資料
2014年における一関市内の保育所の給食の実施状況
髙橋秀子
*§ Implementation status of meal service at nursery schools in Ichinoseki city in 2014 TAKAHASHI Hideko要 旨
2014(平成26)年に一関市内の保育施設の調理担当者または保育士を対象に、給食の実施状況を調 査した。18 ヵ所から回答が得られた。各年齢で最も好まれた献立はカレー、0と1歳児では焼き魚と味 噌汁で、2歳児以上はから揚げ・ハンガーグなどの肉を使用した献立が好まれた。好まれないものに、 野菜類があった。給食の嗜好は、2004(平成16)年調査結果と比較し、引き続き好む献立が特定の献 立に集中する傾向にあること、野菜を苦手とする意識が高くなった可能性があることが明らかになっ た。保育施設の調理担当者は、2004(平成16)年の調査時と同様に、食に関する乳幼児への配慮を日 常的に心がけていた。また、家庭との連携の必要性を訴えていることから、連携を困難にしている課題 を解明し、具体的な推進案の提案の必要があると思われた。 キーワード:給食 食育 2014年調査 保育施設緒 言
1948(昭和23)年に文部省は、幼稚園・保育 所および家庭の教育を対象とした「保育要領-幼 児教育の手引き-」を刊行し、保育所の間食と昼 食に関することを保育所の一日の様子を示す項目 に示した。「保育要領-幼児教育の手引き-」は、 保育所での食事に関する公的な記述として重要な ものとされる。 厚生省は、1948(昭和23)年に「児童福祉施設 最低基準」を制定し、2012(平成24)年に、「児 童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に改正 した。保育所の設備は、満2歳未満児には乳児 室又はほふく室、医務室、調理室及び便所、満2 歳以上児の場合は保育室又は遊戯室、屋外遊戯 場(保育所の付近にある屋外遊戯場に代わるべき 場所を含む。)、調理室及び便所を設けること(第 32条)とされた。職員は、保育所には、保育士、 嘱託医及び調理員を置かなければならない。ただ し、調理業務の全部を委託する施設にあっては、 調理員を置かないことができる(第33条)とされ * 修紅短期大学 食物栄養学科 Shuko Junior College § 責任著者た。また、認可外保育施設があった。 2015(平成27)年からは、子ども・子育て支援 新制度が始まり、地域型保育事業として、小規模 保育事業、家庭的保育事業、居宅訪問型保育事 業、事業所内保育事業が新設された。 「保育所保育指針」の「第3章健康及び安全」に おいては、「子どもの健康及び安全の確保は、子 どもの生命の保持と健やかな生活の基本であり、 一人一人の子どもの健康の保持及び増進並びに安 全の確保とともに、保育所全体における健康及び 安全の確保に努めることが重要となる。また、子 どもが、自らの体や健康に関心を持ち、心身の機 能を高めていくことが大切である。」とされてい る。また、「第3章健康及び安全2食育の推進(1) 保育所の特性を生かした食育(2)食育の環境の 整備等」の項目を設けている。 また、2004(平成16)年に、厚生労働省より「楽 しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイ ド~」が示された⑴。そして、2005(平成17)年 に食育基本法が施行され、多くの場面で食育の実 践が求められるようになった。 保育所での食事は、1998(平成10)年より前は、 施設内調理による提供とされた。しかし、1998 (平成10)年の「保育所における調理業務の委託 について」の厚生省の通知で、「調理業務を第三 者に委託することは差し支えないものであるこ と。」と示され、調理業務の外部委託が可能になっ た⑵。通知には、さらに「施設内の調理室を使用 して調理させること。したがって、施設外で調理 し搬入する方法は認められないものであること。」 とあり、外部搬入方式は認められなかった。しか し、2004(平成16)年に、公立保育所で一定の 条件を満たす場合に給食の外部搬入方式が可能と なり、さらに2010(平成22)年に公私立問わず 満3歳以上児には、給食の外部搬入方式が可能と なった。保育所の食事の提供については、現在 は、満3歳児以上児は、施設内調理、外部委託、 外部搬入などの様々な形態での食事の提供が可 能であり、満3歳未満児は、施設内調理を原則と し、公立の保育所で一定の条件を満たす場合に外 部搬入が可能となっている。 2012(平成24)年に、厚生労働省より 「保育所 における食事の提供のガイドライン」 が公表され た⑶。食事の提供の形態は、施設内調理が中心で あるが、外部委託や外部搬入など多様化してき た。そのため、保育所の食事の運営に関わる幅広 い方々が、保育所における食事をより豊かなもの にしていくよう検討する際の参考にしてもらうた めに「ガイドライン」が作成され公表されたので ある。 入所対象児の年齢は、保育所によって、生後 2 ヶ月の乳児から小学校就学前の幼児までの間の さまざまな年齢である。各保育所の調理の現場で は、幅広い年齢の乳幼児へ給食を提供しなければ ならない。このことについて、高木ら⑷は、個人 差に対応するには集団調理の現場では調理員が少 ないため十分に対応しきれないと指摘した。 日本人の1人1日当たりの食品群別エネルギー 比率の年次推移は、2008(平成20)年の統計を 1975(昭和50)年に比較すると、小麦・加工品、 緑黄色野菜、および動物性食品等に増加がみられ た⑸。食生活が変化してきていることがわかる。 しかし、乳幼児の発育には、食品あるいは献立 に対して偏った嗜好性が発生しないことが望まし い。 著者は、岩手県一関市の保育所の給食とおやつ に関する調査研究を2004(平成16)年に実施し、 給食については、乳幼児は煮物類を好み、年齢が 上がるにつれて肉料理を好むようになること、食 べ物の嗜好は年齢の低い時期からあらわれると報 告した⑹。さらに、この時期の食体験が将来の食 生活につながる可能性があることから、保育所の 調理担当者は、0歳児には離乳食として適切なも のを、1 ~ 2歳児には食体験を増やすことを、3
~ 4歳児には栄養バランスよく好き嫌いの生じな いように、給食に配慮していた。 著者は、2004(平成16)年から10年経過した 2014(平成26)年に、一関市内の保育施設で給 食を提供する立場の職員に対して、給食、おやつ の提供の状況と課題の状況、食育の実施状況を調 査し、前回調査からの進捗を検討した。 本報告は、2014(平成26)年の調査のなかから、 給食に関する内容を取り上げたものである。今後 の保育所での安全で健康的な生活の推進に資する ことを目指す。
方 法
調査は、2014(平成26)年10月に実施した。 調査の対象は、一関市の一関地域内の公立と私 立の認可保育所12 ヶ所と認可外保育施設8 ヵ所 とした。2004(平成16)年の調査では、認可保 育所のみを調査対象としていたが、今回の2016 (平成26)年調査は、認可外保育施設も加えて 行った。認可と認可外保育施設は異なる設置基準 であるが、同時に調査を行うこととした。本報告 においては、認可保育所および認可外保育施設を まとめて保育施設と称することとする。 対象の保育施設20 ヶ所に事前に電話をかけ調 査実施の許可をいただき、調査へのご協力のお願 い、協力同意書、調査用紙の3点の書類を届け、 調査を依頼した。協力同意書と調査の回答の提出 は、1 ヶ月後に郵送によるものとした。回答者は、 調理担当者あるいは保育士の方々とした。 調査の内容は、保育施設の概要と給食に関する もので、詳細を次に示す。 1保育施設の概要について、①保育対象年齢、 ②保育時間の2項目を調査した。 2給食について、①完全給食・おかず給食・弁 当持参のいずれであるか(年齢ごと)、②調理場 所と調理者、③給食の開始と終了の時刻(年齢ご と)、④好まれる献立の分野(年齢ごと)、⑤実際 に好まれる献立(3例程度)、⑥「好まれない献立 は何か」(年齢ごとに3例程度の献立名と理由)、 ⑦献立を考える際に気をつけていること、⑧各年 齢で給食を実施する際に困っていることの8項目 を調査した。 本研究は、修紅短期大学研究倫理審査委員会よ り承認を受けている(承認番号26研倫第4号)。結 果
調査を依頼した保育施設20 ヶ所のうち、18 ヵ 所から回答が得られた。 1.保育施設の概要 ① 保育対象年齢 保育対象年齢が最も小さい保育施設で2 ヶ月 児であり、続いて3 ヶ月児、5 ヶ月児で、それら をまとめて0歳児とすると、保育対象を0歳児か らとする保育施設は16 ヶ所となった(表1)。ま た、2歳児までを保育対象とする保育施設は1 ヵ 所、3歳児までの保育施設は1 ヵ所、4歳児まで の保育施設は1 ヵ所で、それ以外の15 ヶ所の保 育施設は5歳児までを保育対象年齢としていた。 18 ヵ所中0歳児から5歳児を保育対象年齢とす る保育施設が13 ヶ所となった。 ② 保育時間 保 育 時 間 は、 最 も 早 い 開 始 時 刻 が7時 で、 11 ヶ所がその時刻に開始していた。延長保育時 間を含めて、12時間の保育時間としていた保育 施設は、12ヶ所であった。保育時間は、11.5時間、 10時間、8.5時間とする保育施設がそれぞれ1 ヵ 所ずつあった。4時間保育は2 ヵ所、24時間保育 は1 ヵ所であった。 2.給食について ① 昼食の形態 昼食は、完全給食とおかず給食と家庭から持参 する弁当の3種類の形態があった(表2)。0から2歳児までは、完全給食が多く、おかず給食の保 育施設はなくお弁当の保育所が4から5 ヶ所あっ た。3から5歳児は、おかず給食が7ヶ所に対し 完全給食が5 ヶ所で、おかず給食が上回った。お かず給食を提供する7 ヶ所の保育所は、2歳児ま では完全給食で提供しており、3歳児以上ではお かず給食に変わっていた。また、保護者が弁当か 給食かを選択する保育所が1 ヶ所あり、1から5 歳児まで給食と弁当の両方に集計した。さらに、 幼稚園に通園する以外の朝と午後の時間を保育す る保育所があり、その保育所の5歳児には昼食の 提供の必要がないと回答された。 ② 調理者と調理場所 給 食 を 提 供 し て い る 保 育 施 設 は18 ヶ 所 中 13 ヶ所であった。その保育施設中の11 ヶ所で、 保育施設の職員が保育施設内施設で調理をしてい た(表3)。外部業者による保育施設内調理が1 ヶ 所、外部の業者から搬入する保育施設は1 ヶ所で あった。 ③-1 給食の開始時間 給食の開始時間を表4にまとめた。0歳児の多 くは、主に10時30分から11時30分の間に開始 されていた。1から3歳児は11時から11時30分 の間に開始されているところが多かった。4と5 歳児は11時30分から12時までに開始されてい るところが多かった。給食は年齢の少ない園児は 早い時刻で、年齢が増すにつれて開始時間は遅い 時刻に開始されていた。 ③-2 給食終了時間 給食の終了時間を表5にまとめた。0から3歳 児までは11時30分前に食べ終えているところ が多かった。3から5歳児は11時30分から12時 30分の間に食べ終えていたが、12時30分以降に 食べ終える保育施設が1、2 ヶ所あった。 ④ 好まれる献立の分野 好まれる献立を表6に示した。グループ1の食 材別では、0歳児では魚を用いた献立が好まれる 傾向にあり、また、他の年齢と比較してみると野 菜を好んでいた。1歳児は肉や魚よりも果物を好 んでおり、2歳児は肉と果物を好み、3から5歳 児は肉を好む傾向にあった。 グループ2の調理法別では、0と1歳児で煮物 調理が好まれた。2歳児では焼き物調理、3から 5歳児では揚げ物調理が好まれていた。蒸し物調 理を好むと回答した保育所はなかった。 グループ3では、どの年齢も和風調理を好み、 0から3歳児までは特に和風調理を好んでいた。 5歳児に関しては洋風と和風がほぼ同じであっ た。また、中華風を好んでいる保育施設は少な かった。 グループ4の主食の種類別では、全年齢が共通 してご飯を好んでいた。パンと麺では麺の方が好 まれていた。 グループ5の主食、汁、主菜、副菜、デザート および牛乳の中で好まれたものは、0と1歳児は 汁物、2から5歳児は主菜を好む傾向にあった。 表1調査保育施設の概要 保育対象年齢 施設数 2 ヶ月~ 3歳児 1 2 ヶ月~ 5歳児 4 3 ヶ月~ 5歳児 2 5 ヶ月~ 5歳児 2 6か月~ 2歳児 1 6か月~ 5歳児 1 0歳児~ 4歳児 1 0歳児~ 5歳児 4 2歳児~ 5歳児 1 3歳児~ 5歳児 1 保育対象年齢児 0歳児 16 1歳児 16 2歳児 17 3歳児 17 4歳児 16 5歳児 15 保育時間 7:00 ~ 18:00 延長保育 18:00 ~ 19:00 11 7:30 ~ 18:30 延長保育 18:30 ~ 19:00 1 7:30 ~ 19:00 1 8:00 ~ 18:00 1 8:30 ~ 17:00 1 9:00 ~ 15:00 1 9:25 ~ 15:25 1 24時間対応 1
表2 昼食の形態 対象児 該当保育所数 完全給食 おかず給食 弁当 合計 備考 0歳児 16 12 0 5 17 満1歳未満は弁当、1歳以上児は給食としているため、どちらにも数えている保育所が1 ヵ所ある。 1歳児 16 13 0 4 17 保護者が給食か弁当かどちらかを選ぶため、どちらにも数えている保育所が1ヵ所ある。 2歳児 17 13 0 5 18 保護者が給食か弁当かどちらかを選ぶため、どちらにも数えている保育所が1ヵ所ある。 3歳児 17 5 7 6 18 保護者が給食か弁当かどちらかを選ぶため、どちらにも数えている保育所が1ヵ所ある。 4歳児 16 5 7 5 17 保護者が給食か弁当かどちらかを選ぶため、どちらにも数えている保育所が1ヵ所ある。 5歳児 15 4 7 4 15 保護者が給食か弁当かどちらかを選ぶため、どち らにも数えている保育所が1ヵ所ある。 幼稚園と二重保育をしている保育所が1 ヵ所あり、 その場合、昼食はないとしている。 数字は保育施設数 表3 給食の調理者と調理場所 調理者 保育施設の職員 外部の業者 調理場所 施設内 施設外 施設内 施設外 給食提供 保育施設13 ヶ所中 11 0 1 1 数字は保育施設数 表4 給食開始時間 時間帯 対象児 10:00 ~ 10:59 11:00 ~ 11:29 11:30 ~ 11:59 12:00 ~ 未記入 0歳児 7 7 0 0 2 1歳児 1 13 1 0 1 2歳児 0 13 2 0 2 3歳児 0 10 3 1 3 4歳児 0 4 8 1 3 5歳児 0 2 7 1 5 数字は保育施設数 表5 給食終了時間 時間帯 対象児 11:00 ~ 11:29 11:30 ~ 11:59 12:00 ~ 12:29 12:30 ~ 未記入 0歳児 6 7 1 0 2 1歳児 2 11 2 0 1 2歳児 1 10 4 0 2 3歳児 0 7 5 2 3 4歳児 0 5 7 1 3 5歳児 0 3 4 2 6 数字は保育施設数
汁物や主菜のほかにはデザートが多く好まれてい た。牛乳を好むと挙げた保育施設がなかった。 ⑤ 好まれる献立の例 好まれる献立の例を表7に示した。0歳児にお いては25種類の献立が挙げられ、なかでも「カ レー」や汁物の「味噌汁」が好まれていた。1歳児 では27種類挙げられ、「カレー」が10 ヶ所で好 まれ、続いて「焼き魚」と「味噌汁」が好まれた。 2歳児では25種類が挙げられ、「カレー」が7 ヶ 所から、「唐揚げ」と「味噌汁」が3 ヶ所から、「焼 き魚」「松風焼き」「白飯」「ウインナー」が2 ヶ 所から好まれる献立として挙げられた。3歳児で は27種類が挙げられ、「カレー」が2歳児と同様 に7 ヶ所から、「天ぷら」「唐揚げ」「ハンバーグ」 「クリームシチュー」が2 ヶ所から挙げられた。4 歳児では「カレー」「唐揚げ」「ハンバーグ」「グ ラタン」などが好まれていた。5歳児では「カレー」 「唐揚げ」「グラタン」と3、4歳児の好む献立の 内容とほぼ同じ結果であった。4と5歳児では好 む献立が20種類と少なく挙げられた。 全年齢の幼児が最も好む献立は「カレー」であっ た。2歳児から肉を使用した献立が好まれること が分かった。 ⑥ 好まれない献立とその理由 回答は年齢ごとに3例程度挙げてもらった(表 8)。好まれないと挙げられた献立の種類は、0歳 児で23、1歳児で27、2歳児で35、3歳児で29、 4歳児で26、5歳児で21種類となった。2歳児が 好まない献立数が最も多く、年齢が上がるにつれ て減少していった。 0歳児において「筑前煮」「シチュー」「肉料理」 「酢の物」などが挙げられ、噛み切れないものや 固いもの、クリーム系の味や酸味が苦手といった 様々な理由があった。 1歳児においては「かぼちゃのいとこ煮」「サラ ダ」などの野菜が噛めない、呑み込めないという 理由があげられ好まれない傾向にあるようだっ た。また、食感が苦手と「漬物」「ポテトサラダ」 なども好まれないと挙げられた。 2歳児は、野菜は味、見た目などの理由で好ま れないと回答した保育所があった。また、硬いも の、噛みきれない、もさもさしているもの、食べ なれていないものも好まれないと回答があった。 3歳児では様々な肉、魚、野菜料理が挙げられ た。鶏肉のボサボサ感が嫌だという「鶏肉のグリ ル焼き」や、「チャーハン」「チキンライス」など の味が強いものも苦手としている様子があった。 4歳児は「みそおでん」「ほうれん草のごま和え」 など大人の味だと感じている幼児もいるようで苦 手意識がある傾向がうかがえた。 5歳児に関しても噛みづらいなどで「もやし煮」 「いり豆腐」などが挙げられ、野菜が入っている と食べられないという献立も多く挙げられた。 ⑦ 献立を考える際に気をつけていること 表9にまとめた。保育施設全体で気をつけてい ることは、「数多くの種類の材料を使う」「旬の物 を取り入れる」「郷土料理を取り入れる」などで、 様々な食材の摂取と、調理法に偏りがないように と、栄養のバランスに関してなど多くのことに気 を配っていることが分かった。月齢と年齢に合わ せた配慮をしていた。幼児に喜んで食べてもら えるように様々なことに気をつけていると回答が あった。 ⑧ 各年齢で給食を実施する際に困っていること 表10にまとめた。「全体の摂取量が少ない」「飲 み込みが悪い」「噛めない」など食べる際に気に なることが挙げられた。また、「食材の切り方、 大きさ、ゆで加減、やわらかさなど、どの年齢に 合わせたらいいのか悩みながら工夫している」と 回答があった。また、「離乳食では家庭でやって くれないと提供できないので困る、家庭での食材 が少ないので食べなれていない」と家庭との関連 を述べた回答があった。
表6 好まれる献立の分野 0歳児 1歳児 2歳児 3歳児 4歳児 5歳児 回答保育所数 13 14 14 13 12 11 グループ1 食材別 肉 0 4 5 8 8 7 魚 5 3 3 2 2 2 野菜 3 0 0 0 0 0 果物 4 7 5 3 2 2 グループ2 調理法別 揚げ物 1 4 4 7 9 10 煮物 6 6 3 4 2 1 和え物 1 1 1 1 0 0 炒め物 0 1 0 0 0 0 焼き物 0 2 6 1 1 0 茹で物 3 0 0 0 0 0 蒸し物 0 0 0 0 0 0 グループ3 洋風和風 110 102 113 58 38 45 中華風 1 1 0 0 1 2 グループ4 主食の種類 パン 2 0 0 3 1 1 ご飯 9 9 10 6 10 6 麺 2 3 4 4 1 4 グループ5 主食 0 1 1 1 0 0 汁 6 6 3 2 2 1 主菜 3 3 7 6 5 5 副菜 0 1 0 0 0 0 デザート 2 3 3 4 3 4 牛乳 0 0 0 0 0 0 数字は保育施設数 表7 好まれる献立 0歳児 13保育施設中 14保育施設中1歳児 14保育施設中2歳児 13保育施設中3歳児 12保育施設中4歳児 11保育施設中5歳児 カレー⑶ カレー⑽ カレー⑺ カレー⑺ カレー⑺ カレー⑺ 味噌汁⑶ 焼き魚⑶ から揚げ⑶ 天ぷら⑵ 唐揚げ⑷ 唐揚げ⑷ 麻婆豆腐⑵ 味噌汁⑶ 味噌汁⑶ 唐揚げ⑵ ハンバーグ⑵ グラタン⑵ ハンバーグ⑵ 麻婆豆腐⑵ 焼魚⑵ ハンバーグ⑵ グラタン⑵ 五目納豆 シチュー⑵ うどん⑵ 松風焼き⑵ クリームシチュー⑵ 鶏の甘酢煮 ハンバーグ 麺類⑵ 五目納豆 ウインナー⑵ 酢の物(全般) 五目納豆 魚の竜田揚げ 春雨サラダ 松風焼き 白飯⑵ 鯖の味噌煮 ご飯 すき昆布煮 野菜煮 鯖の味噌煮 ミートボール ポテトサラダ 魚の竜田揚げ 納豆和え 煮魚 親子煮 鶏肉のみそ焼き 魚の竜田揚げ すき昆布煮 ミートローフ 汁 三食納豆和え 魚の竜田揚げ すき昆布煮 納豆和え ポトフ 薄味カレー すき昆布煮 すき昆布煮 かぼちゃシチュー 焼肉 天ぷら チキンライス 豚肉の生姜焼き 炒めビーフン 納豆和え 天ぷら うどん入りかき玉汁 切干大根の炒煮 とんかつ 五目玉子焼き ハッシュドビーフ ハヤシライス 中華風和え物 酢の物 納豆 ハンバーグ 味噌汁 みぞれ和え スパゲッティー 切干大根の煮物 ハッシュドビーフ ハッシュドビーフ 味付きご飯 スパゲッティー 煮魚 おじや 魚のムニエル 天ぷら すいとん 煮魚 焼きそば 煮浸し すき昆布の炒煮 卵のオーブン焼き 納豆 サラダ ご飯 そぼろ煮 さんまの梅干し煮 納豆ご飯 麻婆豆腐 野菜炒め 野菜炒め ご飯 やわらかめのご飯 すいとん ミートボール フルーツ フルーツ あんかけ バナナ 麻婆豆腐 鮭 ほうれん草納豆和え ほうれん草納豆和え パン ご飯 酢の物(全般) ひじき おかゆ コールスローサラダ トマト ご飯 スープ トマト つけもの 野菜炒め くだもの くだもの 白身魚の甘酢あん フルーツ 豆腐の野菜あんかけ 里芋の煮もの ほうれん草の納豆和え ポークビーンズ ハンバーグ レンコンハンバーグ やわらかい野菜の煮つけ 魚のホイル焼き ・各保育施設回答は3例 ・献立名に付した( )の数字は回答した保育施設数
表8‐1 0歳児と2歳児が好まない献立 0 歳 児(13保育施設中) 1 歳 児(14保育施設中) 献立名 理由 献立名 理由 筑前煮 噛み切れない かぼちゃのいとこ煮⑵ 野菜が得意でない、噛めない、飲み こめない シチュー・グラタン クリーム系の味が苦手 サラダ⑵ 野菜が得意でない、シャキシャキし た食感が苦手 酢の物 酸味が苦手 酢の物⑵ 酸っぱいものが苦手 納豆 ねばねばがいや ケチャップ煮 ケチャップ等苦手なため きゅうりもみ 不明 野菜たっぷりキッシュ 野菜が得意でない ハンバーグ ケチャップのソースが苦手 かぼちゃスープ フライ 食感、そしゃくが未発達なため舌ざ わりで出してしまう 野菜サラダ 不明 小松菜の炒め物 シャキシャキした食感が苦手 焼き魚 レバニラ 卵焼き 飲み込むまでに時間がかかりもさもさとした食感のため アスパラの中華和え アスパラが噛み切れない 野菜の和物 トマトを使った物 味がわかり好き嫌いが出てきた グリーンサラダ 野菜の味が強い 肉料理 かたくなり、かみきれない 五目豆 食べなれていない お粥 夏の間は進みが悪い 漬物 ポテトサラダ 食感 白飯 夏の間は進みが悪い お煮しめ ごぼうサラダ ミネストローネ 噛みごたえがあるのもが苦手 クリームスパゲティ 鱈 サラダ(生野菜) 味と食感、見た目 おひたし 梅和え (形が大きかったりするなど)苦手で見た目で野菜とはっきりわかると なかなか手をつけない しかし味付けによっては食べるもの もある ひじき 野菜バーグ 中華あんかけ いつも同じで飽きている 生野菜 マカロニサラダかぼちゃサラダ 見た目と味、食べなれない 野菜酢づけ かみにくいもの ビーンズサラダ 飲みこめない、かめない スパゲティ かみにくいもの 魚 ブロッコリー ひじき 食べづらい スパゲティ ゆで野菜(インゲンなど) のどごしが悪いもの噛めない子が多い ・各保育施設回答は3例 ・献立名に付した( )の数字は回答した保育施設数 表8‐2 2歳児と3歳児が好まない献立 2 歳 児(14保育所中) 3 歳 児(13保育所中) 献立名 理由 献立名 理由 生野菜⑵ 味、見た目、付け合わせの際に味が ないとなかなか進まない 小松菜の炒め物 シャキシャキした歯ごたえが苦手 かたい肉(焼いたもの)⑵ 固いため 和え物 みそ汁 サラダ 野菜が苦手 炒め物 野菜が苦手 みそおでん みそだれが苦手 竜田揚げ(魚) 固いため グラタン 洋風を好まない 八宝菜 野菜が苦手 たらフライタルタルソース 洋風を好まない サラダ 和え物 豚汁 野菜がなかなか食べられない 野菜の煮物 野菜サラダ 野菜の和え物 不明 みそおでん チキンサラダ 筑前煮 噛み切れない、もさもさしている パプリカ料理 ナス料理 パプリカやナスが入っている料理はなかなか進まない もやし煮 もやしの食感がいや 鶏肉のソース唐揚げ 唐揚げの味付けが苦手 野菜サラダ 野菜の和え物 不明 魚のムニエル 豚肉の生姜焼き 白和え 噛んでいるうちに水分がなくなりもさもさとした食感になりやすい ししゃも焼き すりみ汁 ぜんまい 見た目、食感、うす味 ししゃも焼き 鮭バーグ 見た目や食べなれないもの骨が気になる アスパラの中華和え アスパラが苦手 酢の物 酸っぱいものが苦手 パプリカなどの大きめの野菜 豚レバーの竜田揚げ ゆで卵のミートソースがけ 不明 ひじき 魚 ポークソテー 食べづらい きゅうりもみ きゅうり酸っぱさが苦手 チャーハン オムライス 味が強いため サンドイッチ パン類が苦手なため ミルクスープ おひたし ピクルス 味付けによって食べられるもの、苦手なものがある ヨーグルトサラダ 酸っぱいサラダ 味、見た目 鶏肉のグリル焼き 親子煮 肉類の中で鶏肉のボソボソ感じが苦手な場合もある 野菜関係 食べなれていない 卵焼き パサパサのため ひじき 魚 ポークソテー 食べづらい ゆで野菜(インゲン) もやしスープ 歯ざわりや野菜そのものが感じられるもの 白菜おひたし 野菜炒め 和え物 肉類の中で鶏肉のボソボソ感じが苦手な場合もある ・各保育施設回答は3例 ・献立名に付した( )の数字は回答した保育施設数
表8‐3 4歳児と5歳児の好まない献立 4 歳 児(12保育所中) 5 歳 児(11保育所中) 献立名 理由 献立名 理由 アスパラ入り野菜炒め 野菜が苦手 煮魚 飲み込めないため 茄子のそぼろ煮 野菜が苦手 肉料理 量が少し多いため 煮魚 飲みこめないため 煮物 和え物 年長児はかなり好き嫌いなく食べる があえていえばこの2点 煮物 和え物 野菜が多いと進まない 大根のそぼろ煮 大人向けの味だから みそおでん ほうれん草のごま和え ビーフシチュー 大人向けの味だから みそおでん 大人向けの味だから 夏野菜料理 酢の物 トマト味のスープ さつま揚げの照煮 卵のオーブン焼き 不明 夏野菜料理 酢の物 トマト味のスープ 不明 いり豆腐 きゅうりもみ 焼魚 噛み切れない、ぱさぱさ感がある もやし煮 いり豆腐きゅうりもみ 噛み切れない レバー煮 野菜の和え物 きのこ・なすのみそ汁 べとべと感、野菜が嫌い キッシュ野菜(特にパプリカ) 入っていると食べられない 南瓜の煮物 里芋の煮物 ごぼう炒め 食べなれていない野菜や、固いもの 魚のムニエル お煮しめ鶏レバーの生姜煮 飲み込むまでに時間がかかるため とろろ汁 とろとろとした食感が苦手 五目煮物 野菜が苦手なため ひじき 魚 ポークソテー 食べづらい ひじき 魚 ポークソテー 食べづらい ・各保育施設回答は3例 ・献立名に付した( )の数字は回答した保育施設数 表9 献立を考える際に気をつけていること ・食材のバランス、色どり、旬の食材を使用する。 ・好き嫌いを問わず何にでも挑戦できるように新メニューを考えている。 ・いかに野菜をおいしく、食べやすくできるか工夫している(柔らかく煮る味付けなど)。 ・未満児、以上児ではそしゃく力が違うので、別メニューにしたり柔らかく煮るなど変えている。 ・栄養のバランス、食材のバランス、見た目、食べやすい大きさや量。 ・旬の物を取り入れる。 ・旬の食材を使う。 ・味付けや、形状など。 ・食物アレルギー児への配慮。 ・0歳児 家での進み方を参考にしている。1,2,3,4,5歳児 旬の野菜、果物をとり入れる。子ども達に喜んで食べ てもらえるように工夫している。 ・同じような材料や調理法にならないよう注意する。 ・いろんな種類の材料を使う。 ・郷土料理を取り入れる。・各年齢で献立は等一しているので、全体的に見て、同じ食材が続かないこと、同じ調理法が 続かないこと、料理の組み合わせなどは気をつけて献立を立てている。 ・食材は国産の物を使用する。 ・季節の食材を使用する。 ・魚料理を多く取り入れる。 ・0歳児 月齢に合った食材の大きさや固さ。 ・1歳~2歳児 彩りや大きさ、味付けが偏らないようにする。 ・3歳~5歳児 彩りや大きさ、味付けが偏らないようにする。 ・栄養のバランス。 ・運営している会社の方からカロリー計算された献立を送っていただき、それをもとに作っている。 ・低年齢の子が多いのでメニューによっては材料を変更している。 ・0歳児には、その子の進み具合に合わせて火の通し方や大きさを変えている。 ・お家で食べていないものは出さないように気を付けている。 ・1歳以上には、なるべく色々な食材を取り入れたいと考えている。 表10 給食を実施する際に困っていること ・食材の大きさ、固さ等どの年齢に合わせるか日々悩んでいる。 ・ご飯、野菜等、もう少し食べて欲しいがなかなか食べられず、全体の摂取量が少ない。 ・離乳食では、同じ月齢でも家庭で食べていなければ提供していないので、献立に影響する。 ・基本的に3歳未満児、3歳以上児とも同じおかずを提供しているので、野菜の切り方や、ゆで具合をどのようにするか を工夫しなければならない。 ・飲みこみが悪い。 ・かめない。 ・0歳児 保育園に入所する時点で離乳食をやっていない家庭が増えてきている。家でやってくれないとなかなか進めら れないので困ることが多い。 ・家庭での食材の種類が少ないので食べ慣れていない。 ・困っていることは特にないが各年齢によって、食材の大きさや固さの配慮、こんにゃくなど飲み込みに危険があるもの は使用時期を遅らせるなどしている。 ・栄養のバランスを考えすぎて、ワンパターンになっている時がある。 ・全年齢でアレルギーがあるお子さんへの対応
考 察
1.昼食の概要 0から2歳児の弁当の昼食は、各年齢において 4から6 ヵ所あった。これは、調理施設を持って いない保育施設が6 ヵ所ということと一致してい る。また、調理施設を持っている保育施設の内、 1 ヶ所が調理業務の外部委託を行なっていた。調 理業務の外部委託は、1998(平成10)年の厚生 労働省通知で可能になったことである。 2.好まれる献立 「カレー」が好まれる献立としてあげた保育所 が多かった。10年前の調査でも「カレー」が好ま れていた。また、10年前は、「ハンガーグ」も好 まれていたが、現在は「から揚げ」の方が好まれ ていた。年齢が上がるにつれて、魚から肉料理 へ、煮物から揚げ物調理へと好むものが変わって いくことは、10年前と同様であった。 「カレー」に人気が集中していたことは、食べ る食事の内容が画一化することや食事の献立の種 類の減少を示す可能性があるかもしれないと推測 する。 3.好まれない献立 0歳児では、好まない食材というよりも食感や 味が苦手といった理由があげられた。1歳児頃か らは、野菜、肉、魚などの食材、それらを使った 献立など多くのものが好まれないものとして出さ れた。1歳児以上で野菜を好むと回答した保育所 がなかったこと(表6)と合わせて、野菜が苦手 と回答した保育所が多かった。10年前は、野菜 を好むと回答した保育所があったので、現在は野 菜離れが進行した可能性がある。野菜を嫌わず食 べられるようにするために意識的に働きかけるこ とが必要と思われる。 4.給食を提供する際の姿勢 保育所の給食を提供する方々は、様々な年齢の 乳幼児への配慮を日常的に心がけていることにつ いて、10年前の2004年(平成16)年も現在も変 わりがないことが分かった。0歳児に対して月齢 に合った食事の提供、1から5歳児は彩りや味付 けに配慮し、国内産の安全な食材を使用し、多 種類の食材をとり入れて慣れさせるといった工 夫が窺えた。また、家庭で食べさせた食材が少な く、保育所で扱える食材が限られると指摘があっ た。筆者は、2004(平成4)年の調査から、乳幼 児への栄養指導には調理担当者を含めた保育所と 家庭が連携することが必要と指摘をしているが、 2014年(平成26)年においても同様の指摘をす る必要があるといえる。保育施設の果たす役割と 家庭の果たす役割を明確化し線引きすることは、 様々な子どもの家庭環境などが背景にあるため、 難しい現状である⑺。しかしながら、保育所と家 庭での連携を困難にしている要因を解明し、より 取り組みやすい具体的な連携の提案をする必要性 があると考える。まとめ
調査した保育施設では、乳幼児の食事の提供を よりよいものにするため、乳幼児の様子を把握 し、様々な観点からの改善を試みていた。このこ とは、献立に対する嗜好の調査において、5歳児 での好まない献立が少なくなることから示された 内容である。謝 辞
本研究を実施するにあたり、調査にご協力いた だきました一関市内の保育施設の皆様に心よりお 礼申し上げます。文 献
⑴ 厚生労働省雇用均等・児童家庭局.楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド ~.2004. ⑵ 厚生省児童家庭局.保育所における調理業務 の委託について.1998. ⑶ 厚生労働省.保育所における食事の提供のガ イドライン.2012. ⑷ 高木瞳、青木良子.保育所給食に対する調理 員の意識と課題-小・中規模保育園の調査 から-.岐阜聖徳学園大学短期大学部紀要. 2001,33,119-130. ⑸ 厚生労働省.国民健康・栄養調査. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/ kenkou_eiyou_chousa.html (閲覧2019年11月18日) ⑹ 髙橋秀子、青山裕二.保育所の給食を提供す る立場からみた課題-2004年岩手県I市にお ける調査-.修紅短期大学紀要.2011,32, 13-23. ⑺ 木本一成、小笠原文孝、﨑村英樹、野﨑秀正、 大坪祥子、上村清吾、﨑村康史、石井薫.保 育所と家庭の食事に対する連携と協働.保育 科学研究.2015,6,78-90.