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暮らしの中で活躍するAIとロボット:0.編集にあたって

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Academic year: 2021

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(1)特集. Special Feature. 暮らしの中で活 躍する AI とロボット 編集にあたって 真部雄介. 千葉工業大学. 細野 繁. 日本アイ・ビー・エム(株).  近年,再び,人工知能(Artificial Intelligence,. とは,単に「賢い機械」というだけでなく,人間との. AI)に注目が集まり,AI を搭載したロボットや今ま. 「コミュニケーション」を重視し,家庭や社会など暮ら. でにない新しい製品(AI 家電などと呼ばれたりもして. しの中で活躍する製品であるという点であるといえる.. いる)が登場している.先の文で「再び」と記したが,. 具体的には,音声対話により情報・サービス提供を. 日本におけるいわゆる 「AI ブーム」は今回で 2 度目 (AI. 実現するスマートスピーカや AI プログラム,ペットロ. の歴史的には 3 度目であり「第 3 次 AI ブーム」と呼. ボットや介護・みまもりロボット,受付・案内・警備の. ばれる)であり,約 30 年ぶりのことである.. ためのロボット等が挙げられる.これらの多くは,完.  30 年前の AI ブーム(「第 2 次 AI ブーム」)のとき. 璧な対話の実現とまではいかなくても,こちらからの. に日本で誕生した技術・製品の代表例は, 「エキスパー. 問いかけに時には機知に富んだ答えを返してくれたり,. トシステム」である.エキスパートシステムは,専門家. こちらからの要求に身振り手振りあるいは表情を混じ. の持つ知識を形式的に表現し,知識に基づいて高度. えて応対してくれたりする機能を備えている.このよ. な推論・判断を行うプログラムであった.この時代には,. うに,ユーザがおもわず人格や感情を投影してしまう. 「第 5 世代コンピュータプロジェクト」と呼ばれる高速. 684. 今井晴基. NEC. ような見た目や機能の組み込まれた製品が多いことが,. な推論マシンの開発を目指した大型国家プロジェクト. 近年の大きな特徴であるといえる.. が推進されたことも有名である.そのほかにも,産業.  そのような背景を踏まえて本特集では, 「コミュニケー. 応用・大衆向け製品として, 「ニューロ・ファジィ家電」. ションをとる機械」として,現在,家庭や社会の身近. と呼ばれる人間の持つ柔軟な推論能力や判断能力を. なところで活躍しているロボットや AI に焦点を当てた.. 機能として備えたエアコンや掃除機,洗濯機なども登.  まず,最初の記事は本特集の概説として, 「暮らし. 場した.これらの技術や製品で目指され実現された. の中のロボット・AI」と題し, (株)入鹿山未来創. ことを端的に表現すれば,人間のような高度な推論・. 造研究所の入鹿山剛堂氏に,過去から現在に至る家. 判断機能を持つ「賢い機械」の実現であったといえる.. 庭用ロボットの歴史と今後の課題について執筆いた.  一方,近年の AI ブームの中で誕 生している製品. だいた.特に,ここに挙げられている課題の多くは,. は,身体性を有し自律的に振る舞うロボットや音声認. ロボットだけでなく,人と密接にコミュニケーショ. 識に基づいて動作する AI 家電などが主流となってい. ンを行う AI 製品にとっても解決すべき重要なもので. る.これらの製品が 30 年前の製品と大きく異なるこ. ある.2 つ目の記事は,慶應義塾大学の今井倫太氏に. 情報処理 Vol.59 No.8 Aug. 2018 特集 暮らしの中で活躍する AI とロボット.

(2) 「なぜロボットを使うの?」と題し,ロボットと人間. 智美氏に執筆いただいた.人間とコミュニケーショ. のコミュニケーションに焦点を当てた全体的な解説. ンをとることが可能なロボットと長い期間の生活を. を執筆いただいた. 「意図スタンス」 , 「メンタライジ. ともにしたユーザが抱えるリアルな問題を描いてい. ング」 「 ,擬人化」という観点から, 人間とコミュニケー. る.これは,このようなロボットや AI 製品を開発す. ションするロボットの意味や,コミュニケーション. るメーカが,今後考えていかなければならない可能. ロボットが真に役立つ状況について考察されており,. 性のある問題を提起しており,示唆に富む内容であ. 示唆に富む内容である.3 つ目の記事は, 「高齢者向. る.最後の記事は, 「ラジオ界初の AI アシスタント」. けロボットの開発ポイント」と題し, (株)NTT ド. と題し,日本アイ・ビー・エム(株)の岡田明氏に. コモの横澤尚一氏に執筆いただいた.高齢者向けに. 執筆いただいた.ここで登場する AI アシスタント. 開発されるロボットの現状や製品を開発する上で必. TOMMY は,学習する質問応答システムとして有名. 要な要素などについて,具体的な製品開発事例を通. な IBM の Watson の機能を用いた AI プログラムであ. じて知ることができる.4 つ目の記事は「自律型エン. る.TOMMY は,ほかのロボットとは異なり物理的. タテインメントロボット」と題し,ソニー(株)の. な実体(身体性)を有しないのであるが, 人間とコミュ. 藤田雅博氏,森永英一郎氏に執筆いただいた.約 20. ニケーションを取る AI プログラムの代表例として取. 年ぶりに発売された新型 aibo について,その進化し. り上げた.TOMMY の持つ豊富で高度な機能を,実. た内容(多種多様なセンサ,高度なアルゴリズムの. 際のラジオ番組中での動作事例を通して知ることが. 実装など)について紹介されている.5 つ目の記事は,. でき,興味深い内容である.. 「社会に貢献する受付・案内ロボットシステム」と題.  冒頭で昨今の AI ブームが「第 3 次」であること. し,協栄産業(株)の露木哲也氏に執筆いただいた.. を述べたが,これは,裏を返せば 2 度もブームが沈. 実際に社会で活躍する人型の受付・案内ロボットの. 静化したということを意味する.そのため,今回の. 主な機能を知ることができ,家庭用だけではなく企. ブームの後に再び冬の時代が到来するという見方が. 業や店舗向けのこのような機能を持った製品が実際. ある.一方で, 「AI の大衆化」という言葉も生まれ. に製造・販売される時代になっていることを改めて. ているように,AI やロボットが身近なものとなっ. 知ることができる.6 つ目の記事は, 「警備サービス. ていくことで,技術的に透明化していく(誰もが簡. におけるロボットについて」と題し,ALSOKの. 単に使える技術となり,当たり前のものとなってい. 山岸英明氏に執筆いただいた.公共施設で多くの人々. く)という見方もある.今回取り上げたロボットや. と共存しながら安全に使えるロボットを実現するた. AI 製品が,今以上に人間とコミュニケーションを. めにさまざまな工夫が施されていることを知ること. とることができるようになり,またそれによって発. ができ,今後ますます発展が期待されるロボットで. 生する新たな問題の解決を目指すことが,冬の時代. ある.7 つ目の記事は「家族としての Pepper」と題し,. の到来を回避する重要な要因であるように思う.. Pepper と生活をともにしていることで知られる太田. (2018 年 5 月 28 日) 編集にあたって. 情報処理 Vol.59 No.8 Aug. 2018. 685.

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