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日本文学研究会

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Academic year: 2021

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日本文学研究会

平成三十年二月二十一日

宗祇と名所

 教授   岸田   依子   室町後期に活躍した連歌師宗祇は、箱根湯本で客死するまで、終生諸方への旅 に赴いたが、その旅の人生とも関連して注目されるのが宗祇の「名所」に対する 深い関心である。   『白河紀行』 『筑紫道記』の紀行文における名所はもとより、寛正五年正月一日 詠『宗 祇 独 吟 百 韻』 (発 句 の み 専 順 作) 、文 正 二 年 (文 明 二 年 と す る 諸 本 も あ り) 正 月 一日詠 『宗祇独吟百韻』 (自注あり) の名所百韻、 名所を列挙した 『宗祇名所和歌』 、 あるいは連歌論書『浅茅』後半部における、中世の他の連歌論書や連歌学書には 類例を見ない、一八七の名所と証歌 ・ 寄合語を一括して掲載した名所に関する大 部 の 記 載 な ど が あ り、 『実 隆 公 記』に も 宗 祇 の 名 所 や 歌 枕 に 関 す る 談 話 の 記 事 が 折 々 見 え る。 本 発 表 で は、 主 と し て 独 吟 の 「名 所 百 韻」 二 編 の 名 所 と 『浅 茅』 収 載 の名所を対象に、鎌倉時代以降同時代に至る名所歌集の名所との一致度を調査し、 その特性の一端について考察し、宗祇の句集や百韻 ・ 千句の付句や付合における 宗祇の名所句の詠法や付合の技法等について考察するうえでの一つの布石とした。

太宰治の旅

 教授   元吉    進   近現代の文学者で、太宰治ほど旅行をしなかった人も珍しいとされる。旅の時 期と行先、同行者を一覧表にまとめると、太宰の旅の特徴がいくつか指摘できる。 まず第一に、単独行が少ないことで、友人知人、家族との旅が多い。これは、大 名旅行的に若様気取りで、人任せであった実家津島家の旅行形態が影響している だろう。また、曾遊の地を繰り返し訪れていることも特徴である。さらに、旅の 西 限 は 三 保 の 松 原 で、京 都、関 西 に 足 を 運 ん で い な い。こ れ に は、 『津 軽』に 見 られる都 ・ 中央に対する反骨意識、津軽人としてのプライドが根底にあろう。最 後に、川端康成が『伊豆の踊子』の舞台とした湯ケ野温泉福田家旅館は太宰も宿 泊 し た が、 『東 京 八 景』等 の 作 品 に は 全 く 川 端 関 係 の 言 及 が 無 い。太 宰 の 芥 川 賞 落選以降、川端は太宰作品を評価しているので、太宰が言及しないのは、川端個 人への屈折した意識というより、妻美知子が書くような「作家は自分一人」とい う自尊心のなせる結果ではないだろうか。

参照

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