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Masatoshi YUHI and Masayuki MATSUYAMA

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Academic year: 2022

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1. 序論

石川県千里浜海岸では,大規模な沿岸砂州が発達する ことが知られている(石田ら,1984;加藤ら,1984など). これらの砂州の発達規模や配置は,外浜の地形変動を特 徴づけることに加え,砕波過程への影響を通じて前浜地 形変化とも関連する.このため,砂州変動の基本特性の 解明は,海浜変動過程を的確に理解する上で重要である.

千里浜海岸で観察される砂州配置は,多くの場合3段 あるいは2段である.この多段砂州システムは,数年単 位の時間スケールで組織的な沖向き移動を繰り返してい る(早川ら,2009;Hayakawaら, 2009;由比ら,2010). 一連のサイクルにおいて,砂州は汀線近傍で形成され,

沖向きに移動しながら最大規模に発達した後に,さらに 沖向きに移動して減衰・消失する.最も沖側に位置する 砂州が消失すると,1つ岸寄りに位置していた次の世代 の砂州が引き続き沖向き移動・発達を開始する.このよ うな砂州の移動形態は,NOM(Net Offshore Migration)

と称され,オランダ,米国,ニュージーランド,デンマ ーク等の世界諸地域(Ruessinkら,2003等),および,国 内(Kuriyama, 2002;Yuhiら, 2011等)で観察された現 象と共通の特徴を示している(早川ら,2009).

従来のNOMの解析では,岸沖方向の移動特性に重点 が置いたものが多い.一方,その特性は近接した海岸に おいても沿岸方向に変化しうることも指摘されている

(Weinberg, 1995;Grunett and Hoekestra, 2004等).こうし た観点から,本研究では,現地観測データに基づいて,

千里浜海岸および隣接海岸(図-1,2)における沿岸砂州 の周期変動特性の解析を行う.以下では,対象領域にお

けるNOMの基本特性とその沿岸方向変化,および,国 内外の観測事例との比較検討を行った結果を報告する.

2. 対象領域の概要

千里浜海岸は,能登有料道路今浜ICから羽咋川河口部 に続く遠浅の砂浜海岸である.本研究では,千里浜海岸 を含む押水・羽咋海岸(宝達志水町・羽咋市)を中心に,

隣接する七塚・高松海岸(かほく市),内灘海岸(内灘 町)を対象として解析を行った(図-1,2).対象領域の沿 岸方向延長は約32kmである.以下,測線番号に付した

H,T,N,Uは,それぞれ,羽咋,高松,七塚,内灘海岸に

対応する.

海底地形の特徴を見ると,領域の多くの部分で大規模 な沿岸砂州が2段,3段に発達している.底質の大部分は 細砂であり,南側ほど粒径が粗く,北へ向かうほど細か い . 千 里 浜 海 岸 の 汀 線 近 傍 に お け る 代 表 的 な 粒 径 は

0.15mm前後である.対応する形で,一般に南側へ向か

うほど海底勾配が大きくなる.

国土交通省徳光観測所(水深約15m)の観測結果によ ると,夏期の波浪の多くは有義波高1m以下で,波向は NNW〜NWにやや卓越する.冬期は有義波高1m以上の 高波浪が頻繁に来襲し,波向はNW〜Wに卓越する.年 最大有義波高は,5〜8m程度に達する.汀線近傍におい ては,通年で考えた場合,南西向きの沿岸流が卓越する と推定されている.一方,水深10m以深では,北東向き の海岸流(吹送流および対馬海流)が存在している.対 象領域南端付近の金沢港で観測された結果(1997-2010 年)に基づくと,平均干潮位,平均満潮位,平均潮位は,

それぞれ,0.05m,0.54m,0.30m(T.P.で表示)である.

離岸堤や人工リーフ等の海岸構造物が内灘,七塚,羽 咋地区等に点在するが,全体として少なく,領域内に設

Masatoshi YUHI and Masayuki MATSUYAMA

The characteristics of spatiotemporal variation of the multiple bar system on the Chirihama and neighboring beach, Japan, have been investigated using a set of field surveys collected over 13 years and aerial photographs during 1947 to 2010. In the north and middle of the study area temporal variation of sandbar configuration is characterized by the presence of cyclic cross-shore migration with approximately 4 to 6 years return period. The direction of systematic inter-annual migration is net offshore. The migration features indicate substantial alongshore variability. On the north part the behavior of bar system is quasi two-dimensional. On the middle to south area several three-dimensional configuration and deformation such as bar switching and bifurcation are observed.

1 正会員 博(工) 金沢大学教授

2 学生会員 金沢大学自然科学研究科環境科学専攻

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置された構造物による直接的影響は局所的である.ただ し,領域南端で沿岸漂砂下手側に位置する内灘海岸では,

金沢港東防砂堤近傍に砂が堆積し,汀線が大きく前進し ている.また,領域北端の滝港に隣接する地域でも港湾 建設や離岸堤設置等の影響が顕著である.また,近年,

手取川流域の開発や金沢港西防波堤の延伸等により,北 向きの沖合海岸流により対象領域に輸送される土砂量が 減少した.その結果,領域中部から北部にかけて長期的 汀線後退が生じている(由比ら,2010;松山ら,2012).

3. 観測データおよび解析手法

石川県土木部より提供された,1947〜2010年の航空写 真(1947, 1967, 1975, 1987, 1992, 1998, 2002, 2003, 2010年の 計9回)(図-1)をもとに,汀線や多段砂州の位置を抽出 し,砂州の平面形状,規模・段数等について定性的検討 を行った.合わせて,国土交通省金沢河川国道事務所に よる深浅測量データ(1998〜2010年;計13回)に基づい て地形変化解析を行い,砂州の位置・形状諸元を抽出し

た.その結果に基づいて砂州の発達規模や移動速度を算 出して,変動特性を定量化するとともに沿岸方向位置に よる特性変化を検討した.さらに,砂州の周期的移動に 関する国内外の報告例と比較を行って特徴を検討した.

深浅測量の対象領域(図-2)は,沿岸方向約32kmの範 囲であり,北側から,羽咋5本,高松1本,七塚3本,お よび内灘3本の計12本の測線を含んでいる.沿岸方向の 測量間隔は平均約3kmである.深浅測量は年1回,主に 秋期(9月〜11月初旬)に実施されている.岸沖方向の 測量範囲は測量基点から1〜3.5km程度である.なお,

測線の方向はN307°であり,汀線直交方向とはわずか に異なる.

4. 砂州の移動発達特性と沿岸方向変化

(1)砂州配置に関する全体特性

過去60年程度に渡る9つの年代の航空写真において,

大規模な沿岸砂州の発達が確認された.図-3は,航空写 真から汀線・砂州の形状を読み取って比較した例であ 図-1 対象領域の航空写真

図-2 解析対象領域 図-3 航空写真から読み取った砂州及び汀線形状

(岸沖方向を拡大表示)

(3)

る.なお,磁北から時計回りに115°および25°回転し た方向をそれぞれ横軸,縦軸として表記している.砂州 の平面形状や配置は撮影年次により大きく変化するが,

いずれの場合においても,全体には,緩やかに屈曲した 弧状の汀線とおよそ平行な形で2段あるいは3段の多段 砂州が発達している.空間的な変化を見ると,一般に,

砂州形状は領域北部では滑らかな弧状であり,準2次元 的な様相を呈する.一方,中央部から南にかけてはリズ ミックな変動が強まり,砂州の屈曲や切断,分岐等の3 次元(平面2次元)的変化も確認された.

続いて,各測線に対する深浅測量解析結果を統合して 砂州峯の空間配置を解析した例を図-4に示す.横軸は測 線U00からの沿岸方向距離を,縦軸は離岸距離(測量基 点からの沖向き距離)を表している.なお砂州の移動・

発達が明瞭に捉えられなかった南北両端の測線(U00お よびH70)は除外して表記している.図中の円の中心が 砂州峯の岸沖位置を表し,円の面積が砂州の比高(図-5)

に比例している.砂州は周期的に生成・移動・消失を繰 り返すため,航空写真および前後の履歴から同じ世代の

(同時期に形成された)砂州に対応すると推定されるも のを同色で表示している.2003年の時点では,中央部か ら南部にかけて赤色で表示した砂州が最沖に位置し,

中・南部領域で沖から2番目に位置する砂州(青色)が 延伸する形で北部領域の最沖砂州として発達している.

北部領域ではこの砂州の背後にさらに緑色で表示した砂 州が形成されている.中央部から南部にかけて,赤色で 表示した最沖砂州は2006年頃まで安定に存在を続けてい

る.2007年以降は青色で表示した砂州が交代する形で最 沖となるが,こちらも安定的配置を維持している.一方,

北部領域においては,年次が進むにつれて,当初の最沖 砂州(青色)が沖向きに移動し,北寄りの測線から順次 消失している.2007年前後の最沖砂州の消失を受けて,

より岸側に位置していた砂州(緑色)が沖向き移動を加 速させる.その結果,測線H01とH03の間で砂州が分断 される形となり,2008年から2009年にかけて,新しい最 沖砂州(緑色)が1世代前の砂州(青色)と接続する様 子が示唆される.このとき,もう1世代ずつ新しい砂州

(緑色と黄色)も再接続を行ったと推定される.このよ うな砂州のSwitching(砂州が切断され別の砂州と繋がる)

は国外のNOMサイトでも報告されている(Shandら,

1999).

砂州の組織的沖向き移動が最も明瞭に現れる北部領域 に着目して,同一砂州の峯線位置をラグランジェ的に追 跡した結果を図-6に示す.北寄りの3測線で沖向き移動 が顕著であるが,測線H01,T80にかけて移動範囲が縮小 するなど,沿岸方向の特性変化が明瞭に見て取れる.

航空写真観察では,岸沖方向の砂州間隔は沖側ほど広 くなっている.こうした砂州の発達間隔について,深浅 測量結果に基づいて解析を行った.図-7は,岸側から数 えて1,2,3番目に位置する砂州峯の離岸距離(図-5)の関 係を示す.岸から2番目に位置する砂州峰の離岸距離

(Yc2)は,最も岸寄りの砂州の値(Yc1)と比較して約2 倍となっている.岸から3番目の砂州の離岸距離(Yc3) も2番目の砂州の2倍程度となるものが多く見られるが,

離岸距離が増加し,Yc2が500mを超えるあたりからYc3の 増加傾向が弱まっている.

図-4 砂州平面形状の解析例(2003-2010年)

図-5 砂州諸元の定義

図-6 北部領域における砂州峯線の経年変化例

(4)

図-8は砂州頂部水深と比高の関係を示す.全体に,頂 部水深3〜4m付近で比高は最大となる.この傾向は南部 の測線を除いて共通であるが,比高が増加から減少に転 じる水深の値は中央部ほど大きく,北部では北側に位置 する測線ほど小さい値となった.対応する形で,北部で の砂州比高は北側に位置する測線ほど小さくなっている.

(2)砂州移動の基本特性とその沿岸方向変化 航空写真解析結果からも推定されるように砂州配置の 基本特性は対象領域の南北位置により異なっている.図- 9には,解析領域の北部・中部・南部に位置する測線

(それぞれH40,N70,U20)を対象に,断面地形の経年変化 を例示した.砂州比高の最大値は多くの測線で4m以上 に達するが,特に北部領域の測線において砂州の活発な 岸沖移動が観察される.

図-10は,解析領域の北部・中部・南部に位置する測 線をピックアップし,砂州頂部位置および比高の経年変

化パターンを比較したものである.領域の北部に位置す る測線群(H03,H40,H60)において,砂州の周期的沖向 き移動が最も明瞭に現れる.この範囲では沿岸方向に連 続な砂州として連動して移動をおこなっているものと考 えられる.岸沖方向の移動範囲はおよそ1000m程度と大 きく,発達段階の移動速度も大きい(表-1).砂州配置は 3段となることが多い.測線位置がやや中央寄りとなる と(H01,T80,N70)周期変動時の岸沖移動範囲が600m程

図-7 砂州峯の岸沖位置の関係 図-8 砂州頂部高と比高

図-9 断面地形変化の比較

図-10 砂州頂部位置・比高の経年変化に関する比較例(円の面積:砂州比高に比例;中心:砂州頂部位置)

測線位置 最大比高(m)

岸沖存在範囲(m)

発達時移動速度(m/yr)

再現周期(yr)

北部

(H60,H40,H03)

3.5-4.5 1000 90-110

4-5

中央部

(H01,T80,N70)

4.0-4.2 600 60-90

5-6

南部

(N60,N50,U40)

4-4.5 400 岸沖移動

不明瞭

表-1 NOMパラメータの沿岸方向変化

(5)

度と狭まる反面,サイクルの再現周期は増加する.発達 段階の移動速度も小さく,消失段階では離岸距離をあま り変化させずに停滞するような形で消失する.このよう な移動形態の違いにより,両地域の境界部分では,先に 述べたようなBar-Switching等の砂州の不連続変化が生 じ,再現期間の相違をもたらしていると推定される.砂 州配置は2段となることが多く,3段配置も散見される.

なお,測線H01は,北部および中央部で説明した特徴を 併せ持つ遷移領域的な特性を示した.領域南部(N60, N50, U40, U20)においては,砂州形態が安定的となる傾 向が見られた.図-10(c)は,離岸距離250m付近に構造 物を有する測線の例であり,岸沖方向の砂州移動範囲は きわめて限定的である.領域南端(U00)では ,港湾構 造物の影響が強まり,砂州の発達は不明瞭となることが 多い.

(3)他地域との比較

続いて,オランダ・ニュージーランド・日本・米国な ど,世界各地で報告されているNOMの移動形態と比較検 討を行った.形成・移動・消失に対応する3段階のサイク ル構成は既往の報告と一致する.千里浜および隣接海岸 における外力および地質的条件として,外浜勾配や来襲 波浪の波形勾配はオランダでの報告例と類似するが,今 回の対象領域におけるNOM継続期間や再現周期は比較的 短い.砂州移動の活発な水深範囲と砂州移動の再現期間 の関係をプロットし,Ruessinkら(2003)の検討結果等と 比較したものを図-11に示す.今回の結果は他地域と比較 して短めの再現周期を示している.また,海底勾配が緩 やかで砂州の移動距離が長くなる北部領域で再現周期が 短くなる点(表-1)は,再現周期への海底勾配の影響は小 さいとしたGrunettら(2004)の報告と異なる.

5. 結論

本研究では,石川県千里浜海岸とその隣接海岸におい て取得された深浅測量データおよび航空写真に基づき,沿 岸砂州の形状変化特性を解析し,4〜6年前後で繰り返さ れる周期的変動特性とその沿岸方向変化に関する検討を

緩やかで砂州の移動距離が長くなる北部領域で再現周期 が短くなる点で既往報告と異なる傾向を示した.

謝辞:本研究で使用した測量データは,国土交通省北陸 地方整備局金沢河川国道事務所および石川県土木部河川 課より提供いただいた.また,本研究の一部は,日本学 術振興会科学研究費補助金の補助を受けた.ここに記し て謝意を表する.

参 考 文 献

石田 啓・高瀬信忠・長原久克・浦 良一(1984):渚ドライブ ウェーを有する千里浜海岸の現況と侵食対策,第31回海岸 工学講演会論文集,pp.355-359.

加藤一正(1984):長周期波と多段砂州の成因について,第31 回海岸工学講演会論文集,pp.441-445.

早川和宏・由比政年・石田 啓(2009):石川県千里浜海岸にお ける沿岸砂州の変動に関する基礎的研究,海洋開発論文集,

第25巻,pp.1197-1201.

松山正之・由比政年・石田 啓(2012):北部加越海岸における 海浜変動の沿岸方向変化に関する基礎的研究,土木学会論 文集B3(海洋開発),Vol.68,No.4, pp.I_600-I_605.

由比政年,楳田真也,早川和宏,川島弘靖,浦 貴暁,石田啓

(2010):千里浜海岸における海浜変動の基本特性に関する 研究,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol.66,No.1, pp.561-565.

Grunnet, N. M. and P. Hoekstra (2004) : Alongshore variability of the multiple barred coast of Terschelling, The Netherlands Marine Geology, Vol.203, pp.23-41.

Hayakawa, K., M.Yuhi, and H.Ishida (2009): Migration of multiple sandbars on the Chirihama Beach, JAPAN, Proceedings of Coastal Dynamics 2009, in CD-ROM, Paper No.140, pp.1-11.

Kuriyama, Y. (2002) : Medium-term bar behavior and associated sediment transport at Hasaki, Japan. Journal of Geophysical Research, 107(C9), 3132, doi:10.1029/2001JC000899.

Ruessink, B. G., K. M. Wijnberg, R. A. Holman, Y. Kuriyama and I.

M. J. van Enckevort (2003) : Intersite comparison of interannual nearshore bar behavior, Journal of Geophysical Research, Vol.108(C8), 3249, doi:10.1029/2002JC001505.

Shand, R. D., D. G. Bailey and M. J. Shepherd (1999) : An Inter-site comparison of net offshore bar migration characteristics and environmental conditions, Journal of Coastal Research, Vol.15, No.3, pp. 750-765.

Wijnberg, K.M. and J. H. J. Terwindt (1995) : Extracting decadal morphological behavior from high-resolution, long-term bathymetric surveys along the Holland coast using eigenfunction analysis, Marine Geology, Vol.26, pp.301-350.

Yuhi, M. and M.Okada (2011) : Long-term field observations of multiple bar properties on an eroding coast, Journal of Coastal Research, SI64, pp.860-864.

図-11 砂州移動の再現周期と存在水深範囲の関係

(Ruessinkら(2003)に基づいて作成)

参照

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