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情報数学の基礎教育に関する考察

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Academic year: 2021

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Title

情報数学の基礎教育に関する考察

Author(s)

髙橋 昌也

Citation

福岡工業大学研究論集 第42巻第1号  P23-P30

Issue Date

2009-9

URI

http://hdl.handle.net/11478/972

Right

Type

Departmental Bulletin Paper

Textversion

Publisher

福岡工業大学 機関リポジトリ 

FITREPO

(2)

情報数学の基礎教育に関する 察

(短期大学部情報メディア学科)

A Consideration for Fundamental Education of Discrete M athematics

Masaya T

AKAHASHI

(Department of Information and Multimedia Technology)

Abstract

We offer a wide range of information processing education at Fukuoka Institute of Technology, Junior College (FITJC,for short). Many aspects of these courses are based on mathematical theories. Accordingly,we offer a class on discrete mathematics in which the fundamental ideas of the subject are explained. In this paper,we analyze the content of lectures, the examination results and the students evaluation reports for the discrete mathematics class as taught by the author at FITJC from 2006 to 2008. We discuss the improvement of the lecture content and students evaluation, and propose future changes for further improvements.

Key words:discrete mathematics, contents of lecture, examination results, students evaluation of lectures

1. はじめに 筆者が属する福岡工業大学短期大学部(以下,本学と記 述する)は幅広く情報処理教育を実施しているが,それら の情報処理技術の多くは数学的な理論に支えられている。 そのため本学の情報メディア学科でも,特に関連の深い離 散数学の基礎的な内容を『情報数学』という科目名で,1 年前期に必修科目として開講している。 筆者は平成18年度よりこの『情報数学』という科目を担 当しており,授業内容と進め方を毎年工夫し,「学生による 授業評価」として以下の⑴⑵の結果を得た 。 ⑴ 理解度において,「理解できた」とする比率が 24.79% → 48.75% → 65.00% と毎年改善された。 ⑵ 満足度において,「満足できた」とする比率が 29.06% → 47.50% → 58.75% と毎年改善された。 本稿では,その3年間の授業内容と進め方,それらの変 の過程を報告するとともに,上記のような授業評価を得 ることができた要因を 察し,併せて今後の課題を探って いくことにする。 2. 平成18年度のレビュー 本章では科目担当初年度である平成18年度の授業の内容 と進め方,成績評価,学生の授業評価,それらについての 察について述べる。 2.1 授業内容 各週の授業計画は以下のとおりである 。 ⑴ 集合の定義と集合の効用 ⑵ 命題の定義と論理記号 ⑶ 真理値表と論理演算の 式 ⑷ 限定記号と論理的推論 ⑸ ベン図と集合の演算法 ⑹ 集合の 式による集合式の演算 ⑺ 写像の形式と合成写像 ⑻ 関係の概念と関係集合 ⑼ 基本的な関係と同値関係 ブール代数と2進法 ブール代数と論理回路 ブール代数式の簡単化Ⅰ ブール代数式の簡単化Ⅱ 定期試験 再(追)試験 テキストとして文献[2]を 用したが,適宜補足資料 を配布した。 平成21年5月29日受付

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2.2 授業の進め方 第1週の前半で2.1節で述べた13週の授業計画について 説明した後,テキストの内容に って,以下の項目につい て説明した。 集合 序論 A. 集合とは何か B. 集合の定義 C. 集合の効用 記号論理 A. 命題 B. 論理記号 C. 諸 式 D. 推論 集合論 A. 包含関係 B. 集合算 C. 諸 式 写像 A. 写像とは何か B. 写像の形式 C. 合成写像 関係 A. 関係概念と集合論 B. 基本的な関係 C. 同値関係 ブール代数 ブール代数 A. 論理演算とブール演算 B. ブール演算の応用 C. ブール演算と順序 二進法とブール代数 A. 二進法 B. 二進演算 C. 加算とブール演算 電子回路とブール代数 A. 符号化法 B. ゲート回路とブール代数 C. 回路の簡単化 テキストの記述方法や文章構成などが本学の学生にとっ てはやや難解であったため,より噛み砕いた説明を心がけ て毎回の授業を進めた。ただ,説明は板書中心で,毎週か なりの量(黒板を左端から右端へ6∼7回繰り返した)を 記述した。また90 授業の中間くらいの時間帯に5 程度 の休憩を挟みはしたが,その殆どを説明に要した。 学生の学習を促す目的で,13週の間に2回のレポート提 出を課した。提出期間は約半月程度の余裕を持たせた。 全体的な授業の進め方は,筆者が大学時代に当時の恩師 の先生方から受けたスタイルを中心としたものであった。 2.3 成績評価 定期試験を実施した。試験はテキスト,ノート,その他 の配布プリント(レポートの解答例を含む)等,すべて持 込み可で行った。また,出題した問題は前節で提出を課し た2回のレポートの問題に類似した問題である。試験結果 の素点の 布は以下の表1のとおりである。 上記の結果を見る限り,試験のみで評価した場合に合格 点を出せる学生の比率は28.81%に過ぎず,とても「学生は 十 理解できている」とは言い難い。 因みに,レポートや出席率を 慮して調整した『前期試 験終了時点』での成績評価の 布は以下の表2のとおりで あり,69.92%の学生を合格とした。 なお,2つの表で合計人数が違うのは,前期試験を欠席 した学生がいたためである。(前期試験終了時点で不可だっ た37人の学生の内,退学していった者および1人の再履修 者を除いては,再試験,再履修クラス(夏季集中講義にて 開講)を経て,単位習得することができた。) 2.4 学生の授業評価 以下の表3および4は13週の授業をすべて終了した後の 学生アンケートによる授業評価結果である 。 情報数学の基礎教育に関する 察(高橋) 表1 前期試験の素点の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 13 11.02 10∼19 8 6.78 20∼29 18 15.25 30∼39 16 13.56 40∼49 15 12.71 50∼59 14 11.86 60∼69 13 11.02 70∼79 11 9.32 80∼89 10 8.48 90∼100 0 0.00 平 点 40.15点 表2 前期成績(前期試験終了時点) 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 0 0.00 10∼19 0 0.00 20∼29 0 0.00 30∼39 0 0.00 40∼49 18 14.63 50∼59 19 15.45 60∼69 29 23.58 70∼79 22 17.89 80∼89 21 17.07 90∼100 14 11.38 24

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上記の表3を見る限り,「理解できた」とする学生の比率 は24.79%に過ぎず,筆者が学生を評価した表1の結果 (28.81%)とほぼ一致している。一方で,「理解できなかっ た」とする学生の比率は40.17%に達している点は重く受け 止める必要があろう。 また,表4を見る限り,「満足した」とする学生の比率は 29.06%に過ぎず,逆に「不満」とする学生の比率は32.48% に達しており,とても「学生はこの授業に満足している」 とは言い難い。 その他の評価の主なものとしては,22.22%の学生が「授 業内容が難しい」,8.55%の学生が「先生の熱意が感じられ ない」というのがあった。なるべく かりやすい授業を心 がけたつもりであったし,毎回汗だくになりながら授業を 行ったのであるが,独り善がりだったようである。 以上を 合すると,残念ながら平成18年度に関しては『情 報数学の学生授業評価は低い』といっていいであろう。 2.5 察 学生アンケートの前節以外の学生アンケートの評価項目 等 合すると,学生の授業評価が低かった原因は以下の4 点に集約される。 ⑴ テキストの選定ミス:この科目の代々の担当者が 用 していた文献[2]が近年の入学者の学力に合致したも のかどうか深く吟味せずに採用してしまった。 ⑵ そのため,『より噛み砕いた説明』を心がけて補足をた くさん盛り込んで授業を進めたが,その補足が寧ろ多く の学生を混乱させた。「授業内容が難しい」という学生が 22.22%もいたのはそのあたりが原因であろう。 ⑶ 授業スタイルが本学の学生と合わず,筆者の熱意が学 生に伝わらなかった。「熱意が感じられない」という学生 が8.55%いたのはそこに原因があったのであろう。 ⑷ 学生の理解能力以上の進度で進めてしまった。また, 13週の 量が多かった。 そこで,これらの反省を踏まえて,次年度以降,授業内 容や授業の進め方をかなり変えることにした。 3. 平成19年度のレビュー 本章では前年度の反省を踏まえた授業の内容と進め方の 大幅な変 点,その結果,学生の成績や授業評価がどのよ うに変化したかについて述べる。また,それらに関する 察についても述べる。 3.1 授業内容 各週の授業計画は以下のとおりである 。 ⑴ 集合とその演習Ⅰ ⑵ 集合とその演習Ⅱ ⑶ 数学的帰納法とその演習Ⅰ ⑷ 数学的帰納法とその演習Ⅱ ⑸ 関係と写像,および演習Ⅰ ⑹ 関係と写像,および演習Ⅱ ⑺ 中間試験 ⑻ 数のシステムとその演習Ⅰ ⑼ 数のシステムとその演習Ⅱ 命題論理とその演習Ⅰ 命題論理とその演習Ⅱ ブール代数とその演習Ⅰ ブール代数とその演習Ⅱ 定期試験 再(追)試験 テキストとして第7週の中間試験前までは文献[3]を 用したが,その後はより かりやすい記述がなされてい る文献[4]と,自 で作成したブール代数に関する資料 に変 した。ただし,変 したテキストについては,毎時 間コピーしたものをプリントにして配布した。 3.2 授業の進め方 前年の反省点を基に,以下の⑴∼⑷の要領で授業を進め ていった。 ⑴ 第1週:前半は3.1節で述べた13週の授業計画,出欠席 の取り扱い,成績評価方法,毎回の授業の進め方などの 説明を行った。その中で,以下の2点についても十 説 明した。 授業内容が易しすぎると感じる学生については,オ プションとして他に授業で配布しているものより高度 な問題を用意しているので,申し出れば個別に配布す る。 上記の内容は 用したテキスト の1/4程度である。 残りの部 については「大学3年次編入を えている 表3 学生の理解度 授業理解度 人数 比率(%) よく理解できた 8 6.84 まあまあ理解できた 21 17.95 どちらともいえない 41 35.04 よく理解できなかった 40 34.19 全く理解できなかった 7 5.98 表4 学生の満足度 授業満足度 人数 比率(%) 大いに満足 8 6.84 まあまあ満足 26 22.22 どちらともいえない 45 38.46 少し不満 30 25.64 大いに不満 8 6.84

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学生にとっては必要不可欠な内容なので,このテキス トを活用して自習すること。また,それらについて教 えてほしいことがあればいつでも研究室に訪ねてくる こと。それらに関する演習問題も用意しているので, 申し出れば個別に配布する。 (残念ながら上記のことを申し出てきた学生はまだいな い。) 後半はテキストの内容とは関係のない題材を利用した 『数学に関係のある』問題を配布し,解答・提出しても らった。第1週はいつもテキストを購入していない学生 が多数いるためである。 ⑵ 第2∼6週,第9∼12週:毎回授業の前半は前週(第 9週については第6週)に提出してもらった問題の解説 とその週の授業内容についての説明を行った。この時, 板書は極力控え,テキストの内容をそのまま,しかし自 のことばで説明することを心がけた。また,第6週で は第7週に実施する中間試験の実施要領についても説明 した。 毎回授業の後半はその週のテキストの内容に関する演 習問題を配布し,時間内にできるところまでを解答して もらい,提出してもらった。この時,問題はテキストの 例題・練習問題に限りなく類似したものとした。隣同士 や前後の学生と話し合いながら問題に取り組むことは OK とした。また,筆者は学生間を巡回しながら,質問が あれば応答した。また,早く正解できた学生は退出 OK とした。この演習問題は,学生の毎回の授業内容をどこ まで理解できているかを把握するためである。 ⑶ 第8週:主に中間試験の問題の解説を行い,残った時 間は第1週と同様に,テキストの内容とは関係のない題 材を利用した『数学に関係のある』問題を配布し,解答・ 提出してもらった。 ⑷ 第13週:第12週に提出してもらった問題の解説と前期 試験の実施要領について説明した。残った時間は前回ま での授業内容に関する質疑応答を行った。 第2∼6週の授業内容は以下のとおりである。 集合と写像 集合 数学的帰納法 関係と写像 数のシステム 第9∼12週の授業内容は以下のとおりである。(3.1節で 述べたテキストの変 に伴い,授業内容も当初の内容から 変 した。) 命題論理 命題と真理値 論理演算子 論理式とその真理値 真理値表 恒真式と矛盾式 論理式の同値性 論理的帰結 ブール代数 ブール代数と論理回路 論理式の標準形と論理回路の簡単化 3.3 成績評価 中間試験と定期試験を実施した。試験はテキスト,ノー ト,その他の配布プリント(レポートの解答例を含む)等, すべて持込み可で行った。 両試験の実施要領は以下のとおりである:4問出題し, その内の2問は毎週出題した演習問題と全く同じ問題,残 りの2問は毎週出題した演習問題に類似した問題である。 試験結果の素点の 布は以下の表5∼7のとおりである。 表5と6の合計人数が違うのは,中間試験を受験せず前 期試験のみ受験した学生がいたためである。 ただし,表7の平 の計算方法は以下のとおりである: 中間試験と前期試験の両方を受験した学生については2回 の合計を2で割り,どちらか一方しか受験していない学生 についてはその得点を平 点とした。 また,両方とも受験しなかった学生は合計の80人には含 まれていない。 これらの結果を見ると,試験のみで評価した場合に合格 点 を 出 せ る 学 生 の 比 率 は 中 間 試 験83.33%,前 期 試 験 56.25%,両試験の平 71.25%となり,「学生は十 理解で きている」といえる。これらの比率と前年の比率28.81%と 比較した時,授業内容や進め方(試験の実施の仕方も含め て)を工夫した成果が現れてきたのではないかと えられ る。 因みに,レポート(中間試験を欠席した学生のみ)や出 席率を 慮して調整した『前期試験終了時点』での成績評 価の 布は以下の表8のとおりであり,89.16%の学生を合 格とした。 なお,表8と表5∼7で合計人数が違うのは,表8では 中間試験と前期試験を両方とも受験しなかった学生も合計 表5 中間試験の素点の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 0 0.00 10∼19 1 1.39 20∼29 3 4.17 30∼39 2 2.78 40∼49 5 6.94 50∼59 1 1.39 60∼69 7 9.72 70∼79 8 11.11 80∼89 12 16.67 90∼100 33 45.83 平 点 78.72点 26 情報数学の基礎教育に関する 察(高橋)

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人数に含めたためである。(前期試験終了時点で不可だった 9人の学生の内,退学していった者を除いては,再試験, 再履修クラス(夏季集中講義にて開講)を経て,単位習得 することができた。) 3.4 学生の授業評価 以下の表9および10は13週の授業をすべて終了した後の 学生アンケートによる授業評価結果である 。 上記の表9を見る限り,「理解できた」とする学生の比率 は48.75%となり,過半数にもう少しに迫っている。この比 率と前年の比率24.79%を比較したとき,学生の理解度を大 幅に上昇させている。一方,「理解できなかった」とする学 生の比率は40.17%から16.25%へと大幅に減少させること ができている。 また,表10を見る限り,「満足した」とする学生の比率は 47.50%となり,これも過半数にもう少しに迫っている。こ の比率と前年の比率29.06%を比較したとき,学生の満足度 を大幅に上昇させている。一方,「不満」とする学生の比率 は32.48%から7.50%へと大幅に減少させることができて いる。 以上を 合すると,平成19年度の情報数学の学生授業評 価は『良い』というにはまだ気が引けるものの,平成18年 度と比較すると随 『上がっている』といっていいであろ う。 3.5 察 理解度,満足度がともに かながら過半数に届かなかっ た原因であるが,表5と3.2を比較してわかるとおり,中間 試験では78.72点と80点近くあった平 点が前期試験では 66.45点にまで落ち込んだことであろう。 その原因は,『命題論理とブール代数』について, 量と 残りの回数の関係で,少し授業の進度が速くなったことに あると えられる。 前半はよく かったが,後半はもう1つだった。」では 理解度,満足度を十 に感じられなかったのであろう。 表6 前期試験の素点の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 6 7.50 10∼19 1 1.25 20∼29 3 3.75 30∼39 5 6.25 40∼49 6 7.50 50∼59 14 17.50 60∼69 4 5.00 70∼79 3 3.75 80∼89 14 17.50 90∼100 24 30.00 平 点 66.45点 表8 前期成績(前期試験終了時点) 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 7 8.43 10∼19 0 0.00 20∼29 0 0.00 30∼39 1 1.20 40∼49 1 1.20 50∼59 0 0.00 60∼69 24 28.92 70∼79 10 12.05 80∼89 12 14.46 90∼100 28 33.74 表7 両試験の平 の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 4 5.00 10∼19 1 1.25 20∼29 4 5.00 30∼39 3 3.75 40∼49 6 7.50 50∼59 5 6.25 60∼69 8 10.00 70∼79 9 11.25 80∼89 14 17.50 90∼100 26 32.50 平 点 70.34点 表10 学生の満足度 授業満足度 人数 比率(%) 大いに満足 13 16.25 まあまあ満足 25 31.25 どちらともいえない 36 45.00 少し不満 6 7.50 大いに不満 0 0.00 表9 学生の理解度 授業理解度 人数 比率(%) よく理解できた 13 16.25 まあまあ理解できた 26 32.50 どちらともいえない 28 35.00 よく理解できなかった 11 13.75 全く理解できなかった 2 2.50

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そこで,これらの反省を踏まえて,前期試験の得点の落 ち込みを少なくするために,次年度以降,授業内容や授業 の進め方は変えず,文献[4]を中心にして,授業内容の 配 を工夫することにした。 4. 平成20年度のレビュー 本章では前年度の反省を踏まえて,授業内容の配 をど のように工夫したか,その結果,学生の成績や授業評価が どのように変化したかについて述べる。また,それらに関 する 察についても述べる。 4.1 授業内容 各週の授業計画は以下のとおりである 。 ⑴ 序章⑴―数の 類,演習問題― ⑵ 序章⑴―集合と写像,演習問題― ⑶ 命題論理⑴―命題と論理演算,演習問題― ⑷ 命題論理⑵―論理式と真理値表,演習問題― ⑸ 命題論理⑶ ―特殊な論理式と論理式の変形,演習問題― ⑹ 命題論理⑷―標準形と論理的帰結,演習問題― ⑺ 中間試験 ⑻ ブール代数⑴ ―論理演算とブール演算,演習問題― ⑼ ブール代数⑵―ブール演算の応用,演習問題― 集合論⑴―基礎概念と集合演算,演習問題― 集合論⑵―直積と関係,ベキ集合,演習問題― 集合論⑶―写像,演習問題― 集合論⑷―濃度,演習問題― 定期試験 再(追)試験 テキストとして文献[4]を中心に 用したが,文献[4] にはブール代数に関する記述がないので,ブール代数に関 する部 は文献[5,6]をプリントにして配布すること にした。 4.2 授業の進め方 基本的なスタンスは3.2節と同様である。ただし,『命題 論理とブール代数』についての時間配 を多くし,授業の 進度を13週通じて平成19年度の前半並みに抑えることにし た。 第2∼6週の授業内容は以下のとおりである。 数学への序章 数の 類 集合と写像 命題論理 命題と真理値 論理演算子 論理式とその真理値 真理値表 恒真式と矛盾式 論理式の同値性 論理的帰結 第9∼12週の授業内容は以下のとおりである。 ブール代数 ブール代数とは 基本となる演算 真理値表 基本的な性質 拡張論理演算 論理式の標準形 初等集合論 基本概念 基本的な集合演算 直積と関係 集合の集合 写像 濃度 4.3 成績評価 中間試験と定期試験を実施した。実施要領は3.3節と同様 である。試験結果の素点の 布は以下の表11∼13のとおり である。 表11 中間試験の素点の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 0 0.00 10∼19 0 0.00 20∼29 1 1.22 30∼39 2 2.44 40∼49 3 3.66 50∼59 4 4.88 60∼69 7 8.53 70∼79 6 7.32 80∼89 16 19.51 90∼100 43 52.44 平 点 83.61点 表12 前期試験の素点の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 0 0.00 10∼19 0 0.00 20∼29 0 0.00 30∼39 7 8.86 40∼49 2 2.53 50∼59 7 8.86 60∼69 17 21.52 70∼79 5 6.33 80∼89 23 29.11 90∼100 18 22.79 平 点 74.08点 28 情報数学の基礎教育に関する 察(高橋)

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表11と12の合計人数が違うのは,前期試験を受験せず中 間試験のみ受験した学生がいたためである。 ただし,表13の平 の計算方法は以下のとおりである: 中間試験と前期試験の両方を受験した学生については2回 の合計を2で割り,どちらか一方しか受験していない学生 についてはその得点を平 点とした。 また,両方とも受験しなかった学生は合計の82人には含 まれていない。 上記の結果を見ると,試験のみで評価した場合に合格点 を出せる学生の比率は中間試験87.80%,前期試験79.75%, 両試験の平 90.24%となり,「学生は十 理解できている」 といえる。 さらに,それぞれ昨年の83.33%,56.25%,71.25%より 4.47ポイント,23.50ポイント,18.99ポイント改善されて おり,授業内容や進め方(試験の実施の仕方も含めて)が 昨年よりさらに改善されたのではないかと えられる。 因みに,レポート(中間試験を欠席した学生のみ)や出 席率を 慮して調整した『前期試験終了時点』での成績評 価の 布は以下の表14のとおりであり,89.41%の学生を合 格とした。 なお,表14と表11∼13で合計人数が違うのは,表14では 中間試験と前期試験を両方とも受験しなかった学生も合計 人数に含めたためである。(前期試験終了時点で不可だった 9人の学生の内,退学していった者,中間試験後に休学し た学生1人を除いては,再試験,再履修クラス(夏季集中 講義にて開講)を経て,単位習得することができた。) 4.4 学生の授業評価 以下の表15および16は13週の授業をすべて終了した後の 学生アンケートによる授業評価結果である 。 表15 を見る限り,「理解できた」とする学生の比率は 65.00%となり,過半数を大幅に超えている。この比率と前 年の比率48.75%と比較したとき,学生の理解度を大幅に上 昇させている。一方,「理解できなかった」とする学生の比 率は16.25%から12.25%へと かではあるが減少させるこ とができている。 また,表16 を見る限り,「満足した」とする学生の比率 は58.75%となり,これも過半数を超えている。この比率と 前年の比率47.5%と比較したとき,学生の満足度を大幅に 上昇させている。一方,「不満」とする学生の比率は7.50% から11.25%へと かながら増加している。 以上を 合すると,平成20年度の情報数学の学生授業評 価は『良い』といっていいであろう。 4.5 察 理解度,満足度がともに過半数を超えた要因は,表11と 12を比較してわかるとおり,中間試験で83.61点であった平 点の落ち込みが前期試験でも74.08点に止まったことで あろう。 その要因は,4.2節での工夫の成果であろう。 表14 前期成績(前期試験終了時点) 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 3 3.53 10∼19 0 0.00 20∼29 0 0.00 30∼39 1 1.18 40∼49 2 2.35 50∼59 3 3.53 60∼69 16 18.82 70∼79 17 20.00 80∼89 19 22.35 90∼100 24 28.24 表15 学生の理解度 授業理解度 人数 比率(%) よく理解できた 20 25.00 まあまあ理解できた 32 40.00 どちらともいえない 18 22.50 よく理解できなかった 8 10.00 全く理解できなかった 2 2.50 表16 学生の満足度 授業満足度 人数 比率(%) 大いに満足 22 27.50 まあまあ満足 25 31.25 どちらともいえない 24 30.00 少し不満 7 8.75 大いに不満 2 2.50 表13 両試験の平 の得点 布 得点範囲 人数 比率(%) 0∼9 0 0.00 10∼19 0 0.00 20∼29 0 0.00 30∼39 2 2.44 40∼49 2 2.44 50∼59 4 4.88 60∼69 15 18.29 70∼79 15 18.29 80∼89 20 24.39 90∼100 24 29.27 平 点 78.74点

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不満」とした学生の比率が7.5%から11.25%と かに増 加したが,本学に入学してくる学生には『数学が苦手,数 学が嫌い』という者も相当数おり,そういう学生も必修科 目である情報数学を受講しているという状況を 慮すれ ば,ある程度は仕方がない数字かも知れない。しかし,少 しでも減少させる努力も必要であろう。 5. 結言 筆者は平成18年度より現在まで福岡工業大学短期大学部 情報メディア学科の『情報数学』という科目を担当してお り,授業内容と進め方を毎年工夫し,「学生による授業評価」 として以下の⑴⑵の結果を得た。 ⑴ 理解度において,「理解できた」「理解できなかった」 とする比率がそれぞれ 24.79% → 48.75% → 65.00%, 40.17% → 16.25% → 12.25% と毎年改善された。 ⑵ 満足度において,「満足である」とする比率が 29.06% → 47.50% → 58.75% と毎年改善され,「不満である」とする比率が 32.48% → 7.50% → 11.25% と概ね改善された。 その要因として以下の⑴∼⑷が挙げられる。 ⑴ 教材は『受講する学生にとってどれだけ理解し易く記 述されているか』という基準で選定し,その結果文献[4] をメインテキストとして採用できたことである。 ⑵ 授業内容をできるだけ り込んだことである。「重要な ことだから」と多くの題材を解説したとしても,学生は 『消化不良』をおこしていることが かったので,授業 内容を り込み,1つ1つをじっくり丁寧に解説するこ とにした。 ⑶ 授業の進め方では,各週の後半を演習時間にあて,自 達で問題を解く時間を作ったことである。また,その 演習問題はテキストの例題や問題と極めて類似したもの とした。正解すると早退 OK としていたため,演習問題 に じて真面目に取り組み,学習効果を上げることがで きた。 ⑷ 3.5節,4.5節では触れなかったが,中間試験を実施し たことも挙げられる。中間試験の結果により学生1人1 人の理解度を把握でき,後半の授業にフィードバックす ることができたからである。 今後の課題としては,学生の理解度,満足度をさらに上 げることであり,「不満」とした学生の比率を少しでも減少 させることである。また,学生の理解度,満足度を高める ことと,社会が求める短大卒業生の水準を高めることとの バランスをどのように取るかも今後の大きな課題であろ う。 以上,『学生の授業評価を通して授業改善を図る取り組 み』についての報告を終わる。 参 文献 1) http://bene.fit.ac.jp/portal/index.html 2) 野崎昭弘, 田中 治:『情報数学入門』初版第20刷, サイエンス社,2003. 3) 赤間世紀,玉城 朗,長田康敬:『情報数学入門』初 版第1刷,共立出版,2006. 4) 山徹:『ソフトウェアのための基礎数学』初版,工 学図書株式会社,2002. 5) http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/ boolean1.html 6) http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/ boolean2.html 7) 福岡工業大学短期大学部自己点検・評価委員会編:『平 成18年度「前期授業への取組について」アンケート集計 結果』,福岡工業大学短期大学部自己点検・評価委員会, 2006. 8) 福岡工業大学短期大学部自己点検・評価委員会編:『平 成19年度「前期授業への取組について」アンケート集計 結果』,福岡工業大学短期大学部自己点検・評価委員会, 2007. 9) 福岡工業大学短期大学部自己点検・評価委員会編:『平 成20年度「前期授業への取組について」アンケート集計 結果』,福岡工業大学短期大学部自己点検・評価委員会, 2008. 30 情報数学の基礎教育に関する 察(高橋)

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