとされる母 レジーム」の偽らざる姿なのである。それは、先に見たように、 2. 子世帯についても事情は同様で、あり、現に、シングル・マザーの 84.5%が「就業している J状態にあり ( 2 0 0 6 年)、それでいてシングル・マザーの 1年間の「就労収入J は平均で 1 7 1万円 ( 2 0 0 5年)しかない(厚生 労働省雇用均等・児童家庭局 2 0 0 7 )。 さらに、中段のディフェンス・ラインから落ちると、下段のディフェンス・ラインがフォローするもの. ) や「ハンバ j が、最後の生活防衛の砦となる。下段のデ の、それは日雇い労働と簡易宿泊施設(1ドヤ J ィフェンス・ラインには、建設・土木などの日雇い労働による収入とドヤやハンパで暮らす「不完全野宿 m p e r f e c th o m e l e s s )Jや、同様のパターンでネットカフェやマンガ喫茶などで暮らすネットカフェ 生活者(i. 難民などの単身者が依拠している。尚、下段のディフェンス・ラインには、家族福祉による支えはない。 上段のディフェンス・ラインに位置する家族の場合、非正規雇用者やフリーター、無業者などの若年貧 困者がし、ても、家族が住宅もしくは個室、食事や光熱費、その他の生活費の全部もしくは一部を負担して くれる。そのため、家族福祉は若年貧困者を包摂しえた。但し、中段のディフェンス・ラインでの家族福 祉の包摂力は弱く、それは家族がお互いに生活を支え合う「共助」という形態といえる。ところが、下段 のディフェンス・ラインでは、家族そのものがないので、家族福祉の包摂や共助の機能はありえない。 p e r f e c th o m e l e s s )J へ転落 そして、下段のディフェンス・ラインから転げ落ちると、「完全野宿生活者 (. する。 かくして、「日本型福祉国家レジーム j は、働くことにより生活が保障されるわけで、あるから、当初より w o r k f a r 巳:働く福祉)J を基本に据え 「雇用レジーム」と「福祉レジーム j とが連動した「ワークフェア (. たレジームだ、ったといえる(宮本 2 0 0 8 ). 0.
(10) M e m o i r so fT h eS c h o o lo fB .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN o .2 3( 2 0 0 9 ). 9 6. 4 . 新しい貧困をめぐる貧困政治の拾頭. それでは、何故に、新しい貧困をめぐる貧困政治が拾頭してきたのだろうか。それは、小泉構造改革に よって、「日本型福祉国家レジーム」の「ひ弱さ」が露呈し、その結果、ワーキングプアの問題とこれに関 連する問題、すなわち新しい貧困の問題が深刻化したため、重要なアジェンダとして浮上せざるをえなく なったからであるといえる。しかも、小泉政権が退陣するとともに、何か重石がとれたかのように、これ. p o l i t i c a ls t r e a m )J が一変した。 までの貧困政治に対する不作為という経路依存性が弱まり、「政治の流れ ( その流れの変化を摘録してみよう。 第 lに、新しい貧困問題を共有する当事者の連帯した行動、それを支援する NPOのアドボカシー、その. r e c a r i o (不安定な)J と["p r o l e t a r i a t o (プロレ 意味では市民社会が強化されたからである。イタリア語の["p タリアート)J とを合わせた「フ。レカリアート ( p r e c a r i a t o:不安定なフ。ロレタリアート)J たちである派遣 労働者やフリーターそしてホームレス、並びにその支援者が、 2 0 0 7年に「自由と生存のメーデー」を企画 し、「生きさせろ」をスローガンに、「反貧困」のデモ行進をおこなった。社会の底辺において、お互いが 孤立したり反目したりし合う当事者たちが連帯したことの意義は決して少なくない。また、「反貧困のジャ ンヌダルク」というべき作家の雨宮処濠や、反貧困に関する啓発活動を薦める NPO法人「もやしりの湯浅 誠の存在は、市民社会において新しい貧困問題の課題解決を担うサブ・リーダーが登場してきたことを意. 0 0 7、湯浅 2 0 0 8 )。尚、「全国ユニオン」や「東京ユニオン」、「派遣ユニオン j などの新しい 味する(雨宮 2 タイプの組織が設立され、非正規雇用者の労働権を支援する取り組みを行い、一定の影響力を持ち始めて いる。. 第 2に、政権与党自民党内からも相次いで、異論が現れたからである。例えば、かつて YKKとも称され. 0 0 5年 9月の郵政民営化選挙における小泉自民党の大勝 山崎拓とともに小泉の盟友で、あった加藤紘一は、 2 利にもかかわらず、「ー・…企業からは正社員が減って契約社員が増えるほど、労働環境はがらりと変化した。 • ~カネこそすべて』という新自由主義的な振る舞いも広がっている。……日本の将来にとって本当に こうした変化がいいのか悪いのか、まだ誰も確実な答えを出せないでいる。まさにこれこそが小泉首相が. 0 0 5:2 7 2 8 )。その加 掲げた『構造改革』の進行形の姿だ」と漠然たる一抹の不安を吐露していた(加藤 2 藤が、「市場化」が「社会に及ぼす影響がこれほどまでに破壊的なものであるということに私は無自覚でし. 0 0 7 )。また、小泉退陣後、自民党内に結成された た」と内心 世'陀たる思いを込めて自省している(加藤 2 d. 「雇用・生活調査会」において、後藤田正純は、「……健全な労働市場と消費社会がなければ、経済・社会 の安定はなし、。……最低賃金は先進国のなかで米国に次ぐ 2番目に低く、ワーキングプアの問題は深刻だ。 ……財界は、労働市場の一段の流動性が大事で、、規制緩和を継続しろと言っているが、まだ金儲けが必要 なのか。市場万能主義を主張する時期は終わりを告げている」と直裁に指摘している。「一党五派閥 Jとも いわれたことのある自民党は元来一枚岩の政党ではなく、それこそパッチ・ダイナミズムのごとく、様々 な政治思想、ないし政治的アイディアが併存している。「経済財政諮問会議J がとりまとめた「骨太の方針」 に基づきトップダウン的な意思決定を行う「大統領化 ( p r e s i d e n t i a l i z a t i o n )J ( P o g u n t k e 2 0 0 5 ) した首相でも あり、議員の政治生命を左右する選挙の公認権を押さえた自民党総裁でもある小泉純一郎の時代、自民党 内は新自由主義が圧倒したが、今日では、反新自由主義的な政治的アイディアが党内において拍頭して、 そのアイディアに対し「抵抗勢力 J という熔印が押せるような流れではなくなった。. 第 3に、経済界からも新しい貧困問題を直視し、市場原理主義への異論(修正)が提起されたからであ る。例えば、 2008 年 5 月、経済同友会は ~21 世紀の新しい働き方一「ワーク&ライフインテグレーション j. を目指して. 』という提言において、「所得格差そのものよりも、むしろ再チャレンジの機会が乏しいと、. 一度貧困生活の悪循環に陥ると容易に抜け出せず、やがて働く意欲自体さえも失い、日雇い派遣、ネット.
(11) 9 7 カフェ難民、ワークングプアなどと呼ばれる層が固定化し、被差別的低層階級を形成するかのような事態 に至ることが懸念される。/正社員も、雇用や待遇は非正規社員より安定している一方で、長時間労働、 サービス残業、労災、過労死、『心の病』増加等の問題が指摘され続けている」と危機感を鮮明に打ち出し ている。尚、日本経団連は、 ~2007 年版経営労働政策委員会報告(概要)一「イノベーションを切り拓く. 新たな働き方の推進 J-Jlにおいて、「規制改革」について「チャレンジを奨励する政策 j と捉え返しつつ も、「所得格差が固定化する、あるいは必要な教育の機会がすべての人に聞かれていない、一度失敗した者 も機会を逃した者が再び挑戦する機会を得られないということであれば、それは問題とすべきである。格 差の固定化をもたらさないためには、公正な競争、機会の平等を促進し、何度でも再挑戦の機会が与えら れることが重要で、ある I として、規制緩和の適正化を主張しはじめた。. 第 4に、労働界の対応が、 E規雇用者と非正規雇用者との連帯へ、その運動の方向性を変えたからであ 0月、連合は「非正規労働センター」を設立し、その設置目的は、「パート、派遣、契約など る 。 2007年 1. の「非正規 J雇用労働者は、全雇用者の 30%を占めるに至っている。しかも、今日、「非正規」労働は賃 金、労働条件など多くの問題を内包している。このため、連合は、非正規労働の問題点を明らかにし、賃 金・労働条件の底上げ・改善、および非正規労働者のネットワークづくりに取り組み、非正規労働者への 支援、連帯するため」としている。とりわけ、連合は、労働者派遣法の改正を課題としている。. 第 5に、厚生労働官僚が巻き返しに転じたからである。厚生労働省労働政策研究の研修機構が 2007年 8 月に発表した「雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会」の報告書である. F上質な市場社会 Jに向け. て 公正、安定、多様性』は、五十嵐仁によれば、「その後の厚労省の基本的な立場を示すもの」であり、 厚生労働省の政策転換を示すマニフェストといってよい。「競争力の強化、経営の効率化 j と「労働者の職 業生活の安定、自己実現」との調和を図るために、適切に市場メカニズムを活用しつつ、「①公正の確保、 ②安定の確保、③多様性の尊重 I を満たし「上質な市場社会 I を目指すことが「雇用労働政策を策定する 上での基軸となる J と指摘している。こうした政策の基本方針は、確かに新自由主義に対する一定の歯止 めには有効で、ある。但し、多少なりともその理念をブレイク・ダウンした、例えばとして上げられている 「政策の方向性」の例示を見るかぎり、新自由主義的労働政策のマイナー・チェンジといえる程度のもの である。尚、「集団的労働条件決定システムの枠組みの多様化」が指摘されており、それが非正規雇用者や 「反貧困 j の代表者を交えたコーポラテイズムのパージョン・アップにつながる展望を示すものであるか どうか暖昧であるが、今後、注目すべき流れではある。. 第 6に、特筆に値するのは、新しい貧困が目に見えるかたちで現れ、しかも抜き差しならぬ「内生的矛 盾 J として現われたからである。新しい貧困問題は、「グットウィル事件」や「フルキャスト事件」の他に も、名ばかり管理職問題の「マクドナルド事イ牛」、偽装請負の「キヤノン事件」などとして生じたが、「秋 葉原事件」は、その内生的矛盾のうち最も悲惨なかたちで、の発露の一つで、あった。 2008年 6月 8日(日曜 日)の白昼に起きた「秋葉原事件」は、派遣労働者の加害者が「誰でもよかった」として、秋葉原の歩行 者天国において、無差別に 1 7名を襲い、うち 7名を殺裁するという阿鼻叫喚の地獄図を描いた。社会学者 の大津真幸によれば、加害者にとって秋葉原は「世界の中心、世界の瞬」であり、その秋葉原という「世 界の中心で絶対的な悪を犯せば、世界の中心で究極の破壊(否定)を遂行すれば神として無視することは できない。この場合、「神」とは、秋葉原へと集まる、匠名的で多数的な視線である」という(大津 2008: 1 5 0 1 51 ) 大津がいう「匿名的で、多数的な視線j とは加害者の書き込みに反応しないネットの閲覧者であ 0. るが、加害者が犯した「秋葉原事件」はオウム真理教の地下鉄サリン事件以来、ネットの閲覧者のみなら ず、多くの人びとを震捕させるに至った。その「秋葉原事件」が「派遣労働の問題」として受け止められ 0 0 8 )。将来への展望を見出せず深い閉塞感に自分を押し潰している派遣労働者の中に、 たのである(竹信 2.
(12) 9 8. M e m o i r so fT h eS c h o o lo fB .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN o .2 3( 2 0 0 9 ). 派遣先において憲法が禁じている「奴隷的拘束」に等しい非人間的な処遇を受けている実態は、いまや周 知の事実である。非人間的な処遇により欝積したストレスが、自暴自棄を招き、家庭内暴力、自傷行為、 自殺、そして犯罪へと向けられる場合がある。「秋葉原事件」は、その犯罪が極端なかたちで現れたのであ る。「秋葉原事件 J は「派遣労働の問題」が抜き差しならぬ状況であることを示唆した。 第 7に、サブプライム問題に端を発した金融グローパリゼーションの危機は、深刻な「外生的ショック. ( e x o g e n o u s s h o c k ) J となり、新自由主義もしくは市場原理主義への懐疑を強めたからである。中でも、前. FRB (連邦準備制度理事会)議長であり、新自由主義・市場原理主義の「守護神 j と称されたグリーンス パンが、米国下院の公聴会において、サブプライム問題における在任中の責任を問われ、「自由競争主義に 欠陥があった」と認めたことは大きい波紋を生じた。好対照なのは、 2 0 0 8年度のノーベル経済学賞を受賞 し、米国ブッシュ政権を痛烈に批判し続けたポール・クルーグ、マンであった。そのクルーグマンが、アメ リカの格差はブッシュ政権を頂点にした「保守派ムーブメント J によってつくられたものと看倣していた. 0 0 8 ) 02 0 0 9年、そのブッシュにかわり、民主党のバラック・オパマが大統領に就任する (クルーグマン 2 のは政治の流れを変える象徴的な出来事といえる。 かくして、 2 0 0 6年の小泉退陣を契機に、政治の流れを変える幾つもの要因が、この 2年ほどの聞に集中 し、この結果、以前のような貧困政治を等閑視してきた経路依存性の拘束性が弱まり、今日、新しい貧困 をめぐる貧困政治が活性化しだした。但し、注意しなければならないのは、政治の流れが変わったからと いって、適切な政策が立案・実施されるわけではない。そのためには、キングダンのいうところの「政策. p o l i c yw i n d o w s )Jが開き、「政策起業家 ( p o l i c ye n t r e p r e n e u r )Jが然るべき政策を作成・実施し、そ の窓 ( K i n g d o n 2 0 0 3 )0それによって、新しい貧困に向き合う貧困政治の新しい の成果を上げなければならない ( 政治の流れが、それこそ新たな経路依存性をもつのである。. 5 .新自由主義レジームの転換とポスト「日本型福祉国家レジーム」 それでは、新しい貧困問題に向き合う貧困政治が進むべき政策やレジームの方向性をどこに求めるべき なのだろうか。宮本太郎と山口二郎の「ポスト構造改革段階における国民の政策選考に関する調査」によ れば、国民の大半が「北欧のような福祉を重視した社会」を望んで、いるという。周知のように、スウェー デ、ンやデ、ンマークのような北欧の高度な福祉国家を確立したのは社会民主主義政権で、あった。しかし、新 川敏光によれば、わが国における 5 5年体制下においては、「民間における企業主義的労働運動と公共部門 における階級的労働運動が桔抗するこの政治空間では、社会民主主義勢力が台頭するチャンスはほとんど. 0 0 7:2 2 5 ) という。 なかった J (新川 2 ) に、パッチ・ダイナミズムのこどく、新自由 戦後の日本政治は、経済開発主義(1疑似社会民主主義 J. 主義や新保守主義、そして社会民主主義や市民社会主義という政治的アイディアが併存してきた。小泉構 造改革の時代は、そのうち新自由主義が突出し、その政策アイディアを実行に移し、新自由主義レジーム を確立した。小泉は、これまでの自民党の「本流」である経済開発主義の立場に立つ旧橋本派を「抵抗勢 力 J と看倣し、経済開発主義と妥協をはかりつつ、他方で、敵対的なアジア外交に見られるように、ポピ ュリスト的手法を用いてナショナリズムを煽ったがため、新保守主義とも接合していた。また、「小さい政 府 Iを実現するため、「民間に任せられることは民間に」という政治的フレーズの下、行政の事務事業の外 部委託を進め、指定管理者制度などを通じて NPOに「下請け j させることによって、市民社会主義とも接 合していた。しかしながら、小泉時代、社会民主主義は沈滞していた。小泉退陣後、安部・福田両政権が 迷走したものの、社会民主主義への期待が不確かなものであるとすると、わが国の今後の進路は、再び、 建設・土木産業と公共事業を基軸にした経済開発主義へ戻るのであろうか。しかし、事態はそれほど簡単.
(13) 9 9. ではない。 これまで議論してきたように、小泉構造改革によって確立した新自由主義レジームは、「日本型福祉国家 レジーム」の基軸である正規雇用による所得保障および生活保障という方式を破綻させた。しかし、だか らと言って、グローパリゼーションが進展する今日において、正規雇用者を全労働者の 80%台までに戻す ことは容易ではない。また、正規雇用による所得保障および生活保障という方式を修復するということは、 「日本型福祉国家レジーム j を修復するということと同義であるが、わが国はこの選択肢を国家戦略とし て選ぶことが出来るかどうか疑問である。先に見た、厚生労働省の ~I 上質な市場社会」に向けて』におい. てさえ正規雇用率の政策目標を上げていなし、。実は、これまで、失業者やロー・キャリアの若年労働者の多 くを吸収してきたのは建設・土木産業であり、今日、改めて正規雇用者としての就職先を建設・土木産業 に求めるとなると、それは公共事業に依存する「土建国家 ( c o n s t r u c t i o ns t a t e )J の再建に連動する(新日 2 0 0 7 b )。そもそも、「日本型福祉国家レジーム」をマイナー・チェンジするだけでは、ワーキングプアなど. の新しい貧困に十全に対応できないであろう。誤解を恐れずに言えば、「日本型福祉国家レジーム」は、い まや深刻な「適応障害 J に陥っているのである。 そこで、ポスト「日本型福祉国家レジーム」を展望するには、思い切って発想を変えなければならない であろう. O. 例えば、イギリスのように、「給付付き勤労税額控除制度」のようなワークフェアによって、ワ. ーキングプアの所得を補完する所得再配分政策は興味深い。また、 2000年にオランダで導入された労働時 間調整法は、いわば「パートタイム正規雇用者J制度を確立し、これに「同一労働価値同一賃金の原則 J が連動して、<男性が週 4 日>+<女性が週 3日>が標準のいわゆる 1 l .5人モデル」が広がり、ワーク・ ライフ・バランスとワーク・シェアリングを同時に実現したことも興味深い。また、デンマークのように、. g o l d e nt r i a n g l e )J として、 「黄金の三角形 (. i)解雇しやすい柔軟な労働市場、 u) 手厚い失業給付、 u i ). 充実した職業訓練フ。ログラムという 3つトライアングルの角(軸)が連携した積極的労働市場政策は最も 興味深い。要するに、産業構造の転換を進めるために、労働者の解雇を行し、やすくすると同時に、手厚い 失業保険によって生活を保障し、かつまた職業訓練によって、新たな産業に必要とされる知識やスキルを 、 EUは、デンマークの「黄金の三角形」をモデ、ルに、 獲得し、再就職に備えるというわけである。 2005年 加盟各国に、「柔軟性Ct1e x i b i l i t y )J と「保障 ( s e c u r i t y )J とを合体させた造語である「フレキシキュリテ. F l e x i c u r i t y )J としづ積極的労働市場政策の導入を推奨している。そして、近年注目されるのがベーシ ィ ( b a s i ci n c o m e:基礎所得保障)である。それは、国民全員に対し基本的に一律の所得保障 ック・インカム ( を行う所得政策であり、これによってあらゆる新しい貧困問題は基本的に解決される。ここで、ベーシッ ク・インカムの導入に伴い予想される得失について議論する余裕はないが、重要なのは従来の発想、をベー スにしては、新しい貧困問題の解決は難しいということである。パウマンが指摘するように、「労働倫理に 支配される賃労働中心から、人間としての立場や尊厳に基づく基本的権利と基本的保障を前提とすること 2 2 ) ベーシック・インカムは、雇用と所得を切り離 への視点の転換」が必要であろう(パウマン 2008:2 0. して考え直すこと、したがってまた雇用のみが所得を保障するという大前提を捉え直す視点を提供してい る 。 かつて、ガレプレイスが『ゆたかな社会』において、豊かな社会の今後の展望として、労働時間の短縮 をあげた点を想起しておきたい(ガノレブ レイス 1 9 5 8 )。イタリア、「カンパーニア地方の豊かな諸都市」の P. 一つボンベイでは、市民はゴージャスな一戸建ての「邸宅」を構えるとともに、いつものように仕事を午 前中で終えると、昼食をとり、その後の昼寝から覚めれば、各人思い思いに、半円形劇場で演劇を楽しん だり、あるいは円形闘技場で剣闘士の試合に熱狂したり、さらに共同浴場で、ゆっくりとくつろいだら、居 酒屋のカウンターで湯上がりの一杯としてワインにほろ酔いしたという(塩野 1 9 9 9 )。それは 2, 000年以上.
(14) 1 0 0. M e m o i r so fT h eS c h o o lo fB .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t yN o .23 ( 2 0 0 9 ). も前のことである。ヴ、エスピオス火山が噴火する以前、つまり 2, 000年前のボンベイの市民が、今日の日 本のワーキングプアを見たら、一体どう思うだろうか。 そしてやはり、長時間労働から英知は生まれないで、あろう。まず、「グローパル・コンパクト」が禁止す る強制労働サービ、ス残業」や「つきあい残業 Jをなくし、捻出した自由時間において、「思想の自由市 場」を活性化するところからはじめなければならないで、あろう。新しい貧困の向き合う貧困政治は、貧し い自由時間から生まれようもないのである。. 参考文献 o h nW. ( 2 0 0 3 ) Agendas ,A l t e r n a t i v e s ,andP u b l i cP o l i c i e s,Longman. Kingdon,J. ,P e t e r( 2 0 0 4 ) NewS o c i a lR i s k sa n dW e l f a r eS t a t e s MewP a r a d i g mandNewP o l i t i c s ",P e t e r T a y l o r G o o b y 刊. e The T r a n s f o r m αt i o n oft h eEuropean 恥 l f a r eS t a t e ,Oxford T a y l o r G o o b ye d s . New R i s k s,New 恥 抑r U n i v e r s i t yP r e s s, p p . 2 0 9・2 3 8 . a u lWebb ( 2 0 0 5 ) "TheP r e s i d e n t i a l i z a t i o no f P o l i t i c si nD e m o c r a t i cS o c i e t y: AFramework P o g u n t k e,ThomasandP o g u n t k eandP a u lWebbe d s .TheP r e s i d e n t i a l i z a t i o nofPo/ it i c s:ACompαr a t i v eS t u d yof f o rA n a l y s i s ",ThomasP. , O x f o r dU n i v e r s i t yP r e s s, pp. l2 5 . ModernDemocracy 阿部彩 ( 2 0 0 8 a ) ["日本の貧困の実態と貧困政策」、阿部彩・園枝繁樹・鈴木亘・林正義『生活保護の経済分. p . 2 1 5 1o 析』東京大学出版会、 p 阿部彩 ( 2 0 0 8 b ) ~子どもの貧困. 日本の不平等を考える一』岩波新書。. 2 0 0 7 ) ~プリカリアート』洋泉社。 雨宮処凄 ( 五十嵐仁 ( 2 0 0 8 a ) ~労働政策』日本経済評論社。 五十嵐仁 ( 2 0 0 8 b ) ~労働再規制. 反転の構図を読みとく. 』ちくま新書。. ヴェルナ一、ゲッツ ( 2 0 0 7 ) ~ベーシック・インカム一基本所得のある社会へ. 2 0 0 5 ) ["~被保護層』としての貧困 岩田正美 (. 』現代書館。. 『被保護層』は貧困一般を代表するか ?-J、岩田正美・西. j 宰晃彦編『講座・社会福祉・ 9・貧困と社会的排除. 福祉社会を蝕むもの. 』ミネルヴァ書房、 p p . 1 7 1 1 9 4o. 2 0 0 7 ) ~現代の貧困ーワーキングプア/ホームレス/生活保護-Jlちくま新書。 岩田正美 ( 梅田徹 ( 2 0 0 8 ) ["国連グローパル・コンパクトの発展と現状」、江橋崇編『グローパル・コンパクトの新展. p . 2 1 3 5o 開』法政大学出版局、 p NHK ["名ばかり管理職」取材班 ( 2 0 0 8 ) ~名ばかり管理職Jl NHK出版。 2 0 0 8 ) ["世界の中心で神を呼ぶ一秋葉原事件をめぐって一」、大津真幸編『アキノ、パラ発 <00> 大津真幸 ( 年代への問い』岩波書居、 p p . 1 3 4 1 5 5o. 2 0 0 7 ) ~現代日本の生活保障システム』岩波書倍。 大沢真理 ( 門倉貴史 ( 2 0 0 8 ) ~ワーキングプアは自己責任か』大和書房。 加藤紘一 ( 2 0 0 5 ) ~新しき日本のかたち』プレジデント社。 加藤紘一 ( 2 0 0 7 ) ~強し、リベラル』丈轟春秋社。 香山リカ ( 2 0 0 6 ) ~テレビの良一コイズミ現象を読みとく. 』ちくま新書。. ガノレブ レイス、ジョン(19 5 8 ) ~ゆたかな社会』岩波書匝。 F. 川口章 ( 2 0 0 8 ) ~ジェンダー経済格差』勤草書房。 久米郁男 ( 2 0 0 5 ) ~労働政治一戦後政治のなかの労働組合一』中公新書。 クルーグマン、ポール ( 2 0 0 8 ) ~格差はつくられた』早川書房。 経済産業同友会 ( 2 0 0 8 )~21 世紀の新しい働き方一「ワーク&ライフインテグレーション」を目指して一』。.
(15) 1 0 1 厚生労働省 ( 2 0 0 6 ) ~平成 18 年版労働経済白書』国立印刷局。 厚生労働省 ( 2 0 0 7 ) ~ホームレスの実態に関する全国調査報告書』。 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 ( 2 0 0 7 ) ~平成 18 年度全国母子世帯等調査結果報告』。 厚生労働省労働政策研究・研修機構 ( 2 0 0 7 )~I 上質な市場杜会」に向けて一公正、安定、多様性一』。. 2 0 0 7 ) ~住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書』。 厚生労働省職業安定局 ( 厚生労働省 ( 2 0 0 8 ) ~平成 20 年版労働経済白書』日経印刷。 国税庁長官官房企画課 ( 2 0 0 7 ) ~平成 18 年分・民間給与実態統計調査』。 小杉礼子 ( 2 0 0 3 ) ~フリーターという生き方』勤草書房。 塩野七実(19 9 9 ) ~ローマ人の物語 8~ 新潮社。 白波瀬佐和子 ( 2 0 0 6 )I 不平等化日本の中身 る社会の不平等. 世帯とジェンダーに着目して. J、白波瀬佐和子編『変化す. 少子高齢化にひそむ格差一』東京大学出版会。. 新川敏光 ( 2 0 0 5 ) ~日本型福祉レジームの発展と変容』ミネルヴァ書房。 新川敏光 ( 2 0 0 7 )~幻視のなかの社会民主主義. 2 0 0 8 )I 生活保護を問うことの意味 杉村宏 (. 『戦後日本政治と社会民主主義』増補改題. 』法律文化社。. 低所得層と生活保護層一」、貧困研究会編『貧困研究』明石. 書居、第 l号 、 p p . 5 5 6 4o スピッカ一、ポール ( 2 0 0 8 ) ~貧困の概念一理解と応答のために-~生活書院。 関根由紀 ( 2 0 0 7 ) I日本の貧困. 増える働く貧困層. 」、『日本労働研究雑誌』第 5 6 3号 、 p p . 2 0 3 0o. 2 0 0 8 )I なぜ格差問題が政治の争点になったのかJ、上村敏之・田中宏樹編『検証格差拡大社会』 曽根泰教 ( 日本経済新聞社。. 2 0 0 8 ) I~排除』のベルトコンベアとしての派遣労働 J 、大津真幸編『アキハパラ発 竹信三恵子 ( 代への聞い. <00>年. p . 2 2 2 8o 』岩波書届、 p. 2 0 0 8 ) ~闘う政治 長妻昭 (. 手綱を握って馬に乗れ』講談社。. 2 0 0 3 ) ~平成 15 年版国民生活白書』ぎょうせい。 内閣府 ( 中野麻美 ( 2 0 0 6 ) ~労働ダンピング. 雇用の多様化の果てに. 』岩波新書。. 2 0 0 7 a )I グローパリゼーションと新自由主義一一政策/レジーム転換における『新しい政治』 新田和宏 ( の政治的クリーヴッジ. 0号 、 p p . 3 7 ・ 54 。 」、『近畿大学生物理工学部紀要』第 2. 2 0 0 7 b ) ~新しい政治学』地球市民教育総合研究所。 新田和宏 ( 新田和宏 ( 2 0 0 8 a ) I~ 新しい政治』としてのアイディアの政治一政治は何によって決定されるのか?一」、 『近畿大学生物理工学部紀要』第 2 1号 、 p p . 3 3・ 46 。. 2 0 0 8 b )I 新しい政治学と環境政治学一環境政治学方法序説一」、『近畿大学生物理工学部紀要』 新田和宏 ( 2号 、 p p . 8 9 1 1 2o 第2 日本経営者団体連盟 ( 19 9 5 ) ~新時代の「日本的経営 J~。 日本経済団体連合会 ( 2 0 0 6 ) ~2007 年版経営労働政策委員会報告(概要 H。 野中尚人 ( 2 0 0 8 ) ~自民党政治の終わり』ちくま新書。 パウマン、ジクムント ( 2 0 0 8 ) ~新しい貧困一労働。消費主義、ニュープアー』青土社。 ブイツツジェラルド、ジョーン ( 2 0 0 8 ) ~キャリアラダーとは何か. アメリカにおける地域と企業の戦略転. 換-~勤草書房。. 本田由紀 ( 2 0 0 5 ) ~多元化する「能力」と日本社会. ハイパー・メリトクラシー化のなかで. ~. NTT出版。. 三浦展 ( 2 0 0 7 ) ~下流社会第 2 章一なぜ男は女に“負けた"のか一』光文社新書。 宮本太郎・山口二郎 ( 2 0 0 8 ) I日本人はどのような社会経済システムを望んで、いるか」、『世界』第 7 7 6号 、.
(16) 1 0 2. Memoirso fT h eS c h o o lo fB .O .S .T .o fK i n k iU n i v e r s i t y NO.23 ( 2 0 0 9 ). pp. 40 5 0o. 』有斐閣。. 2 0 0 8 ) ~福祉政治一日本の生活保障とデモクラシー 宮本太郎 (. 2 0 0 8 )[ ' 最 近1 0年間における労働法の規制緩和」、国立国会図書館調査及び立法考査局『レファ 柳沢房子 (. レンスj] 2008年 4月号、 p p . 8 7 9 9o 山口二郎 ( 2 0 0 7 ) ~ポスト戦後政治の対抗軸』岩波書庖。 山田久 ( 2 0 0 7 ) ~ワーク・フェア. 雇用劣化・階層社会からの脱却. 2 0 0 7 ) ~少子化日本ーもうひとつの格差のゆくえ 山田昌弘 (. 湯浅誠 ( 2 0 0 8 ) ~反貧困. 「すべり台社会 j からの脱出. 』東洋経済新報社。. 』岩波新書。. 』岩波新書。. 2 0 0 8 ) ['雇用形態の多様化と労働法政策」、『法律時報』第 8 0巻 1 2号 、 pp. 4 ・1 0 。 和田肇 ( 2 0 0 8 ) ['新自由主義と現代日本の貧困 J、メディア総合研究所編『貧困報道』花伝社、 pp. 42 8 3o 渡辺治 (. 英文抄録 P o l i t i c sof“ NewP o v e r t y " :P o s t " R e g i m eofJ a p a nModeledW e l f a r eS t a t e " NITTAK a z u h i r o1. I nt h i sp a p e r ,1c o n s i d e rt ot h e“ p o v e r t yp o l i t i c s "o v e r“ newp o v e r t y "t h a to c c u r r e da st h ei m p a c tofneol i b e r a l i s m r e g i m eandi t sp o l i c yf o rt h ed o m e s t i ca d a p t a t i o no fg l o b a l i z a t i o n .I nJ a p a n, p o v e r t yp o l i t i c sh a sn o tbeent a k e nupa s. “KoizumiR e s t r u c t u r e "e x p o s e dt h eweakp o i n tof“ r e g i m eof ani m p o r t a n ta g e n d af o rt h ep a t hd e p e n d e n c y .And, o v e r t yproblem,e s p e c i a l l y , t h eworkingp o o rwasi n c r e a s e d .But,whenKoizumi J a p a nmodeledw e l f a r es t a t e ",newp neol i b e r a l i s mr e f o r ms t o p p e d ,anda l s op o v e r t yp o l i t i c sg a i n e dp o w e r .T h e r e f o r ep o l i t i c a ls t r e a m c a b i n e tw i t h d r a w s, ラ. , 1amg o i n gt ot r yt h ep r o s p e c t so f t h ep o s t " r e g i m eofJ a p a n e s emodelw e l f a r es t a t e " . p o l i t i c sc h a n g e d .I nt h i sp a p e r 1 .C o u r s eo fS t u d yf o rT e a c h i n gP r o f e s s i o n, K i n k iU n i v e r s i t y , K i n o k a w a, W a k a y a m a649-6493, J a p a n ..
(17)
関連したドキュメント
アメリカとヨーロッパ,とりわけヨーロッパでの見聞に基づいて,福沢は欧米の政治や
第四。政治上の民本主義。自己が自己を統治することは、すべての人の権利である
Thoma, Die juristische Bedeutung der Grundrechtliche Sätze der deutschen Reichsverfussungs im Allgemeinem, in: Nipperdey(Hrsg.), Die Grundrechte und Grundpflichten
はさほど気に留めることはない。②は,制度化が低 水準にあることは政治指導者や政策当局者が意識的
Ⅲ期はいずれも従来の政治体制や経済政策を大きく転
[r]
(ビニールハウス村) において独自の実態調査
供することを任務とすべきであろ㌔そして,ウェイトの選択は,例えば政治