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障害を有する児童生徒の日常生活の指導の取り組みについて : ふじざくら支援学校での実践研究より 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)障害を有する児童生徒の日常生活の指導の取り組みについて -ふじざくら支援学校での実践研究より- 金 谷. 裕 司. 細 川. 千 里. 佐 野. 美 絵. (山梨県立ふじざくら支援学校). Ⅰ.はじめに. 「日常生活の指導」は,学校での教育活動全体で指導 ※されている。本校では,その支 援方法は各担任に委ねられていることが多く,実態把握の仕方や課題解決方法は数少ない 参考文献を読んでみたり,周りの教師に相談したりとあれこれ模索している現状がある。 日常生活の指導の難しさには, ・指導内容が非常に幅広いこと。 ・生活年齢に加え,実態,障害特性によって具体的支援方法が一人一人違うこと。 ・就学段階で,確立していてほしい基本的生活習慣が身についていないこと。 ・成長していく中で「性の指導」など課題となる生活習慣が次々に現れること。 ・家庭での基本的生活習慣の重要性をなかなか理解してもらえないこと。 ・家庭の理解は得られるものの,忙しく指導が継続できないこと。 等があるであろう。我々教師は,学校教育活動により将来生きていく上で大切な力を身に つけていってほしい,と願いながら支援をしている。家庭と連携して生活リズムを確立さ せ,健康で丈夫な心身を確立させて学校より送り出したい。 本校では,日常生活の指導に関する研究を行うグループを作り,事例を通して即実践に 活かせる支援内容・方法を探ってきた。それぞれが抱える悩みや事例から研究を進め,そ の研究成果を多くの教師に伝えるように取り組んできた。そして,現在もその取り組みは 続いている。以下,「ダイエット」「排泄」「食事」に関する研究の概要を紹介する。. Ⅱ.具体的事例内容. 1.ダイエット (1)ダイエットに対する教師としての意識 我々は教育のプロである。もちろん子ども達はかわいいが,保護者とは違うプロとして の客観的な立場と意識をもち接している。ダイエット指導についても,児童生徒の喜ぶ顔 を見たいから,暴れるのが怖いから,と食事やおやつを与えすぎることはない。ダイエッ ト指導には,保護者への対応,教師としての実績や魅力・人間性,専門知識など,教師の. - 112 -.

(2) 総合的な資質が問われる。また,肥満は特別支援学校にて重要な問題であり,この問題を 解決できる教師はすべての教育的課題に対応できると言っても過言ではない。 (2)特別支援学校の肥満の児童生徒の割合と原因 表1 学部. 知的障害児と健常児・本校の肥満出現率の比較 性. 知的障害児. 健常児. 比較. 2006年度 本校(ふじざくら). (学校). 別. (a). (b). (a/b). 人数. 割合. 小学部. 男. 10.34%. 6.06%. 1.7倍. 2人/27人中. 7.4%. (小学校) 中学部 (中学校). 女. 12.43%. 5.90%. 2.1倍. 1人/10人中. 10.0%. 計. 11.03%. 5.98%. 1.8倍. 3人/37人中. 8.1%. 男. 11.30%. 7.79%. 1.5倍. 1人/15人中. 6.6%. 女. 17.22%. 7.70%. 2.5倍. 3人/11人中. 27.2%. 計. 13.34%. 7.42%. 1.8倍. 4人/26人中. 15.3%. 高等部. 男. 11.54%. 3人/25人中. 12.0%. (高等学校). 女. 14.14%. 6人/18人中. 33.3%. 計. 12.51%. 総計. 9人/43人中. 20.9%. 16人/106人中. 15.1%. 知的障害者である幼児児童生徒に対する教育を行う特別支援学校(以下 ,「知的障害支 援学校」とする)の肥満児童生徒の割合を表1に示す。特別支援学校に肥満の児童生徒が 多い原因は以下のとおりである。 ・ダウン症候群などの症候性肥満の児童生徒が在籍している。 ・肥満の弊害を理解することが難しく,基本的要求である食欲を抑制する力が弱い。 ・思春期に起こる異性を気にしての「やせたい」という気持ちが薄い。 ・運動量が少なく,消費エネルギーが低い。 ・心的エネルギーを十分に発散できず,ストレスが溜まりやすい。 (3)知的障害支援学校の食事量について ①学部・学年・障害別学校の理想のカロリー量 表2に,山梨県内の特別支援学校における学部・学年・障害別学校の理想のカロリー量 を示す。山梨県教育委員会は,特別支援学校の児童生徒用の栄養摂取標準を示していない。 ほとんどの学校が普通学校の栄養摂取量にあわせるため,その量が多いことがわかった。 ②身長・靴サイズから予測されるご飯の量(知的障害支援学校用) 山梨県甲州市では,市民3,595人の手と靴のサイズと身長の大きさを調査した結果,手 と靴のサイズは発育のものさしになることがわかり,個々のサイズと予測される「ご飯の 量」が示された。また,そのデータと先ほどの東京都教育委員会「都立盲・ろう・養護学 校児童・生徒の栄養摂取標準」を合わせた,知的障害支援学校の適正の食事量を示す(表 3参照 )。その後の調査で,ほとんどの学級で,同じクラスの児童生徒に同じ量の給食を 食べさせていることが多かった。児童生徒の体型・運動の有無など全体的に見て個々に食 事量を設定することが大事である。. - 113 -.

(3) 表2. 学部・学年・障害別学校の1食の理想のカロリー量. 本校(ふじざくら支援学校)の中学部・高等部の理想カロリーは830 Kcal ▼ 中学校・高等学校と同じ 知 的 養 護 学 校 の 小 学 部 低 学 年. 520 Kcal. 知 的 養 護 学 校 の 小 学 部 中 学 年. 570 Kcal. 知 的 養 護 学 校 の 小 学 部 高 学 年. 610 Kcal. 知 的 養 護 学 校 の 中 学 部 ・ 高 等 部. 720 Kcal. 盲. 部. 700 Kcal. ろ う 学 校 の 中 学 部 ・ 高 等 部. 790 Kcal. 学. 校. の. 中. 学. 部. ・. 高. 等. 肢体不自由養護学校(初期・中期食)の中学部・高等部. 530 Kcal. 肢体不自由養護学校(普通食)の中学部・高等部. 620 Kcal. ※東京都教育委員会「都立盲・ろう・養護学校児童・生徒の栄養摂取標準」参照:平成16年度,文部科学省の「児童又 は生徒一人一回当たりの平均栄養所要量」を元に東京都教育委員会が設定 ※一日の必要カロリーの必要摂取量を単純に3食で割ったものなので,一切間食をしない,という設定である。(文部科 学省発表). 表3. 知的障害支援学校の適正の食事量. 靴のサイズ. 21㎝. 22㎝. 23㎝. 24㎝. 25㎝. 26㎝. ご 飯 の 量. 75g. 95g. 120g. 145g. 170g. 200g. 138㎝. 144㎝. 152㎝. 159㎝. 165㎝. 171㎝. 身. 長. (4)学校・教師としての心得 学校での肥満解消の取り組みを成功させるためには,教師の意思統一が大切である。養 護教諭やダイエットグループの担当が肥満の予防や解消の必要を訴えても,担当教師が給 食指導を軽視したり ,「今日はクリスマス会だから。今日ぐらいはいいんじゃない 。」な どのなし崩し的な対応をすると成果はあがらない。肥満は健康問題である。管理職をはじ めとして全教職員が,例えば,次の枠内に示したように,意思統一を図り,保護者と協力 しながら,障害児教育の最重要課題の一つとして取り組んでいく必要がある。そのために は教師と保護者とが,日常的に児童生徒の健康と発達,将来の幸せの問題について話し合 う機会を多く持ち,学校と保護者の間に信頼関係を築き上げておくことが大切である。 先生達が気をつけること!! 1. 家庭科・生活科・生活単元学習などの授業で行う調理的内容や誕生日会などの行事的内容で ダイエットメニューを中心に考えてもらう。もしくは,量を減らす。もちろんその時は,そ の分の給食を減らす。. 2. 例えば「修学旅行だから‥‥ 」「クリスマスだから‥‥ 」「誕生日だから‥‥」という同情心 を一切なくし強い気持ちで対応する。一度崩れると今までの努力が無になる。. 3. 運動によるダイエットは非常に難しいことをまず意識する。しかし,常に身体を動かすこと を意識し,基礎代謝を上げておくことが大事。. (5)教師の指命 知的障害支援学校卒業後に久しぶりに出会った保護者が「卒業して体重が8kgも増えて. - 114 -.

(4) しまいました。学校ってありがたかったんですね 。」と言っていた。夏休み明けにスクー ルバスから降りる子ども達が太っていて唖然とすることも多い。教師は子ども達の学校生 活だけではなく,卒業後や長期休業中をも意識した教育を行っていく必要がある。このこ とをダイエット指導に置き換えてみると,子ども自身がダイエットに対して意識し実行で きること,それができない子ども達には,保護者がダイエットを意識し実践する力を育て ることが大事となる。ダイエット指導は,家庭の力に負う面が大きい。家庭でのダイエッ ト指導力をつけさせることが教師の使命である。. 2.排泄 (1)排泄指導について 「身のまわりのことが自分でできるようになってほしい 。」「せめてトイレには一人で 行けるようになってほしい 。」そんな親の願いを数多く聞いてきた。しかし,家庭では思 うように取り組めず,焦っている親や,ずっとおむつで過ごさなければならないとあきら めてしまっている親も少なくない。排泄が自立していない状況では,一緒にいる人は排泄 の失敗に気をつかったり,排泄の介助に苦労したりせねばならず,本人も不快を味わい, 行動範囲が制限されてしまう。排泄の自立をはじめ,自分でできることが多ければ,本人 にとって大きな自信となり,自分で選択・行動できる範囲も広がる。排泄の自立という課 題は,親にとっても本人にとっても重要な課題である。 (2)事例研究 排泄指導の第一歩は ,「トイレでする習慣」を身につけることである。その取り組みに ついて紹介する。 ①対象児 ・A児(小学部2年・精神遅滞 ):入学当初から登下校時のみおむつパットを付け,学 校ではパンツで過ごしていた。明確なサインはなく,時間を見計らってトイレに連れ ていった。成功するときもあったが,体調や気候,時間帯により排泄ペースが変化し, 成功したり失敗したりと不安定だった。給食後は成功が多かった。排泄技能について は,促しにより水を流すことができることもあったが,ほぼ全介助であった。 ・B児(小学部2年・精神遅滞 ):入学当時からおむつで過ごしていたが,2年生の6月 から学校ではパンツで過ごすことにした。明確なサインはなかったが,パンツを下ろ したときにトイレに連れて行くと成功することもあった。時間や落ち着きのない様子 等から判断してトイレに連れて行っていた。排泄ペースが毎日バラバラで,失敗も多 かった。排泄技能については,声をかけるとズボン・パンツの上げ下ろし,水を流す, 水道の水を出す・止める等がほぼ一人でできていた。 ②課題 長期課題:排泄の自立 短期課題:成功経験を多く重ね,トイレでの排泄習慣を身につける - 115 -.

(5) ③指導内容と手立て ・排泄記録をつけて排泄の間隔をつかむ:「 ○(成功),×(失敗),-(出なかった)」の3種 類でチェックする。教師間での共通確認のため,教室の黒板に記録表を貼り,磁石で チェックした。水分摂取や天気,運動,体調等についてもメモをした。 ・記録を参考にして時間でトイレに連れて行く:下腹の辺りを一緒に押さえ, 「トイレ」 「おしっこ」と声かけをしてから連れて行った。数分つきあって出なければその30分 ~1時間後に再チャレンジする。パンツを下ろした時や,そわそわしている時にもト イレに促した。朝の着替え後,授業と授業の間,給食前後と,できるだけ区切りの時 間にトイレに連れて行くようにし,児童の生活ペースを崩さずにスムーズに排泄の時 間を組み込んでいった。成功の確率が高い食後は必ず連れて行った。 ・結果を数値化する:トイレでの成功回数,失敗回数,連れて行ったが出なかった回数 を月ごとにまとめて,グラフに示した(図1・図2参照)。 100. 100. 80. 80. 60. 60 成功率. (%). 失敗率. 40. 成功率. (%). 失敗率. 40. でなかった率. でなかった率. 20. 20. 0. 0 6月. 7月. 図1. 9月. 11月 12月. 1月. 2月. 3月. 6月. A児:成功率の経過. 7月. 図2. 9月. 11月 12月. 1月. 2月. 3月. B児:成功率の経過. ④経過 ・A児について:12月ころより,トイレに座ると排尿しようとじっと止まったり力を入 れたりする様子が見られるようになり,徐々に明確になっていった。3月はそのよう な様子が多く見られ,成功率も大きく上がった。 ・B児について:11月ころには排泄間隔が約1時間と安定してきて,トイレに連れて行 くと排尿することが多くなった。12月ころより,トイレに座ってから排尿までの時間 が短くなった。徐々に排泄間隔が長くなり,約1時間半になった。 ⑤まとめ 課題が「成功経験を多く重ね,トイレでの排泄習慣を身につける」であったため,失敗 させないことを意識しすぎて何度もトイレに連れて行ってしまった時期があった。A児で は11月,B児では9月ごろまでの期間である。そこで,成功か失敗かという視点からもう 一度子どもを見つめ直し,排泄前後の子どもの様子や仕草をよく観察したり,これまでの 記録をもとに排泄ペースを考え直したりした。そうしていく中で,子どもへの関わり方も - 116 -.

(6) 変化していった 。「成功してほしい 。」という強い焦りの気持ちでトイレに連れて行くの ではなく ,「そろそろ出るころだね 。」と子どもを自然にトイレに促してゆったりと待て るようになった。また,毎日記録を付けたり,結果を数値化してグラフに表したことによ り,排泄指導を自分の思いこみや感覚だけで終わらせず,多数の目で評価することができ, 指導に取り組む意識を高めることができた。 A児もB児もトイレでの成功経験を重ねていく中で,徐々に「トイレで排泄する。」と いうことがわかってきたのではないかと思われる。それは,ただトイレに連れて行かれて 「ここで排泄しなさい 。」と教えられるのではなく,安心できる大人が近くにいて,言葉 や手を添えられながら成功経験を重ねていくことが大切である。 障害のある子ども達は自分から学ぶ力が弱く ,「自然に 」「そのうちに」ではできるよ うにならない。教えてもらいながら経験を重ねてできるようになっていく。時間はかかっ ても,手を添えられながら声をかけられながら少しずつ自分でできることが増えていく。 そのことを信じ,一つ一つ丁寧に教えていくことが大切である。焦らずに ,「失敗したっ て拭けばいい,着替えればいい,そこでまた快と不快を感じることができた」というくら いの気持ちで,子どもに寄り添っていきたい。そして,必ず自立できるという信念をもっ て指導していきたい。. 3.食事 (1)給食指導について 食べることは楽しい。しかし ,「食」に関する価値観は人によって違う。食事について それぞれ違う価値観をもつ教師が,食事についての指導を,障害特性や実態,発達段階の 違う児童生徒に行う場合,どのようにしていくべきなのか。教師は何を基準に,何を参考 に指導しているのだろうか。学習指導要領に,「食事」については, ・生活「基本的生活習慣」(解説p.381) ※内容としては,手洗い,配膳,食事,食後の片づけなど。. ・職業・家庭「食物(に関する基本的な知識と技能)」(解説p.494) ※家庭用食品の保管,調理,食事などに関わること。. ・自立活動の健康の保持「生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。」 ※食事や排泄などの生活習慣の形成で,日常生活の生活の中で指導することによって養うことができる。. ・日常生活の指導(いわゆる教科・領域を合わせた指導) で扱われている。これらを参考に指導目標が立てられているのであろうか。. 学校での食事は給食となる。1日3食のうちの1食,1週間で5食/21食であり,単純計算 で1/4である。学校給食の割合を考えても学校教育の中で指導しても効果がないのではな いか,とも考えられる。しかし ,「学校だけでも,学校から発信して,学校では丁寧に, 指導(支援)の場面であることを考えて」という方針で給食時間での食事指導をするのが よいのではないかと意見が出された。加えて,指導の一貫性をもつことが大切である。そ. - 117 -.

(7) れぞれの担任の個人的な考え方による指導が多いため,系統的で一貫性の指導を行うこと ができないことが多い。そこで ,「教師間で一貫性のある支援」ということを,教師間で 確認しながら校内研究を行っていきたい。 (2)小学部低学年の食事(給食)指導についての取り組み 小学部低学年グループで食事指導の一貫性をめざすための有効な手だてを探る取り組み について紹介する。 ①研究対象 小学部低学年児童17人(知的障害単一10人,肢体不自由単一1人,知的障害と肢体不自 由の重複障害6人)と小学部教師9人である。現在,17人は3クラスに分かれ(1年生5人,2 年生クラス5人,2・3年生クラス7人),それぞれの教室で食事を摂っている。教師1人に対 し,1~2人の担当で指導を行う。食事時間は12時過ぎから12時40分あるいは1時前後まで の約40分から1時間である。クラス内での担当は変えている場合もあるが,他のクラスの 児童の食事の実態は,そのクラスの担当から聞く程度である。 ②研究の目標 ・食事指導に関して,グループ(教師間)でよりよい指導目標・内容・方法を探り,有 効な手だてを探ることができるようにする。 ・共通のツール(実態把握表,指導目標一覧表など)を用いて,グループでアプローチ していく方法を経験し,実践に活かすことができる。 ③研究の実際 ・ステップ1「指導場面のビデオ撮影 」:撮影後,それぞれのクラスの食事場面を見学 しあうこととなった。指導目標や手だてに応じた指導をしているか,どんな場面を設 定しているか,道具を使用しているかなど話し合い,再確認するよい機会となった。 ・ステップ2「後期指導目標の収集 」:指導目標を見ると,さまざまな面での指導目標 があげられているように感じられたが,整理してみると文言が違うだけで目標として いることが似通っていることが分かった。それらは,小学部低学年の児童の実態でも あり,指導目標でもある。また,児童の実態の捉え方や手立てについてクラス担任間 で違っていたり,それぞれが悩んでいたりすることも明らかとなった。 ・ステップ3「食事面での実態把握(アセスメント)方法を提案」:その実態と比べて, 目標の再検討を行う。食事面での実態把握が適切かどうか,それによって指導目標を 考えていくため,アセスメントの大切さが再確認された。文献を参考に ,「道具・食 べ方・偏食・マナー・準備,片付け」という観点から,担当児童の現在の様子をチェッ ク項目にて振り返り確認することができた。主観で捉えていた食事面での児童の実態 がチェック項目により客観的に確認できる共通のツールとなった。今まで何となく実 態を捉え,指導目標を設定してきたのではないか,と教師間で話し合うことができた。 ・ステップ4「目標に応じた具体的な手だて,支援内容・方法の検討 」:再度,チェッ クしてきた項目から目標を再考することとした。今まで個別指導の「日常生活の指導」 - 118 -.

(8) の欄に,給食についての目標が書かれていない場合もあった。それらは,明記してい ないだけで各教師間では給食指導の目標や手立てを確認されているものであった。し かし今回,具体的に目標や手立てを考えて明記することで,若手教師や初めて小学部 低学年児童の担任になった教師にとっては指導目標をしっかり見据えて指導する大切 さを理解することにつながった。目標として表に出ると,必ずさまざまな形で評価を することが可能となる。それは,指導面でさらに活かされることになる。 ・ステップ5「指導目標や手だての表を作成 」:それらを今後の指導にも活かしていけ るように,表を作成することとした。目標や手立ての表を作成する過程で,小学部低 学年段階で食事面の目標の確認やここまで力をつけてほしいという姿を話し合い,共 通確認した。これまでは「小学部低学年段階で」という観点で食事指導を考えること はあまりなく,漠然とそれぞれ教師がもっていたレベルだったが,今回は文章にでき たことで指導の観点が明確になったのではないだろうか。また,実態把握を確実に行 うことは前提であるが,その実態からどのような目標を持ち指導していくかというこ とがわかりやすいように支援一例を作成した。表により,小学部低学年段階の中で系 統だった指導が意識できるようになる。目標からの支援はそれぞれ児童により異なる。 そのため,支援の一例として記入することとした。 (3)まとめ 小学部低学年グループによる食事指導目標・支援の一例表の作成にあたり,チームアプ ローチの大切さを考えされられた。多くの視点で支援を考えること,そして子ども達にとっ ても多くの目が注がれることが大切なのだと実感した。今回実践で作成した一例表は,今 後も食事指導の目標や方法の教師間の共通理解のためのツールとして活用していきたい。 「食事」の指導は生活のリズムを整えることが基本である。しかし,この基本を忘れ, 「食. 事」だけに着目していないだろうか。食事,排泄,睡眠の3つを整えることが大事である。 また,発達段階や障害特性などにも十分考慮して指導をすべきである。日常生活の指導を行. う上で,乳幼児期からの発達の経過の理解が必要なのは,食事面の成長が,身体機能やコ ミュニケーションなどの発達に強く関連しているからである。 最後に,研究を進める中で食事指導において「小学部低学年段階で身につけてほしい力」 という点を共通確認できたことが大変重要であった。技術面での力を重視するだけではな く ,「食べることが楽しい 」「おいしいと感じられる 」「学校や家庭での食事を楽しみにで きる 」「楽しいと思える食事を家族や友達,教師と一緒に『おいしいね』と食べることが できる」このような食に対する意識を育てることを大切にしていきたいと確認できた。基 本的には,おいしく楽しく食べることを好きになってもらいたい,という願いを強く持ち 指導にあたっていきたい。. - 119 -.

(9) Ⅲ.おわりに. 日常生活の指導について,有効な支援と教師間での支援体制を探ってきたが,それぞれ すばらしい支援内容や工夫が出され,それらを広め,共通確認しさらにより良い支援にす るために話し合いをもち,日々の実践に役立たせることができた。 教師間で話し合われたことをこの様にまとめることによって,それぞれの年齢や発達段 階での指導を行なうことにつながった。また,この機会を通してどのように教師間で共通 確認して行なっていくのがよいか,話し合いや実態把握をしていくのが良いかを探ってい くチームアプローチ方法も学んでいけた。さらに,家庭と連携していくためにできること として,アンケートや日々の学校での取り組みの紹介,実践結果をもとにした話し合い, 学校全体での啓発活動などにつなげていくことができた。 しかし,家庭との連携には多くの課題がある。日常生活面の食事,排泄,ダイエット等 はそれぞれの価値観,捉え方があり,それらをすぐに変えていくのは難しい。理解はして もらえても,実践に結びつくことは少ない。そういって投げ出してしまうのは簡単である が,その児童生徒が卒業後も生きがいや趣味をもち,働き,地域の人々と生活していける ように,基盤となる日常生活動作を行なえるように指導していきたい。. ※本稿で使用している「指導」という表現には支援をも含む大きな意味で使用している。. 文献. 1) 飯田雅子(1997)発達に遅れがある子どもの日常生活指導(1)食事指導編.学研. 2) 飯田雅子(1998)発達に遅れがある子どもの日常生活指導(3)排泄指導編.学研. 3) 湯汲英史・武藤英夫・田宮正子(2002)発達につまずきを持つ子と身辺自立.大揚社. 4) 自閉症教育の実践研究.2007年6月号.特集「基本的生活習慣を確かに身につける指導 のポイント.明治図書. 5) 甲州市・健康づくり推進協議会「塩山式手ばかり」食育推進マニュアル. 6) 武藤英夫(2006)できる!をめざして-発達障害をもつ子への身辺自立の指導と援 助-.かもがわ出版. 7) 文部省(2000)盲学校,聾学校及び養護学校学習指導要領解説-各教科,道徳及び特 別活動編-.東洋館出版社.. - 120 -.

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参照

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