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AN-5076
FL7733A を用いた超広範囲出力電圧対応 LED ドライバー用 高力率フライバックコンバーターの設計
概要
高輝度 LED の継続的な効率改善のおかげで、より多 くの電灯が白熱電球、蛍光灯、プレート、ダウンライ トなどから LED を用いた設計に切り替わっています。
LED
の輝度と色合いは LED 電流レベルに依存するた め、LED ドライバーは非常に精度の高い出力電流調整 を必要とします。同時に、高力率 (PF) と低全高調波歪 み (THD) が LED ドライバーの重要な設計要求事項と なっています。正確な出力電流調整が必要なアプリケ ーションにおいては、既存の制御手法では二次側にお いて電流検知を行っているため、検知損失の増加につ ながります。LED
ドライバーの一次側制御 (PSR) は固体照明 (SSL) 製品の国際規格(エナジースターなど)への準拠を得 るためのソリューションとなります。PSR はパワーサ プライの一次側にある情報のみを用いて出力電流を正 確に制御し、出力電流の検知損失を排除して二次側の フィードバック回路を不要にします。小型の後付けラ ンプにおける駆動回路に最適であり、コストを大幅に増やすことなく SSL アプリケーションの国際規格に適 合できます。フェアチャイルドセミコンダクターのパ ルス幅変調 (PWM) PSR コントローラー、FL7733A は
SSL 要求事項への適合を簡素化して外部部品を不要に
します。FL7733A は変圧器の励磁インダクタンス変化 に応じて高精度の出力電流調整を行い、入出力の電圧 情報を提供し、システム信頼性を高める強力な保護機 能を提供します。本アプリケーションノートは、FL7733A を用いた超広 範囲出力電圧を備えたシングルステージフライバック
LED ドライバーの、実用的な設計要点を解説します。
変圧器の設計手順および主要部品の選択方法を含みま す。変圧器の設計手順および主要部品の選択方法を含 みます。設計手順は、実験的な試作コンバーターを用 いて検証されます。図 1 は FL7733A を用いた、一次 側で制御されるフライバック LED ドライバーの一般 的なアプリケーション回路です。
AC Input
COMI
GND VS
HV GATE CS
VDD
DC Output
5 1 2
4 6
3 8
7 NC
FL7733A
図 1.
一般的なアプリケーション回路
一次側制御の動作原理
一般的に、良好な調整出力、高力率、低 THD により、
シングルステージ一次側フライバックコンバーターに は不連続導電モード (DCM) が選ばれます。DCM フラ イバックコンバーターの動作原理は次の通りです。
モード I
MOSFET ターンオン時間 (t
ON) の間、入力電圧 (V
IN) が
変圧器の一次側インダクタンス (Lm)
へ印加されます。次に、MOSFET の 発振を開始します (IDS
)
がゼロから ピーク値 (IDS.PK) まで、図 3 に示されるようにリニアに
上昇します。この期間中、エネルギーは入力から引き 出され、インダクターに蓄えられます。モード II
MOSFET (Q)
がオフになると、変圧器に蓄えられたエネルギーは整流器ダイオード (D) をオンにします。
AC Input
Primary Side Regulation Controller
tDIS Detector PWM
Control
Ref EAI
VCS Detector
TRUECURRENT®
Calculation VCOMI
RS
NP : NS ID
IDS
Q
D
VCS
VDD
VS
Gate
VA
NA LM VIN
VF
+
+ +
図 2. 一次側制御フライバックコンバータ ダイオードが導通している間、出力電圧 (VOUT
)
とダイ オードのフォワード電圧降下 (VF)
が変圧器の二次側イ ンダクタンス両端に印加され、ダイオード電流(ID)はピ
ーク値 (IDS.PK N
P/N
S) からゼロへリニアに減少します。
インダクター電流放電時間 (tDIS
) の最後には、変圧器に
蓄えられた全てのエネルギーが出力へ供給されます。モード III
ダイオード電流がゼロに達すると、一次側インダクタ ンス (Lm
) と MOSFET (Q) 両端に負荷された実効キャパ
シタとの間の共振により、変圧器の補助巻線電圧が発 振を開始します。VIN
MODE I MODE II MODE III
IO
I
DSI
DV
DSV
GatetDIS
tS
V
AOUT S A V N N IDS.PK
) V V N( N
F OUT S
P
PK . DS S P I N N
図 3.
PSR フライバックコンバーターの主要波形
出力電流が定常時のダイオード電流の平均値と同じで あるため、出力電流はドレイン電流のピーク値とイン ダクター電流の放電時間を用いて推定することが可能 です。ドレイン電流のピーク値は CS ピーク電圧検出 を用いて決定されます。インダクター電流放電時間(t
DIS)
は tDIS 検知器を用いて感知されます。ピークドレ イン電流、インダクター放電時間、スイッチング動作 期間の情報を用いて、革新的な TRUECURRENT® 演算 ブロックが出力電流を次のように推定します。S S P CS S DIS
o
N R
V N t
I t 1
2
1
(1)
25 .
0
CSS DIS
V t
t (2)
S S P
o
N R
I N 1
125 .
0
(3)
AN-5076
設計手順
FL7733A に基づくシングルステージフライバック LED
ドライバーの設計手順が、図 1 の回路図を参考として、本章にて解説いたします。50 W (50 V / 1 A) 出力を持 つオフライン LED ドライバーが、設計例として選ばれ ています。設計仕様は以下の通りです。
入力電圧範囲:90 ~ 264 VAC、50 ~ 60 Hz
公称出力電圧および電流:50 V / 1.0 A
動作出力電圧:7 V ~ 55 V
最小効率:88%
動作スイッチング周波数:65 kHz
最大デューティ:40%ステップ 1. 変圧器の一次側インダクタンス選択 (Lm)
FL7733A は図 4 に示されるように、一定のターンオン
およびターンオフ時間を用いて動作します。MOSFET ターンオン時間 (tON) とスイッチング期間 (t
S) が一定の
場合、IIN
は V
INと比例し、高力率を達成できます。
Constant On -Time (tON) Average Input Current (IIN)
Secondary Current Peak Envelop
Constant OFF -Time (tOFF) Primary Current Peak Envelop
Max. Peak Drain Current (IDS.PK) Peak Input Current (IIN.PK)
Average Output Current
tS
図 4. 理論波形
FL7733A
を用いたシングルステージフライバックは、一定の tON
と t
Sにより DCM で動作すると想定されま
す。入力電圧は励磁インダクタンス (Lm) に t
ON期間中
に印加され、Lm内に磁気エネルギーを充電します。し
たがって、MOSFET の最大ピークスイッチ電流 (IDS.PK)
は、図 4 に示されるように線間電圧のピーク値におい て発生します。ピーク入力電流 (IIN.PK) もまた、一線間
サイクルのピーク入力電圧において見られます。最大t
ON が決定されると、MOSFET の IDS.PKは、次の要領で
最小線間入力電圧と最大負荷条件において得られます。m PK IN ON PK
DS
L
V
I
. t
.(4)
V
IN.PKと t
ONは最小線間入力電圧におけるピーク入力
電圧と最大ターンオン時間を示します。
方程式 (4) を用いて、ピーク入力電流は次のように得 られます。
S ON m
PK IN ON PK
IN
t f
L t V
I ( )( ) 2
1
..
(5)
そして、IIN.PK
と V
IN.PKは次のように表せます。
rms IN PK
IN
I
I
. 2
.(6)
rms IN PK
IN
V
V
. 2
.(7)
I
IN.rms と VIN.rms はそれぞれ、線間入力電流と電圧のrms 値です。
t
ON は必要な Lm値を求めるために必要となります。方 程式 (5) ~ (7) を用いて、ターンオン時間 tON は次のよ うに得られます。s rms IN
rms IN m
ON
V f
I t L
.
2
2
.(8)
入力電力は次のように表せます。
INrms INrms OIN
V P I
P
. .(9)
方程式
(8)
と(9)
を用いて、Lm値は次のように得ら れます。O ON S rms IN
m
P
t f L V
2 )
(
. 2
2
(10)
(設計例)最小入力電圧が
90 V
AC の時、最大 tONは最
大負荷条件にて発生します。65 kHz の動作周波数にお ける最大 tON は最大デューティを用いて決定すること ができます。そして励磁インダクタンスは次のように 得られます。H
Lm 175µ
50 2
) 10 2 . 6 ( 10 65 90 88 .
0 2 3 62
公称出力電力における MOSFET のピークドレーン電流 は次のように算出されます。
A
I
DSPK4 . 51
10 175
90 2 10 2 . 6
6 6
.
ステップ 2. センシング抵抗と nPS の選択
FL7733A は TRUECURRENT
®演算手法を用い、定出力
電流 (IO
)
調整を方程式 (1) に定義された通りに行いま す。出力電流は、変圧器の一次側と二次側巻線の巻数 比 nps に比例し、センシング抵抗値 (RS) に反比例しま
す。FL7733A は LED 短絡や過負荷からシステムを保 護するために、VCS を検出することで、サイクル毎の 電流制限を実施します。したがって、VCS レベルは、電流制限保護機能をトリガーすることなく定格システ ム電力を扱う必要があります。サイクル毎の制限レベ ル(通常:0.85 V)は一般的に 15 ~ 20%、最大負荷条 件における CS ピーク電圧 (VCS.PK
) より高い値に設定さ
れます。MOSFET ピーク電流 (ISW.PK)
は次のようにV
CS,PKに変換されます。
S PK SW PK
CS
I R
V
.
. (11)
方程式 (3) によると、一次側と二次側の巻線比はセンシ ング抵抗と出力電流により、次のように決定されます。
125 . 0
S O PS
R
n I (12)
(設計例)VCS,pk が
0.85 V
に設定されると、センシン グ抵抗値と nPSは次のように得られます。
0.188
51 . 4
85 . 0
. . PK SW
pk CS
S I
R V
52 . 125 1 . 0
19 . 0 1
ps n
ステップ 3. nAS
と n
APの選択
V
DD 電圧が 23 V の時、FL7733A は過電圧保護 (OVP) が働きスイッチング動作を止めます。そのため、nASと nAP
は次のように決定されます。
OVP O OVP O
OVP DD
AS
V V
n V
. .
.
23
(13)
PS AS
AP
n
n n (14)
n
AS は変圧器の補助巻線と二次巻線との巻線比であり、nAP
は補助巻線と一次巻線との巻数比です。
(設計例)出力の過電圧レベルが 56 V に設定される
と、nAS
は次のように得られます。
41 . 56 0 23
AS
n
27 . 52 0 . 1
41 .
0
AP
n
ステップ 4. 変圧器の設計
一次側の巻数はファラデーの法則により決定されます。
N
p,min は一次側巻線の両端に印加される最小線間入力電圧のピーク値と最大オン時間により決定されます。
磁気飽和を防ぐための、変圧器一次側の最小巻数は次 のように表せます。
e sat
ON pk IN
p
B A
t N V
.min.
min
,
(15)
A
eは変圧器の磁心の断面積を mm
2で表し、B
satはテ
スラで表された飽和磁束密度です。飽和磁束密度は温度上昇に従って減少するため、変圧 器がケース内に収められる場合は、高温特性を考慮す る必要があります。
5 VS
VOUT
VDD
R1R2
C1
R3ZD1 D1
C3
NA
NS
N
PNE
ZD2 VDD
External V
DDCircuit V
SCircuit
for Wide Output 4
VSC
VS
VAUX
+ + +
R16 C4
D3 Q1
V
IN.bnkV
INDo
D2
Co
C2
図 5. 広範囲出力電圧用の VS 回路
FL7733A
の VDD動作範囲は 8.75 ~ 23 V
であるため、出力電圧が VOUT-UVLO
(8.75×N
S/N
A)
よりも低い場合、UVLO
がトリガーされると MOSFET のスイッチングが遮断されます。したがって、VDD
は 7 ~ 55 V の幅広
い出力電圧範囲において、UVLO をトリガーすること なく適切に供給される必要があります。VDD は、外部 巻線 NE と電圧調整器で構成された VDD 回路を追加し て、図 5 に示される要領で供給することが可能です。N
Eを適切に設計することにより、V
DDを最小出力電圧
(V
min.OUT) にて UVLO をトリガーすることなく供給する
ことが可能になります。外部巻線 NE は次のように決 定されます。
A S OUT Do F
F.D Q CE
E
N N
V V
V
N V
) (
) 75
. 8 (
. min .
3 1
.
(16)
V
CE.Q1 は Q1 のコレクタ―エミッタ間飽和電圧を、V
F.D3は D3 のフォワード電圧を、V
F.Doは最小出力電
圧における Do のフォワード電圧を示します。(設計例)PQ3220 コアが変圧器用に選択され、磁気 飽和を防ぐための変圧器一次側の最小巻線数は次の ように表せます。
3 . 10 25 141 22 . 0
10 2 . 6 90 2
6 6 min
,
N
pN
P が磁気飽和を防ぐために 5% ~ 10% のマージンを 持って選択されると、8 . 27 1 . 1 3 .
25
p
N
一次側の巻線数 (NP
)
が 28 に決定されると、二次側 の巻線数 (NS) は次のように得られます。
4 . 18 52 . 1
28
S N
二次側の巻線数 (NS
)
が 19 に決定されると、補助側 の巻線数 (NA) は次のように得られます。
79 . 7 41 . 0 19
A N
N
A は 8 と決定されます。V
CE.Q1 と VF.D3 が 0.5 V と 0.7 V にそれぞれ設定さ れ、VF.Doが最小出力電圧 7 V
にて 1 V と仮定される と、外部巻線数 NEは次のように得られます。
6 . 15 8 ) 19
7 1 (
) 7 . 0 5 . 0 75 . 8
(
NE
N
Eは 16 と決定されます。
AN-5076
ステップ 5. 広範囲出力用の VS
回路
R1、R2、R3
選択用に最初に考慮すべき点は、65 kHzのスイッチング周波数と定格電力で動作するためには、
V
S がダイオード電流導通時間の最後にて 2.45 V とな る必要があることです。次の考慮点は、以下に解説さ れるように VS のブランキングです。図 5 に示される ように、出力電圧は補助巻線と VS ピンに接続された 抵抗性分圧器によって検出されます。ただし、DC リ ンクキャパシタを持たないシングルステージフライバ ックコンバーターでは、小さな Lm電流が V
S電圧セン
シングエラーを呼び込むため、図 6 に示されるように 入力線間サイクルの全期間において補助巻線を反映さ れた出力電圧にクランプさせることはできません。線 間電圧のゼロクロスポイントにおいて周波数は急速に 減少し、結果として LED ランプのフリッカーが発生す る場合もあります。正弦波線間電圧の全てにおいて一 定の周波数を保つために、補助巻線のセンシングを行 うことで、線間電圧値が特定のレベル未満の際に VSのブランキングを行うと VS
のブランキングが V
Sサン
プリングを停止します。VIN
VIN.BNK
VS.BNK
VS at VIN > VIN.BNK VS at low VIN VS
Sensing Error
図 6.
V
S波形
広範囲出力アプリケーションにおいては、SLP と VS の OVP をトリガーする事態を避けるため、通常動作 における VS レベルは 0.6~3 V の範囲に収めます。こ れは図 5 に示されるように、VS
回路を追加することで
可能となります。高 周 波 ス イ ッ チ ン グ 、 定 格 出 力 電 圧 の 最 大
50%、
V
IN.bnkの V
Sブランキングレベルを考慮すると、ツェナ
ーダイオード電圧 (VZD1
)、R1、R2、R3
は以下のよう に得られます。1 . .
1 ( DDOVP 0.5) FD
ZD V V
V
(17)
V
F.D1 はツェナーダイオード ZD1 と直列に接続された D1 のフォワード電圧です。
ツェナーダイオードの調整範囲と電力定格を考慮して、
R1
はツェナーダイオード電流 IZD1 を 10 mA に制限す る目的で選択します。mA 10
) V V 1 (
R DDOVP SC
(18)
V
SCは D1 と ZD1 によりクランプされた電圧です。
1 2
.
. R
I n V R
bnk VS
bnk IN
AP
(19)
V
IN.bnk は VS ブランキング用の線間電圧レベル、I
VS.bnkは V
Sブランキング用の電流レベルです。
45 . 2
45 . 2 3 2
VSC
R R
(20)
(設計例)分圧ネットワークは次のように決定されます。
8 . 10 7 . 0 ) 5 . 0 23
1(
VZD
そして VZD1
は 10 V に決定され、V
F.D1を 0.7 V と仮定
すると、R1 は次のように得られます。 k 23 . 10 1 10
7 . 0 10 1 23
R
3
R1 は 1.2 kΩ に選択できます。V
IN.bnkと I
VS.bnkがそれぞれ 50 V と 90 µA の場合、R2 は次のように得られます。
k k
R 1.2 157.53
10 90 28
50
2 8 6
R2 が 160 kΩ と決定されると、R3 は次のように得られ
ます。
k
R 47.51
45 . 2 7 . 0 10
45 . 2 3 160
R3 は 51 kΩ に選択できます。
R3 を選択した後、V
Sレベルをチェックして、R3 の両
端にかかる VS
電圧が最低出力電圧 7 V の際に 0.6 V 以
上であるかどうかを、以下に示される要領で確認する 必要があります。R V R R V R N V
N
VS N FDo
S E
A ) 0.6
3 2 1 ( 3 ) 7 ) ( (
.
V
Sが 0.6 V 未満の場合、ツェナーダイオード電圧 V
ZD1を減らして R3 の値を方程式 (17)~(20) を用いて増や します。
5 ~ 10 pF のバイパスキャパシタ C1 を VS と GND ピンの
間に近接して設定することが、スイッチングノイズを 除去する手法として推奨されます。キャパシタの値は 定電流調整に影響を与える場合があります。VS 容量を 大きく取り過ぎると、小型の VS キャパシタと比較して、放電時間 tDIS
が長くなり、出力電流が低下します。
t
DISI
DSI
Dot
ONt
DISDelay
V
SCV
SV
AUX図 7.
t
DIS検出用の VS 波形
広範囲出力電圧範囲用の VS 回路におけるもう一つの 考慮点は、図 7 に示されるように、補助巻線両端に印 加される VAUX
が V
SCにクランプされた状態での V
AUXと VSC の電圧差が原因で発生する tDIS 遅延です。この 遅延は VAUX が VSC と同一になるまで続き、定出力電 流調整に影響を与える場合があります。キャパシタ C9 を補助巻線とツェナーダイオード ZD1 のカソード側の 間に配置することで、この遅延を除去することが可能 です。VAUXはキャパシタ電圧 VC3
と V
ZD1 を用いて、ゲートがオフになる際に分圧されます。そして、VC3
はその瞬間は放電することなく電圧を保てますが、
V
ZD2はダイオード電流 I
Dが ゼロに達した瞬間に V
AUX– VC3 の値へ低下します。したがって、VS は図 7 に示 されるように、点線に沿って VAUX を追うことが可能 になります。C3 は励磁インダクタンス Lm
と MOSFET C
OSS の間に発生する共振によって決定される共振周波 数に応じて、適切な値を選ぶ必要があります。本アプ リケーションにて使用される 330 pF は試行錯誤の末に 選択されました。値は次のように得られます。f pF C kHz
r
300 330
3
(21)
f
r は COSS と Lm 間の共振によって決定される共振周 波数です。ステップ 6. スイッチングデバイスの電圧と電流 の算出
一次側 MOSFET:MOSFET の電圧ストレスは変圧器 の巻数を決定する点から解説されています。ドレイン 電流のオーバーシュートを特定の電圧値 VOS と仮定す ると、最大ドレイン電圧は次のように表せます。
OS Do F OVP O S P pk IN
DS
V V V
N V N
V
(max)
.max. (
.
.) (22)
V
IN.max.pk は最大線間ピーク電圧であり、VOS はドレイン電圧のオーバーシュート値です。MOSFET を通 過する電流の rms 値 (ISW.rms
)
は次のように表せます。.
6
S ON pk rms DS
f I t
I
(23)
(設計例)ドレイン電圧のオーバーシュートを 100 V と 仮定すると、
MOSFET
両端の最大ドレーン電圧は次の ように算出されます。V
V
DS( 56 1 ) 100 559
19 2 28
(max)
265
MOSFET に流れる電流の rms 値は次のように表せます。
A
IDSrms 1.17
6 10 65 10 2 . 51 6 . 4
3 6
.
二次側ダイオード:整流器ダイオードの最大逆電圧と
rms 電流は次のように得られます。
pk in P S O
D
V
N V N
V
.max.(24)
S P RO
pk in rms SW rms
D
N
N V I V
I
2
. min . .
.
(25)
(設計例)ダイオード電圧と電流は次のように得られます。
V
V
D265 2 310
28
56 19
A
I
Drms0 . 991
20 60 1 . 74 2 357 127 .
.
0
ステップ 7. 一次側の RCD スナバの設計
パワー MOSFET がオフにされると、変圧器の漏れイン ダクタンスが原因で、ドレインにて高電圧スパイクが 発生します。過電圧が MOSFET に印加され、アバラン シェ降伏につながり、結果的にデバイスが故障する可 能性もあります。したがって、追加ネットワークを用 いて電圧をクランプすることが必要となります。RCD スナバ回路と波形が図 8 に示されています。RCD スナ バネットワークは、MOSFET ドレイン電圧がスナバダ イオード (DSN
)
のカソード電圧を超えた瞬間に、スナ バダイオードをオンにして漏れインダクタンスの電流 を吸収します。スナバネットワークの解析においては、スナバキャパシタの電圧が 1 スイッチング周期中に大 幅な変化を見せないよう、スナバキャパシタの容量が 十分に大きくとられていると仮定します。スナバキャ パシタはセラミックなど、低 ESR 特性を持つ素材を用 いる必要があります。これらの理由により、電解また はタンタルキャパシタは用いることができません。
AN-5076
L
mR
SND
SNC
SNC
OL
lkV
OUTV
SNN
P: N
SV
INI
DSV
DS + ++
V
SNV
DSV
OS) (
OUT FS
P
V V
N
N
V
INI
DI
DS.PKI
D図 8. スナバ回路と波形
最大負荷条件におけるスナバキャパシタは次のように 得られます。
OS RO
SN
V V
V (26)
スナバネットワークの電力損失は次のように得られま す。
S RO SN
SN PK DS lk SN SN
SN
f
V V I V R L
P V
.. 22
2
1 (27)
L
lkは漏れインダクタンス、VSN は最大負荷における スナバキャパシタ電圧、RSNはスナバ抵抗です。
漏れインダクタンスは、一次側巻線のスイッチング周 波数にて測定されます。他の全ての巻線は短絡させて おきます。スナバ抵抗の適切な消費電力定格は、電力 損失に基づいて選択してください。スナバキャパシタ 電圧の最大リップルは次のように得られます。
S SN SN
SN
SN
C R f
V V
(28)
基本的に、選択されたキャパシタ電圧の 5 ~ 20% のリ ップル値が許容範囲となります。本スナバ設計におい ては、インダクターの損失が大きな放電や寄生容量は 考慮されていません。
(設計例)ドレイン電圧の電圧オーバーシュートが反 映された出力電圧と同一に決定されているため、スナ バ電圧は次のように表せます。
V V
V
VSN RO OS 200
漏れインダクタンスは 3 µH にて測定されています。
すると、スナバネットワーク設計における損失は次の ように表せます。
W PSN
48 . 3
10 84 65 200 56 200 . 4 10 2 5
1 6 2 3
k
RSN 11.45 48 . 3 2002
スナバ電圧 (200 V) において 15% のリップルを許容す るには、以下の要領で算出します。
nF
C
SN8 . 9
10 65 10 12 200 15 . 0
200
3
3
PCB レイアウトガイド
高寄生インダクタンスや高寄生抵抗を持つ PCB レイ アウトはスイッチングノイズを増加させてシステムを 不安定にするため、パワーコンバーターの PCB レイ アウトは回路設計と同程度に重要となります。PCB は スイッチングノイズと制御信号の結合を最小化するよ う、設計する必要があります。
1. 信号アースと電源アースは分離し、一箇所(GND
ピン)のみにて接続することで、アースループノイ ズを防ぎます。ブリッジダイオードからセンシング 抵抗への電源アースの経路は短く、幅広く取ってく ださい。2.
ゲート駆動電流パス (GATE – RGATE– MOSFET – R
CS – GND) は可能な限り短くしてください。3. C
COMI、CVS、RVS2 などの制御ピン部品は割り当てら れたピンと信号アースへ近接させてください。4. MOSFET
のドレインと RCD スナバに関連する高電圧経路は、不要な干渉を防ぐために制御回路からは 遠く離してください。
5. MOSFET
にヒートシンクが用いられている場合、ヒートシンクを電源アースに接続してください。
6.
補助巻線アースは、制御ピン部品のアースよりもGND ピンに近接させてください。
FL7733A
AC Input
GND GATE
VDD VS CS
COMI NC HV
DC Output
RCS
RGATE
CVDD
CCOMI
CVS
RVS2
RVS1
1
2
3 4
Power
5
ground
Signal ground
6
図 9. レイアウト例
注意事項
パワーサプライを改造、はんだ付け/はんだ取外しを行 う前に、外部放電抵抗を通じて一次キャパシタを放電 してください。さもなければ、PWM IC がその工程中 に外部高電圧によって破壊される場合があります。こ
のデバイスは静電気放電 (ESD) に敏感です。歩留まり を改善するため、生産ラインもまた、ANSI ESD S1.1、
ESD S1.4、ESD S7.1、ESD STM 12.1、EOS/ESD S6.1
規格で要求される通りに ESD 保護を行ってください。AN-5076
設計例の回路図
図 10 は 50 W LED ドライバー設計例の回路図を示します。PQ3220 コアが変圧器に使用されています。図 11 は 変圧器情報を示します。
図 10.
FL7733A 50 W 設計例の回路図
VDD C8
R5
C10 U1 COMI6
GATE2 CS1
VDD4HV8 NC7 GND3VS5 VDD
C3R17
C4D2
Aux R8 ZD2 R9
R1
T2 PQ3220 12V
6
1 2 4
9 11 53
R2 R3 D5 Aux
C6
R13 R10R11
BD1 Q1 R14 R12
C2 C5
R4 C9
C1Co2
50V GND
Co3 D1 R7
R18 C7
CF2 Q103 R16 ZD1
D3
R20
R19 CF1 F1 NL
Do1 LF1 34
21
Ro1 Co1 MOV1
C11
R6
NP1(3 à2) NS (9 à11) NA(4 à5)
NP2(2 à1)
Start NE(6 à4)
2mm Barrier
図 11. 変圧器巻線構造
表
1
巻線仕様No
巻線 ピン (S à F) ワイヤー 巻数 巻付手法1 NP1 3 à 2 0.45 φ 17 Ts
ソレノイド巻付2
絶縁方法:ポリエステルテープ t = 0.025 mm、3 層3 NS 9 à 11 0.7 φ (TIW) 19 Ts
ソレノイド巻付4
絶縁方法:ポリエステルテープ t = 0.025 mm、3 層5 NP2 2 à 1 0.45 φ 11 Ts
ソレノイド巻付6
絶縁方法:ポリエステルテープ t = 0.025 mm、3 層7 NE 6 à 4 0.25 φ 16 Ts
ソレノイド巻付8
絶縁方法:ポリエステルテープ t = 0.025 mm、3 層9 NA 4 à 5 0.25 φ 8 Ts
ソレノイド巻付10
絶縁方法:ポリエステルテープ t = 0.025 mm、3 層表
2
電気特性ピン 仕様 摘要
インダクタンス
1 – 3 170 µH ± 10% 60 kHz, 1 V
漏れ
1 – 3 5 µH 60 kHz、1 V、全出力ピンを短絡
AN-5076
部品表
番号 部品番号 製品名 数量 概要 メーカー
1 BD1 G3SBA60 1 4 A / 600 V、ブリッジダイオード Vishay
2 CF1 MPX AC275V 474K 1 470 nF / 275 V
AC、X キャパシタCarli
3 CF2 MPX AC275V 224K 1 220 nF / 275 V
AC、X キャパシタCarli
4 Co1, Co2, Co3 KMG 470 μF / 63 V 3 470 µF / 63 V、電解キャパシタ Samyoung
5 C1 MPE 630 V 334K 1 330 nF / 630 V、MPE フィルムキャパシタ Sungho
6 C2 C1206C103KDRACTU 1 10 nF / 630 V、表面実装キャパシタ 1206 Kemet
7 C3 KMG 10 μF / 35 V 1 10 µF / 35 V、電解キャパシタ Samyoung
8 C4 C0805C104K5RACTU 1 100 nF / 50 V、表面実装キャパシタ 2012 Kemet
9 C5 C0805C519C3GACTU 1 5.1 pF / 25 V、表面実装キャパシタ 2012 Kemet
10 C6 C0805C205J3RACTU 1 2.2 µF / 25 V、表面実装キャパシタ 2012 Kemet
11 C7 KMG 1 μF / 50 V 1 1 µF / 50 V、電解キャパシタ Samyoung
12 C8 SCFz2E472M10BW 1 4.7 nF / 250 V、Y キャパシタ Samwha
13 C9 C1206C331K5RACTU 1 330 pF / 630 V、表面実装キャパシタ 1206 Kemet
14 C10 C1206C471KDRACTU 1 470 pF / 630 V、表面実装キャパシタ 1206 Kemet
15 C11 C0805C101C3GACTU 1 100 pF / 25 V、表面実装キャパシタ 0805 Kemet
16 Do1 FFPF08H60S 1 600 V / 8 A、超高速整流器
フェアチャイルドセミコンダクター17 D1, D3 RS1M 2 1000 V / 1 A、ウルトラファーストリカバ
リダイオード フェアチャイルドセミコンダクター
18 D2 1N4003 1 200 V / 1 A、汎用整流器
フェアチャイルドセミコンダクター19 D5 LL4148 1 100 V / 0.2 A、小型信号ダイオード
フェアチャイルドセミコンダクター20 F1 250 V / 2 A 1 250 V / 2 A、ヒューズ Bussmann
21 LF1 B82733F 1 40 mH 汎用インダクター EPCOS
22 MOV1 SVC681D-10A 1
酸化金属バリスタSamwha
23 Q1 FCPF400N80Z 1 800 V / 400 mΩ、N チャンネル MOSFET
フェアチャイルドセミコンダクター24 Q103 KSP42 1
高電圧 NPN トランジスタ フェアチャイルドセミコンダクター25 Ro1 RC1206JR-0727KL 1 27 kΩ、表面実装抵抗 1206 Yageo
26 R1, R7 RC1206JR-0710KL 2 10 kΩ、表面実装抵抗 1206 Yageo
27 R2, R3 RC1206JR-0715KL 2 15 kΩ、表面実装抵抗 1206 Yageo
28 R4, R5, R20 RC1206JR-07100KL 3 100 kΩ、表面実装抵抗 1206 Yageo
29 R6, R15 RC1206JR-0710RL 2 10 Ω、表面実装抵抗 1206 Yageo
30 R8 RC0805JR-07160KL 1 160 kΩ、表面実装抵抗 0805 Yageo
31 R9 RC0805JR-0727KL 1 56 kΩ、表面実装抵抗 0805 Yageo
32 R10 RC1206JR-070R2L 1 0.2 Ω、表面実装抵抗 1206 Yageo
33 R11, R12 RC1206JR-073RL 2 3.0 Ω、表面実装抵抗 1206 Yageo
34 R13 RC0805JR-0710RL 1 10 Ω、表面実装抵抗 0805 Yageo
35 R14 RC0805JR-07510RL 1 510 Ω、表面実装抵抗 0805 Yageo
36 R16 RC1206JR-0730kL 1 30 kΩ、表面実装抵抗 1206 Yageo
37 R17 RC1206JR-071KL 1 1.0 kΩ、表面実装抵抗 1206 Yageo
38 R18,R19 RC1206JR-07300RL 2 300 Ω、表面実装抵抗 1206 Yageo
39 T2 PQ3220 1 PQ コア、12 ピン変圧器 TDK
40 U1 FL7733A 1
メイン PSR コントローラー フェアチャイルドセミコンダクター41 ZD1 15 V 1 15 V ツェナーダイオード
フェアチャイルドセミコンダクター42 ZD2 10 V 1 10 V ツェナーダイオード
フェアチャイルドセミコンダクター設計例の実験結果
本アプリケーションノートにて提示された設計手順 の有効性を証明するため、設計例内で解説されたコ ンバーターが製作され、テストされました。
図 12 は最小および最大線間電圧条件における通常 動作波形を示します。入力電流波形は正弦波の形を とっており、高力率と低 THD 性能は DCM 制御によ り達成可能です。
図 13 は最小入力条件における主要波形を示します。
ステップ -1 にて設計された、変圧器のインダクタン ス用導電時間とピークドレーン電流はそれぞれ、
6.2 s と 4.5 A です。
図 14 は線間電圧範囲と出力電圧範囲の全体にわた って測定された CC 許容差を示します。定格出力電 圧におけるユニバーサル線間にて CC は± 0.3% 未 満であり、全体の線間電圧および超広範囲出力電圧
(7 V ~ 55 V) における合計 CC 調整幅は± 1.76% です。
図 15 は定格条件における力率と全高調波歪みを示 します。力率は 0.9 を超えることが可能であり、全 高調波歪みはユニバーサル線間電圧において 7% 未 満を達成することが可能です。
図 12. 入出力波形
図 13. 最小線間電圧条件における動作波形
図 14.
CC 許容差
図 15. 力率 (PF) および全高調波歪み (THD)
V
IN(100 V / div) I
IN(1.0 A / div) V
OUT(20 V / div) I
OUT(0.5 A / div)
4.5 A
V
DS(200 V / div) V
DS(2.0 A / div)
V
AK(200 V / div) I
D(5.0 A / div) 6.2 µs
±0.26
%
±1.76
%
PF
THD V
IN(100 V / div)
V
OUT(20 V / div)
I
IN(1.0 A / div)
I
OUT(0.5 A / div)
PF THDAN-5076
関連製品情報
FL7733A — 力率改善 (PFC) 付き一次側調整型 LED ドライバー
免責事項
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生命維持の方針
フェアチャイルドセミコンダクター社長の明示的な書面による合意が無い限り、フェアチャイルドの製品を生命維持装置およびシステムの重 要な部品として使用することは認可されていません。
本規約内の定義:
1.
生命維持装置またはシステムとは、(a) 人体への手術による 移植を意図したもの、または (b) 生命を維持し、(c) ラベル に表示された指示に従って適切に使用されたときに正常に機 能しない場合、使用者に重大な傷害が発生することが合理的 に予想されるもののことです。2.
生命維持装置またはシステム内の重要な部品とは、正常に機 能しない場合、生命維持装置またはシステムに故障が発生す ること、および安全性もしくは有効性に影響を与えることが 合理的に予想されるもののことです。www.onsemi.com
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