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発泡スチロール系漂着ゴミの資源循環システムのための経済性評価基礎モデル

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緒  言

沿岸部の漂着ゴミの状況と対応  日本全国に漂着する漂着ごみの総量は,環境省の推計で は,約19 万t~36 万t(2014年時)であり,実際に回収 されたゴミは5万tほどである1)。特に九州東シナ海側や 北海道東部は,周辺国からの漂着ゴミも多く,長崎県対馬 市などの離島では,沿岸部が大量のゴミで埋まる状況も見 られる。対馬市では沿岸国の事業系ゴミが多く,その中で も漁具として使用されている発泡スチロールが多く含まれ ている2)。沿岸部に漂着した発泡スチロールは,波力など で破砕され,そのプラスチック片が沿岸部岩場の間に堆積 し,貝類やゴカイ類の生育環境を脅かしている3)ことに加 えて,このプラスチック片の破砕が進むと,5mm以下の マイクロプラスチックとなると考えられている。近年,マ イクロプラスチックによる生態系への影響が懸念されるよ うになり,その実態調査などが進みつつある。このように, 漂着ゴミは必ずしも景観だけの問題ではなく,生態系への 影響も考えていく必要がある課題となっている。  このような中で,2009 年7 月に「美しく豊かな自然を 保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に 係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」(海岸漂 着物処理推進法)が施行され,漂着ゴミの発生抑制や回収 処理がすすめられている4)。対馬市では2009年度に環境省 が設けた地域グリーンニューディール基金により,2010年 度には約3億円の回収費用を投じて,約1万5千立方メート ルの漂着ゴミを回収し,2011年度は約2億円の回収費用で 約9千立方メートルを回収している5)。しかしゴミの回収 は行政からの補助金を利用したボランティア活動により支 えられており,予算不足から回収が進まない自治体も多い。

1 水産大学校海洋機械工学科(Department of Ocean Mechanical Engineering, National Fisheries University)

2 NPO森里海再生協議会(NPO Council for Environmental Revitalization of Forests, Villages and the Sea)

別刷り請求先(corresponding author)[email protected]

発泡スチロール系漂着ゴミの資源循環システムのための

経済性評価基礎モデル

石田武志

1†

, 石田雅照

1

, 津田稔

1

, 生駒信康

2

Economy-evaluation model for a resource circulation

system of polystyrene foam from marine debris

Takeshi Ishida

1

, Masateru Ishida

1

, Minoru Tsuda

1

, and Nobuyasu Ikoma

This study developed a basic model to evaluate the economic efficiency of fuel recycle of polystyrene foam from marine debris. This model was developed using spreadsheets and the optimization calculation tool in Microsoft Excel. In this model, a resource - energy circulation system comprising three units was assumed: (i) a polystyrene foam liquefaction system, (ii) an industrial cogeneration system (CGS) of small scale factory, and (iii) a photovoltaic (PV) power generation of residential house. The developed model deduces the most economically efficient plan involving energy exchange between an industrial CGS plant and residential PV systems. The optimization results show the possibility of additional economic benefit of PV while keeping investment payback period of CGS and PV within a certain range. The economic benefit from implementing this energy exchange can also be reinvested to produce recycled oil from polystyrene foam or to collect coastal marine waste. The developed model showed the possibility of an economically viable recycle system of polystyrene foam from marine debris.

(2)

80 石田武志 , 石田雅照 , 津田稔 ,  生駒信康 さらに,回収された漂着ゴミの処理についても課題が残さ れている。特に離島においては島内処分施設の不整備のた め島外処理を行う必要があり,島外への運搬費が非常に高 くなる。対馬市の事例では,1.05m3の袋1袋当たり,島外 への運搬費が約1万円と報告されている5)。このように, 漂着ゴミの回収・処理において,補助金に頼る部分が多く, 事業の継続性は,補助金の規模により決まる形となる。補 助金が少なくなった場合,回収が進まなくなるとともに, 回収されたゴミについても,最も費用がかからない山間地 への埋立て処分方式になってしまうことが危惧されてい る。漂着ゴミは塩分や化学物質を吸着している場合が多く, そのまま山間地に埋め立て処分を行うと,土壌汚染などの 2次汚染につながる可能性も懸念される。  このため今後は,浮遊状態も含めた漂着ゴミの効率的な 捕捉・回収技術と,事業採算性を踏まえた処理システムを 検討していくことが必要である。回収については,池上ら6) によるゴミの補足・回収システムの開発などが進められた が,実用化には至っていない。また回収された漂着ゴミの 再資源化については,発泡スチロールの油化装置の導入な どが対馬市や沖縄県鳩間島などで試みられている7)。油化 されたスチレン油は,油化装置の燃料に用いられるととも に,重油などと混焼して燃料として利用できる。また輸送 費がかさむ発泡スチロールは,植物油を用いた脱塩・減容 化技術の開発が川原,山口ら8, 9)により行われ,容積を 1/50程度にできると報告されている。生駒10)は海洋浮遊ゴ ミの処理システムの省エネ・省力化の検討を行い,地域で ゴミを処理して利用するミニエコ経済圏を提案している。  一般に漂着ゴミを回収・処理するためには,コストとエ ネルギーが必要である。しかし,現在の社会経済の枠組み や技術の選択肢の中では,必ずしも直接的な利益が得られ ない漂着ゴミの再資源化を行う経済主体は,自発的には表 れないことは明らかである。石田ら11)は,太陽光発電な どの分散エネルギーを地域内で連携して,エネルギー的に 自立した「分散エネルギー・クラスター」を構築し,この クラスターが,資源を永続的に移動させる余剰エネルギー を生み出すことで,ゴミの再資源化を促進させる「資源循 環エンジン」を提案している。このように,回収・資源化 にかかるエネルギーは自然エネルギーを利用していくこと が有効と考えられ,金子12,13)らは,発泡スチロール減容化 装置をオンサイトで使用するための,小型の垂直軸型風力 発電機を作製している。この風力発電機により,漂着ゴミ の回収現場で減容化を行うことができ,輸送費用の大幅な 低減が可能となる。近年,太陽光発電や風力発電などの自 然エネルギーは低価格化が進み,事業収益性が向上してお り,ゴミ処理技術などと組み合わせても,採算性がとれる 可能性が出てきていると考えられる。  また経済性に関してのもう一つの障壁は人件費である。 漂着ゴミの回収・資源化事業においても人件費を考慮した 場合,事業が成立しない状況であり,従来はボランティア に頼る部分が大きかった。しかし,事業の永続性を考える と,今後はIT技術による自動化や無人化を進めるととも に,仮にボランティアに依存する部分においても,その経 済的なインセンティブを制度化していく必要がある。 漂着ゴミの資源循環のための経済性評価基礎モデル  本研究は,漂着ゴミの再資源化が事業として成立するた めの技術的条件,制度的条件および経済的条件を総合的に 検討し,漂着ゴミの回収・利用が成立するための条件を明 らかにする基礎モデルを開発することが目的である。具体 的な評価対象は,発泡スチロール系の漂着ゴミに注目し,

5

CGS による発電のうち余剰電力分は,住宅に供給されるとともに,PV による余剰電力も事業

所へ融通するシステムを考えた。廃プラスチック由来のスチレン油によるディーゼルエンジン

の稼働については,溝口ら

14)

により,軽油とスチレン油の混合油で使用した場合,スチレン

油の混合割合で

20 wt%まではディーゼル機関の燃料として使用可能であるとの報告がある。

今後,住宅用

PV の固定価格買取制度が徐々に終了してくことが想定され,住宅 PV での余

剰電力を適切に地域内で消費することが求められていくと考えられる。

Fig.1 のような事業所

CGS と住宅 PV 間でのエネルギーの相互融通を考慮した最適化モデルによる評価で,より大

きな省エネルギーが確保できることは石田

15)

の研究などにも報告されている。また,漂着ゴ

ミなどから得られたスチレン油を用いることで,

CGS の経済性をより向上することが可能とな

れば,その余剰利益を漂着ゴミ回収へと投じることができ,補助金などに頼らない資源循環が

成立できる可能性があると考えられる。

本研究では,このような電力融通により採算性が成り立つ条件を明確にする基礎モデルをマ

イクロソフト

EXCEL ベースに作成した。EXCEL で作成することにより,最適化計算などを

容易に実施できると共に,計算式を追っていくことで誰にでもわかりやすいツールとしても用

いることができるモデルにすることができる。また,現状の国内の電力事業に係る法制度では,

Fig.1 に示すような住宅と事業所の相互の電力融通と電力事業者からの電力購入を時間帯別に

区切って利用することはできない状況であるが,今後固定価格買取制度が縮小し,小口電力に

おいても自由売買市場へと移行することとなれば,時間帯別に任意の電力売買を行うことも可

能になっていくと考えられる。本モデルでは,現状の電力価格体系に基づく経済性の評価のみ

ならず,電力供給の制度変更により個別の電力融通が可能となった場合の経済性も考慮できる

ものであり,漂着ゴミの資源循環が経済的に成立する最適ポイントの探索を行い,その制度的

条件も明確にできるツールとなるものである。

(3)

Fig.1に示すような発泡スチロール油化装置とコージェネ レーションシステム(CGS),太陽光発電(PV)を組み合 わせたものである。発泡スチロール系の漂着ゴミが沿岸部 で回収・減容化(同時に脱塩)され,収縮・固化した発泡 スチロールを一か所に収集し,油化装置によりスチレン油 を生成する。さらに,近隣に所在する事業所に設置された A重油を燃料とするCGSと,PVが導入された住宅群の組 み合わせを想定した。油化装置でつくりだされたスチレン 油は,油化過程で自己消費されるとともに,余剰分はCGS の燃料として使用する。さらにCGSによる発電のうち余剰 電力分は,住宅に供給されるとともに,PVによる余剰電 力も事業所へ融通するシステムを考えた。廃プラスチック 由来のスチレン油によるディーゼルエンジンの稼働につい ては,溝口ら14)により,軽油とスチレン油の混合油で使 用した場合,スチレン油の混合割合で20 wt%まではディー ゼル機関の燃料として使用可能であるとの報告がある。  今後,住宅用PVの固定価格買取制度が徐々に終了して くことが想定され,住宅PVでの余剰電力を適切に地域内 で消費することが求められていくと考えられる。Fig.1の ような事業所のCGSと住宅PV間でのエネルギーの相互融 通を考慮した最適化モデルによる評価で,より大きな省エ ネルギーが確保できることは石田15)の研究などにも報告 されている。また,漂着ゴミなどから得られたスチレン油 を用いることで,CGSの経済性をより向上することが可能 となれば,その余剰利益を漂着ゴミ回収へと投じることが でき,補助金などに頼らない資源循環が成立できる可能性 があると考えられる。  本研究では,このような電力融通により採算性が成り立 つ条件を明確にする基礎モデルをマイクロソフトEXCEL ベースに作成した。EXCELで作成することにより,最適 化計算などを容易に実施できると共に,計算式を追ってい くことで誰にでもわかりやすいツールとしても用いること ができるモデルにすることができる。また,現状の国内の 電力事業に係る法制度では,Fig.1に示すような住宅と事 業所の相互の電力融通と電力事業者からの電力購入を時間 帯別に区切って利用することはできない状況であるが,今 後固定価格買取制度が縮小し,小口電力においても自由売 買市場へと移行することとなれば,時間帯別に任意の電力 売買を行うことも可能になっていくと考えられる。本モデ ルでは,現状の電力価格体系に基づく経済性の評価のみな らず,電力供給の制度変更により個別の電力融通が可能と なった場合の経済性も考慮できるものであり,漂着ゴミの 資源循環が経済的に成立する最適ポイントの探索を行い, その制度的条件も明確にできるツールとなるものである。

計算モデル

モデルの構成  Fig.1のエネルギーシステムを構成する要素のうち, Fig.2のシステムフローに示す範囲を最適化モデルの計算 対象とした。計算対象としては,沿岸部の小型風力発電, 発泡スチロールの減容化装置や油化装置を外して考えた。 これはこの3つについては,価格などの情報が少なく,ま た経済性の評価も困難な状況であるためである。Fig.2に おけるそれぞれの設備要素でのエネルギー及び資源の入出 力をモデル化した。EXCELのシートの構成はFig.3のよう になり,エネルギー設備間のエネルギーフローの最適値を 求める総括シートの下に,計算に必要なエネルギー需給量 (事業所及び住宅),電力・燃料単価,経済性を求めるシー ト群が作成されている。エネルギー需給については,季節 別(夏期,冬期,中間期別)24時間値の区分で計算を行っ た(PVについてはこれに加え,晴れ・雨・曇りの気象別 区分を導入している)。  一方で,Fig.2に示すシステムにおいて,経済性が成立し, 余剰利益が確保できることがわかれば,その利益を回収・ 減容化・油化の各装置や作業に充てることが可能となり, 補助金を削減しても活動が継続される環境を構築していく ことが可能となると考えられる。 6

Fig.1 Outline of assumed waste collection and energy system

計算モデル モデルの構成 Fig.1 のエネルギーシステムを構成する要素のうち,Fig.2 のシステムフローに示す範囲を最 適化モデルの計算対象とした。計算対象としては,沿岸部の小型風力発電,発泡スチロールの 減容化装置や油化装置を外して考えた。これはこの3つについては,価格などの情報が少なく, また経済性の評価も困難な状況であるためである。Fig.2 におけるそれぞれの設備要素でのエ ネルギー及び資源の入出力をモデル化した。EXCEL のシートの構成は Fig.3 のようになり, エネルギー設備間のエネルギーフローの最適値を求める総括シートの下に,計算に必要なエネ ルギー需給量(事業所及び住宅),電力・燃料単価,経済性を求めるシート群が作成されている。 エネルギー需給については,季節別(夏期,冬期,中間期別)24 時間値の区分で計算を行った (PV についてはこれに加え,晴れ・雨・曇りの気象別区分を導入している)。 一方で,Fig.2 に示すシステムにおいて,経済性が成立し,余剰利益が確保できることがわ かれば,その利益を回収・減容化・油化の各装置や作業に充てることが可能となり,補助金を 削減しても活動が継続される環境を構築していくことが可能となると考えられる。

Fig.2 System flow of optimization calculation

(4)

82 石田武志 , 石田雅照 , 津田稔 ,  生駒信康 計算条件の設定  各シートでの計算内容と設定条件は以下のとおりである。 (1)エネルギーフロー最適化・総括シート 「エネルギーフロー最適化・総括シート」は、発泡スチロー ルの投入量,事業所CGSの発電容量,住宅PVの発電容量, 住宅戸数,CGS電力の売電単価,PV電力の(事業所への) 売電単価を入力すると,CGS及びPVの経済性(投資回収年 数)が表示されるシートである。また,各要素間のエネルギー フローの計算値が表示されるようになっており,全体のエ ネルギーフローの状況が把握できるようになっている。 Fig.4にシート画面の例を示す。黄色いセルが設定値であり, ピンク色のセルが経済性の計算結果が表示されているセル である。緑色のセルは,途中の計算値を示している。  また,EXCELの最適化計算ツール(GRG非線形モデル) を用いて,事業所のCGSの発電容量,住宅戸数,CGS電力 の売電単価,PV電力の(事業所への)売電単価の4つを 変数として,一定の回収年数の範囲内で,電力コストの削 減(=余剰利益)が最大になる最適値の計算も同時に実施 できるツールとなっている。CGS回収年数は10年以内, PV回収年数は20年以内という制約のもとで計算を行って いる。最適化計算のモデル式は付録に添付している。  また計算の前提となる発泡スチロールの回収量は,漂着 ゴミ量×発泡スチロール比率×回収率により算 定した。本報告では,漂着ゴミ量365t/年,回 収率20%,発泡スチロール比率40%と想定し, 減容化する量を1日80kgと仮定した。また再生 されたスチレン油のうち,40%は油化装置で自 己消費されると設定したため,CGSへのスチレ ン油投入量は32kg/日となる。 (2)事業所のエネルギー需給・コスト推計シート  このシートで事業所の1日24時間の電力需要 を設定(季節変動がないと想定)するとともに, CGSの発電量,余剰発電の売電量,不足電力の 購入量を推計した。またこれらの数値から, CGSの燃料消費量,購入電力料金,売電収入な どを計算し,全ての電力を電力事業者から購入 した場合と比較したエネルギーコストの低減額 およびCGSの回収年数を計算している。現状の 電力供給制度では,時間帯別に異なる電力事業 者から電力を購入することはできないが,本推 計シートでは電力供給制度の提案も行うことを目指してい るため,余剰電力が生じた時間帯のみ,住宅への電力の独 自供給を検討できる設定とした。このときの電力の託送料 金は考慮していない。  さらにCGS燃料については,油化装置からのスチレン油 を無償で受け入れるとしている。CGSの熱は事業所内の生 産設備や油化装置などで全て使い切れると想定した。小型 のディーゼル発電CGSを想定し,発電効率は低位発熱量基 準で40%,排熱回収効率は32%とした。事業所の電力需要 は,昼間のみ稼働する中小規模の事業を想定し,以下のよ うに設定し,事業所の需給の季節別変動はないとした。  事業所の電力需要(季節変動無し,365日稼働と想定)  昼間(8~18時)  : 毎時200kWh  夜間(18~翌8時) : 毎時10 kWh (3)住宅のエネルギー需給・コスト推計シート  住宅の1日24時間の電力需要値を基礎として,季節別(夏 期,冬期,中間期),天候別(晴れ,曇り,雨)に,PV発 電量,余剰発電の売電量,不足電力の購入量を推計した。 またこれらの数値から,購入電力料金,売電収入などを計 算し,全ての電力について電力事業者と売買した場合と比 較したエネルギーコストの低減額を計算した。また事業所 と電力融通する住宅数は最適化計算により求めた。

Fig.3 Spreadsheets constitution of optimization model

7

Fig.3 Spreadsheets constitution of optimization model

(5)

8

漂 流 ゴ ミ に お け る エ ネ ル ギ ー ・ 資 源 循 環 モ デ ル 灯油購入量 電力購入量 電力購入量 電力売電量 58 kg/ 日 1, 843 k W h/日 40 k W h/日 85 k W h/日 灯油 事業所 発電電力 PV付 発泡ス チ ロ ー ル 住宅 漂 流 ゴ ミ 回 収 ・ 選 別 油化装置 ディ ーゼ ル C G S 電力量 [オ ー ル電化) 廃油 CG S 80 k W h/日 漂着量 12 戸 365 t/年 発泡ス チ ロ ー ル回収量 発泡ス チ ロ ー ル油化量( ス チ レ ン 油) 発電量 PV発 電 量 80 kg/ 日 32 kg/ 日 378 k Wh /日 10. 1 k Wh /日 発泡ス チ ロ ー ル比率 回収率 油化装置容量 発電容量 P V 発電容量 40 %( 重量比) 20 % 1000 kg /日 16 kW C G S 電力の売電単価 3 kW ※処理量の上限 5 円/k W h P V (設備費) 油化装置( 自己消費) P V 電力売電単価( 電力会社) 120 万円 40 % 20 円/k W h P V 電力売電単価( 独自) P V 設備単価 対馬・ 油化装置の事例: 1日80k g処理( フ レ コ ン 4~5袋) 40 円/k W h 40 万円/k W 漂着ご み回収コ ス ト の試算 P V 回収年 220. 46 年( 電力会社へ売電) 回収・ 選別コ ス ト 油化装置( 設備費) C G S (設備費) 16. 88 年( C G S へ売電) 146 円/k g ? 円 441 万円 回収人件費 5600 円/人日 油化装置( 稼働費) C G S (稼働費) 回収・ 選別量 100 k g /人日 ? 円/k g( 処理量) 1. 5 円/k W h 運搬費用 90 円/k g 2t ト ラ ッ ク =18万円 C G S 設備単価 28 万円/k W 11, 680 円/日 35k W =980万円( ヤ ン マ ー ジ ェ ネ ラ イ ト ) 426 万円/年 油化装置( 設備費) 回収年 ? 年 ※デ ー タ が無い た め、 経済性評価で き な い ※熱は事業所内で 使い 切る と 想定

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Fig.4

(6)

84 石田武志 , 石田雅照 , 津田稔 ,  生駒信康 (4)住宅負荷および電力需要量推計シート  本モデルでの住宅にはPVが設置されているものとし, 都市ガス等を用いないオール電化住宅を想定した。住宅の エネルギー負荷は,住宅の床面積を100m2として,空気調 和・衛生工学会の原単位データ16)を用いて,季節別24時 間値を空調用,給湯用,その他電力用として求めた。この 負荷をベースに,空調用エネルギー負荷からCOP3.0の想 定で割り戻し空調用消費電力量を求め,給湯用負荷から COPが3.0の想定で給湯用消費電力量を求めた。そしてこ れらを,その他電力負荷と合わせ住宅全体の電力需要量と した。Fig.5に本推計で用いた住宅のエネルギー需要量を 示す。 (5)PV発電量推計シート  日本建築学会 拡張アメダスデータにおける標準気象 データ(365日別24 時間値,福岡)の日射量データを用い て,PV発電量を時刻別に推計した。このときPVパネルは 正南に向けて,水平から30°の角度で設置するとし,発電 効率を14%として計算した。住宅用電力需給は季節別に計 算を行うため,365日データの時刻別値から季節別・天候 別の代表的な発電量を選定した。天候の出現率は,福岡管 区気象台の天気出現率(1980~2010年の月別平均)より, 季節別の晴れ・曇り・雨の出現日数を求めた。 (6)CGS経済性推計シート  CGSの設備諸元と稼働状況より,購入電力+従来型ボイ ラーによるシステムと比べた場合の投資回収年数を推計し た。計算条件は以下のとおりである。 ・機器効率  CGS発電効率 :0.40  CGS熱回収効率:0.32  年間稼働時間:8760h  従来型ボイラー効率 : 0.80 ・経済単価  CGS 初期コスト = 280,000 円/ kW  CGS 運転コスト = 1.5 円/ kWh  燃料費(A重油) = 52 円/ℓ ・ 事業用電力単価は,九州電力の離島供給約款の料金メ ニュー(低圧電力)を用いて,想定した事業所の電力需 要より平均単価を推計し15.6円/kWhを用いた。 ・ CGSにより発電した電力の電気事業者への売電単価は5 円/kWhとした。また,CGSから住宅に独自に電力を供 給する電力単価は,最適化計算の変数として求めた。 (7)PV発電経済性推計シート  PVの設備諸元と稼働状況より,従来住宅の電力料金と 比べた場合の投資回収年数を推計するシートを構築した。 計算条件は以下のとおりである。 ・PV発電容量  :3kW/住宅 ・PV初期コスト :400,000円/kW ・ 電力事業者から従来住宅が購入する電力単価は,九州電 力の離島供給約款の料金メニュー(電灯電力B)に基づ き,住宅の電力需要より平均単価を推計し24円/kWhを 用いた。 ・ 電力事業者からPV住宅が購入する電力単価は,オール 電化住宅用のメニューである,九州電力の離島供給約款 の料金メニュー(季節別電灯)に基づき,昼間(10-17時) 30円/kWh,朝・夜(8~10時,17~22時)23円/kWh, 深夜(23~7時)10円/kWhを用いた。  

結  果

 Table.1に最適化計算結果を示す。この結果から,CGS とPVの回収年数を一定以内に抑えながら,相互に電力を 供給することで,PV住宅の電力削減による利益を最大に できるパラメータの組み合わせが存在することが分かっ た。本モデルでの設定の条件下においては,最適CGS容量 が16kWと比較的小規模となっている。Fig.6には事業所に おける時刻別の電力需給状況を示している。図中の折れ線 が事業所に電力需要であり,CGSの発電は昼夜を通じた ベース電力となっており,昼間の電力不足分をPV住宅か らの余剰電力で補い,夜間の余剰CGS電力をPV住宅に供

Fig.5 Assumed electricity demand of House

11 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 0時 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 El ec tr ici ty de m and [k W h] Time

Summer Spring and Autumun Winter

Fig.5 Assumed electricity demand of House (5)PV 発電量推計シート 日本建築学会 拡張アメダスデータにおける標準気象データ(365 日別 24 時間値,福岡)に おける日射量データを用いて,PV 発電量を時刻別に推計した。このとき PV パネルは正南に向 けて,水平から 30°の角度で設置するとし,発電効率を 14%として計算した。住宅用電力需 給は季節別に計算を行うため,365 日データの時刻別値から季節別・天候別の代表的な発電量 を選定した。天候の出現率は,福岡管区気象台の天気出現率(1980~2010 年の月別平均)よ り,季節別の晴れ・曇り・雨の出現日数を求めた。 (6)CGS 経済性推計シート CGS の設備諸元と稼働状況より,購入電力+従来型ボイラーによるシステムと比べた場合の 投資回収年数を推計した。計算条件は以下のとおりである。 ・機器効率 CGS 発電効率 :0.40 CGS 熱回収効率:0.32 年間稼働時間:8760h 従来型ボイラー効率 : 0.80 ・経済単価 CGS 初期コスト = 280,000 円/kW

(7)

給していることがわかる。   Fig.7に最適値を中心にCGS容量を変化させた計算結 果を示す。図中の赤線が容量の最適値を示している。年間 の利益は,CGS容量が大きくなるほど向上するが,一方で CGS回収年数も増大していく。逆にPV回収年数は,CGS 容量が大きくなるほど小さくなる。CGS容量が大きくなる ほど,住宅へ供給する電力が大きくなり,PV回収年の低 減につながっていると考えられるが,逆にCGS回収年数は 増大してしまう形となる。これらの制約により最適値が定 まっていることがわかる。Fig.8に最適値を中心に住宅戸 数を変化させた計算結果を示す。図中の赤線が住宅数の最 適値を示している。年間の利益は住宅数が最大の12戸で最 大化されている。住宅数がこれより大きくなるとCGS回収 年数が10年を超えてしまっていることがわかる。  Fig.9に最適値を中心に,事業所から住宅へのCGS売電 単価を変化させた計算結果を 示す。図中の赤線がCGS売電 単価の最適値を示している。 年間の利益はCGS売電単価を 低くすれば,それだけ住宅側 の経済性が有利になり,年間 の利益も最大化されるが,逆 にCGSの経済性が悪化するこ とがわかる。CGS回収年数の 制約により,5円/ kWhが 最適値となっている。  Fig.10に最適値を中心に, 住宅から事業所へのPV余剰 電力の売電単価を変化させた 計算結果を示す。図中の赤線 がPV余剰電力売電単価の最 適値を示している。年間の利

Table.1 Optimization calculation result

CGS capacity [kW ] 16

Number of houses 12

Electricity selling unit price from CGS to house 5 Electricity selling unit price from PV to factory 40

Investment recovery year of CGS [year] 10.0

Investment recovery year of PV [year] 16.9

Annual profit [10,000yen] 79.6

Fig.6  Calculation results of electricity supply and demand of factory

13 Table.1 Optimization calculation result

C G S capacity [kW ] 16 N um ber of houses 12 Electricity selling unit price from C G S to house 5 Electricity selling unit price from P V to factory 40 investm ent recovery year of C G S [year] 10.0 investm ent recovery year of P V [year] 16.9 A nnual profit [10,000yen] 79.6

-50 0 50 100 150 200 250 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 El ec tri sit y [ kW h] Time CGS power generation [kWh] Power purchase from PV [kWh] Power sell to power company [kWh] Power sell to houses [kWh] Electricity demand [kWh]

Fig.6 Calculation results of electricity supply and demand of factory

Fig.7 に最適値を中心に CGS 容量を変化させた計算結果を示す。図中の赤線が容量の最適値 を示している。年間の利益は,CGS 容量が大きくなるほど向上するが,一方で CGS 回収年数 も増大していく。逆に PV 回収年数は,CGS 容量が大きくなるほど小さくなる。CGS 容量が 大きくなるほど,住宅へ供給する電力が大きくなり,PV 回収年の低減につながっていると考 えられるが,逆に CGS 回収年数は増大してしまう形となる。これらの制約により最適値が定 まっていることがわかる。Fig.8 に最適値を中心に住宅戸数を変化させた計算結果を示す。図中 の赤線が住宅数の最適値を示している。年間の利益は住宅数が最大の 12 戸で最大化されてい る。住宅数がこれより大きくなるとCGS 回収年数が 10 年を超えてしまっていることがわかる。

Fig.7  CGS and PV investment recovery years and

annual electricity profit for CGS capacity

14 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5 10 15 20 25 4 8 12 16 20 24 An nu al p ro fit [10, 000y en ] In vest m en t r ec ov er y yea r CGS capacity [kW] Investment recovery year of CGS Investment recovery year of PV Annual profit

Fig.7 CGS and PV investment recovery years and annual electricity profit for CGS capacity

0 30 60 90 120 150 0 5 10 15 20 25 4 8 12 16 20 24 An nu al p ro fit [10, 000y en ] In ves tm en t r ec ov er y yea r Number of houses Investment recovery year of CGS Investment recovery year of PV Annual profit

Fig.8 CGS and PV investment recovery years and annual electricity profit for number of house

Fig.9 に最適値を中心に,事業所から住宅への CGS 売電単価を変化させた計算結果を示す。

Fig.8  CGS and PV investment recovery years and

annual electricity profit for number of house

14 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5 10 15 20 25 4 8 12 16 20 24 An nu al p ro fit [10, 000y en ] In vest m en t r ec ov er y yea r CGS capacity [kW] Investment recovery year of CGS Investment recovery year of PV Annual profit

Fig.7 CGS and PV investment recovery years and annual electricity profit for CGS capacity

0 30 60 90 120 150 0 5 10 15 20 25 4 8 12 16 20 24 An nu al p ro fit [10, 000y en ] In ves tm en t r ec ov er y yea r Number of houses Investment recovery year of CGS Investment recovery year of PV Annual profit

Fig.8 CGS and PV investment recovery years and annual electricity profit for number of house

(8)

86 石田武志 , 石田雅照 , 津田稔 ,  生駒信康 益はPV電力の売電単価を高くすれば,それだけ住宅側の 経済性が有利になり,PVの回収年数も短縮され,年間の 利益も最大化されるが,CGS回収年数の制約により,40円 / kWhが最適値となっている。売電単価としての40円/ kWhは現状の住宅用電力単価の水準からみても非常に高 い価格であり,事業所にとっては不利であるが,無償のス チレン油の受け入れや,住宅への電力売電による稼働率の 向上などにより,経済性を確保できている形となっている。

Fig.10  CGS and PV investment recovery years and

annual electricity profit for electricity unit price from houses to factory

16 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 10 20 30 40 50 60 20 30 40 50 60 Annua l pr of it [1 0, 00 0y en ] In ves tm en t r ec ov er y yea r Electricity selling unit price from PV to factory [Yen/kWh] Investment recovery year of CGS Investment recovery year of PV Annual profit

Fig.10 CGS and PV investment recovery years and annual electricity profit for electricity unit price from houses to factory

考察 現状の再生可能エネルギーの固定価格買取制度のもとでは,電力事業者によるPV 余剰電力 の買取単価が高く設定されており,PV 余剰電力を工場等の事業所に安く売電する選択は通常 ではされない。しかし,固定買取価格は順次引き下げられてきており,今後は電力の市場取引 価格に収れんしていくことが考えられる。市場取引価格が一定以下の安価な状況になれば,本 モデルで計算した条件のほうが有利になり,事業所への電力融通による経済性の確保が現実的 になっていくと考えられる。また電力自由化が進んでいるものの,夜間のみなど時間帯別に異 なる電力事業者から電力を購入することは現在の制度ではできない。しかし,仮に時間帯別に 工場等の事業所と住宅が電力を融通しあうことが制度的に可能になった場合,本報告で示した ように,売電単価のバランス次第で採算が合い,さらに経済的な余剰を生み出す条件が実現で きる可能性があると考えられる。 事業所の CGS の経済性については,スチレン油を無償で受け入れることができれば,経済 性が向上することは明らかである。この経済性が向上した分を含めることで,Table.1 に示す ようにCGS の投資回収年数を 10 年以内と抑えつつ,同時に PV の投資回収年数も 20 年以内

考  察

 現状の再生可能エネルギーの固定価格買取制度のもとで は,電力事業者によるPV余剰電力の買取単価が高く設定 されており,PV余剰電力を工場等の事業所に安く売電す る選択は通常ではされない。しかし,固定買取価格は順次 引き下げられてきており,今後は電力の市場取引価格に収 れんしていくことが考えられる。市場取引価格が一定以下 の安価な状況になれば,本モデルで計算した条件のほうが 有利になり,事業所への電力融通による経済性の確保が現 実的になっていくと考えられる。また電力自由化が進んで いるものの,夜間のみなど時間帯別に異なる電力事業者か ら電力を購入することは現在の制度ではできない。しかし, 仮に時間帯別に工場等の事業所と住宅が電力を融通しあう ことが制度的に可能になった場合,本報告で示したように, 売電単価のバランス次第で採算が合い,さらに経済的な余 剰を生み出す条件が実現できる可能性があると考えられる。  事業所のCGSの経済性については,スチレン油を無償で 受け入れることができれば,経済性が向上することは明ら かである。この経済性が向上した分を含めることで, Table.1に示すようにCGSの投資回収年数を10年以内と抑 えつつ,同時にPVの投資回収年数も20年以内と,現状の 電力事業者への売電と大きく変わらない条件を保つことが できる条件が存在し,PV住宅の電力費削減をさらに上乗 せさせることが可能であることがわかる。この電力費削減 分を住宅側の利益としてもよいが,この利益を漂着ゴミの 回収費用や,減容化装置,油化装置の初期コストの償却に 用いることも有効であると考えられる。例えば,漂着ゴミ の回収のボランティアに参加した住宅は,CGSから夜間安 い電力を購入する権利が得られるなどの制度が仮にできれ ば,補助金に頼らない漂着ゴミ回収・再資源化サイクル事 業の経済的な確立の道筋が見えてくると考えられる。本報 告では,基本モデルの構築が主眼であったため,計算事例 として1つの最適化結果のみの報告であったが,今度,様々 な条件での計算を継続して行っていく必要がある。  現状の自然エネルギーに対する高い単価での買取制度 は,一般の需要家の電力料金にその負担が付加されており, 今後永続的に続くことは考えにくい。いずれは,自然エネ ルギーによる余剰電力も,電力の自由市場のもとでの価格 で売買されることになると考えられ,本報告で検討したよ うな電力融通が経済的に選択される可能性も高くなってい くと考えられる。また,時間帯別に電力事業者を選択する

Fig.9  CGS and PV investment recovery years and

annual electricity profit for electricity unit price from factory to houses

15 図中の赤線がCGS 売電単価の最適値を示している。年間の利益は CGS 売電単価を低くすれば, それだけ住宅側の経済性が有利になり,年間の利益も最大化されるが,逆に CGS の経済性が 悪化することがわかる。CGS 回収年数の制約により,5円/kWh が最適値となっている。 Fig.10 に最適値を中心に,住宅から事業所への PV 余剰電力の売電単価を変化させた計算結 果を示す。図中の赤線がPV 余剰電力売電単価の最適値を示している。年間の利益は PV 電力 の売電単価を高くすれば,それだけ住宅側の経済性が有利になり,PV の回収年数も短縮され, 年間の利益も最大化されるが,CGS 回収年数の制約により,40 円/kWh が最適値となってい る。売電単価としての40 円/kWh は現状の住宅用電力単価の水準からみても非常に高い価格 であり,事業所にとっては不利であるが,無償のスチレン油の受け入れや,住宅への電力売電 による稼働率の向上などにより,経済性を確保できている形となっている。 0 50 100 150 200 250 300 350 400 0 5 10 15 20 1 3 5 7 9 11 An nu al p ro fit [10, 000y en ] In ves tm en t r ec ov er y yea r Electricity selling unit price from CGS to house [Yen/kWh] Investment recovery year of CGS Investment recovery year of PV Annual profit

Fig.9 CGS and PV investment recovery years and annual electricity profit for electricity unit price from factory to houses

(9)

などについては,スマートメーターの普及により可能とな り,時間帯別の売買決済などは,ブロックチェーン技術や フィンテック(Fintech)技術の普及などにより,技術的 には将来可能となると考えられる。このように電力市場の 制度の工夫により,漂流ゴミなどの資源循環の経済性が成 立する可能性があると考えられる。

結  論

 本報告では,漂流ゴミを評価対象とした資源・エネルギー 循環モデルの基礎を構築し,比較的に簡易に最適化計算を 実施できるEXCELツールとして実装した。現状の制度で は,事業所とPV住宅間での個別の電力融通は困難である が,今後の法制度の変更,小口電力市場の創設などにより, 漂着ゴミの回収・再資源化という資源循環が経済的に成立 する可能性があることを示すことができた。本報告でも明 らかになったように,再生可能エネルギーの導入政策にお いては,単に発電設備の普及を目指しただけの価格設定で はなく,資源循環全体を考慮して,余剰電力などのエネル ギー融通に対する価格設定や補助制度などの制度設計を 行っていく必要があると考えられる。  また本モデルでは,発泡スチロールの減容化装置や油化 装置の初期コストの設定については,情報不足のため考慮 していないが,住宅において一定の電力代削減効果が得ら れれば,その利益を用いることで,ゴミ処理システムの経 済性を確保していくことが可能であり,今後より詳細な ケーススタディを検討していく必要がある。  さらに,漂着ゴミの資源循環システムとしては,減容化 した発泡スチロールや漂流木材をバイオマス発電の燃料と して利用する方法もあり,多様な再資源化システムを考え ることができる。このため本モデルを多様なシステムを検 討できるものに拡張し,様々な経済性の検討,加えてその 経済性を実現するための法制度等の提言をしていくことを 考えている。

付  録

(最適化モデル式) (添字)  i:季節(夏期,冬期,中間期), j:時刻(1-24時), k:天候(晴れ,曇り,雨) (気象変数) Suni,j,k : 日射量 (エネルギー負荷変数) DMND_fi,j :事業所の建物電力負荷 DMND_hi,j :住宅の電力負荷 (機器の変数)  n : 住宅数 Pvi,j :太陽光発電量(一戸当たり) PV_CAP :太陽光発電容量 CGSi,j :CGS発電量 CGS_CAP :CGS容量 (エネルギー融通量の変数)  Esell_BtoRi,j :事業所から住宅群への売電 Ebuy_RtoBi,j :住宅群から事業所への売電

(10)

88 石田武志 , 石田雅照 , 津田稔 ,  生駒信康 (エネルギー購入量の変数)  Ebuyi,j  :系統からの電力購入量(事業所) Eselli,j  :系統への売電量(事業所) Fuel_hi,j :重油消費量合計(事業所) Fuel_si,j :スチレン油消費量合計(事業所) Ebuy_hi,j :系統からの電力購入量(住宅) Esell_hi,j :系統への売電量(住宅) Ebuy_costi,j  : 系統から事業所への買電単価 Esell_costi,j  : 事業所から系統への売電単価 Ebuy_h_costi,j :系統からPV住宅への買電単価 Esell_h_costi,j :PV住宅から系統への売電単価 Esell_BtoR_costi,j :事業所から住宅群への売電単価 Ebuy_RtoB_costi,j :住宅群から事業所への売電単価 CGS_payback : CGS投資回収年 PV_payback  : PV投資回収年 (係数) c_cgs_eff :CGS発電効率 c_cgs_h  :CGS熱回収率 pv_eff   :PV発電効率 c_cgs_cost :CGSの初期コスト pv_cost  :PV初期コスト fuel_cost : 重油単価 styrene_cost : スチレン油コスト(=0) (事業所のエネルギー機器のエネルギー入出バランス式) CGSi,j ≦ CGS_CAP    

CGSi,j = Fueli,j ×c_cgs_eff

Ebuyi,j +CGSi,j -Eselli,j -Esell_BtoRi,j = DMND_fi,j

(住宅のエネルギー機器のエネルギー入出バランス式) PVi,j,k  × n ≦ PV_CAP × n  

PVi,j,k = Suni,j,k ×pv_eff

(11)

謝  辞

 本論文のテーマについて考える契機を与えていただき, また様々な情報をお教えいただきました,日本マリンエン ジニアリング学会「沿岸域廃棄物の再資源化に関する調査 研究委員会」の川原秀夫委員長(大島商船高等専門学校教 授),および委員の皆様に感謝申し上げます。

文  献

1 ) 内外地図株式会社「環境省委託業務 平成27 年度 漂 着ごみ対策総合検討業務報告書」(2016) 2 )片岡 孝次, 生駒 信康:発泡スチロール製品の国内需 要とリサイクルおよび漂着発泡スチロールのリサイク ルの可能性, 日本マリンエンジニアリング学会誌 52, 5, 574-578 (2017) 3 )三原 伊文:マイクロプラスティック,ミリプラスティッ ク, 日本マリンエンジニアリング学会誌 52, 5, 566-568 (2017) 4 )石田 雅照, 三原 悠, 三原 伊文:漂着ゴミに関する規制 の動向, 日本マリンエンジニアリング学会誌 52, 5, 560-565(2017) 5 )脇本啓喜, 三原伊文, 三原叶也:対馬市における海洋・ 海岸汚染の現状と課題及び展望について, 日本マリン エンジニアリング学会誌 49, 2, 170-172(2014) 6 )池上国広, 平山完, 利光一紀, 海洋浮遊ゴミの補足・回 収システムの開発, 日本マリンエンジニアリング学会 誌 49, 2, 179-184 (2014) 7 )宇野秀敏:発泡スチロールから燃料 ~宝の島を夢み て~ , 食品と容器, 52, 8, 496-501, (2011) 8 )川原 秀夫, 山口 伸弥, 三原 伊文:オイルバスを利用し た発泡ポリスチロール廃棄物の脱塩・減容化特性, 日 本マリンエンジニアリング学会誌 52, 5, 569-573(2017) 9 )山口伸弥,他:地産地消を目指す発泡ポリスチレンの 減容化について, 日本マリンエンジニアリング学会誌 49, 2, 185-187(2014) 10)生駒信康:海洋浮遊ゴミの処理システムにおける省エ ネ・省力化の検討, 日本マリンエンジニアリング学会 誌 49, 2, 196-199(2014) 11)石田 武志, 石田 雅照:エクセルギー・エントロピー (CGSの経済性の制約式) CGS_payback = 

c_cgs_cost /Σi,j((DMND_fi,j × Ebuy_costi,j )-( Ebuyi,j × Ebuyl_costi,j -Eselli,j × Esell_costi,j

-Esell_BtoRi,j ×Esell_BtoR_costi,j +Fuel_hi,j + Fuel_si,j))

CGS_payback ≦ 10 (年)

(PVの経済性の制約式) PV_payback = 

pv_cost /Σi,j,k((DMND_hi,j × Ebuy_h_costi,j )-(Ebuy_hi,j,k ×Ebuy_h_costi,j,k -Esell_hi,j,k × Esell_h_costi,j,k

- Esell_RtoBi,j,k ×Esell_RtoB_costi,j,k + Esell_BtoRi,j,k × Esell_BtoR_costi,j,k ))

PV_payback ≦ 20 (年)

(目的関数)住宅における電力コスト削減(=利益)の最大化

MaxΣi,j,k ((Ebuy_hi,j,k ×Ebuy_h_costi,j,k - Esell_hi,j,k×Esell_h_costi,j,k - Esell_RtoBi,j,k × Esell_RtoB_costi,j,k

+Esell_BtoRi,j,k × Esell_BtoR_costi,j,k )-(Ai,j,k + Bi,j,k))

   if (PVi,j,k -DMND_hi,j )≧0 then Ai,j,k =(PVi,j,k -DMND_hi,j )× Esell_h_costi,j, else Ai,j,k =0

(12)

90 石田武志 , 石田雅照 , 津田稔 ,  生駒信康 過程から考える海洋ゴミの再資源化 - 分散エネルギー で駆動する“資源循環エンジン”の提案, 日本マリン エンジニアリング学会誌 52, 5, 579-584(2017) 12)金子 憲一, 朴 忠稙: 再生可能エネルギーを利用した 資源化処理 - FGV付垂直軸型風車性能と浮体構造型 電源の提案, 日本マリンエンジニアリング学会誌 52, 5, 585-589(2017) 13)岡田怜, 金子憲一: 垂直軸型風力タービンの応用と性 能改善に関する研究, 日本マリンエンジニアリング学 会誌 49, 2, 191-193(2014) 14)溝口弘泰, 長谷川勝男, 古川秀雄, 宇野秀敏, 大貫 伸: 「漂着ゴミ」由来の廃プラスチック混合油を使用した ディーゼル機関の燃焼特性, 水産技術, 3, 1,27–36 (2010) 15)石田武志,森俊介:都市街区内におけるマイクログリッ ド等の分散エネルギーネットワーク評価モデルの構 築,エネルギー資源学会論文誌,29, 1 (通巻167), 8-14 (2008) 16)(社)空気調和・衛生工学会:「都市ガスによるコージェ ネレーションシステム計画・設計と評価」(1994)  

参照

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