シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程 : 2009年実施の新シラバスの概要
13
0
0
全文
(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第62巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.62,No.2. 平成凶年2月 February,2012. シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程 −2009年実施の新シラバスの概要−. 佐々木. 宰. 北海道教育大学釧路枚美術教育研究室. OntheRevisedArtCurriculumforPrimarySchooIsinSingapore OverviewoftheNewSyllabusImplementedin2009. SASAKI Tsukasa. t)epartmentofArtEducation,KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 要 旨 シンガポールの初等学校及び下級中等学校における美術教育の新しいシラバス(教育課程)が,2009年か ら実施されている。これは,1980年代から適用されてきた教育課程を抜本的に見直して改訂した2002年実施 の前シラバスを基盤にして,修正を加えたものになっている。初等及び中等教育段階の美術教育を一体的に とらえ,生徒の発達段階を考慮した達成目標を示した点,指導プログラムの計画及びシラバス運用の方針を 示した点,評価規準表を示した点などが新たな特徴として認められた。. はじめに. シンガポールの初等学校(PrimarySchool)及び下級中等学校(LowerSecondarySchool)における美 術教育の教育課程(シラバス1))が改訂され,2009年から実施されている。今次の改訂では,初等学校にお ける教科名が,従来の図画工作(ArtandCrafts)から美術(Art)に変更され,初等中等を一貫した美術 の教育課程として示された2)。 従来の美術教育では,1983年に改訂されたシラバスが1980∼1990年代を通して適用されていたが,1990年 代末からの21世紀の教育に向けた教育改革の一環として見直しが進められ,2002年から改訂シラバスが実施 されていた。この2つのシラバスの特徴と,シラバス改訂の背景となるシンガポールの国策や教育改革との. 関連については,佐々木,福田らによって報告されている3)。 前回2002年実施のシラバスは,それ以前に20年以上の長期にわたって適用されてきたシラバスを大幅に改 訂したものであったため,教科の目標・内容の設定から記載の仕方に至るまで抜本的な見直しと変更が加え. 151.
(3) 佐々木. 宰. られていた。当時の教育改革は,21世紀社会へ向けた国策の一環としての性格を強く持っていた。図画工作 のシラバスにおける具体的な改訂点からも,教育政策はもとよりその上位にある国策との符合を認めること ができた。. このシラバスが実施されて7年後の2009年に,新たな改訂シラバスが実施されている。前回の改訂が20数 年ぶりであったことを考えると,7年という改訂の間隔はきわめて短い。2002年実施シラバスの基本的方向 性を堅持した改良版が,2009年実施シラバスであるといえるが,初等学校における教科名を変更して初等中 等一貫の美術教育課程を示すなど,大きな変更点もある。現状の変化に対して機敏に対応するシンガポール の教育政策において,今次のシラバス改訂は,2002年以降の教育,社会,文化的な背景を反映しているもの と考えられる。. 本稿では,2009年から実施されているシンガポールの新シラバスを概観し,従前シラバスとの比較を行い. ながら,その特徴を把握することを目的とする4)。シラバス改訂の社会的背景,教育政策との関連等につい ては,稿を改めて述べることとする。. 1.2002年実施シラバスの概要 2002年実施のシラバスは,それ以前に20年以上にわたって適用されてきたシラバスからの大幅な改訂と なった。1983年のシラバスでは,学年進行に伴って生徒の認識世界を拡大させていく学年別のテーマ設定が なされており,その中に中国系,マレー系,インド系の造形文化が均衡を維持しながら取り入れられていた。 多民族・多文化社会における造形文化の教育は,それぞれの民族や文化の独自性を色濃く反映する。例えば, 中国画やバティック(ろうけつ染め)などは,それぞれ中国文化,マレー文化を代表する造形であり,図画 工作の教材としても広く扱われていた。1980から1990年代のシンガポールの美術教育のユニークな特徴は, このような民族文化の均衡の延長上に,シンガポーリアンとしての国民意識の滴養を標模していた点である。 すなわち,美術教育の教育課程は,民族文化の尊重と国民統合という多民族・多文化国家シンガポールの教 育課題に応えるものとして示されていた。 1990年代後半からは,わが国においてもそうであったように,Zl世紀の到来に向けて教育改革が進められ ていった。国土が狭小で天然資源をもたないシンガポールにとって,人的資源の確保はきわめて重要な課題 である。能力主義による複線型の学校教育制度,民族母語と英語によるバイリンガル教育の徹底といった, シンガポールの教育として従来からよく知られている特徴は,こうした背景を強く反映している。 さて,1990年代後半からのシンガポールの教育改革のスローガンは,「考える学校・学ぶ国家(Thinking SchooIs,LearningNation)」というものである。このスローガンのもとに,教育改革の基本方針として,「国 民教育(NationalEducation)」,「考える技術(ThinkingSkills)」,「情報技術(InformationTechnology)」 の3項が示された。基本方針の一つである「国民教育」は,民族融和を図りながら国民統合を目指す従来の 方向性から,国民としての共通意識や価値観を優先し,教育の中にソフトに組み入れていくという方向性へ の変化を示している。「情報技術」は教育の情報化を標模し,「考える技術」は知識注入型の教育から,創造 的な思考力の育成への転換を示している。このような教育改革の方針は,知識経済戦略に基づく人的資本の. 開発という性格を色濃く反映している5)。 2002年実施のシラバスはこのような背景をもとに大きく改訂されたものである。文書のページ数は大幅に. 減じられ6),シラバスの内容は,「はじめに」「目標」「内容」「教授・学習のアプローチ」「アセスメント」 という項目から構成された。「はじめに」では,「ビジュアルアートを通して,子どもは視覚的な世界を探究 し,思考や感情をやりとりしたり,そうしたものや環境についての概念を形成したりすることを学ぶ」と述. 152.
(4) シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程. べられており,個人の自己表現とは異なるレベルでの美術教育の在り方が示されている。 美術教育の目標は,①生徒の見る能力,作る能力,鑑賞する能力を伸ばす,②中等学校での美術学習の基 礎を定着させる,③美術に対する生涯をとおしての興味をもたせる,となっている。具体的な到達目標は,「枠. 組み(Framework)」として示されており,「見ること(seeing)」,「つくること(making)」,「鑑賞するこ と(appreciating)」の3観点ごとの具体的な達成項目が示されている。この枠組みは,第1∼4学年まで, 第5∼6学年学年までの2段階に分けてまとめられている(表1∼2参照)。. 表1 2002年シラバスの枠組み(Framework)における第1∼4学年の到達目標 見ること ・物事についての旺盛な好奇心を持つ. 作ること. 釜監賞すること. ・与えられたテーマからアイデアを創出する ・美術活動を楽しんだり,積極的な態度を獲得. ・身の回りの自然や事物,美術作品への気づき ・材料のいろいろな使い方を試す する ・平面,立体,電子メディアの基礎的な能力を ・基本的な美術の語彙で,美術について語る を持つ 獲得する. ・地域の美術を私たちの歴史や文化遺産として. ・美術の要素の基礎的な理解を示す作品の創造 ・自分たちの美術作品を通してアイデアや感情. 鑑賞する. を伝える. 表2 2002年シラバスの枠組み(Framework)における第5∼6学年の到達目標 見ること ・物事についての旺盛な好奇心を持つ. 作ること. 釜監賞すること. ・与えられたテーマからアイデアを創出する ・美術活動を楽しんだり,積極的な態度を獲得. ・自然や事物,美術作品の視覚的・触覚的な質 ・材料のいろいろな使い方を試す する を確認し,述べ ・平面,立体,電子メディアの基礎的な能力を ・自分や他者の作品についてはっきり述べるこ ・視覚的な要素がいかにアイデアのコミュニ 獲得する との自信を高める ケーションに使われうるかを理解する ・美術の要素とデザインの原理の基礎的な理解 ・地域の美術を私たちの歴史や文化遺産として ・身の回りの自然や事物,美術作品への気づき を示す作品の創造 を持つ ・簡単な視覚的情報を集める ・視覚的情報を組織する. シラバスにおける「内容」の記載は,「テー. ・自分たちの美術作品を通してアイデアや感情 をやりとりする. 鑑賞する ・美術における多様性を認識することを通し て,他者の考えを尊重する ・地域の美術に誇りを持つ. マ」,「実践」,「美術鑑賞」の3項目から構成されている。た. だし,それぞれの項目には,生徒の学習内容または活動内容としての具体的な記述がなされているわけでは ない。「テーマ」の項目では,生徒の活動に文脈をあたえる要素として,「人々や生き物」,「事物」,「場所や 出来事」,「経験」,「文化と伝統」などが挙げられている。「実践」の項目では,造形要素と視覚言語に関す る「美術の要素とデザインの原理」と,美術の表現形式を平面(ドローイング,ペインティング,コラージュ,. 版画),立体(彫刻,アッサンブラージュ),電子(デジタルイメージング)とした「メディア」についての 記載がある。「鑑賞」については「美術の理解,社会における美術の役割を理解する」,「鑑賞を通して文化. 的な覚醒,アイデンティティの確立を促す」という事項が示されているだけである。総じて,シラバスにお ける「内容」は抽象的な記載にとどまっており,生徒の具体的な活動はむしろ「枠組み」に記載された到達 目標の方が具体的であるといえる。美術の表現活動について,たとえば絵画や彫刻などの制作に関する技法,. 道具の扱いに関しての記載がほとんど見られないことは,制作を中心とした実技教科という従来の図画工作 科からの方向転換を強く印象づける。. 上記のように,2002年実施シラバスは,目標や内容設定から,美術教育の役割の捉え方に至るまでの抜本 的に改訂されたものであった。制作技術や表現技法の習得よりも,多様な文脈において視覚的媒体の意味や 美術の価値を考え,理解させる美術教育の新しい方向性は,知識経済社会への対応として企図された「考え る学校・学ぶ国家」という教育政策のスローガンや,「国民教育」,「考える技術」,「情報技術」といった教. 153.
(5) 佐々木. 宰. 育改革の基本方針と符合するものであった。. 2.2009年実施シラバスの全体的な構成 2009年実施シラバス(以降,「新シラバス」と記述する)では,従前まで初等学校図画工作,中等学校美 術ごとに示されていたシラバスが一本化され,これに伴い初等学校の教科名称も「図画工作(Artand Crafts)」から「美術(Art)」に変更されている7)。総29ページの文書となった新シラバスの内容は,「総則 (Overview)」「初等美術」「下級中等美術」「付記」から構成されており,「総則」の章には,初等及び中等 に共通する,美術教育の目標,シラバスの目的,枠組み(Framework),達成目標(LearningOutcomes), 内容等がまとめて記載されている。「初等美術」及び「下級中等美術」の章では,それぞれの学校種におけ る指導プログラムの計画に関する事項,美術の学習や理解の方法を示す「シラバスの運用」,評価の留意点 や評価規準項目などが記載されている。学年に対応した評価のための具体的な達成水準については,付記の 章にまとめられている(表3参照)。 「総則」に記載された「緒言」は,「美術は私た. ちの日常生活において重要な役割を果たす。美術は 美しさを生み,記憶を捉え,アイデアを伝達し,価. 表3 新シラバス(2009)の全体的な内容構成 総則(Overview). 値を与え,感情を呼び起こす。」という文章で始まる。. 緒言. この緒言をみると,改訂シラバスにおいて,初等・. 美術教育の目標. 中等学校の美術教育がどのように位置づけられてい. 初等・下級中等学校美術シラバスの目的 枠組み(FraⅡ1eWOrk). るかをうかがい知ることができる。すなわち,美術. 達成目標(LearningOutcomes). は生活と切り離された特殊な芸術表現ではなく,日. 内容 指導プログラムの計画. 常生活の諸相において見出すことができる色彩や形 態のバリエーションであり,それを理解するための. 初等学校美術 初等学校1∼6年の指導プログラムの計画. リテラシーの教育として美術教育が位置づけられて. シラバスの運用. いる,ということである。 これに呼応するように「総則」に記載されている 美術教育の目標は,「美術教育の目標は,すべての. 評価. 下級中等学校美術 下級中等学校1∼2年の指導プログラムの計画 シラバスの運用. 子どもたちに視覚的なよみかきや美術鑑賞ができる ようにすることである」となっている。視覚的なよ みかきとは,文字によらない視覚的な伝達媒体のリ テラシーの運用であり,「見えるものを観察し,理. 評価. 付記 初等学校美術の到達レベル 下級中等学校の到達レベル. 解し,そして意味づけできる」,「視覚的なものを使っ. たり,作ったりすることによってコミュニケーションを図ることができる」ようになることであると示され ている。また,美術鑑賞とは,「生活の中での美術との関わりを認識したり,そのことの価値を理解したり すること」とされている。. このような美術教育の目的観は,2002年実施のシラバス(以降,「前シラバス」と記述する)から継承さ れたものである。今次の改訂では,歴史や文化におけるイメージや事物から個人の感覚及び感情表現のレベ ルに至るまで,生活における美術の役割や,美術の社会的・文化的な側面に目を向けている。「総則」に示 された次図には,初等及び下級中等学校を通した美術教育の目的がよく表現されている。. 154.
(6) シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程. 図1初等学枚・下級中等学枚アートシラバスの臼的8). 3.初等学校美術における枠組み(Framework)と到達目標(LearningOutcomes),内容 3つの観点による学習の枠組み(Framework)が設定されていることは,前シラバスと同様である。前 シラバスの3つの観点は「見ること」「作ること(Making)」「鑑賞すること」であったが,これらは「見る こと」「表現すること(Expressing)」「鑑賞すること」と改められた。 また,前述の通り,前シラバスでは,第1∼4学年,第5∼6学年ごとに枠組みが設定され,そのなかに 達成すべきことがらとして到達目標が記載されていた。新シラバスでは,枠組みは,「見ること」「表現する こと」「鑑賞すること」の学習活動に含まれる生徒の活動を概略的に示すものになっている(表4参照)。. 表4 枠組み(Framework) 見ること. 表現すること. 釜監賞すること. ・身の回りを観察,質問,創作したりしながら, ・アイデア,感情,経験を伝えあう方法を探究 ・美術作品を解釈したり,話し合ったりするた 見たものに応える したり,見たものからアイデアを生む めの技術を獲得し,適切に扱う ・知覚認識を高めたり,好奇心を刺激したり, ・多様な美術のかたち,表現方法,文章や言葉 ・美術作品がなぜ,どのように作られているか 想像ヤアイデアの創出を励ます を通してコミュニケーションを図る を理解し,生活や社会のなかで美術を価値づ ・発明や実験の精神を培う. ける ・美感や文化的な認識,自分の巾の美術の価値 を高める. 前シラバスで「枠組み」の中で示されていた到達目標は,新シラバスでは初等学校第1∼2学年,第3∼ 4学年,第5∼6学年,下級中等学校第1∼2学年ごとの「到達目標(LearningOutcomes)」として枠組 みとは別に示されるようになった。また,前シラバスでは,第1∼4学年,第5∼6学年という大まかな区 切りで示していたものを,2カ年ごとの区切りとしたことは大きな変化である。当然ではあるが,到達目標 の記載はより具体的になり,学年の進行に伴う生徒の発達段階を考慮したものになっている。さらに,初等 学校段階に加えて,下級中等学校段階を連続させて示していることから,初等及び中等教育の美術教育を一 体的に捉え,8年間で達成すべき事柄を設定していることがわかる(表5参照)。. 155.
(7) 佐々木. 宰. 表5 初等学校第1学年から下級中等学校第2学年までの到達目標 段階. 初等 1∼2. 会監賞すること. 表現すること. 見ること. ・身の回りの見えるものに対して,簡単な視 ・美術作品を通して,想像したこと,考えた ・美術を見たり,創作したりすることを楽し こと,感じたことを共有する む 覚的な質を見出す ・材料や表現方法を選択し,使う ・見たことや経験について話す ・見ることに好奇心を持つ ・視覚的な質を見出したり,違いがわかる ・美術作品や美術制作を通して,アイデアや ・自分自身の美術制作に誇りを持つ. 初等. ・視覚的なものや,見えるものからの情報を 経験を共有する. 3∼4 まとめる. ・基本的な美術の語彙(美術の要素やデザイ. ・材料や表現方法を使うための様々な方法を 探究,実験する. ・視覚的な質と意図とを関連づける ・自分の作品の意図について話し合ったり, ・自分自身の美術制作に誇りを持ち,他者の 初等 ・身の回りの世界や視覚的なものの観察か 他者の作品の意図を解釈したりする 作品に敬意を払う 5∼6 ら,美術制作のアイデアを得る ・プロセス,材料,表現方法を,表現意図を 満たすように制作を通して適用する ・観察や経験を記録する ・美術作品の内容やテーマを見出す 中等 1∼2. ・経験ヤアイデアをイメージによって伝える ・美術の削作や批評を通して,自信や自尊心 ・遭遇する問題の多様な解決を探究する を得る ・材料,技法,技術を選択し,表現意図を満 ・シンガポールの遺産として,地域の美術を たすように制作を通して適用する 価値づける ・美術が映し出すもの,記録するものや,文. 化における美術の役割を認識する. 新シラバスで示された到達目標の一覧(表5)を,前シラバスの枠組み(表1,表2)と比較すると,新 シラバスの方が,学年進行に伴う生徒の段階的な到達度が具体的に設定されていることが理解できる。新シ ラバスの到達目標には,絵画や彫刻,デザイン,工芸などの美術の具体的な表現方法はもとより,前シラバ スにおいて見られた「平面,立体,電子メディアの基礎的な能力を獲得する」という表現区分に関する記述 もない。「表現すること」に関して,特定の表現方法,表現区分に関する記述は皆無であり,「材料,表現方. 法を選択し,使う(初等1∼2学年)」という記載に見られるように,いわゆる実技制作の学習内容は,表 現という行為を達成するため選択される多様な方法群として意識されている。したがって,たとえば美術教 育において多くの者が想起する絵画表現や,絵画指導といった事柄でさえも,ここでは多様な表現方法の中 の一つにすぎず,到達目標には現れてこないのである。 さて,新シラバスにおける美術の「内容」については,生徒が到達目標を成し遂げるために獲得する知識,. 技能,価値について,概略として図示されている。教師は,生徒の学習スタイルや能力に応じた指導プログ ラムに即して内容をカスタマイズすることとされている。ここで示されている図は,「美術作品」が中心に 据えられ,その周辺に,作品が導く生徒の学びとしての「技能」,作品が持ちうる意味としての「価値」,作 品が持つ形式としての「美術のフォーム」,さらに作品の構成原理としての「美術の要素」及び「デザイン の原理」が配置されたユニークなものである(図2参照)。 図を見てわかるとおり,中心に据えられた「作品」を取り囲むように,美術の教科内容が配置されている。. 新シラバスにおける教科内容の捉え方は,前シラバスにも増して多元的であることがわかる。このような特 徴は,我が国の小学校・中学校学習指導要領における図画工作・美術の教科内容の扱いと対照的である。わ が国の学習指導要領における教科内容は,美術の諸ジャンルを包摂する表現領域と,作品を見て理解する鑑 賞領域から構成され,それぞれの領域について学年段階ごとの学習内容が指導事項として示されている。す なわち,学年進行に応じて既存の美術表現の形式を追体験させることに重点がおかれている実態がある。こ れに対して,シンガポールの新シラバスは,特定の表現形式から距離をおいた中立的な立場が貫かれている こともあり,概念的で抽象的な印象を与えるであろう。しかし,この中立的・中性的な美術の捉え方が,シ ンガポールの美術教育の特徴を示している。. 156.
(8) シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程. 価値. 美術の要素 視覚的な特徴、例. 美術技法 (例;素描、絵画、彫塑、デジ タルによるレンダリング). 美術は想像力をとらえる 美術は人間の感情を表現する 美術はアイデアを伝達する 美術は日的と機能を持つ 美術は社会や文化において役割を持つ. 点 線 形(Shape) 形(Form). 色彩 テクスチュア 空間 調子. 視覚的調査 (例;記述、分析、解釈、評価). 作品が持つ意味. 作品が構成される要素. 調査と処理 (例;観察、記録、比較、組織、. 作品が導く学び. 作品がもつ形式 美術の形式. コミュニケーション. ファインアート (平面 例;素描、絵画、コラージュ、版画) (立体 例:彫刻、アッサンブラージュ). (例;アイデアの視覚・語りに よる表現). デザイン (例:グラフィック、プロダクトデザイン). デジタルメディア (例:ビデオ、アニメーション、写真). 銅鶴蠣枇職抑捌畑. 識別). デザインの原理 要素の配置方法;例. パターン/反復. 図2 初等学校及び下級中等学校美術の内容概略図9). 4.指導プログラムの計画とシラバスの運用 新シラバスには,初等・中等学校に共通の「指導プログラムの計画」についての記載がある。また,初等・ 中等学校それぞれについての章において,あらためて初等・中等別の「指導プログラムの計画」がより具体 的に示されている(表3参照)。 初等・中等学校美術に共通して,指導プログラム(InstructionalProgramme;シラバスではIPと略称さ れている)を計画する場合,教師は,到達目標,学習内容,環境,生徒の興味,能力を考慮しながら意味の ある美術の学びを碇供しなければならないとされている。さらに,指導プログラムの計画における原則とし て,以下の項目が示されている。 ・学習者中心:生徒の興味,能力,学び方をもとにしたアプローチをとること ・過程重視:探求すること,実験すること,創造活動の一部としての自己評価を奨励すること ・文脈化:生徒の経験や学習を他教科へと結びつけること. ・相互作用:生徒どうしが互いに積極的に活動・参加できる機会をつくること ・教育部10)主導:. 「国民教育」「考える技術」「情報技術」の教育改革の基本方針を組み入れること. ・楽しさ:美術の学習に楽しさの要素を持たせ,生徒のやる気を引き出すこと 初等学校美術における指導プログラムの計画に関しては,学習内容を組織するための方法論として,「テー マ」,「美術の形式/メディア」,「美術作品/作家」が示されている。たとえば,「テーマ」に沿って指導プ ログラムを計画する場合は,扱おうとする美術のコンセプトや,学ばせようとする表現技術が生かされる文 脈を考慮しながら,計画を立案することができるという。すなわち,生徒の学習をより広範な世界に関連付 けるためのテーマに焦点をあてた計画のしかたである。「美術の形式/メディア」に沿った指導プログラム の計画では,素材や技法,道具,表現形式や表現方法が焦点化される。ここでは,絵画や彫刻といった表現 形式をもとに,その表現技法や素材,道具を体験し,作品を創造する学習が構想される。「美術作品/作家」. 157.
(9) 佐々木. 宰. に沿った指導プログラムの計画においても,美術のコンセプトや美術の形式に焦点をあてた学習を構想でき るが,さらに作家の創造活動の源泉や,作品完成に至る過程に焦点を当てることによって,美術のプロセス を学ぶ学習を構想することができる。また,作品がさまざまな文脈で創造されることを学ぶことで,社会に おける美術の役割や価値に目を向けさせる指導プログラムを計画することができるという。 加えて,初等学校の指導プログラムの計画において考慮されるべき学習環境に関しては,「美術作品の展示」. と「授業以前の経験」の2項が示されている。「美術作品の展示」とは,学校や学級内における生徒作品の 展示に関してである。生徒の作品を展示することは,生徒の自信を促すばかりでなく,生徒どうしが互いの 作品のよさを認め合い,制作したり話し合ったりするためのリソースにもなる。また,「授業以外の経験」 とは,生徒の体験を豊かにする学校以外の環境やそこでの経験を指している。美術館や博物館をはじめ,作 家のスタジオや広告会社,メディア企業への訪問の可能性が示されている。地域の作家の話しを聞かせたり, ワークショップを体験することの有効性についても触れられている。. 上記のように,シラバスにおける指導プログラムの計画についての記載は,教師が実際に学習内容を組織 し,指導プログラムを立案する際の考え方,ヒント.留意事項を含む具体的なものとなっていることがわか る。とくに,「テーマ」,「美術の形式/メディア」,「美術作品/作家」という3つの観点は,美術の学習が もつさまざまな側面と,それらをもとにした学習の可能性に教師の目を向けさせるものといえる。 さて,計画された指導プログラムをどのように運用していくかについては,「シラバスの運用」として,「美. 術制作」と「美術ディスカッション」が挙げられている。すなわち,シラバスに示された事柄を,教室での 授業として実践するための学習形態として,制作とディスカッションが示されているのである。わが国の美 術教育では,教科内容が「表現」と「鑑賞」の2領域で構成されていることもあり,教師が内容を立案した り,指導の在り方を考えたりする場合も,実技制作による表現活動と,話し合いや理解を主とした鑑賞活動 の2つのパターンを想起することが多い。新シラバスにおける「美術制作」と「美術ディスカッション」も,. わが国の「表現」と「鑑賞」と同じように,具体的な指導や生徒の学習活動の在り方として意識されるもの であろう。. 「美術制作」において求められていることは,生徒が作品創造のプロセスを体験するなかで,アイデアを 表現するさまざまな方法を探求,実験するとともに,表現技法や素材の幅広さを理解することである。それ は同時に,美術の要素やデザインの原理を実践的に理解していくことをも意味している。他方,「美術ディ スカッション」では,生徒が視覚的環境や作品について観察したり,考えたり,話したりするプロセスを体 験する中で,視覚的な事象の記述,分析,解釈,評価などを学ぶことが期待されている。具体的には,美術 作品の主題,美術の要素やデザインの原理の使われ方,素材や制作過程,作家の興味,作品の背景や文化的 な文脈などに焦点をあてながら,学習を進めていく。また,表現と鑑賞が表裏一体のものであるように,「美. 術制作」と「美術ディスカッション」も相互補完的な意識や統合的な扱いの可能性について触れられている。. 5.評価と評価規準 新シラバスにおける評価に関する記述には,一般的な配慮事項のほか,評価規準設定のためのガイドライ ン,美術制作についての評価規準などが示されている。さらに,評価規準に基づいた達成度と評定との相関 については,巻末の付記に一覧表が掲載されている。 評価規準設定のためのガイドラインとして挙げられているのは,「妥当性」,「一貫性」,「適時性」の3点. である。これらを踏まえた上で,生徒の多様な学習活動の成果を把握するために,プレゼンテーション,プ ロジェクト 美術作品,ポートフォリオ,質問紙・クイズといった方法が紹介されている。. 158.
(10) シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程. さて,初等学校美術の評価規準は,前章で紹介した「美術制作」と「美術ディスカッション」という学習 形態のうち,「美術制作」に関してのみ用意されている。「美術ディスカッション」のための評価規準は用意. されていないのである。したがって,初等学校段階の美術の評価は,美術制作を中心として行われることに なる。なお,下級中等学校美術の評価規準は,美術制作と美術ディスカッションの双方を含んだものとなっ ている。 評価規準の項目として示されているものは,「パーソナルレスポンス」,「メディアと素材の扱い」,「美的. な質」の3項目である。「パーソナルレスポンス」は,生徒個人の内面に形成された意識や理解の現れにつ いての評価項目である。この項目に基づいて,造形的なイメージ操作を通して,アイデアや思考,経験をど のように扱うことができるかの評価がなされる。「メディアと素材の扱い」とは,様々な表現形式や視覚的 な媒体,材料や道具の扱いについての評価項目である。この項目に基づいて,表現意図に応じて道具や材料 を扱えるようになったかの評価がなされる。主として制作面での技法習得や,道具の使用技術,表現技術が これに相当する。「美的な質」とは,美術の要素やデザイン原理などの理解についての評価項目である。こ の項目に基づいて,美術の要素やデザインの原理をどのように理解し,美術制作においてどのように実現し たかの評価がなされる。視覚言語や造形要素に関わる学習成果を,概念的ではなく具体的な美術制作の中に おいて評価することとされている。これらの評価規準項目は,初等学校第1∼2学年,第3∼4学年,第5 ∼6学年別に,表6のように示されている。. 表6 美術制作の評価規準 初等学校1∼2. 初等学校3∼4. 1.パーソナルレスポンス. 初等学校5∼6. 1.パーソナルレスポンス. イメージを通してアイデアを共有する. 1.パーソナルレスポンス. イメージを通してアイデアや経験を共有する. 2.メディアと素材の扱い. イメージを通してアイデアや経験を伝達する. 2.メディアと素材の扱い 道具や素材のコントロール. 道具や素材の扱い. 2.メディアと素材の扱い 意図に応じて道具や素材を適切にコントロー ルする. 3.美的な質. 3.美的な質. 美術制作における美術の要素やデザインの原 理の扱い. 芸術的な意図を支える美術の要素やデザイン の原理の扱い. この評価規準に示された評価項目において,生徒の達成レベルと成績評価との相関については,シラバス の付記において表として示されている(表7,表8,表9参照)。生徒の達成水準は,emergent,prOficient, expertの3段階に区分されている。日本語の評定語に当てはめると,それぞれ「可」「良」「優」という語 感に近いであろう。第1∼2学年,第3∼4学年,第5∼6学年ごとに評価項目について,3段階の達成水 準を満たすと判断できる具体的な生徒の状況が記載されている。. 表7 初等学校第1∼2学年の達成水準 生. 評価規準. 可. 徒 良. 優. パーソナルレスポンス. ・支援のもとで,イメージを創造す ・アイデアをイメージに結びつける ・自分の独自のイメージを使ってア る イデアを共有する. メディアと素材の扱い. ・支援のもとで,基本的な道具や素 ・いくつかの道具と素材を使うこと ・いろいろな道具,素材を有効に使 材を扱う うことができる ができる. 159.
(11) 佐々木. 宰. 表8 初等学校第3∼4学年の達成水準 生. 評価規準. 可 パーソナルレスポンス. 徒 良. 優. ・支援のもとで,アイデアまたは経 ・アイデアや経験を,イメージを ・自分の考えを伝えるイメージを 使って,アイデアや経験を伝達す 験を選んでイメージを創造する 使って共有する る. ・支援のもとで,または限られた方 ・いくつかの道具と素材を使う ・多様なメディア・素材を上手くコ 法で,道具や素材を使う ・素材/メディアを使うための多様 ントロールして使う メディアと素材の扱い な方法を試す ・素材/メディアを使うための多様 な方法を試し,上手にできる 美的な質. ・指示されながら,美術の要素やデ ・美術制作において,美術の要素や ・美術制作において,うまくいくよ ザインの原理を使う デザインの原理を選択して使う うに多様な美術の要素やデザイン の原理を使う. 表9 初等学校第5∼6学年の達成水準 生. 評価規準. 可. 徒 良. 優. ・意図や計画をもたず,イメージを ・意図に応じて計画的にイメージを ・意図に応じて計画的にイメージを 創造する 創造する 創造する ・身の回りから美術制作のアイデア ・身の回りから美術制作に適したア パーソナルレスポンス イデアを選び,集める を集める ・アイデアや経験を伝えるいろいろ ・効果的にアイデアや経験を表す独 な方法やイメージを試す 自の方法やイメージを思いつく メディアと素材の扱い. 美的な質. ・少し考えながら道具や素材を使う ・意図に応じてさまざまな素材,技 ・多様な素材,メディアをうまく使 法,メディアを試す いながら,意図を達成する ・偶発的なやりかたで,美術の要素 ・美術の要素とデザインの原理を, ・多様な美術の要素とデザインの原 理を,効果的に扱う やデザインの原理を扱う 効果的に扱う ・支援のもとで,美術の要素やデザ ・美術の要素やデザインの原理を, ・イメージの中の美術の要素,デザ インの原理をイメージに結びつけ 表現意図に結びつける インの原理の扱い方について,評 る 個することができる. 上表をみると,これまで紹介してきたシラバスの目的,枠組み(Framework),到達目標,教科内容,指 導プログラムの計画,シラバスの運用等で示されたことがらが,それぞれの関連性を保ちながら集約的に示 されていることが理解できる。また,その関連付けと集約の仕方は,入念で論理的な構成によるものである といえる。. 6.まとめ これまで述べてきたように,シンガポールの新シラバス(2009年実施)は,抜本的改訂であった前シラバ ス(2002年実施)を基盤に,目標や内容,指導内容や評価等についての緊密な関連性を構築した改良版であ るといえる。前シラバスは,「考える学校・学ぶ国家」という教育政策のスローガン,「国民教育」,「考える 技術」,「情報技術」といった教育改革の基本方針のもとで,新しい美術教育の方向性を目指すものであった。 すなわち,美術教育を多様な文脈における視覚的媒体として美術を捉え,その意味や価値を理解させる教育 とする考え方であった。新シラバスは基本的にこの方向性を堅持し,抽象的で不十分であった内容や記載箇 所を埋めるように整備されたと考えられる。 また,前シラバスでは初等学校図画工作,下級中等学校美術の別で示されていたが11),今次の改訂で教 科名が「美術」に統一され,初等及び下等中等教育を一貫する美術教育の教育課程となった。8年間という. 160.
(12) シンガポールの初等教育における改訂美術教育課程. 長期的な視点に立った美術の教育課程を示し,それぞれの段階における内容を設定し,目標や評価規準を設 計した意義は大きい。 新シラバスでは,「指導プログラムの計画」「評価」に関する内容が大幅に増強され,より具体的な観点が. 明示された。とくに評価に関しては,教科内容や指導プログラムと密接に連動し,評価規準項目や,達成水 準が細かく定められるなど,量的にも質的にも重厚なものになった。前シラバスは,確かに新しい美術教育 の方向を示すものではあったが,評価に関する記載は一般的で簡素なものであった。「美術の授業は,楽し くあるべきである。そのように,評価の焦点は,生徒が楽しむこと,学ぶこと,そして美術の経験を培うこ とを支援することに置かれるべきである。この支援は,生徒に生涯を通しての美術への興味を植え付け る。12)」という前シラバスの表記からは,必ずしも評価のすべてを目的に対する合理的なフィードバックと. 捉えているわけではなかったことがうかがえる。しかし,こうした側面は2009年実施の改訂シラバスにはほ とんど見られなくなった。. さて,シンガポールの新シラバスには,わが国の学習指導要領との類似点も散見される。例えば,初等及 び中等を通しての美術制作の評価規準項目である「パーソナルレスポンス」,「メディアと素材の扱い」,「美. 術的な質」は,平成20年度改訂の小学校及び中学校学習指導要領において示された「共通事項」に近いもの がある。共通事項は,自分の感覚を通して色や形などを捉えること,色や形をもとに自分のイメージをもつ こと,を主旨とする2項からなる。生徒自身の内的な感覚と造形要素や視覚言語,イメージ形成といった要 素は,少なくとも「パーソナルレスポンス」,「美的な質」といった評価規準項目に近似する側面をもちうる。. シンガポールにおいて,「美術の要素」や「デザインの原理」といった造形要素や視覚言語に関する教育内 容が強調されてきた背景には,従来から行ってきた伝統的な民族文化の教材化を意識しつつ,世界標準となっ. た現代的な美術を基準にして教育内容を再構築する必要があったと考えられる。したがって,わが国の美術 教育における「共通事項」との単純な比較はできないが,近年のアジア各国・各地域における美術教育の教 育課程編成において,造形要素や視覚言語の教育が強く意識される傾向にあることは興味深く13),シンガ ポールはそのなかでも最も顕著な事例として注視に催する。. 以上,シンガポールの初等学校美術における新シラバスを概観し,前シラバスとの比較を通してその全体 的な把握を試みてきた。現段階ではシラバスの記載上の比較にとどまっている。前シラバスから改訂に至る までの期間における教育政策や教育改革の動向との関連,新シラバスに準拠した美術教科書の内容との照合,. さらに教育現場における教育実践への影響等については,現地での調査を踏まえて,改めて述べる機会を持 つこととする。. 注及び参考文献 1)シンガポールでは,教科についての教育課程として示された文書は,シラバス(Syllabus)と呼ばれている。わが国の学. 習指導要領に相当する。 2)1983年改訂シラバス下では,初等学校の教科書は英語と中国語の2言語併記であった。教科名はArtandCraftsと,図 画工作の双方で示されていた。2002年実施シラバス下では,英語のみでArtandCraftsと表記されていた。 3)福田隆真・佐々木宰,「シンガポールにおける小学校美術科の教科書について」,『大学美術教育学会誌』,第29号,1997年, pp.67−76.佐々木宰,「シンガポールの教育改革と初等学校図画工作新シラバス」,『美術教育学』,第26号,美術科教育学会, 2005,pp.195−207.佐々木宰,「シンガポールの初等学校図画工作新教科書」,『美術教育学』,第27号,美術科教育学会,2006, pp.173−186 4)なお,シンガポールのシラバスは,従前は印刷物として冊子の体裁で刊行されていたが,2002年実施のものからは,ウェ ブサイトを通したオンラインの文書となった。今回扱う2009年実施のものについても,シンガポール教育部(教育省)のウェ ブサイトから人手したものである。MinistryofEducation,Singapore(http://www.moe.gov.sg/). 161.
(13) 佐々木. 宰. 5)佐々木宰,「シンガポールの教育改革と初等学校図画工作新シラバス」,『美術教育学』,第26号,美術科教育学会,2005, pp.195−207.. 6)1983年のシラバスは総126ページにわたるA4判の冊子体であったが,2002年のシラバスは総16ページの電子文書となっ た。 7)CurriculumPlanningandDevelopmentDivision,Art$yllabus,Prima7T&LouJerSeconda7T,MinistryofEducation, Singapore,2008. 8)前掲7),p.3に掲載の図を,筆者が再構成した。 9)前掲7),p.6に掲載の図を,筆者が再構成した。. 10)MinistryofEdudcation,Singaporcのこと。 11)初等学校の前シラバスは2002年実施だが,下級中等学校の前シラバスは,2001年に実施されている。. 12)CurriculumPlanningDivision,ArtandC7q7k勘11abus,Prima7T,MinistryofEducation,Singapore,2002,p.16(和訳は 筆者による). 13)台湾,マレーシアの美術教育の教育課程においても,同様の傾向が見られる。. 付 記 本稿は,2008∼2011年度科学研究費補助金(基盤研究C),「アジア地域における美術教育課程の実質化調 査研究」(研究代表者:福田隆眞,研究分担者:佐々木宰・上原一明,課題番号:20530826)」の成果の一部 である。. (釧路校教授). 162.
(14)
関連したドキュメント
取組の方向 安全・安心な教育環境を整備する 重点施策 学校改築・リフレッシュ改修の実施 推進計画 学校の改築.
では,訪問看護認定看護師が在宅ケアの推進・質の高い看護の実践に対して,どのような活動
・ 教育、文化、コミュニケーション、など、具体的に形のない、容易に形骸化する対 策ではなく、⑤のように、システム的に機械的に防止できる設備が必要。.. 質問 質問内容
対策 現状の確認 自己評価 主な改善の措置 実施 実施しない理由 都の確認.
関係の実態を見逃すわけにはいかないし, 重要なことは労使関係の現実に視
伊那ゆいま~る 自然的暮らし ・伊那谷の自然を感じる(川辺の散歩、花など自然の物を利用した創作)、花見・秋の食事会・新年会