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D タイプサイクリンによる制御を外れた E2F1 活性抑制機構の解析

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Academic year: 2022

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Dタイプサイクリンによる制御を外れたE2F1活性抑 制機構の解析

著者 津田 大輔

URL http://hdl.handle.net/10236/00027994

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2018年度 修士論文要旨

D タイプサイクリンによる制御を外れた E2F1 活性抑制機構の解析

関西学院大学大学院理工学研究科 生命科学専攻 大谷研究室 津田 大輔

転写因子E2Fは、細胞増殖促進とアポトーシス誘導によるがん化抑制の相反する作用をもつ。

休止期において、E2F の活性はがん抑制因子 RB が結合することによって抑制されている。増 殖刺激は、サイクリンDの発現を誘導し、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)を活性化し、RB をリン酸化して不活性化し、E2Fを活性化する。このように生理的に活性化されたE2Fは、増 殖関連遺伝子の転写を活性化する。一方で、RBの機能不全などのがん性変化によってRBの制 御を外れて活性化されたE2Fは、ARFなどのがん抑制遺伝子を活性化しがん化を抑制する。サ イクリンDが細胞増殖を促進する生理的なE2F活性を誘導することは確立されているが、アポ トーシスを誘導する RB の制御を外れた E2F 活性に及ぼす影響は不明である。 E2F によるが ん化抑制には、8つあるE2Fファミリーメンバーのなかでアポトーシス誘導能が最も高いE2F1 が中心的な役割を果たしている。先行研究において、RBの制御を外れて活性化されたE2F1に 対してCyclin D1を過剰発現させると、E2F1によるARFプロモーター活性化が抑制された。

このことから、Cyclin D1は生理的なE2F活性を誘導するのに対し、制御を外れたE2F活性は 抑制すると考えられた。本研究は、Cyclin D1による制御を外れたE2F1活性の抑制機構を解明 することを目的とする。

Cyclin D1の内在性遺伝子発現に及ぼす影響をqRT-PCRで検討したところ、Cyclin D1の過剰 発現はE2F1の過剰発現による内在性ARF遺伝子発現を抑制した。Cyclin D1とE2F1の相互作 用をBiFC法で検討したところ、E2F1とCyclin D1の相互作用が観察され、さらにCyclin D1 の発現により E2F1 の局在が核内から細胞質に移行した。血清刺激を加え内在性の Cyclin D1 を誘導しても同様の結果が得られた。このE2F1の局在の変化がCyclin D1に依存しているか検 討したところ、Cyclin D1をノックダウンするとE2F1の局在の変化が核に戻った。Cyclin D1に よる E2F1 活性の抑制がサイクリンの主な機能である CDK 活性化に依存しているかをCDK イ ンヒビターを用いて調べた。その結果、p16INK4Aまたはp21Cip1を共発現させてもCyclin D1によ って E2F1 活性が抑制されたことから、CDK 活性に依存しないことが示唆された。以上から、

Cyclin D1は制御を外れたE2F1と直接相互作用して細胞質にトラップすることにより転写活性 を抑制している可能性が示唆された。

RB経路に異常のあるがん細胞においては、RBを不活性化する因子としてのCyclin D1は理論 上不要になっている。しかしながら、ほとんどのがん細胞株でCyclin D1の発現が維持されてい た。そこで、がん細胞株においてshRNAを用いてCyclin D1をノックダウンしたところ、顕著 なアポトーシスが誘導された。このことから、がん細胞においてCyclin D1は制御を外れたE2F1 活性を抑制することによりアポトーシスを抑制しており、がん治療の新たな標的にできる可能性 が示唆された。

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