道路関連情報のプラットフォームを目指して
鎌田高造(一般財団法人日本デジタル道路地図協会専務理事)
当協会は,道路網及び道路地図に関する数値情報の
調査研究とその標準化を推進し,道路及び道路交通の
情報化に貢献することを目的として設立されました
が,設立30年を経過して役割が少しずつ拡がりつつあ
るのを感じます。
ここ数年,政府は自動運転に代表される新たな交通
システムの実現を目指して一体となって取り組んでき
ています。当協会でも自動運転の実現に欠かせない詳
細な道路地図の標準案について,ISO/TC204に専門家
を継続的に派遣するとともに,そこでの審議結果を
SIP-adusで報告するなど,精力的に取り組んで参り
ました。今般,国会に提出中の道路法改正法案は,こ
のような流れを加速するものとみています。以下,審
議中の改正法案の内容のうち当協会に関係しそうな部
分を挙げてみます。
まず,磁気マーカーなど自動運転車の運行を補助す
るための装置が新たに道路付属物として位置付けられ
ることとなります。道路管理者は,自動運行補助施設
を設置した場合は,その性能や設置場所などを公示す
ることとなります。当協会では,これまで,道路の位
置,道路網の接続状況,道路の基本属性をデータベー
ス化してきましたが,今後は沿道に置かれる自動運行
補助施設についてもその正確な位置をデータベースに
格納することになると予想しています。これは,自動
運転車が円滑に運行できるだけではなく,道路管理者
が道路付属物を効率よく管理していく上でも重要だと
えられます。
次に,特殊車両の通行許可手続きを迅速化すること
が挙げられます。特殊車両,すなわち車両の重量や寸
法が一定限度を超過するような車両については,その
安全かつ円滑な通行のために,橋梁の耐荷重が十分で
あるか,また,交差点で沿道の家屋や工作物ならびに
他の自動車などと接触することなく折進できるかなど
を,予め道路管理者が確認する必要があります。この
ような特殊車両の通行は,物流需要と連動してますま
す増大していますが,そのために道路管理者の審査に
は数週間以上要しており,これが物流の円滑化を阻害
する大きな要因として注目されるようになりました。
今回の改正法案では,あらかじめ登録してある特殊車
両については,出発地及び目的地と,貨物自動車につ
いては積載貨物の重量や寸法を明示して申請すること
により,直ちに通行可能経路の有無が判定されること
となります。
実際には,法改正だけでは審査は加速できませんの
で,特殊車両が通行しそうな交差点については直轄国
道から順に MMS で詳細な三次元点群データを取得し,
それと申請のあった特殊車両の最小回転半径や車長(ホ
イールベース及びフロントオーバーハングなど)をもと
に折進可能性を自動判定できるよう工夫することとな
ります。また,橋梁についても,その位置(どの路線に
属しているか)及び許可限度重量の算出をデジタル化
し,自動判定に活用できるようにすることとなります。
これらの作業は,当協会が単独で行うわけではあり
ませんが,DRM-DB の上に点群データや橋梁位置な
どが道路属性として重ね合わせられたようなシステム
が形成されることになると えます。点群データは,
特殊車両の通行可能経路探索だけではなく,道路管理
全体の高度化,効率化にも寄与することが期待されて
おり,その意味では DRM-DB+MMS は新しい時代
の道路プラットフォームとなるべきと えます。
当協会は,このようなことを想定しつつ,関係者と
広く協力して道路,交通,物流の下支え役を果たして
まいりたいと えています。
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写真測量とリモートセンシング」VOL.59,NO.2,2020