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<研究ノート>介護人材確保と専門性構築の矛盾:ホームヘルパーに対する人材確保政策の経緯から

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Academic year: 2021

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介護人材確保と専門性構築の矛盾

- ホームヘルパーに対する人材確保政策の経緯から -

The Discrepancy between Securing Long-Term Care Personnel and Establishing Expertise among the Said Personnel

: As Viewed from Human Resources Policy for Securing Home Caregiver

石川

いしかわ

由美

ゆ み <要 旨> 本 稿 は , ホ ー ム ヘ ル パ ー に 対 す る 人 材 確 保 政 策 の 経 緯 を 辿 り , 制 度 的 に ど の よ う に 位 置 づ け ら れ , 量 的 確 保 と 質 の 確 保 の 問 題 が ど の よ う な 特 徴 を も っ て 扱 わ れ て き た の か を 明 ら か に し , 人 材 確 保 政 策 が ホ ー ム ヘ ル パ ー の 専 門 性 構 築 に 及 ぼ し た 影 響 に つ い て 考 察 し た 。 ホ ー ム ヘ ル パ ー へ の 政 策 は 量 的 確 保 が 最 優 先 さ れ , つ ね に 人 員 確 保 政 策 の 中 に 人 材 育 成 が 位 置 づ け ら れ て き た 。 そ の た め , 人 材 育 成 は , 公 的 制 度 と し て 最 低 限 の 質 を 確 保 す る た め の 規 制 と し て 存 在 し , ホ ー ム ヘ ル パ ー 全 体 の 専 門 性 向 上 を 図 る 仕 組 み は 作 ら れ て こ な か っ た 。 ま た , 公 的 責 任 を 縮 小 す る 政 策 に よ っ て , 労 働 目 的 が 異 な る 人 材 が 混 在 す る 職 場 と な り , そ の た め に , 低 コ ス ト の 労 働 者 と し て 位 置 づ け ら れ , 職 業 集 団 と し て 専 門 性 を 構 築 す る こ と が 困 難 な 状 況 が , 意 図 的 に 作 り 上 げ ら れ て い る 。 市 場 原 理 の 導 入 に よ り , 効 率 性 ・ コ ス ト 性 が 優 先 さ れ る 中 , ホ ー ム ヘ ル プ 労 働 の 真 の 目 的 が 歪 め ら れ , そ の こ と が 担 い 手 の 働 き が い を 見 失 し な わ せ る と と も に , 社 会 に お い て ホ ー ム ヘ ル パ ー の 価 値 を 低 く 認 識 さ せ る こ と に 繋 が っ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 < キー ワ ー ド> 介 護人 材 確 保, ホ ー ム ヘ ルパ ー , 家庭 奉 仕 員 , 訪問 介 護

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Ⅰ. はじめに

ホ ーム ヘ ル パー が 在 宅 福 祉の 三 本 柱の 一 つ と 言 われ る よ うに な っ た の は 1980 年 代 であ る 。 1982 年 に 老 人保 健 法 の 制 定 , 健 康 保険 の 改 定 が 行わ れ , 医療 費 の 抑 制 とと も に 『在 宅 看 護 』, 『 在宅 介 護 』が 推 進 さ れ るよ う に なっ た 。 そ れ に伴 い ,ホ ー ムヘ ル パ ー の不 足 が 表面 化 し ,1989 年 の『 ゴ ー ルド プ ラ ン 』 での 整 備 目標 が 示 さ れ ると ,1990 年 に は,『 保 健医 療 ・ 福祉 マ ン パ ワ ー 対策 本 部 』の 設 置,そ の 後も 『 新 ゴー ル ド プ ラ ン 』 ,『 ゴ ー ルド プ ラ ン 21』 等 ,『 マ ン パワ ー 確 保』 政 策 が次 々 と 実 行 され た 。 2000 年 に 介 護 保険 制 度 が施 行 さ れ た 後も , さ らな る 介 護 需 要 の高 ま り に対 す る 政 策 が実 施 さ れて い る 。 ま た, 量 的 確保 だ け で な く , 介 護 従事 者 の 質 の 確保 に つ いて も ,1987 年 に 『 社会 福 祉 士及 び 介護 福 祉 士法 』 制 定 に より ,国 家 資 格を 保 有 す る介 護 福 祉士 が 誕 生 。 また , 国 家資 格 で は な い が一 定 の 質を 確 保 す る ため の 資 格取 得 ル ー ト や養 成 カ リキ ュ ラ ム の 見直 し な どが 行 わ れてき た 経緯 が あ る。 ホ ーム ヘ ル パー を 取 り 巻 く状 況 を みる と , 介 護 保険 制 度 の施 行 以 降 , 訪問 介 護 事業 所 の増加 と とも に 従 事者 数 も 増 加 し , 2000 年 の 18 万 人 が, 2017 年に は 50.8 万 人 と なっ た1 )。 し か し ,訪 問 介 護員 ( ホ ー ム ヘル パ ー ) の 有 効 求 人 倍率 は ,2013 年 度 の 3.29 が , 2016 年度 に は 9.30, 2019 年度 に は 15.03 と 年 々高 く な り, 深 刻な 人 手 不足 の 状 況 に 陥っ て い る 2)。 こ の 15.03 と いう 有 効 求人 倍 率は , 施 設職 員 の 4.31,全 職 業 の 1.46 と 比 べ ても 大 き な開 き が あ り 3), 82.1% の 事 業所 が ホ ーム ヘ ル パー の 不 足 を 感じ て い る。 ホ ー ム ヘ ルパ ー の 平均 年 齢 は , 他 の 介護 職 と 比較 し て も 高 く , 60 歳 以上 の 構 成 割 合が 約 4 割と な っ て お り, 近 年 は,従事 者 数 , 訪 問介 護 事 業所 数 と も に 減少 し 続 けて い る 状 況 であ る 。 この よ う な 厳 しい 人 材 不足 は , 在宅介 護 サー ビ ス の量 的 ・ 質 的 な低 下 に 繋が る 。 ま た ,そ れ は 社会 保 障 と し ての 介 護 保険 制 度 の縮小 を きた し , 訪問 介 護 員 に よっ て 支 えら れ て い る 生き る 意 欲や 生 活 の 維 持 , 人 間 の尊 厳 の 回復と い う権 利 を 脅か す こ と に もつ な が る深 刻 な 事 態 であ る 。 2015 年 2 月 ,政 府 は,2025 年 に 向け て 37.7 万 人 の介 護 人 材が 不 足 す る と推 計 し ( 2019 年 に 55 万人 不 足 と修 正 ), 新 たな 人 材 確保 政 策 と し て『 2025 年 に向 け た 介 護人 材 の 確保 ~ 量 と 質 の 好循 環 の 確立 に 向 け て 4)』 を 示し た 。 これ ま での 介 護 人材 の 構 造 を ,「 専門 性 が 不明 確 , 役 割 が混 在 し てい る 『 ま ん じゅ う 型』」 と表 現 ,「 意欲 ・ 能 力の 違 い を 問 わず , 一 様に 介 護 人材の 量 的・ 質 的 確保 を 目 指 し てき た 従 来の 考 え 方 を 転換 し , 限ら れ た 人 材 を有 効 に 活用 す る ため, 介 護の 機 能 分化 を 進 め る 」 と し , 今後 は 5 つ の 目指 す べ き姿 を 見 据 え た『 富 士 山型 』 に 転換す る 方針 を 示 した 。 本稿 で は ,ホ ー ム ヘ ル パー に 対 する 人 材 確 保 政策 の 経 緯を 辿 り , 制 度的 に ど のよ う に 位置づ け られ , 量 的確 保 と 質 的 確保 の 問 題が ど の よ う な特 徴 を もっ て 扱 わ れ てき た の か に 着 目 し,以 下 の二 点 を 問題 と す る 。 一点 目 と して , 政 府 が ,現 状 の 介護 人 材 構 造 につ い て 「専 門 性 が不明

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確 」で あ り ,そ の 原 因 と して 「 一 様に 介 護 人 材 の量 的 ・ 質的 確 保 を 目 指し て き た」 と し ている こ とに つ い ての 疑 問 で あ る。 ホ ー ムヘ ル パ ー の 養成 研 修 の変 遷 や 職 業 とし て の 位置 づ け から , 本 当に そ れ を目 指 し て き たと 言 え るの か ど う か ,専 門 性 が不 明 確 に な った 原 因 はど こ に あるの か が明 確 で はな い 。 二 点 目と し て ,「 限ら れ た 人 材を 有 効 に活 用 す る た め , 介 護 の機 能 分 化 を 進 める 」 と いう 考 え 方 に つい て の 疑問 で あ る 。 機能 分 化 を進 め る こ と で介 護 職 員の 専 門 性が高 ま り, 従 事 者が 増 え る こ とに 繋 が るの か ど う か ,ま た , 機能 分 化 の 考 え方 は こ れ 以 前 に も示さ れ てお り , 新た な 転 換 と いう 根 拠 はど こ に あ る のか 不 明 であ る 。 そ こ で , 本 稿 では , ホ ームヘ ル パー に 対 する 人 材 確 保 政策 の 経 緯を 辿 り , 制 度的 に ど のよ う に 位 置 づけ ら れ ,量 的 確 保と質 的 確保 の 問 題が ど の よ う な特 徴 を もっ て 扱 わ れ てき た の かを 明 ら か に し , 人 材 確保 政 策 がホー ム ヘル パ ー の専 門 性 構 築 に及 ぼ し た影 響 に つ い て考 察 す る。 そ の こ と によ り , ホー ム ヘ ルパー 独 自の 専 門 性や 価 値 を 真 に発 揮 し ,高 め て い く ため の 在 り方 に つ い て 考察 す る 。

Ⅱ. 分析方法

1 . 用 語 公 的な 在 宅 介護 サ ー ビ ス 事業 の 名 称は ,『 老 人 家 庭奉 仕 員 派遣 事 業』,『 家庭 奉 仕 員派 遣 事 業』,『 ホ ー ムヘ ル プ 事 業』,『 訪 問 介護 事 業 』 と 変化 し て いる 。 ま た 、 その 従 事 者に つ い ても, そ の時 々 の 制度 に お い て 『老 人 家 庭奉 仕 員 』 ,『 家庭 奉 仕 員』 ,『 ホ ー ム ヘル パ ー』,『 訪 問 介護 員 』と 呼 称 が変 更 さ れ て いる 。 1962 年 に 在 宅介 護 サ ー ビ スが 我 が 国で は じ め て 創設 さ れ た折 に は , 欧 米の 『 ホ ーム ヘ ル プ 事 業』 と そ の従 事 者 で あ る『 ホ ー ムヘ ル パ ー 』 がモ デ ル とさ れ た 。 制 度創 設 に かか わ っ た森幹 郎 5)に よる と 、 名称 を 決 める 際 、 当時 の 福 祉 行 政に ま だ カタ カ ナ の 名 称が な じ まな い と い う 意 見が 大 半 であ っ た た め、『 老人 家 庭 奉仕 員 派 遣 事業 』 と いう 漢 語 表 現 とな っ た 経緯 が あ る 。 1971 年 版 の 厚生 白 書 6)で 『ホ ー ム ヘル パ ー 制 度 』と い う 言葉 が 初 め て 表れ 、『 ホ ー ムヘ ル パ ー 制 度』 と 『 家庭 奉 仕 員 制 度』 は 同 義に 用 い ら れ てい る 。 正式 名 称 で は ない が , この 時 期 には世 間 一般 で 使 われ る 呼 称 と して 『 ホ ーム ヘ ル パ ー 』が 浸 透 して い た こ と がわ か る 。そ の 後 ,介護 保 険制 度 で の『 訪 問 介 護 事業 』 と なっ て も , 厚 生労 働 省 の『 介 護 保 険 制度 の 概 要 7)』 には , 『 訪問 介 護 (ホ ー ム ヘ ル プサ ー ビ ス)』,『 訪 問 介 護員 ( ホ ーム ヘ ル パ ー)』 と同 義 に 表記 さ れて お り, 現 在 でも 一 般 的 な 呼称 と し て 『 ホ ー ム ヘ ルプ サ ー ビス 』 及 び 『 ホー ム ヘ ルパ ー 』 が用い ら れて い る 。こ れ は , こ れら の 呼 称が 広 く 国 民 に浸 透 し ,ま た 通 称 と して 使 用 され て い るため と 推察 で き る。 代 表 的 な 2 つ の 職 能団 体 に も 『 日本 ホ ー ムヘ ル パ ー 協 会』,『 全 国ホ ー ム ヘルパ ー 協議 会 』 とい う 名 称 が 用い ら れ てい る 。

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本 稿で は , 歴史 的 な 経 緯 を正 確 に 表す 場 合 に お いて は , 事業 名 ・ 従 事 者 の 呼 称 とも に そ の 時 々の 制 度 にお け る 正 式 名称 で 表 記す る 。 一 方 で, 時 代 を超 え た 総 称 とし て 表 す場 合 に は『ホ ー ムヘ ル プ 事業 』 及 び 『 ホー ム ヘ ルパ ー 』 と い う表 現 を 用い る 。 2 . 検 討 範 囲 本稿 の 問 題意 識 は , 上 記に 述 べ た二 点 で あ り , 現 在 示 され て い る 介 護人 材 確 保 政 策 お よび人 材 構造 と 専 門性 の 考 え 方 につ い て の疑 問 で あ る 。こ の 疑 問は 施 設 介 護 ・在 宅 介 護の 別 を 問わず 共 通し て い るが , 本 稿 で は, 在 宅 介護 を 担 う ホ ーム ヘ ル パー に 焦 点 を 当て る 。 理由 と し ては, 利 用者 の 居 宅で 行 わ れ る 家事 や 入 浴・ 排 泄 と い った 日 常 生活 を 維 持 ・ 継続 す る ため の 支 援 が, と もす れ ば 家族 介 護 の 延 長も し く は代 替 え と み なさ れ や すく , 職 業 と して の 専 門性 が 曖 昧にさ れ やす い 分 野で あ る か ら であ る 。 介護 保 険 制 度 にお け る 訪問 介 護 サ ー ビス ( ホ ーム ヘ ル プサー ビ ス) と は ,入 浴 , 排 泄 ,食 事 等 の介 護 や 調 理 ,洗 濯 , 掃除 等 の 家 事 を行 う も のと 定 義 されて い る 8)。 し か し , 実際 に は, こ れ らの 行 為 を 通 して 定 期 的に 訪 問 す る こと そ の もの が , 在 宅 生 活 の継 続 に 大き く 寄 与 し てい る 。 本来 , ホ ー ム ヘル パ ー によ る 介 護 の 目標 は , 生活 行 為 を成立 さ せる こ と を手 段 と し て ,命 を 護 り生 き る 意 欲 を引 き 出 すこ と で あ り9), そ こに ホ ー ムヘ ル パ ー の専 門 性 があ る 。 3 . 文 献 収 集 の 方 法 (1)『 介護 人 材 確保 』,『 ホ ーム ヘ ル パー 』,『 家 庭 奉仕 員』,『訪 問 介 護 』 等の キ ー ワー ド を も と に ,CiNii と 国 立 国会 図 書館 サ ー チに よ る 文 献 検索 を 実 施。『介 護 人 材 確保 』 に 関し て は , 施 策の 動 向 がわ か る 議 事 録や 資 料 ,報 告 書 , 指 針な ど も 含め て 収 集 し 分析 ・ 考 察し た 。 (2) (1)に よ り 収集 し た 文 献の レ フ ァレ ン ス か ら ,ホ ー ム ヘル パ ー の 人 材確 保 政 策と 専 門 性 構 築 の関 係 に つい て 記 述 さ れた 関 連 文献 ・ 書 籍 を 収集 。

. 訪問介護における人材確保政策の変遷と担い手への影響

1. 公 的 制 度 と し て の は じ ま り と 在 宅 福 祉 の 萌 芽 ホ ーム ヘ ル プ事 業 が , 公 的な 制 度 とし て 定 め ら れた の は ,1963 年 に 公 布さ れ た 老人 福 祉 法 第 12 条『 老 人 家庭 奉 仕 員 によ る 世 話』 に よ る も ので あ る 。背 景 と し て ,高 度 経 済成 長 の 一 方 で ,家 族 機 能や 相 互 扶 助 では 対 処 しき れ な い 生 活問 題 を 抱え る 在 宅 高 齢者 の 増 加と , 特 別養護 老 人ホ ー ム など の 入 所 施 設の 不 足 があ っ た 10)。 制度 発 足 当初 の 派 遣 対 象は 生 活 保護 世 帯 の 高 齢 者で , そ の日 食 べ て い くの が や っと , 住 環 境 や衛 生 面 は劣 悪 , 虚 弱 ,孤 独 な ど, 経 済 的困窮

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と 相ま っ て 悲惨 な 状 況 に あっ た 11)。 一方 , そ の サー ビ ス の担 い 手 は , 「奉 仕 員 の業 務 内 容 が 中 年の 婦 人 に適 し て い る 」「 中 年 婦人 に 就 職 の 機会 を 与 える と い う 副 次的 な 効 果 5)」 が あ る と され , 戦 争未 亡 人 や 母 子家 庭 の 女性 の 就 労 対 策と い う 側面 も 持 っ て いた 。 家 庭奉 仕 員 の 雇用 形 態に つ い ては , 事 業 の 公的 責 任 の原 則 が 強 く 主張 さ れ ,国 の 指 導 方 針と し て は「 身 分 は市町 村 の職 員 」 とす る よ う に とい う も ので あ っ た 12)が ,制 度 開 始当 初 は , 非正 規 職 員・ 嘱 託 職 員 の 身分 が 殆 どで , 賃 金 は ,サ ー ビ スを 利 用 す る 生活 保 護 世帯 の 所 得 と 同様 の 低 賃金 で あ った。 対 象者 宅 へ の訪 問 に あ た って も , 道路 ・ 交 通 事 情と も 十 分整 備 さ れ て いな い 中 ,そ の 援 助を担 う 家庭 奉 仕 員の 心 身 の 負 担は , 今 日の 訪 問 介 護 とは 比 較 にな ら な い ほ ど大 き い もの だ っ た。家 庭 奉仕 員 の 雇用 条 件 を 巡 って は , その 後 , 常 勤 雇用 , 正 規職 員 化 を 訴 えて 労 働 運動 が 展 開 さ れ ,都 市 部 に限 ら れ て は いた が , 直営 , 常 勤 が 実現 し た 経緯 が あ る 13) 1965 年 に 『 老人 家 庭 奉 仕 事業 運 営 要綱 』 が 改 訂 され 派 遣 対象 が 要 保 護 老人 世 帯 から 低 所 得 家 庭に 拡 大 した 。 ま た , この こ ろ から , 『 ね た きり 老 人 』の 増 加 が 顕 在化 し , 居宅 に お ける老 人 対策 と し て, 家 庭 奉 仕 員が 「 居 宅の 老 人 に 対 する 福 祉 対策 の 中 心 的 役割 を も つも の 」 とされ 14), 家 庭 奉 仕員 の 増 員 が 求め ら れ るよ う に な っ た。 当 時 ,施 設 入 所 相 当と さ れ てい た , ね た き り老 人 の 介護 を 担 う こ とに な っ た家 庭 奉 仕 員 は , 専 門 的知 識 ・ 技 術 を習 得 す る仕 組 み がない 中 で, さ ま ざま な 生 活 問 題を 抱 え る高 齢 者 に 対 して , 試 行錯 誤 を 繰 り 返し な が ら業 務 に あたっ て いた 。 訪 問看 護 制 度 の ない 時 代 ,難 病 患 者 の ケア や , 床ず れ の 手 当 など , 現 在で あ れ ば看護 師 が行 う よ うな 業 務 ま で 行っ て い た。 そ の よ う な中 か ら ,家 庭 奉 仕 員 自ら , 身 体介 護 に 対応で き る知 識 ・ 技術 の 研 修 要 求が 出 さ れる よ う に な って い っ た 15) こ の時 期 の ホー ム ヘ ル プ 事業 は , 対象 者 の 衣 食 住の 充 足 や安 全 面 の 確 保と い っ た , 日 本国憲 法 第25条に定められた,基本的人権の尊重の精神に基づいて出発した。そして ,その職務に 当 たる 家 庭 奉仕 員 は , 援 助を 通 し て困 窮 し て い る人 を 手 助け し た い と いう 根 源 的な 意 義 ,やり が いを 見 出 して い っ た 。 また , 多 くの 家 庭 奉 仕 員自 身 が 生計 維 持 者 と して 職 務 にあ た っ ていた こ とか ら , 身分 保 障 ・ 待 遇改 善 に 向け て 主 体 的 に行 動 し た。 さ ら に , その 主 体 的, 積 極 的な就 労 への 意 欲 は, 在 宅 福 祉 の担 い 手 とし て , 介 護 につ い て の知 識 や 技 術 を習 得 し たい と い う内発 的 な行 動 と 結び つ き , 自 らの 職 業 の価 値 を 高 め よう と す る努 力 に 繋 が って い っ た。 福 祉 国家建 設 を目 指 す 政策 の も と で ,家 庭 奉 仕員 派 遣 事 業 が展 開 さ れ , そ れ を 担 う婦 人 に 社会 福 祉 労働者 と して の 自 覚が 生 ま れ , その 実 現 にむ け て 歩 も うと 努 め た時 期 で あ っ た。 2 . 公 的 サ ー ビ ス の 縮 小 と 民 間 活 用 の 促 進 (1) 非 専 門 性 論 と 担 い手 の 再 編 成 1970 年 代 後 半か ら 1980 年 代 に かけ て は ,社 会 福祉 政 策 が大 き く 転 換 した 時 期 であ る 。 高 度 経 済成 長 の 終焉 と 人 口 の 高齢 化 が 重な り , 財 源 確保 の 問 題が 大 き な 課 題 と さ れ た。 老 人 福祉施

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策 を進 め る にあ た っ て は ,財 源 等 を効 率 的 に 配 分す る と とも に , 老 人 自身 さ ら には そ の 家族 , 地 域社 会 , 職場 等 の 積 極 的な 協 力 が求 め ら れ る よう に な る 16)。 1979 年 8 月 に は,『 新・ 経 済 社 会 7 カ 年 計 画』 が 閣 議 決 定さ れ ,「 個 人の 自 助 努 力と 家 庭 や近 隣 ・ 地 域 社会 等 の 連帯 」,「 自 己 責 任の 気 風 を最 大 限 に 尊 重し , 関 係行 政 の 縮 減 ,効 率 化 を図 る 」 と い う , 「 日 本型 福 祉 社会」 へ の転 換 が 示さ れ た 17) 1977 年 , 全国 社 会 福 祉 協議 会 に よる 『 在 宅 福 祉サ ー ビ スに 関 す る 提 言』 が 出 され , 家 庭 奉 仕 員の 増 員 と処 遇 改 善 の 推進 , 家 庭奉 仕 員 ・ 介 護人 制 度 等の 一 元 化 , 有料 ホ ー ムヘ ル パ ー等の 新 設, 在 宅 サー ビ ス の 担 い手 と し てボ ラ ン テ ィ アの 確 保 ・養 成 , モ デ ル地 域 の 設定 な ど が提案 さ れた18)。 こ こ でい う 『 介護 人 制 度』(正 式 名 称 は『 介 護 人派 遣 事 業』) とは ,1971 年 か ら 実 施 され た ひ とり 暮 ら し 老 人の た め の対 策 で , 事 前に 市 町 村に 登 録 し て いる 介 護 人( 老 人 クラブ の 会員 や 近 隣の 主 婦 な ど )が , 一 時的 な 疾 病 等 によ り , 日常 生 活 を 営 むの に 支 障が あ る ひとり 暮 らし 老 人 に対 し て 短 期 日無 料 で 身の ま わ り の 世話 を 行 なう も の で あ った 19)。 つ まり , 専 門 的 職業 と し て, 定 期 的 に 寝た き り 老人 の 介 護 等 を行 っ て いる 者 に 対 し て『 家 庭 奉仕 員 』 という 名 称が 使 わ れ, 一 方 で , 素人 の 主 婦ら が ボ ラ ン ティ ア と して 、 臨 時 的 にひ と り 暮ら し 老 人の世 話 を行 う こ とに 対 し て 『 介護 人 』 とい う 名 称 が 使わ れ る よう に な っ た ので あ る 。森 川20)は , こ の事 態 を 「ね じ れ 構 造 」と 呼 び ,在 宅 介 護 が ,非 職 業 たる 「 奉 仕 」 の概 念 を 包摂 し , また, 非 専門 的 労 働た る 「 主 婦 の家 事 労 働」 と の 概 念 的な 結 び つき を も っ て 制度 化 さ れて い っ たと述 べ てい る 。 上記 の 提 言 に よる 『 家 庭奉 仕 員 ・ 介 護人 制 度 等の 一 元 化 』 は , ま さ にそ の こ とが具 現 化さ れ て いく 経 緯 を 見 るこ と が でき る も の で ある 。 1979年 に は ,全 社 協 福 祉 サー ビ ス のあ り 方 研 究 委員 会 ( 委員 長 : 三 浦 文夫 ) に より , 『在宅 福 祉サ ー ビ スの 戦 略 』 が 報告 さ れ21), 在 宅 福 祉 サー ビ ス 推進 を 行 政 お よび 民 間 団体 に よ っ て す すめ て い く必 要 性 と , 社会 福 祉 協議 会 が こ の 方針 で 積 極的 に 活 動 す る方 針 を 示し た 。 その中 で ,特 筆 す べき は , 家 庭 奉仕 員 の 業務 に つ い て,「 代替 ・ 補 完的 ニ ー ズ を満 た す ため の 非 専 門 的 サー ビ ス であ る 」 と 記 され た こ とで あ る 。 こ の「 代 替 ・補 完 的 ニ ー ズ」 の 考 え方 は ,「 本 来 ,家 族 連 帯に 基 づ い て 充足 さ れ るも の で あ る が , 家 族 の側 に 問 題 が あっ て 充 足で き な い場合 に 発生 す る 。し た が っ て ,本 来 , 家族 で 充 足 す べき も の なの で , 近 隣 やボ ラ ン ティ ア 組 織で対 応 する こ と が可 能 で あ る 」と い う ニー ズ 論 に 基 づい て お り22), 在 宅 福 祉の 中 心 的役 割 を 担 う と さ れた 家 庭 奉仕 員 は ,「 家 族な ら だ れで も で き る 」と い う 枠組 み の 中 に 組み 込 ま れ ,「非 専 門 的 」と 規 定 され た 。 こ の よう な 明 らか な 矛 盾 は ,す で に 拡大 し 始 め て いた 介 護 需要 に 対 して , 公 的責 任 を 縮小 し,「 自 助 ・互 助 ・ 連帯 」 で 量 の 確保 を 行 おう と す る 政 策を 後 押 しす る も の と な り, 在 宅 福祉 の 担 い 手 は ,「直 営 ・ 常勤 」 か ら 「住 民 参 加型 ホ ー ム ヘ ルプ 」 へ と転 換 が 進 ん で いっ た 。 1981年 12月10日 に は , 中 央社 会 保 障審 議 会 か ら ,『 当面 の 在 宅老 人 福 祉 対策 の あ り方 ( 意 見 具 申)』が 出 さ れ, そ れ ま で市 町 村 直営 , 常 勤 雇 用を 原 則 とし て き た 勤 務体 制 が 転換 さ れ パ ー

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ト タイ ム 制 やフ レ ッ ク ス タイ ム 制 を積 極 的 に 導 入す る こ とが 示 さ れ た23)。そ の 理 由と し て , 「 市町 村 の 職員 増 加 の 抑 制 , 財 政 支出 の 制 約 」 と,「多 く の 被派 遣 老 人 がサ ー ビ スを 希 望 す る 時 間帯 が 食 事時 等 の 一 定 時間 帯 に 集中 す る 傾 向 を示 し , その た め , 限 られ た 常 勤を 勤 務 形態と す る家 庭 奉 仕員 で は , 老 人の 福 祉 ニー ズ に 効 果 的に 対 処 しに く い 」 と した 。 併 せて ,「 地 域 の 住 民や ボ ラ ンテ ィ ア 及 び 民間 福 祉 団体 等 に よ る 自主 的 な 支援 活 動 が 組 み込 ま れ た福 祉 供 給シス テ ムの 形 成 」が 示 さ れ , 住民 参 加 型へ の 転 換 が 図ら れ て いく 。 翌 年 の 1982年 に は, こ の 『意見 具 申』 を 実 行す る 形 で,『 老人 家 庭 奉仕 員 派 遣 要 綱』 が 改 定さ れ る 。 家 庭奉 仕 員 の雇 用 形 態 は 「 原則 と し て常 勤 」 は 削 除さ れ ,「 パ ート , 非 常 勤」 が 勧 めら れ る よ う にな る 。 1960年 代 か ら 70年代 前 半 にか け て , 在 宅福 祉 を 担う 職 業 と し て歩 み 始 めて い た 家 庭 奉仕 員 は ,「 関係 行 政 の 縮 減, 効 率 化」 と い う 政 策転 換 の もと , 専 門 性 を問 わ な い担 い 手 と し て再 編 成 され て い った。 そ して , そ の担 い 手 は , 自ら が 「 生計 維 持 者 」 とし て 処 遇改 善 を 求 め て闘 う 集 団か ら , 自らパ ー トタ イ マ ー制 や 登 録 制 を希 望 す る 主 婦 層 ( 森 川24)は , これ を 「 家 計 補助 的 労 働」 と 称 し て い る。)の 参 入 によ り 大 き く変 容 し てい っ た。「 パ ート , 非 常勤 」 の 推 進 は, 性 別 役割 分 担 とし て の育 児 や 家事 の 傍 ら , 家庭 の 仕 事に 支 障 を 来 さず , か つ, 夫 の 扶 養 の範 囲 内 の収 入 で 働く主 婦 層の 参 入 を後 押 し し た 。 1978年4月 には , ホ ー ム ヘ ル パ ーの 常 勤 比 率 は 90.9% であ っ た25) が 、2005年 には 52.8% に 減少 し た 。一 方 , パ ー ト・ 登 録 ヘル パ ー が 45.3% と増 加 し てい る26) 税 制優 遇 を 受け る た め に 夫の 扶 養 の範 囲 内 で の 収入 を 求 める 主 婦 層 , 近隣 住 民 ボラ ン テ ィア等 の 必ず し も 労働 の 対 価 を 求め な い 担い 手 の 参 入 によ り , ホー ム ヘ ル パ ーの 賃 金 が低 価 格 に抑え ら れる 形 で 人材 確 保 が 進 んで い っ た。 こ れ に よ り, 家 庭 奉仕 員 の 仕 事 は「 安 価 な労 働 」 に変容 27)し ,在 宅 介 護の 価 格 が 「家 計 補 助的 労 働 」 の 価格 に 準 じて 設 定 さ れ やす い 仕 組み が 作 ら れ た 28) (2)提 供 主 体 の 多 元 化 と サ ー ビ ス の 変 質 1980年 代 後半 か ら は , それ ま で の,「日 本 型 福 祉社 会 」 の方 向 性 を 一 部軌 道 修 正し つ つ も , さ らに 公 的 責任 の 縮 小 が 進ん で い く。 1985年2月 ,臨 時 行 政改 革 推 進 審 議会 民 間 活力 推 進 方 策 研 究会 が , 『民 間 活 力 の 発揮 推 進 のた め の 行 政 改革 の 在 り方 』 を 報 告29)。市 場 原 理を 生 か し た 民 間企 業 等 の参 入 促 進 と ,公 的 事 業の 民 間 委 託 を推 進 す ると い う 方 向 性が 打 ち 出さ れ た 。同年 11月に は , 厚生 省 社 会 局 にシ ル バ ーサ ー ビ ス 振 興指 導 室 が設 置 さ れ , 介護 部 門 に民 間 企 業を参 入 させ る 取 り組 み が 始 ま った 。 さ らに ,1987年 に は 民 間 有 力 企 業 等 か ら な る 社 団 法 人 シ ル バ ー サ ー ビ ス 振 興 会 が 設 立 さ れ , 国 が 介 護 サ ー ビ ス の 提 供 主 体 と し て 民 間 企 業 を 育 成 し て い く こ と と な っ た 。 こ う し て , 高 齢 者 介 護 が , 営 利 企 業 の 新 た な 市 場 と し て 認 識 さ れ , 福 祉 サ ー ビ ス の 分 野 へ の 積 極 的 な 参 入 が 始 ま っ た 。 営 利企 業 の 参入 に よ り ,サ ー ビ ス の 提 供 時 間 と 内 容 に よ っ て 値 段 が つ け ら れ , 福 祉 サ ー ビ ス が 「 モ ノ ・ 商 品 」 の よ う に 扱 わ れ る よ う に な っ て い く 。 1985年 に 社 会保 障 制 度審 議 会 に よ

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る『 老 人 福 祉 の 在 り 方 に つ い て ( 建 議 ) 』 で は , 「 民 間 企業 が 提 供 す るサ ー ビ スを 購 入 す る」 と い う 言 葉 が つ か わ れ て い る30 )。 1989年 に は , 『 家 庭 奉 仕 員 派 遣 事 業 要 綱 』 が 改 定 さ れ , サ ー ビ ス の 委 託 先 が , 特 別 養 護 老 人 ホ ー ム 等 を 経 営 す る 社 会 福 祉 法 人 及 び 『 在 宅 介 護 サ ー ビ ス ガ イ ド ラ イ ン 』 の 内 容 を 満 た す 民 間 事 業 所 等 に 拡 大 さ れ た 。 1991( 平 成 3) 年 に は , 在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー を 併 設 す る 特 別 養 護 老 人 ホ ー ム , 老 人 保 健 施 設 , 病 院 に , 1992( 平 成 4) 年 に は , 福 祉 公 社 , 在 宅 介 護 支 援 セ ン タ ー 運 営 を 委 託 し て い る 社 会 福 祉 法 人 ・ 医 療 法 人 等 , 農 業 協 同 組 合 連 合 会 , 生 活 協 同 組 合 連 合 会 , 介 護 福 祉 士 に も 委 託 が 認 め ら れ る よ う に な り サ ー ビ ス 提 供 主 体 の 多 元 化 が 進 ん で い っ た3 1 ) 前 述 の 『 家 庭 奉 仕 員 派 遣 事 業 要 綱 』 改 定 に よ り , 業 務 内 容 も 「 家 事 ・ 介護 に 関 する こ と 」 か ら,「身 体 介 護 に 関 す る こ と 」 と 「 家 事 に 関 す る こ と 」 に 区 分 さ れ た 。 補 助 基 準 は , 身 体 介 護 型 が , 家 事 型 の 約 1.5倍 と な り , 公 的 ホ ー ム ヘ ル プ 事 業 に お い て も , サ ー ビ ス の 切 り 分 け と , 身 体 介 護 を 重 視 し た 仕 組 み が 作 ら れ て い っ た 。 ま た , こ の 時 代 , 都 市 部 を 中 心 に 拡 大 し て い た 住 民 参 加 型 組 織 が 運 営 す る 「 有 料 ・ 有 償 介 護 サ ー ビ ス 」 の 在 り 方 も , そ の 後 の 在 宅 介 護 従 事 者 の 専 門 性 や 社 会 的 評 価 に 影 響 を 及 ぼ し た も の と し て 注 目 し た い 。 1987年 の 全 社 協 の 『 住 民 参 加 型 在 宅 福 祉 サ ー ビ ス の 展 望 と 課 題 32)』 に よ る と , 有 料 ・ 有 償 性 ホ ー ム ヘ ル プ サ ー ビ ス は , 「 担 い 手 側 の ボラ ン タ リー な 自 己 犠 牲 によ る 低 コス ト ( 有 料 )で 成 り 立つ シ ス テ ム 」 と 位 置 づ け ら れ , サ ー ビ ス の 担 い 手 で あ る 婦 人 層 が 「 家 事 の 延 長 」 と し て , 専 門 的な 教 育 を受 け ず に「 気 軽 に 」 従事 し て いる 場 合 が 多 く ,そ の よ うな 担 い 手 に 専門 性 の 高い 介 護 サ ー ビス を 期 待す る と , 参 加意 欲 を 削ぎ リ タ イヤが 予 測さ れ る と記 述 さ れ て いる 。 そ のた め , 「 専 門的 な サ ービ ス を 担 う 部門 」 と 「非 専 門 的な家 事 援助 を 担 う部 門 」 と の 機能 分 化 の可 能 性 に つ いて も 触 れて い る 。 さ らに , 担 い手 の 参 加意識 に つい て , 単に 「 収 入 を 得た い か ら」 と い う 人 は1 割 程 度で あ り , そ れ以 外 の 人は , 「 社会に 役 立つ た め 」, 「 生 活 リ ズム , 健 康の た め 」 , 「生 き が いを 得 る た め 」と い う 非金 銭 的 理由が 圧 倒的 で あ るこ と を 強 調 した 。 1987年 は , 介 護 福祉 士 が 国家 資 格 と し て制 定 さ れた 年 で あ る が ,一 方 で この よ う な 議 論が な さ れて い る こ と から 見 て も , 在 宅 介 護 の担 い 手 は , こ の 当時か ら ,専 門 職 とし て の 集 団 を目 指 す ので は な く , 量的 確 保 にお い て は 多 元的 に , 質の 確 保 におい て は階 層 的 な人 材 構 造 が 想定 さ れ てい た こ と が うか が え る。 こ れ は , 今日 の 『 富士 山 型 』の介 護 人材 確 保 政策 の 「 本 人 の能 力 や 役割 分 担 に 応 じた キ ャ リア パ ス を 構 築す る 」 ,「 限 ら れた人 材 を有 効 活 用す る た め 機 能分 化 を 進め る 」 と い うこ と に 通じ る も の あ り , 現 在 の政 策 の 根本的 な 考え 方 は この 当 時 に 作 り上 げ ら れた こ と が 分 かる 。 家 庭奉 仕 員 の パ ート ・ 非 常勤 化 の 推進に 加 えて ,「 低 コ ス ト で 成 り 立 つ 」 , 「 専 門 的 な 教 育 を 受 け ず に 気 軽 に 従 事 」 と 明 確 に 示 さ れ た 有 償 ・ 有 償 性 ホ ー ム ヘ ル プ サ ー ビ ス の 推 進 な ど , 多 元 的な 供 給 主 体 を参 入 さ せ , 就 業 す る た めの 敷 居 を低 く し て 人 員を 確 保 ,到 達 目 標 も 人に よ っ てバ ラ バ ラ で よい と し たこ と に より , 在 宅介 護 従 事者 は , 「 誰 でも 」 「 気軽 に 」 就 け る , 「 安 上が り な 」 労 働者 と し て位 置 づ け ら

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れ ,そ の よ うな 認 識 が 社 会の 人 々 にも 植 え 付 け られ て い った 。 3 . 量 的 確 保 の 拡 大 と 資 質 向 上 の 必 要 性 (1) 養 成 教 育 に よ る 質 の 確 保 国 は, 公 的 責任 を 縮 小 し つつ , ホ ーム ヘ ル パ ー の量 的 確 保を 拡 大 す る にあ た り ,多 元 的な供 給 主体 を 参 入さ せ る 一 方 で , 担 い 手の 「 一 定 の 質を 確 保 」す る た め に ,研 修 や 資格 制 度 が必要 で あっ た 。 量的 確 保 の 目 標が 示 さ れる た び に , 研修 制 度 が作 り 替 え ら れて い っ た。 ホ ーム ヘ ル パー の 公 的 な 研修 制 度 とし て は ,1982 年 か ら実 施 さ れて い た 『 家 庭 奉仕 員 採 用 時 研修 』( 講 義 ,実 技 , 実 習で 計 70 時 間) が , 1987 年 に は,『 初 任者 研 修』 360 時 間 と なる 。 ま た, 同 年 は,「社 会 福 祉 士及 び 介 護福 祉 士 法 」 が制 定 さ れ , 国 家 資 格 とし て の 介護 福 祉 士 が 誕 生し た 。 この 法 律 は , 国が 地 域 住民 や 営 利 企 業に 福 祉 を担 わ せ る う えで の 質 の 担 保 と して, ま ずは 資 格 創設 あ り き で 制定 さ れ た経 緯 が あ る 33)。 国 家 資 格 の創 設 を 望ん で い た福 祉 関 係 者 の 意向 を 汲 む形 に は な っ たが , 肝 心の 介 護 福 祉 の専 門 性 につ い て は 「 立証 が 困 難」 と さ れ ,資 格 は「 名 称 独占 」 に と ど まっ た 。 1989 年 に はゴ ー ル ド プ ラ ン の 策 定 に よ り , ホ ー ム ヘ ル パ ー を 10 年 間 で 10 万 人 整 備 す る 目 標 が 示 さ れ る 。 こ れ を 受 け , 1991 年に は 『 ホ ー ムヘ ル パ ー養 成 研 修 事 業実 施 要 綱』 に よ り , 1 級か ら 3 級課 程 の 段 階 式研 修 へ と変 更 さ れ た (1 級 360 時 間 , 2 級 90 時間 , 3 級 40 時 間)。 この 段 階 的な 研 修 は ,パ ー ト タイ ム ヘ ル パ ーや 登 録 ヘル パ ー な ど の短 時 間 勤務 の 従 事 者 に 対し て , 短時 間 研 修 を 設け る こ とで 敷 居 を 低 くし , 参 入を 促 進 さ せ よう と す るも の で あ っ た 。2 級 課 程は , シ ル バ ーサ ー ビ ス事 業 者 が , シル バ ー マー ク を 取 得 する 場 合 に要 件 と される 研 修に 相 当 して お り , 修 了す れ ば ,主 に 身 体 介 護に 必 要 な知 識 , 技 術 等が 修 得 でき る も のとさ れ た 34) 1992 年 に は ,チ ー ム 運 営 方式 が 実 施さ れ ,主 任 ヘル パ ー が位 置 づ け ら れた 。主任 ヘ ル パーの 要 件は ,介 護 福 祉士 の 資 格 を有 す る 者又 は ヘ ル パ ー養 成 研 修1 級 課 程 を 修了 し た 者等 と さ れ た。 そ の役 割 は ,① 利 用 者 の ニー ズ の 評価 と , こ れ に対 応 し たホ ー ム ヘ ル プサ ー ビ スの 組 み 立てを 行 うこ と(サ ー ビ ス継 続 の適 否 の 判断 も 含 む),② ソ ー シャ ル ワ ーカ ー 及び 看 護 婦等 と の 連 絡 調 整 及び 他 の サー ビ ス と の 連携 , ③ チー ム の ホ ー ムヘ ル パ ーの 指 導 , ④ その 他 , ホー ム ヘ ルプ事 業 の適 切 か つ円 滑 な 実 施 に必 要 な 業務 35),と さ れて い た 。こ の 流 れ は ,利 用 者 の生 活 の 分 析 , サ ービ ス の 組み 立 て , 検 証の 結 果 とい っ た ケ ア マネ ジ メ ント の 考 え 方 につ な が って い く 。 1994 年に は , 新ゴ ー ル ド プラ ン が 掲げ ら れ , ホ ーム ヘ ル パー の 人 員 確 保の 目 標 設定 が 10 万 人 から 17 万 に 引き 上 げ ら れた 。 こ れに 伴 い , 翌 年の 1995 年 には , 『 ホ ーム ヘ ル パー 養 成 研修 カ リキ ュ ラ ム』 も 改 定 さ れた ( 1 級 230 時 間 , 2級 130 時間 , 3 級 50 時間 )。1 級 課 程は ,2 級 課程 修 了 者を 対 象 と す るこ と に より 内 容 を 整 理し , 2 級課 程 と 合 算 して 360 時間 と す ること

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で 受講 し や すく す る と と もに ,継 続養 成 研 修 が 設け ら れ た 36)。改 定 の 背景 と し て ,同 年 ,24 時 間 対応 ヘ ル パー (巡 回 型 )事 業 が開 始 さ れた こ と に より ,さ ら な る量 的 拡 大 が必 要 に なっ た こ と , そ の事 業 の 委託 先 に 多 く の営 利 団 体が 含 ま れ て いた こ と があ げ ら れ る 。こ の 改 定に お い て注目 す べき こ と とし て , 各 級 と介 護 福 祉士 と の 関 係 につ い て の記 述 が あ げ られ る 。 「3 級 課 程及び 2 級課 程 は 知識 ・ 技 術 と もに 介 護 福祉 士 能 力 の 範疇 に 入 る」 と し , 「 ただ し , ホー ム ヘ ルプサ ー ビス 固 有 の業 務 で あ る チー ム 運 営方 式 主 任 ヘ ルパ ー 業 務に 関 し て は ,介 護 福 祉士 の 能 力範疇 外 であ る 」 とし た 。 主 任 ヘル パ ー の研 修 内 容 に は , チ ー ムの 指 導 者 と して の 内 容だ け で なく , カ ンフ ァ レ ンス の 持 ち 方 ,ケ ア マ ネジ メ ン ト 技 術 , 小 グ ルー プ 討 議 な どが 含 ま れて お り ,主任 ヘ ルパ ー が 介護 福 祉 士 や 他職 種 を もマ ネ ジ メ ン トす る , ソー シ ャ ル ワ ーク の 機 能を 担 っ ていた こ とが わ か る。 (2) 担 い 手 の 主 体 的 な 資 質 向 上 へ の 取 り 組 み 1987 年 3 月 ,日 本 学 術 会 議社 会 福 祉・ 社 会 保 障 研究 連 絡 委員 会 ( 13 期 ・一 番 ケ 瀬康 子 委 員 長 ) に よる 『 社 会福 祉 に お け るケ ア ワ ーカ ー ( 介 護 職員 ) の 専門 性 と 資 格 制度 に つ いて ( 意 見)』 が 出さ れ た 。こ れ は ,1985 年 か ら 1986 年 の 2 年 間に 渡 り ,老 人 ホ ー ム の寮 母 や ホー ム ヘ ル パ ー への 聞 き 取り を 参 考 に 検討 を 重 ねた も の で こ の中 で は ,ケ ア ワ ー カ ー( 原 文 の表 現 ) の仕事 は 単な る 家 事援 助 の 延 長 では な い こと や , 個 別 性を 踏 ま えた 創 意 工 夫 が必 要 で ある こ と ,また リ ハビ リ の 視点 が 必 要 な こと な ど が述 べ ら れ た 37)。 1980 年 代 後 半に は ,ホ ー ム ヘル プ 事 業 は 多 元的 な 事 業者 の 参 入 に より ,「 誰 で も」,「 気 軽 に」,「 短 時間 で も 」 働 ける 市 場 とし て 広 が っ て いた が , その 一 方 で , 在宅 福 祉 の担 い 手 と し て , 職 務 能力 や 資 質 を 高め よ う と熱 意 と 高い意 欲 をも っ て 取り 組 む ヘ ル パー の 存 在が あ っ た 。 公的 ヘ ル パー を 中 心 に 自主 的 な 研究 会 を 結 成 し ,事 例 研 究や 取 組 み の 発表 を す るな ど し て 資 質の 向 上 に努 め た り , 身分 や 待 遇の 改 善 を求め て 地域 住 民 に自 分 た ち の 活動 の 価 値を 知 っ て も らう よ う 活動 し た り す るヘ ル パ ーも い た 。 例え ば ,1994 年 か ら 1997 年 の 間 に, 東 京 都 内 のホ ー ム ヘル パ ー , ケ ース ワ ー カー と 研 究 者 に よっ て 行 われ た 『 ホ ー ムヘ ル プ サー ビ ス 研 究 会 』 で は ,ホ ー ム ヘ ル プサ ー ビ スの 公 的 責 任 を ,実 際 の 援助 事 例 を 基 にし な が ら , ホ ー ム ヘ ルプ を 必 要と す る 国 民 生活 の 現 状と ホ ー ムヘル プ の有 用 性 から 検 討 が 行 われ た 38)。 老 朽化 し 苔 の生 え た 家で ゴ ミ の 山 の中 に 暮 らす 夫 婦 , お 風 呂に ほ と んど 入 ら な い 人 , 地 域 から 孤 立 し て いる 人 , 食事 の 内 容 が 貧し く 偏 って い る 人 , 「 困っ て い ない 」 と ホ ー ムヘ ル プ を受 け 入 れ な い人 , ひ どい 生 活 後 退 と孤 立 の 中に 暮 ら す精神 障 害者 , 病 気・ 障 害 か ら くる 被 害 者意 識 の 強 い 人 , ア ル コー ル 依 存 で 認知 症 の 人等 に 対 して , ホ ーム ヘ ル パー が 中 心 と なっ て , 医師 , 保 健 師 ,栄 養 士 ,P T , 福 祉 事務 所 な どと 連 携 を取り な がら , 利 用者 お よ び 家 族の 生 活 問題 の 改 善 を 図っ た 事 例が 報 告 さ れ てい る 。 これ ら の 事例検 討 は, ホ ー ムヘ ル パ ー 自 身が 学 び を深 め , そ の 専門 性 を 高め て い く と いう 意 義 深い も の である

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と 同時 に , ホー ム ヘ ル プ が公 共 性 の高 い 社 会 福 祉サ ー ビ スで あ る こ と を示 し た 。 4 . 福 祉 の 市 場 化 と ホ ー ム ヘ ル プ 労 働 の 変 質 1997年 11月 には , 社 会 福 祉事 業 等 の在 り 方 に 関 する 検 討 会か ら 『 社 会 福祉 の 基 礎構 造 改革に つ いて (主 要 な 論点 ) )が 示さ れ ,1980年 代 ~1990年 代に か け ての 一 連 の 「福 祉 見 直し 」 に よっ て 準備 さ れ てき た こ と が 具現 化 さ れ始 め る 。 具 体的 な サ ービ ス 提 供 に つい て は ,「 利用 者 の 選 択 」を 尊 重 し, そ の 要 望 とサ ー ビ ス供 給 者 の 都 合と を 調 整す る 手 段 と して , 市 場原 理 を 幅広く 活 用し て い く必 要 が あ る とさ れ た 。ま た , 福 祉 分野 の 人 材確 保 に つ い ても 市 場 原理 の 活 用を考 え るべ き で あり , そ れ に よっ て , 福祉 分 野 の 仕 事に 対 す る社 会 的 評 価 の向 上 , 業務 の 省 力化及 び サー ビ ス の高 度 化 が も たら さ れ るこ と に な る とい う 考 えが 示 さ れ た39)。 同 年 12月に は , 介 護 保 険法 が 公 布さ れ ,2000年 4 月の 実 施 に向 け て の 動き が 加 速し て い っ た 。 1997年 に は ,ホ ー ム ヘ ル プ事 業 の 人件 費 補 助 方 式に 加 え て事 業 費 補 助 方式 が 導 入さ れ ,翌年 か らは 全 面 的に 実 施 と な った 。 サ ービ ス 提 供 体 制の 整 備 に対 し て 費 用 が払 わ れ るの で は なく , ど のよ う な サー ビ ス を , どれ だ け 提供 し た か に よっ て 給 付額 が 決 ま る しく み で ,介 護 保 険サー ビ スを 見 据 えた 変 更 で あ った 。 出 来高 払 い に な った こ と で , サ ー ビ ス 提供 時 間 以外 に も 勤務し て いる 常 勤 ヘル パ ー は , 市町 村 の 赤字 を 生 む 存 在と な り ,登 録 ヘ ル パ ーが さ ら に拡 大 し て い く。「 夫の 扶 養 の範 囲 内 」 で働 く 主 婦 層 が 大 量 に ヘル パ ー とし て 従 事 す るよ う に なり , 提 供 さ れ るサ ー ビ スは 効 率 を 重 視し た コ マ切 れ , 駆 け 足と な っ てい く 。 こ れ によ っ て ,業 務 の 分析や 積 み上 げ , 知識 ・ 技 術 の 継承 と い った , ホ ー ム ヘル パ ー が自 ら 専 門 性 を高 め て いく よ う な取り 組 みは 著 し く困 難 な 状 況 に置 か れ た。 1999年 に はゴ ー ル ドプ ラ ン 21が 示さ れ , ホー ム ヘ ルパー の 整備 目 標 は35万 人 と な り, さ ら なる 量 的 拡 大 の推 進 の ため , 効 率 優 先主 義 が 進ん で い った。 2000 年 4 月に は ,介 護 保険 制 度 が施 行 さ れ ,ホ ー ム ヘル プ 事 業は 介 護保 険 制 度の 訪 問 介 護事 業 ,ホ ー ム ヘル パ ー は 訪 問介 護 員 とし て 位 置 づ けら れ た 。規 制 緩 和 が 進む 中 で ,ホ ー ム ヘルパ ー は, マ ニ ュア ル に 沿 っ て ,「商 品 」 を「 効 率 よ く」「販 売 す る」 労 働 者 とし て 市 場競 争 の 中に 組 み込 ま れ てい っ た 。 サ ービ ス の 効率 性 , コ ス ト性 が 強 調さ れ , サ ー ビス の 平 準化 と 内 容ごと の 細分 化 に より , そ の 日 の利 用 者 及び 家 族 の 状 況に 応 じ てサ ー ビ ス 内 容を 変 更 する こ と はでき な くな っ た 。言 い 方 を 変 える と , 決め ら れ た サ ービ ス 以 外の こ と を , ヘル パ ー 自身 が 判 断した り ,臨 機 応 変に 対 応 し た りす る こ とは 求 め ら れ なく な っ たの で あ る 。 また , 人 員配 置 に 常勤換 算 方式 が 導 入さ れ , 訪 問 介護 事 業 所の 人 員 基 準 は , 常 勤 換算 で 2.5 人 ,そ の う ち1 名 を 常勤の サ ービ ス 提 供責 任 者 と し て配 置 す れば 開 設 で き るし く み とな っ た 。 こ れに よ り ,登 録 ヘ ルパー が 増大 し , 事業 所 内 の 職 員の 交 流 によ っ て 知 識 ・技 術 を 継承 し た り , 支え 合 い 高め 合 っ たりす る こと が 困 難な 状 況 に な った 。 そ れま で 主 任 ヘ ルパ ー が 担っ て い た ソ ーシ ャ ル ワー ク 機 能が , 介 護支 援 専 門員 の 役 割 に 転換 さ れ ,ホ ーム ヘ ル パ ーは 介 護 支援 専 門 員 の 立て た プ ラン に 則 っ て ,

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決 めら れ た 枠内 で , 決 め られ た 直 接的 な 援 助 の み提 供 す るこ と と な っ た。 原 田 は , こ の ような 状 況を「 労働 の 細 分化 と 援助 過 程 にお け る 裁 量 権 ,自 己決 定 の 剥奪 」と と ら え ,「労 働 意 欲 の 喪 失 ,労 働の 生 産 性と 質 の 低下 を も たら し て い る 40)」と 述 べ て い る 。こ のよ う な 市場 競 争 の 中で の 働き が い の喪 失 は , ホ ーム ヘ ル パー の 処 遇 面 の低 さ と 相ま っ て , 今 日の 厳 し い人 材 不 足に大 き く影 響 し てい る と 考 え られ る 。 5 . キ ャ リ ア パ ス の 導 入 と 介 護 人 材 の 混 交 (1) す そ 野 の 拡 大 に 合 わ せ た 研 修 課 程 の 変 化 2000年 に は 介護 保 険 制 度が 施 行 ,高 齢 者 福 祉 部門 は 大 規模 市 場 と し て産 業 経 済的 な イ ン パ ク トで あ る とさ れ , 多 く の民 間 営 利企 業 が 参 入 した 。 そ の一 方 で ,2007年 のコ ム ス ン事 件 (株 式 会社 コ ム スン に よ る 不 正な 指 定 申請 、 不 正 請 求41)) に 見 られ る よ う な 悪 質 な 事業 者 が 次 々 と 現 れる 。2004年 の 日 医 総 研42)の 調 査( 福 岡 県 の 居宅 系 介 護サ ー ビ ス 事 業所 の 参 入と 撤 退 に つ い て分 析 ) によ る と , 株 式会 社 は ,よ り 効 率 的 にサ ー ビ スを 提 供 で き る地 域 に は進 出 す るが, そ うで な い 地域 に は 進 出 しな い こ と, ま た , 介 護サ ー ビ スに 参 入 し た 株式 会 社 は, 4年 間 で 25.0%が撤退しており,そのうち約半数は事業開始後1年以内に撤退している。この結果にみ る よう に 経 営の 効 率 性 を 重視 す る 営利 企 業 は , 利用 者 に 継続 し て サ ー ビス を 提 供し よ う という 意 識が 希 薄 であ り , 居 住 する 地 域 によ っ て 公 平 なサ ー ビ スが 受 け ら れ ない な ど の問 題 が 生み出 さ れた 。 介 護保 険 制 度 の 謳い 文 句 であ っ た 「 市 場競 争 に よっ て 劣 悪 な 事業 者 が 淘汰 さ れ ,質の 高 い事 業 所 が生 き 残 る 」 こと は 現 実に は な ら ず ,介 護 事 業者 だ け で な く介 護 従 事者 の 質 が問わ れ るこ と と なる 。 2006年 以 降は , 在 宅 ・ 施設 サ ー ビス 共 通 の 介 護職 員 の 新た な 研 修 制 度と し て 『介 護 職 員基礎 研 修( 500時 間)』 が 設 け られ た 。 介護 保 険 制 度 が安 定 的 に運 営 さ れ る ため に は ,人 員 確 保とサ ー ビス の 質 の確 保 が 重 要 な課 題 で あり , 介 護 福 祉士 資 格 より は 下 位 , ヘル パ ー 1級 よ り は上位 と いう 中 間 的な 資 格 を 創 設す る こ とで 多 く の 人 材を 確 保 する 狙 い が あ った 。 こ の研 修 以 降 ,介 護 職の 研 修 が雇 用 保 険 の 教育 訓 給 付制 度 の 対 象 とな り , 介護 職 場 が 失 業者 の 受 け皿 と し て認知 さ れる こ と に繋 が っ て い く。 し か し , 働 き な が ら500時 間 研 修を 受 け る 者は 少 な く , 2011年 に 『 今後 の 介 護人 材 養 成 の 在り 方 に つい て (報 告 書)』 によ り , 介護 人 材 の キャ リ ア パス に つ い て,「 簡素 で 分 かり や す い もの と す ると 共 に , 介 護の 世 界 で生 涯 働 き 続 ける こ と がで き る と い う 展望 を 持 てる よ う に す るた め 」 段階 的 な 資 格 ・研 修 体 制の 構 築 が 示 さ れ た43)。 こ れ を 受 け て ,2013年 には , 介 護 職 員基 礎 研 修と ヘ ル パ ー 1級 を 1 本化 し 『 実 務 者研 修 (450時間 )』が設 け られ た 。 介護 福 祉 士 国 家試 験 の 受験 に 実 務 者 研修 の 修 了は 必 須 と さ れ , 訪 問 介護 事 業 所にお け るサ ー ビ ス提 供 責 任 者 の要 件 と もな っ た 。 ま た , ヘ ル パー 2 級 を 移 行さ せ る 形で 『 介 護職員 初 任者 研 修 (130時 間 )』 が設 け ら れた 。 研 修 実 施に 対 す る補 助 金 は 廃 止 , 規 制 緩和 に よ って研

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修 を実 施 す る事 業 者 に も 民間 営 利 企業 が 参 入 す る。 実 習 は必 修 で は な く ,「必 要 に 応じ て 」 と さ れ, 130時 間 のう ち 40.5時間 ま で は通 信 学 習 が 認め ら れ るな ど , 研 修 実施 事 業 者に よ っ て 学 習 内容 の 質 の差 が 大 き く ,ど こ で 研修 を 受 け た かに よ っ て , ス タ ー ト 時点 か ら 質の 確 保 に差が つ いて し ま う状 況 が つ く られ た 。 また ,『 平 成 30 年 度 介 護報 酬 改 定に 関 す る 審 議報 告 』 にお い て , 訪 問介 護 員 の養 成 に ついて は,「 更な る 人 材確 保 の 必 要性 を 踏 まえ ,介護 福 祉士 等 は 身体 介 護 を 中 心に 担 う こと と し ,生 活 援 助中 心 型 につ い て は , 人材 の 裾 野を 広 げ て 担 い手 を 確 保し つ つ , 質 を確 保 す るた め , 現在の 訪 問介 護 員 の要 件 で あ る 130 時 間 以上 の 研 修 は 求め な い が , 生 活 援 助 中心 型 の サー ビ ス に必要 な 知識 等 に 対応 し た 研 修 を修 了 し た者 が 担 う こ とと す る 44)」 と 示 さ れ ,2018 年 には ,『 生 活援 助 従事 者 研 修課 程 (59 時 間)』が 創 設さ れ た 。こ れに よ っ て ,わ ず か 59 時 間 の 研修 を 受 けれ ば , 訪 問介 護 事 業所 の 訪 問 介 護員 と し て人 員 基 準(常 勤加 算 2.5 人 以 上)の 対 象と し て 認め ら れ るこ と にな っ た 。ま た , さ ら なる 介 護 人材 の す そ 野 を拡 大 す るた め に , 介 護未 経 験 者の 参 入 を促進 す る,『入 門 的 研修 ( 21 時 間 )』 が 設 けら れ た 。 こ の 21 時 間 研 修修 了 者は , 通 所・ 居 住 ・ 施設 系 サー ビ ス での 勤 務 が 可 能な 一 方 ,訪 問 介 護 員 とし て 従 事す る こ と は でき な い 。し か し ,上位 研 修で あ る 生活 援 助 従 事 者研 修 等 を受 け る 際 に 読み 替 え が可 能 と な っ てい る 。 この よ う に,現 状 の介 護 職 員の 研 修 制 度 は , 質 の 確保 よ り も 量 的確 保 を 優先 す る 考 え 方が 一 段 と強 化 さ れてお り ,ヘ ル パ ー1 ~ 3 級 課 程の 時 代 より も 時 間 数 が短 く ,「 誰 でも 」「 気 軽に 」 介 護職 に 従 事でき る よう に 設 定さ れ て い る ので あ る 。と く に 訪 問 介護 に お いて は , 生 活 援助 を 軽 視し 専 門 性の高 い 訪問 介 護 員を 当 て る 必 要が な い とい う 考 え 方 が見 て 取 れる 。 ま た , 上位 研 修 を受 け て キャリ ア アッ プ し てい く か ど う かは , 本 人の 意 思 に 委 ねら れ て おり , 介 護 職 全体 の 資 質の 向 上 は望め な い仕 組 み とな っ て い る。本 稿で は 詳 しく 触 れ な いが ,国 家 資 格で あ る 介 護福 祉 士 につ い て も , 養 成校 卒 業 者の 国 家 試 験 受験 義 務 づけ の さ ら な る延 長 や ,国 家 試 験 不 合格 者 及 び受 験 し なかっ た 者に 付 与 され る 准 介 護 福祉 士 資 格の 創 設( 国 家試 験 義 務づ け 延 期 に 伴い 2022 年 に先 送 り )な ど ,介 護 従 事者 の 専 門 性 向上 や 社 会的 認 知 の 向 上と は か け離 れ た 施 策 が展 開 さ れて い る 。 (2)質 の 評 価 要 件 と 現 状 の 矛 盾 2006年 に は ,さ ら な る 財 源の 効 率 化が 進 め ら れ ,中 重 度 者へ の 支 援 強 化・ 介 護 予防 給 付の 導 入 等が 実 施 され た 。 介 護 報酬 は2005年 10月 の 改 定と 併 せ て マ イ ナ ス2.4%引 き 下 げ45)ら れ 、 2003年 の マ イナ ス2.3% に 引き 続 い て2回連 続 の マ イナ ス 改 定と な っ た 。 介護 人 材 不足 問 題 はさ ら に悪 化 , 介護 福 祉 士 養 成施 設 の 定員 割 れ の 問 題も 深 刻 とな る 。 介 護 福祉 士 養 成施 設 の 定員充 足 率は 2006年の 71.8% が ,2018年 には 44.2% に 減少 , 入 学者 数 は12年 間で お よ そ3分の 1に減少 し てい る46) 2007年 に は,『 福祉 人 材 確 保指 針 』 が見 直 さ れ , キャ リ ア パス の 構 築 , 高齢 者 ・ 障害 者 な ど 多 様な 人 材 の参 入 促 進 , 経済 協 定 によ る 外 国 人 の適 切 な 受け 入 れ 等 が 示さ れ る 。ま た , 他産業

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と の賃 金 の 格差 を 改 善 す る施 策 と して , 介 護 職 員処 遇 改 善交 付 金 ( 2009年 から 2011年ま で 実 施 )お よ び ,介 護 職 員 処 遇改 善 加 算 (2012年 か ら 実施 )が 設 け られ た 。 し かし , 加 算を 取 得 する た めに は , 一定 の 要 件 ( 職場 環 境 要件 等 と キ ャ リア パ ス 要件 ) を 満 た す必 要 が あり , 加 算の取 得 は事 業 所 の努 力 任 せ , また , 取 得し た 加 算 収 入の 職 員 への 配 分 も 事 業所 に 任 せる と い う内容 で あり , 同 様の 労 働 量 で あっ て も ,従 事 す る 事 業所 に よ って 賃 金 に 差 がつ く と いう 状 況 が作ら れ た。 2016年 に は ,訪 問 介 護 に おけ る 介 護報 酬 が 見 直 され , 中 ・重 度 者 へ の 対応 強 化 や , サ ービス の 効率 性 を より 高 め る こ とが 重 視 され る よ う に なっ た 。 難易 度 が 高 い 利用 者 ( 喀痰 吸 引 などの 医 療依 存 度 の高 い 利 用 者 や , 重 度 の認 知 症 利 用 者な ど ) を在 宅 で ケ ア する こ と を促 す た め特定 事 業所 加 算 が設 け ら れ た 。こ の 加 算は , 体 制 , 人材 , 重 度者 対 応 と い う3つの 側 面 から , 要 件 を いく つ 満 たす か に よ っ て加 算 の 算定 基 準 が 変 わる 仕 組 みで , 例 え ば ,定 期 的 な会 議 の 開催や 研 修の 実 施 ,介 護 福 祉 士 の配 置 割 合 , 重 度 利 用 者の 割 合 等の ハ ー ド ル が設 け ら れて い る 。 ま た ,定 期 巡 回型 ・ 随 時 対 応サ ー ビ スの 普 及 の た め , 20分 未満 の 身 体 介 護の 算 定 基準 を 緩 和 ,サ ー ビス 提 供 責任 者 の 配 置 基準 の 見 直し 等 が 行 わ れた 。 こ れは , 在 宅 重 視, 身 体 介護 重 視 の考え 方 がさ ら に 強化 さ れ た も ので , 専 門性 の 高 い 訪 問介 護 員 が , 重 度 要 介 護者 を 数 多く 担 当 するこ と を求 め る もの で あ る 。 一方 , そ の担 い 手 で あ る訪 問 介 護員 へ の 施 策 は , 専 門 性を 必 ず しも求 め ない 階 層 的な 人 材 構 造 と養 成 研 修, 主 婦 層 や 中高 年 者 の パ ー ト や 登 録ヘ ル パ ーの 量 産 で あ り ,難 易 度 の高 い 利 用 者 への 対 応 や , 24時 間 随 時の 対 応 等は 従 事 者 側 にし て も 想定 し て いない 場 合が 多 い だろ う 。 こ の 加算 は , 算定 要 件 が 厳 しい だ け でな く , 加 算 額が 区 分 支給 限 度 額の枠 内 に含 ま れ るた め , 利 用 者が 上 限 まで サ ー ビ ス を利 用 し た場 合 に は 算 定で き な い仕 組 み になっ て いる 。 訪 問介 護 従 事 者 及び 事 業 者の 賃 金 ア ッ プで は な く , あ く ま で も重 度 者 を入 院 ・ 入所さ せ ない よ う にす る 仕 組 み であ る 。

Ⅳ.考察

こ のよ う に ,ホ ー ム ヘ ル パー に 対 する 人 材 確 保 政策 の 経 緯を 見 る 中 で ,以 下 の こと が 明らか と なっ た 。 一 点目 は , ホー ム ヘ ル パ ーへ の 政 策は 量 的 確 保 が最 優 先 され , つ ね に 人員 確 保 政策 の 中に人 材 育成 が 位 置づ け ら れ て きた こ と であ る 。 そ の ため , 人 材育 成 は , 公 的制 度 と して 最 低 限の質 の 確保 を す るた め の 規 制 とし て 存 在し , ホ ー ム ヘル パ ー 全 体 の 専 門 性 向上 を 図 る仕 組 み は作ら れ てこ な か った 。 人 員 確 保政 策 が 示さ れ る た び に養 成 研 修制 度 が 変 わ り , 到 達 すべ き 目 標が段 階 的な も の に分 割 さ れ て いっ た 。 介護 保 険 制 度 が施 行 さ れて 以 降 , 人 員不 足 ・ 財源 不 足 が深刻

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化 する と , 養成 研 修 の ハ ード ル は さら に 下 げ ら れ , よ り 短時 間 で 多 く の人 員 を 介護 分 野 に参入 さ せよ う と する 政 策 が 展 開さ れ て きた 。 政 府 は ,『2025 年に 向 け た 介 護人 材 の 確保 ~ 量 と質の 好 循環 の 確 立に 向 け て ~47)』 に お い て, こ れ ま での 介 護 人材 構 造 を 「 まん じ ゅ う型 」 と 表 現 し ( 図1 ),「 意欲 ・ 能 力 の 違い を 問 わず , 一 様 に 介護 人 材 の量 的 ・ 質 的 確保 を 目 指し て き た」と い って い る が, こ れ ま で の政 策 の 経緯 か ら , そ のよ う な こと は 目 指 さ れて い な かっ た こ とが分 か った 。 図 1.総 合 的 な 確 保 方 策 」 の 目 指 す 姿 ~ 「 ま ん じ ゅ う 型 」 か ら 「 富 士 山 型 」 へ ( 出 所 : 第 3 回 介 護 人 材 確 保 地 域 戦 略 会 議 資 料 『 介 護 人 材 確 保 の 総 合 的 ・ 計 画 的 な 推 進 ~ 「 ま ん じ ゅ う 型 」 か ら 「 富 士 山 型 」 へ ~ 』 よ り ) 『 すそ 野 』 に位 置 づ け ら れた 人 材 は , ま さ に 「 誰で も 」 介護 職 に 参 入 させ よ う とい う 内 容 で ,質 の 確 保よ り も 量 的 確保 が 最 優先 と な っ て いる 。 介 護福 祉 士 を 『 富士 山 』 の頂 上 に 描き , 資 格取 得 の ルー ト を 一 元 化し て キ ャリ ア ア ッ プ の道 筋 を わか り や す く した と 示 して い る が ,そ れ は単 に 国 家資 格 取 得 ル ート を 整 理し た と い う こと で あ って , そ の ル ート を 活 用す る か どうか は ,個 人 の 「意 欲 ・ 能 力 」に 任 さ れて い る 。 そ れ以 外 の 人は , 無 資 格 ・未 経 験 でも , ま たはご く 短時 間 の 養成 課 程 を 修 了す れ ば 介護 職 と し て 従事 す る 。ま た ,『 富 士 山型 』 へ の転 換 が 「 限 ら れた 人 材 を有 効 に 活 用 する た め ,機 能 分 化 を 進め る 」 とし て い る が ,描 か れ たイ メ ー ジ 図 は ,表 面 的 な形 に は 違 い があ る が ,こ れ ま で の 階層 的 な 人材 確 保 策 と 根本 的 な 違い は な く ,む し ろ, こ れ まで の 考 え 方 がさ ら に 鮮明 に 描 き 出 され た も のと 言 え る 。 訪問 介 護 の職 務 に 当たる 上 で求 め ら れる 基 本 的 な 知識 ・ 技 術・ 倫 理 と い った 具 体 的な 水 準 が 一 定で は な いと い う こ と

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は ,提 供 さ れる サ ー ビ ス の質 に 差 が生 じ る と い うこ と で あり , 公 的 サ ービ ス で あり な が ら国民 に 対し て の 直接 的 な 質 保 証が で き てい な い 状 況 であ る 。 二 点目 は , 公的 責 任 を 縮 小す る 政 策に よ っ て , 労働 目 的 が異 な る 人 材 が混 在 す る職 場 と な り ,そ の た めに , 低 コ ス トの 労 働 者と し て 位 置 づけ ら れ ,職 業 集 団 と して 専 門 性を 構 築 するこ と が困 難 な 仕組 み が , 意 図的 に 作 り上 げ ら れ て きた こ と であ る 。 住 民 参加 , ボ ラン テ ィ アなど の 必ず し も 収入 を 重 視 し ない 団 体 を含 む 多 元 的 な事 業 者 を参 入 さ せ た こと に よ り , 地 域 の支え 合 いの 精 神 と, 公 的 責 任 が混 同 さ れ , 低 コ ス ト の働 き 手 とし て 位 置 づ けら れ た 。さ ら に ,家計 補 助者 と し ての 主 婦 層 , パー ト タ イマ ー や 登 録 型と い っ た労 働 目 的 や 意欲 の 異 なる 多 様 な人材 の 参入 が 促 され , 身 分 保 障や 処 遇 改善 を 求 め て 運動 す る よう な 従 事 者 が減 少 し ,職 業 集 団とし て の力 が 弱 めら れ た 。 現 在の 『 富 士山 型 』 の 人 材確 保 政 策で は , そ う いっ た 側 面が さ ら に強調 さ れ, 就 業 して い な い 女 性 , 他 業 種, 若 者 , 障 害者 , 中 高年 齢 者 な ど の様 々 な 人材 の 参 入を促 し てい る 。 日本 全 体 で 労 働者 人 口 が減 少 す る 中 ,多 様 な 人材 に 間 口 を 広げ る こ とは 介 護 業界ば か りで は な い。 そ れ 自 体 が問 題 な ので は な く , 介護 福 祉 の労 働 目 的 が 曖昧 に さ れる こ と や , 「 誰で も 」 でき る 「 安 い 」仕 事 と して 規 定 さ れ るこ と が 問題 で あ る 。 介護 保 険 制度 以 降 ,介護 報 酬が 身 体 介護 , 生 活 援 助と い っ た内 容 に よ る 区別 や ,20分 未 満 ,20分 ~30分 未 満 とい っ た細 切 れの 設 定 がな さ れ た こ とに よ り ,買 い 物 , 掃 除, 洗 濯 とい っ た サ ー ビス 内 容 その も の が目的 の よう に 見 なさ れ , そ の 行為 を 通 して 目 指 す べ き労 働 の 目的 や 専 門 性 が歪 め ら れて い る 。 井上 は ,食 事 を 例に と っ て,「 利用 者 の 家庭 の 台 所 で ,そ の 家 庭の 炊 事 道 具 を使 っ て その 人 の 好 み や ,身 体 状 況, 経 済 状 況 ,生 活 習 慣に 合 わ せ , しか も 介 護の 目 標 に 合 致し た 食 事を 用 意 するこ と は, 決 し て誰 で も で き るこ と で はな い 。 こ こ にこ そ 介 護の 専 門 性 が 存在 す る とい え る 。こう し て専 門 性 に裏 付 け ら れ た食 事 を ,専 門 性 に 裏 付け ら れ た摂 食 技 術 に よっ て , 食物 を 食 べるこ と が可 能 に なる48)。」と 述 べて い る 。ま た , 石 田 は, 介 護 福祉 労 働 に つ いて ,「 人 格 を構 成 し て い く諸 能 力 の獲 得 や そ の 発達 と い う課 題 を 担 っ てい る 。 と同 時 に , す でに 獲 得 して い る その人 の 諸能 力 の 総体 (「 そ の 人 らし さ 」 で表 現 さ れ る 人格 ) が 発揮 さ れ て い く生 活 の 場を 要 介 護 者 と とも に 想 像し , 発 展 さ せ, 人 間 とし て の 社 会 性を 保 障 して い く 労 働 であ る49)。」 と 述 べて い る 。つ ま り ,介 護 は 専 門 性を 必 要 とす る 社 会 福 祉労 働 で あり , 一 般 の 市場 で 売 買さ れ る ,対人 と いう 共 通 性を 持 っ た 「 サー ビ ス 」を 提 供 す る 労働 と 同 質化 さ せ て は いけ な い ので あ る 。 三点 目 と して , 市 場 原 理の 導 入 によ り , 効 率 性・ コ ス ト性 が 優 先 さ れる 中 , 訪問 介 護 の真の 目 的が 歪 め られ , そ の こ とが 担 い 手の 働 き が い を見 失 し なわ せ る と と もに , 社 会に お い てホー ム ヘル パ ー の価 値 を 低 く 認識 さ せ るこ と に 繋 が って い る とい う こ と で ある 。 訪 問介 護 の 目的や 価 値を 考 え る際 に , ま ず ,介 護 の 対象 に つ い て 理解 す る 必要 が あ る 。 小川 は , ホー ム ヘ ルプ労 働 の対 象 が 持つ 性 質 と し て ,「生 活 後 退」 と い う 現象 を 重 視し て い る 。 それ は ,「 在 宅生 活 者の 衣 ・食 ・ 住 を中 心 と し た 基本 的 な 生活 の 局 面 で 現れ る 生 活内 容 の 貧 困 化・ 悪 化 およ び 自 律性の 後 退」 と と らえ ,「 こ の 生 活後 退 の プロ セ ス の 全 体像 は ま だ解 明 さ れ て いな い が ,( 中略 ) 少な

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く とも 本 人 のA D L だ け で解 明 で きる も の で は なく , 背 景と し て , ① 本人 に 内 在す る 問 題 ,② 家 族・ 知 人 など 介 護 者 の 問題 , ③ 生活 手 段 の 問 題, ④ 医 療, 保 健 ・ 福 祉サ ー ビ スの 問 題 ,⑤地 域 ・社 会 関 係の 問 題 , な どが 考 え られ る」,「 生 活後 退 は ,本 人 の 心 身 機能 の 後 退( 生 活 障害) に 起因 し な がら も , そ の 原因 と 深 刻化 が 社 会 的 背景 を 持 ち , あ る い は 本人 の 生 活史 の 中 で社会 的 な背 景 を 持ち な が ら 形 成さ れ て いる も の で あ り , ま た 解決 力 を 個 人 と家 族 に 帰す こ と ができ な い問 題 が 多い 。 ま た , その こ と はホ ー ム ヘ ル プを 公 的 責任 で お こ な うべ き 根 拠の 1 つ でもあ る50)。」 と 述べ て い る。 訪 問介 護 の 対象 の 特 性 を 理解 し た 上で , 介 護 福 祉労 働 の 目的 を 達 成 す る ため の 介 護過 程 の 展 開 は, 単 純 に身 体 的 介 護 ,家 事 援 助と 切 り 分 け られ る も ので は な い。対 象 はモ ノ で はな く , 生 涯 発達 し 続 ける 人 間 ・ 人 格で あ り ,生 活 後 退 に よっ て 表 れる 発 達 要求を 保 障す る こ とが そ の 人 の 主体 的 ・ 自律 的 な 生 活 行動 に 結 びつ く 。 ホ ー ムヘ ル パ ーは , 介 護を必 要 とす る 人 との 相 互 の 働 きか け の 中で , 真 の 生 活課 題 を 見い だ し , そ れに 応 え て生 活 改 善がで き たと き に ,専 門 性 の 実 現に よ る 自己 の 発 達 を 成し 遂 げ る51)。 ま た , その こ と によ っ て 働 き が い や意 欲 が 高ま り 専 門 性 を構 築 し てい く こ と に 繋が っ て いく 。 こ の よ うな 介 護 福祉 労 働 の根幹 を なす 働 き かけ 合 い が , 現在 の 介 護保 険 制 度 に おけ る 訪 問介 護 で は 報 酬と し て 認め ら れ ていな い 。裁 量 制 はな く , 内 容 ごと に 細 分化 さ れ た サ ービ ス を ,効 率 よ く 提 供し な け れば 事 業 の運営 が 成り 立 た ない 。 施 設 介 護で は ユ ニッ ト ケ ア や 認知 症 グ ルー プ ホ ー ム に見 ら れ るよ う に ,利用 者 の個 別 性 や生 活 の 継 続 性が 重 視 され る 一 方 で ,利 用 者 の「 住 み 慣 れ た我 が 家 」で 提 供 する訪 問 介護 サ ー ビス で は ,「 そ の人 ら し い生 活 」 を 取 り戻 す た めに 必 要 な 時 間も 費 用 も十 分 与 え ら れ てい な い 。こ の よ う な 状況 は , ホー ム ヘ ル パ ー自 身 の 意欲 低 下 , 質 の低 下 を 招く と と もに , サ ービ ス を 利用 す る 社 会 の人 々 に その 価 値 を 理 解し て も らう こ と を 困 難と さ せ る。

Ⅴ.おわりに

この よ う な状 況 の 中 で ,ホ ー ム ヘル パ ー が 独 自の 専 門 性や 価 値 を 真 に発 揮 し ,高 め て いくた め には , 何 より も , 公 的 サー ビ ス とし て の 国 民 に対 す る 直接 的 な 質 保 証と い う 観点 か ら とらえ る 必要 が あ る。 そ の た め には , 公 的サ ー ビ ス の 担い 手 で ある ホ ー ム ヘ ルパ ー の 労働 の 対 価を保 障 する こ と ,す な わ ち 賃 金の 改 善 が必 須 で あ る 。加 算 と いう 不 安 定 な もの で は なく 基 本 的な介 護 報酬 の 引 き上 げ に よ っ て , 安 定 した 収 益 に よ る賃 金 の 改善 が 求 め ら れる 。 2017年 度 の 勤 続10 年 の職 員 の 賞与 込 み 給 与 は, 全 産 業計 で は 36.6万 円 ,ホ ー ム ヘル パ ー が 26.1万 円 ,福 祉 施 設職 員 が27.5万 円と な っ て い る52)。 処 遇 改善 加 算 が 創設 さ れ ても な お , 全 産業 よ り も約 10万 円 低 い 結 果と な っ てお り , 介 護 従事 者 の 賃金 の 低 さ が 加算 で は 改善 で き て い ない こ と が分 か る 。 ま た ,令 和 元 年度 の 介 護 労 働実 態 調 査 ( 事 業 所 調 査) に よ ると , 介 護 サ -ビ ス 事 業を 運 営 する上 で の問 題 点 は、 「 良 質 な 人材 の 確 保が 難 し い 」 が 56.7% と最 も 高 く , 次い で , 「今 の 介 護報酬

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