岡山大学大学院教育学研究科研究集録 第139号 (20OR)101‑110
教科 としての 目標達成 を目指す家庭科評価研究 ( 第 1報)
‑ 平成 2 0 年版学習指導要領に示 された学校教育の理念 と家庭科の位置づけ ・問題点 一
佐藤 囲 河原 浩子* 平 田美智子 * ・ 小橋 和子 ** ・ 原 田 省吾 **
本報 は,平成18年10月に 「高等学校必修科 目末履修問題」 をもた らした平成10年版学習 指導要領に示 された教育理念が,平成20年3月末に告示 された新学習指導要領で どの ように 捉 えなおされ,その中に家庭科が どの ように位置づけ られたのか。 さらに,家庭科が学校教 育の 目的達成のために寄与す るためには,どの ような課題が存在す るのか, という観点か ら, 文部科学省の新学習指導要領関係の資料 を分析 した。その結 果
,(
主)新学習指導要領では,辛 成10年版学習指導要領の教育理念 [生 きる力] を踏襲 して教育課程 ・内容の改訂が岡 られて いた。その中に,(i)小 ・中学校の家庭科は,従前通 り 「教科」 として位置づ け られ,(ぎ)[生 きる力] を構成す る 「豊かな人間性」
「健やかな体」 をは ぐくむための教科 として,家庭科 学習指導要領の 目標 ・内容が示 されていた. しか し,(彰中学校家庭科では,保育学習 と被服 学習の 臼的を学ぶ内容が欠落 しているため,⑤教科 として 目指すべ き他教科 では代替で きな い 「家庭生活 を営む力の育成」 と 「人格形成」が達成で きない とい う問題が論理的に明 らか になったOその課題 を解決す るため,本継続研究では,
岡山大学附属 中学校 で取 り組 まれて いる保育学習 と被服学習の 目的を学ぶための授業開発研究 を踏襲 し,その学習が どの ように f人格形成」に結びつ くのかを心理測定尺度の適用によ り検討す る評価研究 を試みる。Keywords :平成20年版学習指導要領,家庭科,教科のね らい ・原理,評価研究
l 問題の所在一教育改革 が もた らした学校教育の 現実 と家庭科‑
1.平成10年版学習指導要領 の理念
周知の ように,平成10年版学習指導要領 は,平 成8年7月の中央教育審議 会答 申 「21世紀 を展望 した我が国の教育の在 り方」 を踏 まえ
,
「変化の激 しい社会を担 う子 どもたちに必要 な力 は,基礎 ・基 本 を確実 に身に付 け,いかに社会が変化 しようと,自ら課題 を見つけ, 自ら学び, 自ら考 え,主体的に 判断 し,行動 し, よ りよく問題 を解決す る資質や能 力, 自らを律 しつつ,他人 とともに協調 し,他人を 思いやる心や感動す る心 などの豊かな人間性 ,た く ま しく生 きるための健康 や体力 な どの 『生 きる力』
であ るとの理念 に立脚 している。 この 『生 きる力』
は. 自己U‑)人格 を磨 き.昏かな人生 を送 る上で も不
吋欠である
。
」 1)として,〔ゆ とり〕の中で 〔生 きる JJ」の育成 を基本 とし, 子ども一人 ひとりに 「確か な学力」
「豊か な人間性」
「健やかな体」 を育 むため の教育改革が 目指 され,′」、・中学校 で は平成14年 度か ら,高等学校 で は平成15年度か ら,完全実施された。
2.高等学校必修科 目未履修問題
しか し,平成18年10月,世 間を揺 るがす高等学 校必修科 目末履修問題が持 ち上が ったCそれは,岡
山県で も例外 ではなかったし
岡山県知事部局総務学事課 と岡山県教育委員会指 導課がそれぞれ,平成18年12月12日と10月26日
に公表 した県下の高等学校必修科 目末履修の実態 を まとめると,表 1になる0 2日 '
岡山大学教育学部家庭講座,700‑8530 聞tLJ市津島IP3‑1I1
HomeeconomICSevaluationresearchthatalmsataCCOmPllShmentofagoatassubject(l):Theideaofthe academictralnlng,andthelocationandproblem oftheHomeEconomicsshownin2008versioncourseofstudy SonoSATO,HirokoKAWAIIARA*,MichikoHIRATA*,KazukoKOBASHI*=t̀,andSyogoHARADA**
DepartmentofHomeEconomicsEducation,FacultyofEducation,UkayamaUnlVerSity,3‑1‑1 Tsushima‑naka,()kayama700‑8530
*GraduateSchoolofEducation(Master'sCourse).Okayam aUILiversity
榊JurdorIIighSchoolAttachedtotheFa(・ultyofEducation,Okayam aUniversity,2‑13‑80,Higashiyama,Okayama,703‑ 8281
佐 藤 園 ・河原 浩子 ・平田美智子 ・小橋 和子 ・原田 省吾
表 1 岡 山県 高 等学校 にお ける末履修 教 科 ・科 目 と生徒 数
教 科 地理歴史 公 民 理科 情報 保健体育 芸 術 家庭 総A⊂】 対象
世 世 日 日 地 地 覗 倫理 政 理 物 情 情 煤健 ■トつ=●一 莱
罪史A B A B A B罪史 本史 本史 理 理 代社A'=i 経演ごム′日 料樵AB∩ 理 鶴Ⅰ A C
鶴
術 庭塞礎 早習 坐徒敬 合 計 学 科 数 3年 10 4 5 4 2 2 2 2 1 3 0 2 3 4 3 6 20.22781079 合 計 学 科 数 2年 3 4 2 2 1 2 1 1 0 4 0 1 2 2 2 3合 計 学 科 数 1年 0 2
0 0
0 0 0 0 00
1 0 1 1 2 30
284岡 山県 で は, 7教 科16科 目 と r総 合 的 な学 習 の 時 間 」 の 末 履 修 が 確 認 さ れ , 対 象 生 徒 数 は 延 へ 3,641人 に及 ん で い た。 そ の 中 に は,家 庭 科 必 修 科 目 「家庭 総合」 も含 まれ てお り,未履 修 対 象 生徒 数 は, 3年 生550名, 2年 生204名, 1年 生195名, 計949名 であ った。
この 問題 に直面 し,私 達 は,家庭 科 に携 わ る者 と して 「未履 修 は許 され ない」 とい う憤 りを覚 えた。
しか し, 同時 に 中学生 ・高校 生 の母 親 で あ る平 田 ・ 河 原 は
,
「で も.受験 を控 え た この 時 期 に,子 ど も の負担 は少 ない方 が ‑」 とい う相 反す る思 い も持 リ た。 そ して 「なぜ , この よ うな本 来 は起 きて は な ら ない問題 が生 じて しまったの だ ろ う」 とい う疑問 を 抱 かず にはい られ なか った。これ に対 し,北 日本新 聞社 編 集 局が 出版 した 末履 修 問題 をテーマ と した 『瞳 み つ め て』 4)で は,高等 学校 の教 諭 ・管 理職 ,教 育委 員 会 ,保 護者 ,生徒 か ら取材 を行 い, そ の分析 を通 して, 末履 修 問題が生 じた原 因 を解 明 しよう と して い る。
それ を読 む と,根 幹 にあ るの は r進学 実績 重視 の 風 潮 」 で あ り, そ の上 に,平 成10年版 学 習 指 導 要 領 が 目指 した 「学校 週5日制 とゆ と り教 育」に よ り,
「受験 教 科 にあ て る時 間 の減 少」 と 「入試 科 目 と学 習指 導 要領 との ギ ャ ップ」 が重 な り,未履 修 問題が 生 み 出 され た と考 え るこ とが で きる。
一体 , この よ うな末履 修 問題 を隼.ん だ 邑ゆ と り l の 中で 〔生 きる力 、1の育成 を基 本 と した教 育改 革 と は何 だ ったの だ ろ うか。
3.本報 の 目的 と方 法
この未履 修 問題 と時期 を同 じ く して,次期 学 習指 導 要領 改訂 に向 けて,教 育 の検 討が 始 まった。 平成 20年1月 に は, 中央 教 育 審 議 会答 申 「幼 稚 園 ,小 学 校 , 中学校 ,高等 学校 .及 び特 別支援 学校 の学 習
指導 要領 の改 善 につ いて j(以下
,
「中教 審答 申」 と 称 す)が提 出 され たOそ の 後,2月 に 「中教 審答 申」 の方針 に基 づ く小学校 ・中学校 の 『学 習指 導要領 案』が 公表 され, 全国か らパブ リ ック コ メ ン トが募 集 さ れ たO それ らを反 映 しなが ら, 3月下旬 に 『小学校 学 習 指 導 要 領 』 J)『中学 校 学 習 指 導 要領』 6) (以 下 ,
「新 指導 要 領 」 と称 す) が公示 され た。
「新 指 導 要 領 」 に示 され た学 校 教 育 で は, 未履 修 問題 を生 ん だ平 成10年 版 学 習 指 導 要 領 に基 づ く教 育 を どの よ うに捉 え, どの よ うな理念 に基づ き新 た な学 校 教 育 を構 想 して い るの か。 また , そ の 中 に,
「家庭 科 」は ど う位 置 づ け られ, どの よ うな 目標 ・ 内容 が指 導 要 領 に示 され たの か。 さ らに,家 庭科 が
‑教科 と して ,学校 教育 の 目的達成 に寄与 して い く ため には, そ こに どの ような課題 が存 在 して い るの か。 本報 で は,以 上 の 問題 を,一連 の文 部科 学 省 の
「新 指導 要領 」 関係 の資料 か ら検 討 してみ たい。
JI.平 成20年 版 学 習 指 導 要 領 に示 され た学 校 教 育 の構 想
1.子 どもた ちの現 状 と課 題
「中教 審答 申」 で は,各種 調 査 結果 に基 づ き
,
「子 ど もた ちの 現 状 と課 題」
「そ の 課 題 の 背 景 ・原 因」
を分析 して い る。
(1)子 どもた ちの学 力 と学 習 の課題
「7‑と もた ちの学 力 と学 習 状 況」 に関 して は,汰 の二 つ の課 題 を指摘 して い る。
・‑各種調査の結果からは,展礎的 ・巷本的な知識 ・技能 の習得については,個別には課題のある事項もあるもの の,全体としては一定の成果が認められる, しかし,忠 考JJ・判断力 ・表現力等を問う読解力や記述式の問題に 課鞄がある。これらのノJは現行学習指導要領が重視 し,
教科 としての 目標達成 を目指す家庭科評価研 究 (第1報)
子 どもたちが社会において必要 とされる力であることか ら,大 きな課題であると言わざるを得ない。 7'
‑全国学力 ・学習状況調査では トビもたちの学習意欲 や学習習慣 ・生活習慣の状況について も併せ て調査 を 行い, これ らと正答率 との相関関係 について分析 して いる。その結果,家で学校 の宿題 をす る,家の人 と学 校での出来事 について話 をす る,朝食 を毎 EL食べ る, 学校 に行 く前に持 ち物 を確認す る,学校の きまり ・規 則 を守 っている, と回答 した子 どもの 方が正答率が高 い傾向が見 られた。 この ように,基本的な学習習慣や 生活習慣の確立 と正答率には‑一定の相関関係があるこ とが うかがえる。
また,読書が好 き,人の気持 ちが分かる人剛にな り たいと考 えている子 どもの方が,止答率が高い傾向に あった。8'
(2) 子 ど もの心 と体 の課 題
「子 ど もの 心 と体 の 状 況 」 に 関 して は , 次 の 三 つ の 課 題 を指 摘 して い る。
いわゆる小 1プロブ レムや学級崩壊 な どにみ られる ような自制心や規範意識の希薄化,生活習慣 の確立が 不十分であることや問題行動等,い じめやい じめによ る子 どもの 自殺,体力の低下 な ど,‑[・どもたちの心 と 体の状況にも課題は少な くない。
また,自分に自信があるIf・どもが伺際的に見て少ないO 学習や将来の生活に対 して無気力であった り,不安を感
じた りしている子 どもが増加す るとともに,友達や仲間 のことで悩む子 どもが増えるなど,人間関係の形成が困 難かつ不得手になっているとの指摘 もある。附
子 どもの心身の発達 については,社会環境や生活様 式の変化が,様 々な影響 を与 えている。体力 ・運動能 力調査の結果 など,子 どもたちの体力水準が全体 とし て低下 していることが うかがえるとともに,積極的に 運動す る子 どもとそ うでない ㌢どもに分散が拡大 して いるとの指摘がある.HD
この ように,子 どもたちをめ ぐる環境の変化 なとを 背景に,学習意欲 と同様 に,生活習慣や 自分への自信, 体力などについて も,個人差が広が っているな どの課 題がある。 川
(3) 子 と もた ちの現 状 と課 題
以 ヒを ま とめ
,
「中教 審 答 申」 で は , わ が 国 の 子 ど も た ちの 現 状 をみ た 場 合 , 評 価 す べ き点 も少 な力 」 と して 重 視 して き た 思 考 力 ・判 断 力 ・表 現 力
等 , 学 習 意 欲 や
,
「豊 か な 人 間 性」
「健 や か な 体 」 と して 目指 して き た 学 習 習 慣 ・生 活 習 慣 , 自分 へ の 自信 や 自 らの 将 来 に つ い て の 関 心 , 体 力 , 人 間 関 係 の 形 成 な ど に 課 題 が あ り,
「基 本 的 な生 活 習 慣 の 確 立 」 と 「学 力 」 に は 一 定 の 相 関 関 係 が あ る と 分 析 して い る。(4) 課 題 の 背 景 ・原 因 一社 会 ・家庭 ・地域 の変化 ‑ 更 に , これ らの 現 状 を生 み 出 した背 景 ・原 因 と し て , 次 の3点 の 社 会 ・家 庭 ・地 域 の 変 化 を指 摘 して い る,,
しか しなが ら,豊かな時代 を迎 えるとともに,核家 族化や都市化の進行 といった社会や ラ イフス タイルの 変容 を背景 に,家庭や地域の教育力が低下 していると 指摘 されてい る。実際 に,生活習慣 の確 立が不十分, 親や教師以外 の地域の大人や異年齢の了・ともたちとの 交流の場 や 自然体験 の経験 の減少 な どが生 じている。
また,内閣府 の調度で も,保護者 自身が,子育てや教 育の問題点 として,第 一に 「家庭での しつけや教育が 不 十分であること」 をあげている。12'
・・・チビもたちの学習意欲や生活習慣 , 自分へ の 自信, 体力な どについて個 人差が広が っているとの指摘 の背 景には,家庭 をは じめ子 どもたちを取 り巻 く環境の在
り方が影響 を及ぼ していると考えられる。J3'
さらに,非L:.規雇用者が増加するといった雇用環境 の変化の ・方で,18歳人目の減少に伴 う 「大学全人時 代」が到来す る中で,子 どもたちが将来に不安 を感 じ た り,学校 での学習 に自分の将来 との関係 で意義 を見 いだせず にいた りして,学習意欲が低下 し,学習習慣 が確立 しない といった状況が見 られる。 この ような,壁 化についての認識は保護者の意識調査にも現れている。
このことも, 自らの知識 ・技能 を活用 して,未知の問 題や課題 につ いてねぼ り強 く考 え,表現 しようとい JJ 姿勢が子 どもたちに乏 しい との国際学力調査の一国に
もなっている。
また,将来の備 えよ りも今を楽 しむ社会風潮 もこれ らの状況を助長 している。 J4)
2.こ れ か らの 学 校 教 育 の 理 念
「中 教 審 答 申」 で は , 以 上 の 子 ど もた ち の 現 状 と 課 題 , そ して そ れ ら を生 み 出 した社 会 ・家 族 ・地 域 の 変 化 か ら, 平 成18年12月 に約60年 ぶ りに改 正 さ れ た教 育 基 本 法 と学 校 教 育 法 の 規 定 を踏 ま え, 学 習 指 導 要 領 改 訂 の 基 本 的 な考 え 方 を示 した。 そ れ は , 文 部 科 学 省 か ら配 布 され た リー フ レ ッ ト 「学 習 指 導
佐藤 園 ・河原 浩 子 ・平 田美智子 ・小橋 和 子 ・原 田 省吾
要領がかわ ります」 15'の中に,以下の ように説明さ れている。
「生 きる力」 をは ぐくむ とい う理念 は これ まで も, これか らも大切 16)
「生 きる力」 とは ?知 ・徳 ・体 のバ ラ ンスの とれた 力変化の激 しい これか らの社 会 を生 きるため に,碑か な学力,豊か な人間惟 ,健康 ・体力の知 ・徳 ・体をバ ランス よく育てることが大切です
これ までの学習指導要領で も,子 どもたちの 「生 き る力」 をは ぐくむこ とを目指 して きました∩ これか ら も 「生 きる力」 をは ぐくむとい う珊念はかわ りませんI・'
新 しい学習指導安部 では,学校 で ナビもたちの l作.き る力」 をよ りいっそ うは ぐくむことを耶 旨します 1い
平 成10年 版 学 習 指導 要領 が 目指 した教 育 理 念
「生 きる力」 は間違 ってお らず, む しろ変化の激 し いこれか らの社会を考 えるとます ます重要になって
くる。平成10年版学習指導要領 で は,その理 念 を 達成す る内容や方法に問題があった として,次のよ
うな 「今回の改訂のポ イン ト」 を示 している。
教育基本法の改正等 で明確 になった教育理念 を跨 まえ て教育内容 を見直 します
学力の重要な3つの要素 を育成 します
道徳教育や体育 な どの充実 によ り,豊 か な心 や健 やか な体 を育成 します 】n
以上 を文部科 学省教育課程部 会配布 資料2‑りを参 考にまとめると表2になるO
3.新 しい学習指導要領の具体的 な改善内容 さらに,表2の理念 を受け,文部科学省の 「リー フレ ソト」では
,「
Fゆ とり」か 『詰め込み』かでは な く,基礎 的な知識技能の習得 と思考力 ・判断力 ・ 表現力の育成の両方が大事です‑それぞれの力 をバランスよ くのば してい くために,教科等の搾業時数 を増加 し,教育 内容 を改善 します」 と して,次 の
「新指導要領」の具体的な改善内容 を示 している∩
(1)授業時数の増加 1)小学校
○国語 ・社会 ・算数 ・理科 ・体育の授業時 間 を6 年間で約 1割増加
○週 当た りの授実 時数 を1・2年生 で週2時 間, 3‑ 6年生で過 1時間増加
2)中学校
○国語 ・社 会 ・数学 ・理科 ・保健体育 ・外 国語の 授業時数 を3年間で約1割増加
○過当た りの授業時数 を各学年で週1時間増加 3)授業時数の増加 は,「詰め込み教育」への転換で
はな く,主に次の学習を充実す るために行 う (丑つ まず きやす い内界 の碓 :Rな習得 を図 るための
繰 り返 し学習
②知識 ・技 能 を活 用す る学習 (観察 ・実験 や しポ ー ト作成,論述 など)
(2)具体的 な改善内容 1)言語の力 をは ぐくむ 2)理数の力 をは ぐくむ
○‡‡数 ・数学,鞭科 の授業時数 を増加 し,観察 ・ 実験や反復学習などを充実
○国際 的 に適用 す るカ リキュラムにす るな どの観 点か ら、数 える内容 を充実
3)外 国語教育の充実
(つ小学校5 ・6年隼で,英語 を中心 と した 「外 国 語活動」 を導入
(JLP学校 では聞 く ・点す ・.読む ・書 く力 を総合的 に育成す る
4)伝統や文化 に関す る教育の充実 5)新 しい時代 に対応 した教育の充実
(二)環境境域 :持続 叶能 な社 会 をつ くるこ との重要 作
⊂)家族 と家庭 に関す る教育 :家庭生活の大切 さ し)食育 :望 ましい食習慣 の形成
亡)消部署教育 :消 粥者の基本的 な権利 と責任 につ いての理解
(二)情報教育 :情報の隅用,情報モ ラ)i,
(二)特 別支援教育 : ・人 一人の障害の状態 に応 じた 指導の工 人
6)規範意識や他人を思いやる心 をは ぐくむ 7)健やかな体 を育てる
8)総合的 な学習の時間は,「生 きる力」 をは ぐくむ ために引 き続 き重要
9)学校過 5日制は継続する2日
これ らの観点か ら改善 された 「新指導要領」 は, 平成21年度か らの先行実施 を経 て,小学校 では平 成23年度,中学校 では平成 24年度か ら全面実施 さ れる。lZ?I
日.平成 20年版学習指導要領 に示 された学校教育 における家庭科の位置づ け
それでは,以上の ような 「新指導要領」 に示 され
教科 としての 目標達成 を 目指す家庭科評価研 究 (第 1報)
表2 平成20年版 学 習 指導 要領 に示 され た学校教 育 の理 念 と家庭 科 の位 置 づ け
(第 ュ条)教育 は,人格の完成 を目指 し,平和で民主的 な国家及び社会の形成者 として必要 な資質 を 備 えた心身 ともに健康 な国民の育成 を期 して行われなければならない。
(第2条)教育は,そV)目的を実現す るため,学 問の 自由を尊重 しつつ,次 に掲 げる 目標 を達成す る よう11‑・わjtるもの とする。
1.幅 広 い知識 と教養 を身に付 け,心理 を求める態度 を養 い,豊か な情操 と道徳心 を培 うとともに 健や か な 身 体 を 養 う こ と。
2.個人の価値 を尊重 して,その能力 を伸ば し,創造性 を培 い, 自主及び日経の精神 を養 うとともに, 職業及び生活 との関連 を重視 し,勤労 を重んずる態度 を養 うこと。
3.正義 と責任 ,男女の平等 , 自他 の敬愛 と協力 を重 んず る とともに,公兵の精神 に基づ き,主体的 に社会の形成 に参画 し,その発展 に寄与する態度 を養 うこと。
4.生命 を尊 び, 自然 を大切 に し,環境の保全 に寄与す る態度 を養 うことり
5.伝統 と文化 を尊重 し,それ らをは ぐくんで きた我が国 と郷土 を愛す る とともに,他国 を尊重 し, 同際社会の平和 と発展 に寄与す る態度を養 うこと。
(第21粂)義務境域 として行 われる普通教育は,教育基本法 (平成18年法律第120号)第5粂第2項 に 規定す る 目的を実現するため,次 に掲げる 目標 を達成す るように行われるものである。
1.学校 内外 における社会的活動 を促進 し, 自主, 自律及 び協 同の精神,規範意識,公正 な判断力並 びに公共の精神 に基づ き主体的に社会の形成に参画 し,その発展 に寄与す る態度 を養 うこと。
2.学校 内外 における 自然体験活動 を促進 し,生命及び 自然 を尊重す る精神 並びに環境の保全 に寄与 す る態度を養 うこと。
3.我が国 と郷土の現状 と歴 史について,正 しい理解 に導 き,伝統 と文 化を尊重 し,それ らをは ぐく んで きた我が国 と郷土 を愛す る態度 を養 うとともに,進んで外 国の文化の理解 を通 じて,他国を尊 壷 し,国際社会の平和 と発展 に寄与する態度を養 うこと。
4,家族 と家庭の役割,生活 に必要 な衣,食,住,情報 ,産業 その他 の事項 について基礎 的な理解 と 才朋 巨を養 うこと。
5.読書 に親 しませ,生活に必要な国語 を正 しく理解 し,使用す る基礎的な能力を養 うこと0 6.生活に必要 な数量的な関係 を正 しく理解 し,処理す る基礎 的な能力 を養 うこと。
7.生活 にかかわる自然現象 について,観察及び実験 を通 じて,科学的に理解 し,処群す る基礎 的 な 能力を適 うこと。
8.健康,安全で幸福 なせ1.TTのために必要 な習慣 を養 うとともに,運動 を通 じて体ノJを適い,心身o)
調和 的発達 を周ること,,
9.生活 を明る く豊かにす る音楽,美術,文芸その他の芸術 について基礎的な理解 と技能 を養 うこと。
10.職業 についての基礎 的 な知識 と技能,勤労 を重 んず る態度及び個性 に止こじて将来の進路 を選択す l
る能力 を養 うこと。 l
〔生 きる力〕
(自立的に生 きるために必要 とされる力)
確 かな学力 豊かな人間性 健 やかな体
○基礎的 .鹿本的な知識 .技能 ○道徳的価値 ○健康の保持増進
・知識技 能の体験 的 な理解 と実生活へ ・自分 自身に関すること ○ た くま しい心身
の活用 を塵視 ・他者 とのかかわ り
・概念や原坤 .法則の理解を深め,知識 . ・集団や社会 とのかかわ り 技能の体系化 .活用 を塵祝 ・自然や崇高な ものとのかわ り
家 庭 科
た 学 校 教 育 に お い て , 家 庭 科 は ど う位 置 づ け られ , 1. 平 成20年 版 学 習 指 導 要 領 に お け る 家 庭 科 の 位 どの よ う な学 習 指 導 要 領 の 改 訂 が 行 わ れ た の だ ろ う 置 づ け
か。 「新 指 導 要 領 」 に お い て 家 庭 科 は , 従 前 通 り, 小
学 校 「家 庭 」, 中 学 校 「技 術 ・家 庭 」 の 名 称 で 「教
佐藤 園 ・河原 浩子 ・平田美智子 ・′ト橋 和子 ・原旧 省吾
科」として教育課程 に位置づけ ちれた。学習時間は, 平成10年版学習指導要領 と同様 に,小学校 第5学 年60単位 時 間,第6学年55単位 時 間, 中学校 第 1 ・2学年70単位時間,第3学年35単位時 間が配 当 された。 23)
2.新学習指導要領家庭科の 目指す もの と改善の具 体的事項
以上の位置づ けを受 け,小学校 「家庭」,中学校
「技術 ・家庭 (家庭分野)」の学習指導要領の改訂が 行われた。
それに際 し,文部科学省初等中等教育局教育課程 教科調査官 岡陽子氏 は,家庭科の 目指す ものを次の ように述べている。
家庭科教育においては,以上の社会の変化 に対応 し つつ,その根底 を貫 く 『人が家族や他 者, 自然 と関わ りなが らよ りよ く生活す る』 とい う普遍的 な価値 を基 盤 ヒして,社 会において 自立的 に生 きる基礎 を培 う教 科 として,その充実を目指 してい きたいoll4'
さらに, これ を達成す るため に,「■自己 と家庭 , 家庭 と社 会 とのつなが りを重視 し,生涯の見通 しを
もって, よ りよ り生活 を送 るための能力 と実践的な 態度 を育成す る視点か ら,子 どもたちの発達の段階 を踏 まえ,学校段 階に応 じた体系的な目標 や内容 に 改善 を図る」 とい う基本方針の もと,学習指導要領 の改訂 を行 った として
,
「改善の具体 的事項」 を次 の2項 目に分けて解説 している。(1)内容構成 一小中とも4つの内容 に構成 ‑ (2)社会の変化への対応
ア 家族 ・家庭 に関する教育の充実 イ 食管の推進
り 社会 において主体 的に生 きる消費者 を育 む視点 の重視
工 生活文化の継承 と発展の視点の重視 125'
3.学校教育における家庭科の位置づ け
以上 を表2に示 した 「新 しい学校教育の理念 Jに 重ねてみ ると,家庭科 は 「生 きる力]の中の I確か な学力」 よ りも
,
「豊かな人間性」「健やか な体」 をは ・ぐくむための教科 として,学習指導要領の具体的 な改善がな された と考 えることがで きる。
これは,先の 「中教審答 申」で示 された 「子 ども たちの現状 と課題」か ら捉 えなおす と
,
「学力 ]と 相関関係 にあった 「基本的 な生活習慣 の確立」や,自分‑の 自信や 自らの将来についての関心 ・体力 ・
人間関係の形成 に家庭科が携わることを意味 してい る。 したが って, もし,未履修 などの問題で子 ども が家庭科 を学ぶ権利 を奪 われた場合,確かな学力の 育成 と人間 として社 会において 自立的に生 きる力の 育成 も保証 されないことになる。家庭科 は 「受験 に 関係 ないか ら学 ば な くて もよい教科 」 で は な く,
「受験 の学力 を伸 ばす ため に も, また,人間 として 自立 してい くために も学 ばなければな らない教科」
として学校教育 に位置づけ られた と言えるのではな いだろうか。
〟.平成 20年版学習指導要領 に示 された家庭科 の 目標 ・内容 と問題点
それでは,以 上の学校教育 における位 置づけを受 けて,平成 20年版学習指導要領 で は, どの ような 目標 を設定 し,内容 を編成 したのだろうかOそ して, それは,学校教育 における家庭科の役割 を達成で き るものにな り得ているのだろうか。
「教科」 としての家庭科の 「ね らい ・原理」か ら, 考えてみたい。
1.教科の 「ね らい ・原理」
学校教育 に しか存在 しない教科 は,各教科が依拠 す る固有の 「科学 ・学問を基盤 とす る法則 ・理論の 系統的な学習」 を原理 として,その教科で しか達成 で きない 「科学的認識の形成」 をね らい とする とこ ろに,教科 と しての独 自性 ・存 在価値 が求め られ るL)
2.教科 と しての家庭科のね らい ・原理
以上の考 え方 に立脚 して,教科 としての家庭科の ね らい ・原理か ら,家庭科 の 目標 ・内容 を捉 えてみ よう。
(1)家政 学 にお ける 「(家庭 )生活 の営 み」 の定 義
周知の ように,家庭科の固有の学問領域 となるの は,家政学である。
家政学 で は, 人間の 「(家庭)生活」 を研 究対象 とす るが,その 「(家庭)生活 とその営み」の捉 え 方は,家政学者松 島千代野氏 によって,次の ように 説明 されているQ
私 は,生活 とは, 人間 とその環境 との関係 にあ る側 面 (家庭 の生産性) と,家庭生活 を形成す る人間 と人 間の相互 に影響 しあ う,感情 あるいは情緒 の側 面 (家 族の統一性) に二つ の過程 を経 て,一定の行動様式 を 形成す る謂活動 であ る, とい うようにエ コロジカルに
教 科 と して の 目標 達 成 を 目指 す 家 庭 科 評 価 研 究 (第1報)
(家 庭 ) 生 活 を と らえ て い る。 も ちろ ん , どの 所 説 もそ れ を暗 示 して い な い もの は な い が , 私 は 特 に 人 と環 境 の相 互 作 用 , 相 吐依 存 の 原 理 を表 面 に打 ち 出 した い0 26'
さらに
,
「生活のエ コロジカルな とらえ方」 に関 しては,
「人 と環境,人 と物 ,人 と人との生態学的 三作用」 27)として定義 している。これか ら,図1に示す よ うに,家 政学 において
「(家庭)生活 」は
,
「生活の主体者 であ る人間 と生 活す るために必要な環境 (人 ・環境 (以下,
「狭義 の環境」と称す) ・物 との相互作用 により営 まれる」と定義 されることがわかる。
人間が生活す るために必要 な環境の三側 面である
「人
」
「狭義の環境」
「物」 の構成要素 と しては,そ れぞれ,
r家族,子 ども (乳幼児)」
「資源 (時間 ・ 金銭等),住属 」
「被服,食物」が必要であ り,各構 成要素の構造等 を解 明す るために,家政学の各研究 分野 「家族関係学,保育学」
「家庭経営学.住居学」「被服学,食物学」が存在 している.二,
(2)教科 と しての家庭科のね らい ・原理
以上の定義か ら
,
「(家庭)生活」 を学習対象 とし て,学習者 の 「(家庭)生活 をよ りよ く営 む力 の育 成」 を目指す家庭科のね らい ・原理 を捉 えると,図1の ようになるO
平成20年版学習指導要領 中学校 家庭科 の 目標 ・内容
図1 教科 としての家庭科のね らい ・原理 と平成20年版学習指導要領 に示 された 中学校家庭科の 目標 ・内容
佐藤 園 ・河原 浩子 ・平田美智子 ・小橋 和子 ・原田 省吾
表3 平成20年度版学習指導要領 に示 された中学校 家庭科 の内容編成
人 環 境 狗
A 家族 .家庭 と子 ど もの成 長 D 身 近 な消 井生 活 と環 境 C 衣 生 活 .住 生 活 と自立 l B 食 生 活 と自立
目
的 (1)自分 の成 長 と家族 (1)家 庭 生 活 と消 畔(2)家 庭 生 活 と環 境 (2)人住居 の機 能 とす まいJ) (1)食 生所 と栄 兼える
内
容 (2)家庭 と家 族 関係 (3)幼 児 の生 活 と家族 (1)衣 服 の 適 訳 と手 入 れ (2)El'fit;食 の 献 立 と食 品 の 選 び 方
a 特赦 り . 食品の機水と札丑
切な選択
法 . 遊びの舌炎火の制作 (3)衣 Lk活 、 住 生活 な どの 1:夫 (3)坐口端■食の調 和 と地域 の 食文 化
'ウ 幼児 とのふれあい
り方の工夫
家庭科 では,生活 の主体者 であ る 「学 習者」が, 生活す るため に必要な 「人 (家族,子 とも (乳幼児)
」
「狭 義 の環 境 (資 源 (時 間 ・金銭 等), 住 居
」
「物 (被服,食物)」 の三側面か ら成 る l環境」 に主体 的 に働 きか け,相 互作用 した時,初 め て 「(家庭)坐 活 を営 む」 ことを,捉 えることがで きる。したが って,家庭科 では,家政学の各研 究分野で 解 明 された 「法則 ・理論の系統的な学習」を 「領域」
として学習 内容 を編成 し,その学習 を通 して,学習 者 に 「自分 と環境 とのかかわ り」,す なわち 「なぜ,
自分 は環境 とかかわって生活 していか なければな ら ないのか」 を探 求 させ るこ とを原理 と し
,
「(家庭)生活 に関す る科学的認識 を形成す ること
i
をね らい として達成す ることによって,現 在お よび将来にわ たって,
「(家庭)生活」 を営 む力 を育成 し,それ を 通 して学校 教育 の 目的であ る学 習者 の 「人格 形成J
を行 ってい くこ とが,他教科 には代替で きない教科 と しての家庭科 の独 自の役割 となる。
3.平成20年版 学習指導要領 に示 され た家庭科 の 目標 ・内容 と問題点
それで は
,
「新 指導要領」 で は, どの ような家庭 科 の 目標 ・内容 が示 されたのだ ろ うか。本報で は, 義務教育 の最終段 階である中学校 「技術 ・家庭 (莱 庭 分野)」 (以下,
「中学校 家庭 科」 と称す) を対象に考察 を行 ってみたいO
(1)中学校 家庭科の 目標2円)
「新指導要領」 に示 された中学校家庭科 の 目標 は, 図1に示す ように構 造化 して捉 えることがで きる。
これをみ る と, 中学校 家庭科 の 目標 は,中間 目標 に教科のね らい としての l科学的概念」 を示す 「理 解」 目標 の習得 を通 して,上位 目標 で,教科学習で 唯 一形成す ることがで きる 「人格」 に相 当す る 「態 度」形成 を 目指 そ うと していることがわかる二 (2)中学校 家庭科の内容29)
この教科 と しての家庭科 の 目標 を達成す るための 内容 は,Lx11に示す ように,「A 家族 ・家庭 と子 どもの成長
」「 B
食生活 と自立」「 C
衣生活 ・住 生活 と自立」rD 身近 な消 費生活 と環境」 の4つ の内容で組織 されている。この4つ の 内容 を
,
「(家庭 )生 活 の営 み」 の定 義 ・家政学 の 各研 究分野 と対応 させ てみ る と,「 C
衣生活 ・住 生活 と自立」 は
,
「狭義の環境 」の構 成 要素であ る 「住居」 と 「物」の構 成要素である 「被 服」 に関す る内容が 含 まれている。 この内容編成の し方 では. 「被服 学」 と 「住居 学」 で解 明 された法 則 ・理論 を系統 的 に組織す ることは論理 的に困難で ある。教科 としての目標達成を目指す家庭科評価研究 (第1報)
表4 家庭科の評価の観点及びその趣 旨
生 活 や技 術
‑ の 関心 . 家庭分野 衣食住や家族の生活について関心 を持ち,家庭生活 をよりよくするために知識 と技術 を(趣 旨) 生活や技術について関心を持ち,生活を充実向上するために進んで実践 しようとするo 意欲 .態度 進んで活用 しようとする○
生 活 を工 夫し創 造 す る (家庭分野 衣食住の家族の生活について見直 し,課題 を見つけ,その解決をE趣 旨) 生活について見直 し,課題を見つけ,その解決を目指 して自分なりに工夫 し創造する○I指 して家庭生活をよ 能力 りよくするために工夫 し創造する○
生活の技能 (趣 旨) 生活に必要な基礎的な技術を身につけている○
家庭分野 生活の自立に必要な衣食住や家族の生活に関する基礎的な技術 を身につけている○
生 活 や技 術につ い て
の
知識 .理解
(
趣 旨) 生活や技術 に関する基礎的な事項や生活 と技術 とのかかわ りについて理解 し,知識 を身 につけているo家庭分野 家庭の基礎的な機能について理解 し,生活の 自立に必要な衣食住や家族の生活に関する
さらに,A‑Dの具体 的 な内容 を
,
「(家庭)生活の営 み」 の定義か ら分類 してみ る と,表3になる。
『学習指導要領解説』が未 だ公刊 されていないため, 詳細 な内容 を判断す ることはで きないが,指導要領 に示 された内容 の記述 で判 断 した限 りにお いて も,
「 A
家族 ・家庭 と子 どもの成長」 の保育 学習 に相 当す る 「子 どもの成 長」 と,「 C
衣生活 ・住生活 と自立」の被服学習 に相 当す る 「衣生活の 自立」 に おいて, 11学習者 と子 ども (幼児) 」
「学習者 と被服」がかかわる 「目的」に相 当す る内容が設定 されてい ない。
(3)平成20年版学習指導要領 に示 された中学校 家 庭科の問題点
以 上を図 1の 「(家庭)生活 の営 み」 の定義 か ら 捉 えなおす と
,
「新指導要領」 に示 され た中学校家 庭科の内容 を学習 して も,
「学習者 とチビも (幼児)」「学習者 と被服」がかかわ る 目的が欠落す るこ とに な り,教 科 と しての家庭科 が育成 すべ き 「(家庭) 生活 を営 む力」は保証で きない ことになる。さらに, それは,学校教育の 目的である学習者の 「人間形成」 を行 ってい くことがで きない とい う問題 に繋が って い くと考 え られ る。
∨.教科 と しての 目標 を達成 す るための家庭科の課 題
1.学校教育における教科 と しての 目標達成のため の中学校家庭科の課題
これ まで検 討 して きた こ とか ら考 え る な らば,
「新 指導要領 」に示 された中学校家庭科 が,学校教 育 にお いて教科 と しての役割 を果 た して い くため に,解決 していか なければな らない課題が二つ存在 す ることになるO
第‑ は,欠 落 している保 育学習 ・被服学習の 目的 を学ぶ内容 を開発 してい くこ とであ るO
(幼児)」 「学習者 と被服 」 とのかかわ りを探求す る 学習が, どの ように学校教育の 目的であ る学習者の
「人格 形成 」 に寄 与で きるのか を客観的 に明 らか に してい くことであ る。
本継続研 究 では,岡山大学教育学部附属 中学校 で 第一の課題 を解 決す るために取 り組 まれている保育 学 習 ・被服 学 習 の 目的 を学 ぶ ため の授 業 開発研 究
「FlollrBabyPrqjectJ「外観 ・被服 ・私」 30‑を踏襲 し,第二の課題解決 に取 り組 んでみたいO
2.家庭科 にお ける評価研 究
それでは, これ まで,中学校家庭科 において,学 習評価 は どの ように行 われて きたのだろ うか。
周知 の よ うに,平 成10年 版学 習指導 要領 で し生 きる力]が学校教育 において育成すべ き学力 として 設定 されて以 来,従来のペ ーパーテス トによる学習 評価 だけではな く,子 どもの 「自ら学 び, 自ら考 え る力 」や 「個性」 を評価 す るための観点別学習評価 の方法が求め られ るようになった。
それ に対応 す るため,平成14年2月 に国立教 育 政策研究所教 育課程 セ ンターか ら『評価基準 の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料』 3日が 公刊 さ れ,表4与7)に示 す 中学校 家庭科 の4つ の評価 の観 点が示 された。 これ以来,中学校家庭科 では, この 4つ の観 点 「生 活 や技 術 ‑ の 関心 ・意 欲 ・態 度」
「生活 を工夫 し創 造す る力
」
「生活 の技 能」 「生活 や 技術 につ いての知識 ・理解」 に基づ いた評価研 究が 進め られて きた。しか し,これ ら 4つの観点の 「趣 旨」をみ る限 り, 中学校家庭科 の学習が, どの ように子 どもの 「人格
佐藤 園 ・河原 浩子 ・平田美智子 ・小橋 和子 ・原田 省吾
形成」 に結 びつ き,それ をどう客観的 に評価 で きる のか, とい う観点 を読み とることはで きない0
3.家庭科学習の成果 と しての 「人格形成」評価 の 必要性
それでは, どの ようにすれ ば,家庭科学習の結果 として形成 された 「人格」 を客観 的に評価 す ること がで きるのだろうか。
本継続研 究 で は
,
「人格」 を研 究す る学 問 と して 存 在 す る 「心 理 学」 に着 目 した。 「心 理学 」 で は, 人の 「心 を測 る」方法 として 「心理測定尺度」 の開 発が なされ,その研 究成果が蓄積 されている。本継 続研 究の第2報 で は,
「心理測定尺 度」の家庭科学 習評価へ の適用 と 「家族 ・保育学習」の評価 のため の心 理 測 定 尺度 の 開発 ,第3報 で は,
「被 服 学 習」の評価 のための心理測定尺度の適用 につ いて検討 し てい きたい。
引用文献
1) 中央教育審議会 「幼稚 園,小学校 ,中学校 及び 特 別 支援 学校 の学 習指 導 要領 等 の改 善 につ いて
(答 申)」,平成20年1月17日, 8頁
2) 岡山県知事部局総務学事課 「私立高等学校 にお ける未履修状況 について」,平成18年12月12日 3) 岡山県教育委員会指導課 「県立高等学校 におけ
る必修教科 ・科 目の取扱 い につ いて」,平成18年 1()日26日
4)北 日本新 聞社編集局 『睦みつ めて』,北 日本新 聞社,2007
5)文部科学省 『小学校学習指導要領』,平成20年 3月
6)文部科学省 『中学校学習指導要領』,平成20年 3月
7)前掲書1)14頁 8)同上
9)前掲書1)15頁 10)同上
ll)同上
12)前掲書1)16頁 13)前掲書1)16頁 14)同上
15)文部科学省 リー フ レッ ト 「生 きるカ ー学習指導 要領がかわ ります
」
16)前掲書15) 2頁 17)前掲書15) 3頁 18)前掲書15) 4頁 19)同上
20)文部科 学省教 育課程 部会 (第32回 (第3期 第 18回) 議事 録 ・配布 資料 「資料4 生 きる力 の 育 成 を 目 指 す 教 育 内 容 ・ 目 標 の 構 造 」, http://www.next.go.jp/b̲menu/shingi/chukyo3/ siⅣo/001/07I10606.htm
21)前掲書15)6‑ 11頁 22)前掲書15)12頁
23)学校教 育法施行 規 則 (一部改正 :平成20年3 月28日文部科学省令 第5号),第50条 ・第51条, 第72条 ・第73条
24)岡陽子 「小 中の 円滑 な接続 を図 り 『生 きる力』
をは ぐくむ ‑新 学習指導要領 の改訂 ‑」, 開陳堂
『KGKジ ャーナ
ル
』vol.43‑3,2008, 3頁 25)前掲書24) 2‑ 3頁26)松 島千 代 野 『家 政学 原論 集成 (増 補 版)』,学 文社,1980, 8頁
27)前掲書26) 7頁 28)前掲書6)87頁 29)前掲書6)87‑91頁
30)第30回岡 山大学教育学部 附属 中学校研 究発 表 会柁 術 ・家 庭 科 (家 庭 ) 資料 (2007年11月22
日)
31)北尾倫 彦他 編 『平成14年版 新 観点別学 習状 況の評価基準表 中学校 ・技術 ・家庭 一題材 の評 価規準 とABC判定 基準 ‑』,図書文化社,2002 32)前掲書31)33頁