• 検索結果がありません。

アニリン/Aniline(62-53-3)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "アニリン/Aniline(62-53-3)"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

急性曝露ガイドライン濃度 (AEGL)

Aniline (62-53-3) アニリン Table AEGL 設定値 Aniline 62-53-3 (Final) ppm

10 min 30 min 60 min 4 hr 8 hr

AEGL 1 48 16 8 2 1 AEGL 2 72 24 12 3 1.5 AEGL 3 120 40 20 5 2.5 設定根拠(要約): アニリンは、芳香族アミンの一種であり、主に化学工業で、染料、染料中間体、ゴム加硫 促進剤、酸化防止剤、医薬品、写真用化学薬品、イソシアン酸塩、除草剤、殺黴剤の製造 において使用される。1993年のアニリンオイルの生産量は、約10億ポンドである。アニリ ンへの急性曝露による主要な影響は、赤血球中のヘモグロビンの酸化と、これによるメト ヘモグロビンの生成である。これは、吸入、経口摂取、または皮膚吸収によって起こる。 慢性曝露まや高濃度曝露では、メトヘモグロビン血症に加えて、頭痛、感覚異常、振戦、 疼痛、ナルコーシス/昏睡、不整脈などの徴侯や症状が起こり、場合によっては死亡するこ ともある。 ヒトの吸入曝露に関するデータは、信頼できるものが得られなかった。すべてのAEGL値は、 ラットをアニリンに0、10、30、50、100、150 ppmの濃度で、8時間もしくは12時間曝露し た試験(Kim and Carlson 1986)に基づいている。この試験では、メトヘモグロビンの生成 以外の影響が報告されていないが、アニリンの濃度とメトヘモグロビンの生成に、直線関 係が認められている。加えて、アニリンの濃度が100 ppmで一定に保たれている場合は、メ トヘモグロビンの生成と時間(3時間~8時間)にも、直線関係が認められる。また、メト ヘモグロビンが、8時間で漸近線に達している。アニリンの濃度とメトヘモグロビンの生成 に直線関係があり、一定濃度のアニリンにおけるメトヘモグロビンの生成と時間にも直線 関係があるため、濃度と曝露期間の直線関係を示す式(C1 × t = k)を用いて、AEGLに既定 の曝露期間について、アニリン濃度の時間スケーリングを行った。根拠とした試験(Kim and Carlson 1986)では、8時間の曝露が行われ、メトヘモグロビンはいくつかの時点で測定され ているが、導出したAEGL値は、4時間曝露試験(E.I. du Pont de Nemours 1982; Pauluhn 2002) および10分間曝露試験(Kakkar et al. 1992)によって支持されている。したがって、Kimお

(2)

2 よびCarlsonの試験から得られた8時間のAEGL値を外挿して、10分間の値を求めた。10分間 の曝露では、血中メトヘモグロビン濃度が、曝露開始から6~8時間後に典型的にみられる ような定常状態に達することはない。 AEGL-1値は、100 ppmの濃度で8時間曝露したラットの試験に基づいたが、この曝露により メトヘモグロビン濃度が、対照値の1.1%(0.4~2.1%の範囲)から22%に上昇した。公表さ れているデータの詳しい調査によって、ヒトの場合、15~20%のメトヘモグロビン濃度では、 臨床的にチアノーゼは起こるが、低酸素症状は起こらないことが示されている。比較に利 用できる吸入曝露のデータは得られていないが、経口摂取のデータによって、ヒトは、メ トヘモグロビンを生成する化学物質に対する感受性が、ラットよりも高い可能性が示唆さ れている。したがって、種間外挿においては、既定の不確実係数10を適用した(NRC 1993)。 また、いくつかのデータによって、新生児は、メトヘモグロビンを生成する化学物質に対 する感受性が、成人よりも高い可能性が示唆されている。感受性の高いヒト亜集団に特化 した定量的データがなく、乳児が感受性が高いことを示唆するデータがあるため、種内外 挿においても、既定の不確実係数10を適用した。種内外挿に適用した不確実係数10は、感 受性の高い人を含む一般集団を保護できると考えられる。種間変動や種内変動に関する既 定の不確実係数10は、情報データベースが小規模であることや、ヒトにおける信頼できる 吸入試験データが得られていないことからも支持される。曝露期間と濃度にはメトヘモグ ロビンの生成に関連して直線関係があることがデータによって示されているため、C1 × t = k を用いて、データの時間スケーリングを行った。AEGL-1値は、46 ppmの濃度で4時間曝露 したイヌにおける試験(Pauluhn, 2002)と、50 ppmの濃度で8時間曝露したラットにおける 試験(Kim and Carlson 1986)で、同じメトヘモグロビン濃度(4.7%)が得られていること によって、支持されている(後者の試験では、50 ppmの濃度では、血中メトヘモグロビン は、8時間の曝露を終了する前に、曝露開始後数時間で定常状態に達している)。 AEGL-2値は、上述と同じ試験の、ラットを150 ppmの濃度で8時間曝露した際のデータに基 づいており、メトヘモグロビン濃度は、対照値の1%から41%に上昇している。この濃度の メトヘモグロビンは、ヒトに疲労、嗜眠、労作性呼吸困難、頭痛を引き起こすため、この 濃度を、重度の影響の閾値であるとみなした。同じ作用機序がAEGL-2の影響にも当てはま るため、濃度150-ppmを総不確実係数100で割り、AEGL-1で採用したものと同じ根拠と関係 により時間スケーリングを行った。 致死閾値のアニリン誘発メトヘモグロビン濃度に関する曝露濃度データは、得られていな い。アニリンの濃度とメトヘモグロビンの生成に直線関係があるというデータに基づき、 前述のAEGL-1値とAEGL-2値を導出するための根拠とした試験の用量-反応曲線を、Kiese (1974)およびSeger(1992)により致死閾値であるとされた>70%のメトヘモグロビン濃度 を生じるアニリンの濃度に外挿した。250 ppmの濃度での8時間曝露を、致死閾値と判定し

(3)

3 た。同じ作用機序がAEGL-3の影響にも当てはまるため、濃度250-ppmを総不確実係数100で 割り、AEGL-1で採用したものと同じ根拠により時間スケーリングを行った。

ラットを用いたいくつかの試験によって、AEGL-3値が支持されている。アニリンは、15,302 ppmで10分間の曝露では臨床徴候をもたらさず(Kakkar et al. 1992)、359 ppmで4時間の曝 露では死亡はみられないが、重大な毒性作用が認められている(E. I. du Pont de Nemours

1982)。総不確実係数100で、これらのそれぞれの値を割り、C1 × t = kで時間スケーリング を行うと、上述のKimおよびCarlsonltsの試験から得られた値と同等になる。ラットを用いた 反復曝露試験では、さらに、血液と脾臓への影響もみられているが、87 ppm、1日6時間、 週5日間、2週間までの曝露でも、重度もしくは生命を脅かすには至らなかった。 Tableに、導出したAEGLの値を一覧にして示す。アニリンは、全身毒性を引き起こすのに十 分な量が皮膚から吸収されるため、一覧表には皮膚に関する注釈を追加した。報告されて いるアニリンの臭気閾値は、0.012~10 ppmである。したがって、AEGL-1の濃度のアニリン の匂いは、ほとんどの人が感知できる。アニリンの匂いは、やや鼻をつくが、必ずしも不 快ではない。 また、参考として国際化学物質安全性カード(ICSC)を添付する。

(4)

国際化学物質安全性カード

アニリン

ICSC番号:0011

アニリン

ANILINE

Benzeneamine

Aminobenzene

Phenylamine

C

6

H

7

N / C

6

H

5

NH

2

分子量:93.1

CAS登録番号:62-53-3

RTECS番号:BW6650000

ICSC番号:0011

国連番号:1547

EC番号:612-008-00-7

災害/

暴露のタイプ

一次災害/

急性症状

予防

応急処置/

消火薬剤

火災

可燃性。火災時に刺激性もしくは有毒なフュームやガスを放 出する。 裸火禁止。酸化剤との接触禁 止。 粉末消火薬剤、水噴霧、泡消 火薬剤、二酸化炭素。

爆発

70℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがあ る。 70℃以上では、密閉系および 換気。 火災時:水を噴霧して容器類を 冷却する。

身体への暴露

あらゆる接触を避ける! 吸入 紫色(チアノ-ゼ)の唇や爪、紫 色(チアノ-ゼ)の皮膚、頭痛、 めまい、息苦しさ、痙攣、頻脈、 嘔吐、脱力感、意識喪失。 症状は遅れて現われることが ある(「注」参照)。 換気、局所排気、または呼吸 用保護具。 新鮮な空気、安静。医療機関 に連絡する。 皮膚 吸収される可能性あり! 発赤。 他の症状については「吸入」参 照。 保護手袋、保護衣。 汚染された衣服を脱がせる。洗 い流してから水と石鹸で皮膚を 洗浄する。医療機関に連絡す る。 眼 発赤、痛み。 顔面シールド、または呼吸用保 護具と眼用保護具の併用。 数分間多量の水で洗い流し(で きればコンタクトレンズをはずし て)、医師に連れて行く。 経口摂取 「吸入」参照。 作業中は飲食、喫煙をしない。 食事前に手を洗う。 口をすすぐ。吐かせる(意識が ある場合のみ!)。医療機関に 連絡する。「注」参照。

漏洩物処理

貯蔵

包装・表示

・漏れた液を密閉式容器に集める。 ・残留液を砂または不活性吸収物質 に吸収させて安全な場所に移す。 ・この物質を環境中に放出してはなら ない。 ・自給式呼吸器付化学保護衣。 ・強酸化剤、強酸、食品や飼料から 離しておく。 ・密封。 ・食品や飼料と一緒に輸送してはな らない。 ・EU分類 記号 : T, N R : 23/24/25-40-41-43-48/23/24/25-68-50 S : 1/2-26-27-36/37/39-45-63-61

・国連危険物分類(UN Haz Class): 6.1

(5)

重要データは次ページ参照

ICSC番号:0011

Prepared in the context of cooperation between the International Programme on Chemical Safety & the Commission of the European Communities © IPCS CEC 1993

国際化学物質安全性カード

アニリン

ICSC番号:0011

重 要 デ | タ 物理的状態; 外観: 特徴的な臭気のある、無色の油状液体。空気 や光に暴露すると茶色になる。 物理的危険性: 化学的危険性: 190℃以上で加熱すると分解し、有毒で腐食性 のフューム(アンモニア、窒素酸化物)、引火性 の蒸気を生じる。弱塩基である。強酸化剤と激 しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。強 酸と激しく反応する。銅、銅合金を侵す。 許容濃度: TLV:2 ppm(TWA); (皮膚);A3(動物実験では発 癌性が確認されているが人との関連は不明な 物質); BEI(生物学的暴露指標)記載あり (ACGIH 2004)

(訳注:詳細は ACGHI の TLVs and BEIs を 参照)

MAK:2 ppm, 7.7 mg/m3; 皮膚吸収(H); ピーク

暴露限度カエゴリー:II(2); 発癌性カテゴリ ー:3B; 妊娠中のリスクグループ:D (DFG 2004) (訳注:詳細は DFG の List of MAK and BAT values を参照) 暴露の経路: 体内への吸収経路:吸入、経皮、経口摂取。 蒸気としても経皮吸収される。 吸入の危険性: 20℃で気化すると、空気が汚染されてややゆ っくりと有害濃度に達する。しかし、噴霧もしく は拡散すると、はるかに速く有害濃度に達す る。 短期暴露の影響: 眼 皮膚を刺激する。血液に影響を与え、メトヘ モグロビンを生じることがある。高濃度の場 合、死に至ることがある。医学的な経過観察が 必要である。これらの影響は遅れて現われる ことがある。「注」参照。 長期または反復暴露の影響: 反復または長期の接触により、皮膚が感作さ れることがある。血液に影響を与え、メトヘモ グロビンを生じることがある。 物理的性質 ・沸点:184℃ ・融点:-6℃ ・比重(水=1):1.02 ・水への溶解度:3.4 g/100 ml(20℃) ・蒸気圧:40 Pa(20℃) ・相対蒸気密度(空気=1):3.2 ・引火点:70℃(C.C.) ・発火温度:615℃ ・爆発限界:1.2~11 vol%(空気中) ・log Pow (オクタノール/水分配係数):0.94 環境に関する データ ・水生生物に対して毒性が非常に強い。 注 ・アルコール飲料の使用により有害作用が増大する。 ・暴露の程度によっては、定期検診が必要である。

(6)

国立医薬品食品衛生研究所

・この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。指示のもとに適切な手段をとれるようにしてお く。

・許容濃度を超えても、臭気として十分に感じないので注意すること。

Transport Emergency Card(輸送時応急処理カード):TEC(R)-62 NFPA(米国防火協会)コード:H(健康危険性)3;F(燃焼危険性)2;R(反応危険性)0; 付加情報

ICSC番号:0011

更新日:2001.03

アニリン

© IPCS, CEC, 1993

参照

関連したドキュメント

ピーク時間8.小9.0妙に対し,左肺門部のピーク  

れた。 2004 年( 22 年生)夏に,再生した林分内で 面積 148 ~ 314m 2 の円形調査区 9 区(総計 1,869m 2 ) を斜面の上部から中部にかけて 10 ~ 15m

2813 論文の潜在意味解析とトピック分析により、 8 つの異なったトピックスが得られ

その後、時計の MODE ボタン(C)を約 2 秒間 押し続けて時刻モードにしてから、時計の CONNECT ボタン(D)を約 2 秒間押し続けて

1地点当たり数箇所から採取した 試料を混合し、さらに、その試料か ら均等に分取している。(インクリメ

また、 NO 2 の環境基準は、 「1時間値の1 日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm までの ゾーン内又はそれ以下であること。」です

・分速 13km で飛ぶ飛行機について、飛んだ時間を x 分、飛んだ道のりを ykm として、道のりを求め

 筆記試験は与えられた課題に対して、時間 内に回答 しなければなりません。時間内に答 え を出すことは働 くことと 同様です。 だから分からな い問題は後回しでもいいので