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人体に学ぶ

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Academic year: 2021

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人 体 に 学 ぶ

岡山大学名誉教授

   高 橋 照 男

 環境管理センター設立20周年,おめでとうございます。この間のご関係の皆様のご努力にご苦労様と申 し上げたい。  私は3年前の春,岡山大学を定年で退官,現在,川崎医療福祉大学・医療技術学部で基礎工学を担当し ています。医療系の図書・資料で人体のしくみを学び,工学との接点を模索・思考しながら,一方では, 古代からの人類の物作りの歴史(科学技術史)を勘案して,それらを基幹とした基礎工学・その他の講義 をしています。  工学者として人体からは学ぶことが多いように思います。血液が心臓の拍動(ポンプ作用)で体内を循 環している事は,まだ顕微鏡がない,毛細血管の存在も知られていない,拡大鏡しか利用できなかった頃, 英国の医学者W.Harvey(1578−1657)が解剖・実験・推理によって発見(1628)しました。近代科学の 祖と言われるG.Galilei(1564−1642)とほとんど同時代,1.Newton(1642−1726)の少し前のことです。さ らに熱・蒸気・鉄を利用する工業化社会が始まる産業革命,J,Watt(1736−1819)の出現はまだだいぶ後 のことになります。  心臓の左心室から送り出された血液は大動脈・動脈を経て各種臓器に達し,細動脈を通り,毛細血管で 周囲の組織液と物質交換を行い(動脈系),細静脈を経て静脈に集まり,大静脈を通って右心房に戻る (静脈系)。次いで,右心室に移り拍出され,肺動脈を通り肺毛細1血管に入る。そこで血液は呼吸によっ て肺胞内に取り入れられる0,を吸収,CO、を放出し,肺静脈を通って左心室に至る。0,を吸収した血液 は左心房から左心室に移り,再び体循環を繰り返す。  このように血液循環は肺で吸収した0,や消化器で吸収した栄養分,ビタミン類などを体内の各器官や 組織の細胞に供給する。そして各細胞から内呼吸の産物であるCO、を肺に,その他の代謝物を腎臓に輸 送する。さらに血液は熱を運び,体温調節の役目もします。  人体の生命活動・血液循環と地球上の人類の社会活動・リサイクル化社会を対比すると,人体は動脈系 と静脈系が実によく平衡・機能して循環している。それに引換え人間が生存する現代社会は,資源一加工・ 生産一流通・消費一廃棄・再利用・再資源化システムがまだ確立されていない。動脈系に相当する生産技 術は多くの分野に分かれ,高度な発達を遂げ物質文明を築いてきた。しかし,静脈系と言われる廃棄・再 利用・再資源化技術は著しく遅れていると言わねばなるまい。今後静脈系技術が格段の発展をすることを 望みたい。そして,適切なリサイクルを促進する環境行政がとられ,できるだけ早くリサイクル化社会に 移行することを期待しています。  10年前,センターの「10年の歩み」に当時センター長として「大学の環境保全施設は廃棄物処理業務・ 環境科学教育・研究の3つの機能を持つことが不可欠で,大学の環境保全に対する取り組みの姿勢によっ て図示の3つの円の大きさが変わり,その形によって特色を表すことができる」旨のことを述べました。 現状はどうなのか詳しいことは知り得ませんが,幸いセンターは大学内の廃棄物の実体を把握できる唯一

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の機関ですから,学内の関係諸分野あるいは他大学の環境保全施設等と協力して,静脈系の科学技術の発

達に貢献し,再利用・再資源化技術の進展に寄与されることを望んでいます。

 最近感じていることの一端を述べさせていただきました。センターの今後一層の充実・発展を心から望

んでいます。

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