音楽的思考の過程における他者とのコミュニケーションによるズレの機能 ―鑑賞授業の図形楽譜づくりの場合―
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(2) さらに、音楽的経験を発展させていく上で、児童が. く。そして、「なめらかな感じ」がする部分を、変. ズレを認識することの必要性を挙げている 1九 つ. 奏②の初めの部分に合わせて、図形楽譜を指さして. まり、児童がズレを認識することによって、戸惑い. 根拠を示す。さらに、「ガクつてなるところがある」. を感じて、探究が始まると捉えられよう。. というイメージをもち、変奏②の低音部分の音楽に. これらのことにより、本研究において、「音楽的. 合わせて「ガクっとなる」図形楽譜の部分を指さし. 思考におけるズレ」については、「自己と対象との. て、「ここ」と発言をして、根拠を示す。このよう. 聞に起こる音楽の感じ方に対する違和感」と規定す. に 、 C岡田は音楽的思考を発展させていった。. る。このように規定したことから、子どもがズレを. 5 . 考察と今後の課題. 認識することによって、「不確定状況」となり、「確. 音楽の感じ方の違し、からズレが認識された後、そ. 定状況」に向かつて、音楽的思考を働かせるという. の根拠を説明し合う中で、他者の音楽の感じ方に共. ことから、ズレを認識することは音楽的思考の起点. 感する姿もみられた。今後は、協働学習を行う上で、. として位置づけることができると考える。. ズレがどのように機能して、児童が音楽的思考を発. 3 . 研究授業の概要. 展させていくのかを明らかにしたい。. 分析対象とした授業は、 I市内 M 小学校 5年生 を対象に筆者が実施した「変奏曲形式を感じながら、 《きらきら星変奏曲》を味わおう」悶の授業である。 授業分析の視点は、. r c岡田がズレを認識した後、. 音楽的思考がどのように発展したのかJである。. 注 1 ) 卜部友真 ( 2 0 1 5 )r 音楽科授業における子どもと教材と. のズレの作用 J~学校音楽教育研究』第四号,日本学校 音楽教育実践学会, p p .1 2 8 -1 2 9. なお、児童の名前は全て仮名とし、実践の分析の. 2 ) 小島律子 ( 1 9 7 8 )r 子どもの動きにみられるずれの諸相 J ,. 対象となった児童、保護者にはデータ使用の許諾を. p . 帝塚山授業研究所編『授業分析の理論』明治図書, p. f 尋ている。. 1 5 1 1 6 3. 4 . 研究授業の分析. 1 9 7 5 )~民主主義と教育(上)Jl 3 ) ].デューイ著,松野安男訳 (. [経験 a】変奏②の図形と色を決める場面. 岩波書居, p.235. C岡田は、「グジャグ、ジャにした図形が、変奏②. 4 ) 向上書, p .2 3 2. の音楽のイメージと合っている」とする C岩本の. 5 ) 向上書, p .2 3 6. イメージに関するズレを認識したことによって、 C. 2 0 1 5 )r 経験の再構成としての授業展開」小 6 ) 小島律子 (. 岡田の「なぜ、変奏②の図形をグジャグ‘ジャにした のか」というような個の問題が、他者への質問で顕. 島律子編『音楽科授業の理論と実践生成の原理に .6 1 よる授業の展開』あいり出版, p. 在化された。その後、再度音楽を聴いて、手でリズ. 7 ) 向上論文, p .5 9. ム打ちをして、音楽を知覚・感受する。さらに、知. 8 ) 兼平佳枝 ( 2 0 1 7 )r 音楽的思考J 日本学校音楽教育実践. 覚・感受したことを人に伝えるため、図形を絵で描. 学会編『音楽教育実践学事典』音楽之友社, p .4 0. いたり、「雨粒みたいな感じ」と発言したりして、. 9 ) 向上論文, p.40. イメージを分節化していった。このように、 C岡田. 1 0 ) 小島律子 ( 1 9 7 8 )前掲論文「子どもの動きにみられる. ずれの諸相 J,p .1 5 1. は音楽的思考を発展させていった。. ] 変奏②の図形と色を決める場面 【経験 b C岡田は、. 1 1 ) 同上論文, p .1 6 1. r c岩本が作った図形」と音楽のイメー. ジが合わないというようにズレを認識したことによっ て、変奏②の初めの部分を聴いて知覚・感受したこ. .1 5 7 1 2 ) 同上論文, p 1 3 ) 小島律子 ( 2 0 1 1 ) ~子どもが活動する新しい鑑賞授業. 音楽を聴いて図形で表現してみよう』音楽之友社, p.22. とを基に、新たに丸みのある図形を作り、「丸い感 じ」というイメージをもっ。そして、他者の質問に よって、変奏②の初めの旋律を聴いて、「丸い感じ」 というイメージを分節化して、「丸はなめらかな感 じ」というように、イメージを詳細なものにしてい. - 15-.
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