Kobe Shoin Women’s University Repository
Title
公団賃貸住宅における団地再生のあり方について
Author(s)
増永 理彦(MASUNAGA Tadahiko)
Citation
生活科学論叢(Review of Living Science)
,
No.35:21-43
Issue Date
2004
Resource Type
Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
URL
Right
公 団賃 貸住 宅 にお け る団地 再 生 の あ り方 につ い て
増
永
理
彦
工 は じめ に目
次
皿 再 生 メニ ュ ー と建 替 事 業 の 問 題 点 22 1,団 地 再 生 メ ニ ユ ー 2,建 替事業の問題 点 皿 公 団 の 団 地 再 生 事 例 香 里 団 地 1.香 里団 地 の 概 要 と再 生 の 課 題 2.サ ス テ ィナ プ ル な 酬 地 再 生 へ の 転換 23 23 25 V公 団の団地再生 事例 武庫川 団地 27 2呂 31 1.は じ め に 2.武 庫 川 団 地 の 概 要 3.居住 者 か らみ た 主 要 課 題 4.公 団 の対 応 と 白 治 会 活 動 V団 地再生 の方向 とすすめ かた 34 34 35 36 39 1 9 白 再生 の方向 再生のすすめ方 40 40 41公 団賃 貸住 宅 にお け る 団地再 生 の あ り方 につ い て
増
永
理
彦
1は じめ に 第二 次 世 界 大 戦 後 の マ ス ハ ウ ジ ン グ時 代 に建 設 さ れ た 欧 州 の 住 宅 団 地 に お い て は 、 近 年 市 民 の 参 画 の も とに ま ちづ く り と連 動 させ なが ら、 居住 に 限 らず働 き ・学 び あ る い は遊 ぶ と い っ た 多 彩 な 内容 を含 ん だ再 生 事 業 が 各地 で 積 極 的 に進 め られ つ つ あ る 。 こ の動 向 は 、 既 存 の 居 住 空 間 や そ こで営 まれ る暮 ら し を大 事 に して 居 住 者 や市 民 の ニ ー ズ の 変 化 に対 応 し話 し合 い なが ら、 サ ス テ ィナ ブ ル に居 住 空 間 や 社 会 ・経 済 を再 生 して い こ う とい う考 え方 で あ り、 す で に1970年 代 か ら取 り組 まれ て い る 。 一方、 日本 の マ ス ハ ウ ジ ング 期 に大 活躍 し、 都 市 住 宅 や 都 市 開発 の あ り よ う を リ ー ドして きた 都 市 基 盤 整 備 公 団 の 賃 貸 住 宅 団 地 にお い て は ど う か 。1970年 代 後 半 以 降 、 様 々 な事 業 メ ニ ュ ー に よ り団 地 再 生 が 行 わ れ て来 た もの の、 上述 の よ う な意 味 で の 団地 の 再 生 と い う点 か らは彼 我 の 隔 た りが あ り、公 的住 宅 政 策 の 大 後 退 の な か で 来 年 予 定 され て い る独 立 行 政 法 人 化(2004年7月 、 都 市 再 生 機 構 へ 改 編 予 定)を 控 え、 経 済優 先 ・市 場 原 理 主 義 に立 脚 す る現 小 泉 政 権 下 の 「都 市 再 生 」 団 地 版 とい っ た 様 相 を ます ます 呈 しつ つ あ る 。 これ まで に公 団 の 果 た して き た役 割 が 大 き く、 他 に比 肩 す る だ け の 技 術 者 集 団 や マ ンパ ワ ー集 団 が 見 られ な い 日本 の す ま い ・ま ちづ く りフ ィ ー ル ドの なか で 、公 団 に よ る 団 地 再 生 の す す め 方 が 鋭 く問 わ れ 、 同 時 に 、 期 待 され て い る と もい え よ う。 住 都 公 団 の 建 替 事 業 も最 初 の 事 業 着 手(1986年 に 臨 港 第 二(関 西)と 小 杉 御 殿(関 東)着 手) 以 来20年 近 くな る 。 そ ろ そ ろ 、 居 住 と空 間 双 方 の 継 続 性 を断 絶 す る 全 面 建 替 方 式 で は な く、 総 合 的 にか つ 何 よ り も居 住 者 の 要 求 や 意 見 を充 分 に取 り入 れ 、 公 団 が 蓄 積 して き た さ ま ざ ま な リ ノベ ー シ ョ ン(更 新)手 法 も駆 使 しな が らサ ス テ ィナ ブ ル な観 点(居 住 者 の継 続 居 住 と居 住 空 間 の 持 続 性 を重 視 す る 立 場)で の 団 地 再 生1}を展 開 して い く時 期 に来 て い る の で は な か ろ うか 。 そ こで 、 こ の小 論 に お い て は 、 ① 公 団 賃 貸 住 宅 に お け る 団 地 再 生 の 経 緯 、現 状 と問 題 点 の指 摘 ② 香 里 団地 と武 庫 川 団 地2)を取 り上 げ て の 事 例 分 析 ③ 団 地 再 生 の今 後 の あ るべ き方 向 の 提 案 の3点 に つ い て 考 え て み た い と思 う。Ⅱ 再 生 メ ニ ュ ー と建 替 事 業 の 問 題 点 1.団 地 再 生 メ ニ ュ ー 公 団 関 西 支 社 管 内 に お け る賃 貸 住 宅 は 、 主 要 に は 大 阪 市 ・京 都 市 ・神 戸 市 とそ れ らの 周 辺 に 立 地 し、 団 地 数 は お お よ そ430、 管 理 住 宅 戸 数215千 戸(全 国 で は 約750千 戸 、居 住 者2,000千 人)、 そ して 、居 住 者 も50万 人(ほ ぼ 東 大 阪市 の 人 口)を 越 えて い る 。 こ の彪 大 な住 宅 ス トッ ク に対 す る 団 地 再 生 事 業 の メ ニ ュ ー と して 主 要 に は住 戸 ・住 棟 関 連 と屋 外 関 連 の改 善 事 業 、 そ して 建 替 事 業 の3つ に よ り取 り組 ま れ て き た 。 また 、1980年 ご ろ に、 団 地 再 生 の基 本 方 針 と して 、 昭 和30年 代 管 理 開 始 団地(中 低 層)は 建 替 、40年 代 以 降 の 団 地 は 住 戸 の 増 改 築 や 大 型 化 、 ま た 、40年 代 団 地 で は居 住 者 の 要 望 に よ り住 戸 内 設 備 の グ レー ドア ッ プ を 図 る、 と定 め られ事 業 化 さ れ て きた 。 そ れ らの事 業 を まず 紹 介 しよ う(こ の 項 で の戸 数 等 は 関西 支 社 管 内 か つ2000年 時 点)。 (1)住 戸 ・住 棟 の改 善 1)増 築 ① テ ラ ス増 築(1977年 ∼1980年) 2Kや2DKと い っ た 小 規 模 の テ ラ ス住 戸 面 積 は狭 い が 専 用 庭 を もち 、 屋 外 に対 して 開 放 的 で 定 住 性 も高 い 。子 ど もが 生 まれ 成 長 す る こ と に よ りあ る い は 家 電 ・家 具 等 の 普 及 に伴 い 、 住 戸 が 手 狭 に な っ て増 室 要 求 が 出 て き て 、居 住 者 が勝 手 に増 築 す る ケ ー ス が 増 え て きた 。 こ の よ うな こ とか ら公 団 に よ る事 業 と して の1室 増 築 が 始 ま っ た 。 が 、 建 替 構 想 が 浮 上 す る な か 、 テ ラ ス 住 宅 は低 密 度 な土 地 利 用 で あ る だ け に建 替 事 業 の対 象 に もな りや す く、 テ ラ ス 増 築 は140戸 程 度 の 実 績 で 終 わ り建 替 に シ フ トして い っ た。 ② 中層 住 宅 の1室 増 築(1984年 ∼1993年) テ ラ ス増 築 と 同 じ よ う な理 由 に よ り、 中 層 住 宅 住 戸 のDKや 居 間側 の バ ル コニ ー外 側 に1 ∼4(5)階 分 、縦一列 に1室 増築 す る ものであ る。住宅 需要圧 の高 い従 って家賃 の増額 に も耐 え られ る千 里NT内 外 の 中層 住 宅 を 中心 に800戸 分 ほ ど実 施 され た も の の 、 こ れ も建 替 事 業 の 展 開 で 終 わ りを告 げ(1993年 に 一 事 例 あ る が 、 他 は1987年 終 了)、 近 年 は実 施 され て い な いo 2)「2戸1改 造 」(1982年 ∼1994年) 募 集 は した もの 、 い わ ゆ る 「高 遠 狭 」 問題 で 空 き家 が 大 量 に 発 生 した郊 外 団 地 を 中心 に、 む しろ 、 空 き家 解 消 の視 点 で 取 り組 まれ た事 業 で あ る(900戸 程 度)。 隣接 あ る い は 上 下2戸 の住
戸 間戸 境 壁(ま た は床 ス ラ ブ)に 開 口 部 を 開 け る か ま た はバ ル コニ ー で つ な げ る(隣 接 住 戸 の 場 合)な どに よ り、2住 戸 を1住 戸 に して 大 型 化 す る も の で あ る 。"三 重 苦"の う ち 「狭 」 の 問題 は 解 消 され た もの の 、 他 の住 戸 に は 居 住 者 が 生 活 して い る とい う"居 つ き"住 宅 で の 改 造 工 事 で もあ り様 々 な トラ ブ ル が発 生 した 。 こ の事 業 は結 構 長 期 間継 続 され た が 、 動 機 で あ っ た 空 家 問題 が 一 定 解 消 され る と終 わ りを告 げ た。 3)住 戸 内 設 備 の改 善(1987∼) 給 湯 設 備 、 キ チ ン シス テ ム 、 浴 室 ・便 所 ・洗 面 、電 気 通信 設 備 な どの 住 戸 内 設 備 の 進 展 は め ま ぐる し くかつ 早 い 。 居 住 者 は 生 活 が 便 利 で か つ 快 適 に 送 れ る の な ら、 少 々 家 賃 が 上 が っ て も 納 得 で き、 設 備 更 新 につ い て 多 くの 居 住 者 か ら期 待 さ れ た 。 こ の よ う な こ とか ら比 較 的 トラ ブ ル が な く進 ん で お り、現 在 も既存 団 地 で順 次進 行 中 で 、 昭 和40年 代 以 降 管 理 開 始 住 宅 を対 象 に これ まで に51千 戸 以 上 実 施 され て い る。 公 団 内 部 で は"ラ イ フ ア ッ プ事 業"と 呼 称 さ れ る 事 業 で あ る。 4)リ ニ ュ ー ア ル ① 公 団独 自の 施 策(1999∼) 一 室 増 築 や 二 戸 一 改 造 は、 家 族 人数 の 増 加 や 子 ど も の 成長 に よ る個 室 数 拡 大 の 要 求 に応 え た 改 善 で あ っ たが 、次 第 に家 族 規 模 が 縮 小 しつ つ あ り必 ず し も面 積 規 模 は大 き くな くて も よ い 。 こ の よ う な家 族 の 変 容 下 に お い て は 、一 住 戸 全 体 の面 積 規 模 は 変 えず に 、 住 戸 内 間取 の 変 更 や 設 備 の 更 新 が 要 望 され る よ う に な る 。 この よ うな 需 要 動 向 の 変 化 に対 応 した の が リニ ュ ー ア ル事 業 で あ る とい え よ う。 需 要 圧 が 高 い と思 わ れ る 団地 の 空 き家 住 戸 に お い て、DK のLDK化 、 二 部 屋 を一 部 屋 に拡 大 す る 、和 室 を洋 室 に変 え る 、 設 備 を最 新 の もの に取 り入 れ る とい っ た改 善 内 容 を持 っ た事 業 で あ る(3,400戸 程)。 家 賃 の 増 額 は あ る が 、好 評 の よ う で あ る 。 ② 高 齢 者 向 け優 良 賃 貸 住 宅 制 度(1999∼) 「① 公 団 独 自 の 施 策 」 と改 善 内 容 は類 似 して い る が 、 国 か らの 建 設 費 と家 賃 の 補 助 が 得 ら れ る事 業 で 供 給 対 象 は高 齢 者 で あ る こ とが 公 団独 自の リ ニ ュ ー ア ル と異 な っ て い る 。 当 制 度 は2001年 施 行 の 「高齢 者 の居 住 の 安 定 確 保 に 関す る 法 律 」 に よ っ て実 施 され て い る(実 績 は 500戸 程 度)。 5)ト ー タ ル リ ニ ュ ー ア ル 事 業(2001∼) 公 営 住 宅 で は す で に 実 施 さ れ た"ス ー パ ー リ フ ォ ー ム 事 業"に 類 似 した 、 一 棟 全 て を リ ニ ュ ー ア ル す る 事 業 で あ り、 事 業 を 担 当 す る 組 織 も 立 ち 上 が っ て い る が 進 展 が 見 ら れ て い な い 。
(2)屋 外 空 間 の改 善 団地 屋 外 にお い て は 、 日常 的 に必 要 に応 じて改 善 され て い るが 、 注 目す べ き事 業 と して 総 合 的 団 地 環 境 整 備(総 合 団 環1983∼)が あ る。 屋 外 空 間 改 善 上 の課 題 とい え ば 、駐 車 場 整 備 、 通 路 の バ リア フ リ ー化 、 下 水 な どの供 給 処 理 関連 の 整 備 、 既 存 植 栽 の 整 備 ・再 利 用 、 遊 具 の 更 新 ・新 設 、 集 会所 の 整 備 とい った とこ ろ で あ る が 、 こ れ ら を総 合 的 、 重 点 的 か つ 計 画 的 に行 う事 業 で あ る 。 昭 和30、40年 代 管理 開 始 の 中規 模 団 地 を 中心 に50∼60団 地 実 施 さ れ て い る 。 (3)建 替 事 業 既 存 住 宅 を 除 脚 し新 規 に 住 宅 を建 設 ・供 給 す る建 替 事 業 は1985年 に ス ター トした 。 新 規 住 宅 建 設 戸 数 が 減 少 して い く中 で 住 宅 建 設 部 門 事 業 の 中 で も主 要 な柱 の ひ とつ に な っ て い る 。 これ ま で に昭 和30年 代 に管 理 開始 され た 団地 を 対 象 に順 次 毎 年 平 均2,000戸 程 度 の 建 替 事 業 が 着 手 され 、累 計 で は約40団 地25千 戸 にの ぼ っ て い る 。 公 団 で 団 地 再 生 が ス ター トして か ら今 日ま で の25年 ほ どの 経 過 を振 り返 る と、 工 事 規 模 が 大 き く効 率 よ く事 業 の 出来 る こ の建 替 事 業 が 再 生 諸 事 業 に お い て 最 重 要 視 さ れ て い る(建 替 事 業 の 問 題 点 に つ い て は次 項 で 詳 述)。 以 上 の よ うに 、公 団 は多 様 な メ ニ ュ ー に よ る改 善 事 業 の 実 績 を持 っ て い る。 しか し、 現 在 で は 建 替 を 中 心 に して 、 住 戸 ・住 棟 関 連 で は住 戸 内 の公 団独 自 の あ る い は高 優賃 制 度 を利 用 し た リニ ュ ・一ア ル とラ イ フ ア ップ 、 そ して 、 屋 外 に お け る総 合 的 団 地 環 境 整 備 、 に整 理 され て い る こ とが 判 る 。 ま た、 事 業 メニ ュ ー も居 住 者 の 要 求 に一 定 応 え なが ら実 施 さ れ て い る が 、 今 後 は 入 居 者 の 家 族 が 変 容 し生 活 や 要 求 も多 様 化 して い くで あ ろ うか ら 、 柔軟 に対 応 し なが ら メニ ュ ー も増 や し て い くこ とが 求 め ら れ よ う。 2.建 替 事 業 の 問 題 点 居 住 者 の 生 活 面 か ら約20年 間 にわ た る建 替 事 業 を概 観 す る と、 各 団 地 共 通 して 、 建 替 後 の 住 戸 につ い て は面 積 規 模 増 大 と内装 や 設 備 の 一 新 そ して バ リ ア フ リー 化 、 高 層 住 棟 に お け る エ レベ ー ター 設 置 、 屋 外 で の 駐 車 場 の 整備 、 通 路 等 の バ リア リー 化 な ど居 住 水 準 向 上 の面 で 積 極 的 意 義 も あ る。 しか しな が ら、 以 下 に述 べ る よ うな 多 くの 問題 点 を抱 えて い る こ と も事 実 で あ る 。 (1)事 業 計 画 に 関 して ① 戻 り入 居 者 の み の計 画
近 年 は 、 戻 り入 居 者 の み を対 象 と した住 宅 供 給 計 画 で あ り、 若 い 層 の 入居 が 期 待 で き な い の で 、建 替 後 の 居 住 者 が 減 少 しか つ 高 齢 者 が 相 対 的 に 増 加 す る 傾 向 に あ り、 コ ミュ ニ テ ィ形 成 上 問題 で あ る。 ② 残 余 地 の 民 間卸 ① と関連 して 、 建 替 え前 の 中層 住 宅 が 高 層 化 し残 余 地 が 大 幅 に で る。 公 団 の 方 針 は、 まず 公 共 へ の 譲渡 ・貸 与 が 優 先 で は あ る が 、 各 自 治体 は財 政 難 等 で 受 け入 れ 困難 で あ り勢 い 住 宅 関 連 の民 間事 業 者 な どへ 分 譲 す る こ とに な る。 民 間事 業 と な る と、 そ の 用 地 に 関 して は 経 済 性 や事 業 経 営 が 第 一 優 先 され 、公 団 で 団地 全 体 の 空 間計 画 が 策 定 され て い た と して も、 そ れ か ら逸 脱 して勝 手 な住 棟 計 画 ・配 置 計 画 とな る 可 能 性 が 高 い 。 ③ 家 賃 の上 昇 傾 斜 な どの 特 別 減 額 に よ り家 賃 上 昇 の 緩 和 は あ るが 、 低 所 得 者 ・年 金 生 活 者 は な ど耐 え切 れ ず に戻 り入 居 で きな い 人 もい る 。結 果 と して 、 継 続 居 住 を不 可 能 に し、 コ ミュ ニ テ ィ を 断絶 す る こ とに な って しま う。 ④ ま ちづ く りの 視 点 希 薄 2004年7月 の 公 団 改 編 に よ り直 接 供 給 は や め て 民 間住 宅供 給 の支 援 を行 い 、 都 市 再 開 発 や 都 市 再 生 の方 向 に公 団全 体 の 事 業 が シ フ トす る こ と を視 野 に 入 れ 、建 替 事 業 関 連 の公 団 資 料 で も、 「まち づ く り」 や 「団 地 再 生 」 とい う言 葉 が よ く使 わ れ る よ う に な っ て きた が 、 い ま の と こ ろ まだ 団地 内 で の 議 論 が 主 で こ れ ま で の 建 替 事 業 の 域 を 出 て い な い 。 ま だ 、 「団 地 か ら ま ちづ く り」 は ス ロ ー ガ ン的 で 内 実 が 伴 っ て い ない 。 ⑤ サ ス テ イナ ビ リ テ イの考 え方 の 欠 如 公 団 の現 団 地 再 生 は コ ミ ュニ テ ィ、 居 住 空 間 、 居 住 者 の 生 活 や暮 ら しあ る い は そ れ らの マ ネ ー ジ メ ン ト何 れ を とっ て も、 過 去 ・現 在 そ して 将 来 へ 向 け て の サ ス テ ィナ ビ リテ ィ の考 え方 や 視 点 が 見 られ ず 、 マ ス ハ ウ ジ ング 時代 の 団地 建 設 あ る い は住 宅 供 給 の 呪縛 か ら脱 し切 れ て い な いo (2)居 住 者 参 加 居 住 者 や 市 民 あ る い は専 門 家 の参 加 の 点 で み る と ど う か 。 大 規 模 団 地 で は 団 地 居 住 者 の参 加 に よる ワ ー ク シ ョ ップ な ど も行 われ 団地 を改 め て考 え る い い 機 会 とな っ て お り、 屋 外 計 画 に つ い て は 、 居 住 差 の意 向 を取 り入 れ て 、 環 境 資 産 の継 承 と して思 い 出 の樹 木 な ど を残 す こ と は一 般 化 し て い る。 しか しな が ら建 替 の 全 体 計 画 や 重 要 な住 戸 や 住 棟 計 画 に つ い て は 、 公 団 固 有 マ ター で あ る こ と に は変 わ りが な く、結 果 的 に次 項 の よ うな 居 住 空 間 を現 出 させ て い る 。 (3)空 間 計 画
① 住 戸 ・住 棟 建 替 後 の 団地 を い くつ か 見 て い くとす ぐ気 付 くこ と で あ る が 、 住 棟 につ い て は ほ と ん ど全 て が 高 層 化 しア ク セ ス は 片 廊 下 形 式 で個 性 が な い(外 観 デ ザ イ ンの 工 夫 は見 られ て も)。 これ は 、 経 営 的 理 由か ら高 層 化 せ ざ る を得 ず 、 ま た 、 エ レベ ー タ ー の効 率 性 か ら必 然 的 に片 廊 下 に な っ て い る。 ま た 、 これ も主 要 に は経 営 的 な理 由 か らで あ るが 住 戸 平 面 はFS(フ ロ ンテ ー ジ セ イ ビ ング 。 間 口 の狭 い う な ぎの寝 床 の よ う な住 戸 平 面)型 ば か りの 計 画 に な って い て 、 平 面 が 固 定 され 選 択 の 幅 が 狭 い 。 こ れ で は ます ます 多 様 に な っ て きて い る家 族 型 、 ラ イ フ ス タ イ ル あ る い は住 要 求 に応 え きれ ない 。 ② 屋 外 計 画 高 層 高 密 空 間 に な り、 高 層 高 密 化 に よ る 団 地 の 圧 迫 感 や か つ て の 自然 環 境 に優 れ ゆ っ た り し た空 間 は な くな り、 機 械 式 駐 車場 が 増 え る な ど、 ゆ と りの な い 人 工 的 な屋 外 空 間 に な っ て い る 。 駐 車 場(平 面 式 、機 械 式 、 自走 式 立 体)が 大 幅 に増 加 す る こ とか ら屋 外 空 間 は建 替 前 に比 しゆ と りが な くな り、長 年 にわ た っ て 形 成 され て き た 良好 な 自然 的 環 境 が 貧 困 化 して い る。 結 果 的 に 、植 栽 な ど一 部 は 継 承 さ れ る が 子 ど もの 遊 び 場 や 花 や 野 菜 を育 て た りす る スペ ー ス が な くな っ た り して い る。 (4)コ ミュニ テ ィ形 成 高 齢 者 に と っ て は 、 建 替 前 の 中低 層 住 宅 居 住 時 代 に築 か れ た 近 隣 関 係 の 断 絶 とい う"い や な こ と"と 新 た な 構 築 とい う"わ ず らわ しさ"、 とい う ダ ブ ル パ ンチ に み ま わ れ 大 きな 問 題 で あ る。 新 規 供 給 が ない と、 若年 層 が 居 住 し な くな りい び つ な居 住 者 構 成 と な り コ ミュニ テ ィ形 成 上 問 題 で あ る。 残 余 地 は民 間 が 開 発 し、分 譲 マ ンシ ョ ンや 戸 建 も供 給 さ れ る こ と も多 い の で 心 配 不 要 とい う話 もあ るが 、 果 た して ど うか 。 こ れ まで の よ う な 中低 層 住 宅 で の 開放 的 な人 間 関 係 の形 成 は高 層 化 す る こ と に よ り一 層 難 し く な る の で は なか ろ うか 。 ま た 、 高 層 住 棟 に エ レベ ー ター は設 置 は され る もの の 、 建 替 後 外 出 や付 き合 い が 減 っ た とい う 戻 り入 居 者 の 嘆 き声 も多 い3)。
皿
公団の団地再生事例
香里団地
香 里 団 地 は大 規 模 中 層 団 地 の 典 型 的事 例 で あ り、 空 間計 画 あ る い は 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ形 成 面 で 先 進 性 を持 って お り4}、今 後 の 団 地 再 生 に お い て 継 承 あ る い は 発 展 させ るべ き で あ る と考 え る 。 そ こ で 、 これ らに 関 して 、 ① 団 地 の空 間 上 の 特 徴 お よ び建 替 の 現 状 ・再 生 課 題 、 ② サ ス テ ィナ ブ ル な 団地 再 生 の必 要性 とそ の あ り方 、 の2点 に つ い て 述 べ た い 。1.香 里 団地 の概 要 と再 生 の課 題 (1)団 地 の 概 要 香 里 団 地 は 、大 阪府 枚 方 市 の西 南 部 寝 屋 川 市 と接 す る丘 陵 地 に あ り、 京 都 や 大 阪 へ の ア クセ ス も良 い 。 全 体 の 開発 面 積 は155haで あ り、 当 初 の計 画 人 口22,000人 、計 画 戸 数5,850戸 、 そ して 生 活 関連 施 設 な どが 充 実 し"東 洋 一 の ニ ュー タ ウ ン"と い わ れ た 大 規 模 団 地 で あ る。 当 団 地 は 公 団 施 行 土 地 区 画 整 理 事 業 に よ り1955年 に 着 手 され 、1962年 に換 地 処 分 が 終 了 して い る 。 最 初 の 入 居 は1958年11月 、B地 区 か ら始 ま り、1968年 に住 宅 の 新 規 供 給 が 終 っ た 。 ほ ぼ10年 間 で 入 居 が 完 了 した こ とに な る。1994年3月 に建 替事 業 が 着 手 さ れ た が 、そ の 時 点 で 賃 貸 住 宅4,881戸 を 含 み6,724 戸 の 住 宅(分 譲 マ ン シ ョ ン、 宅 地 分 譲 、社 宅 含 む)が 供 給 され 、 人 口19,500人(内 、賃 貸 住 宅 に は 、13,100人)が 居 住 して い た5)。 以 下 、 団地 空 間 の 特 徴 点 を述 べ た い。 1)豊 か な イ ン フ ラ 団 地 の 敷 地 全 体 は 緩 や か丘 陵 地 で あ る が 、 東 西 の谷 と南 北 の 尾 根 に 沿 っ てT字 型 の 幹 線 街 路 が 通 りそ れ らが 京 阪 の 最 寄 駅 で あ る枚 方 市 、 枚 方 公 園 、 香 里 園 と交 野 市 の 方 に 延 び る計 画 で あ る。 各所 に 自然 を そ の ま ま残 した(あ る い は 自然 と化 した)緑 豊 な公 園 が17箇 所 点 在 して い る 。 こ の街 路 網 と公 園群 そ して上 下水 道 、 水 路 、 広 場 、 そ の 他 を 含 め 当 初 計 画 さ れ た 豊 か な 基 幹 イ ン フ ラ は 今 後 と も団 地 再 生 を進 め る 上 で 重 要 な役 割 を果 たす で あ ろ う。 2)多 様 な 中 低 層 賃 貸 住 宅 ネ ッ トの 宅 地 部 分 は低 層 テ ラ ス ハ ウス と中層 住 棟(板 状 住 棟 中心 に ボ ッ クス 型 あ る い はス タ ー 型 も一 部 採 用)を 配 置 し容 積 率 も低 くゆ っ た り して お り 、 屋 外 空 間 は 時 間 が 経 つ ほ ど緑 が 成 長 し周 辺 の公 園 な ど の緑 と一 体 に な り奥 行 きの あ る 自然 環 境 を形 成 して い る 。 住 戸 は2DKを 中心 に1∼2寝 室 型 住 戸 が ほ と ん どで あ り、世 帯 人 員 との 関 連 で は狭 さが 大 きな 問 題 で あ っ た が 、 近 年 の小 家族 化 の傾 向 の なか で は 、 特 に単 身 者 に は住 み こ なせ な い住 戸 規 模 で もな い 。 ま た 、 当 時 と して は 考 え られ な い 規 模 の テ ラ スハ ウス ・4DKの 供 給 も試 行 的 にお こ な わ れ て い る(C地 区)。 3)先 進 的 な生 活 関連 施 設 団 地 全 体 の 地 区 セ ン タ ー(B地 区 の 一 部)に は 、 商 業 施 設(ピ ー コ ッ ク と各 種 専 門 店 ・飲 食 店 な ど)と 公 益 施 設(郵 便 局 、市 の 出張 所 、 派 出所 、 診 療 所 な ど)が 配 置 さ れ て い るが 、 特 に ピ ー コ ック は 日本 で最 初 に オ ー プ ン した ス ー パ ー マ ー ケ ッ トと して知 られ て い る。 ま た 、後述
す る よ う な 自治 会 や 居 住 者 の居 住 環 境 改 善 運 動 の なか で 先 駆 的 な 病 児 保 育 所 あ る い は特 別 養 護 老 人 ホ ー ム も設 置 され た(両 方 と も1969年)。 ② 建 替 事 業 の 現状 公 団 は1993年 に香 里 団地 の"再 生 グ ラ ン ドプ ラ ン"6;を制 定 し、 建 替 え事 業 の 準 備 に 取 り掛 か っ た 。 さ ら に は 、香 里 団 地 は規 模 が 大 き く事 業 に時 間 が か か る(20年 以 上)こ と もあ り、 団 地 全 体 の 景 観 形 成 の 基 本 コ ンセ プ トを定 め る(1995)71な ど長 期 的 な視 野 の も と に計 画 さ れ 実 施 され た。 建 替 事 業 の着 手 は 上 述 の よ うに1993年 度 末 で あ り、 ま ずA地 区 か らお こ な わ れ 、 現 在A,B地 区 の戻 り用 公 団 賃 貸 住 宅 供 給 が 終 わ り、C地 区 にお い て も2002年3月 に事 業 が 着 手 さ れ て い る 。 したが って 、C地 区 も2006年 ご ろ に は完 成 ・入居 が 予 定 され 、A、B、C3地 区 の戻 り入居 者 向 け賃 貸 住 宅 建 替 え事 業 につ い て は13年 間 ほ どで終 了 とい う こ と に な る。 と こ ろが 、残 りのD、E 地 区 に つ い て は、 建 替 事 業 を進 め る予 定 で空 家 補 充 停 止 状 態(1993年8月 ∼2000年12月)に あ っ たが 、 そ れ が 解 除 され 空 家 募 集 が 再 開 され て い る 。 つ ま り、 現 在 両 地 区 の建 替 え事 業 は ス ト ップ した状 態 に あ り(公 団 は少 な く と も今 後(2000年12月 以 降)ユ0年 間 は 建 替 着 手 しな い方 針 〉、 団 地 再 生 の 具 体 化 を考 え る時 間的 余 裕 が で て きた 状 況 に あ る。 地 区別 に よ り詳 し くみ る と、 ①A地 区 は94年2月 着 手 さ れ 、す で に戻 り用 の 賃 貸 住 宅供 給 は終 わ り、全 国 の建 替 え 団地 と し て 始 め て残 地 を一 部 民 間 に売 却 され 、 現 在 そ こで 高 層 分 譲 マ ン シ ョ ンが 供 給 さ れ 入 居 が 進 ん で い る 。 しか し残 地 は ま だ他 に もあ り、 売 却 先 は 決 ま らず 難 航 して い る 。 ②B地 区 もす で に戻 り用 の 賃 貸 住 宅 供 給 は 終 わ り、 残 地 の 一 部 は す で に 民 間 業 者 に売 却 され 、 分 譲 戸 建 住 宅 供 給 の た め に用 地 の造 成 が 行 わ れ て お り、 他 の 残 地 で は高 齢 者 向 け の 複 合 福 祉 施 設 の 計 画 が 進 行 中で もあ る。 ま た一 方 、 当 地 区 で は 、 戻 り入 居 者 用 以 外 の 新 規 公 団賃 貸 住 宅 の 供 給 も進 め られ て い る 。 現 在 公 団 賃 貸 住 宅 供 給 に つ い て は、 都 心 か ら の鉄 道 駅 周 辺 に お い て徒 歩 圏 で 需 要 が 見 込 め か つ 経 営 上 も問 題 が な い エ リ ア で な け れ ば な ら ない と い う制 約 条 件 が あ る こ とか らす れ ば 、 二 次 交 通 と して バ ス が 不 可 欠 な香 里 団 地 で の新 規 供 給 は異 例 で あ る。 け や き東 街 自治 会 な ど居 住 者 の粘 り強 い運 動 も大 きな原 動 力 に な って 実 現 した の で は な か ろ うか 。 ま た 、先 述 の よ う に商 業 施 設 等 の セ ン タ ー が 当 地 区 に立 地 して い るが、 そ の 建 替 計 画 も進 行 中 で あ る。 ③C地 区 も2004年3月 が 先 工 区居 住 者 の移 転 期 限 で あ る こ とか ら、2006年 ご ろ に は戻 り入 居 者 用 住 宅 の 供 給 が 始 ま る こ と に な る 。 ④D、E地 区 につ い て は、 上 述 の よ う に一 旦 は建 替 事 業 着 手 前 提 で 賃 貸 住 宅 の 補 充 停 止(募 集 せ ず)措 置 が な さ れ た 。 以 降 、空 家 が 増 加 し"ゴ ー ス トタ ウ ン化"が 懸 念 さ れ 、 商 業 施 設 へ の 客
の減 少 あ る い は既 着 手 地 区 で あ るA,B両 地 区 に お け る残 地 の 売 却 が 進 ま な い な どの理 由 で再 募 集 さ れ て い るが 、入 居 は い ま ひ とつ進 ん で い な い よ うだ 。 (3)建 替 事 業上 の 問 題 公 団 内 で は 、香 里 団地 は 建 替 事 業 上 重 要 団 地 で あ る との 位 置 づ け が な さ れ 、他 団 地 の建 替 事 業 と異 な り、 環 境 アセ ス な どの 基 礎 調 査 が 行 わ れ 、 上 述 の よ う に計 画 に 当 た っ て は 研 究 者 や 専 門 家 の 参 加 の も とで"再 生 グ ラ ン ドプ ラ ン"や 景 観 形 成 の指 針 が 策 定 され て い る。 こ れ ま で の 事 業 進 捗 をみ て も、 公 園 や 街 路 な どの イ ン フ ラ は そ の ま ま残 し、香 里 団地 の 景 観 を決 定付 け る要 素 の ひ とつ で あ る適 度 な ア ン ジ ュ レー シ ョン もそ の ま ま残 さ れ る な ど、 全 体 フ レー ム で は 可 能 な 限 りの 環 境 資 産 の 継 承 が 図 られ て い る こ とは 理 解 で きる 。 しか しな が ら、 ネ ッ ト(住 宅 地)部 分 に お け る 肝 心 の住 宅 建 替 事 業 につ い て は 、 全 面 建 替 で 戻 り用 の住 宅 の み の供 給 で 全 て 高 層 住 宅 化 し、か つ 残 地 は民 間 な どへ 売 却 ・貸 与 とい う方 針 で あ る。 公 的 機潤 の事 業 と して 多 くの 問題 を含 んで お りそ の 点 に触 れ て み た い 。 1)全 面 ク リ ア ラ ンス 型 事 業 で 良 い の か 香 里 団地 で は 、 屋 外 の 環 境 資 産 は 可 能 な限 り継 承 しよ う とい う方 針 で 、 入 居 者 の 思 い 出 の植 栽 な どが一 箇 所 に集 め て 残 さ れ 、現 地 にそ の ま ま残 され た 中 高 木 も多 い 。 上 述 の よ う に、 イ ン フ ラ は そ の ま まで あ り、 これ らの点 で は 居 住 空 間 の 継 承 性 は 一 定 確 保 さ れ て い る 。 しか しそ れ だ け で い い の で あ ろ う か 。 疑 問 が 残 る 。 居 住 者 に とっ て 慣 れ 親 しん で き た 中低 層 住 宅 団 地 が 忽 然 と高層 住 棟 群 へ と、 ま た豊 か だ っ た 自然 や 緑 あ る い は そ れ らに よ っ て醸 し出 され る風 景 もな くな り大 き く変 貌 す る。 さ らに 重 要 な こ とは 、 こ れ ま で 築 か れ て きた 近 隣 で の 人 間 関 係 ・コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンの 断 絶 で あ る。 け や き 東 街 で も引 っ越 して す ぐ亡 くな られ た高 齢 者 が 何 人 か お られ る 。 建 替 え に よ る 「さ ま ざ ま な物 的 ・人 的 な"喪 失"が 原 因 で は な い 。」 と断 言 で きる で あ ろ うか 。 と りわ け 高 齢 者 に と っ て は 居 住 の継 続性 が 重 要 で あ り、 可 能 な限 り住 棟 の 配 置 ・規模 ・高 さ は変 更 せ ず 屋 外 空 間 もで き る だ け そ の ま まの 状 態 で 、 居 住 者 ・市 民 の生 活 や 要 求 に 対 応 した整 備 が 出 来 な い で も の で あ ろ う か 。 2)残 地 は全 て 民 間売 却 で い い の か 公 団 は、 原 則 的 に戻 り入 居 者 用 の み の 住 宅 しか 供 給 しな い とい う方 針 で あ り、住 棟 は高 層 化 して 密 度 を上 げ る 結 果 、残 地 が で る 。 こ れ に つ い て は 、 まず は大 阪 府 や 枚 方 市 とい っ た公 的 機 関 に 譲 渡(賃 貸)し 、公 営 住 宅 あ る い は高 齢 者 ・子 育 て支 援 の福 祉 関 連 施 設 な ど を設 置 す る と い う方 針 で あ る 。 しか し現 実 に は 自治 体 は財 政 難 を理 由 に そ れ らの 整 備 を 渋 る こ と に な り、 勢
い 民 間 デ ィベ ロ ッパ ー に譲 渡 と な る。 香 里 団 地 で は公 団 の 建 替 事 業 で 全 国 で 初 め て 民 間業 者 へ 売 却 さ れ 、A地 区 残 地 部 分 に高 層 分 譲 マ ン シ ョ ンが 出 来上 が り入 居 して い る が 、 日照 ・眺 望 ・ 見 下 ろ しな ど につ い て敷 地 北 側 の戸 建 住 宅 地 区 か らの 反対 運 動 が 起 こ っ た 。 も し、 そ の 部 分 に つ い て も公 団 の 計 画 で あ っ た な らば住 棟 配 置 ・高 さあ る い は密 度 も こ れ ほ どの こ とに は な らな か っ た で あ ろ う と思 わ れ る。 民 間へ の 売 却 は考 え もの で あ る 。 そ も そ も公 団 の 土 地 は 国 民 的 な 貴 重 な財 産 で あ る。 大 都 市 にお い て は 公 共 ・民 間 と も に 良質 な フ ァ ミ リー層 向 け賃 貸 住 宅 少 な く、 この よ う な賃 貸 住 宅 用 地 と して 利 活 用 す べ きで は な か ろ か 。 3)高 層 住 宅 ばか りで い い の か 京 阪 枚 方 市 駅 か ら団 地 行 きの バ ス に乗 り 「桑 が 谷 」 バ ス 停 で 降 りる と、 香 里 団 地 の 北 東 の 入 り口 に到 達 す る。 そ こか ら、藤 田 川 方 面 に 向 っ て南 へ 歩 くと建 替 後 の敷 地 ぎ りぎ りに建 設 さ れ た 高 層 住 棟 群 「け や き東 街 」 ブ ロ ック が 目 に入 る。 建 替 え前 の低 中 層 香 里 団 地 を見 慣 れ た 筆 者 か らす る と、 見 上 げ る高 層 住 棟 は建 物 と敷 地 の 関係 が ア ンバ ラ ン ス で か つ ス ケ ー ル ア ウ トの感 が あ る。 都 市 景 観 か ら も気 に な る。 香 里 団 地 は起 伏 に富 み 自然 が 豊 か で あ る か ら、 カ ム フ ラ ー ジ ュ され 判 り に くいが 、 中 低 層 団 地 か ら容 積 率 を 上 げ た高 層 団 地 に突 如 変 貌 した ら、 カ ル チ ャ ー シ ョ ック も大 き い。 高 層 で もエ レベ ー ター が 設 置 され て い る か ら、 高 齢 者 や 障 害 者 も気 兼 ね な く外 出 で き る と思 い が ち で あ るが 、 地 面 か ら遠 く離 れ 近 隣 との付 き合 い の な い 人 に と っ て は 、 な か なか 外 に 出 ら れ る もの で は な い 。 (4)今 後 の コ ミュ ニ テ ィ活 動 に つ い て 香 里 団 地 にお け る コ ミ ュ ニ テ ィ活 動 の歴 史 や 現 状 に 関 して はす で に 述 べ た4)の で 、 こ こで は 、 そ れ を ベ ー ス に再 生 の 課 題 を ま と め て お きた い 。 現 状 の ま ま香 里 団 地 の 建 替 が 進 行 す る と、 今 後 の コ ミ ュ ニ テ ィ に さ ま ざ ま な 影 響 を与 え る と思 わ れ る。 具 体 に は 、① 戻 り入居 者 ば か りの 賃 貸 住 宅 にお け る高 齢 化 の 更 な る 進 展 、② 若 年 層 を 中 心 と した 民 間分 譲住 宅(マ ン シ ョ ン と戸 建)・ 新 規 賃 貸 住 宅へ の 新 規 入 居 者 と こ れ まで の 居 住 者 間 で の 軋 礫 、 ③ 商 店 街 ・生 活 関連 施 設 の 更 新 ・整 備 に よ る 商 店 者 等 と居 住 者 間 の付 き合 い の 変 化 、 ④ 戸 建 住 宅 地 の 更 新 に伴 う居 住 者 の 入 れ 替 わ り、 な どに よ り、 コ ミ ュ ニ テ ィ の形 成 が 一 層 困 難 に な る と思 わ れ る 。 2.サ ス テ ィナ ブル な 団 地 再 生 へ の 転 換 (1)必 要性 と可 能 性
香 里 団 地 全 体 の 新 規 建 設 ・供 給 そ して 建 替 事 業 の経 緯 をみ る と、 居 住 空 間 と して優 れ た イ ン フ ラ は残 され て い る。 しか し、 ア ン コ部 分 で あ る住 宅 地 ネ ッ ト部 分 に 関 して は敷 地 の有 効 活 用 を 目 的 に 、全 面 ク リ ア ラ ンス 、 高 層 化 そ して残 地 の 民 間売 却 の 方 針 で あ り、 こ れ に つ い て は 大 きな 問 題 点 が あ る こ と を述 べ た 。今 後 の 香 里 団 地 の 建 替 事 業 にお い て は こ の よ う な硬 直 的 な全 面 建 替 事 業 で は な く、 これ まで 公 団 に 蓄 積 さ れ た様 々 な リノ ベ ー シ ョ ン手 法 も駆使 す る な ど して 団 地 再 生 方 策 へ と転 換 す べ きで あ ろ う 健 替 は 団 地 再 生 の ひ とつ の手 法)。 ま た 、 現 居 住 者 の多 くは空 間 ・ 居住 ・コ ミュ ニ テ ィの 継 続 性 を望 んで い る 。 特 に環 境 に恵 ま れ た 香 里 に最 期 まで 住 み続 け た い と 願 う高 齢 者 は 多 い 。 か つ 、物 的 空 間 を可 能 な限 り、 リ ノベ ー シ ョ ン しな が ら継 続 活 用 して い く こ と は、 環 境 との 共 生 あ る い は 省 資 源 とい う観 点 か ら も重 要 な意 味 を持 つ こ と は 言 う ま で も な い 。 また 、 か つ て は コ ミュ ニ テ ィの 形 成 面 で 香 里 団 地 は 先 進 性 を有 し、 自治 会 活 動 も弱 体 化 した と は い え そ の歴 史 は脈 々 と受 け 継 が れ て い る 。 これ らの 先 進 性 あ る い は 自治 会 の パ ワ ー は 時 代 に 即 応 しつ つ 、 再 生 事 業 にお い て も生 か さ れ る もの と思 わ れ る。 そ して 、 公 団 側 は 居 住 者 の 意 見 を よ く聞 き、 柔 軟 な方 針 の も とに事 業 を推 進 し、 一 方 、居 住 者 側 も 自分 た ち の 団地 を住 み よ く して い く と意 思 統 一 の も とで 意 見 を ま とめ 参 画 して い くべ きで あ ろ う。 こ の よ う な居 住 者 の 参 画 に よ り、 公 団 ・行 政 、 専 門 家 ・設 計 者 な ど との コ ラボ レ ー シ ョ ン ・シス テ ム が う ま く展 開 す れ ば 、 さ ま ざ ま な ハ ー ドル は あ る に して もサ ス テ ィ ナ ブ ル な団 地 再 生 へ 向 け て 動 き出 す と思 わ れ る 。 ② 居 住 空 間計 画 の 方 向 か つ て 香 里 団地 は大 規 模 団 地 の モ デ ル と して 新 規 開発 ・建 設 ・供 給 面 で の先 駆 的 な試 み が 数 多 く取 り組 まれ た こ とは 先 述 した 。 今 後 は 、 団 地 再 生 の 先 進 事 例 と して再 登 板 で き な い もの で あ ろ うか 。 これ か ら の サ ス テ ィ ナ ブ ル な再 生 イ メ ー ジ は以 下 の よ うで あ る 。 ほ ぼ建 替 事 業 が 終 了 しつ つ あ るA∼C地 区 に関 して は 、 団地 再 生 の新 た な試 み を幅 広 く実 験 的 に実 施 して い く場 と して位 置 づ け た 上 で 、①C地 区 に つ い て は 、 戻 り入居 用 住 宅 建 設 敷 地 以 外 ブ ロ ック の現 存 中低 層 住 宅 を出 来 る だ け再 利 用 して リモ デ リ ン グ な どの 手 法 を 適 用 し屋 外 も含 め 、 団 地 再 生 の 観 点 で 計 画 す る、 ②A∼B地 区残 地 部 分 は これ か らの 集 住 の あ り方 を様 々 な 形 で具 体 的 に提 案 す る 用 地 と して 活 用 す る 、 と い う方 向 が 考 え られ な い だ ろ う か 。 そ して 、D,E地 区 の 再 生 内容 は次 の よ うで あ る。 ユ)全 体 空 間 計 画 ① 全 体 の 姿 は そ の ま ま 各 地 区 ご と の空 間 ボ リ ュ ー ム は 変 え ず 、 住 棟 は 中 低 層 以 下 に維 持 し棟 数 ・住 戸 も ほ ぼ 同 じ にす る 。 と な る と、居 住 関連 の 施 設(供 給 処 理 施 設 、 公 共 ・公 益 、 商 業 、 あ る い は 団 地 の 駐
車 場 な ど)も 今 の ま ま の物 量 で ほ ぼ ま か な え る 。 つ ま り、 な に よ り も居 住 空 間 は 大 き く変 化 させ ず 、再 生 前後 で 安 定 ・継 続 した生 活 が営 め る条 件 とす る。 同 じ公 団 建 替 の 奈 良 市 紀 寺 団 地 、 神 戸 市 御 影 団 地 は 都 市計 画 法 の制 限(高 さ制 限 、 風 致 地 区)な ど に よ る の で は あ る が 、 中層 団地 に 建 て 替 え られ た が 、 これ らの 団 地 の よ うな イ メ ー ジ に近 い 。 ② 居 住 水 準 向 上 解 決 す べ き経 営 あ る い は 技術 的 な 問題 は 山積 す る が 、 再 生 の 基 本 方 針 と して す べ て の面 に わ た っ て 現 在 の建 替 賃 貸住 宅 の 水 準 をめ ざす 。 何 よ り も居 住 者 の 生 活 の 継 続 を 第一 義 と した 上 で居 住 水 準 の 向上 を考 え る。 i)躯 体 耐 震 性 と耐 久 性 の 判 断 が 必 要 で あ り、 改 修 が 必 要 で あ れ ば行 い 、 も しそ の 工 事 費 が か な り高 い もの で あ れ ば、 そ の棟 に 関 して は全 体 的 な景 観 も考 え な が ら 、 建 替 え(同 規 模 ・階 数 、 エ レベ ー タつ き住 棟 へ の 置 き換 え)を 考 え る 。 また 、 屋 根 や 外 壁 あ る い はエ ン トラ ン ス の デ ザ イ ン に も配 慮 す る 。 ii)住 戸 規 模 家 族 人数 が 減 少 し、住 戸 面 積 も拡 大 しな くて も居 住 で きる 世 帯 もあ り、 そ の ま ま の住 戸 あ る い は必 要 に応 じ、2戸 一 化(上 下 、 横 方 向 〉 も考 え る 。 iiD設 備 水 準 ・バ リア フ リー 技 術 的 に ど う して も難 しい 場 合 は、 仕 方 な い 面 もで て こ よ う が 、 原 則 的 に は 現 在 の 水 準 に引 き上 げ る。 そ の た め の 様 々 な技 術 開発 等 検 討 が 必 要 で あ る 。 iv)屋 外 空 間 も現 状 を改 善 ・整 備 屋 外 空 間 も基 本 的 に改 善 ・整 備 で あ り、 団 地 再 生 全 体 の 人 口 増 加 もあ ま り な い と考 え ら れ の で 駐 車 場 増 設 につ い て は 、 抑 制 可 能 で あ ろ う。 ま た 、 団 地 か らの 自家 用 車 の発 生 を極 力 抑 え、 代 替 交通 機 関 と して循 環 の小 型 低 床 バ ス を走 らせ る な ど団 地 内 外 の 総 合 的 な交 通 計 画 の 中 で 、 車 に頼 らな い ラ イ フ ス タ イ ル を実 践 す る 団地 と して い く。 自転 車 と徒 歩 を主 体 に した健 康 的 な ま た環 境 に も優 しい 交 通 体 系 を 関係 者 の 協 力 の も とに 築 い て い く。 v)子 ど もの 遊 び場 の確 保 高 層 化 し密 度 を上 げ て住 棟 を詰 め 込 む と、 屋 外 空 地 の 量 が 減 る 。 そ こ を駐 車 場 が 占 領 す る。 幼 児 か ら小 学 校 の 生 徒 ぐ らい まで の ボ ー ル投 げ で 遊 ぶ よ う な ス ペ ー ス が な くな っ て い る(自 治 会 の 要 求 事 項 の1つ に も取 り上 げ られ て い る)。 あ る い は 隣 棟 問 の 距 離 が な く緑 も少 な くな り、 居 住 者 が 憩 え る 場 所 が な い 。 とか く高 齢 者 の 生 活 に 目が 行 きが ち で あ る が 子 ど もの 生 活 環 境 は ソ フ ト対 応 も含 め 重 要 で あ る。 vi)全 体 景 観 団 地 全 体 の景 観 を考 え 、色 、 外 部 廻 りの材 料 、 形 な ど に配 慮 し美 しい 団 地 に仕 上 げ る 。
2)居 住 者 、 専 門 家 の参 加 公 団 の 団地 で も上 記 の 紀寺 、 東 京 の多 摩 平 と武 蔵 野 緑 町 と い っ た 団 地 で は 、 自治 会 や 居 住 者 が 建 替 事 業 に積 極 的 に参 画 し結 果 的 にす ば ら しい 生 活 空 間 に な っ て い る 。 これ らの 活 動 を 香 里 団 地 に お い て も さ ら に発 展 させ る必 要 が あ ろ う。 ま た 、外 部 か らの 専 門 家 ・ボ ラ ン テ ィア あ る い はNPOな どか ら何 らか の 専 門 的 ア ドバ イ ス も必 要 で あ る。 3)家 賃 につ い て 継 続 居 住 を保 障 す る上 で 、 家 賃 問 題 が 最 も大 き い 。原 則 は 、 今 の 水 準 が ベ ー ス で あ ろ うが 、 居 住 水 準 の 向上 に 関 して の応 分負 担 に つ い て は 一 定 程 度 や む を え な い だ ろ う。 リ ノベ ー シ ョ ン で あ れ ば 居 住 水 準 向 上 の た め の工 事 費 は建 替 よ り も住 戸 単 位 で考 え る と安 くつ く。 家 賃 は 現 在 よ りも水 準 向上 分 は 上 昇 す る で あ ろ うが 、 継 続 居 住 者 の 権 利 と して 傾 斜 な どの 方 法 を採 用 し政 策 的 に低 く設 定 し継 続 居 住 を 図 るべ きで あ る 。
1V公
団の団地再生事例
武庫川 団地
1.は じ め に 公 団 に お け る 団地 再 生 の 対 象 と して は大 都 市 の 都 心 周 辺 か ら郊 外 に か け て 初 期 に 開 発 さ れ た 団 地 が よ く知 られ 、 主 要 に は建 替 事 業 に よ る再 生 が 実 施 され て き た 。 一 方 、都 心 部 や そ の周 辺 部 に お い て様 々 な手 法 で 実施 さ れ て きた再 開 発 関 連 事 業 に よ り形 成 さ れ あ る い は 住 宅 供 給 が な され た 団 地 に お い て は 、建 替 事 業 は な じみ に く く リ ノベ ー シ ョ ン(更 新)が 主 で あ る8)。 再 開発 関 連 事 業 の な か で も、面 開発 市 街 地 住 宅9)に 関 して は 、 一 般 的 に 高 層 高 密 で か つ 団 地 規 模 も大 き く問題 も複 雑 で あ る。 面 開発 市 街 地 住 宅 団 地 の居 住 上 の 問 題 点 と して 、 一 般 的 に 、① 住 棟 が 巨 大 で高 層(超 高 層)で あ る が ゆ え に周 辺低 層 住 宅 群 と の違 和 感 が 大 き く、 周 辺 の ま ち に 開 放 的 で な い 、② 自治 体 の 開発 指 導 や 居 住 者 か らの駐 車 場 設 置 要求 が 強 く、くつ ろ ぎ ・憩 い ・遊 び ・ 交 流 と い っ た 点 にお け る 共 同利 用 の場 と して の 屋 外 空 間 が 貧 弱 に な りが ち で あ る 、③ 画 一 的 な住 戸 型 と居 住 者 の 生 活 や 要 求 との ミス マ ッ チが 顕 著 とな っ て き て い る 、 ④ 狭 小 な 民 間 賃 貸 住 宅 に比 して 比 較 的住 戸 面 積 が広 い が 故 に家 賃 が 相 対 と して高 く、 結 果 的 に 空 家 が発 生 して い る 、⑤ 居 住 者 間 で の交 流 が 浅 くコ ミュ ニ テ ィが 希 薄 で あ る 、 ⑥ 入 居 者 の 高 齢 化 が 急 速 で 、 一 方 子 ど もの 数 が 減 少 して い る 、 と い っ た こ とが あ げ られ る。 これ らの 諸 課 題 に対 して 、 家 主 で あ る公 団 も対 策 を講 じ、 居 住 者 も 自 治 会 な ど を通 じて 公 団 や 市 に環 境 整 備 の 要 求 を 出 して い る が現 状 は満 足 で きる状 態 で は な く、 快 適 な住 生 活 や 良好 な コ ミ ュ ニ テ ィ を形 成 し展 開 させ て い くに は ど うす べ きか 問 わ れ て い る 。そ こで 、 関 西 にお け る面 開 発 市 街 地 住 宅 で は も っ と も大 規 模 で か つ 多 くの 問 題 を抱 えて い る 武 庫 川 団 地 を事 例 と して 取 り上 げ 、 そ の 団地 再 生 の 内 容 、 整 備 の あ りか た 、 居 住 者 の 自治 会 活 動 な ど に関 す る現 状 と課題 につ い て 述 べ て み た い 。 2.武 庫 川 団地 の 概 要 1)周 辺 状 況 武 庫 川 団 地 は 西 宮 市 東 南 臨 海 部 に あ り、 公 団 浜 甲 子 園 団 地(初 期 の 大 規 模 中 層 団 地 、建 替 事 業 進 行 中)に 隣 接 し、住 宅 地 と して 比 較 的 恵 ま れ た 立 地 ・環 境 に あ る 。 団 地 か ら 阪 神 沿 線 に か け て の 周 辺 部 は 、 臨 海 部 の レ ジ ャ ー 関 連 施 設 あ る い は 北 西 に 甲 子 園 球 場 ・阪 神 パ ー クあ る い は 競 輪 場 な ど レ ジ ャ ー ・余 暇 施 設 が 立 地 して い た が 、近 年 、 マ ン シ ョ ン や シ ョ ッ ピ ン グ セ ン ター な どに 用 途 転 換 しつ つ あ る 。 ま た、 団 地 近 隣 に は福 祉 、 余 暇 、文 化 、 ス ポ ー ツ 関連 施 設 も比 較 的 多 い(図 一1) 。 2)団 地 空 間 敷 地 面 積 は 約55ha、 供 給 住 宅 は 賃 貸5,643 戸 ・分 譲1,593戸 計7,236戸(関 西 支 社 管 内 で は 住 戸 数 が 最 も 多 い 団 地)で 、4住 区(み ど り、樹 、 あ お そ ら、 は な)か ら構 成 さ れ て い る 。1979∼87年 に 供 給(賃 貸)さ れ(1979年 3月 の 第 一 回供 給 は1,543戸 と 近 年 で は考 え ら 図一1団 地 位 置 図 れ な い彪 大 な 供 給 量)、 団 地 内 に は 各 種 生 活 関 連 施 設 が 整 備 され 利 便 性 は高 い 。 団 地 全 体 は 圧 倒 さ れ る ボ リュ ー ム で 各 棟 数 百 戸 か らな る30数 棟 の 巨 大 住 棟 群 で 構 成 され 、 大 き くヒ ュ ー マ ンス ケ ー ル を越 え て い る 。 ま さ し くか つ て の マ スハ ウ ジ ン グ 時代 を象 徴 す る か の よ うで あ る(図 一2)。
31居 住 響 居 住 者 ぽ 賃 貸 ・分 譲 含 め 約6,400'既 帯 ほ どで 入 口 は1万 数 千 人 に 及 び,世 帯 主 は 阪 神 問 に勤 務 す る サ ラ リー マ ン層 が 中心 で あ る 、 団 地 は ま ち開 きか ら25年 ほ ど経 ち 成 熟 期 を迎 え て い る が 、 居 住 者 問 の 交 流 や コ ミュ ニ テ ィの 希 瀞 さ は党 服 で き て い ない 心一・方 、住 宅 供 給 開 始 時 期 が1979年(昭 和54)と 比 鍍 的 新 しい だ け に他 団 地 よ り も率 は低 い もの の 高 齢 化 が 遊 行 し子 ど もの 数 は 誠 切つ つ あ り、今 後 対 応 が 必 要 に な っ て こ よ う。 3.居 住 者 か らみ 允主 要 課 題 ω 住 棟 ぜ ロ テ イの 活 用 先 述 の よ う に団 地 全 体 が 大 規 模 す ぎて 、 す べ ての 住 棟 にお い て 直 方 体 の`箱"で 個 性 が 見 られ ず(外 壁 面 の 色 彩 は 朋 と して)置 大 す ぎる"ま た 、 倥 棟 は11階 建 か ら25階 建 ま で あh、 全 て 片 廊 下 、 中廊 下 型 あ る い はTC(ツ イ ン コ リ ドー ル)型 ア ク セ ス で1眼 部 分 は す べ て ピ ロ テ ィ となo て い る。 こ の よ う な こ とか ら、 特 に外 来 者 に とって 判 脳 こく く 、膳 住 者 同 士 の気 軽 な 日常 的 な近 所 付 き合 い あ る い は気 軽 に声 を 掛 け倉 う と い っ た近 隣 交 瀧 の面 で 解 消 しが た い バ リア と な り て い る" 住 棟 の改 善 につ い て は抜 本 的 方 策(減 築 、除 却 、 建 替)で も採 らな い 限 吟、住 標 の 形 態 は今 の ま まの 前 提 で 考 え ざ る を得な い 。 とす る と 、再 生 事 業 上 は佳 戸 の 諜 題(次 項)を 除 き住 棟 共 用 部
分 を ど うす るか とい っ た テ ー マ に絞 られ る。 特 に ピ ロテ ィの 有 効 活 用 ・整 備 が 重 要 課 題 で あ る 。 福 祉 や余 暇 ・文 化 関連 の 生 活 関連 施 設 や 事 業 所 な ど を誘 致 す る こ とが 出 来 れ ば 、 そ こで 集 ま る ・ 働 く ・利 用 す る あ る い は住 む こ と に よ り人 の 出 入 りが 図 られ 、賑 わ い の あ る 空 間 と な りか つ 防 犯 上 も効 果 的 で 雇 用 促 進 に もつ な が る。 ② ラ イ フ ス タ イル に沿 っ た住 戸 改 善 住 戸 は全 て がFS(フ ロ ン テー ジ セ ー ビ ン グ)型(間 口 狭 く奥 行 き長 い 住 戸 平 面)で 外 部 に 向 か っ て 閉鎖 的 で あ る。 バ ル コニ ー側 も多 くは南 面 して お らず 、 反対 側(玄 関 側)は 外 部 共 用 廊 下 に面 して お りそ こで の 個 室 の 居 住 条 件 が悪 く、 ま た 全 般 的 に 日照 ・採 光 や 通 風 ・換 気 の 自 然諸 条 件 は よ くな い 。 しか も、住 戸 内 の設 備 シス テ ム は住 戸 の 中央 部 に配 置 せ ざ る を えず 、 機 械 換 気 に 頼 り昼 間 で も照 明 が 必 要 で あ る。 住 戸 配 分 につ い て は 、 か つ て"フ ル フ ァ ミ リ ー ・フ ル プ ラ ン" と称 さ れ た だ け に、1DK(専 用31㎡)か ら4LDK(専 用83㎡)ま で の ラ イ ン ナ ップ で あ るが 、 戸 数 配 分 は3DKと3LDK(専 用60∼74㎡ 〉 に 偏 り、比 較 的 規 模 が 大 き く家 賃 が 高 い 。 特 に阪 神 間 で は 震 災 後 、官 民 に よ る住 宅供 給 が 過 剰 気 味 で あ る こ と も災 い して こ の ボ リ ュ ー ム ゾ ー ンに 空 家 が 多 い 。 住 戸 改 善 と して住 棟 形 態 は そ の ま ま とす る と、 居 住 者 ・市 民 の住 要 求 に 合 致 した住 戸 レベ ル で の様 々 な改 造 方 法(三 戸 二 化 な ど含 め た 間 取 り変 更 、 設 備 更 新 等 の リノ ベ ー シ ョ ンな ど メ ニ ュ ー は 用 意 され て い る)、SOHO化 、 あ る い はす で に実 施 さ れ て い る 高 齢 者 向 け 優 良 賃 貸 住 宅 の 供 給 増 な どの 対 策 が 考 え られ よ う。 (3)生 活 関連 施 設 整 備 団 地 周 辺 で の 各 種 生 活 関 連 施 設 の 集 積 が み られ 、 団 地 中 央 部 に商 業 施 設 も設 置 され て い る。 公 共 ・公 益 施 設 な ど を含 め 、 日常 生 活 上 の 不 便 は 比 較 的 少 ない と思 わ れ る が 、 以 下 の よ う な課 題 が あ る。 1)駐 車 場 増 設 か ら総 合 交 通 計 画 へ 過 去 、 様 々 な方 法 で 駐 車場 が 増 設 され て きた 。 結 果 、現 在 の 駐 車 場 率 は60%程 度 に達 した が 、 西 宮 市 の 行 政 指 導 は100%確 保 で あ り、 か つ 居 住 者 等 か ら も駐 車 場 増 設 の 声 は 多 い 。 しか し一 方 、 高 層 高 密 団 地 で 駐 車 場 率 を上 げ る と屋 外 環 境 に悪 影 響 が 生 じ、 武 庫 川 団 地 び お い て も遊 び 場 ・公 園 や緑 の 減 少 、歩 行 時 の安 全 性 低 下 や 団 地 景 観 の 貧 相 化 な どの 屋 外 空 間 整 備 上 で も大 き な 問 題 とな っ て い る 。 これ に つ い て は 、公 団 の 整 備 方 針 の よ う に単 に駐 車 台 数 を増 加 させ る の で は な く、 む しろ 駐 車 場 増 設 は抑 制 し屋 外 環 境 を悪 化 させ る こ と もな く、 ま た 、 既 存 の 「団 地 レ ン タカ ー制 度 」 も
活 用 し なが ら、 団地 だ け で な く周 辺 を含 め た居 住 者 の"足"を ど の よ う に確 保 し整 備 す る か と い っ た 方 向 で の総 合 的 な 交 通 計 画 を策 定 す る必 要 が あ る 。 2)高 齢 者 の 継 続 居 住 と子 ど もが快 適 に遊 べ る 条件 づ く り 今 後 の 団 地 再 生 の あ り方 を考 え る と、 高 齢 者 の 継 続 居 住 と子 ど もが 快 適 に 遊 べ る 条 件 づ く り は重 要 で あ る。 特 に 、 要 介 護 関連 施 設 は 整 備 され つ つ あ るが 、 健 常 あ る い は 虚 弱 の 高 齢 者 の 施 設 は不 十 分 で 介 護 予 防 の 観 点 か ら も重 要 で あ る 。様 々 な高 齢 者 の 施 設 の 現 状 を整 理 し総 合 的 に 考 え る必 要 が あ ろ う。 多 くの子 ど も達 は塾 漬 け で 遊 ぶ 時 間 が な く友 だ ち も少 な くま た居 場 所 が な い 日々 を送 っ て い る。 自宅 で ゲ ー ム やパ ソ コ ン相 手 とい った 遊 び が 多 い。 屋 外 に で て 、 多 様 な 子 ど も と 自 由 に 遊 べ る空 間 や 関 連 す る ソ フ ト面 で の整 備 も重 要 で あ る 。 以 上 の よ う な、 高 齢 者 や 子 ど もの居 場 所 ・遊 び場 な どを充 分 な調 査 ・分 析 に基 づ き、 各 住 棟 の ピ ロ テ ィな ど に計 画 す るの も い い だ ろ う。 3>商 業 施 設 整 備 の考 え方 団 地 中央 の 商 業 施 設(メ ル カ ー ド)に 空 店 舗 が続 出 して い る 。 こ の 主 た る 原 因 は 阪 神 沿 線 か ら臨 海 部 に か け て の 出 店 ラ ッ シ ュ で あ ろ う。 商 業 界 は競 争 社 会 で 、 商 品 企 画 と価 格 設 定 ・販 売 促 進 策 が 決 め 手 で あ る 。現 状 を打 開 す る た め に は 、 まず は周 辺 店 舗 等 と の競 争 に負 け な い よ う に 今 の 業 種 を 洗 い 直 し、新 た な業 態 を考 え る こ とが 重 要 な ポ イ ン トで は な か ろ うか 。 (4)樹 木 を よ り親 密 な ものへ 25年 も経 つ と樹 木 は欝 蒼 と して くる 。 見 通 しが 悪 くな り防犯 上 問 題 に も な る 。 か とい っ て 、 伐 採 し、 あ る い は勇 定 もや りす ぎ る とせ っ か くの み ど りが 台 無 しで あ る 。 住 棟 ピ ロ テ ィ対 策 同 様 、 人 を近 づ け る工 夫(例 え ば 、① 小 中学 校 に お い て の 野 外 学 習 の 題 材 や 団 地 の イ ベ ン トと して オ リ エ ンテ ー リ ング あ る い は ビ オ トー プ な どに 活 用 、 ② 柑 木 や 野菜 ・草 花 を大 事 に 育 て る 活 動)を 積 極 的 に お こ ない 、"親 樹 木"、"親 林"の 仕 掛 け を打 ち 出 す こ と も大 切 で あ る 。 (5)コ ミュニ テ ィの 形 成 ・発 展 一 般 に 団 地 の コ ミュニ テ ィは 育 ち に く く、 高 層 高 密 か つ 大 規 模 な 武 庫 川 団 地 で は な お さ ら で 、 近 所 の交 流 や 付 き合 い は 浅 い 。 この こ とか ら匿 名 性 が 高 く、 結 果 、 生 活 上 の基 本 的 ル ー ル を 守 ら な い 人 もい る しモ ラル の 低 下 もあ る。 団 地 で の 子 育 て 条件 の 整 備 あ るい は高 齢 者 が 最 期 まで 継 続 的 に武 庫 川 団 地 で 居 住 で き る 条件 は 何 か 、考 え て い くべ きで は な か ろ うか 。 例 え ば、 高 齢 者 と子 ど もの交 流 を 図 り、 独 居 高 齢 者 に声
をか け 、 あ るい は子 ど もの保 育 を共 同 で行 い 、 高 齢 者 の よ ろず 相 談 を お こ な い 、 とい っ た よ う な 居 住 者 間 で で き る こ とか ら積 み 上 げ て い く こ と に よ り、 高 齢 者 も子 ど も も そ して この 間 に あ る大 人 も含 め 交 流 の輪 が 広 が っ て い くで あ ろ う。 す で に 、 自治 会 を 中心 に コ ミュ ニ テ ィ形 成 の た め に 日常 的 に様 々 な イベ ン トな どが 熱 心 に取 り組 まれ て い る 。 これ らの 活 動 を着 実 に拡 大 発 展 させ る こ と に よ り、 団 地 で の コ ミュ ニ テ ィ形 成 が 促 進 さ れ て い くの で は な か ろ うか 。 (6)空 家 解 消 も大 事 団 地 の 活 性 化 を考 え る 際 、 空 家 の存 在 は 大 き な マ イ ナ ス で あ る 。 と同 時 に 、 防 犯 、 コ ミ ュ ニ テ ィ、 維 持 管 理 に と っ て も問題 で あ る。 対 策 と して か つ て お こ な わ れ て い た二 戸 貸 し割 引 制 度101な ど に よ る家 賃 の 引 き下 げ が 最 も効 果 的 な で あ る こ とは 言 う ま で も な い 。 ま た 、 入 居 促 進 だ け で な く、 い ま 問題 に な っ て い る 親 子 二 世 代 居 住 の あ り方 の ひ とつ の解 と して の 高 齢 者 世 帯 とそ の 子 世 帯 との 近 居 形 態促 進 の面 で も非 常 に効 果 的 な制 度 で あ る。 4.公 団の 対 応 と 自 治会 活 動 (ユ)公 団 に よる 整 備 日常 的 ・物 的 な保 全(メ ンテ ナ ンス)関 係 あ る い は 清 掃 な どの 住 宅 管 理 の 業 務 あ る い は 環 境 改 善 や 整 備 に つ い て は他 団 地 と同 じ よ う に、 決 め られ た ル ー ル に基 づ き実 施 され て い る こ と は い う まで も な い(駐 車 場 整 備 、 商 業 施 設 の 改 善 、高 齢 者 向 け優 良 賃 貸 住 宅 制 度 に よ る住 戸 改 善)。 団 地 居 住 者 の 要 求 や ラ イ フス タイ ル の 変 化 に対 応 す る よ う な 空 間 整 備 面 で は ど うで あ ろ う か 。 武 庫 川 団 地 で は 、 現 状 調 査 ・分 析 に基 づ く団 地 再 生 構 想11)はあ る が 全 面 的 な事 業 化 は な さ れ て い な い 実 状 に あ る 。 具 体 的 な 実 施 と な る と 団 地 の 経 営 方 針 が 厳 し く(赤 字 は だ め ・収 益 は ど う か 、 需 要 は 見 込 め る か 、 等 々)身 動 きで き ない 、 あ る い は本 年7月 の都 市 再 生 機 構 発 足 後 の 業 務 方 針 待 ち の 感 もあ る 。 一 方 、居 住 者 の 要 求 を受 け て 実 現 し よ う と い う 組 織 と して の 意 欲 や 熱 意 は感 じ られ ない(職 員 個 人 の レベ ル は別 と して も)し 、 ま た 、事 業 推 進 面 で み る と公 団支 社 は本 社 指 示 待 ち で 最 も居 住 者 の実 態 を熟 知 して い る支 社 の 権 限 は ル ー チ ン業 務 範 囲外 につ い て は な い に 等 し い 。 こ こ らあ た りに大 き な問 題 が あ る と考 え る 。 地 域 や 団 地 の居 住 者 ・市 民 な どの 意 見 を も っ と 取 り入 れ 、本 社 は権 限 を大 幅 に縮 小 し支 社 独 自で 判 断 し実 施 で き る よ う にす べ きで は なか ろ う か。 (2)団 地 自治 会 の 活 動 1979年 の武 庫 川 団 地 当 初 入 居 と 同時 期 に 自治 会 が 発 足 し、 団 地 全 体 と して ひ とつ に ま と ま り、 周 辺 団 地 の連 合 自治 会 との 共 同 ・協 力 もあ り活 発 な活 動 が 展 開 さ れ て い る。 こ の20数 年 間 の 地 道
な 自治 活 動 の 業 績 は大 きい 。 一 方 、 団 地 が 成 熟 し ソ フ ト ・ハ ー ド両 面 に わ た っ て の で 団 地 再 生 が 重 要課 題 と な っ て い る 。 こ の こ とは 、 最 近 の 自治 会 活 動 テ ー マ をみ て も明 らか で 、武 庫 川 団 地 自 治 会 の 平 成15年 度 定 期 総 会 議 案 書 に よ る と以 下 の よ う な もの が あ げ られ て い る。 ・コ ミュニ テ ィ活 動 強 化一 住 ん で い て 良か っ た と い え る 地 域 づ く り一 、 ・公 団 の 住 環 境 改 善 へ の 要 求 提 案 ・協 議 、 ・子 ど もが 安 心 して 遊 べ る まち づ く り、 ・美 しい ま ちづ く り一 ふ れ あ い 花 壇 、花一杯運 動 な ど一 、 ・高 齢 者 が 生 き生 き暮 らせ る ま ちづ く り一 安 心 して くらせ る ま ち づ く り一 、 ・自治 会 の 組 織 強化 と周 辺 含 め た高 須 自治 協 議 会 の発 展 、 この よ う な活 動 を進 め て い くと きの ポ イ ン トは住 民参 加 、 学 習 と計 画 案 づ く り、 そ して 自治 会 外 の 組 織 との協 力 あ る い は 共 闘 関 係 の 強 化 で あ ろ う。 そ の 中心 に な る の は や は り 自治 会 で あ る。 ま さ し く、 あ る 自治 会 役 員 が話 した 「自治 会 活 動 が ス トッ プ した ら武 庫 川 団 地 は ス ラ ム に な る」 に あ る よ うに 、 団 地 自治 会 の 存 在 は重 い 。
V団
地再生の方向 とすすめかた
1.再 生 の 方 向 (1)サ ス テ ィナ ビ リ テ ィが 基 本 20年 近 くに わ た っ て公 団 に よ っ て行 わ れ て きた 数 多 くの 団 地 再 生 は 、事 業 の 効 率 性 や 経 済 性 と い っ た面 が 重 要視 さ れ 、居 住 者 の 意 向 や サ ス テ ィナ ビ リテ ィ に つ い て は不 十 分 な建 替 事 業 一 本 や りで あ っ た とい え よ う 。 そ の 内容 た るや 、 植 栽 や 地 形 あ る い は イ ン フ ラ とい っ た環 境 資 産 の 継 承 は 部 分 的 に 図 られ たが 限 定 的 で 、 な に よ り も、 既 存 の住 棟 は全 て ク リア ラ ンス さ れ 、 ほ とん どが EV付 高 層 板 状 片 廊 下 群 で 置 き換 え ら れ る とい うマ ス ハ ウ ジ ング エ イ ジ の よ うな計 画 で 、建 替 前 後 で 大 きな空 間 的 断 絶 を も た ら した 。 こ れ が 、 コ ミュ ニ テ ィ の 継 続 性 も阻 害 す る結 果 とな って い る。 これ か らの 団 地 再 生 は 、 西 欧先 進 国 な どで は一 般 的 なサ ス テ ィ ナ ビ リ テ ィの確 保 を基 本 原 則 に 据 え る こ とが 基 本 で あ る。 つ ま り、 第 一 に 、 高 齢 者 や 弱 者 を 中 心 と した 基 本 的 な 生 活 要 求 で もあ る継 続 居 住 を保 障 し、 か つ 、 コ ミュニ テ ィの 継 承 を 図 る と と も に、 第 二 に環 境 共 生 の観 点 か ら も 居 住 空 間 の継 続 性(施 設 や 住 宅 、 屋 外 環 境 を継 続 させ 、 資 源 の 有 効 利 用 、 環 境 へ の負 荷 を少 な く す る)を 追 求 す る こ とが 求 め られ て い る 。(2)ま ちづ く りと一・体 近 年 、公 団 の 賃 貸 住 宅 団 地 にお い て 、 意識 の 上 か らだ け で な く実 際 の居 住 期 間 をみ て も定 住 化 傾 向 が 強 くな っ て い る し、 高 齢 者 に 関 して は最 期 まで 団 地 に住 み た い と い う要 求 が 強 い 。 ま た 、 新 規 賃 貸 住 宅へ の 需 要 も同 一鉄 道 沿 線 な ど近 隣 地 域 か らの 応 募 者 が 増 え つ つ あ る 。 一一方 、 ラ イ フ ス タ イ ル の 変化 や 家 庭 生 活 の外 部 化 ・社 会 化 で 生 活 関連 の 施 設 を身 近 に 欲 しい と い う要 求 も高 ま っ て きて い る 。 これ らの こ と は 、 か つ て の よ う な 、大 量 の広 域 需 要 で は な く狭 域 で の 少 量 ・多 様 な住 宅 の必 要性 と住 宅 供 給 を含 め た まち づ く り との 一 体 化 の重 要性 を示 唆 して い る。 団 地 再 生 の 方 向 と して は 、 団 地 の枠 を超 え 、周 辺 を含 め た居 住 地 近 隣 で の ま ちづ く りや コ ミュ ニ テ ィ との連 携 で 対 処 す る こ とが 不 可 欠 で あ る 。 2.再 生 の す す め 方 上 述 の 再 生 の 方 向 を 実 現 させ る た め に は 、 中 心 に な る居 住 者 ・公 団 ・行 政 の3主 体 が 専 門 家 や 研 究 者 あ る い は都 市 計 画 コ ンサ ル タ ン トや 建 築 そ の 他 の 設計 関 係 者 な どの協 力 の 下 に ス ク ラ ム を 組 む こ とが 好 ま しい。 この 小 論 で は 論 述 して い な いが 、 東 京 の 武 蔵 野 緑 町 団 地 、 多 摩 平 団 地 あ る い は奈 良 ・紀 寺 団 地 とい っ た先 進事 例 各 地 の経 験 を学 び 香 里 団 地 や 武 庫 川 団 地 で の 実 態 をつ ぶ さ にみ る と この よ うな方 向 が イ メ ー ジで きる 。 再 生 を進 め る上 で 重 要 な役 割 を持 つ 団 地 居 住 者 と公 団 の役 割 につ い て み て み よ う 。 (1)居 住 者 の 参 画 「2.再 生 の 方 向」 か ら、 団 地 居 住 者 の 事 業 へ の 参 加 ・参 画 が まず 重 要 で あ る こ とは 容 易 に 理 解 で きる 。 公 団 賃 貸 住 宅 の 団 地 再 生 に お い て は 、 これ まで 居 住 者 の 参 加 は不 十 分 で あ る こ とは 先 述 の通 りで あ る。 しか し少 な い な が ら も、 上 記3団 地 の よ うな 好 事 例 も あ る 。 こ れ ら に共 通 して 、 柔 軟 な リー ダ ー シ ッ プ を持 っ た 役 員 を抱 え る 団地 自治 会 に よる 科 学 的 な判 断 を伴 っ た 粘 り強 い 多 面 的 な 活 動 の 展 開 に よ っ て す ば ら しい 団 地 空 間 を 現 出 させ て い る。 (2)公 団 の 役 割 1)公 的 立 場 の 維 持 発 展 公 団 賃 貸 住 宅 は国 民 的財 産 で あ り、 土 地 や 住 棟 を民 間 に払 い 下 げ す る とい う よ う な安 易 な方 法 は 戒 め な け れ ば な らな い 。 過 去 に 日本 の都 市 住 宅 を リー ド して きた 実 績 が あ り、 少 な く と も 現 時 点 で 他 の事 業 主 体 で は 肩 代 わ りの 出 来 な い 技 術 集 団 で もあ る の だ か ら、 今 後 の 団 地 再 生 の リー ダ ー と して 、 公 的 立 場 を守 り なが ら コー デ ィネ ー タ ー と し て あ る い は都 市 住 宅 の あ ら た な モ デ ル を提 起 す る な どの 事 業 の 展 開 を 図 る べ きで は な か ろ うか 。 こ の た め に は 、 地 域 ・団 地 に
密 着 し居 住 者 ・市 民 の 生 活 と意 見 を大 事 に した 業 務 執 行 が可 能 とな る組 織 体 に 改 編 させ る こ と が 不 可 欠 で あ る 。 2)支 社 ご とに 自主 的 に取 り組 む 今 後 の 公 団 の 団 地 再 生 につ い て は、 支 社(あ るい は地 域)ご との 全 賃 貸 団地 を対 象 に、 自立 的 にか つ 独 自性 を持 って 取 り組 む こ とが 求 め られ る。 これ か らの 住 宅 供 給 は地 域 で の居 住 環 境 の 整 備 に合 わせ て 、 きめ 細 か く取 り組 む必 要 が あ り、 自ず と支 社 が 中心 に な っ て 事 業 を立 ち上 げ 組 み 立 て る必 要 が あ る。 3)支 払 い可 能 な 家 賃 設 定 高 齢 者 を 中心 に か な り低 廉 な 家 賃 設 定 が な され て きて は い る が 、 将 来 家 賃 が 払 え な い とい う 理 由 で 戻 れ な い居 住 者(特 に 高齢 者 世 帯)も い る。 リー ズ ナ ブ ル な家 賃 設 定 は 大 きな 課 題 の ひ とつ で あ り、 こ の こ と に よ り入居 者 が 増 え 、 居 住 が 安 定 しま た 団 地 が 活 気 づ く。 サ ス テ ィナ ブ ル な 団 地 再 生 あ る い は継 続 居 住 の 確 保 の保 障 と して必 要 不 可 欠 な 条 件 で あ る 。 注: 1)団 地 再 生 の 定 義 は様 々 で あ る 。 例 え ば 、 香 里 団 地 に つ い て も、 団 地 再 生 事 業 と い う 呼 称 で 進 め られ て い る も の の 、 これ まで の 事 業 経 緯 を み る と、 これ ま で の 全 面 建 替 事 業 の 域 を 出 て い な い 。 こ の 小 論 で は 、 コ ンサ ベ ー シ ョ ン 、 リ ノ ベ ー シ ョ ン 、 リ ビル ドな ど含 め て 広 範 囲 に考 え て い る 。 2)前 者 は郊 外 大 規 模 中 層 団 地 の 典 型 と して 有 名 で 、 近 年 再 生 事 業 も進 展 しつ つ あ る が 、 残 地 の 処 分 や 民 間 分 譲 マ ン シ ョ ンの 供 給 、 建 替 え 事 業 の10年 間 の 凍 結 な ど 多 くの 問 題 を抱 え て い る 。 ま た 、 後 者 は 都 市 内 部 で の 大 規 模 高 層 団 地 と して 、 再 生 上 、規 模 の 大 きい 住 戸 の 大 量 空 家 問 題 、 コ ミ ュ ニ テ ィ の 希 薄 性 に 関 わ る 防犯 や モ ラ ル の 問 題 、 自 治 会 活 動 へ の 参 加 が 少 な い 、 と い っ た ソ フ トの 問 題 と住 戸 ・住 棟 あ る い は 屋 外 の 整 備 を ど う進 め る か とい っ た居 住 空 間 の 物 的 問 題 も抱 え て い る。 双 方 と も そ れ ぞ れ の 団 地 分 類 の 中 で 公 団 の 団 地 再 生 研 究 や 事 業 の対 象 と して モ デ ル に な る 団 地 で あ る 。 3)香 里 団 地 み ず き街 の 調 査(高 齢 者 の み)で は建 替 後 近 所 付 き合 い が 減 っ た が50%、 変 化 な しが40%、 増 え た が5%で あ る 。 減 っ た理 由 は 、 当 然 で は あ ろ うが 付 き合 っ て い た 相 手 が 団 地 外 に 転 居 し た り、 団 地 内 で も離 れ た と こ ろ に 転 居 した と 答 え て い る(拙 稿 、 「公 団 賃 貸 住 宅 に お け る 高 齢 者 居 住 に 関 す る 基 礎 的 研 究 」、 大 阪 市 大 生 活 科 学 研 究 科 博 士 請 求 論 文2002年1月 、62p)。 4)拙 稿:「 公 団 賃 貸 住 宅 居 住 単 身 高 齢 者 の 生 活 縁 に 関 す る研 究 」 、神 戸 松 蔭 短 大 生 活 科 学 論 集 、voL34、 平 成15年3月31日 、p4∼plO 5)拙 稿:「 高 齢 者 の 生 活 か ら み た 公 団 賃 貸 住 宅 に 関 す る研 究 一 香 里 団 地 を 事 例 に一 」、 神 戸 松 蔭 短 大 生 活 科 学 論 集 、voL33、 平 成14年3月31日 、p29∼p38 6)京 大 巽 和 夫 教 授(当 時)を 主 査 と した 懇 談 会 で1993年8月 に策 定 さ れ た 全 体 マ ス タ ー プ ラ ン で あ り、 基 本 構 想 と計 画 の 枠 組 み を設 定 して い る 。 団 地 の イ ン フ ラ は 現 状 の ま ま と し、 時 代 の 要 請 に 沿 い 柔 軟