概要 本研究では,埼玉県の 72 市区町村における訪問介護事業所の新規開設の供給余地を明らかにするととも に,供給余地に影響を及ぼす需要決定因子を明らかにした。研究の結果,人口密集地域,交通の利便性が高 い地域ほど供給余地が大きく,平均世帯人員が多い過疎地,山間部の地域ほど供給余地が小さいことが明ら かになった。訪問介護サービスの需要決定因子は高齢単身世帯数,一人当たりの課税対象所得,平均世帯人 員数,一般病院数が考えられるという結果が得られた。なお,通所介護サービスと有料老人ホームを対象と した筆者の先行研究結果と比較すると,サービス種別による供給余地の大小,需要決定因子の大きな違いは 見られない。 キーワード:訪問介護サービス,エリアマーケティング,Z スコア,供給余地 Abstract
The purpose of this study is to clarify the potential locations for new home care service establishments in 72 cities in Saitama Prefecture, and to clarify the determinants that affect the potential locations.
This research reveals that the more densely populated areas and the more convenient transportation areas have greater potential and prospects. Conversely, the more depopulated areas with large average household populations and mountainous areas have less potential and fewer prospects. The results show that the number of elderly single-person households, taxable income per person, average number of household members, and number of general hospitals can be considered as factors that determine the demand for home care services. Comparing the results of the previous study on outpatient day care services and private elderly care homes, there were no signifi cant differences in the size of potential locations and demand determinants depending on the service type.
Keywords: home care services, local marketing, Z score, potential locations
1.はじめに 1. 1 研究目的および問題意識 本研究は,埼玉県の 72 市区町村における訪問介護事業所の新規開設の供給余地(需要が期待できる地域) を明らかにするとともに,供給余地に影響を及ぼす需要決定因子を明らかにすることを目的とする。訪問介 護事業所は少ない資本金で比較的簡単に開設できるため,事業所が年々増加している。厚生労働省の「介護 1) 共栄大学 国際経営学部
Location Analysis for Home Care in Saitama Prefecture
宣 賢奎1) Hyeon-Kyu SEON
サービス施設・事業所調査の概況」によると,2000 年 10 月に 9,833 か所だった事業所が 2018 年 10 月には 3 万 5,111 か所までに増加している(約 3.6 倍増)1)。地域によっては供給過剰のエリアもあるが,まだ需要 を十分に満たしていないエリアもあると考えられる。そこで本研究では埼玉県を分析エリアとし,市区町村 別の訪問介護事業所の供給余地分析を行う。 訪問介護事業所の新規開設の際は,商圏内における高齢者人口,要介護者数,世帯構成,将来の人口動態 統計,既存の競合他社,地域住民の所得水準および購買力などを把握する必要がある。筆者は本研究にかか わる先行研究において訪問介護サービスの供給余地を探る指標として家庭内介護力指数を用いて埼玉県南部 のさいたま市や朝霞市などの人口集中地域ほど家庭内介護力指数が低く,美里町,川島町,吉見町などの県 北部の地域ほどその指数が高いことを明らかにした2)。この指数が低いほど訪問介護サービスの供給余地が 大きいことになる。しかし同研究は,家族の誰か一人でも 65 歳以上である「高齢者のいる世帯」から家族 全員が 65 歳以上である「高齢者のみの世帯」を引いて指数化した家庭内介護力のみ用いた分析にとどまっ ており,訪問介護サービスの供給余地を複眼的に探っていない。 そこで本研究では,同研究の課題を解決すべく,高齢者人口,競合事業所のみならず,要介護認定者,高 齢単身世帯,核家族世帯,課税対象所得,平均世帯人員,一般病院,地価などの医学的因子,社会経済的因 子をも用いて訪問介護サービスの供給余地と供給余地に影響を及ぼす需要決定因子を明らかにする。 筆者は本研究にかかわる先行研究として,別の研究も行っている。そのひとつは,東京圏の 251 市区町村 における有料老人ホームの新規開設の供給余地と需要決定因子を明らかにしたものである。この研究では, 都心部,都心から近い衛星都市,人口密集地域,交通の利便性が高い地域ほど供給余地が大きく,島嶼部, 過疎地,山間部の地域ほど供給余地が小さいことが明らかになった。また,有料老人ホームの需要決定因子 は一人当たりの課税対象所得,要介護認定者数,核家族世帯数,75 歳以上の高齢者人口,高齢単身世帯数, 介護保険 5 施設・事業所数が考えられるという結果が得られた3)。もうひとつの研究は,埼玉県の 72 市区 町村における通所介護事業所の新規開設の供給余地を明らかにするとともに,供給余地に影響を及ぼす需要 決定因子を明らかにした研究であり,人口密集地域,交通の利便性が高い地域ほど通所介護サービスの供給 余地が大きく,過疎地,山間部の地域ほど供給余地が小さいことが明らかになった。通所介護サービスの需 要決定因子は高齢単身世帯数,一人当たりの課税対象所得,既存の介護保険事業所数,平均世帯人員数,一 般病院数が考えられるという結果が得られている4)。 本研究のもうひとつの目的は,上記の 2 つの先行研究で明らかになった供給余地および需要決定因子と, 訪問介護サービスを対象にして行う本研究の結果とを比較検討することである。 1. 2 研究方法 埼玉県の 72 市区町村を分析対象地とし5),訪問介護サービスの需要増加変数として 75 歳以上の高齢者人 口,高齢単身世帯数,核家族世帯数,要介護認定者数,一人当たりの課税対象所得,需要減少変数として平 均世帯人員数,既存の訪問介護事業所等数,一般病院数,地価の 9 の変数を Z スコア(ゼロを基準にした 偏差値)化し6),訪問介護サービスの需要予測に基づく供給余地を明らかにする。これらの変数は,上記に 取り上げた先行研究をはじめ,筆者らのこれまでの先行研究の結果7 − 13),介護サービスの需給に影響を及 ぼす可能性が示唆された変数またはその可能性が高い変数である(表 1)。供給余地分析(エリアマーケティ ング)に用いる変数の仮説は,総じて言えば,75 歳以上の高齢者人口,高齢単身世帯,核家族世帯,要介 護認定者,一人当たりの課税対象所得が多いほど,介護サービス需要が増加し,平均世帯人員,既存の訪問 介護事業所等,一般病院が多く,地価が高いほど介護サービス需要が減少すると考えられる。ちなみに,有 料老人ホームを対象とした分析においては需要減少変数として平均世帯人員数,一般病院数,地価の他に, 持家比率と既存の介護保険 3 施設(介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養型医療施設)および 2 事業所(特定施設入居者生活介護事業所,認知症対応型共同生活介護事業所)も用いた。通所介護サービス を対象とした分析における需要増加変数および需要減少変数は本研究で用いる変数と同様である。
需要決定因子を探る方法としては,供給余地が大きい自治体と小さい自治体の変数ごとのスコアを比較す る方法と 72 市区町村の各変数のスコアを合算して変数ごとの平均スコアを求める方法で行う。その際は, 上述した本研究にかかわる筆者の 2 つの先行研究の結果と比較しながら訪問介護サービスの需要決定因子を 探る。先行研究同様,本研究は人口動態因子,医学的因子だけでなく,社会経済的因子をも用いて分析を試 みているところに特徴がある。 なお本研究は,これまでの先行研究同様,要介護認定者が住所地と同一市区町村の訪問介護事業所を利用 することを前提として行う。本研究で取り扱うデータは個人が特定されるデータではないため,研究倫理委 員会等による承認は得ていない。 変 数 予想符号 仮 説 需要増加変数 75 歳 以 上 の 高 齢 者人口 + 心身の機能が低下する後期高齢者は介護サービスを利用する可能性が高いので,介護サービス需 要(訪問介護サービスの利用,以下同様)が増加すると考えられる。 高齢単身世帯数 + 一人暮らしの高齢者は介護サービスを利用する可能性が高いので,介護サービス需要が増加する と考えられる。 核家族世帯数 + 世帯人員が少ない核家族世帯では家族の介護にかかわる家庭内生産性が低く,介護サービスを家 庭の外部に求めることになるので,介護サービス需要が増加すると考えられる。 要介護認定者数 + 要介護認定者のいる世帯は介護サービスを家庭の外部に求める可能性が高いので,介護サービス 需要が増加すると考えられる。 一人当たりの課税 対象所得 + 家計の所得が多いことは,介護サービスの購買力を高める効果が期待できるので,介護サービス 需要を増加させると考えられる。 需要減少変数 平均世帯人員数 − 家族数が十分にあれば,家庭内での介護サービスの生産性が高まる。その家族が介護に当たれば 外部に求める介護サービス需要は減少すると考えられる。 既存の訪問事業所 等数 − 既存の訪問介護,訪問入浴介護,訪問看護,訪問リハビリテーション,夜間対応型訪問介護,定 期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は新規開設の訪問介護事業所と競合関係にあるため,こ れらの事業所が多い地域では介護サービス需要が減少すると考えられる。 一般病院数 − 病院に入院する患者の多い地域では介護サービスの利用が減少すると考えられるため,病院が多 い地域では介護サービス需要が減少すると考えられる。 地価 − 事業所設置場所の地価が高いことは,事業者のコスト増加要因となるので,訪問介護事業所の設 置数が減少し,それによって介護サービス需要が減少すると考えられる。 表 1 供給余地分析(エリアマーケティング)に用いる変数およびその仮説 2.研究結果 2. 1 データの基本統計量 需要増加変数である 75 歳以上の高齢者人口は最小値が 531 人,最大値が 56,837 人,平均値は 10,640.63 人である(SD = 9,742.29)。高齢単身世帯数は最小値が 128 世帯,最大値が 22,513 世帯,平均値は 3,830.24 世 帯 で あ る(SD = 3,755.29)。 核 家 族 世 帯 数 は 最 小 値 が 573 世 帯, 最 大 値 が 141,573 世 帯, 平 均 値 は 25,278.46 世帯である(SD = 24,324.48)。要介護認定者数は最小値が 191 人,最大値が 20,520 人,平均値は 3,795.54 人である(SD = 3,580.09)。一人当たりの課税対象所得は最小値が 2,451,159 円,最大値が 4,498,348 円,平均値が 3,171,493 円であり,標準偏差(SD = 377,977.02)が最も大きい。 需要減少変数である平均世帯人員数は最小値が 2.11 人,最大値が 3.10 人,平均値が 2.54 人であり,標準 偏差(SD = 0.19)が最も小さい。既存の訪問事業所等数は最小値が 1 か所,最大値が 157 か所,平均値は 26.92 か所である(SD = 26.03)。一般病院数は最小値が 0 か所,最大値が 21 か所,平均値は 4.07 か所であ る(SD = 4.27)。最後の地価(各市区町村の標準地の 1 平米あたりの地価)は最小値が 9,653 円,最大値が 578,650 円,平均値は 135,497.61 円である(SD = 117,056.65)(表 2)。
2. 2 変数スコアの基本統計量 需要増加変数である 75 歳以上の高齢者人口の変数スコアは最小値が 1.04,最大値が 4.74,平均値は− 0.0001 である(SD = 0.9996)。高齢単身世帯数の変数スコアは最小値が− 0.99,最大値が 4.98,平均値は 0.0001 であり,標準偏差(SD = 1.0009)が最も大きい。核家族世帯数の変数スコアは最小値が− 1.02,最大値が 4.78, 平均値は− 0.0001 である(SD = 0.9996)。要介護認定者数の変数スコアは最小値が− 1.01,最大値が 4.67, 平均値は− 0.0007 である(SD = 1.0004)。一人当たりの課税対象所得の変数スコアは最小値が− 1.91,最 大値が 3.51,平均値は 0.0001 である(SD = 0.9999)。 需要減少変数である平均世帯人員数の変数スコアは最小値が− 2.95,最大値が 2.25,平均値は− 0.0003 である(SD = 1.0007)。既存の訪問事業所等数の変数スコアは最小値が− 5.00,最大値が 1.00,平均値は 0.0003 である(SD = 1.0005)。一般病院数は最小値が− 3.96,最大値が 0.95,平均値は− 0.0008 であり,標準偏 差(SD = 0.9993)が最も小さい。最後の地価の変数スコアは最小値が− 3.79,最大値が 1.08,平均値は 0.0001 である(SD = 1.0004)(表 3)。
変数名 N Min Max Mean SD
75 歳以上の高齢者人口(人) 72 -1.04 4.74 -0.0001 0.9996 高齢単身世帯数(世帯) 72 -0.99 4.98 0.0001 1.0009 核家族世帯数(世帯) 72 -1.02 4.78 -0.0001 0.9996 要介護認定者数(人) 72 -1.01 4.67 -0.0007 1.0004 一人当たりの課税対象所得(円) 72 -1.91 3.51 0.0001 0.9999 平均世帯人員数(人) 72 -2.95 2.25 -0.0003 1.0007 既存の訪問事業所等数(か所) 72 -5.00 1.00 0.0003 1.0005 一般病院数(か所) 72 -3.96 0.95 -0.0008 0.9993 地価(円) 72 -3.79 1.08 0.0001 1.0004 表 3 変数スコアの基本統計量 2. 3 訪問介護サービスの供給余地 川口市(9.98),越谷市(6.31),所沢市(5.03),草加市(4.70),上尾市(4.55),さいたま市浦和区(4.50), 川越市(4.09),さいたま市北区(3.14),さいたま市見沼区(3.09),春日部市(3.02)の順に合計スコアが高く, 都心から近い南西部,南部,さいたま保健医療圏の供給余地が大きい(表 4 および図 1)。さいたま市の 10 区のうち,7 区が上位 20 位までにランクインしており,埼玉県ではさいたま市の供給余地が相対的に大き いことがわかる。逆に,美里町(− 5.04),東秩父村(− 4.51),皆野町(− 4.17),小鹿野町(− 3.92),川 島町(− 3.61),松伏町(− 3.48),横瀬町(− 3.35),吉見町(− 3.28),神川町(− 3.24),長 町(− 3.16) など,主に都心から遠い北部,秩父,川越比企保健医療圏の自治体は供給余地が小さい(市区町村別の各変
変数名 N Min Max Mean SD
75 歳以上の高齢者人口(人) 72 531 56,837 10,640.63 9,742.29 高齢単身世帯数(世帯) 72 128 22,513 3,830.24 3,755.29 核家族世帯数(世帯) 72 573 141,573 25,278.46 24,324.48 要介護認定者数(人) 72 191 20,520 3,795.54 3,580.09 一人当たりの課税対象所得(円) 72 2,451,159 4,498,348 3,171,493 377,977.02 平均世帯人員数(人) 72 2.11 3.10 2.54 0.19 既存の訪問事業所等数(か所) 72 1 157 26.92 26.03 一般病院数(か所) 72 0 21 4.07 4.27 地価(円) 72 9,653 578,650 135,497.61 117,056.65 表 2 変数の基本統計量
数スコアは文末の【参考資料】を参照)。なお,需要増加変数は合計スコアが大きいほど供給余地が大きく, 需要減少変数は合計マイナススコアが大きいほど供給余地が小さいことを意味する。 順位 市区町村 スコア 順位 市区町村 スコア 順位 市区町村 スコア 1 川口市 9.98 25 鴻巣市 0.83 49 羽生市 -1.35 2 越谷市 6.31 26 三郷市 0.82 50 幸手市 -1.43 3 所沢市 5.03 27 和光市 0.49 51 本庄市 -1.50 4 草加市 4.70 28 さいたま市 緑区 0.43 52 秩父市 -1.77 5 上尾市 4.55 29 さいたま市西区 0.43 53 滑川町 -1.84 6 さいたま市浦和区 4.50 30 坂戸市 0.35 54 三芳町 -1.91 7 川越市 4.09 31 志木市 0.27 55 小川町 -1.97 8 さいたま市北区 3.14 32 桶川市 0.24 56 伊奈町 -2.04 9 さいたま市見沼区 3.09 33 さいたま市岩槻区 0.07 57 越生町 -2.14 10 春日部市 3.02 34 北本市 0.05 58 寄居町 -2.42 11 さいたま市南区 2.66 35 深谷市 0.04 59 嵐山町 -2.52 12 熊谷市 2.48 36 蓮田市 -0.06 60 鳩山町 -2.61 13 さいたま市中央区 2.12 37 東松山市 -0.15 61 上里町 -2.72 14 朝霞市 2.06 38 宮代町 -0.29 62 ときがわ町 -3.00 15 新座市 2.04 39 八潮市 -0.42 63 長 町 -3.16 16 久喜市 1.83 40 行田市 -0.46 64 神川町 -3.24 17 さいたま市大宮区 1.42 41 鶴ヶ島市 -0.57 65 吉見町 -3.28 18 さいたま市桜区 1.40 42 加須市 -0.61 66 横瀬町 -3.35 19 入間市 1.31 43 飯能市 -0.67 67 松伏町 -3.48 20 ふじみ野市 1.21 44 白岡市 -0.80 68 川島町 -3.61 21 狭山市 1.21 45 吉川市 -1.02 69 小鹿野町 -3.92 22 戸田市 1.12 46 日高市 -1.10 70 皆野町 -4.17 23 蕨市 1.11 47 杉戸町 -1.10 71 東秩父村 -4.51 24 富士見市 1.00 48 毛呂山町 -1.15 72 美里町 -5.04 平均合計スコア -1.53 表 4 市区町村別の合計スコア順位 図 1 埼玉県の訪問介護事業所の新規開設余地
訪問介護事業所の商圏は都市部では半径 3 キロ,町村部では半径 5 キロと言われている。上記の自治体別 の供給余地分析は訪問介護サービスの商圏を反映した分析になっていないため,訪問介護事業者の商圏に基 づく事業所展開には限界がある。この問題を解決するためには,訪問介護サービスの商圏を反映した地図の 作成が必要となる。そこで本研究では,市区町村の町丁目別の供給余地を明らかにするための手法として, 合計スコアが最も高い川口市の 4 次メッシュ(500m 四方)図を作成した。 分析の結果,本町 3 丁目(21.55),西川口 1 丁目(13.37),川口 3 丁目(13.15),芝新町(10.57),金山町(10.31), 飯塚 3 丁目(10.26),栄町 1 丁目(9.61)の順に合計スコアが高く,このエリアの供給余地が大きいことが 明らかになった。逆に,大字木曽呂(− 10.47),舟戸町(− 9.91),大字木曽呂(− 9.45),大字赤山(− 8.96), 大字赤山 2(− 8.86),大字安行原(− 8.76),領家 5 丁目(− 8.76)の順に合計スコアが低く,このエリア は訪問介護サービスの供給余地が小さい(表 5 および図 2)。この地図には川口市以外のエリアも含まれて いるが,本研究ではメッシュの代表点(真ん中)に最も近い町丁目の住所を採用したため,川口市の行政界 に跨っているメッシュの住所が川口市でないものもある。なお,これらの地図は Market Analyzer™(ver 4.6.0) で作図した。 順位 丁目 75 歳 以 上 の 高 齢者人口 スコア 高 齢 単 身世帯数 スコア 核 家 族 世帯数ス コア 要 介 護 認定者数 スコア 課 税 対 象所得ス コア 平 均 世 帯人員数 スコアマ イナス化 訪 問 事 業所等数 スコアマ イナス化 一 般 病 院数スコ アマイナ ス化 地価スコ アマイナ ス化 合計スコ ア 上位 1 0 位 1 本町 3 丁目 2.05 3.05 4.18 2.07 0.10 0.63 -3.82 6.69 6.60 21.55 2 西川口 1 丁目 1.10 3.02 1.14 1.28 -0.57 1.91 0.52 3.78 1.17 13.37 3 川口 3 丁目 0.73 1.80 2.97 1.11 0.04 0.87 -3.82 1.84 7.62 13.15 4 芝新町 0.56 1.45 1.22 0.65 -0.49 1.28 0.52 3.78 1.59 10.57 5 金山町 1.32 2.31 3.31 1.48 0.20 0.66 0.52 -0.58 1.08 10.31 6 飯塚 3 丁目 2.32 1.89 2.93 2.66 0.07 0.23 -1.65 1.36 0.45 10.26 7 栄町 1 丁目 1.38 2.03 1.96 1.55 0.00 0.86 -1.65 3.30 0.18 9.61 8 芝中田 1 丁目 1.94 2.14 1.22 2.33 -0.76 1.32 0.52 0.87 -0.26 9.33 9 西川口 1 丁目 2.62 2.18 1.20 2.33 0.07 1.16 0.52 -0.10 -0.77 9.22 10 並木 2 丁目 1.27 2.37 1.24 1.15 -0.59 1.70 -0.56 2.81 -0.26 9.13 下位 1 0 位 1 大字木曽呂 -1.57 -1.11 -1.50 -1.41 -1.39 -0.95 0.52 -1.55 -1.51 -10.47 2 舟戸町 -1.58 -1.14 -1.52 -1.41 -6.16 0.93 0.52 -1.55 2.00 -9.91 3 大字木曽呂 -1.40 -1.08 -1.38 -1.30 -0.16 0.04 -1.65 -1.07 -1.45 -9.45 4 大字赤山 -1.30 -1.05 -1.26 -1.30 0.72 -1.12 -0.56 -1.55 -1.53 -8.96 5 大字赤山 2 -1.30 -1.08 -1.40 -1.26 0.74 -1.98 0.52 -1.55 -1.55 -8.86 6 大字安行原 -1.18 -0.97 -0.76 -1.19 0.43 -1.29 -0.56 -1.55 -1.68 -8.76 7 領家 5 丁目 -1.58 -1.14 -1.53 -1.41 -6.16 5.48 0.52 -1.55 -1.39 -8.76 8 大字行衛 -1.58 -1.14 -1.53 -1.41 -6.16 5.48 0.52 -1.55 -1.37 -8.74 9 大字差間 -1.58 -1.14 -1.53 -1.41 -6.16 5.48 0.52 -1.55 -1.37 -8.74 10 大字行衛 -1.51 -1.08 -1.48 -1.41 1.08 -1.44 0.52 -1.55 -1.56 -8.44 表 5 川口市の訪問介護事業所の新規開設余地の順位(上位 10 位と下位 10 位) (注)国勢調査における 290 町丁目コードに基づく順位である。
2. 4 訪問介護サービスの需要決定因子分析 需要増加変数の 75 歳以上の高齢者人口,要介護認定者数,高齢単身世帯数,核家族世帯数の上位の自治 体は川口市,所沢市,川越市,越谷市,春日部市,熊谷市,上尾市など,一人当たりの課税対象所得の上位 の自治体はさいたま市浦和区,さいたま市大宮区,さいたま市中央区,さいたま市南区,さいたま市北区, 和光市,さいたま市緑区など,都心から近い地域,人口密集地域,交通の利便性が高い地域が多い。一方の 下位の自治体は,東秩父村,長 町,横瀬町,越生町,滑川町,美里町,ときがわ町,小鹿野町,神川町な どの過疎地や山間部の地域が多い。5 つの需要増加変数ごとのスコア順位と 9 変数の合計スコア順位の相関 関係をみると,すべての変数が有意に正相関である(表 6)。要するに,訪問介護サービスの供給余地の大 きさを示す合計スコアの順位とそれぞれの変数のスコアの順位には相関が認められるということである。 訪問介護サービスの需要を減らす需要減少変数として用いた平均世帯人員数,既存の訪問介護事業所等数, 一般病院数,地価の上位の自治体は平均世帯人員数を別にすれば交通の利便性が低い過疎地や山間部の地域 が多く,下位の自治体は都心から近い地域,人口密集地域,交通の利便性が高い地域の自治体が多い。需要 減少変数が上位の自治体はそれぞれの変数値が小さいことを意味するので,訪問介護サービスの供給余地が 大きいことになる。なお,4 つの需要減少変数ごとのスコア順位と 9 変数の合計スコア順位の間にも有意差 が見られる。 図 2 川口市の訪問介護事業所の新規開設余地
前掲の表 4 に示したように,同じ埼玉県であっても自治体によって訪問介護サービスの供給余地には大き な差がある。この差にはどのような変数が影響を及ぼしているのかを明らかにするため,ここでは供給余地 が大きい自治体と小さい自治体の変数ごとのスコアを比較する方法でその影響度を測る。分析の結果,最 上位の川口市の場合,需要増加変数の高齢単身世帯数(4.98),核家族世帯数(4.78),75 歳以上の高齢者人 口(4.74),要介護認定者数(4.67)の順にその影響度が大きく,需要減少変数は既存の訪問介護事業所等数 (− 5.00),一般病院数(− 3.49),地価(− 2.38)の順に影響度が大きいことが示された。最下位の美里町 においては,需要増加変数は課税対象所得(− 1.19),核家族世帯数(− 0.95),高齢単身世帯数(− 0.94), 75 歳以上の高齢者人口(− 0.92)の順に影響度が大きく,需要減少変数は平均世帯人員数(− 2.95),既存 の訪問介護事業所等数(0.84),一般病院数(0.95),地価(1.03)の順にその影響度が大きい。 72 市区町村の各変数のスコアを合算して変数ごとの平均スコアを求める方法による影響度分析では,需 要増加変数では一人当たりの課税対象所得(0.0001,小数点第 5 位以下は省略),高齢単身世帯数(0.0001), 核家族世帯数(− 0.0001),75 歳以上の高齢者人口(− 0.0001),要介護認定者数(− 0.0007)の順,需要 減少変数では一般病院数(− 0.0008),平均世帯人員数(− 0.0003),地価(0.0001),既存の訪問介護事業 所等数(0.0003)の順に影響度が大きいという結果が得られた。需要増加変数はスコアが大きいほど,需要 減少変数はスコアが小さいほど,影響度が大きいことを意味する。 以上のように,供給余地が大きい自治体と小さい自治体の変数ごとのスコアを比較する方法による訪問介 護サービスの需要決定因子分析では,すべての変数が需要決定因子である可能性が示唆された(前掲の表 6 参照)。72 市区町村の各変数のスコアを合算して変数ごとの平均スコアを求める方法による需要決定因子分 析では,仮設通りの符号が得られた高齢単身世帯数,一人当たりの課税対象所得,平均世帯人員数,一般病 院数がその因子である可能性が示唆された。逆に 75 歳以上の高齢者人口,核家族世帯数,要介護認定者数, 既存の訪問介護事業所等数,地価については仮説とは逆の符号が得られており,訪問介護サービスの需要決 定因子としての可能性が低いことが示された。 変 数 上位の自治体 下位の自治体 相関係数(R) 有意差(p) 需要増加変数 75 歳 以 上 の 高 齢 者 人口 川口市,所沢市,川越市,越谷市, 春日部市,上尾市,草加市 東秩父村,長 町,横瀬町,越生町, 滑川町,美里町,ときがわ町 0.953 p < .001 高齢単身世帯数 川口市,川越市,所沢市,越谷市, 春日部市,草加市,上尾市 東秩父村,美里町,横瀬町,長 町, ときがわ町,神川町,皆野町 0.952 p < .001 核家族世帯数 川口市,所沢市,川越市,越谷市, 草加市,春日部市,上尾市 東秩父村,長 町,横瀬町,皆野町, 美里町,小鹿野町,ときがわ町 0.955 p < .001 要介護認定者数 川口市,所沢市,川越市,越谷市, 春日部市,熊谷市,上尾市 東秩父村,横瀬町,長 町,滑川町, 越生町,美里町,神川町 0.956 p < .001 一人当たりの課税対 象所得 さいたま市浦和区,さいたま市大宮 区,さいたま市中央区,さいたま市 南区,さいたま市北区,和光市,さ いたま市緑区 東秩父村,小鹿野町,皆野町,神川 町,寄居町,美里町,ときがわ町 0.996 p < .001 需要減少変数 平均世帯人員数 蕨市,さいたま市大宮区,和光市, さいたま市桜区,朝霞市,戸田市, 富士見市 美里町,吉見町,川島町,東秩父村, 松伏町,小鹿野町,横瀬町 0.969 p < .001 既存の訪問介護事業 所等数 越生町,鳩山町,東秩父村,嵐山町, ときがわ町,吉見町,横瀬町 川口市,川越市,所沢市,春日部市, 越谷市,上尾市,草加市 0.796 p < .001 一般病院数 宮代町,滑川町,越生町,上里町, ときがわ町,長 町,神川町 所沢市,川越市,川口市,春日部市, 越谷市,本庄市,熊谷市 0.780 p < .001 地価 東秩父村,神川町,美里町,長 町, ときがわ町,小鹿野町,吉見町 さいたま市大宮区,川口市,さいた ま市浦和区,さいたま市南区,和光 市,志木市,蕨市 0.848 p < .001 表 6 9 変数の合計スコア順位(表 4)と 9 変数別のスコア順位との相関関係 (注)上位・下位とも 7 自治体を掲載しているが,掲載順は上位が順位の高い順,下位が順位の低い順となっている。
3.考察 3. 1 訪問介護サービスの供給余地についての考察 訪問介護サービスの供給余地分析において,川口市,越谷市,所沢市,草加市,上尾市,さいたま市,川 越市など,介護サービスの需要が期待できる人口密集地が多く,都心から近く,交通の便の良い自治体ほど 供給余地が大きいという結果が得られた。このことは,利潤最大化を目的とする介護事業者の参入・退出の 最適化行動14)に基づくと当然の結果であると考えられる。本研究の分析対象地である 72 市区町村の 1,938 か所の既存の訪問系介護事業所の立地はさいたま市の区部が 359 か所(18.5%),市部が 1,442 か所(74.4%), 町村部が 137 か所(7.1%)となっており,区部と市部に立地する訪問系介護事業所が圧倒的に多い。 先行研究で明らかになった 2,359 か所の通所系介護事業所(通所介護,通所リハビリテーション,地域密 着型通所介護,療養通所介護,認知症対応型通所介護,小規模多機能型居宅介護,看護小規模多機能型居宅 介護事業所)の立地はさいたま市の区部が 361 か所(15.3%),市部が 1,783 か所(75.6%),町村部が 215 か所(9.1%)であったので,訪問系介護事業所の立地は通所系介護事業所の立地とほぼ同様の状況である ことがわかる。ちなみに,1,408 か所の介護保険 3 施設(介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養 型医療施設)および 2 事業所(特定施設入居者生活介護事業所・認知症対応型共同生活介護事業所)の立地 は,さいたま市の区部が 274 か所(19.5%),市部が 981 か所(69.7%),町村部が 153 か所(10.9%)であっ た。施設・居住系サービスも区部と市部に立地するところが多い。 この 3 つの分析結果から言えることは,訪問系サービス,通所系サービス,施設・居住系サービスとも, サービス種別と事業所形態に関係なく,町村部に比べて区部と市部に立地する介護事業所・施設が圧倒的に 多いということである。介護事業者の参入・退出の最適化行動に鑑みると,今後の新規事業所・施設の開設 においても同様の傾向がみられると考えられる。なお,訪問介護サービスの供給余地が大きい自治体の順位 は,通所介護サービスと有料老人ホームを対象とした分析における順位と若干の相違はあるものの,大きな 違いは見られない(表 7)。このことは,サービス種別と事業所形態による供給余地の大小の違いは認めら れないということであろう。 順位 訪問介護サービス 通所介護サービス 有料老人ホーム 市区町村 スコア 市区町村 スコア 市区町村 スコア 1 川口市 9.98 川口市 10.51 川口市 10.23 2 越谷市 6.31 越谷市 5.80 所沢市 6.97 3 所沢市 5.03 草加市 5.31 越谷市 6.30 4 草加市 4.70 さいたま市浦和区 4.79 上尾市 6.15 5 上尾市 4.55 上尾市 4.64 川越市 6.07 6 さいたま市浦和区 4.50 川越市 4.49 さいたま市浦和区 5.85 7 川越市 4.09 所沢市 4.37 草加市 5.70 8 さいたま市北区 3.14 さいたま市見沼区 3.51 さいたま市南区 5.03 9 さいたま市見沼区 3.09 さいたま市南区 3.43 さいたま市北区 4.15 10 春日部市 3.02 春日部市 3.27 朝霞市 3.84 表 7 サービス種別の供給余地の順位(上位 10 位) 訪問介護事業所の商圏を反映した分析として,合計スコアが最も高い川口市の 4 次メッシュ図を作成した ところ,本町 3 丁目,西川口 1 丁目,川口 3 丁目,芝新町,金山町,飯塚 3 丁目,栄町 1 丁目の供給余地が 大きいという結果が得られた。これらのエリアは,訪問介護サービスの需要増加変数である 75 歳以上の高 齢者人口が多く(合計スコア上位 10 位のエリアの 75 歳以上の高齢者人口は,290 エリアのうち上位 76 位 以内),高齢単身世帯数が多い(同 30 位以内)だけでなく,核家族世帯数も(同 41 位以内),要介護認定者 数も多い(同 72 位以内)という地域特性をもつ。一方の訪問介護サービスの需要減少変数についてみると,
事業所開設の制約条件となる地価が高く(合計スコア上位 10 位のエリアの地価は,290 エリアのうち上位 30 位以内),競合相手となる病院・診療所数が多く(同 23 位以内),家庭内介護生産性の示す平均世帯人員 数が多い(同 43 位以内)という地域特性をもつので,本研究の仮説がほぼ立証されたことになろう。 ちなみに,筆者の先行研究の課題を解決するため15),通所介護事業所の商圏を反映した川口市の 4 次メッ シュ図を作成したところ,芝中田 2 丁目,芝新町,本町 2 丁目,元郷 4 丁目,並木 1 丁目,幸町 3 丁目,川 口 5 丁目の順に合計スコアが高く,訪問介護事業所の商圏とはやや異なるエリアの供給余地が大きいという 結果が示された。この 2 つの研究結果から言えることは,介護事業者はサービス種別に応じた商圏分析(エ リアマーケティング)に基づく事業所展開が必要になるということである。さらに言えば,従来のようなど んぶり勘定の事業所展開から脱却し,データ分析結果を踏まえたエビデンスに基づく事業所展開が肝要であ るということになる。 3. 2 訪問介護サービスの需要決定因子についての考察 前掲の表 6 に示したように,5 つの需要増加変数ごとのスコア順位と 9 変数の合計スコア順位の相関関係 はすべての変数が有意に正相関であるため,こられの変数は訪問介護サービスの需要増加変数としての可能 性が高いと考えられる。一人当たりの課税対象所得の相関係数が最も高いが,仮説に示したとおり,家計の 所得が多いことは,介護サービスの購買力を高める効果が期待できるので,訪問介護サービスの需要を増加 させると考えられる。4 つの需要減少変数もすべて仮説通りの結果が得られたので,訪問介護サービスの需 要決定因子の可能性が高いと考えられる。 ただ,72 市区町村の各変数のスコアを合算して変数ごとの平均スコアを求める方法による需要決定因子 分析では,75 歳以上の高齢者人口,核家族世帯数,要介護認定者数,既存の訪問介護事業所等数,地価に ついては仮説とは逆の符号が得られており,需要決定因子としての可能性が低いことが示された。これらの 変数の仮説が支持されなかった理由についての考察が求められるところである。しかし現時点では,これら の変数については筆者の仮説を覆すような論理的な理由が見当たらないため,分析手法の再考を含め,これ らについての考察は別稿に譲る。 訪問介護サービスの需要決定因子について,筆者の先行研究と比較してみると,通所介護サービスの需要 決定因子との間に大きな違いはない。一方の有料老人ホームの需要決定因子との間には違いが見られ,訪問 介護サービスと通所介護サービスの需要決定因子としての可能性が低い 75 歳以上の高齢者人口,核家族世 帯数,要介護認定者数も需要決定因子としての可能性が高いことが示されている16)。この 3 つの研究結果 から言えることは,サービス種別によってその需要決定因子が若干異なるということである(表 8)。したがっ て,先行研究でも論じたが,介護サービスの需要決定因子を明らかにする際には,種別の異なる複数の介護 サービスを対象とした分析を行い,多面的,複合的にその因子を探る必要がある。 訪問介護サービス 通所介護サービス 有料老人ホーム ・高齢単身世帯数 ・一人当たりの課税対象所得 ・平均世帯人員数 ・一般病院数 ・高齢単身世帯数 ・一人当たりの課税対象所得 ・平均世帯人員数 ・一般病院数 ・既存の介護保険事業所数 ・高齢単身世帯数 ・一人当たりの課税対象所得 ・75 歳以上の高齢者人口 ・核家族世帯数 ・要介護認定者数 ・介護保険 5 施設・事業所数 表 8 各変数のスコアを合算して変数ごとの平均スコアを求める方法によるサービス種別の需要決定因子 本研究では,訪問介護サービスの供給余地が大きい自治体と小さい自治体の変数ごとのスコアを比較する 方法と 72 市区町村の各変数のスコアを合算して変数ごとの平均スコアを求める方法によって訪問介護サー ビスの需要決定因子を探ったが,両方法の共通の需要決定因子は高齢単身世帯数,一人当たりの課税対象
所得,平均世帯人員数,一般病院数であることが明らかになった。75 歳以上の高齢者人口,核家族世帯数, 要介護認定者数,既存の訪問介護事業所等数,地価は,72 市区町村の各変数のスコアを合算して変数ごと の平均スコアを求める方法においては,訪問介護サービスの需要決定因子としての可能性が低いことが示さ れた。このことは,需要決定因子を探る際,分析手法を異にすると,結果が異なってくることを示唆してく れる。したがって,介護サービスの需要決定因子を十分に明らかにするためには,分析手法を十分に検討す る必要もあろう。 4.おわりに 本研究では,埼玉県の 72 市区町村における訪問介護事業所の新規開設の供給余地を明らかにするととも に,供給余地に影響を及ぼす需要決定因子を明らかにした。研究の結果,新規開設の供給余地は人口密集地 域,交通の利便性が高い地域ほど供給余地が大きく,過疎地,山間部の地域ほど供給余地が小さいことが明 らかになった。 社会通念上の結果が得られたが,本研究では人口が多く,交通アクセスの良いところの供給余地が必ずし も大きいとは言えないという新たな知見が得られている。表 4 に示したとおり,さいたま市の区部より供給 余地の大きい市部がある一方,市部より合計スコアが大きく,供給余地の大きい町村部もある。一般的に, 人口集積地であり交通の便が良いところは供給余地が大きいと考えられるが,本研究では必ずしもそうでは ない可能性があることが示唆された。その要因を探るさらなる研究が必要となろう。 一方,訪問介護サービスの需要決定因子は高齢単身世帯数,一人当たりの課税対象所得,平均世帯人員数, 一般病院数が考えられるという結果が得られた。仮説が支持されなかった 75 歳以上の高齢者人口,核家族 世帯数,要介護認定者数,既存の訪問介護事業所等数,地価についてはさらなる検証が必要である。 本研究では,訪問介護事業所の商圏を反映した地図として,川口市の 4 次メッシュ図を作成したが,訪問 介護事業者の戦略的な事業所展開を可能にするためには,市区町村別のマクロデータではなく町丁目別のミ クロレベルでのデータ分析が重要である。町丁目レベルのデータ分析はより実用的なエリアマーケティング を可能にし,訪問介護事業者の戦略的な事業所展開だけでなく,訪問介護サービスが不足がちな地域のサー ビス基盤整備に大きく貢献すると思われる。 最後の研究課題は,医学的因子,社会経済的因子だけでなく,政策的因子も考慮した分析を行う必要があ るということである。訪問介護事業所の供給過多地域においては,地方自治体による需給調整が行われる可 能性がある。したがって,今後は各市区町村が 3 年ごとに策定する「市町村介護保険事業計画」に示される 訪問介護事業所の整備見込み量も分析データに加える必要がある。昨今大きな問題になっている介護職員不 足は事業所開設の制約要因であることも検討する必要があろう。差し当たり,転職の可能性のある介護施 設・事業所の介護職員数だけでなく,潜在的な介護人材も把握してデータに加える方法が考えられる。今後 の介護サービス需要を大きく左右すると考えられる将来の人口動態統計を分析データに追加することも課題 である。 介護事業所の新規開設の際は,開設の候補地の高齢者人口や要介護認定者数などの人口動態統計だけが注 目されがちである。しかし筆者の先行研究と本研究に基づくと,介護事業所の供給余地を明らかにする際に は,そのエリア内の住民の世帯構成,所得水準,競合事業所などの社会経済的因子,政府や自治体の意思が 反映される政策的因子をも合わせて考える必要がある。 謝辞 本研究は,平成 30 年度日本学術振興会科学研究費助成事業〔基盤研究 C〕(研究代表者:宣賢奎,課題番 号:18K02115)に基づく研究成果の一部である。記して感謝する次第である。
注および引用文献 1) 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/24-22-2c. html,2020 年 9 月 30 日に閲覧)。事業所の増減は厚生労働省の「介護給付費等実態調査月報」でも確 認できるが(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/45-1b.html,2020 年 10 月 18 日閲覧),2017 年度から の介護予防訪問介護と介護予防通所介護の市町村への移行に伴い,訪問介護事業所の母数が変わったた め,2018 年度からは事業所数の増減の単純比較ができなくなった。ちなみに,比較可能な 2002 年 5 月 (この時点から施設・事業所数を公表)と 2020 年 5 月(本稿執筆時点の最新データ)時点の訪問介護事 業所の増減をみると(介護保険制度施行当初からあった訪問介護事業所のみで比較),2002 年 5 月の 1 万 4,500 か所が 2020 年 5 月には 3 万 3,351 か所へと増加している(約 2.3 倍増)。 2) 宣賢奎・市川史祥「介護サービスのエリアマーケティング」『共栄大学研究論集』第 15 号,pp.1-15,2017 年。 3) 宣賢奎「東京圏における有料老人ホームの供給余地分析」『共栄大学研究論集』第 18 号,pp.1-18,2020 年。 4) 宣賢奎「埼玉県における通所介護サービスのエリアマーケティング」『介護福祉研究』28(1),2021 年(原 著論文として掲載決定)。 5) 本研究の分析対象地域として埼玉県を選定した理由は,筆者のこれまでの研究フィールドが首都圏,な かでも埼玉県であったことが専らの理由であるが,今後高齢者の増加率が全国で最も高い埼玉県(2020 年の 65 歳以上人口の増加率は 2010 年対比 32.1%)〔国立社会保障・人口問題研究所「都道府県別将来 推計人口(2013 年 3 月推計)」と総務省「2010 年国勢調査」の人口をもとに推計(データ出所は「都道 府県データランキング」http://uub.jp/pdr/j/fs.html)〕は研究対象地域として適切であると考える。本 研究は本学が立地している埼玉県に対する地域貢献の一環として取り組んでいるのも理由のひとつで ある。 6) 分析に複数のデータ指標を用いる場合,何人,何世帯,何万円など,単位と桁が異なる指標同士を比較 するのは困難である。この場合の有効な統計手法がデータの Z スコア(指標の偏差値)化である。ち なみに,Z スコアは変数の平均を標準偏差で割って求める。 7) 大日康史「介護保険の市場分析」『季刊社会保障研究』36(3),pp.338-352,2000 年。 8) 大日康史「公的介護保険下の介護事業者の分析」『病院管理』38(4),pp.275-282,2001 年。 9) 佐藤秀紀・中嶋和夫「在宅老人福祉サービス実施状況の市町村間格差に関連する社会的要因の分析」『社 会福祉学』40(1),pp.1-19,1999 年。 10) 宣賢奎「首都圏における介護サービス供給の地域格差と要因分析」『共栄大学研究論集』第 13 号,pp.1-23,2015 年。 11) 宣賢奎「東京圏における介護サービスの需給決定要因分析」『介護福祉研究』26(1),pp.1-9,2019 年。 12) 東野定律・筒井孝子・大夛賀政昭ほか「介護保険実施状況における自治体格差を規定する要因に関する 研究」『介護経営』6(1),pp.78-90,2011 年。 13) 吉田裕人・佐藤豊信・星野敏「中山間農業地域における農家の在宅介護サービス需要とその要因」『農 林業問題研究』141,pp.205-208,2001 年。 14) 清水雅彦・宮川幸三『参入・退出と多角化の経済分析』慶応義塾大学出版会,2003 年。 15) 筆者は先行研究(「埼玉県における通所介護サービスのエリアマーケティング」『介護福祉研究』28(1), 2021 年)において,研究課題のひとつとして「通所介護事業所の全国平均の指定距離商圏(送迎範囲) は半径 5㎞(小規模通所介護事業所は半径 2㎞)であるといわれているので,通所介護事業者の戦略的 な事業所展開を可能にするためには,市区町村別のマクロデータではなく町丁目別のミクロレベルでの データ分析が必要である」と論じたところである。 16) ただし,筆者の先行研究である「東京圏における有料老人ホームの供給余地分析」『共栄大学研究論集』 第 18 号,pp.1-18,2020 年における分析対象地は東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の 1 都 3 県) の 251 市区町村であったため,埼玉県の 72 市区町村のみを分析対象とした訪問介護サービスおよび通
所介護サービスの分析結果との単純比較はできない。念のため,埼玉県の 72 市区町村のみを対象とし た分析によると,有料老人ホームの需要決定因子としての可能性が示されていた 75 歳以上の高齢者人 口,核家族世帯数,要介護認定者数,介護保険 5 施設・事業所数はその可能性が低くなる。このことは, 分析対象地域を変えると,介護サービスの需要決定因子が異なってくる可能性を示唆している。したがっ て,介護サービスの需要決定因子を十分に明らかにするためには,サービス種別のみならず,分析対象 地域も十分に検討する必要があろう。 (統計名の五十音順) 利用統計一覧 発行主体 統計名 時点 主な利用データ 厚生労働省 介護給付費等実態調査月報 2002 年 および 2020 年 訪問介護事業所 厚生労働省 介護サービス施設・事業所調査 2000 年 および 2018 年 訪問介護事業所 厚生労働省 「介護サービス情報公表システ ム」の介護事業所 2020 年 既存の訪問介護事業所等(訪問介護,訪問入浴介護,訪問看護,訪問リハ ビリテーション,夜間対応型訪問介護,定期巡回・随時対応型訪問介護看 護事業所) 総務省 平成 27 年国勢調査人口等基本 集計 2015 年 75 歳以上の高齢者人口,高齢単身世帯数,核家族世帯数,平均世帯人員数, 持家比率 厚生労働省 平成 28 年医療施設動態調査 2016 年 一般病院数 厚生労働省 平成 28 年度介護保険事業状況 報告(年報) 2017 年 要介護認定者数 ※ 東京都以外の 3 県の区別および埼玉県大里広域市町村圏組合(熊谷市, 深谷市,寄居町)の要介護認定者数は筆者独自の調査結果 総務省 平成 29 年度市町村税課税状況 等の調 2017 年 一人当たりの課税対象所得 国土交通省 平成 30 年地価公示 2018 年 地価 ※ 「平成 30 年地価公示」にない市町村の地価は各都道府県「都道府県基準 地標準価格」を採用
順位 市区町村 75 歳 以 上の高齢 者人口ス コア 高 齢 単 身世帯数 スコア 核 家 族 世帯数ス コア 要 介 護 認定者数 スコア 課 税 対 象所得ス コア 平 均 世 帯人員数 スコアマ イナス化 訪 問 事 業所等数 スコアマ イナス化 一 般 病 院数スコ アマイナ ス化 地価スコ アマイナ ス化 合計スコ ア 1 川口市 4.74 4.98 4.78 4.67 0.68 1.00 -5.00 -3.49 -2.38 9.98 2 越谷市 2.29 2.20 2.45 1.97 0.50 0.36 -1.58 -1.62 -0.27 6.31 3 所沢市 2.68 2.49 2.57 2.93 0.81 1.09 -2.42 -3.96 -1.17 5.03 4 草加市 1.35 1.46 1.45 1.23 0.32 1.09 -1.23 -0.45 -0.53 4.70 5 上尾市 1.38 1.31 1.41 1.27 0.30 0.41 -1.35 0.02 -0.20 4.55 6 さいたま市浦和区 0.42 0.73 0.61 0.55 3.51 1.27 -0.23 0.02 -2.36 4.50 7 川越市 2.66 2.57 2.54 2.61 0.39 0.71 -2.85 -3.73 -0.82 4.09 8 さいたま市北区 0.31 0.46 0.43 0.37 1.49 1.15 -0.43 0.25 -0.89 3.14 9 さいたま市見沼区 0.82 0.66 0.68 0.80 0.50 0.40 -1.00 0.25 -0.02 3.09 10 春日部市 1.56 1.54 1.44 1.59 -0.27 0.41 -1.69 -1.62 0.07 3.02 11 さいたま市南区 0.41 0.60 0.86 0.47 1.91 1.21 -1.00 0.48 -2.28 2.66 12 熊谷市 1.31 0.97 0.92 1.54 0.00 -0.21 -1.12 -1.39 0.45 2.48 13 さいたま市中央区 -0.15 -0.08 0.01 -0.06 2.09 1.25 -0.27 0.48 -1.16 2.12 14 朝霞市 0.07 0.29 0.37 0.09 1.25 1.32 -0.27 0.25 -1.32 2.06 15 新座市 0.63 0.73 0.72 0.75 0.52 0.69 -0.27 -0.45 -1.26 2.04 16 久喜市 0.60 0.40 0.56 0.63 0.07 -0.19 -0.27 -0.45 0.48 1.83 17 さいたま市大宮区 0.16 0.54 0.10 0.23 2.53 2.13 -0.27 -0.22 -3.79 1.42 18 さいたま市桜区 -0.19 -0.02 -0.06 -0.22 0.19 1.48 0.19 0.25 -0.23 1.40 19 入間市 0.54 0.47 0.58 0.64 0.02 0.14 -0.39 -0.69 0.00 1.31 20 ふじみ野市 0.18 0.27 0.15 0.04 0.71 0.63 -0.20 0.25 -0.82 1.21 21 狭山市 0.75 0.64 0.60 0.60 -0.14 0.45 -0.50 -1.15 -0.02 1.21 22 戸田市 -0.14 0.08 0.29 -0.12 1.27 1.32 -0.35 -0.22 -1.01 1.12 23 蕨市 -0.30 -0.03 -0.33 -0.28 0.51 2.25 0.38 0.25 -1.35 1.11 24 富士見市 0.05 0.23 0.08 0.09 0.46 1.32 0.07 -0.22 -1.06 1.00 25 鴻巣市 0.23 0.08 0.21 0.13 -0.01 -0.42 -0.08 0.25 0.44 0.83 26 三郷市 0.20 0.47 0.41 0.31 0.13 0.38 -0.43 -0.45 -0.21 0.82 27 和光市 -0.49 -0.36 -0.23 -0.67 1.47 1.85 0.30 0.25 -1.63 0.49 28 さいたま市 緑区 0.05 -0.01 0.19 0.09 1.29 -0.41 -0.31 0.25 -0.70 0.43 29 さいたま市西区 0.01 -0.15 -0.12 0.01 0.10 -0.16 0.27 0.25 0.22 0.43 30 坂戸市 -0.04 0.12 0.00 -0.07 -0.18 0.90 -0.27 -0.22 0.11 0.35 31 志木市 -0.33 -0.29 -0.25 -0.36 1.23 0.88 0.34 0.48 -1.43 0.27 32 桶川市 -0.20 -0.31 -0.23 -0.19 0.15 -0.19 0.53 0.48 0.19 0.24 33 さいたま市岩槻区 0.28 0.18 0.08 0.32 -0.28 -0.08 -0.39 -0.22 0.18 0.07 34 北本市 -0.27 -0.28 -0.30 -0.34 -0.06 0.16 0.50 0.48 0.15 0.05 35 深谷市 0.61 0.23 0.34 0.75 -0.39 -0.80 -0.50 -0.92 0.73 0.04 36 蓮田市 -0.30 -0.42 -0.36 -0.31 0.43 0.00 0.23 0.25 0.43 -0.06 37 東松山市 -0.10 -0.09 -0.12 -0.07 -0.25 0.45 -0.12 -0.22 0.37 -0.15 38 宮代町 -0.65 -0.68 -0.70 -0.64 -0.41 0.46 0.73 0.95 0.66 -0.29 39 八潮市 -0.28 -0.26 -0.18 -0.34 0.17 0.62 0.50 0.25 -0.89 -0.42 40 行田市 -0.07 -0.20 -0.23 -0.08 -0.54 -0.56 -0.04 0.48 0.79 -0.46 41 鶴ヶ島市 -0.46 -0.43 -0.28 -0.48 0.13 0.48 0.27 0.48 -0.28 -0.57 42 加須市 0.21 -0.11 0.05 0.18 -0.60 -1.02 -0.16 0.02 0.82 -0.61 43 飯能市 -0.05 -0.14 -0.21 -0.11 -0.16 0.00 0.11 -0.22 0.10 -0.67 44 白岡市 -0.51 -0.63 -0.50 -0.55 0.98 -0.76 0.46 0.25 0.46 -0.80 45 吉川市 -0.53 -0.53 -0.33 -0.50 0.36 -0.89 0.42 0.72 0.27 -1.02 46 日高市 -0.45 -0.42 -0.44 -0.48 -0.38 -0.06 0.50 0.02 0.60 -1.10 47 杉戸町 -0.57 -0.60 -0.56 -0.56 -0.38 -0.42 0.61 0.72 0.66 -1.10 48 毛呂山町 -0.64 -0.61 -0.70 -0.73 -0.90 0.77 0.69 0.25 0.70 -1.15 49 羽生市 -0.40 -0.51 -0.54 -0.41 -0.56 -0.80 0.53 0.48 0.85 -1.35 50 幸手市 -0.45 -0.42 -0.49 -0.49 -0.67 -0.06 0.69 -0.22 0.68 -1.43 51 本庄市 -0.08 -0.09 -0.31 -0.08 -0.36 0.16 -0.08 -1.39 0.73 -1.50 【参考資料】埼玉県の市区町村別の各変数スコア(合計スコア順位別)
順位 市区町村 75 歳 以 上の高齢 者人口ス コア 高 齢 単 身世帯数 スコア 核 家 族 世帯数ス コア 要 介 護 認定者数 スコア 課 税 対 象所得ス コア 平 均 世 帯人員数 スコアマ イナス化 訪 問 事 業所等数 スコアマ イナス化 一 般 病 院数スコ アマイナ ス化 地価スコ アマイナ ス化 合計スコ ア 52 秩父市 -0.04 -0.19 -0.44 -0.06 -1.07 -0.54 0.27 -0.22 0.53 -1.77 53 滑川町 -0.92 -0.89 -0.87 -0.92 0.00 -0.75 0.84 0.95 0.70 -1.84 54 三芳町 -0.62 -0.66 -0.64 -0.70 0.44 -0.75 0.77 0.25 -0.01 -1.91 55 小川町 -0.62 -0.66 -0.72 -0.59 -0.86 -0.29 0.69 0.25 0.83 -1.97 56 伊奈町 -0.71 -0.75 -0.57 -0.68 0.24 -0.63 0.61 0.02 0.43 -2.04 57 越生町 -0.93 -0.88 -0.92 -0.92 -1.05 -0.24 1.00 0.95 0.84 -2.14 58 寄居町 -0.62 -0.64 -0.71 -0.58 -1.22 -0.49 0.50 0.48 0.85 -2.42 59 嵐山町 -0.86 -0.83 -0.87 -0.84 -0.88 -0.48 0.92 0.48 0.84 -2.52 60 鳩山町 -0.86 -0.88 -0.88 -0.90 -0.82 -0.84 0.96 0.72 0.89 -2.61 61 上里町 -0.77 -0.77 -0.74 -0.80 -1.11 -0.95 0.61 0.95 0.86 -2.72 62 ときがわ町 -0.91 -0.91 -0.93 -0.89 -1.18 -1.03 0.92 0.95 0.97 -3.00 63 長 町 -0.96 -0.93 -0.97 -0.94 -0.98 -1.18 0.84 0.95 1.00 -3.16 64 神川町 -0.91 -0.89 -0.92 -0.91 -1.50 -0.98 0.88 0.95 1.04 -3.24 65 吉見町 -0.85 -0.88 -0.85 -0.85 -0.90 -1.74 0.92 0.95 0.91 -3.28 66 横瀬町 -0.95 -0.93 -0.96 -0.94 -1.09 -1.21 0.92 0.95 0.87 -3.35 67 松伏町 -0.78 -0.79 -0.73 -0.80 -0.67 -1.41 0.80 0.25 0.63 -3.48 68 川島町 -0.82 -0.86 -0.85 -0.80 -0.96 -1.74 0.84 0.72 0.85 -3.61 69 小鹿野町 -0.86 -0.87 -0.93 -0.84 -1.69 -1.24 0.84 0.72 0.95 -3.92 70 皆野町 -0.91 -0.89 -0.95 -0.88 -1.53 -1.19 0.84 0.48 0.85 -4.17 71 東秩父村 -1.04 -0.99 -1.02 -1.01 -1.91 -1.55 0.96 0.95 1.08 -4.51 72 美里町 -0.92 -0.94 -0.95 -0.92 -1.19 -2.95 0.84 0.95 1.03 -5.04