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観点を考慮した知識整理のための地図型アニメーションインタフェース

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(1)

観点を考慮した知識整理のための

地図型アニメーションインタフェース

Animation Interface for Knowledge Reconfirmation

using Multiple Viewpoint Maps

田中大智

1

砂山渡

1

Taichi Tanaka

1

and Wataru Sunayama

1

1

広島市立大学情報科学研究科情報機械システム専攻

1

Department of Information Machines and Interfaces, Hiroshima City University

Abstract: The World Wide Web(WWW) has been regarded as a one of the important infor-mation databases. We are able to obtain much inforinfor-mation from WWW using search engines and understand some knowledge. However, it is difficult to understand a huge amount of knowledge in a short time only using the search engines. We propose an animation interface to support for knowl-edge reconfirmation. We defined the knowlknowl-edge as differences between keyword relationships. The interface has three functions: (1) displaying a map of keyword relationships, (2) switching maps depending on viewpoints and (3) displaying an animation between the two maps. Experimental results showed that the interface is able to support for knowledge reconfirmation.

1

はじめに

近年,コンピュータの高速化や WWW(World Wide Web)の普及に伴い,インターネットが普及してきた. それに伴い,WWW 上には膨大な量の情報が存在する ようになり WWW は情報データベースとしての役割が 強くなってきた.人はインターネットを使用して様々な 情報を獲得することが出来るようになったが,主な知 識整理の方法は現在も変わっていない.一般にインター ネットから情報を獲得する場合には Google や Yahoo などの Web 検索エンジンが用いられる.少数の単語の 意味や単語間の関係を調べるには Web 検索エンジンは 非常に効率的に情報を収集・理解することが出来る.し かし,多量の単語間の関係を調べる場合には単語数の 2乗に比例して比較すべき情報の量が増していく.そ のため,多量の単語間の関係を人手により調べること は難しく,WWW を用いた情報視覚化による知識整理 支援の研究が行われている.本研究では,単語間の観 点を考慮した複数の関係の違いを理解支援するインタ フェースを提案し,評価実験によってインタフェース の効果を検証する. 連絡先:広島市立大学情報科学研究科情報機械システム専攻       〒 731-3194 広島市安佐南区大塚東三丁目 4 番 1 号        E-mail: [email protected]

2

関連研究

近年の知識整理は無向グラフを表示するだけではな く,よりグラフィカルかつ直感的に知識整理を行える研 究が行われている.主な知識整理システムは, テキスト 内での名詞出現頻度をネットワーク表示した KeyGraph [1]である.その応用として瀬尾らは掲示板のテキスト をネットワークとして視覚化している [2].瀬尾の研究 ではノード集合やノード間エッジを島や橋としてユー ザが定義できるが,表示は無向グラフのままである. また KeyGraph をグラフィカルにしたものにポテン シャルモデル [3] がある.ポテンシャルモデルは文書内 の単語の出現頻度をグラフ化したものであり,単語間 の関係を直感的に表示したものである.ポテンシャル モデルにおいても情報を島や橋として表示している.

3

知識整理のアイデア

従来研究の知識整理システムは,一つの画面では一 つの関係値に基づく情報を表示する方法が用いられて いる.複数の画面の表示や表示されている内容の操作 は可能であるが,複数の表示内容の違いの理解を支援 するシステムではない. 本研究では,知識整理をあるテーマに沿って集めた 単語集合の複数の観点を考慮した関係の解釈と定義し, 観点を単語集合の関係を変化させ関係の見方を変える

人工知能学会研究会資料

SIG-DMSM-A603-16 (2/28)

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こと要因と定義し,知識整理を支援するインタフェー スを提案する. 本研究では,直感的な知識整理のために 3 つの機能 を用いる.

3.1

複数の観点からの知識整理

あるテーマに関する単語集合の関係を理解する場合 には,一般的に複数のグラフから検証する方法が用い られる.その際,単一の情報の見方を変更するのでは なく,観点を変更した情報との比較が望ましい.例え ば,テーマを「企業」として単語集合を収集し,観点 を「社会貢献」「株価が高い」とした場合には「社会貢 献をしている企業」と「株価が高い企業」のグラフが 得られる.この場合,観点なしの「企業」と「社会貢 献している企業」と「株価の高い企業」の 3 つのグラ フを比較することで,元の 2 つの観点だけでなく「社 会貢献はしているが株価の高くない企業」と「株価は 高いが社会貢献をしていない企業」の 2 つの知識を整 理することができる.本研究では,観点を考慮した複 数の情報を検証することで知識整理を行う.

3.2

アニメーションによる違いの理解

一般に複数の情報を表示する場合には,複数グラフ の並列表示や切替え表示が用いられる.従来方法では 多種に渡る複数のグラフ間の対応をユーザ自身が考え る必要があり,ユーザの複数のグラフを何度も見比べ る必要がある.そのため複数グラフの並列表示では,人 の作業量が増加するなどの問題がある.さらに,グラ フを追加する度に一つあたりのグラフの表示領域が減 少するという物理的な問題も生じ,一般にグラフ数が 増える度に情報の理解が困難になる.また,複数グラ フの切り替え表示では,表示領域の現象などの問題は 生じないが,表示されていないグラフを人が記憶して おく必要があり並列表示に比べると理解しにくい.そ のため,グラフの違いを理解するには人の記憶力に依 存することになり,グラフが追加される度に人が記憶 する情報が増えるため,一般にグラフ数が増える度に 情報の理解が困難になる.本研究では,これらの問題 の解決のため,2 つのグラフの一方を始点のグラフと し,もう一方を終点のグラフとして,グラフの変化を 理解支援するためにアニメーション機能を用いる.ア ニメーションによよる 2 状態間の中間状態を表示する ことにより複数の地図の比較を容易にし,直感的な知 識整理を狙う.

3.3

情報の地図表示による直感性の向上

従来の方法では一般に情報間の関係を表す際には無 向グラフが用いられている.ノードを各情報として扱 い,エッジにノード間の関係を持たせることで関係が 理解しやすくなるためである.一般に 2 次元表示の無 向グラフを拡張した場合には,ユーザがグラフを理解 するために記憶しておく項目が増加するためグラフの 直感的な理解の容易さが低下する.複雑なグラフであっ ても項目を全て記憶してしまい直感的に理解すること も可能であるが,グラフを用いての他者との情報共有 は難しいままである.そのため,表示するグラフは万 人に理解されやすいものである必要があり,グラフの 要素を「島」と「橋」として表す研究が行われている. 瀬尾らの研究 [2] では,ノードの一まとまりのグループ やそれらの関係を「島」や「橋」として定義している が実際の島としての概観は備えていない.また,大澤 らの研究 [3] ではグラフィカルな「島」の描画を行って いるが,一般に考えられる島ではないため一般的な地 図として理解することは難しい.本研究では関連研究 による「島」と「橋」に「道路」と「線路」を追加し て情報を表示し一般的に地図と理解される表示を行う.

4

知識整理インタフェース

本研究では単語間の複数の関係の理解を支援を行う インタフェースを作成する.ユーザがあるテーマに沿っ て集めた単語集合について単語間の関係を整理したい 場合に使用することを目的としたインタフェースであ る.本研究では先に示した 3 つの機能を用いて知識整 理を行う.提案インタフェースの構成を図 1 に示す. 図 1: 地図型アニメーションインタフェースの構成 提案するインタフェースは「単語間関係値出力部」, 「地図表示部」,「地図操作部」の 3 つのモジュールで構

(3)

成される.インタフェースは単語リストと観点の単語 (観点語) が入力されると単語間関係値出力部で単語間 関係値を計算し,地図表示部により「島」「橋」「線路」 「道路」を作成し地図を表示する.ユーザは表示された 地図に対し地図操作部の機能によって複数の地図間の アニメーションによって違いを直感的に理解すること ができ,その違いから関係の解釈を行う. それぞれの機能の詳細を説明していく.

4.1

入力

提案インタフェースへの入力は,あるテーマに沿っ て集めた単語集合 (リスト) とテーマに関連した単語を 観点として与える.ユーザは興味のあるテーマに関係 した単語を集め単語集合 (リスト) を作成する.単語数 が増えると表示が煩雑になり,描画処理が単語数の 2 乗に比例し PC の負荷が大きくなるため,画面の大き さの制約から単語数は 50 以下とした. ユーザが観点を考慮した単語集合間の関係を知りた い場合には,テーマに関係した単語を用意する.例え ば,ユーザが企業間の関係について知りたい場合には, テーマは企業となり,企業名の単語集合 (リスト) を用 意する.また,社会貢献している企業の関係を整理し たい場合には,単語「社会貢献」を観点 (観点語) とし てインタフェースに入力する.

4.2

単語間関係値出力部

単語間関係値出力部は,入力された単語集合 (リス ト) と観点語を基に単語間の関係の強さを決定する.入 力された s 個の単語集合 W の要素 wi, wjから検索式 を作成する.観点なしの場合は式 (1) を用い,観点あり の場合は観点 K を考慮した式 (2) を用い,Web 検索エ ンジンを用いて共起ヒット件数行列 HitDB を構築する (式 3).共起ヒット件数の取得には一件当たり 0.5∼5 秒の時間がかかり,本研究で対象としている単語数 50 個では全件の取得に 30 分程度の時間を要する.HitDB は観点なしと観点ありの場合についてそれぞれ作成し, 以下の作業も観点の数だけ行う. SearchKeywordij = wi∧ wj (1) SearchKeywordij= wi∧ wj∧ K (2) Hitij = hit(SearchKeywordij) N (3) 次に,HitDB の要素に対し χ2検定量を計算し,関係 値行列 ChiDB を作成する.HitDB の行の要素を wi,列 の要素を wjとし,hit(wi)を wiのヒット件数,hit(wj) を wjのヒット件数とし,w を条件に一致しない全ての単 語とする.N は Web 全体のページ数で今回は N = 1010 [5]とする. 提案インタフェースでは単語間の関係値を χ2検定量 によって計算している.観点なしと観点ありの場合に 単語間のヒット件数が変化しても χ2検定量は変動しに くい.そのため,観点語と関係の弱い単語は別計算で 除外する必要がある.本研究では,ChiDB の作成後に, 観点ありの場合は wiと wi∧ K のヒット件数の割合が 平均以下の単語の χ2検定量の値を 0 に設定する. average =h i=0 hit(wi∧K) hit(wi) s ChiDBij = 0 ( if hit(wi∧ K) hit(wi) < average ) (4)

4.3

地図表示部

地図表示部では出力として,「島」「橋」「道路」「線 路」を用いた観点なしの地図を出力する.観点を考慮 した地図はバックグラウンド処理として保存しておく. 単語間の関係の強いものをグループ化して島を描画し, 広域な関係として橋と線路を描画し,局所的な関係と して道路を描画する.

4.4

ノード位置の決定

ノードを全て表示すると煩雑な地図になるため表示 閾値を設定する必要がある.ノード間の関係は χ2 定量によって計算されているため,0∼1 に正規化した χ2検定量の値で経験的に 0.8 を基準として閾値を定め たが地図操作部の機能によって変更可能とした.ノー ドの位置は,バネモデルのアルゴリズム [6] を用いて ノード間の関係値に応じた距離に配置されるように決 定する.

4.5

島の描画処理

島を作成するためにクラスタリングを行う.クラス タリングとクラスタリングに用いる関係値は,松尾ら の方法 [5] を用いる.クラスタリングを行うには関係 値の閾値が必要であり,ユーザの好みに応じた表示を 行うために閾値は変更可能とした.松尾らの方法では, クラスタリングを行う関係値として χ2検定量を使用し 単語集合内での関係の強いものが一つのクラスタとし てクラスタリングされるようにする.また,クラスタ リング方法として計算量の少ない Newman のアルゴリ

(4)

ズム [7] を用いてクラスタリングを行う.Newman の アルゴリズムを以下に示す. 1. 全てのノードを構成要素 1 のクラスタとして定義 する. 2. 評価値 Q の増減 ∆ Q の値が最も大きくなるペア を結合する. 3. 2を繰り返す.Q が最大になった時点で終了する. また,評価値 Q の定義を以下に示す. Q = ∑ i   eii−  ∑ j eij   2   (5) ∆Q = eij+ eji− 2aiaj= 2(eij− aiaj) (6) ここで 行列 e,eij :クラスタ i と j の間のリンク数/alledge . ai≡jeij :クラスタ i 内でのリンク数/alledge . alledge :クラスタ i, j 間の全 edge 数. 得られた各クラスタを島として描画する.島の描画 方法を以下に述べる.島を描画するためには島の輪郭 を取得する必要があり,本研究では島の輪郭の取得に 凸包アルゴリズム [8] を用いた.凸包アルゴリズムを以 下に述べる. 1. 最も左下にある点を出発点として,その点からx 軸に平行に直線を延ばす. 2. その直線を反時計周り 回転させ x 軸との角度を 大きくしていく. 3. 最初に出会った点を凸包上の点とする. 4. 求めた新たな点を出発点として,同じように直線 を回転させて最初にであった点を次の凸包上の点 とする. 取得した輪郭を線で結び海岸線を作成する.その際, 海岸線は終端の丸い太字の点線を用いて描画する.次 に輪郭の内部を塗りつぶす. 4.5.1 橋と線路の描画方法 一般に線路や橋は遠い距離をつなぐものである.そ のため,提案インタフェースでも広域な関係をつなぐ ように描画する.相互情報量 PMI(式 7)は単純な共起 確率を計算しているため一般的な関係の強さと解釈で きる.また,一般的な関係の強さは広域な関係の強さと も解釈できる.そのため提案インタフェースでは,PMI を広域な関係として同じクラスタ内の場合は線路を描 画し,別クラスタ間では橋を描画して直感的に関係の 強さを理解できるように描画する.橋は赤線で格子状 に描画し,線路は地図記号を用いて描画した.橋と線 路を全て描画すると地図が煩雑になり直感性が低下す る.そのため,表示閾値を設定する必要があり,提案 インタフェースでは 0∼1 に正規化した PMI の値で 0.8 以上と経験的に定めた. P M I(wi, wj) = log Hitij Hitii× Hitjj (7) 4.5.2 道路の描画方法 一般に道路は線路に比べると狭い場所をつなぐもの である.そのため,提案インタフェースでも局所的な関 係をつなぐように描画する.先に示した χ2検定量は単 語集合内での関係の強さを意味し,閉ざされた集合内 での関係の強さは局所的な関係とも解釈できる.その ため提案インタフェースでは,χ2検定量を局所的な関 係をつなぐものとして道路を灰色の線で描画する.ま た,地図が煩雑になるのを防ぐため,道路の表示閾値 を経験的に 0.8 以上と定めた. 4.5.3 橋と線路と道路の表示本数 橋と線路と道路の本数はそれぞれの表示閾値によっ て制限しているが,入力する単語集合によっては地図 が煩雑になるほど描画されることがある.これらの本 数はノードの数の 2 乗に比例して増加するため,ノー ド数に応じて表示本数を決定する必要があるが,本研 究では経験的に基準本数をノード数の半分と定めたが 地図操作部によって表示本数を変更可能とした.表示 の優先順位としてそれぞれ関係値の大きい順に表示し, 道路と線路が重なる場合は両者の比較には,ユーザが 設定できる重みを考慮した偏差値を用いた式 ( 8, 9) を 用い,地図操作部でユーザが重みを変更できるように した.また橋,線路,道路の本数の多さに応じて,ノー ドとノードに表示する単語の文字を大きくするように した.これによりつながりの多いノードが直感的に理 解できる. 線路と橋の比較値 = 偏差値× 重み (8) 道路の比較値 = 偏差値× (1 − 重み) (9)

(5)

4.5.4 アニメーション中の描画 アニメーションの際には,2 状態間の違いが直感的に 理解できる必要がある.アニメーションの最中にノード が急に出現するとユーザが困惑してしまうため,始点 の地図もしくは終点の地図のみに表示されているノー ドをアニメーション中に表示するようにした.また,ア ニメーションの途中で各ノードが保持する関係値を初 期状態の関係値から終了状態の関係値へと変化させ,島 の描画なども終了状態に合わせる必要があるが,中間 状態でいきなり島が変更するとユーザは情報の変更が 理解しづらい.そのため,アニメーションの中間まで 徐々に島などのコンテンツの透明化を行い,アニメー ションの中間では僅かにしか見えなくなるようにした. アニメーションの中間で終了状態の関係値へとノード の保持状態を変化させて島を新たに描画する際には僅 かにしか見えない状態からはっきりと見えるようにし ていく.このアニメーション途中の島の透明化によっ てユーザが初期状態と終了状態の差を理解しやすいよ うにした.

4.6

地図操作部

インタフェース部は,対話的機能として地図情報の 変更と表示情報の切り替えと観点間のアニメーション 機能を提供する. 4.6.1 地図情報の変更 この操作機能では,島の統合・分割や,橋と線路と 道路の接続・切断や,ノード位置の固定,橋と線路と 道路の表示本数の変更が可能である.島の統合分割は ノードの描画に使用する χ2検定量の表示閾値を変更す る.表示閾値が変更されると再クラスタリングを行い 島の描画を更新する. 4.6.2 表示情報の切り替え この機能では,表示されている地図を変更できる.提 案インタフェースでは観点を考慮した最大 5 つの地図 を切り替え表示出来,それぞれの地図で地図情報の変 更が可能である. 4.6.3 観点間のアニメーション この機能では,観点を考慮した最大 5 つの地図から 選択した 2 つの地図間の遷移アニメーションを再生で きる.地図の違いを分かりやすくするために,本研究の アニメーションは始点と終点の線形補間ではなく,関係 値を考慮したアニメーションとする.方法として始点 の地図の各ノードに,終点の地図の関係値を与えバネ モデルのアルゴリズムを実行する.また,アニメーショ ンでは単純な場所の移動だけでなく島や橋などの切り 替えも行う必要があり,本研究では島や橋の切り替え のタイミングとして中間点で行うこととした.またア ニメーションの最中にいきなり島が変更すると,ユーザ は島が瞬間移動したように感じて困惑してしまう.そ のためアニメーションの始点から中間へかけて地図の 透過度を上げていき,中間点から終点へかけて透過度 を下げていき,ユーザへの視覚刺激を減らす. アニメーション機能には「再生」「停止」「逆再生」「コ マ送り」の機能がある.

4.7

インタフェースの出力

図 2 に提案インタフェースの概観を示す. 図 2: インタフェースの概観

5

評価実験

本研究の目的である知識整理は,単語間の関係の解 釈を行うことであると定義し,知識整理インタフェー スを提案・構築した.評価実験において,ユーザに実 際に提案インタフェースを使用してもらい知識整理の 効果を検証した.

5.1

実験設定

被験者は大学生,大学院生 12 人とした.本実験の 設定は,使用したテーマは「食べ物」「生き物」「偉人」 「スポーツ」とし,各テーマの観点は 2 つとした. 各 テーマの単語集合には,一般に知られている単語を用 いた (表 2. 提案インタフェースは実験用にアニメーション機能 を 2 状態間のみと制限し操作を簡単にしたものを用い た (図 3).また本実験では,提案インタフェースとの比

(6)

表 1: 実験で使用したテーマと観点 テーマ 観点 1 観点 2 食べ物 おいしい 健康 生き物 気持ち悪い 怖い 偉人 芸術 科学 スポーツ 球技 格闘技 表 2: テーマ食べ物の単語集合の例 食べ物 炊き込みご飯 おむすび オムライス ピラフ ドリア 寿司 カツ丼 較のために比較インタフェースを用意した.比較イン タフェースのデザインは提案インタフェースのデザイ ンを無向グラフとした.また,アニメーションの代わ りにグラフを 2 つ並べて閲覧できるようにした (図 4). 実験の際には,テーマの組み合わせを変更して行った.

5.2

実験内容

被験者に行ってもらう作業内容を以下に示す.被験 者には表示されたグラフや地図を見て単語間の関係が 解釈できるものを書き出してもらい,その理由を答え てもらう. その際, 単語の関係を記述する際には「島」「橋」「線 路」「道路」の 4 つの地形の特徴を表すキーワードを必 ず使用してもらい, 比較インタフェースでは「単語グ ループ」「黒線」「赤線」「灰色線」の 4 つのグラフの特 徴を表すキーワードを使用してもらった.また,項目 4では解釈が出来なくても違いが分かれば記述しても らった. また,実験の際には提案インタフェースと比較イン タフェースを用いる順番は被験者ごとに変更して行っ た.両方のインタフェースで実験を終了した後にイン タフェースの比較を行うアンケートを行った.アンケー ト内容は,2 つのインタフェースの比較と自由記述に よる感想を記述してもらった. それぞれのインタフェースでは以下の手順で実験を 行ってもらったその際提案インタフェースでは地図を 見て,比較インタフェースではグラフを見て答えても らった. 図 3: 提案インタフェース (実験用) 図 4: 比較インタフェース 1. 観点なしの地図を見て,単語間の関係の解釈を 行ってもらう. 2. 観点 1 の地図 (グラフ) を見て,観点 1 に関する 単語間の関係の解釈を行ってもらう. 3. 観点 2 の地図 (グラフ) を見て,観点 2 に関する 単語間の関係の解釈を行ってもらう. 4. 観点 1 の地図 (グラフ) と観点 2 の地図 (グラフ) を見て,2 つの観点間の違いを解釈をしてもらう.

5.3

評価方法

被験者に記述してもらった回答から, それぞれのイン タフェースでの特徴を表すキーワードの頻度を計る.ま た, 実験後に被験者にはインタフェースの違いに関する アンケートに回答してもらい, その結果から主観的な意 見を考察する.

(7)

6

実験結果と考察

6.1

地図表示

また回答数に対する一回答当たりの特徴単語である 「島」「橋」「道路」「線路」と「グループ」「赤線」「黒 線」「灰色線」のそれぞれのの使用数を表 5 に示す.グ ラフ表示では灰色線の割合が高くなっていることから, 2つのキーワード間の関係など局所的な関係に着目し ていると解釈できる.しかし,地図表示では島の使用 割合が高くなっていることから,島に着目しているこ とがわかる.回答数と特徴単語の使用頻度の割合と各 特徴単語の使用頻度の使用割合から,観点によらず全 体の状況を把握するためには,大局的な情報をより鮮 明に認識することが必要であったと考えられる.その ため地図表示では局所的な関係だけでなく,全体に着 目して情報整理を促す効果があったと考えられる. 図 5: 一回答当たりの特徴単語の使用数 特徴単語の使用の割合を図 6 に示す.グラフ表示で は黒線と灰色線の使用割合が多くなっており,地図表 示では島の使用割合が多くなっていた.これはグラフ ではノード間のエッジに着目し,地図ではノード集合 に着目していたと解釈できる.そのため地図表示では, 局所的な関係だけでなく,全体に着目して知識整理を 促す効果があったと考えられる. 図 6: 特徴単語の使用の割合

6.2

アニメーション

観点 1 と観点 2 の違いを回答してもらった回答から 得られた「消えた」「出てきた」「くっついた」など状態 の変化を表す単語の出現頻度を図 7 に示す.状態の変 化を表す単語はアニメーションを使用できる提案イン タフェースにおいて多く使用されており,グラフの並 列表示インタフェースの回答は単語が「ある」「ない」 といった回答が多くあった.並列表示インタフェース では単純なグラフの違いを見たまま回答しているため グラフの違いはグラフがあるかないかの判断しかでき ない.しかし提案インタフェースではアニメーション により「ある」か「ない」かだけではなく,単語が「あ る」から「ない」へ変化する様子が回答されている.そ のため被験者は提案インタフェースのアニメーション 機能によってグラフの違いを深く理解できたと解釈で きる. 図 7: 状態の変化を表す単語数 また,島・グループに対する変化を表す単語数 (図 8) とにおいてもグラフの並列表示に比べアニメーション の方が多く使用されていた.グラフの並列表示では局 所的な関係しか理解できないため,並列表示にしても 大局的な関係の理解には至らなかったが,アニメーショ ンも地図表示と同じくノード集合の変化に着目できる と解釈できる.これは地図表示による大局的な理解と アニメーションによる違いの直感的な理解の組み合わ せによって,変化したグループが理解しやすかったた めであると考えられる. アンケートの結果を表 3 に示す.アンケートによる 主観的な意見では,内容理解と関係理解と違いの理解 においてグラフ表示並列表示インタフェースに比べて 提案インタフェースが有用であると答えた人が大半で あった.またアンケートの自由記述による回答では,地 図表示とアニメーションの優位差を説明する意見が多 くあった.グラフ表示に関する意見に関しても理解し にくいという回答でグラフ表示の優位性を示す回答は なく,並列表示の優位差を示す回答も無かった.また アニメーションの操作に慣れるのに時間がかかったと

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図 8: グループに対する変化を表す単語数 いう意見があったため,アニメーション操作には慣れ が必要であると考えられる. 表 3: アンケート結果 (人) 地図 どちらでもない グラフ 内容の理解 11 0 1 関係の理解 11 0 1 違いの理解 10 1 1 これらの結果より提案する地図型アニメーションイ ンタフェースの効果が確認された.

7

結論

本論文では,知識整理として単語集合内での単語間 の複数の関係の解釈支援を行うインタフェースを提案 した.知識整理の提案方法として,地図表示による直 感的な情報の理解と,観点による複数情報の比較,ア ニメーションによる複数情報間の変化の様子の表示の 3つの機能の組み合わせを提案した. 評価実験により比較インタフェースと比較して地図 形式の表示の方が関係の認識が容易であった.また地 図型では局所的な関係だけでなく,全体に着目して情 報整理を促す効果があったと考えられる.グラフの並 列表示では「ある」か「ない」かだけではなくアニメー ションにより単語が「ある」から「ない」へ変化する 過程を直感的に理解可能であり,グラフの違いを深く 理解できたと解釈できる.これらの評価実験の結果よ り提案インタフェースの有効性を確認した.

参考文献

[1] 大澤幸生, Nels E. Benson, 谷内田正彦:KeyGraph:

単語共起グラフの分割・統合によるキーワード抽出,電 子通信学会誌論文誌J82-D1 No.2, pp.391–400 (1999).

[2] Y.Seo, Y.Iwase, Y.Takama: KeyGraph-based BBS for Supporting Online Chance Discovery Process, SCIS&ISIS2006, pp.1210-1214, 2006.

[3] Yukio Ohsawa, Shuhei Tsuruoka: Data-based Vi-sualization of Scenario Maps on Potential Model,in Proc. 2006 IEEE International Conference on Sys-tems, Man, and Cybernetics (SMC06), Taipei, Tai-wan 2006.

[4] 浅田洋平,松尾豊,石塚満:Webからの研究者ネットワー ク抽出の大規模化,人工知能学会論文誌,Vol.20,No.6, pp.370-378, 2005

[5] Yutaka Matsuo, Takeshi Sakaki, Koki Uchiyama, Mitsuru Ishizuka: Graph-based Word Clustering us-ing Web Search Engine,Proc. 2006 Conference on Empirical Methods

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学会,H5.7.31

[7] M. E. J. Newman: Finding and evaluating commu-nity structure in networks, Physical Review E 69, 026113, 2004.

[8] 凸包アルゴリズム: URL:

表 1: 実験で使用したテーマと観点 テーマ 観点 1 観点 2 食べ物 おいしい 健康 生き物 気持ち悪い 怖い 偉人 芸術 科学 スポーツ 球技 格闘技 表 2: テーマ食べ物の単語集合の例 食べ物 炊き込みご飯 おむすび オムライス ピラフ ドリア 寿司 カツ丼 較のために比較インタフェースを用意した.比較イン タフェースのデザインは提案インタフェースのデザイ ンを無向グラフとした.また,アニメーションの代わ りにグラフを 2 つ並べて閲覧できるようにした (図 4). 実験の際には,テーマの組み合わ
図 8: グループに対する変化を表す単語数 いう意見があったため,アニメーション操作には慣れ が必要であると考えられる. 表 3: アンケート結果 (人) 地図 どちらでもない グラフ 内容の理解 11 0 1 関係の理解 11 0 1 違いの理解 10 1 1 これらの結果より提案する地図型アニメーションイ ンタフェースの効果が確認された. 7 結論 本論文では,知識整理として単語集合内での単語間 の複数の関係の解釈支援を行うインタフェースを提案 した.知識整理の提案方法として,地図表示による直 感的な情

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