ま え が き
現代科学技術の 3本柱は,「エネルギー」,「物質」,「情報」である.このな かで情報に関する科学が最も新しい.情報科学という用語から思い浮かぶの は,コンピュータを用いて情報を処理し,活用する学問ということであろう. 情報科学の英語での表記は,Information Science,あるいは Computer Sci-ence and Information Processing が相当する.情報という概念は古くからあ った.一方,コンピュータの出現は,計算する道具という意味では,17世紀 のパスカル(Pascal)の歯車式の加算機(1642年)にまでさかのぼることが できる.しかし,電子計算機の第一号は,それからさらに 300年後の 1946年 に完成した ENIAC(Electronic Numerical Integrator And Calculator)であ る. 計算機は計算を目的として発展してきたが,現在では計算処理のみならず広 く情報の処理を行う目的のもとに活用されている.また通信技術の起源は, 1835年のモールス(Morse)の電信にまでさかのぼることができる.これら 計算と通信の技術は,それぞれが独立に発展してきたのであるが,20世紀後 半になって 2つの 野の科学技術が,集大成されて体系化されてきたのが情報 科学である.それで情報科学という 野はせいぜいこの 50年ほどの間に急激 に発展してきた 野といえよう.新しい領域でもあるので,情報科学が取り扱 う内容・範囲について必ずしも定まっているわけではない. この本は,初学者を対象に情報科学の概要を説明したものである.本書で は,情報科学はコンピュータを用いて情報を処理し,活用する学問であるとい う立場から,情報の特質,計算機内での情報の表現・取り扱い,計算機のハー ドウェアおよびソフトウェアシステムなどについて説明している.情報科学は 新しい 野の学問であり,また学際領域の学問でもあるので,本書で学んだこ とをきっかけにして,さらに興味を拡げて深く勉強を続けていただければ幸い です.
最後に,本書での図の作成に当たり,吉川弘子氏には全面的に協力して頂き 感謝します. 2007年 8月 著 者 ま え が き ⅳ