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障害理解教育における知的障害への理解に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)平成20年. 度. 学位論文. 障 害 理 解 教 育 に お ける知 的 障 害 へ の 理 解 に 関す る研 究. 兵庫教育大学大学院. 学校教育研究科. 特別支援教育学専攻. 心身障 害 コー ス. MO7092C石. 井美 幸.

(2) 目次. 第1節. 問題 の所在. 的 障 害 者 の 実 態 と二L-・ ズ. 3.近. 年 の 知 的 障 害 者 の 本 人 活 動 とそ の 主 張. 障 害理解教育 の展開 と実践. 第1節. 障害理解教育 の展開. 祉 教 育 と障害 理 解 教 育 の 関連. 第3節. 先 行研 究にお け る障害理解教育 の現状 と課題. 3.障. 害理解教 育を行 う教師の立場 と意識. 4.学. 校 教材 における障害の扱 われ方 の問題点 障害理解教育 の実践内容 の検討. 2.偏. 見 ・差別 を扱 った先行研 究か らの知見. 目的. 第2節. 方法. 3.調. 査 内 容 と設 定 理 由. 4.分. 析 方法. 在 の仕 事 につ い て. 9 1. 1.現. 結 果 と考 察. 9 1. 第3節. 8 1. 施 時 期 と手続 き. 8 1. 2.実. 7 1. 象 者 と選 定 条 件. 7 1. 1.対. 7 1. 第1節. 7 1. 知的障 害者本人へ のイ ンタ ビュー調査. 7 1. 第3章. 15. 害理解教 育の受講経験 と障害者へ の理解の関連性. 14. 1.障. 14. 第4節. 13. 害理解教 育の実践研究 とその課題. 12. 2.障. 11. 害理解教 育の実態 とその課題. 9. 1.障. 9. 先行 研 究にお け る障害理解教育 の概念. 7. 第2節. 7. 3.福. 6. 2.「 交 流 及 び 共 同 学 習 」 の 課 題 と障 害 理 解 教 育 の 展 開. 5. 1.「 交 流 及 び 共 同 学 習 」 の 位 置 づ け. 5. 第2章. 5. 本研 究の 目的. 4. 第2節. 3. 2.知. 2. 年 の 障 害 者 に 対 す る社 会 の 意 識 と理 解 の 必 要 性. 1. 1.近. 1. 問題 の所在 と本研究の 目的. 1. 第1章.

(3) 5.学. 校 の 選 択 と職 業 の 選 択. 6.障. 害理解. 7.将. 来 の夢 と必 要 な 支援. 福祉施設職員 へのイ ンタ ビュー調査. 第1節. 目的. 第2節. 方法. 1.対. 象 者 と選 定 条 件. 2.実. 施 時 期 と手 続 き. 3.調. 査 内 容 と設 定 理 由. 4.分. 析方 法. 第3節. 結果 と考察. 1.知. 的障 害 とい う言葉への変化 と理解 に関す る意見. 2.知. 的障 害へ の理解 の現状 と課題 に関す る意見. 3.知. 的障 害への支援 にお ける現状 と課題 に関す る意見. 4.知. 的障 害への理解 におけ る教育 と福祉 の連携 に関す る意見. 第1節. 知的 障害に対す る障害理解教育の課題 と展望 的障 害者本 人の意 見を取 り入れ た障害理解 教育の 内容 の検討. 3.福. 祉施設職 員か らみた知的障害に対す る障害理解 教育 の内容 の検討 社会 の知的障害 に対す る理解の課題 と進展. 引 用 ・参 考 文 献. 謝辞. Qσ 8. 第2節. n δ 8. 2.知. 8 8. 行研 究か らみた知的障害 に対す る障害理解教育 の内容 の検討. 7・ 8. 1.先. 7・ 8. 総合 考察. 7・ ∩δ. 第5章. 9 9 9 9 9 0 0 1 1 4 8 8 5 5 5 5 5 6 6 6 6 6 6 7. 第4章. 00 PD. 校生活. ﹂4 4. 4.学. 1 4. 己評 価. 1 OO. 3.自. 7・ 9θ. 囲 に望 む 関 わ り. り0 9臼. 2.周. 90.

(4) 第1章. 第1節. 1.近. 問 題 の 所 在 と本 研 究 の 目的. 問 題の所在. 年 の 障 害 者 に 対す る社 会 の意 識 と理 解 の 必 要 性. 近 年 の 障 害 者 に 対 す る 法 律 ・制 度 の 整 備 ・ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 な ど を 概 観 す る と 、 障 害 者 を 取 り巻 く環 境 は 、 大 幅 に 改 善 して き て い る と言 え る。 事 に1981年. の国際障害. 者 年 以 降 、 障 害 者 の 社 会 参 加 が 推 進 され 、 障 害 者 と 健 常 者 と の 接 触 機 会 は 増 加 して き て い る(生 川 ・那 須2001)。. 平 成16年. に 改 正 さ れ た 障 害 者 基 本 法 に お い て も 「す べ て. 障 害 者 は 、 社 会 を 構 成 す る 一 員 と して 社 会 、 経 済 、 文 化 そ の 他 あ ら ゆ る 分 野 の 活 動 に 参 加 す る機 会 が 与 え られ る 」と規 定 され て お り、障 害 者 の 社 会 参 加 が 強 調 され て い る 。 しか し一 方 で 、 障 害 者 の 社 会 参 加 を 阻 む も の と して 、 物 理 的 な 障 壁 、 制 度 的 な 障 壁 、 文 化 情 報 面 で の 障 壁 、意 識 上 の 障 壁 等 、4つ の 障 壁 の 存 在 が 知 られ て お り、橋 本(2002) に よれ ば 、 制 度 や 物 理 的 障 壁 の改 善 な ど に比 べ 、 い わ ゆ る障 害 者 へ の 偏 見 とい っ た意 識 の 障 壁 を 改 善 し て い く こ とは 難 し く時 間 も か か る と言 わ れ て い る 。2007年2月 閣 府 が 実 施 した. 「障 害 者 に 関 す る 世 論 調 査 」 に お い て 、 「 共 生 社 会 」 を60%以. に内 上 の人. が 「知 っ て い る 」 と 回 答 し 、 「障 害 の あ る 人 が 身 近 で 普 通 に 生 活 して い る の が 当 た り 前 」 と の 考 え方 に つ い て も 、 約85%の. 人 が 支 持 して い た 。 し か し 、 反 対 に 「障 害 の あ. る 人 に 対 し 、障 害 を 理 由 とす る 差 別 や 偏 見 が あ る か 」 とい う問 い に つ い て は 、 「 少 しは あ る と 思 う」 人 を 含 め 「あ る と思 う」 と 回 答 した 人 は 約83%で. あ っ た。 この よ うに依. 然 と して 、 社 会 の 中 に 障 害 者 に 対 す る意 識 の 障 壁 が 存 在 す る こ と が 明 らか と な っ た の で あ る。 WHOが2001年. に 提 唱 し た 国 際 生 活 機 能 分 類(InternationalClassificationof. Functioning,DisabilityandHealth:ICF)に. お い て障 害 は 、 本 人 の状 況 だ け で は な. く設 備 ・制 度 な ど物 理 的 環 境 因 子 と 人 々 の 態 度 と い っ た 人 的 環 境 因 子 に よ っ て 変 容 し う る も の と され て お り、 障 害 に 伴 う不 利 益 が 障 害 者 本 人 だ け の 要 因 で 生 じ る も の で は な い こ と が 示 さ れ て い る。 こ れ よ り、 環 境 因 子 と して の 社 会 の 人 々 の 障 害 者 に 対 す る 意 識 や 態 度 は 重 要 な も の で あ り、 障 害 者 が 社 会 の 中 で 精 神 的 に 豊 か な 生 活 を 送 る た め. 1.

(5) に は 、 社 会 の 構 成 員 そ れ ぞ れ が 障 害 や 障 害 者 に 対 す る 正 しい 知 識 ・情 報 を 持 ち 、 障 害 者 を 同 じ社 会 の 一 員 と して 理 解 し、受 容 す る意 識 や 態 度 を 養 うな ど 、一 人 ひ と り の 「 障 害 理 解 」 が 必 要 不 可 欠 で あ る と言 え る。 こ れ に 関 連 し、 河 内(1993)は. 、 障 害 に 対 す る 理 解 ・認 識 を深 め る た め に は 意 図 的. な 教 育 が 必 要 で あ り、 そ れ は 遅 く と も 障 害 者 へ の 観 念 が 固 定 し て い な い 小 学 生 段 階 か ら行 う こ と が 必 要 で あ る と指 摘 して い る 。 こ れ よ り、 障 害 者 の 差 別 ・偏 見 の 解 消 に つ い て 学 校 に お け る 障 害 理 解 教 育 の 重 要 性 が 示 唆 され る 。 ま た 、 学 校 教 育 に お い て は 2007年. か ら特 別 支 援 教 育 が 導 入 され 、通 常 学 校 に お い て も 障 害 児 が 在 籍 す る 学 級 が 増. 加 し て お り 、 障 害 の な い 児 童 ・生 徒 に 対 し て 障 害 や 障 害 者 へ の 理 解 を 促 す 障 害 理 解 教 育 の 必 要 性 は ま す ま す 高 ま っ て い る と言 え る 。 し か し、黒 川 ・是 永(2006)に. よれ ば 、. 障 害 理 解 教 育 に は 以 下 の よ うな 課 題 が あ る。. ①教 育課程 に明確な位置づ けがないた め、十分 な時間 の確保 が困難で あるこ と ② 内容 な どが各学校 に一任 され てい るため、学校 間 に格差 が生 じる懸念 があ ること ③ 扱 われ る障害種 に偏 りがあ ること この中で特 に、③ の課題 において知的障害 は、視 覚障害や肢 体不 自由な どの身体障 害 に 比 べ 視 覚 的 に 気 づ き に く く、 疑 似 体 験 を 通 して の 理 解 が 困 難 で あ る こ と 、 障 害 自 体 の 取 り上 げ 方 が 難 しい こ と 、 知 的 な 障 害 に 対 す る 差 別 ・偏 見 の 克 服 な ど 、 さ ま ざ ま な 実 践 上 の 課 題 が あ る こ と な ど が 指 摘 され て い る。 こ れ よ り、 障 害 理 解 教 育 に お い て 知 的 障 害 へ の 理 解 の 内 容 を 検 討 す る こ と は 希 求 の 課 題 で あ る と言 え る。. 2.知. 的障 害 者 の 実 態 とニ ー ズ. 次 に 、2005年. に 厚 生 労 働 省 が 実 施 した 「 知 的 障 害 児(者)基. 礎 調 査 」 の 結 果 か ら知. 的 障 害 者 の 実 態 と そ こ に み られ る 知 的 障 害 者 の ニ ー ズ を 明 ら か に す る 。 調 査 結 果 に よ れ ば 、 在 宅 の 知 的 障 害 者 数 は42万 省)の. 施 設 入 所 者 数13万. 人 で 、2005年. の 「 社 会 福 祉 施 設 等 調 査 」(厚 生 労 働. 人 と 比 較 す る と 、8割 近 く の 知 的 障 害 者 が 在 宅 で 生 活 し て い. る 。 地 域 活 動 へ の 参 加 状 況 で は 、 「よ く参 加 す る 」 「 時 々 参 加 す る 」 が 合 わ せ て25.9%、 「ほ と ん ど参 加 しな い 」 「参 加 した こ と は な い 」 が 合 わ せ て67.5%で. 、地 域 活 動 に 参 加. して い な い 人 が 多 い こ とが わ か っ た 。 し か し 、 不 参 加 者 の う ち36,2%が が あ れ ば 参 加 し た い 」 と述 べ 、3290/oの. 「 機 会や場所. 人が 「 一 緒 に行 っ て くれ る人 が い れ ば参 加 し. や す い 」 と 回 答 して い る こ と か ら 、 知 的 障 害 者 の 地 域 活 動 へ の 参 加 を 支 え る 取 り組 み. 2.

(6) が 必 要 で あ る こ とが 指 摘 で き る。 次 に、 将 来 の 生 活 の場 の希 望 で は 「 親 と暮 ら した い 」 「 兄 弟 姉 妹 と暮 ら し た い 」 が 合 わ せ て38.5%で. 、次 い で 「 夫 婦 で 暮 ら した い 」が12.9%、. 「グ ル ー プ ホ ー ム 」が12.8%、. 「施 設 」 が7.50/。で 、将 来 、施 設 で の 生 活 を 希 望 す る 知 的 障 害 者 の 割 合 が 低 い こ とが 明 らか と な っ た 。 こ れ は 、 三 原 ら(2007)が. 、 知 的 障 害 者 の 老 後 に つ い て 保 護 者 な どに. 調 査 した 結 果 と類 似 して い る 。 三 原 ら に よ れ ば 、 保 護 者 が 期 待 す る 高 齢 知 的 障 害 者 の 生 活 の 場 は 、主 に 「 現 在 生 活 して い る 場 所 」、 「自 宅 」、 「グル ー プ ホ ー ム 」 な ど で あ り、 保 護 者 は 本 人 が 住 み 慣 れ た 生 活 環 境 で 人 生 を 終 え る こ と を 望 ん で い た と して い る 。 こ れ よ り、生 涯 に わ た り知 的 障 害 者 の 地 域 生 活 を 支 え る 取 り組 み が 重 要 で あ る と言 え る。 在 宅 知 的 障 害 者 の 雇 用 実 態 に つ い て は 、 一 般 就 労 や 福 祉 的 就 労 な ど仕 事 を し て い る 人 は 全 体 の37.5%で 用 」 は15.7%、. 、 就 労 形 態 で は58.7%の. 「 臨 時 雇 用 」 は14.9%で. あ っ た 。 就 労 形 態 別 の1ヶ. る と、 作 業 所 で は 「1万 円 ま で 」 が70.7%と 万 円 ま で 」 が26.1%で. 人 が 「作 業 所 」 で 働 い て お り、 「 正規雇 月 の給 料 を 比較 す. 最 も 多 く 、 正 規 ・臨 時 雇 用 で は 「7∼10. 、 最 も 多 か っ た 。 これ よ り、 一 般 就 労 や 福 祉 的 就 労 な ど で 仕 事. を し て い た と し て も 、 低 賃 金 で 働 い て い る人 が 多 く 、 作 業 所 な ど の 給 料 だ け で は 生 活 で き な い 現 状 が 伺 え る。 ま た 、 「い や な 思 い 」 や. 「 差 別 」 の 有 無 に つ い て は 、35.4%の. 人 が 「い や な 思 い が あ る 」 と回 答 して お り、 そ の 内 容 で は 、 「じろ じ ろ 見 られ る」 「サ ー ビ ス を 拒 否 され る 」 等 、 視 線 や 態 度 に 関 す る も の が 多 か っ た が 、 直 接. 「差 別 的 な こ. と を 言 わ れ る 」 と い う よ うな 内 容 の も の も あ っ た 。福 祉 行 政 な どへ の 期 待 で も 、 「 障害 者 に 対 す る 周 り の 人 の 理 解 」 が42.1%と. 最 も 高 く、 次 い で. 「 必 要 な 時 に施 設 を利 用 で. き る 制 度 」 「経 済 的 援 助 」 「 相 談 や 指 導 」 で あ っ た 。 これ よ り、 知 的 障 害 者 へ の 社 会 の 理 解 を 促 進 して い く こ と は 希 求 の 課 題 で あ り、 そ の 他 に も 上 記 の よ うな 知 的 障 害 者 本 人 の ニ ー ズ を 支 援 の 中 で 尊 重 し、 社 会 に 啓 発 し て い く こ と は 福 祉 行 政 の み な らず 、社 会 全 体 で 取 り組 む べ き 課 題 で あ る と 考 え られ る 。. 3.近. 年 の 知 的障 害 者 の 本 人 活 動 とそ の 主 張. 知 的 障 害 者 の 全 国 組 織 と して 、 「 全 日本 手 を つ な ぐ 育 成 会 」 が あ る 。 こ の 会 で は 毎 年 全 国 大 会 を 開 催 して い る が 、1989年 取 り入 れ て い る 。 例 え ば 、1994年. の 金 沢 大 会 か ら知 的 障 害 者 本 人 に よ る 意 見 発 表 を の徳 島 大 会 で は 「 私 た ち に 関 す る こ とは 、私 た ち を. 交 え て 決 め て ほ し い 」、 「 精 神 薄 弱 者 とい う呼 び 名 を 早 く 変 え て ほ しい 、 決 め る と き は. 3.

(7) 必 ず 、 私 た ち の 意 見 を 聞 い て ほ し い 」 と い う決 議 宣 言 を 行 っ て い る。 こ れ を 受 け 、 全 日本 薄 弱 者 育 成 会 は 会 名 を 変 更 す る に あ た り、 本 人 の 意 見 を 聞 き 「 障 害 」 を 外 した 現 在 の 会 名 に 改 め られ た と い う経 緯 が あ る。 そ して 、2000年. に は 育 成 会 と は別 に 、 「 本. 人 大 会 」 を 立 ち 上 げ る な ど 、 知 的 障 害 者 本 人 を 主 体 と した 活 動 は 徐 々 に 広 が り始 め て い る(保. 積 、2007)。. これ ま で 、 知 的 障 害 は そ の 障 害 特 性 か ら 今 ま で 親 や 周 りの 支 援 者 が 本 人 の 代 弁 者 と して 見 ら れ る こ と が 少 な く な か っ た と言 え る 。 しか し、 そ の 主 張 か らは 当 事 者 と して の 本 人 の ニ ー ズ や 意 見 を 尊 重 す る 重 要 性 が 指 摘 で き る 。 ま た 、 本 間(1998)は. 、知的. 障 害 者 は 活 字 か ら情 報 を 得 る こ と が 苦 手 で あ る た め に 、 常 時 情 報 不 足 の 状 態 に あ る と して 、 知 的 障 害 者 の 本 人 活 動 を 支 え る た め に は 、 わ か りや す い 情 報 提 供 が 必 要 で あ る と述 べ て い る。 こ れ よ り、 以 前 は 本 人 の 要 因 と して 見 過 ご され が ち で あ っ た 、 知 的 障 害 者 の 理 解 の 難 し さ と い う障 害 特 性 は 周 囲 の 人(環. 境)に. も要 因 が あ った こ とが 示 唆. され る。 以 上 の こ と か ら、 知 的 障 害 者 の 支 援 に お い て は 本 人 の 主 張 を 尊 重 す る と と も に 本 人 が わ か る 支 援 を行 う こ と が 重 要 で あ る と言 え る。. 第2節. 本 研 究 の 目的. そ こで 、本研究 では障害理解教育 にお ける知 的障害へ の理解 の内容 を検討す るこ と を 目的 と し、以下 の よ うな観 点で研究 を進 め る。 ① 障害理解 教育 について の先行研究 な どか らその歴 史的 な背 景や意義 、また実践上 の 課 題 な ど を 示 し 、学 校 に お け る 障 害 理 解 教 育 の 現 状 と課 題 を 明 らか に す る(第2章)。 ② 当 事 者 か らみ た 障 害 理 解 、 社 会 へ の ニ ー ズ 、 支 援 の 課 題 な ど を 明 ら か に し、 知 的 障. 害者本 人 の意 見 を取 り入れた障害理解 の内容 を検討す る(第3章)。 ③福祉施 設職員 か らみ た知的 障害者 への理解 の現状や支援 の課題 な どを明 らかに し、 知的障害 に対す る障 害理解 教育の内容 を深 め る(第4章)。 ④① か ら③ の結果 を総括 し、今後 の障害理解 教育の課題 と知的障 害に対 す る障害理解 教 育 の 展 望 を 述 べ る(第5章)。. 4.

(8) 第2章. 第1節. 障 害 理 解 教 育 の 展 開 と実 践. 障害理解 教育の展 開. こ こ で は 、 障 害 理 解 教 育 と 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 や 福 祉 教 育 の 関 係 を 概 観 し 、 障 害 理 解 教 育 の 背 景 や 意 義 、 そ れ らの 活 動 と の 関 連 を 明 ら か に す る 。 そ こ で 、 ま ず 、 障 害 理 解 教 育 の 基 盤 と な る 「交 流 及 び 共 同 学 習 」の 学 校 教 育 で の 位 置 づ け に つ い て 述 べ る。 そ して 、 次 に 「 交 流 及 び 共 同学 習 」 の課 題 と障 害 理 解 教 育 の 関係 に つ い て述 べ 、 障 害 理 解 教 育 の 背 景 と 意 義 を 明 ら か に す る。 そ して 、 次 に 福 祉 教 育 と 障 害 理 解 教 育 の 関 連 を 明 らか にす る。. 1.「 交 流 及 び 共 同学 習 」 の 位 置 づ け 1979年. に 、養i護学 校 教 育 義 務 制 が 実施 され た こ と に 伴 い 、文 部 省(現. は 普 通 児 の 心 身 障 害 児 へ の 理 解 ・認 識 を 推 進 す る た め の. 、文 部 科 学 省). 「 心 身 障 害 児 理 解 ・認 識 推 進. 事 業 」 に 着 手 し た 。推 進 事 業 の 主 な ね らい は 、小 中 学 校 に お け る 心 身 障 害 児 へ の 理 解 ・ 認 識 の 向 上 、 協 力 体 制 の確 立 、指 導 の 充 実 を図 る こ とで あ り、 ま た 、 心 身 障 害 児 の い る家 庭 に 対 して 、 就 学 に つ い て の 啓 発 を 図 る こ と も 視 野 に 入 れ られ て い た 。 具 体 的 に は 次 の 三 つ の 事 業 が 行 わ れ た 。一 つ 目 は 、心 身 障 害 児 の 指 導 資 料 の 作 成 と 配 布 で あ る 。 これ は 、 小 中 学 校 の 教 員 等 に 心 身 障 害 児 に 対 す る 正 しい 知 識 と認 識 を 深 め させ る た め に 手 引 書 を 作 成 し配 布 す る も の で あ る。1980年 じ め と し て1996年. ま で ほ ぼ 毎 年 続 き 、 計16冊. の 「 心 身 障 害 児 の理 解 の た め に」 を は が 作 成 ・配 布 され て い る 。 二 っ 目 は 、. 「 心 身 障 害 児 理 解 推 進 校 」 の 指 定 で あ る。1979∼80年(第1期)、1982∼83年(第2 期)に そ れ ぞ れ 各 都 道 府 県 が 小 中 学 校 各1校. 、計94校. を理 解 推 進 校 と し て 指 定 し、盲 ・. 聾 ・養 護 学 校 の 児 童 生 徒 と の 交 流 の あ り方 を 中 心 に 実 践 研 究 を 行 っ て い る 。 こ の 事 業 を 契 機 と して 、 「心 身 障 害 児 理 解 ・認 識 推 進 事 業 」(1979∼96年 活 動 地 域 推 進 研 究 校 の 指 定 事 業 」(1987∼96年. 度)、 そ して 地 域 に お け る 交 流 活 動 の 一. 層 の 推 進 を 図 る た め に 「交 流 教 育 地 域 推 進 事 業 」(1997∼2000年 年度 には. 度)、 「心 身 障 害 児 交 流. 度)が. 行 わ れ 、2001. 「地 域 に お け る 交 流 活 動 の 充 実 に 関 す る調 査 研 究 」 が 取 り組 ま れ た 。 こ う し.

(9) た 経 緯 を 経 て 、 交 流 教 育 は 学 校 教 育 の 中 で 実 質 的 に 行 わ れ る よ うに な っ た の で あ る 。 そ し て 、 こ れ らの 活 動 は 「交 流 教 育 の 実 際 一 心 身 障 害 児 と と も に 」(1979年)、 教 育 の 実 際H一 ろ う」(1986年)な. ふ れ あ い を も と め て 」(1984年)、. 「 交流. 「 交 流 教 育 の 実 際 皿 一 と もだ ち に な. どの 冊 子 に ま と め られ 、全 国 の 学 校 に 配 布 され て い る。 三 つ 目は 、. 心 身 障 害 児 へ の 理 解 推 進 、 講 習 会 の 取 り組 み で あ る 。 交 流 に 関 す る 講 習 会 等 で は 「心 身 障 害 児 指 導 講 習 会 」 と して 、 小 中 学 校 の 児 童 生 徒 と盲 ・聾 ・養 護 学 校 の 児 童 生 徒 と の 交 流 の あ り方 等 に つ い て 趣 旨 徹 底 が 図 られ て い る 。 そ し て 、 文 部 科 学 省 が 行 っ て い た 「交 流 教 育 地 域 推 進 指 導 者 講 習 会 」(2002年 育総合研 究所 に. 度)は. 、2003年. 度 か ら国 立 特 別 支 援 教. 「交 流 及 び 共 同 学 習 推 進 指 導 者 研 修 」 と して 引 き 継 が れ 、 現 在 も 開 催. され て い る 。 ま た 、 小 中 学 校 で は2002年. 度 よ り、 高 等 学 校 で は2003年. 度より 「 総合 的な学習 の. 時 間 」 が 導 入 され 、 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 の 時 間 が 確 保 され や す くな っ た と い う背 景 も あ り、 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 の 活 動 は 近 年 、 活 発 に な っ て き て い る。2004年 害 者 基 本 法 の 一 部 改 正 が 行 わ れ 、 改 正 法 第14条. 第3項. に は 、障. に 「 国 及 び 地 方 公 共 団 体 は 、障. 害 の あ る児 童 及 び 生 徒 と障 害 の な い児 童 及 び 生 徒 との 交 流 及 び 共 同 学 習 を積 極 的 に進 め る こ と に よ っ て 、そ の 相 互 理 解 を 推 進 しな け れ ば な らな い 」 と 定 め ら れ 、「交 流 教 育 」 とい う呼 称 は 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 に 改 ま り 、 新 た に 法 的 な 規 定 が 示 され て い る。 そ して 、2008年3月. に 改 訂 され た 小 学 校 学 習 指 導 要 領 ・中 学 校 学 習 指 導 要 領 の 総 則 の 中. で も、「 小 学 校 間 、幼 稚 園 や 保 育 所 、 中学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 な ど と の 間 の 連 携 や 交 流 を図 る と と も に 、 障 害 の あ る幼 児 児 童生 徒 との 交 流 及 び 共 同学 習 や 高齢 者 な ど との 交 流 の 機 会 を 設 け る こ と」 と示 され て お り、 障 害 児 ・者 へ の 理 解 を 促 す 活 動 と して 、 「 交 流 及 び 共 同 学 習 」 は 学 校 教 育 の 中 で 重 要 な 位 置 を し め て い る こ とが 伺 え る 。. 2.「 交 流 及 び 共 同学 習 」 の 課 題 と障 害 理解 教 育 の 展 開 上 記 の よ うに 、 「 交 流 及 び 共 同 教 育 」 は 学 校 教 育 の 中 で 、 広 く推 進 され て き た わ け で あ る が 、 実 践 が 進 む に つ れ て そ の 限 界 性 も 指 摘 され る よ う に な っ た 。 そ れ は 、 学 校 行 事 を 中 心 に 年 に 数 回 の 交 流 会 を 実 施 し、 そ の 中 で た だ 障 害 児 と ふ れ 合 うだ け で は 障 害 の 認 識 や 障 害 児 へ の 理 解 は 深 ま っ て い か な い と い う も の で あ っ た 。 こ う した 批 判 を受 け 、1990年. 代 ご ろ か ら、 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 の 新 た な 課 題 と して 、 「質 の 高 い 共 同 教. 育 」 が 提 起 され る よ うに な っ た 。 そ の 中 で は 、 障 害 児 ・者 に つ い て 事 前 学 習 が 必 要 で. 6.

(10) あ る こ と が 示 さ れ 、 様 々 に 工 夫 され た 障 害 理 解 の 学 習 が 取 り組 ま れ る よ うに な っ た 。 当 時 の 障 害 理 解 教 育 の 取 り組 み の 特 徴 と して 、 第 一 に 、 交 流 の 事 前 学 習 と して で は な く 、直 接 に 交 流 教 育 に 取 り組 ま な い 児 童 ・生 徒 に も 「 特 設 授 業 」 を 計 画 して い る こ と 、 第 二 に 、 こ う し た 学 習 が 障 害 児 へ の 理 解 を 育 て る だ け で は な く 、 す べ て の 児 童 ・生 徒 に 求 め られ て い る 「 人 間理 解 」 や. 「自分 理 解 」 を 育 て る 学 習 と して 、 今 日的 な 意 義 を. も っ て い る こ と な ど が あ げ られ て い た 。 こ の よ うに 障 害 理 解 教 育 は 、 触 れ 合 う交 流 か ら 、 育 ち 学 び 合 う共 同 教 育 へ の 発 展 過 程 で 、 児 童 ・生 徒 の 発 達 段 階 を ふ ま え た 「 障害」 や 「障 害 児 ・者 問 題 」 へ の 科 学 的 認 識 の 形 成 や 人 権 尊 重 の 精 神 の 育 成 、 自 己 理 解 な ど、 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 と は 別 の 独 自 の 課 題 を 持 っ た 教 育 と して 重 視 さ れ 、 現 在 の よ う に 展 開 され て き た の で あ る 。. 3.福. 祉 教 育 と障 害 理 解 教 育 の 関連. 文部科 学省 の. 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 の 施 策 と は 別 に 、 厚 生 労 働 省 も 学 校 に お け る福. 祉 活 動 を 全 国 的 に 普 及 させ るた め に 、1977年. 度 よ り国 庫 補 助 事 業 と して 、 全 国 福 祉 協. 議会 に よ る 「 学 童 ・生 徒 の ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 普 及 事 業 」 を 開 始 して い る 。 こ れ は 、 希 望 す る 全 国 の 小 ・中 ・高 等 学 校 等 を ボ ラ ン テ ィ ア 協 力 校 に 指 定 し 、3年 実 践 の 成 果 を 発 表 させ る と い う も の で あ る 。 こ の 事 業 は. を 目途 に そ の. 「 福 祉 教 育 」 と称 さ れ 、 副 読. 本 な ど を 用 い て の 社 会 科 等 の 教 科 や 道 徳 の 時 間 に お け る 指 導 の ほ か 、 児 童 会 ・生 徒 会 活 動 や 学 校 行 事 な ど で の 取 り組 み な ど、 学 校 に よ りそ の 内 容 は 様 々 で あ る 。 福 祉 教 育 で は 、 取 り組 み を 通 して 児 童 ・生 徒 に福 祉 に 関 す る 関 心 と理 解 を 深 め さ せ る こ と 、 福 祉 の 心 を 育 て る こ と 、 福 祉 の 実 践 意 欲 を 向 上 さ せ 態 度 を 身 に っ け させ る こ と な ど を 目 的 と し て お り 、 そ の 中 で は 障 害 者 に 関 す る 問 題 な ど も取 り上 げ られ て い る。 事 に1981 年の. 「国 際 障 害 者 年 」 以 降 、 障 害 者 問 題 へ の 関 心 が 高 ま り、 そ の 取 り組 み も 広 が りを. み せ 、 近 年 で は 障 害 理 解 教 育 も 福 祉 教 育 の 柱 の 一 つ と して 認 識 され つ っ あ る。 ・. 第2節. 先行 研究 における障害理解教 育の概 念. 上 記 で 述 べ た よ うに 、 障 害 理 解 教 育 は 「障 害 」 「障 害 児 教 育 」 「障 害 者 問 題 」 に つ い て 障 害 の な い 児 童 ・生 徒 の 理 解 や 認 識 を 深 め よ う と い う教 育 活 動 全 体 の こ とで あ り、. 7.

(11) 全 国 の 学 校 で さ ま ざ ま に 展 開 され て い る 。 しか し、 障 害 理 解 教 育 は 研 究 者 に よ り様 々 に 定 義 が な され て お り、 統 一 され た も の は 見 当 た ら な い 。 そ こ で 先 行 研 究 を 概 観 し、 障 害 理 解 教 育 の 定 義 を 整 理 し、 そ の 概 念 を 明 ら か に す る。 高 橋(1996)は. 、障 害理 解 教 育 を 「 『発 達 ・障 害 ・障 害 者 問 題 』 に 関 す る 科 学 的 ・. 歴 史 的 な 認 識 理 解 を 獲i得 し な が ら 、 自 己 理 解 や 人 権 尊 重 の 視 点 や 精 神 を 形 成 して い く 教 育 活 動 で あ る 」 と定 義 して お り、 そ の 中 で は 児 童 ・生 徒 の 精 神 的 発 達 を 強 調 して い る 。 ま た 、 真 城(2003)は. 「 障 害 理 解 教 育 は 単 に 障 害 を 『知 る 』 とい う意 味 で の 『理. 解 』 だ け に 留 ま る も の で は な く 、 障 害 理 解 教 育 を 通 じて 、 障 害 に つ い て 考 え る 、 福 祉 に つ い て 考 え る 、 そ して 自 らが 生 活 す る 社 会 に つ い て 考 え を深 め て い く こ と 、 そ の 延 長 に こ の 実 践 の 究 極 の 目標 が お か れ て い る」 と し、 障 害 理 解 教 育 を 単 な る 知 識 の 教 授 で 終 わ らせ な い 重 要 性 を 指 摘 して い る 。徳 田 ・水 野(2005)は. 、障 害 理 解 に つ い て 「障. 害 の あ る 人 に 関 わ るす べ て の 事 象 を 内 容 と して い る 人 権 思 想 、 特 に ノ ー マ リ ゼ イ シ ョ ン の 思 想 を 基 軸 に 据 え た 考 え 方 で あ り、 障 害 に 関 す る科 学 的 認 識 の 集 大 成 で あ る 」 と 定 義 し、 そ の 障 害 理 解 を 進 め て い く教 育 を 「障 害 理 解 教 育 」 と呼 ぶ 、 と し て い る 。 さ ら に 、 徳 田 ら は 、 障 害 理 解 に は 「気 づ き の 段 階 」 「 知 識 化 の段 階 」 「 情 緒 的 理 解 の段 階 」 「 態 度 形 成 段 階 」 「受 容 的 行 動 の 段 階 」 の5つ. の 発 達 段 階 が あ り、障 害 理 解 教 育 は こ の. 段 階 を 促 進 し て い く教 育 で あ る と して い る 。 こ れ よ り、 障 害 理 解 教 育 の 最 終 的 な 目標 は 、 日常 場 面 で の 受 容 と 自発 的 な 援 助 行 動 の 発 現 で あ る と い え る。 ま た 、松 田(2008) はICFの. 視 点 か ら障 害 の 概 念 を 規 定 し、 「 障 害 理 解 と は 、 「活 動 と、 そ こ に 環 境 と の 関. 係 で 生 じ る 活 動 制 隈 の 理 解 」 で あ り、 「 参 加 と、そ こ に環 境 との 関係 で 生 じる 参加 制約 の 理 解 」 で あ り 、 活 動 制 限 や 参 加 制 約 を 解 消 も し く は 緩 和 す る た め の 「サ ポ ー ト方 法 の理 解 」 で あ り、 「 拒 否 的 ・排 除 的 態 度 の 変 容 」 が な され る こ と で あ る 」(ル ビ は 文 献 の ま ま)と. 述 べ 、 障 害 理 解 に は 具 体 的 な 援 助 行 動 や 態 度 変 容 な ど も含 ま れ る こ と を 指. 摘 して い る。 こ れ ら の 定 義 を 整 理 す る と 、 障 害 理 解 教 育 の 概 念 と して 、 以 下 の よ う な こ と が 挙 げ られ る 。. ①人権教 育 、 ノーマ ライゼー シ ョン思想 を基軸 とす ること ②障 害に 関す る科学的 ・歴史的 な認識 の形成 を行 うこと ③障 害者 の活 動、参加 にお ける環境 との関係 を理解 す るこ と ④福祉 お よび 自らが生活す る社会 につ いての考察 を深 めるこ と. 8.

(12) ⑤生活 場面 での受容や援助行動 の発現 を日指 す こ と これ よ り、障害 理解教育 は単な る知識 や支援方 法の教授 だけで はな く、そ の活動 を 通 じて 児 童 ・生 徒 が 自 ら障 害 者 に 働 き か け る こ とや 障 害 者 に 対 して 受 容 的 な 態 度 を 示 す こ と も そ の 目標 に 含 蓄 され て お り 、 そ の 中 で は 児 童 ・生 徒 の 人 間 的 な 発 達 ・成 長 も 視 野 に 入 れ られ て い る と 言 え る 。. 第3節. 先行 研究 における障害理解教 育の現状 と課題. 学 校 教 育 に お け る 障 害 理 解 教 育 の 課 題 と して 、 第1章. で 、 教 育 課 程 に 明確 な位 置 づ. け が な い た め、 十 分 な 時 間 の確 保 が 困難 で あ る こ と、 そ して 、 内 容 な どが各 学 校 に一 任 さ れ て い る た め 、 学 校 間 に 格 差 が 生 じ る 懸 念 が あ る こ と 、 扱 わ れ る 障 害 種 に 偏 りが あ る こ と な ど が 指 摘 さ れ て い る(黒 川 ・是 永 、2006)こ. と を 述 べ た 。 こ こ で は 、 これ. らの 課 題 を ふ ま え た 上 で 、 障 害 理 解 教 育 に 関 す る 先 行 研 究 か ら障 害 理 解 教 育 の 現 状 と そ の 他 の 課題 に つ い て 検討 す る。. 1.障. 害 理 解 教 育 の 実 態 と その 課 題. 小 川 ・冨 永(2002)は. 、障 害理 解 教育 や. 「交 流 及 び 共 同 学 習 」 を 実 践 し て い る 小 学. 校 を 対 象 に 質 問 紙 調 査 を 実 施 し、 そ の 実 態 を 明 ら か に して い る。 結 果 と し て 、 直 接 的 で 自然 な. 「ふ れ あ い 」 の 学 習 は 、 ど の 学 年 に お い て も重 視 され て お り、 低 学 年 で は 、. 本 の 読 み 聞 か せ に よ る 学 習 や 交 流 会 等 に お け る 直 接 的 な ふ れ あ い が 活 動 の 中 心 で あ り、 高 学 年 で は 、 「自 己 の 成 長 や 発 達 」 の 学 習 に 関 連 し た 「 発 達 ・障 害 」 の 学 習 や 憲 法 学 習 に 絡 めた. 「社 会 的 問 題 」 と して 扱 わ れ て い た と して い る 。 障 害 理 解 教 育 を 実 践 し て い. る 教 育 課 程 と して は 、 特 別 活 動 や 道 徳 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 が そ の ほ と ん ど で 、 教 科 と し て は 社 会 科 や 国 語 科 な ど が あ っ た と して い る。 教 材 に つ い て は 、 自 作 教 材 か 児 童 文 学 教 材(絵. 本 を 含 む)が. ほ と ん ど で あ り 、 情 緒 障 害(自. 閉 症 等)の. あ る児 童 が 障 害. 児 学 級 に 多 く在 籍 し て い る に も か か わ らず 、 「 情 緒 障 害 」 を 取 り上 げ た 児 童 文 学 教 材 な ど は あ ま り見 られ な か っ た こ と を 指 摘 し て い る 。 ま た 、 障 害 の 種 別 に よ る 取 り組 み の 特 徴 と して 、 視 覚 障 害 、聴 覚 障 害 、肢 体 不 自由 等 の身 体 障 害 に加 え、 知 的 障 害 も一 部 扱 わ れ て い た と述 べ て い る 。 しか し、 こ の 調 査 で は 、 取 り組 み の 内 容 ま で は 明 ら か に. 9.

(13) さ れ て お らず 、 知 的 障 害 を どの よ う に 取 り上 げ て い る の か は 不 明 で あ っ た 。 黒 川 ・是 永(2006)は. 、 高知 市 立小 学 校 にお け る障 害 理 解 教 育 の 実 施 状 況 を各 校 の. 研 究 紀 要 か ら検 討 して い る 。 そ の 結 果 、 障 害 理 解 教 育 が 人 権 教 育 の 一 部 と して 取 り組 ん で い る 学 校 が ほ とん ど で あ り、 そ の 理 由 と し て 「障 害 者 」 も人 権 教 育 の 重 要 な 課 題 で あ る と い う認 識 が 高 い た め と して い る 。 各 学 年 の 実 践 内 容 は 、 低 学 年 で は 交 流 学 習 と読 み 物 教 材 が 中 心 で あ り 、 中 学 年 で は 、 体 験 学 習 や 視 覚 障 害 、 聴 覚 障 害 理 解 の た め の 教 材 が 中 心 と な っ て お り、 高 学 年 に な る と 、 体 験 学 習 や 障 害 と発 達 に っ い て 学 ぶ 発 達 学 習 、 障 害 学 習 や 障 害 児 ・者 問 題 学 習 が 取 り組 ま れ て い た と して い る。 こ れ よ り、 発 達 段 階 に 応 じて 、 障 害 児 ・者 と の 直 接 接 触 や 擬 似 障 害 体 験 な ど に よ る 具 体 的 な 内 容 の 理 解 か ら 、 抽 象 的 な 内 容 の 理 解 へ と展 開 され て お り、 対 象 学 年 を 考 慮 した 内 容 が 編 成 され て い た と して い る 。 し か し 、 障 害 に つ い て 学 ぶ. 「障 害 学 習 」 や. 「障 害 児 ・者 問. 題 学 習 」 を 実 施 して い る 学 校 は 少 な く、 扱 わ れ る 障 害 種 も 視 覚 障 害 や 聴 覚 障 害 、 肢 体 不 自 由 な ど 身 体 障 害 な ど が ほ と ん ど で あ り、 知 的 障 害 や 軽 度 発 達 障 害 に つ い て 取 り上 げ て い る 学 校 は 、少 な か っ た と指 摘 して い る。 ま た 、障 害 児 が 障 害 の な い 子 ど も の 「 障 害 へ の 気 づ き の 手 が か り」 や. 「 学 び の 対 象 」 と して 見 られ て い る な ど 、 障 害 児 自身 の. 発 達 や 障 害 理 解 に あ ま り注 目 が な され て い な い 現 状 が あ り 、 障 害 の な い 子 ど も と障 害 児 の 双 方 の た め の 障 害 理 解 教 育 の 実 施 が 課 題 と な っ て い る と して い る 。 徳 田 ・水 野(2005)は. 、小 学校 教 師 と中学 校 教 師 を対 象 に障 害 理 解 教 育 の 現 状 を調. 査 して い る 。 そ の 中 で 、 過 去1年. 間 に 障 害 に 関 す る 内 容 を 児 童 ・生 徒 に 教 え た 教 師 は. 小 学 校 で72%、. の ぼ り、 比 較 的 多 くの 教 師 が 実 践 して い る こ と を示. 中 学 校 で65%に. して い る 。 ま た 、 実 践 を 行 っ た 教 育 課 程 で は 、 小 中 学 校 と も に 総 合 的 な 学 習 の 時 間 を 利 用 した も の が 最 も 多 く、 そ の 他 に 道 徳 、 ホ ー ム ル ー ム で 行 わ れ て い た 。 内 容 と して は 、 小 中 学 校 と も に 障 害 者 が 感 じ るバ リ ア や バ リア フ リー 施 設 ・設 備 に 関 す る こ と、 障 害 者 の 援 助 方 法 な ど の テ ー マ が 多 く、 障 害 の 種 類 や 特 性 な ど が 取 り上 げ られ て い る と こ ろ は 少 な か っ た と述 べ て い る。 ま た 、 取 り組 ま れ る 方 法 と して は 、 車 椅 子 や ア イ マ ス ク 体 験 な ど の 疑 似 障 害 体 験 や 障 害 者 を 招 い て の 講 演 会 な ど が 多 く 見 られ た と して い る 。 徳 田 ら は 、 取 り組 み の 課 題 と して 、 公 園 や 街 の な か で の バ リア や バ リ ア フ リー 施 設 ・整 備 の 発 見 学 習 に 留 ま っ て い る こ と が 多 く 、 障 害 者 が 何 に 困 る の か 、 な ぜ そ う い っ た 施 設 ・整 備 が 必 要 な の か を 考 え さ せ る こ と が 必 要 で あ る と指 摘 し て い る 。. 以上 の先行 研究 よ り、小 中学校 にお ける障害理解 教育 の現状 と して、扱 われ る教育. 10.

(14) 課 程 で は総 合 的 な 学 習 の 時 間 や 道 徳 、 ホ ー ムル ー ム な ど の特 別 活 動 が 多 く、 教 科 の 中 で は あ ま り扱 わ れ て い な い こ と が 明 らか と な っ た 。 ま た 、 そ の 内 容 が 発 達 年 齢 を 考 慮 して 、 具 体 的 な も のか ら 「 障 害」 や. 「 発 達 」 な ど抽 象 的 な も の へ と段 階 づ け られ て い. る こ と が 、 小 川 らや 黒 川 ら の 研 究 か ら明 ら か と な っ た 。 し か し、 課 題 と し て 障 害 児 自 身 の 発 達 や 障 害 理 解 を含 め た 障 害 理 解 教 育 が 必 要 で あ る こ と、 「 障 害 」や 「 障 害 児 ・者 問 題 」、精 神 障 害 や 知 的 障 害 な ど に 関 す る 障 害 理 解 教 育 の 内 容 の 充 実 や 検 討 が 必 要 で あ る。 ま た 、 徳 田 ら の 結 果 か ら は 、 障 害 理 解 教 育 の 指 標 が 明 確 に さ れ て い な い た め に 、 学 校 教 育 で の 障 害 理 解 の 取 り組 み が 教 師 の 自 己 満 足 で 終 始 して い る の で は な い か とい うこ とが 懸 念 され る。. 2.障. 害 理 解 教 育 の実 践 研 究 とそ の課 題. 障 害 理 解 教 育 の 実 践研 究 は、 様 々行 われ て お り、近 年 で は福 祉 系 の大 学 や 専 門 学校 に お い て 学 生 の 障 害 児 ・者 へ の 理 解 を促 す た め に 講 義 や 研 修 会 に 障 害 擬 似 体 験 な ど を 取 り入 れ た 実 践 も 試 み られ て い る(藏 野 ら,2002;小 貝,2008)。. 徳 田(1994)は. 、 幼 児 期(早. 期)か. 坂,2004;小. 澤 ら,2006;安. 藤 ・大. ら の 障 害 理 解 教 育 の 重 要 性 を 指 摘 して. お り、 こ れ に 関 連 す る研 究 と して 、 水 内(2006)の. 統 合 保 育 場 面 で の 園児 の 障 害 理 解. や 態 度 形 成 に つ い て 調 査 した も の 、 渡 邊 ・細 川(2008)の. 幼 児 を対 象 と した 障 害 理 解. 教 育 プ ロ グ ラ ム を 作 成 した も の な ど が知 られ て い る 。 こ れ ら の 研 究 結 果 か ら 、 幼 児 期 に お い て は 意 図 的 な 障 害 理 解 教 育 を 行 う よ り も 、 統 合 保 育 な ど の 自然 な 接 触 場 面 で 子 ど も 同 士 が そ の 差 異 や 違 い を知 り、仲 間 と して お 互 い を 認 め る こ と が 大 切 で あ る こ と、 そ の 相 互 作 用 を 促 進 させ る た め に 周 囲 の 支 援 者 は 自然 な サ ポ ー ト を行 う こ と が 重 要 で あ る こ と が 報 告 され て い る 。 ま た 、 小 学 校 に お け る 実 践 研 究 で は 、 視 覚 障 害 な ど の 障 害 疑 似 体 験 を 取 り入 れ た も の(青 柳 ら,2002:久 真 城,2003)、. 保 山 ら,2003:山. 本,2003)や. 児 童 文 学 作 品 の 利 用(山 口 ・山 田,1998;. 障 害 理 解 啓 発 の た め の 絵 本 の 開 発(横. い る。 久 保 山 ら(2003)は. 尾 ら,2006)な. ど の 実 践 が 知 られ て. 「 総 合 的 な 学 習 の 時 間 」 を 用 い た 障 害 理 解 教 育 の 授 業 を提. 案 して お り、 そ の 中 で 障 害 疑 似 体 験 の 実 施 に お い て 、 十 分 な 時 間 を確 保 し な け れ ば 子 ど もが. 「障 害 者 の で き な さ」 ば か り を体 験 して し ま うこ と 、 体 験 と合 わ せ て 障 害 者 と. 直 接 触 れ 合 う時 間 を 設 定 す る こ と が 障 害 理 解 に は 重 要 で あ る と報 告 して い る 。 こ れ に 関 連 し、 小 野 ・徳 田(2005)は. 、 学 校 な ど に お け る 体 験 学 習 の 課 題 と して 「障 害 者 と. 11.

(15) し て のdisability」. や そ れ に 伴 う情 緒 的 な ネ ガ テ ィ ブ 体 験(か. わ い そ う、 っ らい な ど). が 強 調 され て い る 傾 向 が あ る と述 べ て い る 。 ま た 、 小 野 ら は 大 学 生 を 対 象 と して 、 点 字 触 読 体 験 の 難 易 度 の 違 い に よ る視 覚 障 害 者 に 関 す る 能 力 評 価 へ の 影 響 を 調 査 し、 結 果 と し て 難 易 度 の 高 い 点 字 を 体 験 した 学 習 者 の ほ う が 視 覚 障 害 者 の 能 力 を 特 別 視 す る 傾 向 が あ り 、 体 験 者 へ の 影 響 な ど を 無 視 した 安 易 な 体 験 学 習 は 、 体 験 者 の 障 害 観 を 歪 め る 恐 れ が あ る こ と を 指 摘 して い る 。 反 対 に 、 山 本(2003)は. 「 で き る 」 こ とを強 調. した 障 害 の 体 験 学 習 を 提 案 し、 障 害 理 解 教 育 の 導 入 と して 一 定 の 効 果 が あ っ た こ と を 報 告 レて い る。 しか し、 単 発 的 な 授 業 で は 障 害 理 解 教 育 の 効 果 が 検 証 で き に く く 、 系 統 的 な プ ロ グ ラ ム の 開 発 が必 要 で あ ると述 べ て い る。 この 点 につ い て は久 保 山 らも、 単 一 学 年 で 短 期 的 に障 害 理 解 教 育 を 実施 して も効 果 的 な 授 業 展 開 が難 し く、 障 害 理 解 が 深 ま ら な い と し て 、 多 学 年 に わ た る 計 画 的 な プ ロ グ ラ ム の 必 要 性 を 指 摘 して い る 。 ま た 、 山 口 ・山 田(1998)、. 真 城(2003)は. 、絵 本 や 児 童 文 学作 品 の利 用 が子 ど も. の障 害 者 へ の理 解 を深 め る た め に有 効 で あ り、 そ の た め に は子 ど もが 自 らの 生 活 場 面 を 意 識 しな が ら共 感 的 に 意 識 を 深 め て い く こ と が 大 切 で あ る と して い る 。 横 尾 ら (2006)は. 通 常 学 級 に お け る 障 害 理 解 の ツ ー ル と して 障 害 理 解 啓 発 の た め の 絵 本 を 作. 成 し、 そ の 効 果 を 検 証 して い る。 そ の 中 で 、 理 解 に は 、 知 識 的 な も の と相 手 の 立 場 に 立 っ て 考 え る な ど 共 感 的 な 視 点 が 必 要 で あ る こ と 、障 害 理 解 教 育 を 行 う に あ た っ て は 、 発 達 年 齢 と と も に 子 ど も が 日常 過 ご して い る 学 級 の 雰 囲 気 や 友 人 関係 な ど 様 々 な 要 因 が 関 与 す る こ と を 指 摘 して い る。 こ れ よ り、 小 学 校 で 障 害 理 解 教 育 を 行 う場 合 の 配 慮 点 と して 以 下 の こ とが指 摘 で き る。. ①障 害理解 教育 を実施 す るにあた って は児童 ・生徒 の発 達段 階や学級 の雰 囲気 を考 慮 す る こと ② 障 害 擬i似体 験 で は 障 害 の 「 で き な さ」 ば か りを強 調 しない こ と ③ 絵 本 な ど を 用 い る 場 合 に は 、 児 童 ・生 徒 が 内 容 を 実 感 で き る よ うに 心 が け 、 共 感 的 な 理 解 を促 す こ と. 3.障. 害 理 解 教 育 を行 う教 師 の 立 場 と意 識. 障 害 理 解 教 育 が 教 育 を 行 うそ れ ぞ れ の 教 師 の 障 害 に 対 す る 姿 勢 に 大 き く左 右 され る こ と は 、 自 明 の こ と で あ る。 しか し、 現 在 の 小 ・中 ・高 等 学 校 の 教 員 養 成 課 程 に お い て は 、障 害 理 解 実 践 の た め の 教 師 の 学 習 機 会 が 少 な い とい う現 状 が あ り(真 城,2002)、. 12.

(16) 基 本 的 な 障 害 理 解 や 対 応 の 習 得 を行 う機i会の 設 定 が 課 題 と され て い る(平 澤 ら,2006)。 教 師 の 障 害 理 解 に つ い て 影 響 を 写 え る も の と して1997年. に 「小 学 校 及 び 中 学 校 の 普. 通 免 許 状 授 与 に 係 る 教 職 員 免 許 法 の 特 例 等 に 関 す る 法 律 」 い わ ゆ る 「介 護 等 体 験 特 例 法 」 が 成 立 した こ と が 挙 げ られ る 。 これ に よ り、 小 ・中 学 校 の 教 員 免 許 の 取 得 に 対 し て 特 別 支 援 学 校 や 社 会 福 祉 施 設 等 で の 実 習 が 義 務 づ け られ た 。 しか し、 こ れ は 短 期 間 の 接 触 で し か な く 、 障 害 理 解 の 習 得 ま で は 至 ら な い と 言 え る。 三 浦(2003)は. 、教師. が 障 害 理 解 教 育 に お い て 何 を 重 視 して い る の か 、 そ の 内 容 を 調 査 して い る 。 結 果 と し て 、 教 師 は 具 体 的 援 助 場 面 に お い て 、 同 年 代 の 子 ど も 同 士 の 対 等 な 関 係 を 強 く認 識 し て お り 、 援 助 技 術 よ り も 対 等 関 係 を促 す 教 育 の 必 要 性 を 感 じ て い た 。 ま た 、 障 害 理 解 教 育 に お い て 重 視 され る べ き 内 容 と して 、 教 師 は 偏 見 解 消 や 対 等 関 係 、 援 助 技 術 よ り も 知 識 伝 達 を 重 視 して い る こ と が 明 らか とな っ た 。 しか し 、 こ うい っ た 障 害 理 解 教 育 に対 す る教 師 の 意 識 を取 り上 げ た 研 究 は 少 な く、学 校 に お け る障 害 理 解 教 育 の重 要 性 を 鑑 み れ ば 、 今 後 よ り一 層 の 議 論 が な さ れ る べ き 課 題 で あ る と言 え る 。. 4.学. 校 教 材 に お け る障 害 の 扱 わ れ 方 の 問 題 点. 山 口 ・山 田(1998)は. 、 道 徳 副 読 本 ・資 料 集 、 福 祉 教 育 副 読 本 、 障 害 者 理 解 教 材 ビ. デ オ な ど の 障 害 理 解 教 育 に 関 す る教 材 に お い て 、 肢 体 不 自 由 や 視 覚 障 害 、 聴 覚 障 害 に つ い て の 題 材 が 多 い 反 面 、 知 的 障 害 につ い て 取 り上 げ た も の が 少 な い こ と を 指 摘 して い る 。 そ の 理 由 と して 、 こ れ ら の 題 材 が そ れ ぞ れ の 障 害 の 特 性 や 実 態 に つ い て 説 明 や 解 説 した も の が 多 く、 知 的 障 害 に は 他 の 障 害 種 の よ うに 共 通 した 特 質 が な く 、 障 害 の 実 態 が 個 々 に 異 な っ て い る た め に 対 象 と な りに く い と考 え られ る 、 と述 べ て い る 。 仲 本(2002)は. 、 道 徳 の 副 読 本 に 掲 載 さ れ て い る 障 害 を 題 材 と した 作 品 の 調 査 を 行. っ て い る 。 そ の 結 果 と して 知 的 障 害 ・発 達 障 害 よ り も肢 体 不 自 由 や 視 覚 障 害 、 聴 覚 障 害 に 関 す る 情 報 が 多 く 、 情 報 提 供 の 偏 りが 見 られ る こ と を 指 摘 し て い る。 ま た 、 水 野 ら(2003)は. 、1998年. 度 か ら2002年. 度 ま で 使 用 され て い た 小 学 校 、 中 学 校 の 国 語 の. 教 科 書 を 調 べ 、 そ の 中 で の 障 害 の 扱 わ れ 方 を 検 討 して い る 。 調 査 の 結 果 か ら 、 小 学 校 用 あ るい は 中 学 校 用 の 国語 の 教 科 書 にお い て 、 いず れ か の 学 年 で 障 害 に関 す る内容 を 扱 っ て い る こ と が 確 認 され た 。 し か し、 知 的 障 害 、 精 神 障 害 に 関 す る 内 容 が ほ と ん ど 扱 わ れ て い な い な ど、 障 害 の 扱 わ れ 方 に 偏 り が 見 られ た 。 ま た 、 障 害 に 関 す る 内 容 が 作 文 や ス ピ ー チ の 題 材 と して 取 り上 げ られ て い る こ とが 多 く 、 小 学 校 と 中 学 校 で 扱 わ. 13.

(17) れ て い る 内 容 が 同 じで あ る な ど 、 学 年 が 上 が っ て も 取 り あ げ ら れ て い る 内 容 が 深 化 さ れ る こ と な く、 障 害 に 関 す る 内 容 を 系 統 的 に 理 解 さ せ よ う とす る 意 図 は 見 られ な か っ た と して い る 。 課 題 と し て 、 系 統 的 な 教 材 の 精 選 や よ り深 い 障 害 に 関 す る 理 解 を 促 す た め に 、 教 科 書 以 外 の教 材 の使 用 や 他 の 教 科 との 関 連 を な どに つ いて の検 討 す る こ と な ど を 挙 げ て い る 。 以 上 の 結 果 か ら学 校 教 材 に お い て も 、 知 的 障 害 は 取 り上 げ られ る こ と が 少 な く 、 障 害 種 に よ り与 え られ る 情 報 に 大 き な 差 異 が あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 こ れ よ り 、 特 に 取 り上 げ られ に くい 知 的 障 害 な ど に つ い て は 、 児 童 文 学 作 品 な ど 他 の 教 材 を 用 い て 教 師 が 意 図 的 に 教 え て い く必 要 が あ る と考 え られ た 。. 第4節. 1.障. 障害理解教育 の実践 内容 の検 討. 害 理 解 教 育 の 受講 経 験 と障 害者 へ の 理 解 の 関連 性. こ こで は、柳 澤(2006)の. 研究 結果 を基 に過去 の障害理解教 育 の受講経験 が現在の. 障害理 解 に どの よ うに影響 を及 ぼ してい るの か、またそ こにみ られ る課題 か ら今後の 障害理解 教育 の実践 内容 を検討す る。 柳澤 は、保 育 士養 成 の短期大学 に在学す る女子学生 を対象 に障 害児 ・者 との接触経 験 、過 去 の障害 理解教育 の受講経験 と障 害 に対す る理解 の 関係 を調査 してい る。結果 と して、 学生 の ほ とん どが接触経験 を有 してお り、その接触時期 は半数以 上 が小学校 また は中学校 で あ り、年齢 が進む ほ ど障 害児 ・者 との直接的 な関 わ りが少 な く、 自主 的 ・意図 的 に接 触機会 を持 たな けれ ば、関 わ ることが非常 に少 ない こ とが明 らか とな った。学生 が接触 した障害種は、知 的障害 が最 も多 く、次 いで肢 体不 自由、視 覚障害 、 聴 覚障害 の順 で あった。学校教育 での障 害理解教育 の受 講経験 は、経験 のない者が6 割以上 で あ り、学 んだ障害 種 は視 覚障害 が最 も多 く、次い で肢 体不 自由、知的障 害、 聴 覚障 害で あ った と述 べてい る。 これ よ り、実際 に接触 した障害種 と障害理解教 育で 学 んだ障害種 との差異が指 摘で き る。また 、接 触経験や障 害理 解教育 の受講経験 の有 無 と障害 に対す る理解 を学生 の間 で比較 、検討 した ところ、障害 に対す る理解 には差 が見 られ なか った と述べてい る。柳澤は、 これ らの調査結果 か ら過去 の障害理解 教育 が学 生の学 び に定着 していない こ と、そ の理 由 として接触 してい る障 害 と障 害理解教 育 で取 り上 げ られ る障害が整合 していない こ と、接触経験 が あって も障害 に対 す る理. 14.

(18) 解 が 深 ま る ま で に は い た っ て い な か ろ た こ と な ど を 挙 げ て い る。 ま た 、 一 時 的 な 接 触 や 障 害 理 解 教 育 で は 障 害 児 ・者 へ の 実 際 的 な 支 援 に は 結 び つ き に く く 、 障 害 児 ・者 が ど の よ う な 側 面 に お い て 困 難 を感 じて い る の か を洞 察 す る ま で に は 至 らず 、 障 害 に 対 す る 偏 見 の 払 拭 と い っ た 精 神 論 に 留 ま っ て し ま う こ と を指 摘 して い る。 こ れ よ り 、 障 害 理 解 教 育 に お け る 今 後 の 課 題 と して 、 ま ず 、 障 害 理 解 教 育 を 単 発 的 な 学 習 で は な く 、 継 続 的 な 学 習 と して 学 校 教 育 の 中 に 位 置 づ け る こ と の 重 要 性 が あ げ られ る 。 これ は 、 先 に 述 べ た 山 本(2003)や. 久 保 山 ら(2003)の. 見解 と一 致す る課題. で あ る 。 次 に 、 精 神 論 に と ど ま らな い 内 容 の 検 討 で あ る 。 こ れ は 、 第2節. に 障 害 理解. 教 育 の 概 念 と して 挙 げ た 、 「 生 活 場 面 で の 受 容 や 援 助 行 動 の 発 現 を 目指 す こ と 」 を 具 体 化 す る こ と に つ な が る課 題 で あ る。 これ に 関 して 、 徳 田 ら(2005)が. 小 中 学校 の実 践. に お い て 、 障 害 者 が 何 に 困 る の か 、 な ぜ そ うい っ た 施 設 ・整 備 が 必 要 な の か を 考 え さ せ る こ と が 必 要 で あ る と指 摘 して い た こ と が 参 考 に な る 。 つ ま り、 障 害 理 解 に は 、 児 童 ・生 徒 が 障 害 者 の 立 場 に 立 っ て 考 え る 視 点 が 必 要 で あ り 、 共 感 的 な 理 解 が 重 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 こ の 点 に つ い て は 、 横 尾 ら(2006)も. 理 解 に は 知 識 的 な も の と相 手. の 立 場 に 立 っ て 考 え る な ど 共 感 的 な 視 点 が 必 要 で あ る と指 摘 して い る 。 ま た 、 障 害 者 の 立 場 を 理 解 す る た め に は 、 現 在 、 障 害 理 解 教 育 の 内 容 と して 扱 わ れ る こ と が 少 な い 「 障 害 児 ・者 問 題 」 な ど を積 極 的 に 取 り上 げ 、 社 会 の 中 で 障 害 者 の お か れ て い る 現 状 や 取 り巻 く課 題 な ど を 知 る 必 要 が あ る と考 え られ る 。 次 に 障 害 者 に 対 して 継 続 した 理 解 や 受 容 的 な 態 度 を 示 す こ とが で き る 内 容 を 検 討 す る こ と で あ る。 こ れ に 関 し て は 、 川 間(1998)の. 研 究 が 参 考 に な る と考 え られ る 。 川. 間 は 、 知 的 障 害 者 に 対 す る 態 度 に 読 書 法 が ど の よ うに 関 係 す る か に つ い て 研 究 し、 こ の 中 で 読 書 材 料 と して 知 的 障 害 者 の 学 問 的 知 識 の 内 容 を 用 い た 群 よ り も 情 緒 的 な 内 容 を含 む 群 の ほ うが 望 ま しい 方 向 へ 態 度 が 変 容 され 、 さ ら に は 維 持 も さ れ て い た とい う 結 果 を 示 し て い る 。 こ れ よ り、 障 害 理 解 教 育 の 内 容 と して 児 童 ・生 徒 の 内 面 に 働 き か け る 内 容 を 検 討 す る こ と も 必 要 で あ る と 考 え られ る。 例 え ば 、 川 間 の 調 査 で 用 い られ た 情 緒 的 な 内 容 を 含 む 読 書 材 料 と は 、知 的 障 害 児 の 母 親 の 手 記 で あ り 、 障 害 理 解 教 育 の 教 材 を と し て も応 用 で き る の で は な い か と考 え られ る 。. 2偏. 見 ・差 別 を 扱 っ た 先 行 研 究 か ら の 知 見. 橋 本(2000)は. 、 障 害 者 に 対 す る偏 見 を 構 造 的 に 解 明 し、 障 害 者 へ の 偏 見 と い っ た. 15.

(19) 意 識 の 障 壁 は 、 障 害 者 に 対 す る知 識 ・情 報 の 乏 し さ や 誤 っ た 理 解 な ど か ら 生 じて い る と し て い る 。 ま た 、 坂 西 ・土 井(2006)は. 、 障 害 者 関 連 情 報 が 障 害 者 へ の 認 知 と態 度. の 形 成 に お い て 強 い 影 響 力 を 持 つ こ と を 示 し 、 マ ス コ ミや 社 会 に 流 布 す る 情 報 の 重 要 性 を 指 摘 して い る 。 そ して 、 差 別 や 偏 見 の 解 消 の た め に は 、 各 々 が 持 つ 差 別 や 偏 見 を 抑 圧 す る の で は な く 、 意 識 化 し 自覚 的 に 理 解 を深 め て い く こ と が 重 要 で あ る と考 察 し て い る 。 こ れ よ り 、 障 害 者 へ の 差 別 や 偏 見 を 解 消 し て い く た め に は 、 正 しい 知 識 や 情 報 と と も に 、 日常 生 活 の 中 で 無 意 識 に 生 じ て い る 差 別 や 偏 見 を 意 識 的 に 解 消 して い く 必 要 が あ る こ と が 指 摘 され た 。 ま た 、 生 川(2007)は. 、 知 的 障 害 者 に 対 す る 態 度 研 究 か ら 「総 論 賛 成 各 論 反 対 」 の. 立 場 が 多 い こ と を 明 ら か に して い る。つ ま り、自 己 と の 具 体 的 直 接 的 な 関 わ りの 薄 い 、 理 念 的 観 念 的 な 次 元 に 属 す る態 度 は 好 意 的 で あ る の に 、 自 己 と 直 接 的 な 関 わ りが 深 く な る 、 現 実 的 具 体 的 な 次 元 に 属 す る 態 度 は あ ま り好 意 的 で は な い とい う態 度 で あ る。 例 え ば 、 「障 害 者 施 設 を 建 設 す る の は 賛 成 だ が 、 地 元 へ の 建 設 は 反 対 す る 」 と い っ た も の が あ る 。 そ して 、 態 度 の 形 成 に お い て 接 触 と知 識 が 重 要 で あ り、 障 害 者 へ の 態 度 を 好 転 させ て い く た め に は 、 接 触 と知 識 ・情 報 を うま く適 合 さ せ て 提 供 す る 必 要 が あ る と結 論 づ け て い る。 こ れ に 関 連 し、 山 内(1996)は る た め の 接 触 の 条 件 に つ い て 以 下 の5つ. 障 害 者 へ の 偏 見 的 態 度 を 変 容 させ. を 指 摘 し て い る。. ①偏 見 と一致 しない ポジテ ィブな情報 を得 ることがで きる接触 ②障 害者 を外 の メンバー と して ではな く、一個人 としてみ るよ うな接 触 ③障 害者 と健 常者 との差異性 ・異質性 ではな く、類似性 が着 目され る接触 ④偶 然で はな く、計画的 に行 われ るポ ジテ ィブな相互作用 の接触 ⑤ 接触す る相手 と対等 な関係 がつ くられ る接 触 これ よ り、知的 障害者 に対す る態度 を好 転 させ てい くた めには、接触 と正 しい知識 や 情 報 が 不 可 欠 で あ り、 そ の 接 触 の 際 に は 山 内 の 指 摘 す る5つ が 有 用 で あ る と言 え る 。. 16. の条 件 を考 慮 す る こ と.

(20) 第3章. 第1節. 知 的 障 害者 本 人へ の イ ンタ ビュー 調 査. 目的. 知 的 障 害 者 本 人 にイ ンタ ビ ュー 調 査 を行 い 、 当事 者 か らみ た 障 害 理 解 、社 会 へ の ニ ー ズ 、 支 援 の課 題 な ど を明 らか にす る と と もに 、 イ ン タ ビ ュー 中 の様 子 な どか ら知 的 障 害 者 と 関 わ る上 で の配 慮 点 な どを示 し、障 害 理解 教 育 に お け る知 的 障 害 へ の理 解 の 内 容 を 検 討 す る。. 第2節. 1.対. 方法. 象 者 と選 定 条件. 対 象 者 は5名. 、aか. らeで. あ り、 プ ロ フ ィー ル は 表1に. 示 す 。 対 象 者 の選 定 条 件 と. して は 、自 己 の 意 思 を 言 語 に よ っ て 表 現 で き る者 と し、そ の 他 の 条 件 は 問 わ な か っ た 。 表1対. 象 者 プ ロ フ ィ ー ル(知. 性. 年代. a. 男. 20代. B2. b. 女. 20代. B2. 軽作業. 通所授産. C. 女. 20代. A. 軽作業. 小規模作業所. d. 女. 50代. B1. e. 女. 20代. 2.実. 療育手帳. 的 障 害). 不明. 作業 内容 喫茶(接 客). 施 設(X県. 内). 通所授産. 喫茶(接 客). 通所授産. 飲食店(接 客). 通所授産. 施 時期 と手 続 き. 実 施 時 期 は 、2008年9,月4∼12日. で あ っ た 。 手 続 き は 、個 別 で イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ. た 。 記 録 の 方 法 は 、 二 通 り行 っ た 。 事 前 に録 音 の 了 解 が 得 られ た 対 象 者 は 、ICレ. コー. ダ ー と面 接 記 録 用 紙 を 用 い た 。 録 音 の 了 解 が 得 られ な か っ た 対 象 者 は 、 面 接 記 録 用 紙 だ け を 用 い た 。 所 要 時 間 は 、20∼40分. で あっ た 。. 17.

(21) 3.調. 査 内 容 と設 定 理 由. 調 査 内 容 は 以 下 の7項. 目で あ り、 そ れ ぞ れ に 設 定 理 由 を 示 す 。. ① 現 在 の 仕 事 に つ い て 楽 し い こ と ・困 る こ と. 現在 の仕 事 に対す る満足度や 困難 点を尋 ね、知的障害者 の就 労の実態 と支援 の課題 な どを明 らか にす る。 ②周 囲の好 き な人 ・嫌 いな人 今 ま で に 関 わ っ て き た 人 の 中 で 好 き な 人 と嫌 い な 人 を 尋 ね 、 知 的 障 害 者 自 身 が どの よ うな 関 わ り を 好 む か あ る い は 嫌 だ と感 じて い る の か を 明 らか に す る 。 ③ 自 分 の 好 き な と こ ろ ・嫌 い な と こ ろ 知 的 障 害 者 本 人 が 自 分 の こ と を ど の よ うに 思 っ て い る の か を 尋 ね 、 知 的 障 害 者 の 自 己 認 知 を 明 ら か に し、 知 的 障 害 者 を 理 解 す る た め の 一 助 と す る 。 ④ 学校生 活. 主 に通 常学校 での学校生活 の様子や友 人関係 、教師 との関わ りにっ いて尋 ね、学校 で どの よ うな配慮や支援 が必要 なのかを明 らかにす る。 ⑤将 来の夢 養護 学校 選択 時 と職業選択時 の様子 を尋ね、そ の際 に周 囲 が どの よ うな働 きかけを したのか 、また どの よ うな働 きか けが有効であ るの かを明 らかにす る。 ⑥障 害 について 知 的障 害者 自身 が障害 について どのよ うに感 じてい るのか、また周囲 には どの よ う な理 解 が求 め られ るのかを尋 ね、本人の希望 を取 り入れ た障害理解 の 内容 を検討 す る 上での一 助 とす る。 ⑦今後必 要 と思われ る支援 について 将 来 の 夢 や 知 的 障 害 者 本 人 が 必 要 と感 じ て い る支 援 に つ い て 尋 ね 、 今 後 の 知 的 障 害 へ の 支 援 に お け る本 人 の ニ ー ズ を 明 らか に す る 。. 4.分. 析方 法. 本 調 査 で は 、 そ の 目 的 に 照 ら し 、イ ン タ ビ ュ ー 内 容 と と も に 語 られ た 背 景 も 重 要 な 観 点 とな る。 そ こ で 、分 析 方 法 は以 下 の通 り と した。 ① す べ て の デ ー タ を 文 字 化 した 。 ② 調 査 内 容 の 項 目 ご と に 内 容 を ま と め 、 そ れ ぞ れ に 結 果 と考 察 を 示 し た 。. 18.

(22) 第3節. 結 果 と考 察. こ れ よ り、 知 的 障 害 者 本 人 の イ ン タ ビ ュ ー 調 査 の 結 果 と考 察 を グ ル ー プ ご と に 示 し て い く が 、 結 果 の 表 記 に つ い て 以 下 の2点. を断 っ て お く。. ① イ ン タ ビ ュ ー 内 の ア ル フ ァベ ッ トは 発 言 者 を 示 し、表1の. 対 象 者 と 対 応 して い る 。. ② イ ン タ ビ ュ ー 内 の 斜 体 ∫は 調 査 者 の 発 言 を 示 して い る 。. 1.現. 在 の仕事 につ いて. 1)結. 果. Q1:現. 在 の 作 業 で 楽 しい と 思 う こ とは 何 か あ りま す か?. (aさ. ん). a:特. にないです 。. (bさ ん) b:い. や 、 特 に な い です 。. 1!券. に な の で ナ か。 で〆 試. b:そ. 磁 の傑. の方 が よ か っ た 、 と〃、ラ こ と で ナ か9. うで す ね 。. ∫!こ の 炸 籍 夕容 な 亙 分 で決 め らカ る ん で ナ ψ乃9 b:い. や 、 指 導 員 さん に 「 そ れ や っ て 」 と言 わ れ た ら 、 ま あ 、 だ い た い や る よ う な. 感 じで す 。. (cさ c:配. (dさ d:や. (eさ e:楽. ん) 色 。 色 を決 め る の が楽 しい です 。. ん) っ ぱ り、 み ん な と 一 緒 に 楽 しい で す ね 。 や っ ぱ り。. ん) しい と 思 う こ と は あ ま りな い で す ね 。 日 も ま だ 浅 い し。. 19.

(23) Q2:作. 業 で 困 る 事 は 何 で す か?. (aさ ん) a:あ. (bさ. い さ つ で す か ね 。 慣 れ て い な い か ら、 恥 ず か しい で す 。. ん). b:い. や 、 別 に 特 に な い です 。. (cさ. ん). c:今. の とこ ろ、 別 に な い。. (dさ ん ①) d:男. の 人 が お り ま す で し ょ(他. の利 用 者 の こ と)。 そ の 人 が 時 々 私 に 言 う と き が. あ る ん で す け どね。 1!伽. りと句 を 言 わ れ{5?. d:文. 句 を 言 わ れ る と き が あ る ん で す け ど ね 。 ま あ ま あ、 一 応 そ ん な 感 じで す 。. 1!こ. こ〆 こ一結 〆 こ勧 〃、で 〃、 るノt、 と侮 か あ る つ て こ ま で ナ か9. d:そ. うで す ね 。 働 け な い とか 、 働 か れ な い と か 言 うて … 。. 1:ぞ. ラ 言 わ ノτる ん で ナ か9. d:そ. うで す ね 。 そ ん な こ とに な る こ と も あ りま す 。. ∫!ら ラ少 し、 な き な き 紛 き な さか っ て こ と で ナ か9 d:そ. うで す 。. ∫!-Zsb}ラ d:そ. 風 〆 こ勉 の ス タ ソ フ の ノしか ら言 わ れ た ク?. うで す 、 そ うで す 。. ∫!お 客 さん か ら毎 か 言 わ れ た 〃 っ τ ご とな な の ん で ナ か9 d:そ. れ は な い で す 。 こ こ は 一 番 楽 し い し、 み ん な と 一 緒 に働 き た い な と思 っ て こ. こ に 来 た ん で す け どね 。 1!彪. に厨 る ご 、 とぽ ど ん な こ ま で す1か9. d:身. 体 の こ と が 、 あ る の で ね 。 そ れ で 、 ち ょ っ と外(外. と も あ る ん で す け どね 。. 20. 聞)が. 悪 い か な と思 うこ.

(24) 1!困. っ た2き. な、 、 ど ラ され で 〃、5ξ プrか9. d:困. っ た こ と は あ ま り な い ん で す け ど 、 や っ ぱ り職 員 に は ち ょ っ と 言 い に く い な. っ て … して い る ん で す け どね 。 ∫ノた 、 とえ ば d:そ. ノ 勉 のス か ら丈 句 を 言 わ れ で ら我 濯 し で 〃、{5んで ナ か9. うで す ね 。 我 慢 して い る ん で す け どね 。. ∫!4獺 d:あ. さん 〆 こな 、 言 わ な ρ んで ナ か9. (dさ. ん ま り、言 わ な い み た い で す ね 。. ん ②). d:職. 員 が し ゃ べ っ て る で し ょ?だ. か ら、 そ れ だ っ た ら、 … こ こ で は あ ん ま り し ゃ. べ って は い か ん こ とに …。 1-一 こ こ1で 劇 ぐ 、 と ∼iぎ 〆 崖… d:黙. っ て 働 い た 方 が 私 だ っ た ら あ ま り し ゃ べ ら な い ほ う が い い と思 うん で す よ 。. 1:〃. ど. d:た. ま に 、 しゃ べ っ て い る と き が あ る か ら … み ん な と同 じ よ うな こ と は で き な い. 顯. さん・ な し や べ っ τ レ、6ま9. で す ね 、 や っ ぱ り。 1:え. っ2、. ご ご で な あ5ξ ク 乙 や べ っ で な い 〆 プな ρ ご ど に な っoの6ん. ・で ナ か?. d:し. ゃ べ っ て は い け な い こ と は な い け ど、 あ ん ま り大 き な 声 で し ゃ べ っ た り、 嫌. な 思 い し て き て い る か ら あ ん ま り、 い ろ ん な 面 で あ る か ら ね 。 お 客 さ ん も 入 っ て き て や し 、 だ か ら あ ん ま り大 き な 声 で し ゃ べ っ て る と 、 や っ ぱ り嫌 な 思 い … 。 1:こ d:そ. こ の瑚. 孝 さ ん の こ と を大 声 で 乙 や くごっ で 〃、る っ で こ と で す1か?. うで す ね 。 あ ん ま りね … 。. 1-!言. わ な 〃、ぽ ラ が 罠 〃、と9. d:あ. ん ま り ね 、 私 も 気 に す る し。 大 事 な こ と だ っ た ら 良 い け ど あ ん ま り 、 し ゃ べ. っ て い た ら 、 外(外 1!そ. ノZな 、 た ど 之 〆 試. 聞)が 嬬. d:そ. うで す 、 そ うで す 。. f"こ. こ の 、 た まえ ば. d:そ. 悪 い で す わ 、 や っ ぱ り。 読 留 〃、ラ こ8で. ナ か9. ゴ さ ん の こ と を 言 っ τ 〃嘘. うで す 、 そ うで す 。. 21. ク ナ{5ん. で ナ か9.

(25) (eさ ん) e:周. り も 障 害 を 持 っ て い る人 な の で 、 そ の 関 わ り方 が 難 しい で す ね 。. ∫!困 っ た と き 〆#2"」 さカ で 〃、 る の で ナ か9 e:中. にお られ る ス タ ッフ の人 た ち に 聞 い て そ れ は こ うした らい い とか。. ∫!ア みツ ぐ イ ス を ら ら ラん で ナ ね9 e:そ. 2)考. う。. 察. ここで は、現在 の仕事 に対す る満足度や 困難 点を尋ね、知 的障 害者 の就 労の実態 と 支援 の課題 な どを明 らかにす る。 aさ ん は 、 仕 事 に つ い て 楽 しい こ と は な い と答 え て い る が 、 反 対 に 困 る こ と に つ い て. 「あ い さつ 」 を 挙 げ て い る。 これ は 、aさ ん の 以 前 の 仕 事 が パ ン 作 り と い う製 造 業. だ っ た こ と も あ り 、 接 客 に あ ま り慣 れ て い な い とい う理 由 か ら だ と考 え る。 ま た 、a さ ん の イ ン タ ビ ュ ー 中 の 様 子 を 思 い 返 して み る と照 れ 笑 い を 浮 か べ る こ と も 多 く 、 人 と の 関 わ り に 緊 張 を 抱 く の だ ろ う と 考 え られ た 。 これ よ り、 現 在 の 仕 事 はaさ っ て は 苦 手 と す る種 類 の も の で あ ろ う と 推 測 で き る。bさ. んにと. ん は 、 仕 事 に つ い て 楽 しい. こ と も 困 る こ と も な い と答 え て い る が 、以 前 の 作 業 内 容 の 方 が 良 か っ た と 述 べ て い る 。 これ は 、 後 の 給 料 に つ い て の発 言 で 以 前 の 仕 事 の 方 が 良 か っ た と して い た こ と も影 響 して い る の で は な い か と考 え られ た 。 ま た 、 仕 事 の 内 容 に つ い て は 指 導 員 が 決 定 す る と答 え て い た が 、 こ れ 以 後 の 発 言 な ど を み て もbさ. ん 自身 は そ の こ と に あ ま り不 満 を. 抱 い て い な い よ うで あ っ た 。 しか し、 本 来 な らば 本 人 が仕 事 の 内 容 を 決 定 で き る 環 境 が 必 要 で あ る 。 施 設 側 の 事 情 な ど が あ る か も しれ な い が 、 障 害 者 本 人 の 意 思 を 尊 重 し た 支 援 が 望 ま れ る。cさ ん は 、 「さ し こ」 と い う手 芸 の 仕 事 を して い る。 そ し て 、 そ の 中 で の 糸 の 配 色 が 楽 しい と 答 え て い る。cさ ん は 、療 育 手 帳 の 障 害 区 分 で は 最 重 度 のA 判 定 で あ る が 、 イ ン タ ビ ュ ー の 様 子 な ど か らみ て も 自身 の 意 思 を は っ き り伝 え る こ と が で き て い た 。こ れ よ り、IQな ど の 数 値 で 個 人 を 推 し量 る こ と は 間 違 っ た 見 方 と言 え 、 知 的 障 害 一 人 ひ と り と向 き 合 っ て 本 人 を 知 る こ と の 重 要 性 が 指 摘 され る 。 dさ ん は 、 「 み ん な で 仕 事 が で き る こ と が 楽 しい 。」 と答 え て い る が 、 一 緒 に 働 く他 の 障 害 者(同. 僚)と. の 関 係 に 困 難 を 抱 い て い る様 子 も伺 え た 。 し か し、 そ れ を職 員 に. 伝 え る こ と は 無 い と答 え て い た 。 そ れ は 、dさ. 22. ん が も う一 っ の 困 っ て い る こ と と して.

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