(原 著)
職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要 因の分析 一看護職の場合一
猪下 光
要 約
2カ所の地方都市の公立病院で働 く看護婦585名 に職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要 因につ いての調査 を行 った。
職業性 ス トレッサ‑ として,訴え率 の高い項 目は 「労働 の過重負担」であった。
バ リマ ックスによる因子分析 を行 った ところ(∋自己実現,②人間関係 と対人責任,③意欲 と理念の喪 失,④仕事の負担,⑤サ ポー ト,⑥ ライフイベ ン トの
6
つの因子 を抽出 した。① 自己実現,③意欲 と理 念の喪失,④仕事の負担の因子は,年齢が若 い看護婦 ほ ど否定 し,年齢の上昇 と共 に肯定す る傾 向がみ られた。反対に⑤サポー ト因子は年齢が若 いほ ど肯定 し,年齢の上昇 と共に否定す る傾 向がみ られた。すなわち,若 い看護婦は,能力の発揮がで きない,意欲が喪失す る,仕事が負担であると感 じてお り, 年齢の上昇 と共 に能力の発揮ができる,意欲がある,仕事が負担ではない と感 じていたo Lか し,若い 看護婦 は どサポー トを多 く得 られてお り,年齢の上昇 とともに減少 していた。 これ らの結果 よ り,職業 性のス トレスやモデ レ‑ タは年齢あるいは経験年数によ り質や量が変化 していた。
キーワー ド:看護職,職業性 ス トレス, モデ レ‑ タ要 因, キャ リア
は じ め に
高齢化 ・少子化社会‑の移行 に伴 い,医療や福 祉領域 の社会 的 ニー ズは急速 に拡大 してい る。
1980年代 よ り我が国の医療保健政策は医療費の抑 制策 と高齢化対応策が取 られ,医療関連職種 の人 材の需要 と供給に関 しては長期的な視点にたった 見直 しがなされている。看護職 においては1992年 に 「看護婦人材確保 の促進に関す る法律」が施行 された。 この効果 と国内経済の不況の影響 を受け, また女性の職業意識の変化 な どによ り,看護職 の 就労形態は 「若年短期未婚型 」よ り,「中高年継続 既婚型」‑ と徐々に移行 しつつある。1995年の看 護協会の調査 では看護職の人材確保難には改善 の 兆 しがみ られ ると報告 されている。
すでに一般の企業 では 「キャ リア開発」 あるい は人材育成が,仕事の満足感や意欲 を増加 させ職
岡山大学医療技術短期大 学部看護学科
場‑の帰属意識 を高め ることが実証 されている。
看 護 職 にお いて も卒 後教 育 や 各 種 研 修 な どの
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がなされている。新人看護婦 は職業経験 を経 て職業人 としての成長発達 を遂 げてい く。 その過 程 において,職業意識は変化 し, ス トレスの質 ・ 量は変化 してい く。 しか も女性 であるため結婚 ・ 出産 ・子育ての中心的役割 を担 ってお り,家庭生 活の比重 あるいは役割が大 き く,構造的には多重 役割に対す る葛藤や仕事が及ぼす家庭生活の圧迫 な どが男性 と比較 して個 人生活面での満足度 を下 げ, ス トレスをよ り強 く受けていると言われてい る1)。 田尾 に よれば組織 ス トレスのモデルはス ト レッサ‑ (個人的 ・組織的 ・社会的) とス トレン (疲労 ・疾病 ・行動異常)お よびその間に介在す るモデ レ‑ タ (個 人差 .コ‑ ビング ・社会的支持) の3つの要 因群 の相互作用 である。ス トレッサ‑
にモデ レ‑ タ要 因が介入す ることによってス トレ ンは和 らげ られた り逆に悪化 させ られた りす る2)0 しか し女性の職業人 としての成長発達過程や職業 性 ス トレスについては,十分・には把握 されてはい ない。職業性 ス トレスの研究 と女性のキャ リア形 成の研究はお互 いに関連 しているに もかかわ らず 両者 を明示的に射程 にいれた研究は少 ない。 キャ リアに関す る研究は経営学のみでな く社会学,心 理学,教育学,精神 医学 などに広が るきわめて学 際的な研究 である。経営学での職業発達理論 は心 理学の職業アイデンティティの理論 と重 な り合 う ところが多 く,両者は補完 し合 う関係 にある。 し か し,個 人 の組 織 学 習や
Ka t z
の組 織 寿 命.段階( J o bLon ge vi t ySt a ge
)3)とキャ リア形成,職業 アイデンティティの確立 とライフサ イクル との関 連性についての研究は少 ない。そこで,本論文 で は看護職 における職業性 ス トレス とモデレ‑ タ要 因を分析す ることを主たる目的 とす る。対 象 と 方 法 1.調査方法
看護職の職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要 因につ いての調査研究 をおこな うために,個人的属性, キャ リア情報,職業性ス トレス とモデレ‑タ要 因 で構成 した調査票 を作成 した。以下 に調査票の基 本的枠組み と項 目を記す。
1)基本的属性
ライフサイクル と家族サ イクルについての調査 項 目は,年齢構成,家族形態,配偶者の有無,千 供 の有無,末子の年齢 とした。
2)職業 キャ リア
職業 キャ リアについての魂査項 目は経験年数 と 職位 とした。
3
)職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要 因につ いての 調査項 目職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要因については藤 垣,朝倉 ら及び東京都立労働研究所作成による職 業性 ス トレッサ‑の調査項 目4)を参考 として18項 目か らなる調査票 を作成 した。内訳は職業性 ス ト レッサ‑は
( 1 )
能力発揮,適性, 自律性,仕事 のやりがいに相 当す るス トレス として分類 され る
4
項 目。(2)人間関係,対人責任負担に相 当す るス トレ ス として分・類 され る5
項 目。( 3 )
意欲の低下 と無力 感 ・ギャップに相 当す るス トレス として分類 され る5
項 目O( 4
)仕事 の量 ・負担に相 当す るス トレス として分類 され る4
項 目。 モデ レ‑ タ要 因の1 4
項 目は(5)職場や友人のサ ポー トに分類 され る3項 目。(6)個人の気質や行動特性に分類 され る
3
項 目。(7) 個 人の体調や悩みに分類 され る5
項 目。( 8 )
ライフイベ ン トに分類 され る
3
項 目とした。各質問項 目は 「大 いにそ うである」5点, 「まあ そ うである
」 4
点,「どちらとも言えない」 3
点,「あま りそ うでない
」2
点,「全 くそ うでない」1
点で回答 を得 た02.
方法対象は地方都市の2カ所 の公立病院で働 く看護 婦約
8 0 0
名 である。 1 9 9 5
年2
月末か ら3
月初旬の期 間において,質問紙 による無記名 での 自己記載法 で行 ない,プライバ シーの保護 をす るために密封 の上 で回収 した。調査表 の回収数 は5 9 4
(回収率表1 経験年数 と基本的属性
経験年数 0‑3年 4‑5年 6‑9年 10年 ‑ 20年 〜 ‑ 合計 (%) 人数 142(26.7) 68(12.0) 81 (14.2) 149(26.2) 119 (20.9) 569 (100.0) 未婚 146(25.6) 61(10.7) 62(10.9) 69(12.9) 24(4.3) 362 (63.6) 既婚 6 (1.1) 7 (1.2) 19 (3.3) 80(14.1) 95(16.7) 207 (36.4) 子供無 128(23.7) 63(ll.7) 66 (12.2) 70 (13.0) 23 (4.2) 350 (64.9) 子供有 4(0,白) 3(0.6) 9(1.7) 75(13.9) 98 (18.2) 189(35.1) 単身 96、(16.4) 48(8.2) 49(8.4) 47(8.1) 20(3.4) 260(44.7) 核家族 40 (6.9) 20 (3.4) 27 (4.6) 60(10.3) 63(10.8) 210 (36.1)
‑ 1 7 2‑
74.3%),有効 回答数は565(有効 回答率95.1%)
であった。分析 は統計パ ッケー ジ
HALBAW
(現 1)基本的属性結 果
代数学社) を用 いた。 表1に565名 の看護婦の基本的属性 を記 したO年 齢は20歳代が47.3%, 30歳代が27.2%,40歳代 は
表2 職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要 因
分 類 調 査 項 目 平均±SD x2値 P
能力発揮 適性自律性
や りがい 看護婦 として 自分 の能力は発揮 で きる 2.96±0.78 52̲5
***
自分 は看護婦 に通 していると思 う 2.96±0.87 56.8 ***
看護の専 門性や 自律性が尊重 され,創意工夫がで きる 2.85±0.88 48.2
***
仕事 にや り甲斐 を感 じる 3.48±0.87 30.0
人間関係
対人負担 職場 で人間関係の トラブルがあ る 2.47±1.09 28.3 最近,職場 で不快 な出来事があった 2.86±1.23 33.6 職場 で人に気配 りやサ ポー トをす るこ とが負担に感 じる 2̲95±1.02 27.2 職場 の人に仕事 の指導や キャ リアの向上 に責任 をもつ 3.05±0.81 37.2
*
患者や家族 に裏切 られたように思 うこ とがあ る 2.31±0.87 29.4
意欲の低下 仕事が 障性 になった り,マ ンネ リ化 している 3̲24±0.92 61.7
***
職場 での学んだ りよ くしようとす る意欲 3.24±0.92 45.7
**
今後この職場で自分のキャリ7(経験t地位)や能力をどう伸ばせるか見通しがたたない 2.68±0.88 41̲7
*
自分 が行 っている看護や医療 につ いて疑問や無力感 を感 じる 3.45±0.88 51.9
***
学生時代 に習 った看護 と現実 の看護 とはギャ ップが ある 3.70±0.86 34.4
仕事量質負担 しなければな らない課題や仕事 の量が 多す ぎる 3.57±0.92 42.5
*
職場 では 自分 の技能や能力以上 の仕事 が要求 されてい る 3.04±0.73 26.7 研修会や カンフ ァレンス .研究 .諦習 な どが多 く負担 に感 じる 3.45±1.00 40.7
*
仕事 をす ることに,不安や負担 を感 じる 3.34±0̲99 65.3
***
仕事上のサ ボ‑ ト 職場の友人に辛 いこ′職場 では困った時や落 ち込 んだ時,援助や助言が得 られやすいとや悩みにつ いて何 で も相談 で きる 3.3.224±0.4±0̲9923 754.5.11
*** ***
職場以外 の友人か らの精神 的 なサ ポー トがあ る 3.62±1.05 87.9
***
気質 .行動
特性 仕事 を休 んだ り何 もしないでいると悪 い気がす る歩 いた り,食べ た りす るのが他 の人 よ り早い 3.3.4221±1.士1.2192 335.7.27
*
早 くで きる仕事 を他 の人がゆ っ くりしている とイラ立つ 3.39±1.03 45.9
**
個人の体調
悩み 出勤前なん とな く職場 に出るのがいや な気持 ちになる 3.31±1,10 67.4
***
体 の調子が悪 くて も無理 して出勤す ることがある 3.98±1.05 33.8 自分 の健康 .体力への 自信 3.09±1.15 45.6
**
最近 (過去3‑6カ月の間) に病気 で仕事 を休 んだ 1̲82±1.44 39.6
*
〝
自分 の こ とで悩んだ 3.46±1.23 81.4***
ライフ
‑イベ ン ト 過去
〝
身内に病気 .3カ月間に勤務場所 を移動 した り職場 での役割が変化 した‑問題行動 .金銭問題 な どの悩みがあった 2.1.471±1.3±1.4243 337.1.63*
N‑580
串;P<0.05
,**;
P<0.01,***;
P<0.001.17.5%, 50歳代 は8.2%であ った。既婚率 は36.4
%,有子率 は35.1%であった。家族形態 としては 単 身44.7%,核家族36.1%,大家族19.2であった。
2)職業 キャ リア
経験年数 は1‑ 3年142名 (26.7%), 4‑ 5年 68名 (12.0% ), 6‑ 9年81名 (14.2%), 10‑19 年149名 (26.2%), 20年以降 (20.9%)であった。
職位 は看護婦484名,副婦長73名,婦長28名 であっ た。副婦長の73名の経験年数 は6‑ 9年4名(4.9
%), 10‑19年44名(28.5%), 20‑29年23名(23.5
%), 30年以上2名(7.6%)。婦長28名 の経験年数
ば lo‑19年 4名 (2.6% ), 20‑29年12名 (12.2
%), 30年以上12名 (46.2% )であった。
3
)職業性 ス トレス とモデ レ‑ タ要 因職業性 ス トレス とモデレ‑ タ要因の32項 目の平 均値 と標準偏差,及び年齢 クロスによる x2検定 を 行 ない結果 を (表
2
)に示 した。職業性 ス トレッサ‑ として肯定率の高いのは,
「理想 と現実のギャップ」「仕事量の多さ」や 「仕 事 の不安 ・負担」 な どの労働過 多,「自分が行 って いる看護や医療‑ の疑問や無力感」な どの項 目で あった。 また個 人的要 因 として「自分 の悩み」「体
表3 職業性 ス トレス因子分析
項 目 第1因子 第2因子 第3因子 第4因子 第5因子 第6因子 自己実現の因子
看護婦 として 自分 の能力 は発揮 で きる ‑.7728 ‑.0637 ‑.0406 ‑.0580 ‑.0612 ‑.0229 自分 は看護婦 に適 していると思 う ‑.7272 ‑.0424 ‑.0476 ‑.0643 .0323 .0624 看護の専門性や自律性が尊重され,創意工夫ができる ‑.6406 ‑.0979 ‑̲0273 ‑.0427 .0628 .0117 仕事 にや り甲斐 を感 じる ‑.4520 ‑.1705 ‑.2933 ‑.0388 ,2038 .0342 人間関係 .対人責任 の負担 因子
職場 で人間関係の トラブルがある ‑.0095 .7006 .0938 .0278 ‑̲1014 ̲0596 最近,職場 で不快 な出来事 カ子あった .1675 .6400 .0851 .1745 ‑.0138 ,0683 職場で人に気配りやサポートをすることが負担に感じる .1599 .5391 .1284 .1309 ‑.0767 .0704 意欲 .理念の喪失の因子
仕事が惰性 になった り, マンネ リ化 している .1385 .0946 .6035 ‑.0207 ‑̲0843 .0314 自分が行っている看護や医療について疑問や無力感を感じる .1939 .0916 .5253 、1020 千.0071 ‑.0426
しなければな らない課題や仕事 の量が多す ぎる ‑.0121 .0671 .0709 .5892 丁.0724 .0231 職場では自分の技能や能力以上の仕事が要求されている ‑.0387 .1242 ‑.0016 .5132 .0348 ‑.0763 研嘩合やカンファレンス.研究.#習などが多く負担に感じる .1456 .0754 ̲1774 、4677 ‑.0678 .0682 サ ポー ト因子
職場の友人に辛いことや悩みについて何でも相談できる ‑.1063 ‑.0575 ‑.0532 ‑.0231 .6838 ‑.0900 職場では困った時や落ち込んだ時,援助や助言が得られやすい ‑.1734 ‑.2404 ‑.0803 ‑,0543 .5260 .0607 職場以外 の友人か らの精神的なサポー トがある .0076 .0570 .0808 ‑.0207 .4769 ‑.0529 ライフイベ ン トの因子
最近身内に病気.問題行動.金銭問題などの悩みがあった ‑.0495 .1125 .0077 .0789 ‑.0726 .5434
〝 身内に結婚.独立.進学.別敵 死などの変化があった ‑.0734 .0790 ‑.1516 .0411 .0006 .4893 最近病気で仕事 を休 んだ .0163 ‑.0341 .0686 ‑.0816 ‑.0158 .4382 因子負荷量2乗和 2.4894 1.6424 1.4338 1.2726 1.2327 0.9671 寄与率 (%) 7.7793 5.1326 4.4805 3.9769 3.8522 3.0223
‑ 174‑
の調子が悪 くて も無理 して出勤す る」 などの項 目 も肯定率が高 くなった。
次に職業性ス トレッサ‑の
3 2
項 目を,バ リマ ッ クス法によ り因子分析 を した (表3
)0① 自己実 現,②人間関係 と対人責任,③意欲 ・理念の喪失,④仕事の負担,⑤サポー ト,⑥ ライフイベ ン ト, の6因子が抽出された。
そこで,因子分析に よって得 られた
6
つの構成 因子 を構成す る各項 目と残余 因子項 目の結果 をみ ることに した。(1) 第 1因子 "自己実現の因子"
第1因子は,能力発揮 ・仕事のや りがい ・適性 などの "自己実現の因子"であった。「看護婦 とし て 自分 の能力は発揮で きる」「自分 は看護婦 に適 し ている」「看護の専 門性や 自律性が尊重 され,創意 工夫ができる」「仕事 にや り甲斐 を感 じる」な どの 項 目にマイナスの高い負荷量 を示 した。
因子に影響 を及ぼ した各項 目の得点 と肯定率, 年齢 クロスによる x2検定 を行 った ところ,「看護 婦 として能力は発揮で きる」は
2. 9 6±0. 7 8
,肯定 率2 3. 7%
で,年齢が上昇す るほ ど肯定す る者が多 い(
x 2‑5 2. 5 P<0. 0 01 )
。「自分 は看護婦 に通 し ている」は2. 9 6±0. 8 7
,肯定率2 5. 5 %
で,年齢が 若い看護婦ほ ど適 していない と感 じ,年齢が上昇 す るほ ど適 して い る と感 じて い た(
x 2‑5 6. 8
P<0. 0 0 1 ) 0
「看護の専 門性や 自律性が尊重 され, 創意工夫がで きる」は2. 8 5±0. 8 8
,肯定率2 4%
で, 年齢が若 い看護婦ほ ど創意工夫がで きない と感 じ, 年齢が上昇す るほ どで きる と感 じて いた (x2‑4 8. 2 P<0. 0 0 1 )
。「仕事 にや り甲斐 を感 じる」は3. 4 8±0. 8 7
,肯定率5 7. 6 %
であった。約6割の看護婦は仕事 に対 して,や りがいを感 じて働 いていた。 しか し,若 い看護婦 ほ ど能力の 発揮がで きない, 自分 には通性がない,創意工夫 がで きない と感 じることが多い。年齢が上昇す る につれて 自分 の通性 を自覚 し,能力 を発揮 で きる ようになることか ら,職業経験 を積 み重ね るなか で, しだいに職業人 としての 自己が確立 し,仕事 のお もしろさを知 り,仕事意識が変化 してい き, や りがい感は増加 してい くと考 えられた。
(2) 第 2因子 "人間関係 と対人責任 の因子"
第2因子は,人間関係や対人責任 な どの "人間 関係 と対人責任 の因子"であった。「職場で人間関 係の トラブルがある」「最近職場 で不快 な出来事が あった」「職場で患者や家族 に気配 りやサポー トす ることに負担に感 じる」 などに高い負荷量 を示 し た。「職場 で人間関係の トラブルがある」は
2. 4 7±
1. 0 9
で,肯定率1 9. 1 %
で,否定率5 3. 4 %
であった。人間関係へ の満 足度調査5)で も相対的に満 足 とす る者が多 く,職場の人間関係 は まず まず保 たれて いると考 えられた。 しか し
, 5
人に1
人は人間関 係の トラブルがあるとしていた。また,「職場 で不 快 な出来事 があったは」2. 8 6±1. 2 3
で,肯定率 は3 4. 4%
であった。「職場 で患者や家族に気配 りやサ ポー トす ることに負担に感 じる」は2. 9 5±1. 0 2
で, 肯定率3 2. 0%
であった。小野は女性の職務満足には,「人間関係」のファ クターが大 き く寄与 している。仕事 のス トレスは, 男性の場合 は,人間関係のファクター も寄与 して いたが,む しろ仕事 に求め るものや仕事上のイニ シアチブ, 自由裁量 などを通 して間接的に反映 さ れ ると述べ てい る6)。女性 の場/釧 ま職場 の人間関 係が よ り直接 に固有の影響 を及ぼ しているといえ る。 また江幡 らは,看護婦の仕事 の満足感は,金 銭的な報酬 よ りも,同僚 との関係や職場 内の雰囲 気 など人間関係要 因によって影響 され るところが 大 き く, それが満足で きない とき,職場 を替 えた い,看護婦 をやめたい とい う気持 ちになるとして いる7)。
「職場 で患者や家族 に気配 りやサ ポー トす るこ とに負担に感 じる」は対人責任 の負担の調査項 目 である。 これに対応す る職業性 ス トレッサ‑項 目 として
Ma s l ac h
&J a c hs on
のバー ンア ウ トスケ ール( MB
I)の中に 「脱人格化」の因子があ る8)O バー ンアウ トの主要因子である。「脱人格化」とは 患者や家族 な ど世話やサー ビス を受け る人達 に対 し 心理的距離 を置 く感情であ り, さらに症状が進 めば,無情なあるいは人間性 を欠 くような感情や 態度 ・行動 をとる可能性があるO この対人責任の 負担の肯定率 は3 2. 0%
である。看護職 は専 門準備 教育 を受けてお り患者の世話 をす ることへの動機 づ けや職業意識は高い と考 えられている。に もかかわ らず
3
分 の1
看護婦 は負担に感 じていた。( 3 )
第3
因子 "意欲 ・理念の喪失の因子"第
3
因子は 「マンネ リ化」や 「疑問や無力感」な どの理念の喪失 "意欲 ・理念の喪失の因子"で あった。「仕事が 悟性にな りマンネ リ化 している」
「自分が行 っている看護や医療 に疑問や無力感 を 感 じる」に高い負荷量 を示 した。
「仕事が 障性にな りマンネ リ化 している
」 3. 2 4±
0. 9 2
肯定率4 2. 4 %
で,年齢が上昇す るほ ど肯定 し ていた(x 2‑61. 7 P<0. 0
01)0「自分が行 ってい る看護や医療 について疑問や無力感 を感 じる」 は3. 4 5±0. 8 8
で,肯定率5 2. 5 %
。年齢が若いほ ど無 力感 を感 じていた (x2‑5 1. 9 P<0. 0 0 1 )
O また 残余 因子ではあるが "意欲 の低下の因子''と関連 があると思われ る項 目で 「学生時代 に習 った看護 と現実の看護 とはギャップがある」3. 7 0±0. 8 6
肯 定率6 3. 0 %
で,年齢が若いほ どギャップ を感 じて いた。医療技術の進歩に伴 い医療従事者 自身の価 値観や倫理 を問われ る治療 も増加 している。医療 現場で, その ような場面に直面 し自分が行 ってい る医療 につ いて疑問や無力感あるいは理想 とのギ ャップ を感 じる経験 も多い と考 えられた。(4) 第4因子 ̀̀仕事の負担の因子"
第
4
因子は仕事の負担 ・量の多きなどの "仕事 の負担の因子"であった。「しなければならない課 題や仕事が多す ぎる」「職場では 自分 の能力以上の 仕事が要求 されている」「研修や講習が多 く負担に 感 じる」に高い負荷量 を示 した。「しなければならない課題や仕事が多す ぎる」
3. 5 7±0. 9 2
肯定率5 1. 5%
。「職場では 自分 の能力以 上の仕事が要求 されている」3. 0 4±0. 8 3
,肯定率2 8. 9%
。「研修会や カンファレンス ・研究 ・講習会 な どが多 く負担に感 じる」は3. 4 5±1. O
Oて,肯定 率5 1. 5 %
であった。この他 に残余 因子になったが "仕事 の負担の因 千" と関連があると思われ る項 目で 「仕事への不 安 ・負担」は
3. 3 4±0. 9 9
,肯定率 は5 2. 3%
であ り, 年齢が若い程不安や負担 を強 く感 じていた (x2‑6 5. 3 P <0. 0 0
1)
0( 5 )
第5
因子 ̀̀サポー ト因子"第
5
因子は職場でのモデ レ‑ タ要 因である "サポー ト因子''であった。「職場 で友人に辛いことや 悩みにつ いて何 で も相談で きる」「職場 では困った ときや落 ち込んだ時,何 で も相談で きる」「職場以 外の友人か らの精神 的サポー トがある」に高い負 荷量 を示 した。
「職場 では困った時や落 ち込んだ時援助や助言 が得 られやすい
」3. 2 4±0. 9 3
,肯定率 は4 4. 7%
, 否定率 は2 1. 9%
である。年齢が若 いほ ど肯定 して お り,年齢が上昇す るほ ど否定す る傾 向があった( x
2‑5 5. 1 P<0. 0 01 )
O「職場 の友人 に何 で も 相談 で きる」3. 2 5±0. 9 2
,肯定率 は4 1. 2%
で,香 定率2 7. 2 %
,年齢が若 いほ ど肯定 し,年齢が上昇 す るほ ど否定す る傾 向があった(
x 2‑7 4, 1 P<
0. 0 0 1 )
。「職場以外の友人か らのサ ポー トがある」3. 6 2±1. 0 5
,肯定率6 4. 9%
,否定率1 6. 6 %
,年齢 が若 いほ ど肯定 し,年齢が上昇す るほ ど否定す る 傾 向があった(x 2‑8 7. 9 P<0.
001 )
O「仕事上の サ ポー トはまず まず得 られやすい状況である」で は約2割の看護婦 は否定 していた。田尾 と久保 は,ス トレスを受けてそれ を仲 間や 友人 とい う人間関係 に頼 って対処 しようとす る看 護婦は少 ない と指摘 している。看護婦集団は全体 として仕事優位 の集団であ り,情緒的な人間関係 要因 を意図的に排除 しようとす る傾向 もあ るとし ている9)0「職場 では困った時や落 ち込んだ時援助 や助言が得 られやすい」 とす る者 は年齢が若いほ ど多 く,年齢が経 るに したが って少 な くなった。
これ らのことか ら,若 い時期 は情動重視 の職場集 団 を形成 してお り,年齢の上昇 ・キャ リアの形成 とともに,仕事優位 の職場集団 を形成す る。ある いは年齢や職位が上昇す るにつれ職場 でのサポー
トは減少す る傾 向があるといえる。
( 6 )
第6
因子 "ライフイベ ン ト因子"第
6
因子 としてモデ レ‑ タ要 因 としての個人差 に相 当す る ̀̀ライフイベ ン ト因子" となった。項 目としては 「身内に病気 ・問題行動 ・金銭問題 な どがあった」 「身内に結婚 ・独立 ・進学 ・別離 ・死 があった」「最近病気で休 んだ」に高い負荷量 を示 した。「過去3
カ月間に勤務場所 を移動 した り職場 の役割が変化 した」4. 2 7±1. 2 3
,肯定率1 2. 3%
。「過去
3
カ月間に身 内に病気 ・問題 が あ った」‑ 1 7 6‑
2. 4 1±1. 4 4
,肯定率2 9. 1 %
,年齢が上昇す るほ ど その傾 向が強 くなった。「過去3
カ月間に身内に結 婚 ・独立 ・別離 ・死があった」2. 2 6±1. 5 6
,肯定 率2 7
.4%,年齢が上昇す るほ どその傾 向が強 くな った(∬
2‑4 6. 3 P<0. 01 )
。「最近病気 で休 んだ」1. 8 2±1. 4 4
,肯定率1 9. 4 %
,年齢が上昇す るほ ど その傾 向が強 くなった(x 2‑3 9. 6 P<0. 0 2 )
O年 齢が上昇す るにつれて, ライフステー ジ上 では家 族の中での中心的役割 を果 た し,責任が重 くな ると言 える。
(7) その他 の項 目
残余 因子 となったその他 の項 目の中で特徴的 な 項 目をとりあげ るこ とにす る。
まず, モデ レ‑ タ要 因の中の個 人差 に含 まれ る
"気質 ・行動 因子" として 「歩いた り,食べ た り す るのが他 の人 よ り早 い」「早 くで きる仕事 をゆっ くりしているの をみ る と苛立つ」 な どの行動特性 に高い負荷量 を示 した。「歩 いた り食べ た りす るの が他 の人 よ りも早 い
」3. 4 1±1. 1 2
,肯定率51. 2%
。「早 くで きる仕事 を他 の人がゆ っ くりしてい る と イラ立つ
」2. 7 1±1. 0 3
,肯定率4 9. 1 %
,年齢が上 昇 す る ほ ど 肯 定 し て い た( ∬2 ‑37. 7 P<
0. 0 4 )
。 また「仕事 を休 んだ り何 もしないでいる と 悪 い気がす る」3. 2 2±1. 2 9
,肯定率4 8. 0%
であ る。これ らの気質 ・行動傾 向 をもつ看護婦 は約
5 0 %
存 在 していた。つ ぎに,職業性 ス トレッサ‑ として肯定率 の高 い項 目について取 り上 げ る と,「この職場 で 自分 の キャ リア (経験 ・能力)や能力 をどう伸 ばせ るか 見通 しがたたないは
」2. 6 8±0. 8 8
,肯定率3 7 %
で, 年 齢 が若 い ほ ど見 通 しが た た な い と して い た( x2 ‑4 1. 7 P<0. 0 1 3 )
O"個 人の体調 ・悩 み''の 項 目では 「出勤前 なん とな く職場 に出 るこ とがい や な気分 になる3. 31±1. 1 0
,肯定率4 5. 9 %
,年齢 が若 いほ ど, その傾 向があった (x 2‑6 7. 4 P <
0. 0 01 )
O「自分 の こ とで 悩んだ」 3. 4 6±1. 2 3
で,育 定率5 8. 5%
,年齢が若 いほ ど悩んでい る傾 向が高 い (x2‑81.4P<0. 0 0 0 1 )
O「自分 の健康 ・体 力 に 自信 がない」3. 0 9±1. 1 5
,肯定率3 2. 8%
であっ た。「最近病気で仕事 を休 んだは」1. 8 2±1. 4 4
,肯 定率 は1 9. 4%
であった。 しか も 「体 の調子が悪 くて も無理 をして出勤す るこ とが あ る
」3. 9 8±1. 0 5
, 肯定率7 9. 4%
で年齢が上昇す るほ ど肯定 していた(
x2 ‑3 3. 8 P<0. 0 9 1 )
。この傾 向は年齢の高い 看護婦 に強い。本調査 の看護婦 の約7
割 は毎 月平 均8‑1 2
日間の夜間勤務 を行 ってい る。 身体 的健 康度 (ス トレン)の調査 の結果 では約7
割 の看護 婦が 「疲れやす い」 と訴 えていた5)。考 察
伊丹 ・加護野は,個 人が仕事か ら得 られ る報酬 として(1)物質的 インセ ンティブ,(2)評価的 インセ ンティブ(3)人的 インセンティブ,(4)理念的 インセ ンティブ, (5)自己実現的 インセンティブの5種類 の報酬 を区分 して い る10)。 この報 酬 区分 はA.H.
マ ズローの欲求階層説 をベー スに している。仕事 のや りがい感 は看護婦 と保母 とい う専 門職 におい て,非専 門職 に比べ て よ り高 い とされてい る。専 門職 では金銭的 な報酬や人間関係 に よってではな く,仕事 それ 自体 のため に働 くように内発的に動 機づ け られてい るOマ ズロー で言 えば よ り上位 の 人間的 とされ る動機づ け要 因であ る。 田尾 は看護 職 の場合 も自己実現 を職業特性 の重要 な次元 とし て抽 出 してい る9)。しか し,今 回の結果 では第
1
因 子 に "自己実現の因子"がマ イナスに出現 した。看護婦 としての能力が発揮 で きない。看護 の専 門 性や 自律性がな く,創意工夫がで きない。仕事 に や り甲斐 を感 じないであ る。 これ らの結果 に よ り 果 た して本 当に看護職 が専 門職 なのか とい う疑 問 につ なが る。看護業務 は医療 チー ムの中での補助 業務 が 多い。看護 の専 門性が何 であるのかの定義 と業務 内容 が不 明確 であるこ との現れではないか とも考 え られ る。
日本労働研究機構 の調査結果 では,患者の入院 生活につ いての意識は,患者 の認識 と看護婦 の認 識 は大 き く素敵 してい ると指摘 してい る11)。医療 サー ビスに求め る患者の欲求 は, まず第一 に病気 や けがの治療 であ り,治療行為 とい うサー ビスへ の欲求 であ る。 そのため医療サー ビスでは機能的 サー ビスの側面が強 く求め られ る。 しか も他 のサ ー ビス業種 に比べ 医療サー ビスではその機能サー ビスの質が患者の生死や
QOL( Qual i t yofLi f e )
といった重大事 に関わるため,患者は他 のサー ビ スを犠牲に してまで完壁な機能的サー ビスを期待 す る。すなわち,医師の領域 である治療が優先 さ れ る。 その他の看護サー ビスや病室や病院の設備, 給食などのサー ビスについては欲求水準 を下げて いる。 これに対 して看護婦は情緒的サー ビス も含 めて看護サー ビスを提供 しようとしている。 しか し,仕事量が多す ぎ,患者に適切 な対応がで きな い。中西は看護婦は多忙になればなるほ ど,患者 との良好 な関係 は成 り立たな くなる。忙 しくて十 分 な看護がで きな くな り,不満が大 き くなるとし ている12)。時間内に効率 よ く仕事 をこなすには,ど こかで情緒的サー ビスや機能的サー ビスの量 を調 整 し, うま く患者の 自助努力 を促 してい く必要が でで くる。 そこに患者の認識 と看護婦の認識につ いてのギャップが生 じ,看護婦 としての能力が発 揮できない。看護の専 門性や 自律性がな く,創意 工夫がで きない。仕事 にや り甲斐 を感 じないなど の第
1
因子の "自己実現の因子''がマイナスに出 現す る背景になったのではないか と考 えられ る。看護職 の場合,専 門的な能力の形成 とその発揮 に対す る志向性が強い。医療専 門職 ではキャ リア 形成において促進作用が強 まれば強 まるほ ど, そ れだけ阻害因子 も強 くな り,特に能力 と意欲 に 自 信 をな くしてい くと言われている。 しか し,職業 人 としての経験 を積み重ね るなかで しだいに現実 を受け止め,あるいは適応 し職業人 としての 自己 が確立 してい くと考 えられ る
。3 0
代以上 になれば, 能力は発揮で きる,や り甲斐 を感 じる,適性があると考 える看護婦が増加す る。同時にマ ンネ リ化, 体力の低下,夜勤の負担, ライフイベ ン トによる
ス トレスを感 じる看護婦 も増加す る。 これ らのこ とか ら経験年数 によって, キャ リア形成におけ る 促進作用 と阻害作用の質が異なるのではないか と 考 えられ る。 中村恵は女性の場合,職場の リーダ ーになることで,仕事 のお もしろさを知 り,仕事 意識が変化 して,長期勤続や昇進な どキャ リア形 成に結びつ くとしている13)。今 回の調査 で も,年齢 が上昇す るにつれて能力は発揮 できる,や り甲斐 を感 じる,適性があると考 える看護婦が増加 して いた。
看護職 のアイデンティティの発達 は
3
つの特徴 的な段階 をとる。第一段階は看護職 の現実 を知 ら ないロマ ンティックな職業への憧れの段階。 これ は学生時代や卒業後間 もない時期 である。第二段 階は現実 を知 って職業‑の失望 の段階, この時期 は リア リティショックの時期か ら仕事 に慣れ る3
‑5
年の期 間 と考 えられ る。第三段階は看護職‑のアイデンティティを確立 し安定す る段階である。
これ らのアイデンティティの発達段階に応 じた適 切 なサ ポー トや継続教育 を行 うことが必要 であろ
う。
ま と め
1.職業性ス トレッサ‑ として最 も高いのは仕事 量の多きを主要 因 とす る労働 の過重負担であっ た。
2.
因子分析 をした ところ① 自己実現の因子,② 人間関係 と対人責任の負担,③意欲 ・理念の喪 失,④仕事 の負担,⑤サ ポー ト,⑥ ライフイベン トの因子の6つの因子 を抽 出 した。
3.
① 自己実現の因子はマイナスの負荷量 を示 し た。特に2 0
代 の看護婦に強 くマ イナスに出現 し 年齢の上昇 と共 に低下 していた。年配者ほ ど能 力の発揮がで きると感 じてお り,仕事 の不安 ・ 負担感は消失 していた。4.同様 に③意欲 ・理念の喪失,④仕事 の負担の因 子において も,年齢が若いほ ど意欲 ・理念の喪 失感や仕事の負担感 を強 く感 じてお り,経験 を 経 るに従 い減少 していた。
5.
②人間関係 ・対人責任の負担の因子では,対 人責任の負担感 は3
割の看護婦 に見 られた。6.
モデ レ‑ タ要 因である⑤職場 でのサ ポー トは 年齢や職位が上昇す るにつれて減少 していた。若 い時期 は情動重視の職場集団 を形成 してお り, 年齢の上昇 ・キャ リアの形成 とともに,仕事優 位 の職場集団 を形成 している可能が示唆 された0
7.
ライフイベ ン トの因子は年齢が上昇す るにつれて強 くなった。 とくに既婚女性であれば家庭 生活の比重 あるいは拘束が大 き く, 多重役割に 対す る葛藤や仕事が及ぼす家庭生活の圧迫 など が,個人生活面での満足度 を下げていると考 え
‑ 1 7 8‑
られた。
8.
年齢及び経験年数に より受け る職業性 ス トレ ッサ‑の内容 ・質 ・量は変化 してい くもの と考 えられた。2 0
代の若 い看護婦ほ ど職業性ス トレ スを受けてお り,経験の蓄積 とともに減少 し, 能力の発揮が進み,職業 に適応 している。 した がって経験年数 に応 じた適切 なサ ポー トと,職 場 内教育が必要 であるO文 献
1)朝倉隆司 :働 く女性の職業 キャ リア とス トレス. 日本 労働研究雑誌394:14‑29.1992.
2)田尾雅夫 :組織の心理学.有斐閣ブ ックス,東京.50
‑55,1991.
3)平野光俊 :キャ 1)ア ・ディベ ロップメン ト.文最堂, 東京.28‑30,1988.
4)朝倉隆司他 :高度情報社会 を支 えるソフ トウェア技術 者のワー クス トレス と行動変容 に関す る研究,平成6
年度文部省科学研究費重点領域研究,「情報化社会 と人 間」研究成果報告書,1992.
5)猪下 光 :看護職の職業意識 とス トレス.岡山大学経 済学部修士論文,1996.
6)小野公一 :働 く女性 の人間関係.同朋社,京都.72‑
90,1989.
7)江幡美智子 :病棟婦長の 1)‑ダー シップに関す る研究.
病院管理20:5‑16,1983.
8)MaslachCandJachsonSE:Themeasurementof experienced burnout. JoumalofOccupational Behavior,2,99‑113,1981.
9) 田尾雅夫 :ヒューマ ン ・サー ビスの組織.法律文化社, 京者臥 108‑110,1995.
10)伊丹敏之 ・加護野忠男 :ゼ ミナール経営学入門. 日本 経済新聞社,東京.1989.
ll)日本労働研究機構 :職業 としてのサー ビス,調査研究 報告書,NO62,1995.
12)中西睦子 :看護婦‑患者関係 に関す る我が国の研究.
看護研究 :8,237‑246,1975.
13)中村恵,小池和男 (編):職場のキャ リアウーマン.東 経選書,東京.26‑37,1988.
~nurse-
Hikari INOSHIT
AAbstract
Occupational stress and moderator factors were investigated in 585 nurses working in two pubric hospitals local cities. As occupational stresser "too hevey labor" was most frequent in complaiment items.
The following factors were extracted by varimax analysis, CD self-expression, @ human-relation and personal reponsibility, ® lost of will and ideology,
@loaded labor, ® support, ® life-event. It was observed that CD self-expression, ® lost ofwill and ideology, @ loaded labor were denayed by younger nurses, but ® support was increased with age. Accordingly, younger nurses felt that they couldn't show their abilities, they lost their will, their duties were heavy, but along with age, they felt they could exhibit their abilities, willing to work, their burdens were not heavy. The younger the nurses, the more the supports were given, and they received fewer supports with age. In conclusion, quality and quantity of occupational stress and moderator change with age and occupa- tional carrier.
Key words: nurses, occupational stress, moderator factors, carrier.
School of Health Sciences, Okayama University