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やんばるの森と世界遺産-世界遺産熱帯林会議に出席して-: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

て−

Author(s)

伊藤, 嘉昭

Citation

沖縄大学紀要 = OKINAWA DAIGAKU KIYO(14): 53-65

Issue Date

1997-03-01

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5817

(2)

やんばるの森と世界遺産

一世界遺産熱帯林会議に出席して- 伊藤嘉昭

七月の下旬、ずっとオーストラリアにすむ古い友人の橘川次郎氏から航空便

が届いた。橘川氏は元オーストラリア生態学会会長、元オーストラリア自然保

護協会会長という、オーストラリアでは重要な地位にいる生物学者だ。いまは

クインスランド大学名誉教授。手紙によると9月2曰~6曰ケアンズで世界遺 産熱帯林会議(WorldHeritageTropicalForestConference)というのがあ るが、沖縄のやんぱるの森を世界遺産に申請することを検討しているのなら来 たらどうか、ということだった。自費でしか行けないが、もし報告もさせてく れたら行く、と答えたら、講演申し込み期限はとっくに過ぎているのに発表さ せてくれることになり、出かけてきた。屋久島が世界遺産になり、すごく見学 客が増えたと聞いている(増えすぎて、将来も続けるためには制限せねばなら ないようだ)。やんぱるも世界遺産に申請すべきか?なるとどういうことがある か?それを知りたかったのである。以下に会議での経験を書いてみたい。 会議のI性格 いまオーストラリアには11の自然世界遺産(naturalworldheritage)がある

(うち4つは文化遺産culturalworldheritageにもなっている)。日本には法隆

寺の仏教遺跡、姫路城、屋久島、白神山地、古代京都の歴史記念物の4つがあっ て、このうち屋久島と白神山地が自然遺産である(原稿執筆後広島の原爆ドー

ムが文化遺産となった)。このうちクインスランド熱帯地域の山地にある熱帯雨

林が「クインスランドの湿潤熱帯」として世界遺産に登録されたのは8番目で、

1988年のことだった。面積は894,000ヘクタールで、沖縄本島の7.5倍もある。

オーストラリア東部の熱帯雨林の大部分がこれに入る(図1)。 -53-

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4s 図1.世界遺産「クインズランドの湿潤熱帯」(黒い部分、最南端は省略) -54-

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それ以来、記念と将来の保護対策立案のための研究会を開こうと努力されて きたが、それが開かれたのである。会議では8つの特別講演、86の一般講演、 29のポスター発表があり、1人約4万円の参加費を払って250人ぐらいが参加し た。外国からの参加者はアメリカ人とヨーロッパ人があわせて10人ぐらい、ア ジアが12人だった。日本からの参加は私とインドネシア国籍の広島大学の大学 院生の2名。 開会式はまずクインスランド州環境局長が開会をし、ついで会議のコンビー ナーのキト夫人とケアンズにあるクインスランド州の3大学の「熱帯雨林生態・ 管理協同研究センター」(以下TREM)の所長ストーク博士の二人が歓迎挨拶 をしたが、これはこの会議の性格を良く現している。第一は州の政府がかかわっ ていること[国(連邦)政府もかかわっている]・第二にキト夫人はケアンズに ある湿潤熱帯管理事務所(WetTropicsManagementAuthority、以下WTM Aと「オーストラリアの雨林を守る会」という二つの肩書きでしゃべったのだ が、彼女は元来熱帯雨林を守れという運動を進めていた自然保護運動家なので ある。その努力が報いられて自然遺産に決まったとき、連邦と州の政府はそこ を守るための組織として、連邦・州の予算で運営するWTMAを作ったのだが、 そのとき彼女は運営委員に選ばれた(だから常勤でない)。会は彼女がぜひやろ うといっていたものだ。しかし世界から科学者を集めて良い会議をやるには彼 女だけでは弱い。そこでTREMの前所長の橘川氏が学者講演者の募集方法や 特別講演者の人選はこっちでやろうといったのである。これが2人の歓迎挨拶 があった理由である。ストーク現所長は歓迎挨拶の最後に「ジロー・キッカワ の努力無しにはこの会議は開けなかった。彼に拍手して欲しい」といい、盛大 な拍手が送られた。 会議の費用はどうしたか?参加費のほかにWTMAが金を出し、これに連邦 の環境・スポーツ・自治州省と工業。科学。旅行省およびクインスランド州環 境局(どっちの機関も「デパートメント」だが国は省、州は局と訳しておく)、 民間の環境システム研究所(人工衛星の情報を解析するところ)、および北クイ ンスランド電力会社が補助金を出した。 -55-

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印象深かったエコツーリズム会社社長の特別講演 開会式ではオーストラリアの化石学者と植物生態学者の特別講演があった。 その後はスイスにある世界自然保護連合(IUCN)から2人、WTMA常勤 のサックソン博士、世界的な熱帯林の権威のオックスフォード大学マイヤーズ 教授という学者のほかに、ダーウィンにあるエコツアー会社の社長ヴァン・オー スター女史とアボリジンの立場を代表したピアソン法学博士が特別講演をした。 そのなかでもヴァン・オースター女史は、世界遺産地域でエコツーリズムによ る収入が木材などのそれをはるかに上回りつつあることをあげて感銘を与えた。 「クインスランドの湿潤熱帯」では旅行者の払った金は年377億円に達したが、 伐採を止める前(1987年以前)の伐採による収入は十分の-以下の年25億円だっ たという。 エコツーリズムで入国者を増やそうという政府 会場にはオーストラリア政府(連邦政府)工業・科学・旅行省の「エコツー リズム」というリーフレットが置いてあった(Anonymous,l996c)。それにこ の言葉の定義が出ているから前後するが訳出しよう。「エコツーリズムとは自然 に基礎をおいた旅行で、自然・文化的環境と自然の地域の生態学的に保存可能 な管理のあり方を学ぶもの」とある。このリーフレットを読んで政府がすごく これを重視していることがわかった。現在オーストラリアには600のエコツーリ ズム専門旅行社があり、その収入は年間250億円に達するという。オーストラリ アへの観光客数は1993年から94年のわずか-年間に120万人から150万人と約25% も増加したが、これはエコツーリズムによるところが大きいという(もちろん 上記専門旅行社以外の普通の旅行社が行うエコツーリズムの収入も入ってくる)。 「観光客の獲得は熾烈な国間競争の中にあるが、エコツーリズムの発展がオー ストラリアをこの競争で有利にするだろう」というのが、この政府文書の結論 である。 他の国でのエコツーリズムの状況も触れておこう。アメリカでは1985年に’ 億960万人の人々が野生動物の観察を楽しんだという。エコツーリズムはアフリ カ諸国の重要な外貨獲得源であるが、ケニアでは海外からの観光客による外貨 -56-

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図2.エコツーリズム専門旅行社の広告の一つ -57-

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収入がかって1位だったコーヒーの輸出による収入を越え、1位になった。コ スタリカではエコツーリズムによる収益はlhaあたり1250米ドルにのぼってい るが、これはすでにバナナ収入を越えている(以上は池田,1997による)。 世界遺産登録の関係者ソーシル博士と会う 世界自然保護連合の代表のうちソーシル博士(JThorsell)は、世界遺産決定 委員会のメンバーで、屋久島を視察した後にここを世界遺産にすることをすす めた、重要な人物である(後述のように自然遺産は世界自然保護連合の勧告で 決まる)。最初に曰に橘川さんが私を紹介し、やんぱるの森の自然遺産化を検討 して欲しいと頼んでくれた。氏は私の講演を聞きたいといっていたが、丁度そ の時間にスイスの本部から電話が入ってしまい、聞いてもらえなかった。しか し最後の曰に会ったら、「なんとか沖縄に行きたいから案内を頼む」といわれた。 社会・経済学者の発表も 口頭発表86のうち、エコツーリズムに関する発表が4,世界遺産になったこ との影響やその運営の問題が8、この12以外の経済・社会関係の発表が10、遺 伝子源や遺伝的劣化が6、それ以外は生態学関係で、そのうち8は開発等の悪 影響に関するものだった(以下の発表および前記ヴァン・オースター女史の発 表の要旨はAnonymous,1996aにある)。私は「沖縄やんばるの雨林:その豊か な生物相とそれへの皆伐と下生え刈取りの影響」の題で講演した。前半ではや んばるにいかに多くの固有生物がいるか、やんばるの生物多様性がいかに高い かを話し、強い反響があった。この二つが世界遺産の必要条件(後述)だから である。 聞くほうでは、昆虫生態・遺伝などに聞きたいものもあったが、我慢して、 世界遺産の意義に関するものをなるべく聞いた。そのいくつかを述べよう。 図3はクインスランド大学経済学科のハリソンとチスデルによる雨林の生物 多様性の経済的価値の測定という講演の図の訳である。森林を木材や労賃収入 だけでなく、人間のための価値すべてを含めて評価することの必要`性が示され ている。ただしこれらをいくらに見積もるかは難しく、充分出来ていない。 -58-

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経済的価値

非使用価値 使用価値 遺産価値存在価値 使用間接使用選択価値 直接 医薬のもと 遺伝子源 土地の保護 水質保全 洪水回避 CO2吸収 生物のすみ場 防風 教育文化科学 `快感的価値 生産物(材等) 雇用 リクリエーション 図3.森林の経済的価値 -59-

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ジェームズ・クック大学熱帯計画センターのニヴァードは、クインスランド の世界遺産森林での旅行業の計画・管理と題して講演した。これをするために 1996年に地域のエコツーリズムほか自然に基礎をおいた旅行業の管理計画組織 が作られ、地域別に旅行者数の上限を設ける仕事が始まっているという。上限 は自然を守れるかどうかと、現地住民(アポリジン)の文化生活への影響を見 て、自動車数で決める。ただし研究は始まったばかりで、具体的な数字はなかっ た。 WTMAのグーセムは道路と電線のための帯状切り取りの影響を報告した。 オーストラリアでは道路の幅がものすごく広く、その両側も広く刈り取るので 曰本との比較は難しいが、野ネズミ数種に標識をつけて追跡したところ、12メー トル幅の道路では反対側に移った個体数が10%ぐらい減り、20メートル幅では 全く反対側に行けない種も出たという。これにより個体群が分断され、遺伝的 に隔離されると遺伝的劣化がおき、絶滅確率が上がると心配していた。 現在無職のパブロフはオーストラリア最大の鳥で絶滅危`倶種のヒクイドリの 報告をした。ミッションビーチという場所には54匹の成鳥がすみ、1匹の必要 面積は50~75ヘクタールだった。まだ数量的データが少ないが、犬による捕食 と車の衝突が減少に特に影響しているようだ。 生態学では植物、昆虫、鳥、小哺乳類などの種の多様度の仕事が行われてい たが、まだ始まったばかりで種数と総個体数ぐらいしか報告されなかった。問 題は種の多様度指数がどう変わったかだが、この計算のためのデータは蓄積さ れつつあった。 ネコはもっとも危険:インターネット送信から 会場の廊下にはWTMA(まえに書いた湿潤熱帯管理事務所)のパソコンが 置かれてあり、同事務所が保管しているオーストラリア湿潤熱帯の調査報告が 映し出せるようになっていた。同事務所では関連するすべての調査をつかんで おり、発表論文はもちろん、事務所を通じて金が流れた研究は中間報告も収集 している。どちらにも調査データや学問的考察以外に「保全上の問題点」とい う研究者の意見がつけてある。そして欲しい人は調査報告リストに丸をつけて -60-

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事務所にたのめば送ってくれるという。頼んだところ、わずか数曰で50枚を越 えるe-mailで送られてきたのには感心した(やんぱるを世界遺産にするならこの くらいの体制が必要だということである)。 送られてきた`情報の中には湿潤熱帯地域の水域における両生類の激減とか、 小型有袋類の個体群の状況など、興味が深いものが多かったが、なかでもやん ばるとの関連で注目したのは、人間が持ち込んだ肉食獣による特産醤歯類や有 袋類の捕食だった。オーストラリアは多数の旧大陸産の動物が土着した国だが、 キツネ、イヌなどにもましてネコが絶滅の危険を導く可能性が高いということ にびっくりした。キツネや野犬は雨林内部には入れず、周辺で捕食しているが、 ネコは熱帯雨林の奥にも入り込むことができるという。しかも木にも登れるの で捕食獣のうちでもっとも警戒すべきだという。やんぱるにもたくさんのネコ がいて、実際にオキナワトゲネズミ、ケナガネズミ、ヤンパルクイナなどを食 うことが糞等から判明しているが、まだ駆除は行われていない。早急に行う必 要があろう。 国立熱帯植物園設置の運動 クインスランド湿潤熱帯が自然遺産になったことで、他にもいろいろな動き が出てきた。そのひとつとして、自然遺産の入口地区に巨大な国立熱帯植物園 を作ろうという科学者の運動があり、見通しは暗くない。オーストラリア熱帯 雨林の世界の熱帯雨林と比べての特徴、人類の将来にとっての熱帯雨林の意義 がわかるようにし、また医薬や遺伝資源のもととなる植物の保存、分析、遺伝 子の保存、貴重植物の増殖と絶滅地域へ戻す仕事等が行われ、もちろん熱帯雨 林の生物の博物館を含むようにしようという計画である。やんぱるに国立亜熱 帯植物園を設置することを考えてもよかろう(世界の亜熱帯はサハラ、メキシ コ北部、オーストラリアの大部分、南アフリカをみればわかるように殆ど砂漠 か草原で、湿潤亜熱帯は台湾と沖縄以外にはごく小面積しか存在しない)。なお 生物成分の分析、遺伝子保存を含む博物館は、膨大な試薬、科学機器を必要と し、それを供給できる会社が必要となる。 -61-

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世界遺産について 世界遺産の取り決めは1972年のユネスコ第17回総会で決まり、1975年に発効 した。現在140カ国が参加している。目的はすぐれた文化的、自然的特質を人類 子孫のために保存するための国際協力で、参加国は遺産の保護、民衆への展示、 (壊れた場合の)復活に責任を持つ。世界遺産委員会は21国の代表で組織され、 採択、危険の指摘、危険除去、必要経費の確保を相談する。曰本も入っている。 1995年現在、世界に326の文化遺産、97の自然遺産、17の両方指定の遺産があ る。新しく世界遺産にしたいときは、国(StatesParties)が申請し、毎年10月 パリのユネスコ本部で受理し、事'盾聴取する。自然遺産の場合は世界自然保護 連合(IUCN)がアドバイスする(ソーシル博士の項参照)。 自然遺産の条件 簡単に書く(以下はAnonymous,1995,1996bを参考とした)。 ①美的ないし科学的にすごい世界的価値がある物理的・生物的組み合わせを もつ場所、②科学および子孫への保全の観点から絶滅危機の生物がいる、明確 に境界付けられる群集、③科学、保全および自然の美しさの点ですごい世界的 価値がある自然の場所と境界付けられる地域の3種が、自然世界遺産の対象と なる。 申請には次の4つのうち1つ以上に該当することを示さねばならない。 1)地球の歴史の主な時期を代表するすごい例である。 2)地上、淡水、海岸、海の生態系および動植物群集の進化・発展をみごとに 示す例である。 3)最上級の自然現象あるいは例外的な美しい自然。 4)すごい世界的価値のある絶滅危機の種を含む生物多様性の保存のための重 要な自然のすみ場所がある地域。 やんぱるは4)に特に関連しているが、その場合は、その生物地理的な面か ら特徴付けられるもっとも多様な生物層を保持していないといけない、とあり、 例としてサバンナなら植物・植食動物。肉食動物の完全なセットがあること、 島なら固有の生物相を持続できるすみ場所があることが条件となっている。持 -62-

(12)

続できる面積があるかどうかも判定材料である。また2)では、雨林ならいろ んな海抜を含むこと、地形や土壌の違いも含むことなどが条件となっている。 もちろん申請にはその遺産を保全するための管理プランとこうやって実行す るという文書を添えて出す必要がある。それには研究所、破壊防止の事務所、 必要な法規案などが含まれる。 最後の点で、オーストラリアでは1983年自然遺産保護法が制定された。これ によって連邦、州が金を出し合って作ったのが前記WTMAである。WTMA は見学者むけの新聞も出している。 以上はオーストラリア政府発行の2冊の小冊子(Anonymous,1995,1996b) に出ている。それによると、自然遺産になったところは旅行者の大増加が見ら れ、労働の確保、産業育成、地域住民のプライドの高まりという利益があった としている。最後の点は僻地の将来を考えるとき重要だろう。自然遺産になる ことで土地所有は変わらない。しかし個人所有地はさまざまな問題があり、大 切なところは州が買い取るようにしているらしい。クインスランド湿潤熱帯の 自然遺産地域内は狩猟、動物採集禁止であり、植生も原則的にそのまま放置さ れるからだ(完全狩猟禁止だとどうなるかというと、私はケアンズ市に接する 遺産地域の端に行ってみたが、森に入ってたった数10メートルで、特産の鳥ツ カツクリ(雄が足で枯葉をかき集め直径5メートル、高さ1メートルもの大き な枯葉の山を作り、雌はそこに産卵する。抱卵は行わず卵は枯葉の発酵熱で暖 められ孵化するという珍しい鳥)を見ることが出来て感激した。逃げようとも しなかった)。ただし自然遺産のグレードパリヤーリーフでは住民ばかりでなく 旅行者にも条件付き(場所制限、漁獲法制限)で漁獲が許されており、牧畜が 行われているところもあるそうだ。 国立公園との違い 国立公園にはオーストラリアの場合、連邦管理、州管理、両者管理があるが、 自然保全以外にリクリエーション、教育などの機能も持っている(日本でも同 様で旅館等の施設多数が許されるところと制限されているところがある)。自然 遺産は国際的に極度に重要だという判定で決まるのだから国立公園より自然保 -63-

(13)

護に厳しい。ただしクインスランドの熱帯雨林の場合は、いくつもの国立公園 を含む地区が自然遺産地区となった。 結論 沖縄やんぱるの森を世界遺産にするかどうかは、県内で良く検討してから決 めるべきことだが、そのためこうした試料を研究しておくことも大切だと思っ て紹介した。大切な自然を持つ他の地域(北海道中央山地など)のかたがたに も参考になろう。そういう意味で大変参考になる会議であった。 付記:屋久島が世界遺産になったことを記念して同様な国際シンポジウムが、 文部省および鹿児島県の援助で鹿児島、屋久島で開催された。発表者は日本人 10名、外国人10名(中国、韓国、北朝鮮、モンゴル、アメリカ、ニュージーラ ンド、スペイン)であった(InternartionalSymposiumOrganizingCommittee, KagoshimaUniversity,1996による)。 文献 Annonymous(1995)Australia'sWorldHeritage・DepartmentoftheEnvi‐ ronment,SportsandTerritories,CommonwealthofAustralia,Canber‐ ra Anonymous(l996a)WorldHeritageTropicalForestConference,Handbook &Abstracts2-6Septemberl996,Cairns,Australia、 Anonymous(1996b)WorldHeritageListing:Whatdoesitreallymean? DepartmentoftheEnvironment,SportsandTerritories,Common wealthofAustralia,Canberra Anonymous(1996c)EcotourismTourismfactsNo、16:1-3.Departmentof Industry,Science&CommonwealthofAustraia,Canberra、 Harrison,SRandTidsell,CA(1996)TheeconomicvalueofBiodiversity inNorthQueenslandRainforestslnppl4-15,WorldHeritageTropical ForestConference,Handbook&Abstracts,Cairns,Australia. -64-

(14)

池田啓(1997)哺乳類の将来一一保全生物学の視点から、土肥昭夫・岩本俊 考・三浦慎吾・池田啓共著「哺乳類の生態学」ppl92-230、東京大学出 版会 英文表題 YosiakiItdForestsofYanbaru,NorthernMontanePartofOkinawa IslandandWorldHeritage:AViewfromAttendancetoWorldHer-itageTropicalForestConference,HeldatCairnsinSeptember,1996. -65-

参照

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