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反復性他動ストレッチングのハムストリングス伸張に及ぼす効果 ―温熱療法の併用効果について―

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反復性他動ストレッチングの

ハムストリングス伸張に及ぼす効果

温熱療法の併用効果について

桑 原 拓 也, 饗 場 和 美, 豊 岡 浩 介

山 路 雄 彦, 渡 辺 秀 臣

要 旨 【背景・目的】 他動的なスタティック・ストレッチングは運動器の維持・向上に大きな役割を果たしている. 伸張時間と頻度において有効な活用法の確立と温熱療法の相加的効果について検討した. 【対象と方法】 常大学生 22名を対象とし, ストレッチング 10秒間を 5回施行する群と 50秒間を 1回施行する群に け, これに温熱療法を併用しストレッチング前と直後, 10 後の 3回, 下肢伸展挙上 (straight-leg raising, SLR) 角度と手掌にかかった圧を測定し伸張強度を求めた. 【結 果】 10× 5群ではスタティック・ストレッチン グにより SLR 有意な角度の改善が認められたが, 50×1群では有意な改善が得られなかった. 温熱の相加的 効果は確認されなかった. 10× 5群ではスタティック・ストレッチングにより有意な伸張強度の増加が確認 された. SLR 角度と伸張強度の変化率には 10× 5群のみ有意な相関が確認された. 【結 語】 ストレッチ ングによる SLR 角度の増加は 10秒を 5回繰り返す方法が有効であり, この短期の改善効果は神経生理学的 要因が関与し, 長期持続には組織構造の変化を導くストレッチングの継続が必要と えられる.(Kitakanto Med J 2008;58:159∼166) キーワード:スタティック・ストレッチング, SLR 角度, 伸張強度, 極超短波 は じ め に 理学療法の中で運動療法に 類されるストレッチング は, スポーツ選手の関節や筋肉組織のウォーミングアッ プやクールダウンには積極的に活用され, 一般人におい てもいろいろな部位での運動器の 康維持に幅広く適用 されている. ストレッチングにより得られる効果は筋肉 を含めた組織柔軟性の維持・向上,関節可動域の維持・改 善, 障害発生予防, 筋運動疲労回復の促進, 疼痛緩和, そ して精神的リラクセーションが期待される. ストレッチ ング手技は多様な方法が用いられているが, スタティッ ク・ストレッチングは一回の動作に反動をつけずにゆっ くりと持続的に引き伸ばす方法であり, 伸張反射が起こ りにくく, 筋や腱が損傷されることなく安全であり, か つ組織の柔軟性改善, 疲労回復に効果が認められてい る. 大 後面に位置するハムストリングスは股関節伸展と 膝関節の屈曲, 立位においては膝関節の伸展に寄与しス ポーツにおいてその筋力が重要な働きをするが, 多彩な 下肢の動きを伴う激しい動きが要求されるスポーツにお いては, 股関節の他動的な瞬間的かつ過大な屈曲強制が 発生する. この時に膝が伸展されている状態ではハムス トリングスに強い伸展負荷がかかる. 骨端軟骨の残存す る成長期の小児においては, ハムストリングスの伸展能 力の閾値を越えて瞬時に発生する負荷が骨盤の剥離骨折 を惹き起こす. 重大な機能障害を誘発するこのような スポーツ外傷の後遺症には筋肉のトレーニングが有効で あるが, 防止の観点からはストレッチングによるハムス トリングスの伸展能力の向上に期待が持たれる. ハムストリングスに対してのスタティック・ストレッ チングは他動的に下肢伸展挙上 (straight-leg raising, SLR) を行なうことによって行なわれる. 上野らはハ 1 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部保 学科理学療法学専攻 平成20年2月8日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部保 学科 合理学療法学 渡辺秀臣

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ムストリングスに 120秒間持続 的 に 伸 張 を 与 え ス タ ティック・ストレッチングを行なったところストレッチ ング開始から 75秒までは有意に増加がみられ, それ以 降では有意差は認められなかったが, 変化量に増加傾向 がみられ, 120秒間で SLR 角度が 13.1度増加したと報 告しており, スタティック・ストレッチングの有効性を 示した. 一方, SLR を行なうことによるハムストリング スに対する他動的なスタティック・ストレッチングの施 行時間については一定の見解が得られていない. 田中ら は 10秒× 5回群と 30秒× 5回群でストレッチングを行 なったところ 10秒× 5回群の方が, 有意に SLR 角度が 増加したと報告している. また, 中嶋は 60秒間のスト レッチングを推奨しているが, 最低 6秒間以上, 10∼30 秒のストレッチングでも効果は得られると報告した. しかしながら, スタティック・ストレッチングにおいて 伸張時間や頻度と長期的な持続的効果を明確にした報告 は見当たらない. ストレッチングの効果に寄与する物理療法は温熱療法 である. 温熱療法は軟部組織や腱の伸張性を増加させ, ストレッチングによる組織伸張効果を増加させる. し かしながら, この伸張相加効果の有効な発現方法につい ての詳細な検討は見当たらない. 本研究では同一施行時 間で行なったスタティック・ストレッチングの 割頻度 の有効性を検討した. さらに温熱療法において有効な伸 張時間と頻度を検討するために, 極超短波による物理療 法を加えて, ストレッチングの即時効果および持続効果 について検討したので報告する. 対象および方法 1.対 象 常大学生 22名 (男 14名,女 8名)の一側下肢 (右足) を対象とし, 半数はストレッチング 10秒間を 5回施行 する群 (以下 10×5群)に,残りの半数はストレッチング 50秒間を 1回施行する群 (以下 50×1群) に無作為に 別した. 対象者の年齢, 身長, 転子下長は表 1に示したよ うにすべての項目について 2群間に有意差はなかった (表 1). 2.スタティック・ストレッチング 対象者はベッド上に背臥位となり, 体幹の代償を防ぐ ため両上肢は胸の前で組んだ状態でスタティック・スト レッチングを行なった. スタティック・ストレッチング 方法は田中らの行なった方法に基づき, 合計施行時間を 50秒に一致させ, 10× 5群では 10秒間を 5回繰り返し た. 各々10秒の施行の間には 10秒休憩の時間を置いた. 一方,50× 1群では,50秒間連続したストレッチングを 1 回行なった. この両群は効果が得られると報告された 10 から 60秒の間に含まれた. 被験者の検査側股関節は内 外旋中間位とした. 本研究では上野らの方法を採用し伸 張強度は痛みによる筋収縮を誘発しない疼痛閾値直前の 伸張強度とし, 被験者に確認しながら他動的に SLR を 行なった. ストレッチング中は息を止めないこと, ハム ストリングスがストレッチングされているということを 意識してもらうことをストレッチング前に指導した. ま た, 室温は 21から 24℃に設定した. 3.SLR 角度と抵抗圧の測定方法 SLR 測定時の被験者の体位は, スタティック・スト レッチングを行なった時と同様にベッド上背臥位とし た. 体幹の代償を防ぐため両上肢は胸の前で組んで, 骨 盤帯と非検査側の大 部をベルト固定し, SLR 角度を測 定した. SLR 角度の測定は検査者 2名で行い, 一人は他 動的にストレッチングを行い, もう一人が SLR 角度を ゴニオメーター (東大式関節角度計, 日本メディックス, 戸市) で測定した (図 1). その際, 基本軸を体幹とベッ ドに平行な線, 移動軸を大転子と大 骨外顆の中心を結 ぶ線とし, 大転子と大 骨外顆にシールを張り移動軸の ずれを防いだ. 図1 SLR 角度測定方法. 表1 対象者のプロフィール グループ 人数 (男/女) 年齢 (歳) 身長 (cm) 転子下長 (cm) 10×5群/10×5+温熱群 11 (7/4) 19.9±1.4 167.8±5.6 76.1±3.1 50×1群/50×1+温熱群 11 (7/4) 19.7±1.4 169.0±8.1 77.3±4.5 計 19.8±1.4 168.4±7.0 76.7±3.9 (平 ±標準偏差)

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SLR 角度を測る際, 手掌にかかった圧を徒手筋力測定 器 (パワートラックⅡ MMT コマンダー, 日本メディッ クス, 戸市) で測定した. 他動的に加えた力を客観的に 評価し, 下肢の重力による修飾をさけるために検査者の 手掌にかかった圧をもとに, Halbertsmaらの方法に基づ いて以下の式を用いて, 下肢の抵抗力を伸張強度 (Nm) として求めた. 伸張強度={SLR 角度測定時圧 − 下肢水平時圧・cos (SLR 角度)}・転子下長 SLR 角度および伸張強度の測定はストレッチング前, 直後, 10 後の計 3回測定した. 4.極超短波による温熱療法 極超短波を併用する群 (温熱群) ではストレッチング を行なう前に極超短波発生装置 (型式 ME-80, OG 技研 株式会社, 岡山市) を照射した. 被験者をベッド上に腹臥 位とし, 大 後面に極超短波発生装置の照射導子を 10cm離し,出力 80W で,20 間照射した.被験者の温感 を聞いて温熱効果を確認した. 極超短波を用いた測定は, 最初の温熱療法を併用しない測定から 1週間以上の期間 が過ぎた後に行なった. 5.統計処理 群内のストレッチング前後, またはストレッチング 10 後の比較には Wilcoxonの符号付き順位検定を用いた. 群間の変化率の比較には Mann-Whitney検定を用いた. 相関については Pearsonの相関係数を 用した.なお,有 意水準は 5%未満とした. 結 果 1.再現性の検討 常大学生 3名で, ストレッチング前の SLR 角度と 伸張強度を朝, 昼, 晩でそれぞれ 3回ずつ測定し, 2日間 の計 18回測定したところ SLR 角度 (平 値±標準偏 差)は日内変動 2.8±0.4,日間変動 3.0±0.3でそれぞれ変 動係数 5%以下であった. 伸張強度は日内変動 16.2±1.5, 日間変動 14.9±2.5でそれぞれ変動係数 20%以下であっ た (表 2). 2.ストレッチング前 SLR 角度 ストレッチング前 SLR 角度は 10×5群 69.4±10.5°で, 50×1群では 71.5±16.4°と統計学的有意差はみられな かった. 温熱療法併用時にも 10×5+温熱群 68.9±6.1°, 50×1+温熱群 69.1±12.0°であり両者に統計的な有意差 は認められず, ストレッチング前から群間において SLR 角度に差はなかった (図 2).また,温熱療法を併用しない ときと併用時の計測時において, 両群とも SLR 角度に 有意差は見られなかった (図 2). 3.SLR 角度のストレッチングによる改善効果 10× 5群ではストレッチング前のSLR角度,69.4±10.5° がストレッチング直後には 75.1±9.0°になり, 5.7度の有 意な改善効果が認められた (p<0.05). しかしながら, 50×1群では 3.9 度の増加が見られたが有意な改善には 至らなかった (図 2). 一方, 極超短波を併用すると, いず れの群でも 7度以上の有意な改善効果が見られた. しか 図2 SLR 角度の変化. カラムの上方の直線は 5%未満の有意差を, 米印はさらに 1%未満 の有意差を示す. 表2 測定値の再現性 測定 日内変動係数 (%) 日間変動係数 (%) SLR 角度 2.8±0.4 3.0±0.3 伸張強度 16.2±1.5 14.9±2.5 (平 ±標準偏差)

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しながら, ストレッチング後 10 経つと, 全ての群で SLR 角度は有意に低下して, いずれもストレッチング前 の角度に近づき, ストレッチング直後には有意な改善効 果を認めた群でもその改善効果は確認されなかった. 次に各群間の比較をするために, ストレッチング前の SLR 角度を基準にした変化率を求めた. 表 3に示すよう に, ストレッチング直後 SLR 角度変化率は温熱療法を 併用しないと約 5から 9 %であり, ストレッチングの 割による差は見られなかった. これに対して温熱療法を 併用すると 10%以上の改善が確認されたが, ストレッチ ングの 割による差は見られなかった. また, 温熱療法 併用による改善率の上昇も有意差を導くまでの改善向上 とはいえなかった. 4.ストレッチングによる伸張強度の変化 ストレッチング前の SLR 測定時における伸張強度は 各群それぞれ 10×5群 17.25±7.93Nm, 50×1群 18.98± 5.86Nm, 10×5+温熱群 20.62±5.71Nm, 50×1+温熱群 17.13±4.31Nmで, SLR 角度と同様に各群間に統計的な 有意差は認められなかった (図 3). ストレッチング前と直後での伸張強度において 10×5 群では 17.25±7.93Nmか ら 21.53±6.30Nmに 変 化 し 有 意差をもって増強効果が認められたが (p<0.05), 50×1 群では有意差が認められ, 角度の改善効果に一致した結 果となった. 一方, SLR 角度の改善のみられた温熱療法 を併用した群では, 10×5+温熱群では伸張強度におい てはストレッチングの有意な効果は認められなかった (図 3). 次に SLR 角度の変化と同様に, ストレッチング前の 伸張強度を基準にした変化率を求めて各群間の比較を 行った. ストレッチング直後における変化率には各群間 で有意な差は見られなかったが, ストレッチング終了後 10 経ったところでは, 10×5群では, 温熱を併用した ものに比べて温熱のない群は有意に変化率が高く維持さ れていた (p<0.05) (表 4). 5.SLR 角度変化率と伸張強度変化率の相関について ストレッチングにより 3群に SLR 角度の増加効果が 得られ, 2群に伸張強度の増加が確認された. そこで, そ れぞれの変化率の相関を調べたところ, 両方の検査項目 図3 伸張強度の変化.カラムの上方の直線は 5%未満の有意差を,米印はさらに 1%未満の 有意差を示す. 表3 ストレッチング前を基準にした SLR 角度変化率 (%) グループ ストレッチング直後 ストレッチング終了 10 後 10×5群 9.1±8.6 2.8±6.5 50×1群 5.5±4.7 0.5±3.4 10×5+温熱群 10.8±5.4 1.8±5.3 50×1+温熱群 11.5±6.3 0.2±8.4 表4 ストレッチング前を基準にした伸張強度変化率 (%) グループ ストレッチング直後 ストレッチング終了 10 後 10×5群 41.8±49.7 27.5±34.9 50×1群 16.0±30.7 10.1±46.4 10×5+温熱群 18.3±20.2 3.1±24.8 50×1+温熱群 33.4±17.7 17.0±24.9 温熱を用いない群と Mann-Whitney検定にて比較して有意差を認めた (p<0.05)

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に有意な増加を認めた10×5群に, 有意な相関 (r=0.644) が確認された (図 4). 察 今回の研究から, 同じ 50秒間のスタティック・スト レッチングでも, 10秒ずつ 5回に けた 10×5群では有 意な SLR 角度の改善が認められた が, 連 続 し て ス ト レッチした 50×1群では有意な改善が得られなかった. 温熱療法を併用すると, 両群とも有意な改善効果が得ら れたが, 温熱の相加的効果は確認されなかった. スト レッチ後の伸張強度の変化は SLR 角度の変化と同様に 10×5群では有意な増加が確認されたが, 連続 50秒の群 では有意な増強は見られなかった. 温熱療法の併用では 5回の 割群では有意な増強効果が確認されず, スト レッチ終了後 10 では, 温熱を併用した群がしない群 より明らかにストレッチング前の伸張強度に近い低値を 示した. 各群の SLR 角度と伸張強度の変化率における 相関では, ストレッチング後に SLR 角度, 伸張強度とも 増強し, ストレッチング後 10 でも温熱併用より有意 に高い変化率を示した 10×5群のみ有意な相関が確認さ れた. 本研究ではストレッチング直後の SLR 角度が 10×5 群では有意差が認められ, 50×1群では有意差が認めら れなかった. 田中は 10秒間と 30秒間の伸張時間をそれ ぞれ 5回繰り返し, 休憩時間を 10秒としストレッチン グを行なったところ, 両群ともストレッチング施行後の 随意的 SLR 角度に有意差が認められ 10秒間施行群のほ うが有意に増加したと報告した. さらに 10秒間施行群 のほうが主観的リラクゼーションを得られること, 大 直筋の筋電図で 30秒間施行群のほうが筋放電量は多 かったことよりストレッチングの施行持続時間が長いほ ど筋放電量が高くなることを示した. こうした結果から 他動的ストレッチングの伸張強度を計測することにより ストレッチングの施行時間が長くなるほど筋組織に対す る侵害刺激を受けやすく, 防御的スパズムを誘発させる ことを示唆した. 私たちの結果でも, ストレッチング後 には伸張強度の増加が見られ, また長時間の持続スト レッチング後には SLR 角度の改善効果も得られないこ とから, 1回のストレッチング施行時間の長い 50×1群 では筋組織の侵害誘発に対する防御的スパズムを誘発さ せてしまうために, 50秒という長時間の持続ストレッチ ングでは SLR 角度増加に有意差が認められなかったこ とが推察された. 本研究では, Halbertsmaらの方法によって下肢の重力 による修飾をさけて検査者の手掌にかかった圧をもとに 筋に与える伸張強度を客観的に測定した. 田中らはスト レッチングの際, 他動的に加えた力については, 10秒間 を 5回繰り返した群と 30秒間を 5回繰り返した群との 両群間に有意差は認められなかったと報告している. 私 たちの研究結果では, 測定後 SLR 角度の増強が見られ た 10×5群では, 有意な伸張強度の増加を認め, さらに その増加率は高い相関を示した. 今回のストレッチング と測定では上野らの方法に従って伸張強度は痛みによる 筋収縮を誘発しない疼痛閾値直前の伸張強度を測定し た. ストレッチングによる柔軟性の獲得には, 脊髄神経 機構の抑制性の反射を利用した筋緊張状態からの解放 (リラクセーション) と, 伸張負荷に適応して結合組織が 変形し, 組織そのものの柔軟性が高まることが指摘され ている. SLR 角度が変化する要因としては覚醒状態の 生体では筋の組織粘弾性の向上よりむしろ神経生理学的 変化によるところが大きい. これらのことより, スト レッチングにより直後に得られた SLR の増強効果は, ストレッチングによって疼痛閾値が上昇し, 耐えうる伸 張強度が増したことにより SLR 角度の増加が得られた と えられる. ストレッチングによる SLR 角度増加効果の持続性を ストレッチング終了 10 後に測定することで調べたと ころ, 直後の SLR 角度に有意な増加効果が認められた 10×5群でもストレッチング効果の維持は認められず, ほぼストレッチング前の SLR 角度に近い値となった. Zebasらは, 6週間継続実施したストレッチング効果が 中止後 2週間から 4週間で実施前の状態に戻った事を報 告しており, ストレッチングの持続性の確保は難しい. 一方, 進藤らは 常大学生を対象にハムストリングスを 痛いが我慢できる伸張強度にて週 4回 30秒間ずつ 1週 間行い, その後 60秒間を週 4回の頻度で 3週間行なっ た結果, 角度がストレッチング開始直後は急激に, その 後は緩やかに増加し, ストレッチング期間終了後は, 直 後は急激に低下したが, その後は一定のレベルで維持さ れたと報告した. 以上より, SLR 角度に対して, スト 図4 10×5群の SLR 角度の変化率と伸張強度の変化率の 相関関係.

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レッチングの短期介入の増加効果は神経生理学的変化に よるところが大きく易可逆性であるが, 長期介入の効果 では結合組織が変化して組織そのものの柔軟性が高まる ことが期待され, 日々正しい方法で継続することが望ま しいと える. 今後は長期介入においてのストレッチン グ効果の検討が必要であると える. Lehmann らは, 温熱刺激またはストレッチングのみで はコラーゲン線維の伸張性向上は認められず, 温熱刺激 とストレッチングの併用によって有意な伸張性の向上を 認めたことを報告した. 私たちの結果からは 10×5群, 50×1群と極超短波を併用した 10×5+温熱群, 50×1+ 温熱群の間に統計的な有意差は認められず, 極超短波に よる温熱療法の相加的有効性を証明することはできな かった. しかし, SLR 角度の改善を認めなかった 50×1 群では極超短波の併用により SLR 角度増加に有意差が 認められたことより, 1回のストレッチング施行時間が 50秒と長い場合は極超短波を併用したほうが効果の発 現が得られる可能性が示唆された. 10×5群では伸張強度変化率と SLR 角度変化率の間 に高い正の相関が認められたにもかかわらず, 他群に認 められなかった原因ははっきりしない. 極超短波を併用 した群では, ストレッチングにより疼痛閾値が上昇して 耐えうる伸張強度が増すだけでなく, 極超短波照射によ る軟部組織の伸張性増加が影響するため, 必ずしも伸張 強度変化率と SLR 角度変化率の間に正の相関が認めら れなかったと えるが, 今後詳細の検討を要する. ま と め 1. 常大学生 22名を対象に, ハムストリングスを他 動的ストレッチングし, 伸張持続時間と頻度, 極超短 波の有無によって 4群に け, SLR 角度と伸張強度の 変化を検討した. 2. 伸張強度が被験者の我慢できる程度の痛みで, 合計 伸張時間が 50秒の場合, 10秒を 5回のストレッチン グでは SLR 角度が有意に増加したが, 50秒を 1回で は有意に増加せず, 合計伸張時間が同一の場合, 10秒 を 5回で行なったほうが効果的であった. 3. SLR 角度と伸張強度に有意に増加の見られた 10秒 を 5回で行なった群ではその変化率に高い相関を認 め, SLR 角度の増加が疼痛閾値の上昇により得られた と えられる. 4. SLR 角度の増加に見られるストレッチング効果は ストレッチング施行 10 後には維持されていなかっ た. 5. 大 ハムストリングスのストレッチ効果を得るため には, 10秒を 5回繰り返す方法を推奨するものである が, その短期的効果は神経生理的要因の関与が示唆さ れ, その恒常性の獲得においては継続的ストレッチン グによる組織構造の変化が必要と えられ, 今後詳細 な検討が必要と える. 謝 辞 本研究は理学療法学専攻の卒業研究として行なったも のであり, 研究を遂行するにあたり, ご協力していただ いた本専攻の在学生である被験者の皆様ならびにご指導 頂いた理学療法学専攻の諸先生方に深く感謝いたしま す. 文 献 1. 板場英行 : ストレッチングをめぐる現状と課題. 理学療 法 21巻 2004; 12: 1444. 2. 宮崎義憲 : ストレッチングの効用.アンチ・エイジング医 学―. 日本抗加齢医学会雑誌 2006; l2: 87-90.

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Effect of Repeated Passive Static Hamstrings

Stretching on SLR Angle

Insignificant Role of Additive Hyperthermia

Takuya Kuwahara,

Kazumi Aiba,

Kousuke Toyooka,

Takehiko Yamaji

and Hideomi Watanabe

1 Department of Physical Therapy, Gunma University School of Health Science 3-39-15 Showa, Maebashi, Gunma 371-8511 JAPAN

Background & Purposes: Passive static stretching plays an important role in maintenance of healthy musculoskeletal systems. To establish a possibly ideal protocol for the exercise management, duration and frequency of the stretching of the exercise were examined in combination with thermo therapy. Subjects and M ethods: In 22 healthy undergraduate students statistic stretching was performed five times for repeated 10 seconds(5×10 group)in half,and once for 50 seconds(1×50 group)in others. In both groups the same exercise was done in combination with thermo therapy one week later. The straight leg raising (SLR)angle and the stretching strength calculated from Hand-held dynamometer were evaluated before and, immediately and 10 minutes after stretching. Results: SLR angle and the stretching strength were augmented immediately after stretching significantly in subjects receiving the exercise in 5×10 group but not in 50×1 group. Thermo therapy did not enhance the efficacy of the stretching. There was significant correlation between the augmented rate of SLR angle and that of stretching strength in 10×5 group. Consideration : To improve the SLR angle statistic stretching five times for repeated 10 minutes may be recommended better than once for 50 minutes,and the effect might be due to neurophysiological factors.(Kitakanto Med J 2008;58:159∼166)

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