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地域社会とIT:富山県の行政情報化推進施策 -電脳県庁の推進-

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Academic year: 2021

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(1)北陸支部より Column. 地域社会と IT 富山県経営企画部. 寺林 一朗 [email protected] 澤田 昌人 [email protected] 山中 英生 [email protected]. 富山県の行政情報化推進施策 −電脳県庁の推進− ■富山県の行政情報化施策の概要. ■電脳県庁の取組み.  富山県は行政の情報化を,全庁ネットワークとパソコ.  なかでも近年最も力を注いできたのが,富山県版電子. ン 1 人 1 台体制を基盤とし,この上に各種アプリケー. 自治体「電脳県庁」の構築である.これは,「電子情報. ションを展開することにより情報の共有化,事務の効率. を紙情報と同等に扱う行政」の実現を通した,. 化を実現することを目指して取り組んできた.. (1)県民から県に対する申請,届出等を原則としてオ.  ネットワークについては,平成 8 年度から本庁舎と. ンラインで行うことを可能にすることによる県民の利. すべての出先機関との間を結ぶ庁内 LAN(一般的には. 便性の向上. WAN とされる規模のものであるが)の整備を進めてき た.また,ネットワークの基盤として,全県整備された. (2)行政内部での事務処理の効率化,情報の共有によ る行政運営の効率化. ケーブルテレビ網のダークファイバを借り上げて県域情. を目的としている.. 報ハイウェイ「とやまマルチネット」を構築し,本庁⇔.  このための基盤として,富山県では,. 総合出先機関 1Gbps という高速ネットワークを低コス トで実現した.この基盤に,情報系,業務系各種ネット ワークを統合し,収容した.パソコンについても,業務 システム専用端末を原則廃止し,1 台のパソコンですべ ての業務をこなす,名実ともに 1 人 1 台体制としている.. (1)県民からの申請・届出をオンラインで受け付ける ための汎用的な申請受付システム (2)文書の収受,起案,決裁,施行・発送,保管まで を一貫して行う総合的な文書管理システム (3)各システムのユーザ(職員)情報の管理,証明書.  アプリケーションの整備にあたっては,特定のベンダ. の発行,シングルサインオン等のサービスを提供する. の技術に依存しないことを基本コンセプトとしている.. 職員認証システム. たとえば,電子掲示板,メール,ファイル共有などの情. を整備し,. 報共有もグループウェアパッケージによらず,標準的な. (4)これらのシステムと財務会計システム,給与シス. 技術により実現している.また,セキュリティの確保. テム等内部事務システムやその他の個別業務システム. にも重点を置き,早期から全クライアントおよびゲート. 間の連携を行うためのデータ交換システム. ウェイでのウイルス対策,IDS(侵入検知システム)設. を開発した.データ交換システムは,Web サービスの. 置に取り組んだほか,Web ブラウザや Web サーバには. 考えを取り入れ,システム間の柔軟なデータ連携を行う. より脆弱性の見つかりにくいソフトウェアを採用し,運. ものであり,重複する機能の共用や,汎用機も含めた既. 用基準の厳格な適用を徹底している.. 存のシステムの活用を可能とすることにより,限られた. IPSJ Magazine Vol.45 No.6 June 2004. 631.

(2) 北陸支部より Column. 地域社会と IT. 新文書管理システム 収受. 施行. 収発文書 原本保存. 起案. 決裁. 図 -1 電脳県庁全体概念図. 予算・人員のなかでの電脳県庁の構築を目指すものであ.  具体的には,従来各課で独自に要求していたシステム. る(図 -1 参照) .. 開発予算を,情報政策課が一次的にとりまとめ財政当局.  今後は,この基盤の上に電子申告や電子入札等電脳県. に対して要求するというものである.. 庁の目的実現のための各種アプリケーションシステムを.  これにより類似業務を処理するシステムの統合化,他. 順次整備していくこととなる.. のシステムへの応用が期待できるシステム(モデルシス テム) の優先など, 情報政策課の描くマスタープラン ( 「電. ■効率的なシステム開発への取組み. 脳県庁推進アクションプラン」(平成 15 年 9 月改定) ).  電脳県庁構築にあたっては,厳しい財政事情の下でシ. に則した電脳県庁づくりが可能となる.. ステム開発をより効率的に行うため,以下の観点からの.   (2)については広義には「電脳県庁」の構築そのも. 取組みを進めている.. のがこれに該当する.すなわち汎用的に利用される機能. (1)開発案件の選定. のサービスとしての提供であり,基盤システムが提供す. (2)システム開発工程. る電子申請の受付処理,ワークフロー処理等である.ま. (3)システム運用環境. た,当分の間紙媒体を利用する必要がある許可証,免状.  (1)については,情報主管課である情報政策課の政. 等の出力を一元的に行うサービスも提供している.. 策的判断により開発案件を選定できるよう,予算要求段.  このほか,とりわけ電脳県庁の基盤との連携につい. 階からの関与を行うこととしている.. て,モデルシステムとして先行開発された案件の連携仕. 632. 45 巻 6 号 情報処理 2004 年 6 月.

(3) 北陸支部より Column. 地域社会と IT. 申請汎用受付システム 申請受付. 文書管理システム. 個別業務システム 形式チェック. 文書収受. 審査 県 民 ・ 企 業 等 申 請 者. 処理依頼. 承認データ 作成. 起案文書 登録. 結果登録. 起案・決裁 処理依頼 処理依頼 (施行). 結果通知 データ交換システム 許可証・免状 等出力. 許可証 免状等. 許可証 免状等. 汎用出力サービス.      図 -2 システム間連携のイメージ. 職 員 認 証 シ ス テ ム. ■今後への展望  電脳県庁はこれまでの行政の枠組みを 職 員. 大きく変えるものである.たとえば従来の ワープロソフト等による紙媒体を前提とし た文書形式は,XML 等のデータ連携を前提 とした形式へ(すべてではないにしても) シフトしていくものと考えられる.このた め,紙に出力されることを前提として決め られていた各種の様式(レイアウト)等を 見直すことはもとより,たとえば,文書管. 理システム上の XML ドキュメントに対して必要な Web サービスを呼び出すことで業務を行うというような,従 来とまったく異なる業務の処理方法を BPR(Business. 様を,各個のシステム開発に提供することで,より効率. Process Reengineering)とともに推進する必要がある.. 的な開発が行えるようにしている..  平成 16 年 4 月から汎用受付,文書管理,個別業務の.  (3)については, サーバリソースの共有が挙げられる.. 各システム間連携が始まったが,当初予定していたシス. 具体的には,ソフトウェア構成および利用者の範囲が類. テム間の自動的でシームレスな連携の実現には,多くの. 似し,かつ業務処理のピークが重ならないといった一定. 課題が残されている.その原因の 1 つに,連携を想定. の条件を満たすシステムを,同一ハードウェア上に収容. せず自己完結的に作られたパッケージソフト利用の限界. することでハードウェアコスト,ソフトウェアコストを. がある.昨年度総務省から受託した共同アウトソーシン. 大幅に圧縮している.また,ハードウェア管理を一元的. グモデルシステム連携実証事業でも各システムの設計コ. に行うことでシステムの信頼性・安定性・安全性の向上. ンセプトの違いの克服が課題であった.. にも寄与している..  また,個別業務システムの発注では県内システム業者.  これらの取組みを総括的にみてみると,最近特に行. の裾野を広げる取組みをしているが,職員情報管理,申. 政 部 門 に お い て 脚 光 を 浴 び て い る「EA(Enterprise. 請受付,決裁,施行などを,データ交換システムを介し. Architecture) 」が,巧まずして実現されていたことが. て基盤システムの機能を利用することで実現するという. 分かる.. 概念(図 -2 参照)が十分理解されていないように思える..  今後は,組織全体としての効率的なシステム構築への.  今後は,XML データに対して,部品化された機能を. 取組みがより重要になってくるものと考えており. Web サービスとして組み合わせることで業務処理を完. ・運用保守の効率化. 結させるという電脳県庁の考え方を広く普及する場を設. ・汎用的に利用される Web サービスの充実. けるとともに,パッケージソフトの機能がインタフェー. ・ドキュメントの標準化による再利用の促進. スを明らかにした部品として提供されるよう各方面に働. 等を重点課題として,一般的な「EA」の考え方を参考に,. きかけていく必要があると考えている.. これまで進めてきた取組みを体系的に整理することとし. (平成 16 年 4 月 28 日受付). ている.. IPSJ Magazine Vol.45 No.6 June 2004. 633.

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